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プロ野球ファミリースタジアム'88年度版 - (2012/10/30 (火) 22:25:42) の編集履歴(バックアップ)


プロ野球ファミリースタジアム'88年度版

【ぷろやきゅうふぁみりーすたじあむ はちじゅうはちねんどばん】

ジャンル SPG
対応機種 ファミリーコンピュータ
メディア 1M+512KbitROMカートリッジ
発売・開発元 ナムコ
発売日 1988年12月20日
定価 4,900円
プレイ人数 1~2人
ポイント 12球団勢ぞろい
無念の選手名変更
ファミスタシリーズリンク

概要

1988年12月にナムコから発売された大人気野球ゲームの第3弾。基本的なゲームシステムは前作『プロ野球ファミリースタジアム'87年度版』及び前々作『プロ野球ファミリースタジアム』(以下「従来作」と記述)とほぼ同様。同年3月に発売された業務用『プロ野球ワールドスタジアム?』にて採用された球場選択・打順変更の要素を取り入れた他、チーム数の増加や選手データ更新、好調選手、エラー、ファインプレー、チームエディットなどの新しい要素が数多く盛り込まれている。また従来作に於いて選手名を無許可で使用したことが問題視され、本作より選手名が微妙に変えられてしまった。

システムの変更点

  • 容量の関係などの事情から「レイルウェイズ」「フーズフーズ」という連合チームとなっていたチームが全て独立し3作目にしてセパ12球団(をモチーフとした球団)が勢ぞろい。これに'87年度版から引き続きの登場となるN・Mチームを加えた14球団でジャパンリーグが形成される。この他投手枠が2名増え6名となった。
  • 1Pモードの仕様が、任意の対戦相手と球場を選択して開始するように変更された。ただし2試合目以降の対戦相手と球場は自動的に決められ、プレイヤーには選択権は無い。また従来作のように敗れてもゲームオーバーにはならずそのまま13試合を戦い抜くまでゲームを続行できる。
  • ピッカリ球場に代わり実在の球場をモデルとした4つの球場が登場。球場毎に外見やスペックが異なるが両翼中堅・フェンス高以外にプレイに関係する要素は無い。
    球場名 モデル球場 両翼 中堅
    どうむ 東京ドーム 100m 122m
    ろっこうさん 甲子園球場 91m 120m
    しゃちほこ ナゴヤ球場 91m 119m
    かせんじき 巨人軍多摩川グランド 85m 110m
  • 打順の変更が可能となり、スタメン8人の範囲内で自由に変更ができる。ただし控え選手との入れ替えは出来ず、好調選手が誰なのかはこの時点ではまだわからない。1Pモードで打順を変更した場合、変更した打順はそのまま次の試合に持ち込まれる。この他、球場選択や打順変更時には業務用と同じBGMが流れるようになっている。
  • ファインプレー・エラーの採用。打球に近づいた状態で方向キーとAボタンを同時に押すと上下左右の方向に野手がダイビングまたはジャンプをする。飛びついた野手は捕球の成否に関わらず約1秒ほどその場で静止するため、外野手の場合ファインプレーに失敗すると打球の処理に多大な支障をきたすことになる。なおCOMはファインプレーの動作はしない。エラーに関しては『プロ野球ワールドスタジアム (PCE)』にて記述したため省略。
  • 「好調選手」システムが導入された。対人・COM戦ともにスタメン野手8名の中からランダムで2名が「好調選手」となり、本塁打データが20本増し*1で計算される。また7回になると「ラッキー7」ということで、表裏ともに全選手が好調選手となる、打席に立った投手も好調選手となるため、投手でも本塁打を打てるようになった。ただし既に好調選手であった場合、「ラッキー7」時の打撃データ上乗せは無い。*2
好調選手は打席時にバットを振る、ラッキー7の応援
  • タイトル画面でセレクトを押してカーソルを1周以上させることにより「先攻びいき」「後攻びいき」というものが登場、「ひいき」された側は全選手が好調選手となる一方、されなかった側はラッキー7による恩恵が受けられなくなる他、得点するとブーイングのような効果音が起こり、ホームラン時にも歓声が起こらなくなる。ただし試合開始時の好調選手は従来通りである。
  • チームエディット機能が搭載され、予め用意されたサンプルチームのデータを自由に変更しナムコスターズと入れ替える形で試合に使うことができる。選手名に関しては制約は無いが、投手・打者ともデータに上限・下限が設けられている他、選手全体のパラメータの合計値が定められているため、全選手を能力を高く設定するといったことはできない。
  • 試合結果を報じる情報媒体が「ナムコットスポーツ」から「NAMCOT SPORTS NEWS」へと変更され、球場別に登場する4人の女性キャスターが番組を担当する。この他、従来作にあった試合結果によって算定された年俸も引き続き表示されるが、1Pモードの仕様変更に伴いパスワードは表示されない。なお優勝した場合は球場に関係なく、『トイポップ』に登場する「アチャ」がニュースキャスターを務める。

女性キャスターとアチャ

評価点

  • 「好調選手」システムの導入。好調選手には本塁打データが20本上乗せされる仕様のため、従来作に於いて代打と交代させられるケースもあった下位打線の選手にも、活躍の場が与えられるようになった。
  • 増えたチーム。単独チームとして操作できなかったF・O・H・Buチームがそれぞれ独立したため、これら4球団のファンにとっては嬉しい仕様変更。本作が発売された1988年を最後に経営権が譲渡され、消滅した南海ホークス(もどき)がプレイできる唯一のファミスタとなった。なお業務用初代ワールドスタジアムやMSX版でも南海ホークスでのプレイが可能。
  • 成功すると快感なファインプレー。「あと一歩で取れたのに」といった打球をファインプレーで処理できるようになり、打撃時のみならず守備時にもプレイヤーの技術がさらに要求されるようになった。

ファインプレー

  • 早くなった塁タッチ(ボールを持った野手を指定した塁まで移動させる)。従来作では塁タッチの動きが遅いため狭殺プレーとなった場合、走者をいつまでも追い詰めることができなかったが、本作ではその動作が非常に速くなり、挟まれた走者は追いかけられるとほとんどの場合タッチされアウトになる。
  • ひいきの要素でハンデ設定ができる。対人戦で彼我の実力差がある場合や、上級者にとっては物足らないCOM戦に於いて「ひいき」を使うことにより、双方の差を補うことが可能。

カーソルを一周させるとひいきが使える、ひいきされたチームは全イニングで応援が入る

  • 選手名に使われる文字数が1文字増え5文字までとなる。濁点半濁点も1文字とみなされるため、この1文字の差は大きい。筈なのだが、肝心の選手名がおかしくなっているので、さほど生かされていない。

問題点

  • 1Pモードに於けるパスワードの廃止。優勝するためには最終戦まで電源を切らずに勝ち進む必要があり、1試合平均20分としても13試合で4時間半程度かかるというハードなシステムとなった。中断したい場合は、試合中にタイムをかけるか試合後のスポーツニュース画面やオーダー変更画面などで電源を入れたまま放置するしかなく、ハードウェア的にも電気代的にも優しくない要素となった。
  • すぐ疲れる投手。投手が4人から6人になったのはいいが相対的に個々のスタミナが落ちており*3、速球もフォークも使わず普通に投げても早い投手は3回で疲れ始め、結局継投に頼らざるを得ない。1Pモードの場合、パスワードが廃止されたため*4、先発投手を全員使ってしまうと、次の試合ではリリーフ投手2人で凌がなくてはならないという苦しい状況に陥る。

疲れてくると肩で息をしはじめる、リリーフ投手は1回もてばいい方

  • 失敗するとドツボに嵌るファインプレーと、ほとんど意味の無いチームエディット*5
    • 前者は「打球に近づいてキー入力をする」という仕様であるため、方向キーとボタンの同時入力さえすれば、野手は打球の方向に関係無くダイビングなどの動作をする。このため方向キーの入力をミスすると、打球は右なのに野手は左に飛ぶ、正面のゴロをジャンプしてかわすといった常識外の守備行為を取ってしまう。
    • 後者に関しては、本作はバッテリーバックアップ機能を搭載していないため、電源を切るとエディットしたチームは消えてしまい、一から作り直しとなる。AまたはBボタンで平仮名を一文字ずつ順繰り逆繰りする仕様のため、選手名データの再入力にはかなりの時間を要する。

チームエディット、作成したチームはYチーム(Yours)としてリーグに参加できるが、電源を切るとそれまで

総評

ゲームのメインとなる1Pモードのパス廃止が地味に辛い。休み無しでプレイしても3・4時間はかかるため、「1日1時間」といった具合にゲームの時間が決められていた当時の子供にとっては大きな痛手となった。*6これを考慮され「パス無しぶっ続け」は本作が最初で最後となり、後作に於いてはパスワードの復活やバックアップカートリッジが導入されることとなった。