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SILENT HILL ZERO - (2021/10/19 (火) 05:49:38) の編集履歴(バックアップ)


SILENT HILL ZERO

【さいれんとひる ぜろ】

ジャンル ホラーアドベンチャー
対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売元 コナミデジタルエンタテインメント
開発元 Climax Studios
発売日 2007年12月6日
価格 5,229円(税込)
廉価版 コナミ ザ・ベスト
2010年1月28日/2,800円
配信 2010年1月28日/2,410円
判定 なし
SILENT HILLシリーズ



霧の悪夢から
あなたはもう逃げられない…



概要

『サイレントヒル』シリーズの5作目。ただし開発はコナミではなく、イギリスのClimax Studiosが担当している。
時系列的には「ゼロ」の名の通り『1』の事件より前で、『1』の前日談となっている。*1

海外版のタイトルは『SILENT HILL:ORIGINS』。海外ではPS2版も発売されており、キャラクターのモデリングが若干変更されている。


ストーリー

トラック運転手のトラヴィス・グレイディがサイレントヒルへ向かっている途中、不意に何者かが視界を横切る。トラックを止めるとそこには一人の少女が立っていた。
無言で立ち去った少女を不審に思ったトラヴィスはその後を追う。町外れまでたどり着き、燃えさかる一軒家と辺りを窺う不審な女性に気づいた直後、少女の叫び声が響く。
意を決したトラヴィスは炎の中に飛び込み、全身に火傷を負った少女を助けるが、そこで意識を失う。トラヴィスが意識を取り戻したとき、彼はサイレントヒルにいた……


新システム

  • 今作では近距離武器にも使用回数に制限があり、何度も使い続けていると壊れて使えなくなってしまう。
    • その分多く武器を入手することができ、更に素手でも戦うことはできるので、武器が尽きて手詰まりになることはない。
    • 余談だが、本作主人公のトラヴィスは「素手で戦える」「無数の武器を携行できる」「(武器が弱いのではなく)武器を破壊してしまうほど力が強い」などという点から、ある意味では『サイレントヒル』シリーズ最強の主人公ではないかと噂されている。ただ、後述のような理由からシリーズ最弱ではないかというプレイヤーもいる。
    • 「素手攻撃ができる」「武器が耐久性」という点は後の『DOWNPOUR』『Book of Memories』でも採用された。

評価点

  • 入手できる武器が豊富。テレビなどの意外な物もある。
    • 但し、何故か伝統の鉄パイプはない。
  • グラフィックはPSPの作品のなかでもきれいな部類。ムービーもとても美麗。
  • やり込み要素の追加
    • 条件を満たすと手に入るコスチューム、メモ、称号を収集するやり込み要素があるので、周回プレイへの配慮もなされている。
    • ユニフォームもある。着ていると様々な恩恵が得られるものもあり、外見も様々に変化する。
    • エンディングは過去作同様にマルチエンディング。エンディングに応じて特典武器が貰えるというご褒美も。
      • 今回は一周目や通常プレイではトゥルーエンド。二周目以降に条件を満たすとバッドエンドかUFOエンドという『3』と同じ形式を取る。
      • バッドエンドもただの後味の悪い結末ではなく、あるクリーチャーの正体を示唆する意味深な内容になっている。
      • そして三種類のエンディング全てでエンディング主題歌が違うというシリーズ初の豪華な試みが為されている。UFOエンディングは「サイレントヒルのうた」ではないので期待しないように。
  • 上記で触れたが『4』で廃止されたUFOエンドも復活。以降の作品でもギャグエンドは例外なく収録されるようになった。
    • 流石に『3』ほどのインパクトは無いものの、何時に無い和やかな内容で従来とはまた違った雰囲気を醸し出している。
    • また、『2』の「いぬエンド」に出てきた”あれ”がまさかの再登場。以降の作品のギャグエンドにもしばしば登場し、宇宙人と並ぶ本作の裏の顔役となる。

問題点

  • PSPのスペックの問題なのか、たまに処理落ちが発生して動きが鈍くなる。
  • 他のシリーズ作品とは違い、難易度変更機能がない。
    • 本作はやや大味なバランスであり、『2』と比べても最終盤はこちらの方が低めに見えてしまう。
  • 本シリーズの大事な要素の一つである「裏世界」の扱い。
    • 今作の裏世界は、鏡を使って行き来が可能で、現実世界ではいけない場所へ行くための通り道として登場し、フィールド探索と謎解きの一部に組み込まれている。
      • 「鏡の向こう側に恐ろしい別世界がある」というのはホラーでは割とポピュラーな設定ではあるが、従来作における裏世界はどちらかというと否応なしに引きずり込まれるというやや理不尽な側面があり、その側面がシリーズの世界観の一員を担っていた。
        そのため、ともすれば利便性すら感じる本作の裏世界の扱いに対する違和感の声も存在する。
  • 一部極端なゲームバランス。
    • 序盤は回復アイテムが少ないが、後半からはかなり多くの回復アイテムが拾えるようになってしまう。『4』のような特別な理由も無い。
    • ナースなど素手ではめ殺せる敵もいれば、トラビスのモーションよりも素早く攻撃できる敵にはこちらがはめ殺される事もあったりする。
  • 一部進行不可能になるバグがいくつか存在している。普通に進めていれば遭遇しにくいのが救いか。
  • シナリオ面
    • 主人公のトラヴィスはあるトラウマを抱えており、サイレントヒルを進むうちにそのトラウマを思い出していくという『2』を意識した物語進行となっている。
      ただこのトラウマ自体ストーリーとはあまり関係がなく、感情移入の材料としては乏しい。
    • トラウマを克服したかのような描写も特に無くラスボスを倒してあっさりエンディングで立ち直る為ここはもっと丁寧に作って欲しい所だった。
    • そもそも『2』は主人公のトラウマ自体が主軸となっていたが、本作はあくまで敵である教団の陰謀やアレッサが自身の分身を生み出すまでの経緯、すなわちどのような形で『1』の物語が始まったのかを描くことに主軸が置かれており、主人公は『1』における事件とは全く関わりのない第三者的立場に置かれている。
      • これまでの主人公は皆、サイレントヒルそのもの・もしくはストーリーの主軸に何かしら大きく関わりがあった*2のだが、トラヴィスにはそう言ったものはほとんど無い*3。たまたま通り掛かった際に偶然事件に巻き込まれ、そこでサイレントヒルのトラウマを思い出しただけである。*4
      • Amazonのあるレビューでは「まったく無関係のオッサン*5がただのお節介で突き進むお話」と称されているが、言い得て妙である。
  • 『1』に関する話は終盤でしかされない上、『1』を知らないとよく分かりにくい描写になっている為先に『1』をやった方が良い。
  • 「日本刀」が再び武器として登場しているが、アメリカの街中のあちこちに落ちているというのは違和感が強すぎる。*6
  • 性行為を示唆させる描写が存在する。
    • これまでのシリーズで露骨に出てくるどころかそういった描写すらもほとんど無かった為、本作の中でも一番違和感が強い。ちなみに本編中で必ず見る事になる。*7
      • ここの描写は本編に全く関わらない為はっきりいって全く必要ない。

総評

制作陣が変更されたためか、一部システムにも難や違和感があり、それゆえにシリーズ他作品をプレイ済みのプレイヤーの多くが違和感を感じる出来となってしまっている。
ただし、初めて本シリーズをプレイする分には問題ある出来ではなく、佳作といったところか。もう少し作り込まれていれば評価はもっと上がっていただろう。


余談

  • 本作の主人公であるトラヴィスは後に『HOMECOMING』にも登場している。過去作の主人公本人が直接登場するのは本シリーズでは珍しいケースである*8
    • また、映画版『サイレントヒル:リベレーション3D』でも物語のラストに登場する。
  • 本作以降のシリーズ作品は海外企業への外注となり、携帯アプリ版やアーケード版を除いてコナミが開発を行う事はなくなった。その為、本作を境に作風が洋ゲー寄りに変化している。
    • 本作のデベロッパーであるClimax Studiosは、その後も2010年に発売された『1』のリ・イマジネーション作品である『SILENT HILL: Shattered Memories』の開発を担当している。
      • 一方、PS4で発売が予定されていた『Silent Hills』は『メタルギア』シリーズで有名な小島プロダクションが開発を行うという事で久々の国産サイレントヒルとなるはずだったが、開発中止になってしまった*9
  • 2020年10月に本作及び『Shattered Memories』を手掛けたゲームライター兼ゲームデザイナーのサム・バーロウ氏*10が、『Shattered Memories』の精神的後継作品を企画中であるとメディアに明かした。
    • バーロウ氏はこの精神的後継作品について「コナミに向けたものではなく、なおかつ『SILENT HILL』シリーズのIPも一切使用しない」としている。
      • なお、バーロウ氏は現在2022年発売予定のアドベンチャーゲームである『Immortality』の制作に取り組んでおり、この精神的後継作品は「次の次の作品」になるとのこと。