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ざくろの味 - (2015/09/13 (日) 10:24:26) の編集履歴(バックアップ)


ざくろの味

【ざくろのあじ】

ジャンル サウンドノベル
対応機種 スーパーファミコン
メディア 16MbitROMカートリッジ
発売元 イマジニア
開発元 スタジオ・クリップス
発売日 1995年11月22日
定価 11800円
判定 なし
ポイント これ、おいしいよ


概要

イマジニアから『月面のアヌビス』と同時に発売された、世にも珍しい双子サウンドノベルの片割れ。
ただし開発元は異なる。

シナリオはSF・特撮研究家の聖咲奇氏が担当している。

ストーリー

酷く冷える雪の夜。SF作家である青年・土門*1は、ビルの5階にある雑誌編集部を訪れていた。
しかしそこで地震が発生し、ビルは丸ごと地下に埋没してしまう…。

特徴

  • シナリオは複数用意されているが、「地下に埋没したビルからの脱出を目指す」という設定は共通している。
  • 登場人物は『かまいたちの夜』同様シルエットで描かれている。またメインシナリオのみ、敵側のキャラは違う色になる。
    • この設定を効果的に利用した演出もある。1回だけだが
  • パーセンテージで表わされる「達成率」が存在する。
  • 物語冒頭に「月面のアヌビス」という単語が登場する。因みに『アヌビス』のゲーム中には「ざくろの味」という単語が登場している。

評価点

  • 説明書には登場人物紹介が載っておらず、ゲームの冒頭で紹介文が出るのだが、この紹介文は再プレイ時には省略される。
  • 当時のノベルゲーとしては、達成度表示が存在するのは貴重である。

問題点

  • 『アヌビス』と違って、章単位の読み直し機能は無い。章題自体は付いているし、選択肢を間違うと1発死にする事が多いソフトなのだからあると便利なのだが。
    • とはいえあちらには達成率表示は無い。同時に開発していたなら両方搭載できなかったのだろうか?
  • 既読文の読み直しは出来るものの、表示スピードが通常時と同じという遅さ。とても遡って見ていられない。
  • メインシナリオはゾンビが登場するホラーチックな内容だが、死体を再生する科学兵器による事件なのでオカルトものではない。しかしこの科学兵器の設定がなんともあやふやである。
    • 首の無い死体が生き返ったり、しかもまるで意思が有るかのようにどこかへ消えたり。はっきり言って『バタリアン』*2である。
    • ゾンビに殺されて蘇ると、なぜか科学兵器に関する情報が頭に入っており、敵の行動パターンを読めるようになったりする
    • 「死後数時間以内の死体にしか効かない」という触れ込みなのに、何十年も前の実験体らしい死体まで復活する。
      • 活動停止していただけで、何十年も前の時点で既にゾンビ化していたと考えると矛盾は無いのかもしれないが。
      • ちなみにゲーム中ではこれについて主人公が、自分たちの生のエネルギーに反応したのかもと発言している。
  • メインシナリオには、非常に見るのが難しいバッドエンドが2種類存在する。どちらもゲームの初期に特定の選択肢を選んでおかなければならないのだが、結末の内容と関連性がない上に最後の最後で分岐するものだから、気付きにくい。
  • 誤字脱字がやたらと多い。
  • 達成率を100%にすると隠しシナリオがプレイできるのだが、これは短いというより手抜きな内容で、しかもオチは脱力もの。「これって何のゲームだっけ?」と思う事請け合いである。
  • シナリオの1つでは、過去に主人公の同級生が死ぬ前に何を伝えるために家に来たのか、結局明かされない。そもそもこのシナリオ自体が手抜きのようにスカスカ。
  • ヒロインは、説明書では「パートナー」と紹介されているが、あまり主人公とは一緒に行動しない。

総評

  • シナリオのボリューム・システムの独自性共に、同時発売の『アヌビス』に劣っている。しかしプレイヤーに与える印象の強烈さに関しては、本作は『アヌビス』の比では無いだろう
    • メインシナリオのバッドエンドは後味が非常に悪いものばかりで、更に編集長の朝籐がゾンビ化するシーンはトラウマ確実であり、この点だけはいまだに語り草となっているほどである。
    • とはいえ、それを上回るインパクトはサブシナリオには無く、しかも前述の通り最後のシナリオが脱力ものなもんだから尻すぼみという感は拭えないだろうが…。

その他

  • パッケージイラストに描かれているビルは4階建てだが、実際のゲーム中に登場するビルは5階建てである。単なるミスか?
  • 本作のサウンドトラックCDには、ボイスの入ったパートが新規収録されている。
    • ボイスは主人公のモノローグ(+周囲のガヤ声)によるもので、所謂「ドラマCD」というほどのものではない。
      • なおこのモノローグでは、「8人の編集部員の内、6人の存在は確認されたが…」と語られているが、ゲーム本編でいなくなっているのは2人ではなく1人である。本編では他に負傷者が1人いるので、「無事が確認されたが…」の間違いか、企画段階のプロットに沿ったものと推測される。