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パワプロクンポケット - (2022/02/12 (土) 03:30:38) の編集履歴(バックアップ)



パワプロクンポケット

【ぱわぷろくんぽけっと】

ジャンル 野球ゲーム
対応機種 ゲームボーイカラー(全GB共通)
メディア 16MbitROMカートリッジ
発売元 コナミ
開発元 コナミコンピュータエンタテインメント大阪
(ダイヤモンドヘッドプロダクション)
発売日 1999年4月1日
定価 4,500円
判定 良作
ポイント 全ては極亜久高校から始まった物語
彼女シナリオは初代から死亡・NTRがある
バランスは非常に大味、だがそれがいいという声も
表「ときメモ」と対なす裏のギャルゲー?
実況パワフルプロ野球シリーズリンク
パワプロクンポケットシリーズリンク

概要

  • 本家とは似ても似つかないシナリオや彼女、サクセスで人気を集めていく事になるパワプロクンポケットシリーズの初代作。キャッチコピーは「いくぜ甲子園! めざせ、プロ野球!!」。
    • ゲームボーイカラー対応。
    • 実況パワフルプロ野球5』の「サクセス・高校野球編」のストーリーの外伝作であり、『パワプロ5』の悪役校だった極亜久高校の野球部を立て直し甲子園を目指す王道ストーリーになっている。
    • ニンテンドウ64版『パワプロ6』とプレイステーション版『パワプロ'99(開幕版及び決定版)?』に選手を送る事が出来るため、当時は選手育成用ソフトという側面も強かった。
  • 話を楽しみながら野球選手を作るというパワプロ本家の面白さはそのまま。が、少し違う方向性の野球ゲームである。

ストーリー

  • 「極亜久高校編」
    一年生の秋、極亜久高校に転校した主人公。
    野球をやっていた主人公はここでも野球部に入るが、極亜久高校野球部は不良の先輩たちがたまり場としている荒れ果てた状態であり、しかも不慮の事故で壊滅、部員は主人公と友人の亀田のみとなってしまう。
    野球部廃部の危機に甲子園出場をあきらめきれない主人公は、部員を集め野球部再建と試合の勝利、そして球児の夢甲子園を目指す。
    その影で謎の組織が暗躍しているとも知らず…。

特徴

  • 本シリーズは本家『パワプロ』にある選手育成モード「サクセス」を大きく重視したつくりになっている。
    • パワプロシリーズのサクセスもバラエティ豊富だが、あくまでモードの1つとして作られているため当時の『5』の話の内容はやや薄め*1だった。
    • しかし本作のサクセスは選択肢によるパラメーター増減だけでなく、ノベル*2要素も大きく押し出されており、シナリオも色々と濃い内容となっている。
    • サクセス以外には『対戦』と選手データやその選手のパスワードを確認する「データ」しかない。
    • シリーズが進むにつれてこれらのモードが追加されていった。
  • 『パワプロ』の外伝という色が強いためか、猪狩兄弟、矢部君、ダイジョーブ博士、パワフル学園や白鳥学園の面々といった『5』のキャラクターが顔見せしたりもする。
    • 特に猪狩進とダイジョーブ博士はプロペラ団の野望に巻き込まれ、ストーリーにも深く関わってくる。ダイジョーブ博士は『3』まで継続して登場。『4』からは黒野博士に役割を移すことになった。
  • ハードのスペックの都合上、野球のバランスが甘い。
    • 守備と走塁が完全オート。その割りにオート守備・走塁の頭が良くない。
    • 前年にKCE名古屋が開発した『パワプロGB?』ではマニュアル守備が出来た。
      • ただし『パワプロGB』の操作難易度は高く、お世辞にも遊びやすいとは言い難かったためオート操作は英断ともいえる。
  • 野球パートの難易度は低め。
    • 走塁スピードが異常に速く、走力がB以上の選手なら内野安打が非常に出やすくなる。
      • ただし、今作の走塁や守備の動きは走力に比例しており走力がFやGだと逆に異常に遅くなる。
    • ある程度のパワーを持ってボールの下をミート打ちするだけでホームランが面白いように出る。
    • そのためラスボスの「野球マスク」が弱く、上手く粘れば99-2という状況にもなる。
    • ただし右打者は何故か左打者より打球が飛びにくくさらに「対左投手○」が発動しないと強制ミート-1という謎の現象が起こる。
      • ちなみにこの現象は相手投手の利き腕関係無しに発生し、GB版の2でも起こる。
      • 実際左打者も「対左投手○」を持っていないと対左時にミートが-1され打球が飛びにくくなることから右打者では左打者の左対左効果が常に起こっている可能性が高い(実際「3」以降のパワポケは右対右でもミートの減少は無く、左対左では通常ミートが-1される。パワーの減少については不明)。
      • 今作では元々打球が飛びやすいためこのことに気づかないプレイヤーもいるが、仲間のパワーがあまり高くない序盤は「村上」よりも明らかに「水原」や「ボブ」の方がホームランを打ちやすい。
      • ヒットが打ちづらくなった『2』ではこのバグが露骨に見て感じ取られるようになった。
      • そのためGB版のパワポケは選手を移植する以外、両打者育成するメリットが無い。
    • 投手側もCPUが強力な変化球に対応できないせいで、一極集中で鍛えておくと打たれることは無くなるようになっている。
      • ただその場合、何らかの能力が不足するか、育てた変化球以外が平凡化してしまいやすいので、本作以外では役立たずになってしまいやすいが。
  • 本作では血の気システムがある。けがをしたり悪いイベントを行うと増えていき、溜まっていくとケガ率が上がる代わりに経験点が上がる。これはパワポケ14のストレスとバーニング状態に通じるシステム。
  • 投手の育成方法は本作ではポイントを割り振るのではなく、『パワプロ5』のように練習する事で勝手に球速や変化球、コントロールやスタミナが上がっていくシステム。

評価点

  • 「極亜久高校」に入学した主人公が仲間を集めて野球部を再建する。
    • 『パワプロ5』では悪役だった『外藤』だが、本作の主人公達から見れば面倒見のいい先輩である。
    • 2年目から転校してきたプロペラ団のスパイである四路智美の提案で「妨害作戦」を行って敵を弱体化する事が出来るが、最終的に主人公は「正しくないやり方で手に入れたものからは、満足は得られない」と妨害作戦をやるべきじゃなかったと否定。甲子園から真正面にチャレンジする事を決める。
    • ミニゲームで他の部から部員を引き抜いてくる展開が1年目の主な目的となる。
      • 悪役校だった極亜久高校を熱血主人公が立て直すというストーリーは王道性が高く、そこを評価されている。
      • 後のシリーズを遊んでいると、亀田や荒井三兄弟といったキャラを普通に野球選手として使えるのは逆に新鮮かもしれない。
  • 味方野手の能力がかなり上昇しやすい。
    • 仲間評価が高い状態で試合に勝利したり、能力が上がるイベントが発生すると、全能力がどんどん上昇していく。
    • 特にパワーの伸びは凄まじく、後のリメイク作品と比較すると大きく上昇する*3。一回の試合でパワーが10伸びることもざら。
      • 試合の勝利状況やイベントの発生状況次第では、亀田はおろか荒井金男*4ですらパワーがAになる。
    • その反面投手は平山以外は能力の伸びが控え目である。
  • 選手登録後にサクセス終了時のチームを対戦で使用できる。
  • 主人公を育てやすい。
    • 初期ステータスが非常に高い事が多い。状況によってはステータスにCがある事も多々ある。
    • また2年目まで大きな怪我をしない、練習ボーナスの回数制限が緩い、ダイジョーブ博士の成功率が何故か高め、という事もあって歴代パワプロ・パワポケの中でも最も育成しやすいサクセスになっている。
      • これは前述の通り本作が「パワプロ」の外伝作であり、「クリア条件が本家より厳しめな代わりに、能力の高い選手が育てやすい」という位置づけの為と思われる。
    • ダイジョーブ博士の出現率が高い上に能力アップの成功率も50%を超えている。
    • GBAのリメイク版では育成難度が上がっており賛否両論になっている。
  • 彼女シナリオは初代からパワポケ節に満ちている。
    + 以下、初代から発揮されてる本作の彼女候補とその顛末
    • 初代から彼女が死ぬ。
      • 甲子園で優勝してドラフト1位になるか甲子園決勝を諦めなければ、幼馴染の進藤明日香は病死、コンビニ店員の佐瀬みなこは飛行機事故に巻き込まれてしまう*5
      • プロペラ団のスパイながら主人公に好意を持つ四路智美も、極亜久高校に肩入れした事でプロペラ団に捕まってしまい、条件を満たさなければピストルで射殺。追い撃ちもきっちり撃ちこまれるという念の入りよう。さらにそのまま甲子園優勝を迎えると、彼女を射殺したプロペラ団日本支部長も失意のあまり銃で自殺する。
      • だが仲間を集めて、彼女が持ち逃げした「レポート」をしっかり扱えば主人公が智美を助けに行くことが出来る。その時の展開は仲間達との絆も感じられ、非常に熱い。
    • 初代からNTRがある。
      • マネージャーの石田由紀がそれである。仲間の一人「佐藤」とくっつく展開があり、GBAのリメイクでは同じく由紀に惚れていた平山と共に主人公が「佐藤コロス!」と怨嗟の声をあげるアルバムが存在する。これは、佐藤を仲間にしていなくても必ず発生する。
      • どうやって二人がくっついたのかは未だに明らかになっていない。少なくとも、作中で由紀は主人公に好意をもっている場面もいくつか見られる。本作の佐藤のプロフィールには、「女の子のはしっかり手を出す、隅に置けないタイプ」とあるが……。
      • しかも佐藤と由紀がくっついたのは正史である。子供が『10』『13』に出てくる鉄砂高校に入学している。
      • あくまでも主人公と由紀が交際していない場合に起きる展開であるため、NTRと感じるのは由紀狙いで失敗したプレイヤー視点の話である。
    • 初代から攻略できないサブヒロインが居る
      • 顧問になってくれるようこ先生がそれである。野球知識はないが、野球部に親身になり、妨害してくる教頭に対して怒り奮闘してくれる熱血女教師。ランダムで倒れるイベントがあるものの攻略は不可能。
      • エンディングでは極亜久高校から転勤していくが、『10』では佐藤の子供達が在籍する鉄砂高校に顧問として登場。野球知識をしっかり身につけた名将として成長している様子。
    • 初代からはずれ彼女が居る。
      • 時代を感じさせるガングロコギャルの獨田(どくだ)マリコも大概だが、本当に酷いのは荒井紀香(あらいのりか)である。
      • 荒井三兄弟よりすごく年上の姉だが、恐ろしい疫病神。ランダムで出てきたら無理やり彼女にさせられる、断る事も出来るが代償として仲間評価が死ぬほど下がる。彼女にしたらマイナスの影響しか与えない。カラオケでは主人公の歌をバカにしてセンス×を与えたり、自分の髪を縫い込んだマフラーで恋の病にしたりなど。その癖、小馬鹿にしたような「ふふふ~ん」という会話が癪に障る。
      • 下手すれば『3』の亀田よりもウザくて怖い。というよりも、本作の亀田が主人公に最も与えた被害が紀香との仲をはやし立てた事だとも言われている。しかし基本的に『1』の亀田は憎めない奴となっている。
      • 後のシリーズにも「顔がお世辞にも良くない彼女キャラ」や「無意識にマイナス効果を与えるが本人は主人公を支えようとしてくれて可愛くて最終的に主人公がとても強くなる彼女キャラ」などは居るが、ここまで主人公に嫌がらせをしてくる彼女キャラはパワポケでも類を見ない。
      • しかし恐ろしい事に正史ヒロインであり、彼女と交際したせいかは知らないが主人公はプロであまり活躍できずにつまらない事故で死んでしまい*6、その後にやさぐれた亀田によってサイボーグとして蘇らされコキ使われる事となるのが『3』の物語である。
      • 一応「野球超人伝*7」をくれる事だけが紀香の与えてくれる旨味である。GBA版のリメイクでは超特殊能力をくれる唯一の彼女キャラ。

問題点

  • 対戦で使えるのは極亜久高校とサクセス中の敵高校のみで、プロ球団は一切使えない。
    • サクセスで作成した選手を選択した場合は先述の「サクセス終了時点(+離脱時点での外藤)での極亜久高校」となる。
    • チームアレンジも無い為、「サクセスで作った選手のみのチーム」を使うことも出来ない。
    • また、サクセス終了時のチームはCOMに使用させることはできず、COMに強力なチームを使わせることができない。よくて聖皇学園となる。
  • 初期出荷版では敵チームの試合前の戦力表示が正しくない不具合がある*8。正しいかどうか不明な高校もあるが聖皇学園では圧倒的に強い筈の野球マスクが最高ランクではないなど明らかにおかしいものがある。後期出荷版では聖皇学園の戦力がオールAになっているなど正しく修正されている。だが、初期版よりも仲間の能力の伸びが悪くなっているなど下方修正されている点がある。
  • 後のパワポケ3などでは聖皇学園の元4番打者と説明されているネロが5番打者固定で出場する(4番は野球マスク)。なぜそうなったかは不明であるが、実際ネロはパワー220の超スラッガーであり5番打者で出場するのは後のストーリーとあわせて違和感を覚える内容になっている。GBA版や他の作品ではしっかり4番打者として出場するようになった。
  • 仲間をスカウトするためミニゲームでは全て最高レベルの状態からスタートし、失敗してやり直していくうちにレベルが下がっていく仕様になっており、一発でクリアするのが難しい。そのため次作からはミニゲームをプレイした順番ごとに難しくなったり、仲間評価が関係するようになった。特に前者は苦手なゲームを先にやり、得意なゲームを後回しにするということが可能である。
  • サクセス開始時の能力がピンキリであり厳選が必要になってくる。
    • 同じ能力でもセンス○の取得がランダムであり、センス○を持っていた方が確実に良い選手を作りやすい。
    • 野手の場合、初期ミートが2~4で変化するのだが、ミートが4の状態が最もお得になっている*9
      • 花粉症にかかっていた場合、初期ミートが5になることがある。
    • 投手は野手以上に複雑になっている*10
  • 「チームメイトの能力が上がった」と表示される能力アップでは、パワー、スタミナ、コントロール以外はBランクまでしか伸びなくなっている。
    • 特にミートは5までしか伸びない。
    • 理由は、今作のみミートのランクが一段階繰り上がっておりミート5でBランク、ミート6以上でAランクと判定されているため。
    • 個別能力アップでのみAランクにまで伸びる。
    • 球速にも上限が160km/hより下の上限が存在する。
  • 投手育成時は球速の上限が154km/hとなっており『2』以降に比べると低い。
  • 水原のミニゲームはAボタン入力時にカーソル移動に遅延が発生するため絶対に満点を取ることができない。
    • リメイク版では修正されている。
  • ランダムイベントが非常に多い。
    • 本作は彼女候補すらランダムが非常に絡む。幼馴染の明日香ですらイベントを起こさないと彼女に出来ない。安定した育成はほぼ不可能になっている。
      • 確実に彼女に出来るのは妨害活動を起こし続けて電話番号をもらえる智美のみ。
      • だからこそ紀香の出現が恐ろしいのだが。ふふふ~ん。
    • 亀田が甲子園決勝前に交通事故にあって死んでしまうイベントもランダム(野手が九人以上で17%)。
      • 主人公が捕手以外の場合、正捕手が居なくなってしまう。固定メンバーである荒井三兄弟全員がサブポジとして捕手があるのが救いか(但し三人とも捕手に関連した特殊能力を持っていないため、亀田から数段劣る)。
  • パワポケ1で作った選手を『パワプロ6』『'99?』に送るとエラー回避が1になるバグ(仕様?)がある*11

総評

  • 『パワプロ5』の外伝という印象が強い一作だが、「パワプロの悪役校」に焦点を当てて再建を目指すシナリオ、彼女シナリオの容赦のなさなどは後のパワポケシリーズに繋がる要素も多い。
  • 粗削りだが、強い選手を作りやすいのはカタルシスがある。

その後の展開

  • GBA初パワポケである『3』は、本作の直系の続編になっている。
    • 紀香とくっついて死亡した主人公が、亀田と唐沢博士によってサイボーグとして蘇らされるという筋書き。プロペラ団との決着もつけられる。
    • 『1』ではお調子者ながら憎めない奴だった亀田だが、『3』ではやさぐれており主人公に対してかなり畜生の態度を取る。
  • 2021年11月25日にNintendo Switchで『パワプロクンポケットR』が発売。
    • 『1』『2』がベースとなっている。