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パリ・ダカール ラリー・スペシャル - (2021/01/29 (金) 22:56:15) の編集履歴(バックアップ)
パリ・ダカール ラリー・スペシャル
【ぱりだかーる らりーすぺしゃる】
ジャンル
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レースゲーム+アドベンチャー+シューティング
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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メディア
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1.25MbitROMカートリッジ
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発売元
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CBS・ソニーグループ
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開発元
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(開発)不明 (制作)イスコ
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発売日
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1988年2月1日
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定価
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5,300円(税別)
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判定
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バカゲー
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ポイント
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車で走っていればパリダカだと言わんばかりの超展開 レースゲーと見せかけた複数ジャンルのごった煮 意欲的だが空回り気味 せいせきはぴょう!
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概要
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世界一過酷なモータースポーツ競技といわれる「パリ・ダカール・ラリー」(以下「パリダカ」と略す)を題材としたゲーム。
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題材にしたものがしたものだけにレースゲームと思った人が多いだろうが、レース要素はそれほどない。
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ちなみに何故タイトルに「スペシャル」と付いているかと言うと、約3ヶ月前にハドソンがPCエンジンで発売した『ビクトリーラン』が当初『パリ・ダカール・ラリー』とそのまんまのタイトルで発売する予定だった為である。
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ゲームの目的はパリダカを完走すること。各コースのクリアタイムによって成績が決まり、1位になった場合のみ「すばらしいなにか」を見ることが出来る。
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コースは全部で7つあり、コースによって操作方法が大きく変わる。これが本作がバカゲーと呼ばれる所以である。
ゲーム内容
コース0
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名前を入力し、いざパリダカ、と意気込んだプレイヤーを待つのは何故か、街中にぽつんと佇む主人公である。
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まず、コース0では車とパートナーを手に入れて、
ラリーへの参加資格を得る
というアドベンチャーゲームである。
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このコースのBGMがまた間の抜けた感じであり、意気込みを折られた上に脱力感さえ味わうことになる。まだ本番のレースは始まってないにも拘わらず、である。
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スポンサーを探すために街中を(何故か)走り回る人を捕まえたり、反射神経を問うミニゲームをやらされたりするが、正直意味がほとんどない。
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スポンサーとなる会社を見つけたら、なんとプレイヤーに現金を引き出すカードを渡すといったありえないことをしてくれる。この時点でツッコミどころ満載。
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反射神経ゲームは結果に応じてナビゲーターを務めるパートナーのランクが変わるが、活躍の場はほとんどない。購入できる車は2種類あるが
見た目が変わるだけでコース7以外では性能の違いはない。
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コース7では、スポーツカーの方が最高速が早い。しかし、一定以上の速度で壁にぶつかると即死となるデメリットがある。(4WDカーは1ダメージで済む)
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準備が揃うとようやくパリダカへの出場がかない、念願のレースがはじまる。
コース1
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コース1は縦スクロールの障害物避け。
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ひたすら上に向かっていきゴールを目指す。コース中には他車が存在し、ぶつかると一機消滅、三機消滅するとゲームオーバーとなる。なお、この残機システムは以後のコースでも同様となる。
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十字キーの上で加速、下で減速。左右でハンドルを切る。
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他者はこちらよりもやや遅いスピードで走るものが画面上部から出現するか、やや速いものが画面下部から現れる。
いずれもこちらの真正面・真後ろに出現するため、左右に動いて回避しなければならず、まっすぐ走り続けるだけではいけない。
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ある程度以上のスピードが出ている時にしか他車は出てこないため、再スタート直後に高速で突っ込んでくる他車に轢かれるという事態が起こらないようになっているのは親切。
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更に、道中には
ドラム缶が置いてあり、当然触れると一機消滅
である。更にコース終盤では道の外からもドラム缶が転がってくる。
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途中で道幅が1/3程度に狭くなる。ドラム缶は配置されていないが、他車は同じように出現し続けるため、混雑しやすく回避が難しくなる。
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なお、最初のコースではあるが、難易度は結構高め。もっとも、終盤を除けばまだレースゲームらしさはあるため、ある意味では「かなりマシな方」とも言える。
ボーナスステージ
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コースをクリアするごとにボーナスゲームがスタートする。
いきなり画面上から落下してくる主人公(パートナー?)を車体の上にトランポリンがついた車を左右に操作しジャンプさせてアイテムを回収する。往年の『サーカス』を思わせるようなゲーム性である。
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壁や天井に叩き付けられても平気なキャラの姿はシュールである。
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ボーナスの結果によって次のコースのガソリンとタイムアウトの上限が増える。ただし、ガソリンについては気休め程度のものである。
コース2
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コース1と打って変わって、迷路のような市街を抜けてゴールに向かう。ゲーム性でいえば『ラリーX』か。
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このコースでは
足下にオイルを撒くことが出来る。
オイルを踏んだ他車は
何故か180度方向転換
し、これを駆使して他車を避けていくことになる。
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他車を2回跳ね返すとオイルはガソリンアイテムに変化するため、ガソリンは無限に補給できる。
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プレイヤーはオイルを踏んでも特にペナルティーはない。このオイル、一体何なのだろうか…
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左端はゴール前までずっと続く一直線であり、ここを走れば右往左往する必要はないが、ここは時折トラックが高速で走り去っていく。
もちろん轢かれれば1ミスなので、ここを走るならばトラックの出現に反応してオイルを即座に置く反射神経が求められる。
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このトラックは、直線部分にひょっこり出てきた他車を轢いていく事もある。その場合轢かれた車は爆発しLIFEアイテムを残す。
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迷路を抜けたりオイルで敵車を妨害したりと、だいぶレースから脱線した雰囲気が出て来る上、スピード感もコース1よりなくなっているが、まだ辛うじて「ラリーをしている感じ」はあるかもしれない。そう、ここまでは……。
コース3
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ここで何故か横スクロール型のアクションゲームとなる。
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車は
いきなり弾を撃てるようになっている。
この時点でおかしい。
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しかし、コースでも
「ヘリコプターの墜落」「糞を落としてくるカラス」「どこからか転がってくる丸太」「ネズミ」といった様々な敵が登場する。
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墜落してくるヘリコプターや丸太はともかく、
カラスの糞やネズミに当たるだけで一機消滅。
車が脆すぎるのか、生物が強すぎるのか。
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道中、道が欠落していたり、壁で塞がれている箇所があるが、この際には主人公が車を降り、欠落を塞いだり、壁を撤去するスイッチを押さなければならない。
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なお、主人公はジャンプできる。ある部分では雲の上にはしごで乗るといったファンタジックな世界観を彷彿とさせてくれる。
もっとも、グラフィックにファンタジー要素は皆無だが。
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パクリと断じるのも考え物ではあるが、多くのプレイヤーが
「急に『ドンキーコング』が始まった」
という感想を抱くだろう。
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車から降りた主人公が地下で大岩が転がる場所を進んでいく場面があるのだが、なんと大岩に当たってもタイムロスになるだけでダメージは受けない。車より強いというのかこの男は。
コース4
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前半はコース3と同様の横スクロールアクション。
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スイッチを押す際に、失敗すると主人公が海に落ちる場面がある。浮くことが出来ずに、普通に水底で佇むことに。
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水底に落ちてしまった場合はパートナーが助けてくれるが、パートナーが助けてくれるまでの時間はナビゲーターのランクに依存する。
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なおこの場面、
ナビゲーターが唯一役に立つ場面である。
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後半はなんと
躊躇なく海へ潜っていき、横シューティングとなる。
水中を自由自在に上下左右に動くことが出来る車、そして弾も発射できるシュールな状況。
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敵の顔ぶれもエビやサメ、クラゲ、魚群といった海中生物が出現する。しかし、後半になると
海底火山が存在したり、どこからともなく魚雷が飛んできて、
意識を生死の境目に引き戻される。
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サメは弾一発で倒せるが、エビは二発撃たないと撃退できない
といった、現実世界との強さの不一致も頭を悩ませる。主人公のタフさもそうだが、この世界を現実世界と同様に考えてはいけないようだ。
コース5
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海中から舞台は一変。荒野を走り抜けるコースであり、コース1と同様に上方向に進んでいくシューティングゲーム。
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コース的には最もラリーをしている感はあるステージである。
車が弾を発射することは変わらず、他車との競争ではなく原生生物と戦いを繰り広げている
という点を除けば、だが。
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敵はラクダ、モグラ、ムカデ、蛇、岩を落としてくる鳥など。
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後半は川(?)が存在しており、落ちると残機の数に拘わらず即ゲームオーバーとなる。前のステージで水中を我が物顔で走り抜けたのは一体何だったのか。
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しかも川を渡るには筏を使わなければならない上、筏の乗り換えという高等技術も必要になる。
コース6
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コース5同様のシューティングだが……。
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なんと、敵として登場するのは
戦車や戦闘機、ヘリコプター
……この時点で
ラリーではなく戦場に連れて来られた
ことを実感することになる。
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自車も対空弾、対地弾を撃つことが出来る上、
戦車ですら一撃で倒せる威力。
エビ相手に二発撃たされたのは一体何だったのか。
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なお、タイムを競うはずのゲームだが、強制スクロール、つまりタイムを短縮する技術がほぼない。
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戦車に体当たりされると強制ゲームオーバーである。
コース7
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最終コースとなり、
ここに来てようやくまともなレースゲームとなる。
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細い道をひたすらゴールまで突き進んでいく。岩肌に衝突すると残機消滅。
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数は少ないが他車も存在するので気をつけなければならない。
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このコースではドリフトのようなアクションを見せてくれたりと手が込んでいる。
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裏技だが、岩壁側の特定のポイントに隣接して静止し、十字キーを壁側に押し続けると車が少しずつ動いていき、壁の中にめり込んでコース外を走れる。画面内を走ると川ポイントで川に落ちた判定を受けてミスしてしまうが、画面外まで行って走るとそれがなくなるので、ゴールまで一直線に走れる。
よって、このエリアまで来ればクリアはすぐそこ。
エンディング、その他
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コース7をクリアするとエンディングとなり、ナビゲーターと一緒に夕日を見る演出が入る。
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その後、成績画面となるが、「せいせきはぴょう」という誤字で最後の最後までプレイヤーを混乱させる演出完備である。
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この成績が1位なら「すばらしいなにか」を見ることが出来るが、2位以下の場合はこの画面から変わらずゲーム終了となる。
評価点
エリア7の出来は良い。
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カーブでの加減速、ドリフトの演出といったレースらしい出来が実現されている。
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加減速は一部のエリアでも重要な要素ではある。この点は一応レースゲームらしいとも言える。
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本来のレースゲームのように可能な限りスピードを出しつつ、カーブを曲がる、といったテクニックで好タイムを狙うことも出来る。
ツッコミ要素がおおく笑える
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車より強い主人公、鳥の糞で一機消滅する車、何故かレースなのに戦場に連れてこられると言った展開などツッコミ要素が多い。
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もっとも、笑えるのは最初だけかもしれないが……。
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実際のパリ・ダカールラリーも政情不安なアフリカでレースをする事から、テロや強盗からの銃撃によってドライバーや関係者に被害が続出。テロで一度開催が中止された事などにより現在では南米に開催地が変更され、パリもダカールも関係なくなってしまっている。それを考えれば多少は根拠がある?
問題点
パリ・ダカール・ラリーの名を称していること
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パリダカの名を打っているにも拘わらず、道中の大半はおよそラリーレースからかけ離れたゲーム内容となってしまっており、原作レイプならぬ現実レイプである。
ステージ7以外の出来の悪さ
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ステージ7だけはレースゲームらしさが出ているのだが、他のステージはというとミニゲームレベルといわれも仕方のない出来。
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各ジャンルの最低限レベルの基礎的なものを世界観に合わせている(合わせられているかが微妙なものもあるが)だけの内容。
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ツッコミ要素のあるステージばかりではあるが、何度もやりたいと思わせる魅力は感じられない。
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さらに意外に難易度高め。反射神経と間合いの取り方を試される。
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決して遊べない出来ではないものの、このゲームに関しては実際にプレイするよりも見ていた方が面白いかもしれない。
パスワード入力のバグ
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ゲーム中でカーナンバーと呼ばれるパスワードにより途中再開できるシステムだが、このカーナンバー入力中にバックスペースを1度でも使うと、以降正しい入力をしても最初のカーナンバー入力画面からやり直さない限りパスワードエラーになってしまうバグがある。
総評
レースゲームのはずだが、アドベンチャーやシューティングといった他のジャンルも体験できるお得感があり、意欲的な作品ではあったのだが、それぞれの内容が薄くなってしまっており結果として、意欲だけが空回りしたといえる。
実際、レースっぽさがあるコース7のみはレースゲームらしい爽快感も存在していることから、純粋にレースゲームらしさを追求した作品を作れば相応の評価はされたのではないかと思われる。
パリダカという実在のレースを題材とした作品であり、子ども達にパリダカというものを知らしめる効果はあっただろうが、実際にパリダカを知っている人にとっては原作レイプと言われてもしょうがない出来であり、この辺りは善し悪しであろう。
結果として、複数ジャンルを継ぎ接ぎして組み合わせた目論見は失敗し、唯々壮大な苦笑いの種が残る結果となった。この出来から一部では「パリバカ」と言われてしまっている。
余談
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レトロゲーム番組『ゲームセンターCX』で有野課長が挑戦した際には、最初のゲーム紹介で「クソゲーと呼ばれた」とナレーションが入ったり、課長自身も「この画の粗さと理不尽さでいうとクソゲーなのか?」と言うほどであった。
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基本的に番組内でクソゲーと呼ばれる事は一般にクソゲー扱いされているゲームでもあまりないのだが、今作は「たけしの挑戦状」と「スーパーモンキー大冒険」と「レリクス 暗黒要塞」と共に番組内ではっきりとクソゲー呼びされた数少ない
不名誉な作品である。
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挑戦終盤には、課長がパスワードコンティニューで正確なパスワードを入力したにも拘らずパスワードエラーとなり、スタッフを焦らせる一幕があった。これは上述の「バックスペースを使うとパスワードエラーになる」バグのためだと思われる。
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スタッフ内でこのバグの存在を知っているものはおらず、番組では謎のバグ?として現場の混乱振りが放送された。この状況はナレーション曰く、「こんな所まで理不尽なのか」と言われた程だった。
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最終的に収録済みのテープを確認した上でもう1度入力し直した結果無事再開することが出来た。