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バトルファンタジア - (2022/11/29 (火) 10:25:07) の編集履歴(バックアップ)



バトルファンタジア

【ばとるふぁんたじあ】

ジャンル 対戦型格闘ゲーム
対応機種 アーケード(Taito Type X2)
販売元 タイトー
開発元 アークシステムワークス
稼働開始日 2007年4月26日
判定 なし
ポイント 2.5次元による新時代の格ゲー演出
高額な基盤価格が仇に


概要

従来の2D格闘ゲームのゲーム性を保ちつつ、3次元コンピュータグラフィックスで製作されている格闘ゲーム。
ヒロイックファンタジーを下地にした幻想的な世界観をもつ。また、海外ではその技術的評価も高い。

特徴

  • 和製ロールプレイングゲーム風の温かみのあるファンタジー世界観が特徴。
    • ゲーム中体力がHPとして示され、ダメージを受けると数字としてダメージ表記があったり、パワーゲージが「MPゲージ」となっていたり、各キャラにRPG風の装備品やレベルなど細かい設定があるが、それらはあまりシステムとしては生かされていない。
      • 例えば、HPは低いキャラだと2000、多いキャラだと6000と差が激しいが、最大HP量に比例してダメージは増減する。一応数字どおりHPの高いキャラは体力も高いのではあるが。
  • グラフィックはHDによる3Dだが、イラストを意識したようなシェーディングがかけられている。
    • カメラの使い方の他にも、「女性キャラに対して投げがスカートめくりになる」といった3Dならではの演出も個性的。
  • アークシステムワークスといえば代表作『GUILTY GEAR XX』を想起されるが、本作は『GGXX』のような複雑なシステムは無く、コンボゲーではないシンプルな格闘ゲームとなっている。
  • 特徴的なのが専用の5ボタン目を使った「ガチ」というシステム。
    • 有り体に言えば『ストリートファイターIII』のブロッキング。専用のボタンを使う点では『月華の剣士』にも近い。
      • この他にも通常投げの入力が弱パンチ+弱キックの同時押しだったりと『ストIII』を参考にした点が見られる。
    • レバーを前に倒してガチを入力すると「ガチドライブ」という相手を弾き返す専用の攻撃が発生する。
  • また、「ヒートアップ」という任意で一定時間パワーアップできるシステムがある。
    • ヴァンパイアセイヴァー』のダークフォースのように各キャラ個性的な内容。中でもワトソンのヒートアップは研究により強力なコンボが発見され、『GGXX』または『北斗の拳』のアークとしての片鱗が垣間見える奥深さがある。
  • キャラクターは11人+隠しキャラ1人。全体的に線が柔らかく、ほのぼのとして可愛らしさがあるデザイン。
    • 声優陣はキャリアの浅い新人や、実力は確かだが有名ではない中堅が揃う。中には石渡太輔氏の名前も…。
      • 有名な声優だと”パーマン一号”三輪勝恵氏や”ブタゴリラ”龍田直樹氏といった名前が。恐らくそういった世界観を狙ったのだろう。

評価点

  • 革新的なビジュアル。
    • 当時の最新基盤であるTaito Type X2を使用し、美麗なグラフィックを実現している。
    • さらに、3Dポリゴンで作成されたキャラを2Dゲームに落とし込む、いわゆる「2.5次元」を採用。 3Dを生かした迫力ある演出は後の格闘ゲーム作品に大きな影響を与えた。詳しくは後述。
  • 初心者への敷居の低さ。
    • システムはシンプルにまとまっており、コンボも一部キャラを除いて短いため、比較的覚えることは少なめ。
      • キャラ毎に個性的な能力があるヒートアップ等、やりこみ要素は存在する。
    • ガチシステムの存在もあり、立ち合い・読み合いが重視されるゲーム性となっている。

問題点

  • 高額な基盤価格。
    • アーケード用の基板は非常に値段が高く*1オペレーターに導入をためらわせた。
      • せっかくの完全オリジナル新作にもかかわらずプレイできる環境は少なく、対戦が盛んな場所となるとさらに限られてしまった。
  • 強キャラ周りに問題点が多い。
    • セドリック
      • ボタンによる溜めコマンド(いわゆるターンパンチ)の「St.ドロップキック」という必殺技が強すぎる。約5秒ほど溜めてから使うと、威力高い・発生早い突進速度速い・ガードされて隙無し・当てて連続技・通常投げなどから確定などやりたい放題の性能。
    • ドン・バルブ
      • このゲームでは「ジャンプ移行中に投げ無敵が無い」という、格ゲーのセオリーを覆すような仕様になっている。そのため、起き上がりに必殺投げ(いわゆるスクリュー)を完璧なタイミングで重ねると、投げ抜けも不可能なので確定してヒットしてしまう。
    • アシュレー
      • ヒートアップ中に使える永久連続技がある。これがレシピと共に動画が動画サイトに出回り情報が拡散。
    • なおこれらの問題点は家庭用に移植される際に修正され、PS3/360及び現在稼働中のNESICA×Liveの対戦は良好なバランスで楽しむことができる*2
  • ラスボス戦の仕様。
    • ラスボスであるジ・エンド オブ デスブリンガーはHP32765、被ダメージ1桁という化け物じみた能力を持っており、真っ向勝負ではほぼ撃破不可能。
    • ゲージを消費してヒートアップすることでまともにダメージが通るようになるがノーヒントである。
  • 王道RPGのような世界観が一つの特徴である本作だが、アーケード版だけではストーリーも設定を匂わす程度であり、いまいち理解できない部分が多く、キャラクターや世界観の魅力をあまり引き出せていない。
    • この辺りは家庭用移植の際にストーリーモードが追加されたことにより、かなりの部分にフォローが入っている。

総評

総合的に見ると格ゲーとしての出来は十分で、それ相応に楽しめる一作と言っていい。
グラフィックなど作り込みも確かで、少数ながら現在も根強いファンも存在している。
特にグラフィック面は業界内でも評価が高く、『ストリートファイターIV』に影響を与えるなどしている(英文ソース)。
また、アークシステムワークスが後年に発表した『GUILTY GEAR Xrd』のグラフィックが高い評価を受けたのも、本作などでの下積みがあってのものだと再評価する声も見られている。

しかしながら、築き上げてきた『GUILTY GEAR』というブランドに対しての本作の内容、3Dを使って2D的世界観を表現した手法、それを実現するための高性能基板、それ故に高価なための出回りの悪さが目立つ。
また、幅広いユーザー層を狙ってデザインされたと思しき格闘ゲームに似つかわしくない子供向けっぽいキャラクター、そのキャラはそれを魅力的に感じる層へのアピールとなったのか等々…。 高い技術力と気合を入れた作り込みが裏目に出たうえ、企画段階から微妙にズレていたベクトルへ格ゲーファンを振り向かせるには至らなかったという、とことん惜しい作品である。

余談

  • 2008年5月29日にPS3とXbox 360への移植版が発売。ストーリーモードとオンライン対戦機能が追加されている。
    • 追加されたストーリーモードはなかなか凝っており、バトル前に非常に長い掛け合いがフルボイスで行われる。さらに負けた場合にもこれまた長い掛け合いがフルボイスで行われる。
    • 全キャラクターに表・裏の2つのストーリーがあり、特定のキャラ相手の時に特定の条件を満たすことで裏ストーリーに分岐する。
  • 2011年7月6日にNESiCA×Liveで配信された。過去のアーケード版そのままではなく、家庭用版のバランス調整が反映されている(ストーリーモード等は未収録)。
  • 2015年7月7日には、SteamのDL専用ソフトとして『Battle Fantasia -Revised Edition-』が発売。
    • ゲームバランスはアーケード最終版(NESiCAxLive版)をベースに、家庭用の追加モードも全て収録されている。オリジナルサウンドトラックも無料DLCとして配信。
    • 配信当初は不具合がいくつか存在したが、2015年11月25日の「TK patch 1.01」アップデートで修正され劇的に改善されている。