「TIME TRAVELERS」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

TIME TRAVELERS - (2013/11/03 (日) 09:09:18) の編集履歴(バックアップ)


TIME TRAVELERS

【たいむとらべらーず】

ジャンル タイムトラベルアドベンチャー
プレイングシネマ



対応機種 ニンテンドー3DS
プレイステーション・ヴィータ
プレイステーション・ポータブル
発売・開発元 レベルファイブ
発売日 【3DS/PSV】2012年7月12日
【PSP】2012年7月19日
定価 5,980円
レーティング CERO:C(15才以上対象)


概要

金八先生』や『428』を手掛けたクリエイター、イシイジロウ氏がレベルファイブ移籍後に製作したアドベンチャーゲーム。
『428』にて脚本を担当した北島行徳氏が脚本を、音楽を担当した坂本英城がコンポーザーを担当するなど、メインスタッフが再集結している。
それ以外にも、「5人の主人公のザッピング」「TIPS*1をつかった用語説明」といったシステム面でも『428』や『街』*2を意識した部分が多く、ストーリーチャートのデザインも『428』のものを踏襲している。
また、作品中で取り上げられることはほとんどないものの、本作は『428』と世界観を共有しており*3、ファンサービスとして『428』に登場した「タマ」の着ぐるみが登場したり、一部のTIPSに『428』のキャラクターの名前が登場している。
ゲームは基本的にテキストを読み、要所要所で出てくる選択肢を選んでいく典型的なテキストアドベンチャーであるが、今作は背景やキャラクター全てがCGで表現されており、シーンごとにキャラが動くという映画やドラマのような演出がなされている。これを今作はプレイングシネマと名付けられている。

評価点

  • タイムトラベル物の小ネタの数々
    • タイトルの通り、本作はタイムトラベルを題材にしたゲーム。そのためか要所要所に有名なタイムトラベル物のSF小説や映画の小ネタが散りばめられており、知っているほどニヤリとできる。
    • 各キャラにはテーマソングがあり、曲の題名が「The Door Into Summer*4」だったり、曲の中には歌詞がタイムトラベルを皮肉ったものがあったりと多彩である。
    • 中にはあからさまな『ドラ○もん』ネタが仕込まれていたりもする。
  • シナリオ面
    • 物語の設定自体に破綻した部分はなく、しっかりまとまっている。
    • キャラクターも5人しっかり個性付けされており、見せ場もあるので印象に残る。
    • 『428』と同じく、おバカ全開なネタ選択肢や一部バットエンディングのぶっ飛びぶりなども魅力の1つとなっている。「ピンクのラベル」「アメリカンジョーク」辺りは初プレイで思わず選んでしまい吹いたプレイヤーも多いだろう。
      • ネタ選択肢の数々はボイス付きになったことで更に強烈になっている。声優が真面目にネタ選択肢を演じる様子は『街』や『428』というより別のなにか?に近付いたような気もするが。
  • 音楽
    • タイムトラベラーズのテーマ曲、各キャラクターのテーマソング(ボーカル付き)は非常に評価が高い。演出効果も優れておりひとつの曲としての完成度も高い。
  • 映像の作り込み
    • 1シーン1シーンフルCGでキャラがしっかり動く演出などは、『428』や『街』での実写の静止画とはまた違った魅力がある。
    • モーションキャプチャーを使用したリアルな動作の他に、一部のアクションシーンではアニメの演出家に絵コンテを依頼しており、迫力あるアクションが描かれている。
  • TIPSリストが追加
    • 一度見たTIPSがリストに登録され、いつでもメニュー画面で見ることができる。
    • 『街』と『428』では存在しなかったため、何時でも読み直せるようになったことは好意的に受け止められている。
    • また、VITA版はトロフィー取得にも関わっているので、1つのやりこみ要素になっている。

問題点

  • 難易度が非常に低い
    • 出てくる選択肢のほとんどが「真面目な選択肢」「明らかに間違った選択肢」「完全にネタに走った選択肢」の3通りに区分できるほど分かりやすく、一発で正解が分かってしまう。このためどの選択肢が適切かと迷うことがほとんどない。
      • 『428』では「一見どれを選んでも正解に見えるが、実は他のキャラクターの物語に大きな影響を与える」という選択肢もあったのだが、本作ではそういったケースはほとんどない。
    • また、ザッピングも後半以外はほとんど行われず、各キャラクターの物語間での関連性が薄い。
      • 更に序盤から中盤までは勝手にキャラクターが切り替わってしまい、『街』や『428』と違いZAPS(JAMP)*5のシステムがないので試行錯誤して物語を動かすという感覚も薄い。
  • 本編のボリューム不足
    • 本編は10時間程度でエンディングを迎えられるほどボリュームが薄く、上記の選択肢の分かりやすさも相まって余計に早く終わったような感覚を受ける。
    • 後述のように後半の展開には駆け足の部分もあるので、全編通してフルCGのキャラクターが動くという特徴上、モーションキャプチャーなどの手間が膨大であまりシナリオを伸ばせなかったのかもしれない。
  • プレイングシネマイベント(PCE)
    • いわゆるQTE。所々で指定されたボタンを押したりといったイベントがあるが、入力時間はとても余裕があるため、わざと失敗しようと思わない限り間違えることはない。
    • むしろこれを失敗しないと見られないTIPSやバッドエンディングがあるので逆に面倒な要素になってしまっている。
      • 一応、2回目以降はスタートボタンでボタン入力をスキップできたり一部は選択肢次第で回避できたりと周回プレイに対する配慮はあるのだが、ムービーイベントの扱いであるためPCE中の会話はスキップ不可な上、PCEが関係するバッドエンディングの中には数個とはいえ「タイミングよく6回ボタン入力しなければいけない場面で6回全てミスする」「1回正解のボタンを押せばいい場面で3回連続でミスする」「途中で長い会話イベントが入るPCEを失敗」といった面倒な条件のものがある。
  • シナリオ面
    • タイムトラベル感が薄い。
      • 詳細は後述するが、『タイムトラベラーズ』という題名ではあるもののプレイしているとタイムトラベルしているという感覚はあまり感じられない。
        + ネタバレを含むので注意
      • 5人の主人公たちは作中で「タイムトラベラー」と呼ばれるのだが、その能力は「命の危機に陥ったり取り返しのつかない失敗を犯してしまった際、無意識に時間を巻き戻す」というものであり、彼らには時間を遡っているという自覚は全くないため「タイムトラベルしている」とは言い難い。
      • 本作の登場人物で厳密な意味でのタイムトラベルを行ったのは2名のみであり、更にその様子が描写されるのは終盤に入ってからである。
    • 後半からとにかく駆け足。
      • 中盤までは濃密に進んでいくのだが、突然急速に伏線が回収されあっという間に終わってしまう。

総評

シナリオのボリューム不足や難易度の低さなど、『428』のような作品を期待したプレイヤーからはガッカリする部分が非常に多い作品ではあった。
ただし、CGを使ったプレイングシネマという試み自体は新しく、独自の魅力もあるので決して出来が悪いわけではない。