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ウンジャマ・ラミー - (2011/12/31 (土) 22:57:25) の編集履歴(バックアップ)


ウンジャマ・ラミー

【うんじゃま・らみー】

ジャンル 音楽
対応機種 プレイステーション、アーケード
発売・開発元 【PS】ソニー・コンピュータエンタテインメント
【AC】ナムコ
発売日【PS】 1999年3月18日
稼動開始日【AC】 1999年12月15日
定価【PS】 6,090円
備考 AC版のタイトルは『ウンジャマ・ラミーNOW!』
PlayStation the Best:2001年4月21日発売/2,940円
PS one Books:2002年3月28日発売/1,890円
ゲームアーカイブス:2008年2月27日より配信/600円

概要

一風変わった特徴を持つ音ゲー『パラッパラッパー』シリーズの二作目。
今回は、普段は気弱で奥手だが、ギターを手にすると途端に積極的になり凄いことをやってのけてしまうギタリスト、ラミーが主人公となっている。

システム

画面上のガイドに従ってタイミング良くボタンを押し良評価を得られればステージクリア、という点は他の音ゲーと同じだが、この作品は以下の点で差別化が図られている。

  • 「お手本」の存在
    • このゲームではプレイヤーが操作する前に必ず同じメロディを先んじて実演してくれるお手本キャラが存在し、プレイヤーと交互に演奏して曲が進行するという形態をとっている。
  • 「ストーリー」の存在
    • 曲を選択→クリアを数回繰り返して最後にスタッフロールといった展開ではなく、この作品は物語としての一連の流れがあり、プレイする曲はストーリー上ラミーが活躍する一場面といった位置づけ。よってプレイする曲の順番は完全固定であり、また曲の前後には話が進展するムービーが入る。
  • 「アドリブ」の存在
    • プレイに対する評価はお手本通りにやっている限りは上から二番目の"good"が限界。一番上の評価である"cool"をとるためにはお手本のメロディから逸脱して自分なりの「アドリブ」を見せる必要がある。見事coolに到達するとガイドが消えお手本キャラが退場し、coolの評価が続く限り自分だけで好き勝手に演奏することができるようになる。 これらの要素によって他の音ゲーにはない様々な長所、短所が生まれてくることとなる。(詳細は後述)

長所

  • 曲のインパクトとクオリティ
    • 上記のお手本というシステムの関係上この作品の曲は例外なく「同じメロディを必ず二回連続させなくてはいけない」という制約を背負っている。前作は「ラップ」というジャンルを用いたので(メロディをあまり必要とせず、似た言葉や語尾が同じ言葉などを繰り返す特徴があるため)この点とは相性が良かった。
      しかし今回はロック、ポップスである。繰り返しの手法自体はこのジャンルでもよくつかわれるのだが、これは印象に残りやすいというメリットがある反面、多用すると非常に不自然且つくどくなりやすいデメリットも持っている(この作品に至っては多用どころの話ではない)。だが蓋を開けてみればそんな心配はどこ吹く風、どの曲もインパクトは抜群且つ不自然さはほとんどない素晴らしい仕上がりになっている。
    • 曲自体の出来もさることながら、それぞれが各ステージの展開と非常にマッチしている点も見逃せない。
      「この世に生を受けて早速そのクソガキッぷりを見せつけてくれる赤ちゃんのロックンロール」や、「ここがエンディングと言っていいほど豪華絢爛なラストステージ」など、物語の進行を大いに盛り上げてくれる。
  • 魅力的なキャラクター達
    • 上記のお手本という(ry 、一曲につき一人(?)お手本を担当するキャラクターが必要になるのだが、曲のプレイ中に動きを持たせ、またその前後にムービーを挟むことによってこのキャラクターたちがきちんと活躍する場面を与え、没個性という言葉とは無縁な世界を見事に展開している。
      前作から続投の1stステージ担当タマネギ先生、ガムか汚物かわからないものをまき散らしながら生命の素晴らしさを説くピラー婦長、猛烈な早口で多くのプレイヤーを苦しめた地獄のアイドル、テリヤキ・ヨーコなど、通しでプレイした人間ならば思い入れがあるキャラはいなかったなどといった言葉は絶対に出ては来ないだろう。
    • お手本を担当するキャラクター以外にもセリフはすべてSEのくせになぜか存在感たっぷりのマーさん、古き良き時代の手法で鮮やかな殺人(?)をやってのけるPJなど、どれも個性的な者ばかり。
  • プレイ中の多彩な演出。
    • このゲーム画面はガイドラインと評価と点数、そして少々のイメージなどといった殺風景なものではない。先ずキャラがこれでもかというほど生き生きと暴れまわる。ボタンを押すたびに笑い、歯を食いしばり、ギターを上げ下げし、屈み、ジャンプし、放水し、赤ちゃんをあやし、操縦桿を引っこ抜き、チェーンソーを振り回すのである。(断っておくがこれは音ゲーである)
    • カメラも負けてはいない。各場面の盛り上がりに合わせ、寄せる、引く、縦から横からなめる、と縦横無尽に動き回る。
    • 曲の進捗や、現時点の評価などでステージ自体も変化を見せ飽きさせない。評価が上がると大歓声が上がったり、逆に下がるとお客さんの数が目に見えて減ったり、飛行機が墜落したり、電撃でお仕置きされたりするのだ。
    • 非常に地味なところだが、各ステージのLOADING画面も一つ一つが凝っていて遊び心たっぷり。
  • 痛快なストーリー
    • 簡単にいえばライブ会場に急いで向かう、唯それだけである。しかしその道中で人(?)命救助あり、爆発大炎上あり、殺人(?)あり、とスラップスティックのお手本のようなハチャメチャな展開が息つく暇もなくプレイヤーを襲う。そしてその解決方法も「ポ〇イにほうれん草」、「ア〇パ〇マン、新しい顔よ!」の流れをくむ様式美的なものなのだが、話が進むにつれそのねじ込み方がどんどん強引になっていき、非常に馬鹿馬鹿しくて痛快である。
    • しかしラストステージでは感動で胸が熱くなった方もいらっしゃるのではないだろうか。馬鹿一辺倒でない最後の展開もさすがの一言。
  • アドリブにより広がるプレイの幅
    • 音ゲーというのはとかく譜面どおりに正確なタイミングでボタンを押すことのみ要求されそれ以外の余計な行為は許されない、という非常にストイックなプレイスタイルになってしまうもの。しかしアドリブが許され評価されるこの作品はゲーム中に"遊ぶ"行為に非常に寛容であり、同じ曲でも毎回違った楽しみ方ができる。
      特に対戦プレイはアツイ。音ゲーの対戦にありがちな「1ミス=勝負あり」などいう厳しい構図には決してならない仕様なのでお互いギスギスせず最後までモチベーションを高く維持したまま楽しく遊ぶことができる。
      「大胆な演奏により最後の最後で一気に大逆転」、「スタートダッシュで大きくに差をつけようとするも大失敗して撃沈」といったドラマティックな展開がありうるのもアドリブがあってこそ。
    • また後述されているように難易度関係にケチがつきがちな作品だが、間違った演奏でもアドリブとみなされOKだったりすることもあり、問題の緩和に一役買っているところもありがたい。

短所

  • ボリュームに欠ける
    • おそらくこの作品における最大の欠点であり、構造問題と呼ぶべき根の深い問題である。
    • このゲームは全7ステージ。つまり7曲である。これは音ゲーというジャンルでは絶望的な数であることが分かるであろう。しかし困ったことに、この数は「ストーリーを追う」という意味ではちょうどいい塩梅なのだ。
      下手にボリュームを増やせばクリアまでの道のりが冗長なものになってしまうし、一本道であることもさらに足を引っ張る。さらに一曲につきキャラクターを一人(?)追加しなくてはならず、作曲も上記の制約がかかっているため、困難を極める。
      つまり他の音ゲーにはないこれらの要素が「ボリュームを増やす」という方向にとことん向いていないのである。
      • 一応擁護しておくとクリア後には前作の主人公であるパラッパでプレイするモードや2P協力・対戦プレイなどが解禁される。これらはすべて前作にはなかったものであり、またストーリーに絡まないおまけの部分でボリュームアップを図っていることから、製作所側はこの問題を十分に意識し、解決に腐心したであろうことがうかがえる。
  • 1ステージごとの難易度の上昇が著しい
    • これはいわば「段数の少ない階段」である。ゲームであるからには最終的にある程度のレベルをプレイヤーに要求するのは当然だが、曲の数が足りないが故に一つ一つの差が激しくなってしまうのである。よって、「前のステージまでは楽勝すぎて練習にもならない、次のステージは難しすぎて手も足も出ない」という事態が非常に起こりやすい。
      また、他の音ゲーならちょっと他の曲に浮気して気分転換とスキルアップを図ることもできるが、この作品は数が少ないうえに一本道、さらにストーリーの先を見たいというモチベーションもマイナスに働いてそういったことがほぼできない。
  • アドリブ、cool、点数周りの問題
    • このゲームには他の音ゲーよろしく点数表示がある。アドリブによる評価coolについてはすでに述べたが、これは当然goodより点数が高い。何が悪いかというとアドリブであるが故にcoolに至るための道がプレイヤーに明確に示されていないのである。よって、ひたすら高得点を狙うというプレイが非常にやりずらい。
    • ゲームである以上やっぱりボタンを押さないよりは沢山押すほうが点数が高くなりやすく、「あえてそこに音をおかないアドリブ」がなかなか評価されずらい傾向にある。よって頑張って自分なりに素敵なアレンジを施しても、適当にボタンを押しているだけのプレイに簡単に負けてしまうことが往々にある。極端な話、曲がスタートしてから単一のボタンを唯連打しているだけで超高評価でクリア、ということも可能なのだ。
    • お手本が退場してしまう点も人によってはマイナスになるだろう。画面の演出も変化に乏しいものになってしまうので、曲の雰囲気が損なわれてしまい、プレイが味気なく感じられてしまう。
  • お手本があまり役に立たない
    • 前作と違って今回はお手本はボーカル、プレイヤーはギターという割り当てなので、同じメロディではあるがお手本を聞いただけではタイミングをとりずらいことが多々あり、難しくなるにつれ結局は画面のガイドラインにすべてを頼るプレイになりがち。

賛否両論点

他所のリズムゲー以上に判定が厳しい。ビートマニアくらいの感覚で譜面通りにキーを打っていても成功しない。当時の雑誌における投稿レビューでもよくこの点が挙げられていた。
前作経験者からは概ね「難しくなった」と評価されており、中には「判定がおかしいんじゃないですか」というものまであった。
とにかくこれくらいシビアなのである。


総評

今までの音ゲーにはなかった斬新な要素を取り入れて新しい魅力の開発に成功したものの、それらが音ゲーにあって然るべき要素をも奪ってしまっているという非常に惜しいゲームである。当時はそのボリュームの少なさから値段に見合う価値が見出せるかどうかが難しかったのだが、現在はPS3/PSPのゲームアーカイブスで安価で提供されている。
安く、手軽にプレイできて、味わいつくすのにさほど時間もかからないこの作品はすべてを味わうのに100時間以上費やさなくてはいけないゲームが当たり前になった現代でこそお勧めできるゲームといえるかもしれない。


余談

ゲーム内容がなかなかはっちゃけている作品だがマニュアルの文章も負けず劣らず遊びまくっている。特筆すべきはQ&A。以下その例
Q.ときどきステージが始まる前のロード画面のチョコレートの中に、△とかLとか×とかボタンのマークが書いてあるのですが、あれは何か意味があるのでしょうか?
A.マジで?ホントだ!ぜんぜん気がつかなかった!(後略)
じつはこれはゲーム画面に変化をもたらす隠しコマンドのヒントとなっている。しかしこんな答え方では気づくはずもない。

Q.どうしてもクリアできませんお金はいくらでも払うのでなんかいい方法を教えてください。
A.お金はいいです。そんなことより心を満たしてくれる何かがほしいです。具体的には愛とか小切手とか。(後略)