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CAPCOM FIGHTING Jam」を以下のとおり復元します。
*CAPCOM FIGHTING Jam
【かぷこん ふぁいてぃんぐ じゃむ】
|ジャンル|対戦格闘アクション|&amazon(B000654XY8)|&amazon(B0009CM750)|
|対応機種|アーケード(SYSTEM246)&br()プレイステーション2&br()Xbox|~|~|
|発売元・開発元|カプコン|~|~|
|稼動開始日【AC】|2004年|~|~|
|家庭用|【PS2】2004年12月2日/6,980円&br()【Xb】2005年6月16日/5,040円|~|~|
|配信|PS2アーカイブス:2012年12月19日/1,200円(オフライン専用)|~|~|
|ポイント|カプコンの格ゲー開発力の低下を示してしまった&BR;家庭用も追加要素もなく手抜き|~|~|
|>|>|>|CENTER:''[[CAPCOMクロスオーバー関連作品シリーズ]]''|

**概要
『ストリートファイター』『ヴァンパイア』『[[ウォーザード]]』からキャラクターを集めた、SNKにおける『KOF』や『ネオジオバトルコロシアム』の様なメーカー内クロスオーバーによるドリームマッチ。~
スイッチタッグシステムを採用しているが、基本的には1対1。キャラクター達は古巣作品を再現したシステムで戦うのが特徴。~
オリジナルキャラに、製作中止となってしまった『[[CAPCOM FIGHTING ALL STARS>http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020902/sin.htm]]』でデビュー予定だったイングリッドがいる。~
カプコンキャラのお祭りゲーということで、期待度は高かったのだが・・・

**参戦キャラクター
|ストリートファイターII|リュウ、ガイル、ザンギエフ、ベガ、神人豪鬼(隠しボス)|
|ストリートファイターZERO|ガイ、 ローズ、春日野さくら、神月かりん|
|ストリートファイターIII|アレックス、ユン、ユリアン、 春麗|
|ヴァンパイア|デミトリ・マキシモフ、アナカリス、フェリシア、ジェダ・ドーマ、パイロン(ラスボス)|
|ウォーザード|レオ、ムクロ、ヌール、ハウザー|
|オリジナルキャラ|イングリッド(乱入キャラクター)|

**システム
次ラウンドでゲージシステムが違うキャラクターに交代した場合、ゲージはそのシステムの最大値の割合分を引き継ぐ(例として最大3本のゲージで2本の状態でラウンドを終え最大2本のキャラに交代した場合、1本+1/3本の状態からスタートする)。

-''ストリートファイターII''
--時間差起き上がりしかサブシステムがなく、パワーゲージも1本とシンプル。
--ただし飛び道具を除いた全ての攻撃が空中ガード不能で、攻撃力とスーパーコンボの威力が高い。またスパコンはストZERO3のX-ISMやカプエス2のP-GROOVEの様なレベル3固定である。

-''ストリートファイターZERO''
--空中ガードとダウン回避が使用可能。パワーゲージは2本で、ZEROカウンター・スーパーコンボ・オリジナルコンボが使えるZERO3のZ-ISMとV-ISMを合わせた仕様である。多くの作品で猛威を奮ったオリコンはゲージが長い、オリコン中の削りダメージ低下、オリコン中に攻撃を受けるとゲージが無くなる、といった弱体化が施されている。
--オリコンが使える代わりにスパコンの性能はストZEROシリーズにおけるレベル1~2に抑えられており、各技でばらつきがある。

-''ストリートファイターIII''
--ブロッキング・スーパーキャンセル・リープアタック・ハイジャンプ・ダッシュ・ダウン回避(クイックスタンディング)が使用可能。
--パワーゲージは2本で、EX必殺技とスーパーアーツが使える。またストIIIシリーズではスーパーアーツは選択する必要があるが、本作では削除されたものを除いて全て使用可能である。

-''ヴァンパイア''
--チェーンコンボ・ガードキャンセル・空中ガード・ダッシュ・ダウン追撃・移動起き上がりが使用可能。
--パワーゲージは3本で、ES必殺技とEX必殺技が使える。また一度のジャンプで複数回ジャンプ攻撃を出せるのも特徴。

-''ウォーザード''
--アルティメットガード・ハイジャンプ・空中ガード・ダッシュ・ダウン追撃・移動起き上がりが使用可能。パワーゲージは2本で、レベルアップとミスティックブレイクが使える。
--システム上、ラウンド数が多いほど有利になっており、3ラウンド制と5ラウンド制ではキャラランクに大きな差が出る。

-''イングリッド''
--回り込み・ハイジャンプ・空中ガード・ダッシュ・移動起き上がりが使用可能。
--パワーゲージは3本
--キャンセル移動とスーパーアーツが使える。イングリッドのスーパーアーツはストIIIのものとは異なり、消費するパワーゲージ量が技ごとに設定されている。
--彼女はデフォルトキャラでありながら特殊な立ち位置にあり、通常CPU戦には登場しない。条件を満たすと乱入してきて、テーマソング「陽炎」が流れる中で戦うことになる。密かな名曲であるが、現在のところ他の作品では聴けない。

**評価点
-「お蔵入りになった作品の人気キャラ」であるイングリッドが正式に登場したこと。
--『カプコンファイティングオールスターズ』がお披露目された時から可憐な外見から高い前評判を集め、同作の開発中止後もプライズマシンの景品としてフィギュアが出回るなど、公式な登場作品を持たないまま単独での商品展開を見せ、その人気と知名度を受けて、ようやくこの『CFJ』で(3Dから2Dになるという変化はあったものの)公式に格闘ゲームにデビューする事となった。
--なお、彼女がロリババァ属性を持っていたのは賛否両論となったが、これは元作品から存在していた設定である。

**問題点
-登場キャラクター数が少ない上、半分以上がストリートファイターシリーズのキャラクターであり、偏りが激しい。
-隠しキャラクターが面白味に欠ける。
--鳴り物入りで登場したイングリッドは肝心の性能が最弱クラスで使い甲斐のないキャラになってしまった。
---攻撃力・防御力共に最弱クラスに加えて技性能自体も微妙なものが多い。本来なら強力な当身投げも「体が小さい(=当身の判定まで小さく攻撃を受け止めにくい)」「発動が派手で見切られやすい」ため非常に使い辛い。さらにコンボ性能が非常に低く、得意な間合いが中距離での差し合いである等の理由により、チマチマとした戦いを強いられることになる。
-出場キャラや作品の選別が微妙。
--開発者が「過去のVSシリーズに出てなかったキャラを出したかった」という旨の発言をしているが、『ウォーザード』で主人公の一人であるタオが外され、敵キャラにしても人気の高いブレイドではなく、知名度が低いヌールやハウザーが登場しているなど、開発者の発言を踏まえた上でも気になる人選がある。
---過去作で出すぎているとはいえ、ケンやサガット、モリガンといった人気キャラが背景のみの登場となってしまっているのには、首をかしげる人も多い。
--作品に関しても同様の理由だろうが、マーベル系のVS.シリーズに出ていた『ストライダー飛竜』『サイバーボッツ』『キャプテンコマンドー』『ロックマン』『スターグラディエイター』『バイオハザード』からの出場が一切無いことに残念な声が出た。
---『今までの作品に出ていなかった』基準で言えば、『ジャスティス学園』『鬼武者』『パワーストーン』『バトルサーキット』『ストリートファイターEX』辺りを望む声も。『ストリートファイターEX』は版権の関係で難しい作品だが。
--デミトリ、アレックス、レオは各作品の「主人公」であるにもかかわらず、カプコン製ゲームの外部出張に恵まれていなかったため、この点に関しては評価できるといえる((デミトリはSNKプレイモア製の『SVC CHAOS』やナムコ製の『NAMCO X CAPCOM』に登場している。))。
--(その制度の是非はともかく)「作品ごとにシステムが違う」と言う関係上、元が格ゲーでなくVSシリーズで登場したようなキャラ(飛竜、キャプコマ、バイオ等)も出し難い。そして、(これまた是非はともかく)新規ドット絵を用意する手間をかける事も出来なかったため、3D作品からの参戦も不可能。となると、こうなるのは仕方ないといえる。
-キャラクターのグラフィックはイングリッド(とザンギエフなどの一部)を除き過去作品の使い回しばかりで目新しさが無い。
--特にヴァンパイアキャラはドット絵が粗すぎて浮いている。ストIIIキャラやウォーザードキャラと比較すると顕著。
---もっともクロスオーバーの常連であったモリガンも使い回しばかりであったのだが…。
-システムが各ゲームキャラごとにばらばらでまとまりに欠ける上、ゲージシステムが複数あるのにストZERO3やカプエスの様な選択制ではない。
--しかもストリートファイター所属キャラに顕著で、特に複数シリーズに出演しているキャラだと固定される時点で疑問が残る。
---特に春麗がIIでなくIII仕様の為に、IIIを遊んでいないプレイヤーからは遊びにくいと指摘される。また使い勝手が違いすぎて、III出身のプレイヤーからも不評。
-ヴァンパイアのシステムが圧倒的に有利で、それゆえにヴァンパイアキャラが強い(特にジェダは最強キャラと名高い)。
--ガードキャンセルと移動起き上がりが凶悪な防御能力を誇る。その割にゲージが豊富で一発があり、ゲージが無くてもチェーンコンボからの追い打ちで最低限の火力が保障されている。
---ジェダ、アナカリスに至っては空中動作が豊富でガード方向が常人では判別不能。
--なお、ストIIのキャラクターはシステムが非常に少ないが、代わりに攻撃力が非常に高い上にほぼ全ての技が空中ガード不能と言う形でバランスがとられているため、ヴァンパイア(強すぎ)とイングリッド(弱すぎ)以外は比較的システムバランスは取れている。システム格差よりもむしろ、キャラクター間の格差の方が大きい(特に、同じストZEROキャラなのに4強の一人であるかりんと最下層であるさくらの格差が顕著)。
-ジェダが強すぎてバランスも非常に悪い。キャラ同士の相性もかなりの差がある(ザンギエフ:ジェダ、レオや、ガイル:アナカリス、デミトリなど。左が不利)。よってジェダを筆頭に、かりん、アナカリス、ユリアンなどの相性に恵まれた強キャラを使わないと最終的には勝てなくなる。
---闘劇で行われた本作の大会の使用キャラもバラけているように見えるが、実際に使われていたキャラは上記の4キャラがほとんどであった。
-隠しキャラの一人である神人豪鬼は、元々『CAPCOM VS SNK 2』に登場したキャラで「豪鬼自身が持つ殺意の波動とルガール(SNKキャラ)の持つオロチの力が混じり合った半暴走状態」という設定であったが、SNKが関わっていない今作での設定は不明。「普通の豪鬼を出せばよかったのでは?」という声も多い。
-このような出来になってしまった最大の理由は『カプエス2』以降、カプコン社内において「2D格闘ゲームはすでに古く、ドット作成が苦痛」と非難の声が上がり、『ヴァンパイア』シリーズや『ストリートファイター』シリーズのプロデューサーであり中心的存在だった船水紀孝氏をはじめとした開発陣が抜け((事実、船水紀孝氏はインタビューで「カプコン社内でも『2D格闘は古い』と言われて作るのが辛い」と語っていた。))、残った僅かなスタッフにより本作が開発されたのが原因とされている。
-エンディングには、ガロンやリリス、東風やダンテ等といった豪華な面子が出て来る。
--しかもパイロンのエンディングは、ケンやタオ、ビクトルやダッドリー等といったキャラ達がパイロンに挑んでいるという、自虐的な物になっている。
**まとめ
-格闘ゲームの第一人者であったカプコンの格闘ゲームの製作能力、ドット絵製作能力が著しく低下していた事が露見してしまった。
-有名人プレイヤーもあって闘劇本選は盛り上がりを見せたが、予選の方はなんと''人数割れを起こしていた''。結局闘劇が終わると共に本作もゲーセンから撤去されていった。
-これ以降カプコンは2D格ゲーを出していない(開発元は違うがあの[[戦国陸上>戦国BASARA X]]を除いて…)。3Dでは一応出しているが殆ど全てが外注である。もはやカプコンには2D格闘ゲー製作のノウハウは無いのかもしれない。
-2004年12月2日にはPS2、2005年6月16日にはXboxへの移植版が発売されている。
--しかし、おまけ要素等がない適当な移植であり、昔のカプコンではあり得ない程のやっつけ仕事っぷり。
--一応、AC版では使用不可だったボスであるパイロンと神人豪鬼が使用可能になっている(当然プレイヤー仕様は弱体化している)が、オマケはその程度。
--そのおかげで、PS2版では発売からそんなに経たずに新品1,980円のワゴンになったお店もあった。
-制作側の熱の低さ、愛のなさがユーザーにモロに伝わってしまい、メインユーザーであろう本作の元作品にハマっていた世代にそっぽを向かれてしまった作品であった。

**余談
-イングリッドと同じく『カプコンファイティングオールスターズ』の登場キャラとしてお披露目されていたD.Dとルークはイングリッドとは違い、このまま闇に埋もれてしまうのではないかと思われていたが、『オトレンジャー』で遂に陽の目を浴びることとなった。
--今となっては、「誰?」「イングリッドのオマケ」程度の扱いではあるが、あのまま見捨てられなかっただけ、由としておこう。
-誤植で有名なゲーメストの「ザンギュラのスーパーウリアッ上(正:ザンギエフのスーパーラリアット)」が、カプコン開発者が気に入ったのか、今作のミッドナイトブリスを食らった女体化ザンギエフに「ザンギュラちゃん」と命名している。
-リュウのブリスで変化する女の子はアニメ映画『ストリートファイターII MOVIE』を見ないと解らないネタである。他にもかりんやローズのブリス化した姿は、ある漫画のパロディネタであったりなど、なかなか手が込んでいる。
-ミッドナイトブリスで女性化されたキャラグラは受けが良かったのか、幾つかが後にフィギュア化されている。
-あまり評価の芳しくなかった本作ではあるが「『ストリートファイターIII 3rd STRIKE』をPS2に移植するきっかけになったのは本作の製作」という意外な功績がある。
--PS2互換基板で作られ、そちらへの移植も当初から決まっていたであろう本作の制作によって、不可能であると思われていた「ストIIIのキャラアニメーションのPS2への移植」がほぼそのまま実現できたため。

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