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ダブルドラゴン3 ロゼッタストーン - (2019/07/03 (水) 22:18:13) の編集履歴(バックアップ)


ここでは、『ダブルドラゴン3 ロゼッタストーン(アーケード)』とFC移植版『ダブルドラゴン3・ザ・ロゼッタストーン』を紹介する。



ダブルドラゴン3 ロゼッタストーン

【だぶるどらごんすりー ろぜったすとーん】

ジャンル ベルトアクション
対応機種 アーケード
販売元 テクノスジャパン
開発元 イーストテクノロジー
稼働開始 1990年
判定 なし
ポイント 動きがガクガク
つっこみ所満載
海外版ではショップ式
ダブルドラゴンシリーズリンク

概要

  • ダブルドラゴンシリーズ3作目。好評だった前2作と比べ、かなり異端視されやすい作品。本作がテクノスジャパンの内製ではなく『ギガンデス』を手掛けたイーストテクノロジーによる外注作品であることからもそれが窺えよう。
  • ゲーム開始後に4人のキャラクターを選択。それぞれ兄弟という設定で、おなじみのリー兄弟の他に新たに拳法家の陳(特殊タイプ)、空手家の大山(スピードタイプ)、マーシャツアーツのユキーデ(パワータイプ)の3組の兄弟を使用可能。さらに最大3人協力プレイが可能。
  • 同社の『コンバットライブス』でも採用されていた、クレジット投入によるライフ回復システムにより、いわゆる待ち連コインができなくなっている。
  • 攻撃操作は前作『II』とは異なり、一作目同様のパンチ・ジャンプ・キックに戻った。ダッシュや追い打ち攻撃が新アクションとして追加。

評価点

  • グラフィックは前2作および、他の同社作品以上に非常に良く書き込まれている。
  • BGMは恒例の「双截龍のテーマ」こそ無いものの、耳に残る名曲が揃っている。
  • 前作で不評だった「左攻撃・ジャンプ・右攻撃」を廃止して、一般的な攻撃方法の操作に戻した。
  • 前2作とは違い冒険物のストーリーに変わっており、前作までの舞台であるアメリカ以外に中国や日本などの世界各国が戦いの舞台となっている。そのため世界観が広がって、仲間に中国人の陳兄弟や日本人の大山兄弟が加わった。
    • しかもステージ毎にそれぞれのお国柄を反映した固有の敵キャラクターが登場する。

問題点

  • システム面
    • 前2作と比べ、キャラクターが全体的に小ぢんまりした外見になってしまった。
    • 書き込まれたドットとは裏腹にアニメパターンが少なく、MSXのように全体的に動きがカクカクして固い。キャラクターが動き始めた途端、ギャップを感じてしまう者もいる。
    • 新アクションのダッシュは滑らかだが、使用の際に複雑なコマンドをいちいち入力しなければならない関係で、クセがあり過ぎる。これを使いこなすのが攻略のカギ。
    • 従来通り、ステージクリアでも体力回復するが、回復量は50に減少。1コインクリアを目指すなら、前半ステージでの攻撃をなるべく避けねばならない。
    • 残機は無く、穴に落ちたら一発でゲームオーバー。特に最終面の穴に誤って落ちると、そこまでの苦労が水の泡。
    • 元々、海外向けに製作されたゲームの為か、体力表示がゲージから国内では馴染みの無い数字に変更され、視認性に欠ける。
    • 本作では、リー兄弟でしか武器を使えない。しかも振り回し系のヌンチャクと日本刀しかなく、ナイフなどの飛び道具系は一切なし。
  • ステージの長さがバラバラ
    • ステージも少し進めばボスまでたどりつけるような極端に短い2面の中国と4面のイタリアや非常に長い最終面のエジプトなど、長さのバランスが取れていない。
  • まともな女性キャラクターが登場しない
    • ヒロインの「マリアン」は前作で死亡したので出番が全くなく、フォーチュンテラーおよび中ボスの「蛭子」は怪しい老婆で、最終ボスの「クレオパトラ」は最初はミイラ姿で登場する妖術使いである。しかもプレイヤーキャラクターのみならず、雑魚も全て男性キャラクターである。
  • 雑魚キャラクターの構成に難あり
    • 1面のアメリカと2面の中国は「普通の体格の男」と「太った大柄な男」の2種類が登場する。しかし前2作に登場した「ウィリアムス」や「リンダ」などのようにプレイヤーが使用できる武器を使う事をしない*1
    • 3面の日本は刀を所持した侍、4面のイタリアは弓矢を所持した拳闘士風のパンツ男、5面のエジプトは丸太が変化した怪物と肉体が岩石で出来ている怪人が通常の雑魚キャラクターとして登場する。
      • 3面以降の雑魚キャラクターは武器持ちか人外ばかりなので、リー兄弟以外は若干不利な気がしないでもない。

多すぎるツッコミ所

  • タイトル詐欺!?
    • 本作は3人協力プレイが可能だが、リー兄弟(ビリーとジミー)にもう一人の兄弟「ソニー」がいるという時点で、タイトルがダブルではなく、トリプルドラゴンではないのかとツッコミたくなる。
      • そもそも、OPでは「ソニー」について触れておらず、従来同様に2人として扱われている点からお察し下さい。というか、いつ出てきた。
    • ちなみに、OPによるとリー兄弟が蛭子から「3人の闘士を連れて行くとよいじゃろう」と聞かされたことから他のメンバーと共に旅に行く設定らしいのだが、他の仲間にも2人の兄弟がいる、つまり実際には9人であることからセリフと人数が合っていない。
  • おかしな世界観
    • ステージ2の中国まではまだいいとして、ステージ3の日本では忍者屋敷が舞台になっていたり、ステージ4のイタリアでは拳闘士風の敵が登場、最終ステージのエジプトの砂漠の地下には何故か樹海が広がっているなど、どの国も外国人が考えたような認識の物になっている。
  • おかしな日本語の数々
    • ゲーム序盤ではビーをビー、2面クリア後のナレーション画面等ではビリー達をヒーロー達、などと間違われている。最終面の蛭子も「この奥に謎が隠されているのじゃ。さあ闘ってこい!」と意味不明な台詞を発する。
    • 極めつけのエンディングは「クレオパトラの財宝を手にしたヒーロー達は、世界中の恵まれない子供達のために使う決心だった…」とやはり語呂が悪く変な文章である。終わっているのかいないのか、よく分からない。
  • その他おかしな点
    • 公式?で語られているストーリーでは、主人公のリー兄弟が何故か、名字としておかしいダブルドラゴン兄弟になっている。『ダウンタウン熱血物語』じゃないんだから

海外版

  • 追加投入したコイン(リアルマネー)を消費して、ゲーム内のショップで仲間や必殺技などを買い、使用キャラクターを強化できるシステムとなっている。「追加したコインを残機やライフ以外のものに変える」という概念は、国内ゲームでは後にも先にもないシステムであった。もしかしたら、このシステムは今日の課金制ゲームの先駆けなのかもしれない。
  • 購入した仲間の使用は、当然コンティニューや乱入プレイをせねばならず、仲間の購入と別にコインを投入する必要がある。
    • 日本国内だと、風営法に抵触する恐れがあるためであろうか。
    • ジェネシス版とゲームボーイ版でもショップは引き継がれているが、流石にリアルマネーでは無い。移植版ではコイン枚数を変更可能。
  • ちなみにショップの店員は各国のステージのイメージに合わせた美女になっている。しかし、アメリカとエジプトはまだしも、中国はシニヨン頭に中華服の女性で日本は平安時代か鎌倉時代の着物姿の女性なのは時代錯誤すぎる。

総評

  • 世界各国を舞台にしたり、キャラクターセレクト機能を付けた点などシリーズのマンネリ化を脱却しようとした試みは、決して本作に妥協や手抜きは無いということをうかがわせる。
    だが、それ以上に前2作から失ってしまった物があまりに多すぎたため、まさに尻すぼみの3作目となってしまった。

その後の展開

  • 上記のような出来なので、同社のベルトアクションはカプコンの『ファイナルファイト』に人気を持って行かれ、後の『くにおくんシリーズ』の乱発も相まって、同社は迷走・衰退することになる。
  • 開発元のイーストテクノロジーは本作で懲りなかったのか、その後タイトーから『サイレントドラゴン』というベルトスクロールアクションを送り出している*2

移植版

  • 1991年2月22日、FC移植版が発売されている。前2作の移植版同様、アレンジを加えられている。
    • 詳しくは下記を参照。
  • 海外では、ジェネシス(海外版メガドライブ)やゲームボーイに、AC版基準で移植されている。AC版特有のカクカクした動きは改善されている模様。
  • スマホ及びPC向けに『ダブルドラゴントリロジー』の名目で3タイトルがセットになったものが配信されている。基本的にはゲーム部分はAC版のまま移植されているが2人同時プレイしかできない上に、画面に表示されるライフやスコアなどの部分が高解像のものに差し替えられていて変更できないため、その点では完全移植でない。
+ プレイ動画(日本版業務用の4面まで)


ダブルドラゴンIII ザ・ロゼッタストーン(ファミコン)

【だぶるどらごんすりーざ・ろぜったすとーん】

ジャンル アクション
対応機種 ファミコン
販売・開発元 テクノスジャパン
発売日 1991年2月22日
定価 6,200円
プレイ人数 1~2人(同時プレイ)
判定 なし
ポイント アーケード版からの改善点はみられるのだが…

概要(III・ファミコン)

前作、前々作と同様に大きくアレンジを加えた上でファミコンへと移植された。
移植の際にシステムや登場人物は整理され、プレイヤーキャラクターはリー兄弟に加えて「(チン) 清明 (セイメイ)」(AC版の1Pの一人)と「 柳生乱蔵 (やぎゅうらんぞう)」(AC版ではCPU専用)となった。
リー兄弟以外のキャラクターはステージのボスとなっており、倒す事でロゼッタストーンの入手と共に仲間になる形となる。

アーケード版からの変更点(III・ファミコン)

  • プレイ可能人数が従来作通りの2人に減少した他、大山兄弟が未登場。ユキーデ兄弟も当人たちではなく、似た風貌のボスがミッション4(イタリア)に登場する。
  • ライフ表示がゲージになっている。ただしメニューでは数字になっている。買い物と制限時間の概念は削除された。
  • 最初から忍者刀を持つ柳生乱蔵を除いて敵の武器を拾って戦えるようになった。また、ステージによる回数限定でリー兄弟は「ヌンチャク」、陳は「アイアンクロー」、乱蔵は「手裏剣」といった強力な武器を装備した状態で戦える。
  • 残機の概念はなく、キャラクターが倒されると死亡扱いとなり、生き残っているキャラクターに切り替わって再開する。ステージをクリアする事で体力が回復するが、死亡したキャラクターの復活はなく、全員死亡するとゲームオーバー。
    • ステージ4に到達する事で一度だけコンティニューが可能となる。
  • 攻撃中や喰らい中でなければ、いつでも操作キャラクターは変更できる。
  • ダッシュや連携攻撃のアクションが追加された。

評価点(III・ファミコン)

  • AC版におけるツッコミどころや問題点にメスが入った。
    • 日本語がおかしい部分は概ね修正されており、違和感はなくなった。ちゃんとエンディングでも「財宝を世界中の恵まれない子供達のために使った」と明言されている。
    • 陳や乱蔵も途中から加わる形となる為、ストーリー性がついた。謎の弟も消去されてしまった
    • ガタガタな動きは当然解消されており、IやIIのFC版のようにスムーズに動く
  • スタンダートな性能であるリー兄弟に加え、機動力は最低だが強力な掌底をもつ陳、最高の機動力と飛び道具を持つがパンチに欠ける乱蔵といった性能の違いがはっきりしている為、ステージによる使い分けの楽しさがある。

問題点(III・ファミコン)

  • リー兄弟のモーションがもっさりしており、パンチやキックのアクションの隙が増えてしまったばかりか、カッコ悪い爽快感のない物となってしまった。
    • FC版IIに存在した「天殺龍神拳(ハイパーアッパー)」と「爆魔龍神脚(真空飛び膝蹴り)」も削除。AC版に忠実と言えばそれまでだが、『II(FC版)』においてもAC版になかった追加技として好評を得ていただけに不採用なのが惜しまれる。数年かけて双截拳を完成させたのに明らかに弱体化している。
    • 同時期に発売されていたスピンオフ先の『ダウンタウン熱血行進曲』に登場するダブルドラゴン兄弟は「天殺龍神拳」も「爆魔龍神脚」も使う為、本家なのに劣っていると言われる事も
  • 追加されたダッシュは発動してしまうとジャンプ以外のアクションが出来ず、ダッシュ中はほぼ無抵抗に敵に殴られやすい。
    • 同シリーズの姉妹作であり、ベルトスクロールアクションの元祖である『熱血硬派くにおくん』の時点ですら、「体当たり」「ダッシュパンチ」「ダッシュ後ろ蹴り」「ダッシュジャンプキック」といった攻撃手段が豊富に用意されているのに対して、この性能ではあまりにも使い勝手が悪すぎる。
  • 加えて敵のロジックがいやらしくなっており、その辺の雑魚でも前触れもなくナイフを投げてきたり、平気で連携技などの高度な攻撃やハメ技を繰り出してくる。『男塾』のゲームで言われたような「スーパーマリオで例えるならクリボーがファイアボールをバンバン投げてくるようなもの」である。
  • このような過酷な状況であるのに対し、コンティニューはステージ4から一回のみと厳しく、また最初の仲間である陳が加わるのもステージ3からである。
    つまりはステージ3までは1機でプレイしなければならないという『I(FC版)』以上のスパルタ設定。せめて1Pプレイの時でもジミーが待機キャラクターとして使用出来れば幾分かはマシなのだが…
    • 前作のFC版に存在した無限コンティニューや3段階の難易度と言った親切設計は総カット
      加えて「場面の切り替わりによる体力全快」や「回復アイテム」といった救済処置も一切ない為、ステージをクリアするまで体力を回復する術が一切ないという点でも難易度が高くなった。
  • ステージ4~5には随所に落とし穴が存在し、落ちると死亡。例によって他のゲームよりもはるかに残機(待機キャラクター)の意味合いが重いゲームなので厳しい所。慎重に行こうにも、ダッシュが暴発して転落という事も多々ある。
  • キャラクターチェンジにはセレクトボタンから移行する専用の画面から行うものとなる為、マルチプレイとの相性が最悪。

海外版(III・ファミコン)

  • タイトルが『Double Dragon III: The Sacred Stones』(セイクリッドストーン)に変更、ストーリーも若干変更され、マリアンの失踪がロゼッタストーンに絡むようになったものの蛭子に騙されるという点とエンディングは変わっていない為、結局どうなったのかが良く分からない。という前作以上にひどい扱いになっている。
  • ストーリーデモの誤植がなぜかそのままになっており、ビリー(Billy)がビミー(Bimmy)になっている。
    • 英語圏ではネタとして有名。なお『ダブルドラゴン ネオン』でも明らかにこの名前を意識した、リー兄弟のクローンBimmy 'n' Jammy(ビミー&ジャミー)が登場する。
  • 最終ミッションクリア時に生き残っていたプレイヤーがエンディングのキャラクター紹介に登場する仕様だったが、こちらでは最初から全員登場する仕様に変更。
    • 蛭子の紹介も追加されており、野望のため身を滅ぼしたと紹介されている。

総評(III・ファミコン)

AC版の問題点を一応解決しているものの、同じくAC版から様々な改良を加えた前作のFC版と比べて
不親切になった点や爽快感の減少、難易度の激増等の理由から評価としては芳しくはない。結果としてAC版同様に尻すぼみな作品として終わってしまった。

余談

  • 取り扱い説明書が漫画仕立てになっている。