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マリオカートDS - (2017/01/15 (日) 02:50:14) の編集履歴(バックアップ)


マリオカートDS

【まりおかーとでぃーえす】

ジャンル アクションレースゲーム
対応機種 ニンテンドーDS
発売・開発元 任天堂
発売日 2005年12月8日
定価 4,571円(税別)
プレイ人数 【DS】ローカル:1~8人/Wi-Fi:2~4人
【WiiU】1人
セーブデータ 1個
レーティング CERO:全年齢(全年齢対象)
配信 バーチャルコンソール
【WiiU】2016年5月25日/950円(税8%込)
判定 なし
ポイント ミニターボゲー、「直ドリ」が賛否両論
目玉のWi-Fiランダム対戦は不備多し
マリオシリーズ・関連作品リンク


概要

様々なアイテムを駆使して1位を目指す定番レースゲーム『マリオカートシリーズ』のDS版。
DSの比較的初期に発売されたソフトであるが、Wi-Fiコネクションを通じたランダム対戦に対応しているのが話題となり、ネット対戦できる『マリオカート』として大きな期待を受けていたのだが……。

特徴・評価点

  • Wi-Fiランダム対戦が可能
    • マリオカートシリーズ初となるオンライン対戦が可能。フレンドコードを交換した相手だけではなく、ランダムマッチも可能で、戦績も保存される。
    • DSのWi-Fi対応ソフトとしては『おいでよ どうぶつの森』に次ぐ2作目とかなり初期ながら、意欲的な仕様としてユーザーから歓迎された。
    • しかし初期作品ゆえにか後述するように問題点も少なくなかった。
  • ローカルプレイも充実
    • タイムアタックモードでは、下画面のマップに自分とゴーストのライン取りやドリフト、キノコの使用タイミングなどが表示され、非常に研究のし甲斐がある仕様になっていた。
    • 従来のタイムアタックに加え、様々な設定でCOMと自由に走ることの出来るフリーランモードである「VS」も収録。
    • 従来のグランプリやタイムアタックの他、特定のレースコースやバトルフィールドを使用して様々なクリア条件*1を満たせるように試行錯誤しながら走行するミッションランモードがある。
    • バトルゲームは従来の「ふうせんバトル」に加え、「あつめてシャイン」の2種類を収録。CPUを交えた1人でのプレイも可能。
    • シリーズ初となる最大8人同時プレイが可能になった。ただし1カードリッジによるダウンロードプレイ時はコース、使用可能キャラ・マシンに大きく制限がある。
  • 60fpsのなめらかなグラフィック
    • 携帯機ながら常時60fpsでスムーズな描画がなされている。発売前も「60fps」が売り文句の一つになっていた。
    • ただし後述のWi-Fi対戦時は30fpsに表示レベルが落とされている。
  • 多種多彩な全32コース
    • 新規16コースの「ニトログランプリ」と、旧作から16コースを抜粋した「レトログランプリ」に分かれている。
      • 旧コースのリメイクは本作が初。以後のシリーズでは定番となった。
    • GBA版の40コース(新規20+SFC版20)には一歩及ばないものの、ボリュームは十分ある。
    • ただし、「レインボーロード」はシリーズの法則に従って「ニトログランプリ」に存在する。
    • 64版以降、フラワーカップの常連となった「マリオサーキット」は本作のみスターカップに登場しており、難易度はやや高め。
  • 豊富な登場キャラと搭乗可能マシン
    • 初期こそ選択できるキャラ・マシンに制限があるが、グランプリモードを進めていくことで最終的に12人・36台が登場する。
    • 本作ではシリーズ準レギュラーのノコノコを差し置き、なんとカロンが参戦。異色のチョイスだが、『マリオパーティ7』で知名度を上げていたこともあって概ね好意的に受け入れられている。
    • さらにもうひとりの隠しキャラは非常にサプライズの大きな人選だった。
  • 「スリップストリーム」システム
    • 他プレイヤーの後ろについて走行していると、「スリップストリーム」が発生し、カートの速度が上がる。さらに後ろにつき続けると大きく加速することができる。
    • 遅れを取っているプレイヤーに有利になる仕様で、戦略性が増した。後のシリーズにも受け継がれている。
  • グラフィック
  • 携帯機ながら常時60fpsでスムーズな描画がなされている。発売前も「60fps」が売り文句の一つになっていた。
    • ただしキャラは3Dだが、甲羅やバナナなどのアイテムは2D表示。
    • また後述のWi-Fi対戦時は30fpsに表示レベルが落とされている。
  • マイエンブレム作成機能
    • マシンの特定部位やWi-Fiマッチング時に戦績と共に表示されたりする、自分だけの「32×32で作られるドット絵」である。
    • 予め用意されている「15色+透明色」でドット絵を自由に作成でき、工夫次第で手の込んだものも作成可能。また、これらの「職人」も存在する。

問題点

  • マシン性能間の大きな格差
    • 今作は大まかに「加速タイプ」「バランスタイプ」「ドリフトタイプ」の3タイプに分かれているのだが、「加速性能」が非常に重要視されており、「ダート踏破性能」も兼ねているため、「加速タイプ」のマシンが有利すぎる。
      • 加速性能の高いマシンはミニターボ効果持続時間が長い*2ダートで速度が落ちにくい攻撃されてもすぐ速度が回復すると非常に有利。
      • 逆にドリフト性能の高いマシンは軽量系ですらバランスタイプの重量系カートよりもミニターボの効果が低い上、ドリフト時に無駄に内側に曲がる*3&ハンドル力が低いためミニターボ後の軌道修正がしづらいなど扱いづらい性能になっている。
      • 加速性能の高いマシンは上記のテクニックを使用すると常にミニターボの速度で走れてしまう。
      • 加速性能に加え、最高速も兼ね備えたチート性能なマシンも存在する。
      • マシンによってはダートを走ってラインを縮めるほうが速いこともあり、その他のマシンで同じような操作をおこなうと半周以上程度の差がつく。
    • 同じキャラ用*4の別のマシンと比べて「アイテム」「おもさ」が高くそれ以外の基本的な性能は低い。
      • 肝心の「アイテム」性能は強力な効果のスペシャルアイテムの出やすさに影響するが一位だとスペシャルアイテムが「トリプルバナナ」のみと、あまり恩恵を受けにくい。
      • タイムアタックモードではキノコ使用回数の多さに関わりキノコを使うショートカットが毎周できる。…が一部マシンのミニターボ(下記参照)が優秀すぎてプレイヤーの腕があればキノコを使わずに代用できてしまう。基本性能も低いのでタイムアタックでは完全に性能差を覆せなくなっている。
      • 「おもさ」は他のマシンと接触した時の衝撃に影響するが悪路での減速が大きくなる。これ自体は軽いキャラを載せるメリットも生む調整だがタイムアタックモードでは敵マシンがいないので 死にステータスどころか低いほうが良い
  • ミニターボの強力さと「直線ドリフト」
    • 前述の仕様も含め、本作ではミニターボの効果が高く、加速タイプのマシンでミニターボを連続して出すと、ドリフトタイプのマシンはそれだけで追いつけなくなるほど差がつけられてしまう。
      • 本作のミニターボの仕様は『マリオカート64』や『マリオカート ダブルダッシュ!!』と同じくドリフト中に十字キーを左右に操作することで火花の色が変わり、ドリフトを解除するとターボする手動タイプ*5なので、素早く操作することで、カーブ以外の直線でも、ドリフト→即ミニターボを繰り返し、蛇行しながらほぼ常にミニターボで走り続けるというプレイが可能になってしまう。
    • このテクニックは直線ドリフト(直ドリ)と呼ばれ、賛否を呼んだ。
      • 否定的意見としては、まず前述の通り性能が高い加速タイプのマシン特有のテクニック*6であり、マシン格差がさらについてしまうという点が挙げられる。特にWi-Fi対戦では直ドリしないと勝負にならないというような状況もしばしば起こったため、マシンやプレイスタイルが半ば強制されてしまう点が問題になった。
      • また直線をクネクネ蛇行しながら進むほうが速くなるというバランスに対する現実的な違和感や美しくなさ、ライン取りや他のプレイヤーとの干渉などのレースゲームとしての面白さを消してしまっているという批判もある。直ドリ中は常に十字キーを激しく動かす必要がある*7ので、単調な作業を強いられるだけだと嫌うプレイヤーも。
    • もっとも直ドリ中もライン取りなどを気にする必要はあり、ミニターボを素早く出すテクニックや判断などの戦略性は存在するため、一概に問題ばかりとは言えない。
    • ちなみに特定マシンを使い、完璧なタイミングで出したロケットスタートやダッシュ板での加速からミニターボをタイミングよく断続的に繋ぐことで、入力ミスするまでダートさえも無視できるほどの驚異的な速度で走行可能なバグがある。通称「PRB」。
      • タイムアタックで高記録を出すためには必須とも言えるテクニックであるが、これも直ドリの派生テクニックなので同じく賛否両論。
  • 不備点の多いWi-Fi対戦
    • Wi-Fi対戦は最大で4人までしか同時に遊べず、選択できるコースも全体の半分しかない。グラフィックも30fpsに落ちてしまう。
      • いずれも容量やマシンパワーの問題。
    • 一部アイテムが出ない+アイテムをマシン後部に装備できない。
      • アイテムをぶら下げて赤甲羅などをブロックできないため、攻撃アイテムによる逆転要素が強まっている。
    • 接触時の「おもさ」の概念が無いため、軽量キャラ・マシンがさらに有利になる*8
    • 上記のとおり一部マシンでしか勝負にならないためか、あまりにも距離を離されると戦意を失って接続を切断するプレイヤーが頻発した*9
      • 他にも、まともにレースしようとせず、わざと逆走してアイテム(特にスター)を使い攻撃を繰り返して妨害するようなプレイヤーも見られた。
      • そのためか、チートプレイヤーの数がDSソフトの中でおそらく最多。(チートでフリーズさせられると最悪、セーブデータが消える場合も。)
    • バトルモードはWi-Fiプレイでは遊ぶことすらできない
  • ダウンロードプレイの制限
    • 1カードリッジでダウンロードプレイする際は、ニトログランプリとレトログランプリの8コースしか選べないである。
    • またカードを持っていないプレイヤーは全員キャラがヘイホー(このモード専用キャラ)固定となる。
    • 容量的に仕方ない部分ではあるが、その場に集まったプレイヤー全員がこのソフトを持っていなければならないというのはハードルが高い。
  • 相変わらずCPUがインチキ走行する。
    • 『64』『アドバンス』『ダブルダッシュ!!』でもそうだったが、プレイヤー(人間)との差を調整するためにCPUがインチキな速度で走る。
    • 今作のCPUのカートは「かそく」と「おもさ」以外の全性能がプレイヤーが乗った場合と異なる。もっともハンドリングが悪い「タイラント」に乗ったCPUのクッパがドリフトせずにL字やU字の急カーブを平然と曲がったり、もっとも最高速が低い「バニッシュ」に乗ったCPUのカロンがプレイヤーの最高速トップレベルの「HVC-BLS」でも追い抜けない程のインチキ速度を何もなしに出して直線ルートを疾走したり。
    • しかし、プレイヤーとの差を埋めるためにCPUにインチキな速度を与えてバランスを取る仕様は今作が最後となった。
      次回作『Wii』以降はCPUのAIを強化する事でバランスを取るようになり、理不尽さは大幅に下がった。
    • CPUの方が順位に対して良いアイテムが出る仕様がある。
      • どちらかというと本作はプレイヤーが1位だとミドリこうらとバナナなどの設置アイテムだけでアカこうらやキノコすら出ないとプレイヤーのアイテムがしょっぱすぎる。
      • CPUは異常な頻度で「トゲゾーこうら」を入手する。1レースに一回あるかないかのレベルではなく、長いコースだと二、三回飛んでくるのもザラ。グランプリで高評価を狙って一位をキープしてるとイライラするだろう。ただし、高評価を取る基準に1レース中に「トゲゾーこうら」をCPU投げられたかどうかも入っている模様なので、一応デメリットのみというわけではない。
    • 1人プレイのふうせんバトルにおいて、ルールを「チームを組まないバトルロイヤル」且つCPUを「強い」に設定すると、CPUは他のCPUには一切の自発的な攻撃を仕掛けることはなくプレイヤーを集団でリンチしてくるようになる。
  • マップが便利すぎる
    • 下画面はマップになっているが、飛んできたアイテムや敵の所持しているアイテムが丸わかりなため「トゲゾーこうらが来るのでブレーキして一位を譲る」「サンダーが来るので落とす前にアイテムを使う」などが容易に可能。「にせアイテムボックス」や見えづらく置かれた「バナナ」もマップ画面だと判別が容易。
    • 新アイテムの「ゲッソー」が対人戦ではほぼ死にアイテムに
      • 相手の画面に黒い墨を吐いて視覚的に妨害すると言えば聞こえがいいが、下画面に表示されるマップは一切汚れないためそれを見ればいい話である。バトルモード以外でCPUはこれを食らうと、強さを問わず蛇行運転してスピードが落ちるので強力なのだが…
  • サンダーの仕様が今作から変更されており下位のプレイヤーほど戻るのが早くなった。良く言えば初心者に優しい仕様だが、悪く言えば弱体化している。
    • この仕様は最新作の『8』まで続いている。
  • 「ふうせんバトル」時にふうせんを膨らませるにはDSのマイクに息を吹きかける必要があるが、これがやや面倒。
    • 初期のDSソフトにありがちな、無理にマイク操作を強要する要素になってしまっている。
  • 特定コースのある地点でスピンターンするとフリーズするバグがある。
    • ただし、その部分は普通に走るだけで通り過ぎる事ができる場所のため、意図的にやらない限りはまず起こりえないが、 Wi-Fi対戦だろうと対戦相手もフリーズする大迷惑なバグ。
  • 出荷ROMの個体差があるのか、通常プレイしているだけでも稀にセーブデータの一部(全部)が破損する場合がある模様。

総評

マシン性能のバランスの悪さは問題点ではあるものの、カジュアルに携帯機でプレイできる『マリオカート』としては決して酷い出来というわけではなく、DSの定番ソフトとしてロングセラーとなった。
一部のマシンでミニターボ合戦のスピードレースや特定のマシンでミニターボの使用制限付きで走ったり、特定コースにある、特定アイテムのみしか出現しない特殊アイテムボックスを使った擬似バトルゲームなど、マシン性能差が著しく激しいためにいろいろな遊び方が考案されてきたふしがある。
一方で目玉のWi-Fiランダム対戦においては、このようなローカルルールは通用しないために「直ドリ」をはじめプレイヤー間で摩擦が起こりやすく、簡略化された仕様も含めて良い対戦環境だったとは言えない。
ローカル対戦もダウンロードプレイだと制限が多すぎるなど、全体的にもどかしい面も目立ってしまう作品である。