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サモンナイト - (2018/08/02 (木) 22:30:23) の編集履歴(バックアップ)


サモンナイト

【さもんないと】

ジャンル ファンタジックシミュレーションRPG
対応機種 プレイステーション
発売元 バンプレスト
開発元 フライト・プラン
発売日 2000年1月6日
定価 5,800円(税5%込)
プレイ人数 1人
廉価版 PS one Books:2002年12月5日/2,800円
配信 ゲームアーカイブス:2012年7月21日/600円
判定 なし
ポイント 第一作ゆえに荒削りな部分あり
しかしシリーズの基礎は整っている
サモンナイトシリーズリンク


概要

  • BLACK/MATRIX』シリーズを手掛けた「フライト・プラン」による、『サモンナイト』シリーズの第一作目。

ストーリー

「リィンバウム」は、かつて楽園とも呼ばれていた世界であった。
魔力に満ちあふれた大地は、生きとし生けるものに豊かな恵みをもたらしてくれた。
だがそれゆえにまた、この地は異界の侵略者たちに狙われ続けていた。

強大な破壊の力をもつ彼らに対抗するため「リィンバウム」に暮らす人々はふたつの魔術を生み出した。
「送還術」と「召喚術」異界の者を退去させ、自在に使役するこの力で、彼らは侵略者たちを迎え撃ったのである。

果てることなきこの戦いは、一人の青年の登場によって終演を迎えることになる。

「誓約者(リンカー)」と呼ばれたこの青年は、「世界の意志(エルゴ)」の力を用いて強力な結界を張り巡らせ、異界からの侵略者を完全に追放してのけたのである。
リィンバウムは、再び平穏を取り戻したかに思えた。

だが、外敵を退けるための力は、そのまま同胞に向けられてしまうことになった。
魔物たちによってもたらされた悪徳により人々は争うことを覚え、リィンバウムは楽園とは呼べぬ世界に変わっていった。

そして今、リィンバウムから我々の暮らすこの世界に向けて、かすかに呼びかける声があった…。
「誰か、助けて…」

届くはずのないその声を、一人の若者が受け取ったその時
「召喚術」の輝きがふたつの世界の壁を貫いた…。
不思議な声に導かれ学生がリィンバウムに召喚された!!

ゲームの流れ

  • 全○○話の章立てで構成されており、基本はその章の「アドベンチャーパート」「バトルパート」「夜会話」に別れておりそれらを終えることで次の章に移行する。
  • それぞれ二通りの男主人公と女主人公から一人えらび、そこからさらに主人公のパートナーを選択肢で決める。
    • これら二つの要素は以降のナンバリングでも多少の差異はあるものの変わらず続いている。

「アドベンチャーパート」

  • 街とその周辺のミニマップが表示されそこから行きたい場所を選び、キャラクターとの会話、ミニゲーム、ショップで買い物、自分の部屋でセーブ、フリーバトルなどが行える。
    • キャラクターとの会話では選択肢があるものもあり、選択によってはシナリオが大きく変化するものもある。

「バトルパート」

  • シナリオが進行すると発生する。ユニット化されたキャラクターを使い、敵ユニットと戦闘する典型的なSRPGだが、独自の要素として「誓約」と「召喚」がある。
    • 「誓約」はアイテムのサモナイト石と装備中のアクセサリを組み合わせて、「召喚獣」を呼び出す。サモナイト石にも色によって種類があり何通りもの組み合わせができ、それによってはアイテムが出たり、はずれとして小回復または小ダメージを受ける事もある。「誓約」を終えるとサモナイト石を消費し、代わりに「召喚獣」の石ができ、それを装備することによって後述の「召喚」が可能になる。
      • 『2』以降と異なる点として、誓約は主人公しか行えないこと、誓約で呼び出した直後の召喚獣は最大威力が半減する代わりに誓約時以外のMP消費無しで発動できること、属性とは無関係な召喚獣を呼び出せる組み合わせが存在すること*1が挙げられる。
    • 「召喚」は前述の「誓約」により出現した「召喚獣」を使い、MPを消費して攻撃や回復などを行う他のゲームでの所謂魔法にあたるもの。これを使ってバトルすると物理攻撃と違って100%当たり、なおかつ反撃されないという優位性がありとても便利。
      • ただし戦闘中のMP回復手段がほぼ無い*2ため、計画的に使っていく必要がある。

「夜会話」

  • サモン「ナイト」の名のごとく*3、シナリオ終了時(夜)に仲間キャラの中から一人を選択し親密な会話を行う。アドベンチャーパートでは分からないそのキャラの一面が見える。なお夜会話が存在しないシナリオも存在する。
    • 何回も会話することによってそのキャラと深い間柄となり、EDも専用のものとなる。キャラによってはシナリオの流れが変わってくるものもいる。
    • シナリオ終了毎に1人だけ選んで会話するという性質上、一通り見ようとすると結構手間がかかる。

評価点

会話パートがフルボイス

  • 個性あるキャラクター達がフルボイスで喋るのはシリーズの特徴的な点だろう。
    • ただし主人公のみボイス無し。この仕様は『4』まで続いていた*4
    • 主人公の名前は変更可能であるため、文章上で主人公の名前が呼ばれる個所のボイスは「きみ」「あなた」等の汎用的なものが割り当てられている*5。続編の『2』のように主人公名の部分で不自然にボイスが途切れることはない。
    • 一方で戦闘パートは主人公以外のキャラクターも含めて全員ボイス無しである。

飯塚武史氏によるキャラクターデザイン

  • ファンタジーな世界観によくマッチしている柔らかい雰囲気のデザインが好評。
    • ナンバリングシリーズの主なキャラデザインは飯塚氏が継続して担当しており、「キャラデザインがこの人だから買う」というシリーズファンも多い。

多彩なキャラクター

  • 登場するキャラクターは味方だけでも30を越え、その多くがバトルに参加する。多くの戦闘では8人まで出撃出来るが、気に入ったキャラが増えていくとその枠数でも足りなくなってしまうだろう。
  • それだけ多いキャラ数にも関わらず、攻撃タイプや召喚所持数などで差別化されているため似通った性能のユニットも少ない。

ダークな世界観

  • 一見ほんわかしているような世界観だが、「召喚術」という要素に注目するとそれはまったく違うものになる。
    • そもそも「召喚術」は他の世界の住人を無理やりリィンバウムに呼び寄せるものであり、そのほとんどの「召喚獣」が労働や戦闘、果ては愛玩動物として使われ、そのほとんどが故郷の世界に帰れずにいる。率直なことを言えば奴隷扱いである。
      • なぜ「召喚獣」が反逆しないかと言えば、それは基本的に召喚した召喚師しか元の世界に帰せる「送還術」を使えないからである。もし殺したりなどしてしまえばよほどの事がない限り帰る方法が無いのである。
    • そしてその「召喚術」を使う召喚師達も歪んだ人物が多い。召喚術で金儲けを生業とする一般人に高圧的な金の派閥やテロ行為などを行う無色の派閥など組織体制もあるほどで、作中の一般人からは反発が大きい。

マルチエンディング

  • 好感度(好意値とも)の最も高いキャラクターが誰なのかにより、エンディングが変化する。
    エンディングにはそのキャラが登場するだけでなく、キャラ次第で3つあるどの展開になるかも変化する。
  • 魔王値*6というステータスが高いと、それらとは異なる4つ目のエンディングを迎えることになる。
    狙わないとまず見られない特殊なエンディングであり、実質バッドエンドなのだが、一部キャラクターが救済されるなど続編のカルマエンドとは趣きが異なるため、このエンディングを気に入ったファンも少なくない。

賛否両論点

戦闘バランス

  • 攻撃力か魔法攻撃力に一極振りして攻撃。相手は死ぬ。そんな具合に戦闘バランスはよくない。
  • 敵CPUがこちらがある程度接近するまで待機ほぼ一択なのも問題に上げられる。このせいで弓・銃といった遠距離武器や召喚術で削って近接攻撃でトドメ、というシミュレーションの基本で楽に勝ててしまう。
  • 難易度の低さはSRPG初心者でも詰まることなくプレイできるということでもあるし、本作の場合は様々なキャラとの夜会話・エンディングを見たい場合などにサクサク進められる点は嬉しい事なので、一概に難点とも言えないだろう。
    + あるルートのラスボスのネタバレ
  • 問題のボスは「指定したマスとそこに隣接するマスに防御無視の固定ダメージを与える」という固有の攻撃方法を持っているのだが、おかげで体力の高いユニットで隣接し回復アイテムを使い続けて自滅を待つだけで倒せてしまう。しかもよりによってこの戦法は攻略本にも書かれている。

問題点

調整できていないシステム

  • 召喚獣を呼び出す組み合わせで誓約を行った場合、実際に使用するまでは何の召喚獣が出て来るのかが分からない。「攻撃魔法かと思って敵を対象に選択したら実は回復魔法だった」などの事故もあり得る。
  • シリーズ一作目なので仕方ない部分もあるが、他にも「頻繁に使う召喚術の演出がスキップできない」「周回ゲーなのにスキップしにくい」「周回特典が無い」「戦闘前や戦闘中にセーブが出来ない」など粗が多い。
    • 会話の早送りは裏技扱いで、会話が始まる前の地形名表示時に特定のコマンドを入力する必要がある。一度成功すれば電源を落とすまで有効ではあるが。
    • 何度かある連続戦闘では負けると初戦前のセーブ地点からやり直しになる上、最終戦ではなんと四連戦が待ち受けている。

属性ごとの召喚術のバランス

  • 本作の目玉要素の一つである召喚魔法だが、霊・獣属性の召喚がユニット召喚を含めて11個あるのに対し、鬼・無属性は4個しか存在しないため、数のバランスが取れているとは言い難い。
    • 鬼属性に関しては主人公以外で召喚師寄りのステータスを持つキャラが最終盤にならないと加入しないため活かしにくく、鬼属性最強の召喚獣(+最強の投具(武器))は隠しキャラとの2択という点も問題である。
  • 上記の問題点は『2』以降やDS版で概ね改善されている。

総評

世界観は作りこまれており、魅力的なキャラクターも多く、難易度も高くはない。
システム面に不便な点が多いものの、シリーズ一作目として見れば仕方ないと思って目を瞑れば…という出来なので、後発のシリーズ作品をプレイするなりして興味があるならやってみるのもいいだろう。
キャラクターボイスと価格の安さを重視するならPS版のアーカイブスを、システムの充実さを重視するならDS版を選ぼう。


サモンナイト(DS)

【さもんないと】(DS)

ジャンル ファンタジックシミュレーションRPG
対応機種 ニンテンドーDS
発売元 バンダイナムコゲームス
開発元 チャイム
発売日 2008年4月24日
定価 5,040円(税5%込)
プレイ人数 1人
セーブデータ 3個
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 なし

DS版の追加・変更点

2008年に発売されたリメイク版では、続編の『2』『3』『4』で実装された一部システムや、DS版独自のシステムが追加されている。
基本的なシステムは『2』以降のものに準拠している(パラメータの方式、召喚魔法のランク、複数の魔法が設定されている召喚獣、登場する装備の種類*7など)。
一部テキストが修正されているが、シナリオやキャラ*8、エンディングなどの追加は無い。
またキャライラストもパッケージ用のものが新規に書き下ろされているのみであとはPS版と全く同じである(マップ上のキャラクターのドット絵は一部修正されている)。

  • ブレイブクリア
    • 『3』『4』のシステム。「出撃メンバーのレベルが一定以下」「出撃メンバーを戦闘不能にしない」*9「回復アイテムの使用数は6個まで*10」などの決められた条件を満たしてバトルをクリアすることで、下記のパーティ能力をセットするのに必要なパーティポイントを獲得できる。また一定数ブレイブクリアする度にパーティ能力を入手できる。達成してもシナリオ展開などは変化しない。
      • 今回は一度上げたレベルを下げる術が無い。イベントバトルに進むアイコンにブレイブクリアの上限レベルが表示されるので、忘れずチェックしておくべし。
      • ブレイブクリアがあるとはいえ、PS版同様敵は積極的に攻めて来ないので、難易度はさほど高くない。
  • パーティ能力・パーティポイント
    • 『3』『4』のシステム。パーティ能力は、戦闘準備時にセットしておくことで戦闘時・戦闘後に有利な効果を得られる能力。各能力にはポイントが設定されており、このポイントの合計がパーティポイントを超えない範囲でセットすることができる。
    • パーティポイントは全パーティメンバー(ユニット召喚獣は除く)のレベルの合計と上記ブレイブクリアで入手した分で計算される。
  • 召喚獣改名
    • 『2』から実装されたシステム。初めて誓約した時に召喚獣に付けた名前を変更できる。今回は自室でアイテムを消費せずに行えるが、『2』『3』にあった特定の名前を付けると強化・弱化する効果はない。
  • 召喚コミュニケーション
    • DS版で新規に実装されたシステム。サモナイトペンというアイテムを自室で消費して、DSの下画面で召喚獣と簡単なコミュニケーション(ミニゲーム)を行う。2回成功させるとお気に入りに登録することができる。
      • ただし各属性の最強の召喚獣と無属性の召喚獣には行えない。無属性の召喚獣は無生物しかいないので仕方ないが。
      • お気に入り登録した召喚獣は魔法の消費MPが下がる他、お気に入り専用の魔法が使えるようになる。
  • 会話シーン早送りの常設化・バックログの追加・召喚エフェクトのスキップ・戦闘前のセーブ・戦闘時の中断セーブ
    • プレイが快適になる仕様がいくつか追加された。中断セーブは何度でもロード可能だが、一度セーブを行うと一々タイトル画面に戻されてしまう。
  • 召喚獣の変更・追加
    • 『2』と『3』*11に登場した一部召喚獣が登場する一方、「森のめぐみ」など『1』にしかいなかった召喚獣は削除されてしまった。
    • 鬼属性と霊属性に、DS版限定の召喚獣が各一体追加された。既存の召喚獣にも新規の魔法が追加されたものがいる(主にお気に入り専用)。
    • PS版の問題点であった属性間の召喚獣の個数の差はほぼ解消されている(無属性がやや少ない程度)。
  • 一部キャラのクラス名変更・クラスチェンジ回数変更・習得スキル追加・装備武器追加・武器持ち替えシステム追加
    • PS版『1』『2』では「元の世界で剣道部員だったのに刀(竹刀)を装備できない」とネタにされた主人公の一人トウヤが、レベル10で刀を装備できるようになった。
      • 他に装備武器が増えたキャラは主人公の一人アヤを含む召喚師系キャラ(杖)、ローカス(斧)、カイナ(槍)位しかいない。
    • 主人公以外の召喚師キャラもスキル「誓約の儀式」により召喚術作成が可能になった上、上記のエフェクトスキップもあるため、召喚術の作成にかかる時間が短縮された。
      • 召喚獣を呼び出せる組み合わせで誓約を行った際、誓約直後に召喚獣の詳細を確認できる。その後は通常通りMPを消費して魔法を使用するか、使用せず送還するかを選べる(いずれにせよ召喚石は手に入る)。
    • 武器持ち替えは『4』のシステムで、二つの武器を装備している場合戦闘中に使用武器を自由に切り替えられる。
      • しかしタイプの異なる複数種類の武器を装備可能なキャラがあまりいないため、恩恵を得られるのはガゼル*12やエスガルド*13くらい。
  • 周回特典の追加
    • クリアデータを引き継いで最初から遊べるようになったが、引き継げるのは召喚辞典とパーティ能力のみ。クリア前に誓約した召喚術は手元に残らないので再度作らなければならない。
  • キャラクターボイスとオープニングムービーのカット・エンディングのノンボーカル化
    • 特にPS版の評価点であったキャラクターボイスのカットはDS版最大の問題点としてよく挙げられる
  • その他仕様など
    • BGMは基本的にPS版とほぼ同じだが、バノッサのテーマ「DESPERADO」は音程が上がっている。
    • PS版ではポカポカパンチのモーションに合わせる形で他の打撃系キャラとは異なっていたモナティの打撃音が、他のキャラと同じものになった。モーションはそのままのため違和感がある。
    • 鬼属性の最強召喚獣の入手が隠しキャラとの2択ではなくなった。
      • また最強の投具はPS版とは逆に該当の隠しキャラを仲間にしないと手に入らないように変更された。鬼属性の追加召喚獣も同様なので仲間にした方がお得。

余談

  • PS版はタイトル画面でしばらく操作せずに放置しているとオープニングアニメが流れる。
    • 本編だと孤児院で留守番しているリプレや子供達が冒険に付いて来ていたり、パートナーの代わりに同性別・同性格のパートナーの服を着ている主人公が存在するなど、割とオープニング詐欺な内容。
    • なお『2』以降は逆にオープニングアニメ→(ボタンによるスキップ→)タイトル画面の順番になる。
  • 2000年4月に本作のノベライズである『サモンナイト~帰るべき場所へ~』が発売された。本作の第11話終了後~第12話開始前に起きた出来事が描かれ、続編『2』のキャラであるミニス・マーンが先行登場している。
  • 2004年に発売された『クラフトソード物語』にて、本作の主人公がゲストキャラとして登場している。
    • 主人公4人のうち一人登場するが、事前の選択肢でどのキャラになるか決められる。
    • 『クラフトソード物語』の後日談を描いた小説『私たちの海上都市』にも主人公のナツミとパートナーのソルがゲスト出演している。
  • DS版の予約特典として新作アニメ付きの「サモンナイト Magical Disc」が付属。
    • しかしこのアニメ、いきなりエンディングの内容*14な上に後はそれまでのシナリオのダイジェストでキャラクターは殆ど喋らず*15、おまけに本編との矛盾点*16が散見されるなど問題点が多い。ノンボーカル化したエンディングはこちらだとボーカル付きで聴けるのだが…。
    • 本編でボイスが無かった主人公のハヤトは、PS版『2』の森川智之氏ではなく、ファン投票で決定した下野紘氏が担当している。
  • サモンナイト5』発表と同時にPS版のゲームアーカイブス版が配信開始され、2012年8月28日まで半額の300円で購入可能だった。
    • サモンナイトシリーズ15周年記念でPSP版の『3』『4』と『5』のダウンロード版が2016年2月5日~18日まで半額となっていたが、本作と『2』のゲームアーカイブス版は残念ながら対象外。