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パワーゲイト - (2016/08/23 (火) 12:20:28) の編集履歴(バックアップ)


パワーゲイト

【ぱわーげいと】

ジャンル シューティング
対応機種 PCエンジン
メディア 2Mbit Huカード
発売元 パック・イン・ビデオ
開発元 メイクソフトウェア
発売日 1991年8月30日
定価 6200円
判定 なし
ポイント グラフィックがPCエンジンとは思えないショボさ
テンポもっさり
しかし、ゲームの出来は意外と悪くない


概要

  • パック・イン・ビデオ(現マーベラスAQL)から発売されたオリジナル横スクロールシューティング。
  • 一人プレイ専用、全6ステージ構成。

主なルール

  • 主な操作方法は、十字キーにて自機移動、2つあるボタンは各自、ショットボタンと特殊ウェポンボタンに使用する他、SELECTボタンも使用操作に入っている。PCEシューには珍しくIボタンがメインショット。
    • ショットは前方一直線に飛ぶメインショットと、斜めに落下しながら攻撃する対地ボムの二種類があり、両者を同時に撃つ。但し、対地ボムは初期状態だと撃てない(使うにはパワーアップアイテムを取るか、称号システム(下記)でランクアップする必要がある)。
    • 特殊アイテムを取得している状態で特殊ウェポンボタンを押すとそれを撃つ。特殊ウェポンは回数制限があるが、強力な性能を持つ。
    • SELECTボタンを押すと複数持っている特殊ウェポンの切り替えと、自機後方の敵にダメージを与えるバックファイヤーの噴射を同時に行う。両者共に個別のシステムだが、各操作を別々に行う事はできない為、必然的にバックファイヤーを放つと選択中の特殊ウェポンが切り替わる。またバックファイヤーは1度使うと一定時間出せなくなるため連射出来ない。この操作でスピード調節は出来ない。
  • 赤い敵(ヘリと固定砲台を除く)を倒すとアイテムを落とす。以下その詳細。
    • 基本アイテム…主に自機の強化を行うアイテム。
      • 「スピードアップ(S)/ダウン(D)」…前者は自機スピードを1段階上げ、後者は下げる。最大スピードは4段階となっている。
      • 「パワーアップ ノーマル(+)/対地ボム(-)」…前者は自機のメインショットを強化する(一個取ればフルパワー)、後者は対地ボムを強化する(最大3段階までパワーアップ)。
      • 「エネルギータンク(E)」…ライフが1回復。ライフ上限は3で、それ以上は取っても増えない。
    • 特殊アイテム…取得した特殊ウェポンの残数を1増やす。持っているのと同じアイテムを取ればウエポン残数がさらに1追加され、それぞれのアイテムを複数ストックする事も可能(SELECTボタンにてアイテムを切り替える)。溜められるウエポン残数はどれも無制限。また、アイテムを取った時は選択がそのアイテムに自動で切り替わる。
      • 「フィールド」…一定時間、自機が無敵化(点滅)する。効果時間の終了前には警告音が鳴る。
      • 「ロックオン」…一定回数、敵を見つけ次第、体当たりを仕掛ける小さいオプションが付く。1個が順繰りに倒しに行くので敵が多いと倒すのにもそれなりに時間が掛かる。前方の敵への優先度が高く、後方の敵へ向かっている途中に前方から敵が現れると後方の敵へのロックは解除される。
      • 「機雷弾」…自機周囲を高速で回る機雷を多数発生させる。機雷は敵に当てると倒せるが敵の弾は防がない。敵に当たった機雷は順に減っていく。
      • 「ハードミサイル」…自機前方にミサイルが発射されすぐに大爆発、そこから攻撃判定の強い爆風が起きる。爆風範囲は狭い。
      • 「拡散ミサイル」…自機前方にミサイルが発射されて、そこから周囲八方向へ破裂し爆風が放たれる。
      • 「スペシャル」…一定時間、自機移動スピードが最大(スピードアップ最高状態)となり、自機の下後方に垂れ下がる感じで動く残像分身が2個現れ一緒に攻撃する。但し効果時間中は対地ボムが撃てない。また、自機と同じ形の上に色合いも変わらず、自機との間もほぼ空かないので自機の位置が判り辛くなる事がある。
  • 各ステージクリア後にはリザルト画面が表示され、それまでに稼いだスコアによって昇進の称号を得る事ができる。昇進すると特定のアイテムが貰えるボーナスがある。以下その詳細(上から順にクリア時のスコア条件が高くなる)。
    • 少佐…「スピードアップ」「パワーアップ 対地ボム」のボーナス。
    • 大佐…「スピードアップ」「パワーアップ 対地ボム×2」のボーナス。
    • 少将…「スピードアップ×2」「パワーアップ 対地ボム×2」「ロックオン×3」「機雷弾×3」のボーナス。
    • 中将…「スピードアップ×2」「パワーアップ ノーマル」「パワーアップ 対地ボム×3」のボーナス。
    • 大将(最高称号)…「スピードアップ×2」「パワーアップ ノーマル」「パワーアップ 対地ボム×3」「フィールド」「ロックオン×2」「機雷弾×2」「ハードミサイル×2」「拡散ミサイル×2」のボーナス。
    • この称号で得たスピードアップ、及びパワーアップ系のアイテムはミスしても所持した状態で復活できる。例えば、少将の称号を得ると、ミスしてもスピードアップを2つ、対地ボムのパワーアップを2つ取得した状態で復活でき、ゲームオーバーにならない限りはそのアイテム分のパワーランクが下がる事は一切なくなる。ボーナスが多い中将や大将に至っては、ほぼフルパワーで復活できる。
  • 残機+ライフ制(初期及び最大ライフ数は3)で、両者共になくなるとゲームオーバー。ダメージで減るライフ数は常に1だが、壁や障害物に触れると即ミスとなってしまう。
    • ミスするとすべてのパワーランクがリセットされ、その場復活。但し、上記の称号で得たアイテムによるパワーランクは絶対にリセットされなくなる。なお、特殊アイテムに関してはいくらミスしようが増減する事はない。
    • ゲームオーバーになるとそのステージから、制限回数のあるコンティニューが可能だが、取得していた特殊アイテム、及び称号はすべてリセットされてしまう大きなペナルティがある。

問題点

  • 1991年のPCエンジンソフトとしては、ファミコンと見紛う程グラフィックがショボい。グラフィックのドット表示や色塗りが異様なまでに甘く、同時期のファミコンソフトにすら劣るとまで言われる。
    • PCエンジンのグラフィック性能は512色同時発色であり、56色同時発色のファミコンに比べ一画面に表示できる色数が多彩なハードのはずなのに、本作はその性能を活かしているとは思えない位のチープな外見である。
      • 一応それなりに色は使われているしグラデーションも施されてはいるのだが、キャラも背景も大部分が黒枠の輪郭で覆われているため、細かい色分けが判り辛かったりゲームのテーマに相応しくないコミカルな印象を受けたりするものと思われる。
    • すでにPCエンジンの限界を引き出したグラフィックで絶賛された同じ横シューティングである『マジカルチェイス』がリリースされ、その後のリリースでこのショボさはあんまりすぎる、と当初から批判を受けていた。
      • 雑誌の縮小された画面写真だとマンガチックな絵柄に更にペッタリした色合いに見えるので仕方ない面はある。ただ実物はそれなりに色は使わr
  • ボス戦はともかく、6ステージの道中BGMにすら使い回しがある(ステージ1と3、ステージ2/4/5が同じ楽曲、ステージ6は専属曲)。それ故にBGMの曲数が残念な事に。
  • 全体的にもっさりテンポで疾走感皆無。その結果ステージ数の割にプレイ時間がやや長めとなっている(約30分位)。
    • 特に自機ショットがクソとろい。空撃ちするとすぐ弾切れを起こして肝心な時に敵を撃てなくなる。そしてボタンに連射機能が付いているので、押しっ放しにしていると空撃ちは頻繁に起こる。パワーアップしても多少速度が上がる程度で遅いのは遅い。慣れれば何とかなるが。
      • そしてメインの対空ショットのパワー上限が1段階で対地ボムが3段階。絵はイーグルっぽいのにA-10かオマエは、と。
  • 特殊ウェポンのアイテムを取ると勝手に選択が切り替わる。種類も多いのでストックが1個ずつ溜まって来るといちいち戻すのが面倒。
  • ステージ4と5にはボスがおらず、その代わりに障害物を避けるだけの場面に収まっている上、残り4ステージのボスのどれもがふざけているとしか思えない程に弱い(特にラスボス)。ちなみに、ステージ4と5の障害物避けの方が圧倒的に高難易度。
  • オプション項目やこれといった裏技は一切存在せず、難易度は一種類ぽっきりである。

評価点

  • ゲームバランスが絶妙に良い。PCエンジンシューティングの中でも上位に位置するといってもいい位に。
    • 敵弾の動きが遅い、いわゆる弾幕系のばら撒き方で、バランスの良い適度な弾避けを堪能できる。また、敵配置も程よく設置されており、攻防のバランスが意外な位に優秀である。
    • 道中戦のバランスは上質なだけに、これでボスもやる気のある難関だったら、文句なきゲームバランスだったのだが…。
  • BGMに関してはやけにハイクオリティ。グラフィックの温度差が激しいが、曲は本当に熱い。
  • グラフィックはアレではあるが、多重スクロールや斜めスクロールなど、演出面では結構頑張っている。また、ゲーム的には敵や敵弾などがわかりやすい色使いで、安心してゲームに集中できる。
  • オープニングの自機パイロットの顔絵のグラフィックは何故か繊細。それをゲーム本編で活かせという突っ込みはあるが。
  • 称号システムによるボーナス特典入手は後のアーケード作『19XX』のそれを先取りしていた存在といえる(称号システム自体は19XXの前作にあたる『1941』(AC、90年稼動)から導入されているが、こちらはスコアが増幅するだけに留まる)。

賛否が分かれそうな点

  • ライフと残機を併用したシステムのおかげで、いきなり即死終了するような理不尽さも少ないのは親切である。しかし、ライフ制な上に他シューティングに比べてスコアエクステンドする機会が多く、称号によりミス後のパワーランクが段々と下がらなくなる事も相まって、結構緊張感が薄いという問題もない訳ではない。
    • 似たような理由の緊張感の薄いPCEシューティングとしては他に『オーバーライド』や『コリューン』がある。また、何故か3作品ともに1991年リリースのHuカードシューティングという奇妙な共通点がある。
  • 敵弾が多めにばら撒かれる状況が多い影響なのか、頻繁に微小な処理落ちが発生する。これももっさり感に一役買ってしまって反面、これのおかげで弾避けがしやすくなっており、一概に問題ありともいえないのが複雑である。
  • ジャケット絵のデザインが3Dシューティングの超名作『アフターバーナー』と似た構図になっている。それ故にアフターバーナー的なものを期待して購入したら、実際は全然似て否なるシューティングでガッカリしたプレイヤーはもしかしたらいるかもしれない。ちょっとしたジャケット詐欺…か?
    • ただ、評価点でも述べた通り、ゲームそのものの出来は悪くないので、ガッカリとなりつつも案外楽しめたというプレイヤーもいるかもしれない。
    • ちなみに本作登場の約一年前に、PCエンジンでも『アフターバーナーII』の移植版がNECアベニューからリリースされている。

総評

  • 本当見た目で大幅に損してるゲーム。結構な割合で一見さんからは「これクソゲーじゃん」と判断される事が多い模様。実際当時のゲーム雑誌のレビューにおいても酷評が目立っていた。
  • しかし、実際プレイしてみると、シューティングとしては意外な程に遊べる内容であり、外見だけでクソゲーと判断するのはあまりにも勿体無い。「ゲームは見た目だけじゃない、中身が一番大切なんだ」という言葉がこれ以上しっくり来るゲームはそうそうお目にかかれないのではなかろうか。
  • 本作の評判自体が芳しくないのに、何故か翌年に続編『HAWK F-123』がリリースされる事となる。一体、スタッフは何を思って続編を作ろうとしたのかは謎だ…。