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スターフォックス アサルト」を以下のとおり復元します。
*スターフォックス アサルト
【すたーふぉっくす あさると】
|ジャンル|シューティングゲーム|&amazon(B0002OVBNO)|
|対応機種|ニンテンドーゲームキューブ|~|
|発売元|任天堂|~|
|開発元|ナムコ|~|
|発売日|2005年2月24日|~|
|定価|6800円|~|
|ポイント|ゲームボリュームが少ない&br()開発に関する嘘&br()64版と比べるのは流石に酷か&br()対戦モードは傑作|~|
|>|>|CENTER:''[[スターフォックスシリーズリンク>スターフォックスシリーズ]]''|

**概要
名作STG、スターフォックスシリーズの4作目。
シリーズ3作目の『スターフォックスアドベンチャー』がSTGではなくアクションゲームという変わり種であったこと等から、ユーザーはSTGとして発表された本作に「64」の正統な進化版を期待していた。
開発が任天堂ではなくナムコであるという点は一抹の不安要素ではあったものの、ナムコ開発のフライトゲームと言えば広く知られる名作『エースコンバット』シリーズが存在し、本作も『エースコンバット』の開発チームが担当すると事前に告知されていた為、発売前の時点では概ね好意的に受け取られていた。
しかし結論から言ってしまうと、ゲームの出来は「期待外れ」な凡作であり、そればかりか開発の詐称に等しい行為がユーザーの心象を必要以上に悪くしてしまったのである。

**ストーリー
前作『スターフォックスアドベンチャー』の事件から一年後、スターウルフを追い出されたアンドリュー・オイッコニーは、亡き叔父Dr.アンドルフの残党を率いてコーネリア軍に反旗を翻した。年齢の為に引退したペッピー・ヘアに代わり、惑星サウリア((前作『スターフォックスアドベンチャー』では「ダイナソープラネット」と呼ばれていた惑星。))の事件がきっかけで加入したクリスタルを迎え、新生スターフォックスはオイッコニー軍撃破の為に出撃する。しかし、それは謎の生命体「アパロイド」との銀河の命運を賭けた争乱の序章に過ぎなかった…。

**評価点(本編)
-ストーリー
--今までのスターフォックスシリーズでは敵は基本的に「軍隊」であったが、今回の敵はそれらとは一風異なる機械生命体「アパロイド」である。マザーを撃破しない限り無限に増殖するという圧倒的な物量に加え、機械と融合しアパロイドに取り込むことも可能という設定を持つ。負ければフォックス達どころか全宇宙がアパロイドに支配されてしまう為、全編に渡って暗く、シリアスな物語が展開される。
--この手の生命体が登場する作品としてやるべき展開、即ち仲間の乗った機体を撃たねばならない葛藤や、新型兵器が敵に取り込まれる展開、強大な敵を前に敵味方の枠を超えて協力体制が起こる展開、仲間を切り捨てながら元凶の撃破へと向かう展開などは概ね押さえており、やや使い古された感はあるものの王道的で熱いシナリオとなっている。
--その一方でこの手の生命体との戦いを描いたSFは悪く言えばありがちで、特にSTGファンにとっては『R-Type』の「バイド」や『レイフォース』の「Con-Human」等思い当たる節が多い。最近の作品では「機動戦士ガンダム00」に登場した「ELS」等もこの範疇に当たる。こういったやり尽くされた展開をスターフォックスでやる必要があったのか、という点については疑問が挙がっている。
---機械生命体アパロイドはナムコの過去作『ギャラクシアン』へのオマージュであると明かされている為、開発者の自己満足だと批判する声も。

-美麗なグラフィック
--GCの中では最高峰のグラフィックを実現している。特に序盤、惑星フォーチュナー宙域での艦隊戦の表現は素晴らしい。
--「機械生命体」という難しい敵のグラフィック表現にも成功しており、昆虫にも見えるが機械にも見える、というギリギリのラインが取られている。

-音楽
--本作の音楽はフルオーケストラを使用しており、かなり完成度が高い。特にアパロイドマザー戦の音楽は第一形態、第二形態共に必聴もの。
--宇宙をバックに壮大な戦いが繰り広げられる本作とオーケストラの相性はかなり良く、プレイヤーの心情を盛り上げてくれる。

-白兵戦の導入
--本作にはフォックスがアーウィンを降り、人間大の敵と白兵戦を行うマップがある。しかしこれが非常に凝った作りとなっており、ユーザーからも好評。
--ロケットランチャーからスナイパーライフルに至るまで多彩な武器が用意されており、敵に殴り込みをかけて一気に制圧することも、遠距離から敵を一体一体倒していくことも可能。産廃と化している武器も無い事もないが、概ね各自のプレイスタイルに合った武器を選択できる。

**問題点(本編)
-全体的にゲームボリュームが薄い。
--シナリオモードが分岐無しの一本道な上に、全部で10ステージしかない((ただし、ステージ自体は長めに作られている。特に9ステージ目は20分~30分かかるボリュームである。))。64版が14ステージ以上、25通りの分岐が存在したことに比べると、明らかにボリュームが少ない。
--配置やマップ自体はバリエーション豊富であり、それなりに凝っているのだが、いかんせん10ステージを繰り返すしかないので単調であり飽きるのが早い。
--しかも基本シューティングにおいてメインであるはずの強制スクロール面は''10ステージ中たった3つ。''それ以外にアーウィン専用ステージが1つあり、残りは新要素である白兵戦メインのマップのみ((白兵戦メインのマップでもアーウィンやランドマスターに乗り換える場面もある。その場合64版のオールレンジモードに近い戦闘になる。))。
---白兵戦自体は武器の切り替えが面倒など多少の問題点はあるもののおおむね好評。だが仮にもシューティングであるはずなのに肝心のシューティングが少なすぎるのは問題である。
--シリーズ伝統のトレーニングモードも無い。そのため、初心者には多少辛いものがあるかもしれない。

-味方CPUが役に立たない
--白兵面で生身で出撃する味方は出撃位置(の半径数メートル程度)から一切動かないまるっきりの役立たず。一応申し訳程度に周囲に敵がいるがそいつらを蹴散らした後でも動こうとしない。ちゃんと働け。
--と言うか、働かず動かずあまりにも存在感が無いので、白兵戦ステージで味方がいることを知らない人も多い。

-一部のエフェクトがしょぼい。
--例を挙げると、自機が爆発する時のエフェクトは青紫に発光するだけである。爆炎ぐらいあげてくれ。
--スマートボムも赤い円が広がっていくだけというお粗末なエフェクト。スマートボムに限らず「大規模爆発」のエフェクトは大体同じように赤い円。
--グレネード等の爆発も黒煙が破裂したようなエフェクト。リアルと言えばリアルだが、折角のグレネードなのだから光ったり火を上げたりといった派手さが欲しかったところ。

-爽快感が薄い。
--上記のエフェクトもそうだが、全体的に敵が分散しており、しかも固い敵が多いこと等から、爽快感が薄い。
--特に64時代の、チャージやボムでコンボを一気に稼ぐ爽快感が半減してしまっているのが痛い。
--ストーリーを通してのスコアアタックがメインだった64に対して、本作は一ステージごとにプレイ・スコア記録ができることや難易度ごとに3段階の目標スコアがあることから、ステージごとのスコアアタックが魅力となっていると言える。

-一部シリーズ登場人物の扱い。
--ストーリーの項にもあるように、本作の戦いは銀河規模の生存競争であり、負ければ全てが終わる為、今までの敵味方を問わず様々な人物がフォックス達に協力することとなる。しかしそれにしては64版の登場人物達の一部が登場しない点が不自然。
--例えばフォックスの学生時代からの親友であるビル・グレイが出てこない。2面でカタリナ前線基地はご丁寧に出てくるのに(彼はここに配属されていた)。おかげで2面でひっそり死亡した説が囁かれることとなった。続編のコマンドで何事も無かったように登場したが。
--ファルコの元恋人キャットも登場しない。彼女の性格からして戦禍からさっさと逃げたのかもしれないが…。

**対戦モード
-本作の特筆すべき事項。不満点の多い本編に比べてバトルモードの出来はとても良く、''ステージ数も本編より充実している''。プレイヤーが1人ではプレイできないのが残念。
--バトルモード限定のステージ、本編に出てこない追加装備((発射するとミサイルに視点が移り、プレイヤーがミサイルを操作して敵に攻撃を仕掛けるミサイルランチャー、強力な対空装備であるハナビ、誰かが勝利目前になった時にその時死んだ人物に支給される恐ろしい誘導性能を誇る上に一発で敵を瀕死にできるデビルランチャー等非常に個性的。さらにミサイルランチャーの爆風で相手のミサイルランチャーの弾丸を撃ち落としたり、発射前のハナビを撃つと発射される予定だったグレネードを周囲にばら撒いて大爆発等とギミックも凝っている。))、そして妙な縛り((武器固定、乗り物および白兵戦が出来るかなど。例としてはランドマスター以外禁止にすると全プレイヤーが最初からランドマスターに乗っており、任意の乗降および撃破されても脱出できない。が、流石にグレートフォックス周囲やサルガッソー外部といったアーウィン(とウルフェン)専用ステージでランドマスターや白兵戦を行うのは無理だが。))を強いるルールなどバラエティに富んでおり、とても楽しめる。
--前作の対戦では弱かったランドマスターも性能が大幅に強化。高い装甲力と破壊力抜群の主砲によりアーウィンにも引けをとらない機体となった。
--「ゾネス海上基地」「砂漠タイタニア」のような、シリーズファン懐かしのステージも登場する。欲を言えば本編の方に欲しかったが。

***対戦モードにおける欠点
-隠しキャラ・隠しアイテム・隠し機体は、7割強の項目において対戦回数がフラグのため、恒常的にバトルをしていないと解放できない。コンプするために最終的に260回の対戦回数を重ねなければならない。
--地味ながら武器を1つ1つ使用できるか設定できないのは痛い。

-機体の性能による戦闘のアンバランスさ
--基本的にアーウィン・ランドマスター(・ウルフェン)の性能が高いので、取った者勝ちになりやすい。一応パイロット(白兵)側も隠れながら武器を集めて応戦することはできるが、広いステージだとすぐバレてしまったり、マップによってはアイテムがパイロット単体では取れない位置に配置されていたりとかなり冷遇されている。生身の白兵より機体のほうが強いのはある意味当然だが・・・
--そのため機体無しにしたり、パイロットでも戦いやすいマップや設定で対戦することが多い。
--上述の通り隠し武器・マップを出すまでに時間がかかるため、初期状態のまま対戦してイマイチ盛り上がれなかった層もいると思われる。

-使用キャラの能力がやや偏っている。
--隠しキャラクターとはいえ、ランドマスターの適性が低い以外は全ステータスが高水準で、特に移動速度が非常に速いウルフはかなり強い。
--一方でファルコの能力は冷遇されている。ステータスでは劣化ウルフ、特殊能力なし、HPが低く頻繁に即死する。
--これに輪をかけて酷いのが全ステータスが低め、''1度死なないと特殊能力を発揮しない''、''アーウィンステージ、およびパイロット禁止ルールでは能力が低いだけで有利な点が何一つない''、という三重苦を背負うクリスタル。先述のファルコはアーウィンの操作性が良いという長所があるだけまだ救いがあるが、クリスタルには長所が無い。
--キャラ数も隠しキャラを含めて6人と少なめ。レオンやパンサーなども登場させて欲しかったところ。

**その他
-ボーナスゲームと称したおまけとしてレトロゲームであるバトルシティー、ゼビウス、スターラスターが移植版として丸々3本収録されているが、スターフォックスとはあまり関係が無い作品である(共通点はナムコが開発したシューティングゲームという点のみ)。容量が余っておまけを入れるくらいならシナリオモードを増やすなりエフェクトを強化するなりのことはできたはず。
--おまけにスターラスターの出現条件のスペシャルフラッグは一部を除いた設置位置が鬼畜。基本的には特定の敵機orオブジェクトを破壊するか何も無い場所で標準がロックオンされた所に何発か撃ち込むと出現するのだが、肝心の位置が''密林地帯内の特定の木の枝((そのエリア内には木が数十本あり、各木には2~3本破壊可能な枝がある。おまけに強制スクロール面の為じっくり調べる余裕はない上にそもそも木の枝を破壊できることに気付かないことが多い。))を破壊すると出現''、''ノーマル以上の難易度じゃないと一切敵が出ない為訪れる事が無いエリア。おまけにミッションが一定以上進行してないとその場所に行っても全く反応せず手に入れることが出来ない''等。そんなの攻略本が無いと分かるか。

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**開発スタッフにおける問題
-当初はエースコンバットの製作チームが開発を担当すると公表されていた([[ソース>http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020508/namco.htm]])。当時の雑誌でもきっちり表記されている。
--だが''実際はそれとは全く別のチーム…『風のクロノア』シリーズのスタッフが開発していた。''今作のナムコ側のプロデューサー、小林毅氏はクロノアシリーズの総責任者である([[参考>http://www.nintendo.co.jp/nom/0502/22/index.html]])。
---しかも、''この事が明らかにされたのは発売から間もない時期。''開発発表から発売までに3年以上ものブランクが空いていたので、あまりに唐突な発表であった。
---当然ながら、この突然の方針転換にシリーズファンからは疑問の声が少なからず上がった。
--結果として、『[[テイルズ オブ シンフォニア]]』と並び、ナムコがアンチ任天堂と認識される原因を生んでしまった。
--しかも、開発室を視察しに来た宮本茂氏を追い返したという悪い噂もあるため、ナムコはスターフォックスファンや任天堂ファンに敵視されることに。

-開発スタッフはインタビューにて嘘や本編と矛盾することを言い放っている。
--ニンテンドードリームのインタビューでは「''対戦モードで満足してひとりモードを作るのがめんどくさくなった''」という主旨の発言もしていた。''明らかに職務怠慢である。''
--ちなみに、ニンテンドードリームの読者ページにこのページに書かれたような今作の不満を語ったおたよりが届いたのだが、編集者が「''そう言えばあったな、そんなの!''」というふざけた回答をするという出来事が起きた。

//※ソース:[[ニンテンドーオンラインマガジン2月号・スターフォックスアサルト 開発者インタビュー>http://www.nintendo.co.jp/nom/0502/22/index.html]]

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**総評
対戦プレイの出来の良さはもちろん、シナリオモードもそれなりに遊べる仕上がりにはなっており、グラフィックや音楽は良好。一つのゲームとしてみれば良作に近い部類と言ってもいいかもしれない。~
だが、本作は64版から8年経っての発売であり、前作をやりこんだコアなファンの待望作であったためにゲームの趣きがガラリと変わってしまっている点がユーザーにコレジャナイ感を与え、モロにマイナスに響いてしまったと言える。~
さらにボリュームの低下と開発の嘘や投げやりな内容だらけのインタビューなどから手抜きの印象を与え、倫理観的にも強い反感を買ってしまった面が大きい。~
シューティングステージの増加や分岐の設置などでシナリオモードの充実化さえされていれば前作を踏襲しつつ白兵戦の境地を切り開いた名作になっていた可能性は高いだけにとても残念な作品である。

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