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バイオハザード ガンサバイバー - (2012/07/11 (水) 15:12:19) の編集履歴(バックアップ)


バイオハザード ガンサバイバー

【ばいおはざーど ガンサバイバー】

ジャンル サバイバルガンシューティング
対応機種 プレイステーション
発売・開発元 カプコン
発売日 2000年1月27日
定価 5,800円
ポイント シリーズ初のFPS作品
工夫も多いが粗も多い
バイオハザードシリーズリンク


概要

カプコンの大ヒットサバイバルホラーシリーズ『バイオハザード』の外伝的作品。ガンコントローラー対応。
ガンコントローラーでは世界初の三次元自由移動システムを採用しており、
従来の強制スクロール型のガンシューティングではなく、自分で扉を移動・戦闘・謎解きをしつつ脱出を目指す。

舞台は1998年11月25日のヨーロッパの孤島「シーナ島」で、時系列的にはラクーンシティ崩壊(『2』『3』)の約2ヶ月後にあたる*1
主人公はヘリの墜落による気絶から目覚めた一人の青年で、自身の名前や過去の記憶を失っている。

なお本作は外伝的作品ながら正史扱いであり、本作の事件は『0』の冒頭で「第2のラクーンシティ」として述べられている。
登場人物の関係性や作中登場のファイル内にも『1』から『3』までの主要登場人物の名前が見られる。


ストーリー

アメリカ中西部のある街にT-ウィルスが猛威をふるっているさなか、別の場所にて・・・。

静寂をかき消すかのように街に落下する一機のヘリコプター。

コクピットから這い出し、必死にヘリコプターから離れる青年。

……爆発炎上……。

青年は力尽き、その場で気絶してしまう。

……どれくらいの時間が経ったのだろう?

あたりは夜。

街中のいたるところから悲鳴とも鳴き声とも取れる無気味な声がこだましている。

朦朧としたまま青年は立ち上がり、路地裏へと歩き出す。

「俺は、なぜこんな場所にいるのだろう……?」

(公式サイトより)


特徴

三次元自由移動システム

  • プレイヤーは実際に主人公を移動させて戦闘や謎解きを行う。
    • ガンコントローラ対応ゲームとしては世界初であり、当時としては比較的自由度の高いFPSゲームにあたる。
    • 視点が異なったとはいえ基本的なゲームシステムは変わらず、探索してキーアイテムを見つけながら脱出を目指すというもの。

FPSならではの仕様

  • FPSとなったことで新鮮な攻撃感覚を味わえるつくりとなっている。
    • 攻撃箇所によって敵の受けるダメージが変動する。例えば人型の敵は頭部を狙い撃つとより早く倒すことができる。
    • 主人公に飛びかかって来る敵を空中で撃ち落とすなど、より臨場感のある戦闘描写がなされている。

戦闘に重きを置いた作風

  • 「避けられる戦闘は避ける」のが基本のシリーズ本編と比べると、戦闘メインと言える作風。『4』との共通点も多い。
    • ハンドガンの弾は無限なので、ザコ敵は排除して進むのが基本。ただしハンドガン以外の弾薬は有限で少なめ。
    • 難しい謎解きはほとんど無い上に、アイテム所持数も限られていない。謎解き・アイテム探索で煩わされることはほとんど無い。
    • ショットガンなどおなじみの武器に加え、同じハンドガン系統でも4種類登場するなど武器も多め。
    • 中にはシリーズ本編でボス格である敵が何体も登場する箇所もあり、初見だと慌てる人が多いはず。

評価点

ルート分岐の豊富さ

  • ルート分岐が多い。
    • ルート分岐は最初の通路から用意されており、違った謎解きや敵の配置を楽しめる。
    • 舞台となる場所も様々。病院、映画館、ゲームセンター、刑務所などが用意されている。

引き付けられるシナリオ

  • 記憶を失った主人公が様々な人物に会いつつ自分の正体を探ってゆくシナリオはプレイヤーも引き付けられる。
    • 様々な情報を得て、主人公は自分が今回の事件を起こした残忍な男、ビンセントだと思い込むのだが……
      後は自身の目で実際に確かめてみてほしい。
    • 直接的な描写は登場しないとはいえ、中にはかなりエグい内容のファイルや設定がいくつかあるので、苦手な人は一応注意。

本作オリジナルの敵クリーチャー

  • U.T.ユニット(掃除屋)は暗視スコープを装着した一見人間に近い外観を持ち、短機関銃で攻撃してくる。
    • 外伝とはいえ銃器を攻撃手段としてくる敵はこのクリーチャーがシリーズ初である。
    • 銃器を扱うというインパクトと特異な断末魔を挙げてアポトーシスを起こす姿は印象的で、本作を代表するクリーチャーと言える*2
  • ヒュプノス-T型はシリーズではおなじみのタイラントの派生型B.O.W.。
    • 当初こそタイラントよりやや小さめの体形だが、倒すごとにより巨躯となり顔も醜悪なものに変わってゆく。

不評点

FPSとしての作り込みの甘さ

  • 「画面内の範囲を狙い撃つ」形式で、左右の敵には対応できても上下の敵に対して攻撃しにくい。
    • 特に姿勢の低いリッカーに足元に入られると厄介。攻撃を受けると一時的にその方向を向くため、その時攻撃するしかできない。
    • TPSである『4』で例えれば、「照準を左右にしか移動させることができない」と考えてもらうと近い感覚だろう。
  • 仕様上、主人公は画面外からの攻撃を受け付けない
    • 作中には前後に敵が登場して挟まれる場面もあるのだが、この仕様のために無意味
    • ラスボスの攻撃ですら、当たる直前にあらぬ方向を向いておけばノーダメージ。敵の攻撃が主人公に当たる音はするのだが……。
    • 初心者のための救済処置…と取るよりは、単に作り込みが甘く現状の操作では画面外の攻撃に対応できないと判断して判定自体無くした、といった方が正しいだろう。

演出の乏しさ

  • 敵のほとんどが旧作で登場済み。
    • 特にゾンビやタイラントは『2』のローポリモデルを流用しており、服装も同じものばかり。
    • ただし敵の攻撃方法にはいくつか新しいものが追加されてはいる。
  • 攻撃箇所によるエフェクトの違いが無い。
    • 弱点を撃っても特別なエフェクトや反応があったりしないため、敵にダメージを与えていることが実感しにくく、爽快感に欠ける。
    • 敵以外の場所を撃っても特に何も起こらない。窓が割れたり、物を壊してアイテムを手に入れたりという要素はほとんど無い。

総評

目玉である主観視点における操作性の悪さや演出の乏しさから、名作の域に達することはできなかった。
しかしサスペンス映画を彷彿とさせるシナリオは評価できるものであり、中にはリメイクを望む声もある。
シリーズ正史として登場人物間の新たな関係も分かるため、シリーズファンなら欠点を把握した上でぜひプレイしてみてほしい。


余談

  • 作中のファイルの中には、『3』で登場したある人物自身が書いたと思われる文書が登場する。文中では「わが社のウィルス管理体制を強化すべき。また社員に対する再教育を徹底すべき。」と、意外にまともなことを言っている。