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hg*ザ・ブルークリスタルロッド 【ざ・ぶるーくりすたるろっど】
ジャンル | アドベンチャー | |
対応機種 | スーパーファミコン | |
発売元 | ナムコ | |
開発元 | ゲームスタジオ | |
発売日 | 1994年3月25日 | |
価格 | 9,800円 | |
ポイント |
バビロニアンシリーズの最終作はなんとADV テキスト集をフルプライスで売るなや やや理不尽な足止め どちらかと言えばファンアイテム…なのか? |
『バビロニアンキャッスルサーガ(BCS)』のエピソード3として発売されたアドベンチャーゲーム。
RPG風のアクションゲームとして話題になった『ドルアーガの塔』及び『イシターの復活』の続編にあたり、その最終章でもある。
正式なタイトルは『 Destiny of GILGAMESH(ギルガメスの道)』であり、原案の遠藤雅伸氏は英字タイトルからDOGと呼んでいる。
プレイヤーは王子ギルガメスとなり、ブルークリスタルロッドを天界に返還するため巫女カイと共に世界を旅することになるのだが…。
マルチエンディング制を採用しており、その結末は様々。
従来シリーズのアクション性は全く失われ、純粋なアドベンチャーゲームとなっている。 主な舞台となるバビリムの街を中心として、北・南・東・西にそれぞれイベントの発生するポイントがあり、どのような順番で巡ったかによってエンディングが変わる仕組みになっている。エンディングに到るには少なくとも3つのポイントを巡る必要がある。
そのエンディングは実に48種類あり(*1)、バリエーションも豊富(*2)である。その一端を示すと……
遠藤氏の意向により、どれが正しいのかと言う正解は存在しない。全てのエンディングは等価値であり、どれがバビロニアンキャッスルサーガの正当な結末たりうるかはプレイヤーの意思に委ねられている。
3DダンジョンRPG風の移動画面だが、ギルたちは常に北向きで移動しているため、この手のゲームに慣れていると逆に混乱させられる。ゲームブックに毛が生えたシステムになってしまい、ゲーム性が殆どない。一応主人公の行動如何によってパラメータが変化するようになっているのだが、エンディング選択に重要なのはあくまで「ポイントをいくつ、どういう順序で巡ったか」なので、パラメータは全く関与しない(*3)。ゲームブックと違い場所の移動や普段の行動の自由はあるが、イベントが発生してしまえば基本的にプレイヤーはギルの旅を見届けることしか出来ない。
そのわりに、途中で迷路やら無限回廊やらをおき、ゲームらしいところを出そうとしていてちぐはぐな感がある。 ナムコクイズを出してくるNPCがいるので、そっち方面で楽しむという手もあり。しかしそのクイズもそれほど問題数が多くなく、内輪ネタの強いきらいがある。
タイトル画面で「プロローグ」を選択すると、以下の『バビロニアンキャッスルサーガ』の歴史を振り返ることが出来るため、シリーズ未経験者でも安心。…ただし、シリーズのファンでもないと得しないくらい微妙なゲーム内容のため、実際にはおさらい目的で使われていると思われるが。
嵐の神ラマン、炎の神ガールー、黄泉の神ナーガル、天空の神アヌ、事件の黒幕たる悪魔アンシャー…といった、過去作品ではほとんど触れられてなかった人物が一斉に出てくる。
また『ドルアーガ』ではイシターになりすまして騙まし討ちしてくる敵だった女悪魔サキュバス(サッカバス)が、ここだとギルに味方した人物ということになっている。(この設定変更はPCエンジン版『ドルアーガ』で既に行われている)
いずれにしろ、彼らは話の進行によって物語に果たす役割が大きく違ってくることになる。
ドルアーガ1人とっても、ある時は天界への旅を手伝ってくれるいい悪魔(?)になっていたり、またある時はギルに逆襲する機会を耽々とうかがっていたり、この世の真実を見つめよとギルを諭す役になってたりと全然違う。
南に船がなかったり西と東のヒントがなかったりする場合、ギルのパラメータを変化させれば道が開ける場合もある。しかしどのパラメータがどのフラグに関係するのかのヒントはない。
シナリオにより難易度差はあるものの、慣れてしまえば1周20分程度(短いシナリオならそれ以下も充分可能)しかかからないため、マルチエンディングといってもうんざりしたくなるほど苦労はしない。
しかし今までのシリーズと毛色が違いすぎる上にエンディング以外のやりこみ要素がゼロに等しいため、BCSファンを困惑させた模様。少なくともこの内容とボリュームで9,800円は暴利であると言える。
しかし、マルチエンディングの多様性は評価できる点であろう。生みの親である遠藤氏は後に「ブルークリスタルロッドこそが本当の意味でのマルチエンディング制である、と今でも信じている」と発言している。ハードの性能がそれを表現するには力不足であったことが悔やまれる。
操作方法やゲームの目的を教えてくれる人がいるが、彼の話を最初から最後まで聞くと、おまけで説明書には記載されていないRボタンの使い方を説明してくる。 しかし、その内容が「ゲームがほぼ完成したというのに、中村光一氏の要望で急遽入れることになった」という、どこか穏やかではない裏話となっている。
後にドリームキャストの『シェンムー』を見た遠藤氏が「本作と似たようなことをしようとしてる」と思ったらしい。 参考リンク