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メタルスラッグX (PS) - (2013/09/11 (水) 23:00:18) の編集履歴(バックアップ)


※注意:本稿ではアーケード(MVS)向けに発売された『メタルスラッグX』のプレイステーション向け移植作品についてのみ取り扱います。
    また、元となったアーケード(ネオジオ)版に関してはこちらをご覧下さい。


メタルスラッグX (PS)

【めたるすらっぐ えっくす】

ジャンル アクションシューティング
※通常版

※廉価版
対応機種 プレイステーション
メディア CD-ROM 1枚
発売元 SNK
開発元 SNK、プロソフト
発売日 2001年1月25日
定価 6,090円
プレイ人数 1~2人
セーブデータ 1ブロック必要
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
※ゲームアーカイブス配信時に付与されたレーティングを記載
コンテンツアイコン 暴力
分類 劣化移植
ポイント 移植としては完全に落第レベル
ひとつのゲームとしては遊べるレベル
追加要素・やり込み要素は豊富
廉価版・配信 SNK BEST COLLECTION:2002年7月25日/2,940円
ゲームアーカイブス:2007年4月26日/600円
※表内に記載の金額は全て税込表示
メタルスラッグシリーズ・関連作品リンク


概要

1999年3月19日からアーケードで稼働を開始した『メタルスラッグX』のプレイステーション向け移植作品。
『メタルスラッグX』はシリーズ通しての前作『メタルスラッグ2』をベースとし、ミッション構成に変更を加えたり、新たな武器や新種の敵などの新要素を追加したものとなっている。
そのためストーリーは『2』と違いがないので、そちらのページを参照して欲しい。


ゲームモード

アーケードミッション

アーケード版の『メタルスラッグX』をプレイ出来るモード。
全6ミッション構成で、PS版の『1』同様に一度クリアしたミッションの中から開始するミッションを選べるミッションセレクトが導入されている。

残機が尽きた場合は途中コンティニューが出来、その回数に制限は無い。

コンバットスクール

アーケードミッションで登場するミッションを特殊な条件下でクリアすることを目指すモード。
ミッションのクリア時間を競う「ピンポイントアタック」とミスをせずにどこまで行けるかを競う「サバイバルアタック」の2種目で構成されているのも『1』同様。

今作でもモードオリジナルキャラクターが登場し、『1』のソフィア教官から「マーガレット・サウスウッド(愛称:メグ)」教官に代わり、プレイヤーをナビゲートする。
それぞれの種目の成績に応じてスコアを獲得し、その累計に応じて階級が上がっていく。
階級に応じてメグ教官の反応にも変化が見られるようになる。
メグ教官のボイスは半場友恵氏が担当している。

ピンポイントアタック

プレイヤーが指定したミッションをどれだけ早くクリアできるかを競う。
プレイヤーは3機所持してスタートし、途中で尽きるとその場で失格となる。
途中でミスしてもクリアタイムにペナルティが科されたりはしないが、復帰するまでの時間がそのままタイムロスとなる。
ヘヴィマシンガンなどの強化銃は弾数無制限で使えるが、キャメル以外の各種スラッグは1発攻撃を受けると壊れるようになっている。
ミッションごとに決められた基準に応じてスコアを獲得できるようになっている。
挑戦できるミッションはアーケードミッションで1度クリアしたことのあるミッションに限られる。

サバイバルアタック

ミッション1からスタートして、1回ミスするまでに進むことが出来た距離を競う。
強化銃は弾数無制限で使用できるが、『1』と異なり、ミッションを跨いで引き継ぐことが出来なくなっている。
また、各種スラッグはキャメル含めていずれも登場しない。
挑戦するためにはアーケードミッションの全ミッションをクリアしている必要がある。

アナザーミッション

アーケードミッションの全ミッションクリアで開放される、様々な特殊条件下でのミッションのスコアを競うモード。
ミッションは全部で20個あるが、初期状態では10個のミッションしか選べない。
残りのミッションは選べるそれぞれのミッションで好成績を残すことで順次開放されるようになっている。
ミッションによっては銃や手榴弾が使えなかったり、プレイヤーがミイラ化した状態で始まるものもある。

アートギャラリー

『メタルスラッグ2』および『X』の設定資料やCGを閲覧することが出来るモードで、閲覧中のBGMも自由に変更できる。


評価点

ミッション途中のローディングが無くなった

  • 場面の切替えでは流石にローディングが挟まれるが、場面の切替えが無いミッション1・3・4ではミッションクリアまでノンストップで進めるようになった。
    • 場面の切替え以外でローディングが挟まれることは無くなったので、場面の切替えが挟まれるミッション2・5・6でもプレイしている途中でいきなり止まることは無い。

追加要素が豊富

  • アートギャラリーは細かい設定がされていることが解る位に充実した内容の設定資料が見られるなど、ファンにはやはり堪らないものとなっている。
    • 『1』に比べると着色されたCGがほとんど見られないのが残念と言えば残念ではあるが。
      • なお、本作に収録されている設定資料の半分ぐらいはPS2の『メタルスラッグ6』に再収録されている。
  • コンバットスクールやアナザーミッションにより、やり込み要素も十分。

アーケードミッションのコンティニュー制限撤廃

  • 人によってはヌルゲー化したと批判する要素ではあるが、そもそもプレイヤーというプレイヤーがアクションゲームを得意としている訳ではないため、コンティニュー回数の縛りがなくなったことは初心者でもプレイしやすく、間口が広げられたと言えるだろう。
    • そもそも、コンティニューを前提に難易度に関してヌルゲー云々言うのも、どこかずれているとも言える。
  • ちなみに、上級者にも対応するためか、今作では難易度に「VERYHARD」が追加されている。

処理落ちがほとんど見られない

  • アーケード版の時点でもROM容量の増加で処理落ちはほとんど見られなくなっているが、本作でも処理落ちすることはほとんど無い。

問題点

移植度が極めて低い

  • 高額なネオジオ版以外で、当時唯一家庭用で『メタルスラッグX』が楽しめた作品であるのだが、『1』とは比べものにならないレベルの低移植度となっている。
    • ひとつのゲームとしても破綻しているという程酷い訳ではなく、遊べる仕上がりではあるが、アーケードの練習用として使うのはほぼ不可能。

アーケード版との差異・劣化

  • 接近時のナイフ攻撃が立ち状態だと目に見えて遅くなっており、逆にしゃがみナイフが凄まじく早く判定が出るようになっていたりとおかしな事になっている*1。接近戦で倒したと思っていたら逆に切り殺されていたということも多い。
    • ナイフが特に言われるが、それ以外にもショットガンが連射がかなり利くようになっており、元々威力がある代わりに連射が利かないことでバランスを取っていたものが崩れている。
      • その割にスーパーグレネードのようになぜか連射速度が下がっている武器もある。
  • 音質も全体的に劣化しており、些か聞くに堪えないような音になっているBGMやSEもある。
    • 音に関連してターマ操作時にミスした時のやられボイスがマルコのものが流用されている他、それ以外のボイスでも本来は別の所で使われていたものがあてがわれている*2こともある(容量削減の一環か?)。
  • ミッション3のボス「ドラゴン・ノスケ」戦でなぜかラスボス「ラグネーム」戦のBGMがかかるようになっている。
    • 本来ミッション3のボス戦でかかる曲もラスボス戦の曲もどちらも盛り上がる曲ではあるのだが、ベクトルが全く別方向の盛り上がりな上に音質が劣化していることもあって、完全にずっこけるものになってしまっている。
  • アーケードミッションのコンティニュー時および途中参加時にキャラクターを選べなくなっている。
    • プレイアブルキャラクターである4人の基本的な性能に差がない以上、さしたる問題でもないと言えなくもないが、逆に言えばそれ故に好みのキャラクターを選べないのは不満を覚える要素であるとも言える。
  • グラフィックが劣化しており、全体的にグラフィックが荒く、特にフレイムショットや火炎瓶等の炎・キャノン砲などの爆風のグラフィックは違和感が強烈。
    • 当然、アニメパターンもかなり削られており、見た目の違和感程度しかなかったPS版の『1』と異なり、総じてプレイ上の支障をきたすレベルになってしまっている。
  • 操作に使うのがアーケードのレバー&ボタンとPSのコントローラーでは感覚が違うというのを踏まえても操作性もアーケード版と大きく異なっている。
    • 上述のアニメパターンの削除に加え、そこまで大きなものでもないが、入力遅延が生じているのが原因と思われる。

メグ教官のボイスだけがやたらと音量が低い

  • 他のボイスやBGMは聞こえるのに、同じ音量設定ではメグ教官のボイスだけがかなり聞き取りにくい。

かなり長期にわたって発売延期を繰り返したこと

  • 元々発表されていた発売日に対しておよそ1年程発売延期を繰り返している。
    • それの果てに漸く出た本作が「ごらんの有様」だったことで、余計にアーケード版のファンを失望させた側面もある。

総評

アーケードの移植として見ると、ゲーム内容の部分の劣化やミスなどが目立っているため、完全に落第レベルである。
そのため、一時期はクソゲーとして執筆依頼が出されていた作品なのだが、移植作品としてはともかく、「単体で見ても遊べたものではないクソゲー」とまで断じる程に酷い出来ではない。
アーケード版からのファンも(それ自体の是非はさておいて)本作を全くの別物として割り切ってプレイすれば、そこそこ遊べる程度の仕上がりである。
また、追加要素もやり込める要素も豊富にあり、PS版の『1』にあった「途中でいきなりローディングで止まる」といった要素に改善が見られたことなど、評価すべき点がない訳でもない。

ハードスペックなどの差を考慮しても、アーケードからの移植作品という立ち位置の本作が劣化移植の誹りを免れ得ないのは確かである。
とはいえ、大元のゲームの完成度のおかげもあり、アーケードからの劣化こそ凄まじいが、ひとつのゲームとしては遊べるレベルに留まっているというのが適切な評価だろう。

もっとも、追加要素よりもあくまで移植度に拘るのならば、現在は『メタルスラッグ コンプリート』があるので、こちらを選ぶ理由がないのも事実だが。


余談

『メタルスラッグ3』以降の移植について

『3』以降の移植はPS2やXbox等に移行したことで1や本作に比べて見違える程の高い移植度を実現している。
アーケード版との差異はどうしても出てきてしまっているが、それを踏まえてもアーケード版からのファンも満足な仕上がりと言えるだろう。

階級「大魔王」

『1』のコンバットスクールにも存在していた階級、大魔王。
本作でもコンバットスクールで1000点満点を獲得できればこの階級になることが出来る。
ご褒美として、サバイバルアタックにこの状態で挑戦すると、ハンドガンが弾が小さくなるものの、スーパーグレネードと同等の性能を持つ強力なものに。
しかし、『1』のハンドガンの弾の差替えに使われたメタルスラッグのキャノン砲と違い、弾がそのまま直進してしまうため、場面によっては扱いに苦慮する所も少なくない。
キャラクターの肌の色が緑色になったり、メグ教官がへりくだった言い方になるのは『1』と同じ。