「ファミスタ'89 開幕版!!」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

ファミスタ'89 開幕版!! - (2021/10/22 (金) 21:08:35) の編集履歴(バックアップ)


ファミスタ'89 開幕版!!

【ふぁみすたはちじゅうきゅう かいまくばん】

ジャンル SPG
対応機種 ファミリーコンピュータ
メディア 1M+512KbitROMカートリッジ
発売・開発元 ナムコ
発売日 1989年7月28日
定価 4,900円
プレイ人数 1~2人
判定 なし
ポイント 隠しチーム2球団登場
ファミスタシリーズ


概要

1989年7月にナムコより発売された人気野球ゲーム第4弾。
これまで『ファミリースタジアム』と銘打って来たが、本作より略称である『ファミスタ』がそのままゲームタイトルに使用され正式名称となっている。
奇しくも「平成」という新しい時代に合わせて正式名称にモデルチェンジしたような形になった。

ただ内容的には『プロ野球ファミリースタジアム'88年度版』のデータを変更したマイナーチェンジ版ソフト。
その為、各項に於ける記述は相違点に留める。ゲーム評価の詳細は該当記事を参照。

ゲーム内容

  • 前作14球団に隠しチーム(後述)が加わり全16球団となった。球場選択・打順変更・好調選手・ひいきなどのシステムに変更は無いが、1Pモードに於けるパスワードが復活し、電源を切っても続きから再開できるようになった。前作同様、最初に対戦するチームと球場を任意で選択でき、以降の対戦相手と球場は自動的に決められるが、パスワードコンティニューで始めた場合は球場のみ選択が可能。
  • 13チームに勝ち抜くと、PCE版プロ野球ワールドスタジアムに登場した隠しチーム2球団が登場。投打の能力値の高さは勿論、守備時の野手の移動速度や塁タッチがこちらよりも速いうえ、全員素早い送球をしてくるなど、攻走守に全く隙がない万能チームとなっている。ともにCOM専用のチームとなっておりプレイヤーが操作することはできない。
    プロスターズ
    13番目の対戦相手として登場
    PCE版では「オールドスターズ」(Oチーム)と名乗っていたが、オリエンツと頭文字が重複するため、チーム名が変更となった。
    王・長島・張本など昭和時代の名選手が集結した強豪チーム。前作を最後に現役引退した山田が早速こちらに移籍している。
    強いことは強いが、通常のチーム同様、変化球攻めで三振は奪える。
    オールドリームス
    最後の対戦相手として登場
    野球漫画・アニメのヒーローが集結したドリームチーム。『緑山高校』の二階堂がなぜか右投げとなっている。
    全員がチート級の能力。バットを振ればヒットになる。投手以外に安心して対戦できる打者がいない。
    プロスターズと違い、誰がどんな球を投げようとも三振を奪うことができない。フォークボールも無効化する。
    ピッチャーの「ほし」は高確率で消える魔球を投げてくる。
    普通にやったら勝てない、やっぱりPCE版同様にズルするしかない。
  • チームエディットのシステムが大幅に変わり、作成した選手を任意の球団の選手と入れ替える形で使用することができる。前作のエディットと異なり全体パラメータの合計値が無いため、能力値を最大値まで引き上げた選手を量産することも可能である。ただしバックアップシステムを搭載していないため、前作同様リセットしても選手データは消えないが、電源を切るとエディットした選手は消えてしまう。
+ 画像

左から/デフォルト画面・左端の「と」で入れ替えが可能・入れ替わった選手達

  • 試合の結果報告は引き続き「NAMCOT SPORTS NEWS」が担当。1Pモードのパスワードもここに表示される。球場別にキャスターが異なるという点に関してはそのままだが、優勝時に登場する「アチャ」を除く全キャスターが交代となった。

評価点

  • 横への動きが緩慢だったCOMの守備が賢くなり、内野ゴロの処理能力が上昇。
    • 従来作にて頻繁に見られた「セカンドゴロ・ショートゴロが三塁打・ランニングホームランになる」といったケースは減少した。
  • パスワード機能の復帰
    • 前作はパスワード廃止したことで長時間プレイを強制されたが、パスワードシステムに戻った事で遊びやすくなった。

問題点

  • 発売時期が年末であったために、当年度のNPB成績をゲームデータに反映できたファミスタであったが、本作は後述の事情から7月という中途半端な時期に発売された。そのため近鉄のハーマン・リベラや西武のオレステス・デストラーデのようにシーズン途中に入団した選手に対応できなかったほか、実際の成績と大きく乖離してしまった選手も見受けられるという作品となってしまった。
+ 詳細
選手名(ゲーム中) 現実('89) ゲーム 現実('88)
ブライアント(ぶらいあ) .283 49 129試合 .294 34 .307 34 74試合
ドッドソン(どつと) .313 0 6試合 .250 16 .178 0 17試合
ブーマー(ぶうまん) .322 40 130試合 .310 26 .289 14 88試合
バークレオ(ほえれお) .210 6 37試合 .268 30 .268 38 118試合
バナザード(ばなな) .271 34 122試合 .302 20 .315 20 111試合
ディアズ(らんぼう)*1 .301 39 130試合 .260 20 .235 3 87試合
クロマティ(くろます) .378 15 124試合 .310 28 .333 8 49試合
呂明賜(るる) .282 2 18試合 .256 20 .255 16 79試合
ロードン(ろんどん) .300 22 123試合 .260 14 .100 0 20試合
フィルダー(おひるだ) .302 38 106試合 .260 28 .230 9 74試合
ポンセ(ぽんち) .264 24 130試合 .302 34 .292 33 130試合
パリッシュ(ぱあやん) .267 42 130試合 .280 28 .217 14 120試合

※このシーズンから日本球界に参戦した、ドッドソオン(近鉄)、ディアズ(ロッテ)、パリッシュ(ヤクルト)、フィルダー(阪神)、ロードン(広島)の'88年成績はメジャーでのもの。

  • 1987年以前も日本球界に在籍していた選手は、それを加味した数値になっており1988年から参戦した選手は前年のみを参考にされている。
    • 特に格差が如実なのがバークレオ(西武)*2で、この年は変化球への如実な弱さが露呈していたため極度に成績を落とした。
      現実では6月に上述の通りデストラーデが加入し、その穴を埋める活躍をした。そのためゲームでは「バークレオ=デストラーデ」のような格好に収まっており、クリーンナップの打力は現実とあまりかわらないものになっている。
  • パリッシュやフィルダーは開幕前からその強打を見せつけていたこともあってスラッガーとして元々高いものになっていたが、実際はそれをはるかに上回った。
  • ドッドソンはホームランよりもヒット量産のアベレージタイプの打者だったが、注目度が低かったためあまりその実情が知れ渡らず前年限りで退団した強打者ベエンジャミン・オグリビーの後釜として獲得した経緯や、前年のメジャー成績に光るものがなかったため低打率の中距離程度になっている。

総評

基本的には『プロ野球ファミリースタジアム'88年度版』のマイナーチェンジ版である。
実際の選手データとのずれの問題はあるものの、CPUの動きが良くなったり、パスワード機能を復帰させたりと確実に遊びやすくはなっている。


余談

  • ライセンス契約更新の難航
    • この年の夏に任天堂・ナムコ間に於けるライセンス契約更新の交渉が難航し*3、最悪の場合、ファミコン市場からナムコが撤退する可能性も否定できないとゲーム業界メディアで報じられたため*4、本作はライセンスの期限切れを間近に控えた駆け込み発売となった経緯がある。
      • その後、この問題は解決の運びとなり、これまで通りナムコはファミコンソフトを発売し続けたが、この年の暮れにも『ファミスタ'90』が発売されたため、以後は発売年度とゲームタイトル年度が1年ずつずれることとなった。
      • また、この問題からナムコは任天堂との決裂こそしなかったものの、遺恨を残したことには変わりなく後の第5世代で独自のハード開発を画策。結果的にそれは頓挫したものの、任天堂にとってはライバルとなるプレイステーション(SCE)草創期に、積極的に参入しソフトを供給して後の飛躍に繋がる土台を築き上げた。
  • 守備ルーチンの上達は当時のゲームライターからも好評を博し「より人間的になったコンピューター」と評されている*5
  • 86年度版から87年度版へのバージョンアップがそうであったように、本作もまた88年度版のデータを変更しただけのものに過ぎず、「単なるマイナーチェンジ」と厳しい評価を下す声もあった*6
  • それまで『ファミスタ(初代ファミスタ・ファミスタ'86)』『ファミスタ'87』『ファミスタ'88』と、このような略称表記が日常的に使われており、勿論その正式なタイトルは『プロ野球ファミリースタジアム』(無印・'87年度版・'88年度版)であることは暗黙の了解だった風潮が2年半も続いたせいか、まだ「『ファミスタ』はあくまでも略称」という名残が強く「『ファミスタ』が正式名称になった」という認識が薄かったこともあってか攻略書籍では『プロ野球ファミリースタジアム'89年度版』という誤用が多々あった。