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SuperLite1500シリーズ 魔紀行
【すーぱーらいとせんごひゃくしりーず まきこう】
ジャンル
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サウンドノベル
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対応機種
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プレイステーション
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発売元
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サクセス
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開発元
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ビリケンソフト
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発売日
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2001年5月24日
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定価
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1500円
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判定
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なし
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ポイント
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陰陽師よりもインスマス
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概要
サクセスによる廉価版ゲームシリーズ「SuperLite 1500」の1作。
「ミステリアスアドベンチャー」と銘打たれているが、実際はホラーものである。
ストーリー
大学のオカルト研究会に所属する佐原明彦と、その後輩の水野利佳は、とある会員制サイトが企画するホラースポットツアーに参加する事になった。
舞台である京都に到着し、様々なミステリースポットを巡り、宿泊予定の旅館に向かうのだが…。
特徴
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本作を開発したのは、この2年前に発売された『ノベルズ ゲームセンターあらしR』と同じビリケンソフト。また原作者は、同作収録の『イーブルネット』と同じ石田一氏(SFホラー研究家)。
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グラフィックは『ノベルズ』同様フルCGであり、男性キャラは青、女性キャラはピンク、モンスターは紫のシルエットで表現されている。
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ストーリーは、メインの「桔梗楼編」と、サブの「如来館編」の2種類が用意されている。
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シナリオは桔梗楼編に向かうルートでスタートする。序盤か中盤で特定の選択肢を選ぶと「如来館編」ルートに移行し、以後その周では「桔梗楼編」には戻れなくなる。
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どちらも結末は複数あるが、トゥルーエンドは各1種類である。
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桔梗楼編は、99年に石田氏が世に出した小説『斬魔京都変』を原作としている。本ソフトの説明書では「このゲームの為に書きためたネタを小説にしたのが『斬魔京都変』」と紹介されている。
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ちなみにその原作小説では、登場人物の1人が「京都を舞台にしたテキストアドベンチャーのゲームを作っているが、まだ売り込み先も決まっていない」と発言している。恐らく作者の当時の状況から来たメタ発言だったのだろう。
評価点
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CGのレベルは『ノベルズ』同様高い。登場人物のシルエットが細かくアクションを行うなど、画面演出も凝っている。
問題点
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ムービーは、なぜか冒頭に流れる1種類のみしかスキップできない。
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『ノベルズ』同様、セーブは特定の個所でしかできない。
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一度選んだ選択肢は、再プレイ時に色が付くのでわかりやすい…のだが、結末に辿り着いただけではセーブはできない。
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何らかのエンドを見て、ゲームを冒頭からやり直し、最初のセーブポイントまで辿り着いてセーブすることで、初めて「選択肢に色が付いた状態」を保存できるのである。
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しかしこの最初のセーブポイントまでがやけに遠く、しかも前述の通りムービーをスキップできず、その上セーブポイント直後の「登場人物紹介」がやたらと時間を食うため確実にイラつかされる。
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桔梗楼編・如来館編とも、後半は基本的に選択肢を間違うと一発死にする。
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しかも選択肢を選んでからゲームオーバーになるまでの文章がやたら長いことが多い。
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パッケージに「安倍晴明の式神伝説云々」というコピーが有るが、実際のストーリーにはあまり関係無い。
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恐らく当時の陰陽師ブームに便乗したコピーなのだろうが…。
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むしろ原作的にクトゥルー系寄りである。
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如来館編は、ほぼ『イーブルネット』の2番煎じ。しかもバッドエンドしかない。トゥルーエンドも不幸な…というか「?」となる結末である。
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どちらの編でも、「旅館の庭にある石像の目が光る」というシーンがある。この石像は、桔梗楼編では終盤に重要な意味を持つのだが、如来館編ではここしか出番が無い為、意味不明な描写になってしまっている。場面の繋げミスか?
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テキストスキップや隠しシナリオ、オマケ機能なども一切無い。
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値段を考えれば無理からぬ事ではあるが、ムービーのレベルは間違いなく高いので、観賞機能は需要が有ったかも。
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桔梗楼編のクライマックスで、ヒロインのシルエットが、ヒロインの服を着た悪役老婆という、珍妙な姿になっている。
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その後にヒロインと悪役老婆が2人で並んでいるシーンが出てくるが、そちらでは2人とも正しいシルエットになっているため、なぜそんな珍現象が起きたのかがわからない。
総評
『ノベルズ』の姉妹品。この一言に尽きる。こちらの方が定価は安いが、あちらはシナリオが5本入っている。
どちらがお得と思うかは人によりけりだろうが、両方プレイすると「どっかで見た様な話だなぁ~」となる事は確実である。
とはいえ、CGムービーだけは一見の価値ありである。主人公あんまり活躍しないけど。
その他
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主要キャラの1人に大阪出身の中年男性がいるのだが、とにかくやかましい性格でいちいち合いの手を入れたり大声で喚き散らしたりする。その為主人公からも露骨にウザがられるのだが、主人公はその度に「大阪人は皆こうなのか」「これだから大阪人は」と、大阪人そのものをディスろうとする。
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その男性は、喧嘩しかけた人々に飲み物を奢って場をフォローしたり、山道で老人の肩を支えたりと、善良な性格でもあるのだが、主人公は特に評価を改めず、いつまでも「大阪人は、大阪人は」と言い続ける。
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果てはトゥルーエンドで1人だけ殺されたりする。
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作者は大阪人に恨みでもあるのではないかと思える程だが…実は原作者も大阪出身で、開発元も大阪の会社だったりする。ではこの扱いは一体ナニ…???
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原作小説では、生身の人間にも関わらず化け物の集団をあっさり叩き潰す「ぼくのかんがえたさいきょうのヒーロー」みたいなもんのすごく強いお兄さんが登場し、「真の主人公」のように扱われているのだが、ゲームにはまったく登場せず、原作には存在しない「スポーツが得意で冷静なサラリーマン」という現実的な人物に差し替えられている。
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また、ハリウッド女優どころかヴィーナスさえも平伏すほどの「ぼくのかんがえたさいこうのヒロイン」みたいなもんのすごく美しく強いお姉さんも登場するが、こちらもゲームでは登場せず、代理のキャラクターも存在しない。
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ゲームではこの2人が削られた結果、味方に超人が存在しないことになり、「頼れる者がいない」という、より緊迫感のあるストーリーになっている。
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一方ゲーム版の主人公は、原作では主人公というより語り手に近い存在だった。しかし主要キャラの超人2人を削ったにもかかわらずストーリーの大筋は原作そのままであったため、主人公が肝心な時に活躍せず傍観しているだけというクライマックスになってしまった模様。
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また、ゲーム版では奇妙な描写が度々あるのだが、これらも原作で超人2人が行った事ごとを他のキャラに割り振った結果そうなってしまったようである。
「個人名があるのに明確な死亡シーンが無い悪役2人」「車も来れないほど山奥にある旅館なのに夜10時に皆帰ってしまうスタッフ」「人間より遥かに強いのに棒で殴られただけで異様に苦しみ、あっさり転落死する化け物」など。