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メタルサーガ ~砂塵の鎖~ - (2020/02/04 (火) 19:58:44) の編集履歴(バックアップ)


メタルサーガ ~砂塵の鎖~

【めたるさーが さじんのくさり】

ジャンル RPG
対応機種 プレイステーション2
発売・開発元 サクセス
発売日 2005年6月9日
価格 7,329円(税込)
廉価版 PlayStation2 the Best:2006年3月2日/3,990円(税込)
判定 なし
ポイント シリーズの象徴を否定する仕様
バグ多し
バランス調整の甘さ
自由度はシリーズトップクラス
本家に受け継がれた要素も
メタルマックスシリーズリンク


概要

  • メタルマックス』の系譜を受け継ぐ 全方位系 (なんでもありあり)RPG。発売及び開発元はサクセス。
    • 2003年に『メタルマックス』の発売元であるデータイーストが自己破産しスタッフは四散、『メタルマックス』の商標も正体不明の企業に流出して使えなくなり、シリーズの新作は絶望視されていた。
    • 『メタルサーガ』と名を変えてのシリーズ再始動は、シリーズファンにとってまさに青天の霹靂であった。当時のファンサイトや2ch関連スレッドでは狂喜乱舞するファンの姿が見られたという。

特徴

  • 従来のシリーズ作品から変更された要素で最も大きいのは、戦闘におけるターン制が撤廃されたという点。
    • 一般的なRPGにおける「速さ」「AGI」といった数値は存在しておらず、レベルが高い、若しくは装備品の数や重量によって決まる隠しパラメータ「重さ」が少ない順に行動するようになっている。
  • 本作からパーティメンバーの入れ替えが可能になった。メカニック2人・ソルジャー3人・犬4匹の中から選択して連れていける。
+ パーティメンバーについて軽い説明
  • 主人公
    • ハンターである父「キョウジ」に憧れ、自身もハンターを目指す少年。
    • イベントの進め方次第ではいきなり右腕をぶった切られたり、筋肉モリモリマッチョマンの変態になったりと波乱のハンターライフを送る破目になる。
  • キリヤ
    • 主人公の兄貴分である男性メカニック。メカニックとしては天賦の才能を有している。
    • 賞金首「ブレークダウン」と因縁を持っており、戦闘時にメンバーに入れていると専用イベントのフラグが立つ。
  • ミカ
    • 主人公の幼馴染である女性メカニック。努力家でマイペースな眼鏡のボクっ娘と属性てんこ盛り。
    • パーティに入れる事で発生する専用イベントは無いが、その代わりなのか本作では彼女と結婚してエンディングを迎える事が可能。
  • シャーリィ
    • 銃器を専門に扱う女性ソルジャー。人狩り師団によって所属していた傭兵団が壊滅した後、復讐の為に戦い続けている。
    • 賞金首「人狩り師団長」と因縁を有するが、彼女の専用イベントを発生させるには、事前に彼女をパーティに入れた状態で「とある人物」と面会させておく必要がある。
    • 彼女が居る街の空き家を購入して彼女に譲ると、彼女にもインテリアを贈れるようになる。…但し結婚はできない。
  • ラシード
    • 刀剣を専門に扱う男性ソルジャー。朗らかな性格だが、剣一振りで戦車装甲を叩き切る技量の持ち主でもある。
    • 彼の専用イベントで鍵となるのは「ムラサメ」というNPC。イベントを進めた状態でラストダンジョンへ突入すると…?
  • ???
    • 特定の条件を満たすと仲間にできる隠しソルジャー。詳細は評価点のネタバレ項目にて。
  • ポチ(柴犬)
  • タロウ(土佐犬)
  • ベルナール(ボストンテリア)
  • ラリー(セントバーナード)
    • とあるダンジョンで4匹の中から1匹選んで仲間に加えられる、シリーズおなじみの犬型生体兵器。
    • 無属性の強力な攻撃技を覚えられるタロウ、火炎・ビーム属性の攻撃技で大暴れできるベルナール、唯一味方の回復が可能なラリー…といった具合に、習得可能な専用特技での差別化がなされている。
    • ポチのみ、初期状態で覚えている「シューティングスター」以外は汎用特技しか覚えないが…その辺りは愛情でカバーしてあげたい。
  • キャラクターが職種に応じた独自の「特技」を使えるようになった。任意で使用可能な使用型特技と、習得していれば常時発動する常駐型特技の2種類が存在する。
    • 主人公ならば「衛星レーザーで敵を攻撃」「空中の敵への命中率を上げる」、メカニックはおなじみ「修理」や「機械系の敵を行動不能にする」、ソルジャーは「確率で射撃攻撃を無効化」「特殊な状態の敵にも当たる攻撃」…といった具合。
    • ちなみに使用の際に消費するのは「MP」や「スタミナ」などではなく「お金」である。
      • 修理や強力な攻撃を行う度に、仲間であってもお金を取られるシビアな世界観を表現したシステム…と言いたい所だが、何故か主人公自身が特技を使っても金を取られる
      • 常駐型の特技を覚えていると、発動したか否かに関わらず戦闘終了後に使用料が経費として差っぴかれる。赤字を防ぐ為にも、必要無い特技は積極的に忘れさせておくといいだろう。
    • 特技の習得や忘却は、特定の箇所にいるNPC特技仙人に依頼して行う。
      • 鋼鉄と火薬の世界に仙人というネーミングは中々ミスマッチではあるが、この辺りは本作が「なんでもありあり」であるが故の采配といった所か。

評価点

  • シリーズの顔ともいえる戦車について
    • 登場する戦車の総数は19台。うち5台はどれか1台を選択して所有する方式となっているが、それを差し引いても15台もの戦車を手元に置く事が可能。
      • 当Wikiの取り扱い対象となるシリーズ作品中では、登場戦車数は『メタルマックス4*1に次ぐ多さ、所持可能な戦車数については勿論断トツのトップである。普通にプレイするのであれば、全車を平等に使い倒すのは不可能に近い。
    • 戦車塗装システムの自由度が非常に高い。用意された塗装パターンの他、自分でデザインを編集して塗装する事も可能。
      • 特に戦車の一つ「野バス」は外観がまるっきり日本風のバスであり、各地のコミュニティには日本各地のご当地バスに塗装する職人が数多く登場した。
    • 一部戦車にはギミックが搭載されており、実際に動かす事が可能。砲塔を回したり、「はしご車」であれば梯子を伸ばしたりできる。意味は無いが何となくうれしい。
      • キーコンフィグで動作を割り当てる必要こそあるものの、フィールド上であれば町中でも屋内でもお構いなしに主砲をぶっ放す事だってできてしまう。砲弾を消費してしまう上、発射する事自体に全く意味は無いが(ry
  • シリーズ作品経験者ならニヤリとできる要素
    • マルチエンディング・インテリア屋・「戦車でバンバン!」を始めとするミニゲーム等々、シリーズおなじみの要素は本作でも健在である。
      • 初代『メタルマックス』でプレイヤーの度肝を抜いた「いきなりエンディング」もしっかり実装しており、最短でゲーム開始20秒前後でエンディングに到達できる。
      • 更には本作ラスボスや、大破壊の元凶であるスーパーコンピューター・ノアではなく、主人公が(地球ごと)人類を滅亡させてしまうエンディングまであったりする。
    • BGMは旧シリーズと同じく門倉聡が担当している。「愛のテーマ」は落ち着いた良アレンジとして好評の声が多い。
    • シリーズのもう一つの顔である賞金首モンスターも、個性派揃いとなっている。
      • 過去作の賞金首がモチーフの「ニュービートラ」や「カミカゼプリンス」、初代から登場する雑魚敵が大出世を遂げた「ポリ・ギガンティア」等々。
      • イベントの進め方次第で戦わずして賞金を得る事が可能なとある賞金首や、正面からぶつかっても撃破できず、特殊な手順を踏む必要がある「亡霊戦車大隊」といった具合に、ただ戦うだけではない賞金首も複数見られる。
      • そしてまさかの「ストームドラゴン」登場。もう飽きた筈の竜退治を本シリーズでもやる破目になろうとは…。
    • シリーズ過去作品を意識した小ネタも多い。
+ 本作のみならず、シリーズ過去作品のネタバレ要素も含みます。閲覧注意!
  • 戦車探しを依頼するイベントの際、通常では80000G近い大金を支払う必要があるが、特定の金額を提示すれば専用台詞と共に依頼を引き受けてくれる。
    • 実はこの特定の金額というのは、初代『メタルマックス』における戦車購入イベントの最低購入金額と同じ数字である。当然此方の方がお得。
  • シリーズおなじみのインテリア「金食い虫」に、『メタルマックス2』において入力したパスワードと同じ数字の金額を食べさせると特殊な形態に変化する。一度変化させたら初期の形態には戻せない点には注意。
    • 博物館のシャッター開閉に使ったパスワードならば妖精に、グラップルタワーのセキュリティシステムを操作する為のパスワードであれば蛇に、そして最終ダンジョンエレベータの扉を開けるパスワードのうち、施設左側の端末に入力するものでネコのような生物に変化する。右側の端末に入力するものでは何も起こらないので注意。
    • 『2』経験者であれば、同作にはあと1つ重要なパスワードが存在する事を知っている筈であろう。そのパスワードと同額の金を金食い虫に与えると…?
  • 圧倒的に高い自由度
    • シリーズ作品における最大のウリであった自由度に関しては、間違いなくシリーズ中トップクラスと評せる。
      • ボス敵との戦いもイベントによるフラグ回収も無しに、ゲーム開始直後からいきなり最後の街まで行けるのは、シリーズ作品でも本作だけである。
      • ストーリー進行に関してもフラグ管理が緩く、数回の会話と1回の中ボス戦イベントをこなすだけでラストダンジョンへ到達できる。
      • 街で入手できる装備が豊富であり、また通常の雑魚戦であれば逃走もしやすい。最低限の装備で最短クリアを目指すもよし、じっくりイベントをこなして主人公一行を強化していくもよし。2周目以降のプレイで煩わしさを感じる事も無い。
      • 『2』以降の本家メタルマックスシリーズが、ボス討伐やフラグ立てといった必須イベントとそれによる足止めが目立つようになっていった点を考えれば、本作を自由度に重きを置いた初代及びリメイク版『メタルマックス リターンズ』の正統進化と捉える事も可能ではある。
  • 新システム採用による改善要素
    • 戦車パーツに設定されている「強度」が低いと、いきなり大破してしまう可能性が生じるようになった。これだけだと単なる改悪だが…。
      • 特徴の項目で述べた「レベルと重さによって行動順が決定する」という仕様と組みあわさる事で、本作以前のメタルマックスシリーズ作品にあった「シャーシの防御力を上げるよりも、防御力を下げてでも軽くしたシャーシに装甲タイルを限界まで搭載した方が硬くなる為、重戦車が使い辛い」という問題が若干改善された。
    • 砲撃用の穴に関しても、簡単に入手可能な軽戦車は複数砲門どころか主砲・副砲・S-Eの一揃いすら不可能といった具合に、これまでのシリーズ作品よりも軽戦車である事のデメリットが強く出るようになっている。
+ 本作の隠し要素についての評価点を記述しています。閲覧注意!
  • 第3のソルジャー・アルファX02D
    • 本作最強賞金首候補の一角である「地上戦艦ティアマット」を撃破し動きを止め、更にその状態から戦艦に乗り込んで甲板の砲台を全滅させれば、戦艦内部を捜索可能となる。戦艦内部でカプセル内に安置されている彼女を起動させ、マスター登録を行えば仲間にして連れまわす事ができる。
    • 「起動」「マスター登録」という単語から察した方も多いだろうが、彼女の正体はティアマット内部で作られていたアンドロイド。その為、他ソルジャーには見られない以下の特徴を持っている。
      • 一切レベルが上がらず成長しないが、初期状態の時点でとんでもない能力の高さを誇る。
      • 装備不可能だが、これは裏を返せば常時重さゼロ、最速で行動可能というメリットでもある。
      • 宿屋に泊まってもHPが回復しないが、特定のNPCの元へ連れて行けばHPを回復できる。特技やアイテムを使っての回復も可能。
      • 習得可能な特技は汎用特技2種類を除くと全て専用の特技、且つ初期状態で習得済み。非常に強力なものが揃っており、しかも使用時にはお金が一切かからずお財布にも優しい。
      • 蘇生可能な回数に制限がある。10回までしか蘇生できない。
    • 仲間になった後、彼女にインテリアを贈る事も可能。贈ったインテリアはティアマット内部、彼女の安置されていた場所の隣部屋に飾ってくれる。
  • 11回死亡させてしまうと蘇生できなくなってしまうが、専用のイベントを発生させる事ができるようになる。
    • このイベントで「とある品」を奪いにくる雑魚敵を迎撃できれば、それまでとは違った形ではあるものの、「彼女」と一緒の冒険を再開できるようになる。
    • イベント完了後の「彼女」はイベント前の習得特技こそ使えなくなるものの、イベント前には有していなかった「確率で白兵攻撃or射撃攻撃を無効化」「生身での攻撃時に戦車の主砲で援護」といった強力な戦法を使用可能となる。この為、イベント発生前の彼女とイベント完了後の「彼女」の二者択一で悩むプレイヤーを量産したとか何とか。
  • 何より、鋼鉄と火薬とヘンテコモンスターが織りなす世界のキャラとは思えない程に可愛い。
    • 可愛い上に上述通りの強さを持つ為、人気も非常に高い。「この作品のヒロインはアルファ」と言い切るプレイヤーまで見られる程である。
    • 「条件を満たせばアルファと結婚できる」というガセ情報が、発売当初から実しやかに囁かれていたという事実も、彼女の人気の裏付けと評していいだろう。
    • こうした人気を公式も把握しているのか、後にリリースされたスマートフォン用RPG『メタルサーガ ~荒野の方舟~』で彼女のコスプレ装備が実装された他、ブラウザゲーム『リング☆ドリーム 女子プロレス大戦』においても、シリーズ代表としてシャーリィ共々ゲスト出演を果たすといった厚遇を受けている。

問題点

システム

  • たまに「PS2後期作品とは思えないほどグラフィックがショボイ」「ポリゴンはまるでPSレベル」と言われる。
  • 本作ではMAP切り替わり時に毎回ロードが入り、また時間もやや長い。特に「街→フィールド」のように広いMAPに切り替わった際に顕著。HDにインストールすれば多少は改善するが…。
    • にも拘らずメモリーセンター(いわゆるセーブポイント)を始め、戦車パーツ/道具屋、人間用装備/道具屋などすべての商店が建物内にある。そのため買い物に無駄な時間がかかる。いっそ『MM2』のバザースカのようなドライブスルー方式にすれば…。
  • バグが多い。
    • MAPが切り替わらない、戦闘開始時の画面暗転時にフリーズ、戦闘中に高速処理でフリーズ、など一部で再現性の取り難い、致命的な不具合あり。PS2本体の熱蓄積等との因果関係は不明。
    • 特定施設・特定条件下で、固定シンボルに阻まれ施設脱出不能(=リセットするしかなくなる)になる現象もあり。
      • これらの対策としては、こまめにセーブするしかない。尤も、前記の通りメモリーセンターへ行く際の手間・ロード時間がネックになるのだが…。

戦闘

  • 戦闘のバランスが非常に悪い。
    • 計算式が単純で、こちらより敵の方がレベルがわずかでも高い場合、必ず先制され大ダメージを受ける。逆にレベルが敵を上回っていると必ず先制でき、ダメージも微小となり圧勝できる。RPGらしいバランスよい戦いが出来るのはレベルが対等なわずかな期間のみ。
    • 本作はキャラのLVUPに必要な数値は全LV一律100ポイントとなり、獲得経験値は決まったポイントではなく、自分と敵とのレベル差に応じて決定される方式(いわゆる『FFVIII』方式)に変更。これにより経験値の高い敵を狩る楽しみが減少。しかもレベル差判定がかなり大雑把で、自分より多少強い敵を倒せば簡単に経験値が100入り、自分より多少弱い敵を倒せば1しか入らなくなるというアバウトさである。
    • なお仕様上100回戦闘すれば必ずLVUP出来るということになるが、逆に言えば終盤は「誰を倒しても経験値1」であり、レベル150あたりから作業感が激増。旧作の「スローウォーカー」(ドラクエで言うはぐれメタル)のような敵もおらず、終盤の経験値稼ぎは単調となる。
      • なお本作のレベルの最高値は何と4294967296。おそらくゲーム史上最も高くまでレベルを上げられるゲームであるが、前述の経験値の仕様もあり、現実にそこまで上げるのは事実上不可能。
      • ただし、これまでのメタルマックスシリーズでもバランス面に関しては良いとは言えない面があった。今作では生身の人間が戦闘している場合は必ず逃走が成功するので最悪逃げ回ってもよかったりする。
  • 攻撃速度の仕様
    • 致命的なのが、戦車の「装甲タイル(SP)」の数も重さに影響を与えるため、タイルを多く貼った車ほど遅くなるという点。戦闘ではレベル差に応じて大ダメージを受けるため、戦車に装甲タイルを貼らずに裸装甲で戦い、先手を取って敵の攻撃を受けるより早く殲滅するというスタイルの方が結果的に損失が少ない。従来のMMシリーズの特徴の否定であると共に、現実的に考えても変な絵面である。
    • 逆に装甲タイルを満載して挑んだところで、前述の通りレベル差のある敵には瞬く間に剥がされるため意味がない。しかも装甲タイルの単価は旧作と異なり本作では妙に高く(『マックス』シリーズでは10枚=1Gだったが、本作では1枚=1G)、所持金を浪費するだけの存在となってしまっている。
  • 戦闘のパターン化
    • 「その町で売っている装備やアイテムを買う→そのアイテムでザコ敵を倒す→落としたアイテムを酒場に売る」という方法が抜きん出てお金を稼ぎやすく、「安い武器を改造して乗り切る」とか「愛着のある武器を使い続ける」という別のプレイスタイルをとっていると赤字。ゲーム全編を通してひたすらアイテム狩りを繰り返すだけとなり飽きやすい。
    • 特に終盤の敵カズランが落とすぶにょぶにょの実は破格の値段で引き取ってもらえるため、延々と植物狩りを続けることになる。この収入は賞金首の賞金が可愛く思えてくるほど。
    • なお旧シリーズでは酒場で売れるアイテムはいずれもはした金であり、趣味的な要素でしかなかった。
  • パーツごとに設定されていた守備力値が廃され一元化された。が、その対象がシャシー(車体)ではなくC(コントロール)ユニット。結果コンピューターの守備力=戦車の守備力という謎の仕様に。コンピューターが外付けなのか? とか、バリアでも張ってるのか?*2 とか突っ込みきれない。
    • 一応、メタルマックスの世界では「Cユニットがあるから一人でも戦車が運用できる」という設定がある。Cユニットはいわば脳であり性能差によって防御能力に差が出るのはなんら不思議ではないが。
  • 本作では敵の状態が「通常」「空中」「高高度」「範囲外」「水中」「地中」「シェルター」「ステルス」と細かく設定されており、通常と空中以外の状態の敵には攻撃が当たらない仕様になっている。それゆえ、後半はこれらの状態を駆使する敵がゴロゴロ登場するので、ボス戦・雑魚戦でもストレスが溜まりやすい。
    • 対策としては特殊砲弾やS-Eの使用が挙げられるが、砲弾は「ショートアロー(対空中)」「RAP弾(対範囲外)」・「APFSDS弾(対シェルター)」の3つしかない上に攻撃力も従来の大砲依存から砲弾依存になり使いづらく、S-Eも説明文に記載がない割に「エクスカリバーは空中・水中・地中・ステルス・シェルターには効き、高高度・範囲外には無効」などとやたら細かく設定されているため、管理が恐ろしく煩雑となる。
    • やたら充実している人間用の状態対策手榴弾や、状態を無効にする特技もあるが、使用の際には戦車から降りて生身の状態になる必要があるので敵戦車の砲弾が直撃する危険性が高い。
    • 空中・高高度対策として本作初登場となる対空戦車もあるのだが、こちらは主砲が対空砲となるために地上の敵に主砲が当たらなくなるという副作用が発生する。*3
      • 結果として敵状態変化の登場は、面白さよりもプレイヤーを煩雑化させる意味合いの方が強くなってしまっている。
  • このゲームの舞台は大きく東部と西部に分かれており、ゲームは東部から始まる。序盤のうちはまだバランスもとれているのだが、西部へ移り変わって以降は敵が急激に強くなり、物価も著しく上昇。同時にゲームバランスが目に見えて大雑把になっている。

シナリオ

決して悪くはない。が、薄い。そしてマニアック。

  • 旧シリーズではショップの店員や町人の台詞回しが個性的だったが、本作では凡庸かつ冗長。わずかな例外もあるが。
  • 本作後半には「ローズ=ベルディア」が戦車や兵器に関してやたら細かいFAQをしてくれるが、上記の作りこみの甘さを考えると力の入れどころを間違えている印象がある(FAQの内容も、軍事オタクなら知ってて当然、一般人なら「そんなの知ってどうすんだ」という誰得もの)。
  • 武器の名称も個性的なものが少ない。かわりにオートマグやPPsh41などコアな銃器が多い。銃器マニアには嬉しいが武器の名前が覚えにくくなっている。
  • 主に賞金首絡みで、敗北すると再戦不可能になる相手や、(後に回収不可能になる可能性のある)行動・選択肢・フラグを立てていないと戦えない相手が一部存在する。
  • 過去のMM作品の台詞そのまま、もしくはそれに影響された台詞を人々から聞く事もできるが、如何せん本作そのものの内容が薄い為、凡そ悪い意味で、過去作品の内容を引きずっている・流用、引用しているとの見方をされる事もある。
  • 今回のラスボス「アレックス」は『メタルマックス』のラスボスであるスーパーコンピューター・ノアの端末という設定である。端末といっても見た目は黒いスーツにサングラスの男であるが。
    • ノアは既に破壊されているが、端末はなおも稼働しており人類の絶滅を目指して行動している。しかし『MM1』のノア、『MM2』のバイアス・ブラドらはゲーム中の露出こそ少ないが強烈な個性と名台詞を残したラスボスであり、それらと比較して個性でも存在感でも薄い。ついでにノアの端末であるという設定も必要性が薄い。
    • 最後の戦いでは変身して襲いかかってくるが、その姿は中途半端な悪の怪人。発言も「だからせめて~」「力を振り絞ってやって来た~」と凡庸な主人公への恨み節のみ。
      • しかもその戦闘で主人公達を抹殺しても父親に倒され、ミンチに蘇生されるので結局は無意味というのが哀れ…
    • その勇姿(?)はこちらで確認できる。
    • 初代のラスボスに依存した設定であり、しかも没個性に終わったため、確固としたメタルサーガ色を打ち建てることができなかった。そのために意味もなく初代とのリンクを図った同人的な設定と辛い評価を受けた。
      • ただし本家の続編でも当時は初代ラスボス程度の存在感しかなかったノアをプッシュする方向でイベント描写がされている点を鑑みると、本家スタッフの意向である可能性が高く決して無意味ではないと言える。

サブイベント

結婚

  • 今作では特定の女性キャラクターと結婚してエンディングを迎えるという特殊なゲームクリアが用意されている。『MM2』であったイリットとの結婚ENDをより強化発展させたもの。
    • 対象は仲間キャラクターのメカニックであるミカ(幼馴染のメガネっ娘。(ボクっ娘でもある))、酒場の看板娘レイチェル(お隣の幼馴染。ツンデレ)の二人。
    • なぜか女性キャラクターの一人、「ローズ=ベルディア」に結婚ENDがない。ローズが主人公と関わるイベント数は名有りキャラクターの中でも最多クラスで、下手な仲間キャラクターより多いほど。途中までは親密になっていくイベントがあるのだが、突然ぶつ切りになりそれ以上の進展はなくなってしまう。

インテリア

  • 旧シリーズ同様主人公にゆかりのある場所や人にインテリアを買って贈ることができる。
    • 対象はほとんど女性キャラ。主人公の母親や妹も含まれる。中にはショタキャラすらいる。
    • 家具はもちろん服まで送ることができ、ドレスやチャイナドレス、和服のほかメイド服水着もある。もちろん着てくれるしグラフィックも変わる。
    • 母親のニーナは修理工場を開いており、「ハンターとして旅立ったのなら甘やかさない」として息子が相手でもきっちり代金を請求する。だが気に入ったインテリアを渡すと代金を半額に割り引くイベントが発生するのだが、修理費よりインテリアの方が遥かに高い為、実用性はゼロ。
    • これ自体はお遊び要素なのだが、なまじ本編のバランス調整が甘かったために、上記の軍事FAQや結婚イベントと併せて「力の入れどころを間違えている」と必要以上に非難を受けることになってしまった。
    • 母親のニーナに対し母の自室で話しかけた場合、会話終了後に部屋を出て行く行動パターンがある。この際インテリアのテーブルを贈った状態だと、ニーナがテーブルに引っかかって出られなくなるバグが存在する。

その他

  • 『MM1』で最強武器であった主砲「220mmガイア」が今作では店売り。しかも最強ではなく威力は中堅程度。見た目もいいだけに惜しい。
    • その一方、最強の主砲の名称が「プラズマキャノン」というロマンのなさ。上記と入れ替えてくれれば…。
  • 人間用防具で最強を誇る体用防具が「メイド服」。今までも鉄のガードル、ハイレグアーマー、ケブラーチャイナといった変わり種の防具は存在していたが、特異なネーミングセンスに対しこちらはただのメイド服。世界観を完全に無視。ちなみに世界に1着のみ。
    • いちおう『MM1』にもメイドは登場しているが、ただの使用人としてである。
    • 『MM2』でレアな最強クラス防具であったサラトガアーマー、CVCアーマーは今回も登場しているのだが、このメイド服の半分にも満たない防御力。しかも中盤で出る店売り品である。
  • 「大きなメダル」という収集品があり、おおきなメダルマンという人物に譲ることができる。言うまでもなくDQの小さなメダルに対するパロディだが、説明書での思わせぶりな説明に反し、こちらの場合は集めても何ももらえない。よってメダルは見つけるだけ無駄である。メタルマックスはDQに対するアンチテーゼという面があるが、この点にこだわりすぎた結果お荷物にしかなっていない。
    • ちなみに、譲った枚数はメダルを渡す時にしか教えて貰えない為、手持ちのメダルを全て渡してしまうと枚数を確認する方法が無くなる。
  • 使える目的がない正真正銘のガラクタアイテムが多数登場する。それらを処分しようにもトランクルーム(いわゆる預り所)の容量が少ない(最大200個まで)。『1』『2』では希少アイテムを片端から預けていってもまだ余裕があった。
    • 過去作にも、ゲーム的に意味のないアイテムは在ったが、それらは使用するとほとんどが固有のリアクションを返してくる為、一種のネタとなっていた。今作のは手間と数だけは多い割に微妙且つ短い説明文が有るだけのガラクタばかりに。
  • 本作には合成してアイテムを作る要素がある。各地で手に入るジャンクパーツを鑑定してもらうと、4種類の合成用アイテムのうち一つに変化、これを合成してアイテムにするという内容である。
    • 特に「旧文明のジャンク」の鑑定で出現するパーツ「ドングル13」は最強の武器を製作するのに欠かせないアイテム。が、このドングル13の出現確率が低く、手に入るまで何度となくリセットを繰り返す羽目になる。しかもパッドリセットはない
    • 旧文明のジャンクを手に入れるためには特定の賞金首モンスターの確定ドロップしか手段がない。クリア後の隠し要素として、賞金首との総当たり戦(何度でも挑戦可能)も存在するが、それでも希少アイテムには違いなくリセットは必須。

総評

ファンの期待を一身に集めての作品だったが、バランス調整の甘さやボリューム不足が目立ち、期待に応え得る出来とは言い難い。
一応、これまでの作品を模倣しつつも新システムを追加してこれまでの問題点を改良しようとしていた点は評価できなくもない(事実本家でも採用されている物が多い)し、自由度は本家を上回っており、決してどうしようもないクソゲーと言うほどではないのだが、それでもロードの長さとバランスの悪さ、伸ばせそうな要素もなぜか中途半端であったりと、勿体無い箇所がいくつも見られるのは作り込みの甘さの体現と言えるだろう。
シリーズではなく、単独として見た場合でも凡庸な評価にならざるを得ない所である。

なお、本作はあくまでガッカリしたというレベルであったのだが、2006年にDSで発売されたメタルサーガシリーズ2作目『鋼の季節』においてはバグが非常に多く操作性も最悪などでガッカリでは済まされない事態となった。


余談

  • 後に発売されたザ・ベスト版ではタイトルに「APPENDIX」という項目が追加されている。
    • 実物の柴犬にバズーカの模型を背負わせた広告や、直販サイトでの予約特典である小冊子で描かれた4コマ漫画、そして3種類のPVを自由に閲覧可能となっている。
    • あくまでも噂レベルではあるが、通常版と比較してフリーズする確率が低いという情報もある。今からプレイするのであれば此方がオススメ。
  • 本作に登場する賞金首の中には「ブック=フォレスト」なる輩が存在している。討伐前後のイベント含めて苦笑いしたシリーズファンも多い筈。というのも此奴、1999年初頭に「メタルマックスシリーズ新作を開発する」と称して投資金を騙し取ろうとした投資詐欺事件が元ネタなのである。
    • この事件を引き起こした人物が名乗っていたのは「モリモトナオキ」。姓の部分であるモリモトを漢字表記にすると恐らくは「森本」。森をフォレスト、本をブックと英単語にして順番をひっくり返すと…。
    • 尚このモリモトナオキを名乗る輩、事件から20年以上が経った現在でもその正体は分かっていない。彼自身はメタルマックス2製作に携わった経験があるとも嘯いていたが、事件発覚当時のデータイーストは「モリモトナオキという人物は全く知らない」と全否定している。