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テイルズ オブ ファンタジア -フルボイスエディション- - (2015/06/24 (水) 10:13:42) の編集履歴(バックアップ)


テイルズ オブ ファンタジア -フルボイスエディション-

【ているず おぶ ふぁんたじあ ふるぼいすえでぃしょん】

ジャンル ロールプレイングゲーム
(シリーズ内ジャンル名:伝説のRPG)

対応機種 プレイステーション・ポータブル
メディア UMD 1枚
発売元 バンダイナムコゲームス
開発元 ナムコ・テイルズスタジオ
発売日 2006年9月7日
定価 4,800円(税別)
プレイ人数 1人
セーブデータ 320KB以上(1ファイルあたり)
レーティング CERO:A(全年齢対象)
廉価版 PSP the Best:2007年8月9日/2,667円(税別)
配信 【PSP/PSV】2013年11月28日/1,714円(税別)
判定 劣化ゲー
ポイント 余計なことをしたせいで劣化
謳い文句に実際の内容と異なる個所多し
PS版からの流用だらけ
テイルズオブシリーズ関連作品リンク?


概要

テイルズオブシリーズの記念すべき第1作目、『テイルズ オブ ファンタジア』のPSPへの移植作品で移植・リメイクはPS版GBA版に続き3回目となる。
SFC版ベースとしてPS版の要素や様々な追加要素があったGBA版と異なり、今回はPS版をベースとして様々な要素を追加した移植。
また、本作はタイトルの「フルボイスエディション」が示している通り、メインストーリーのフルボイス化、更にGBA版の追加要素も完全収録、戦闘時のキャラクターの3頭身化などを謳い文句にしていた。
フルボイス化はもちろんのこと、GBA版の要素の完全収録という点にも期待を寄せるファンも少なくなかった。


問題点

タイトルに偽りあり

  • フルボイスエディション」と言いながら、一部メインストーリー上にボイスが無い点が散見される。
    • 一方で、サブイベントにも関わらずボイスがあったりするなど、その基準もちぐはぐ。
      • また条件を満たしてから特定の宿に泊まると再生されるはずのボイスが、イベントに関わらずその宿に泊まる度に再生されるなど、フラグ管理がいい加減な所もある。

謳い文句にも偽りあり

  • 3頭身化されたキャラクターグラフィックは他作品からの流用ではなく新規なのだが、パーティキャラクターと一部の敵だけという極めてお粗末な代物。ほとんどの敵はPS版の2頭身のグラフィックをそのまま引き延ばしただけという手抜きぶり。
    • オープニングでダオスと対峙するエドワード・D・モリスン達、闘技場で乱入してくるリリス・エルロン*1、児雷也発動に失敗した時のすずなども2頭身のままになっている。3頭身のクレス達が2頭身のリリスのような人型の敵と戦う構図は違和感が非常に強烈。
      • 特に、エドワード達の戦闘シーンはスキップ不可のオープニングで最初に見せられるので、OPの時点で「キャラクターの3頭身化」がいきなり崩壊してしまっている。プレイした人の中には自分の目かソフトのバグを疑った人もいるのではないだろうか。
      • 更にモンスター図鑑で参照出来る敵グラフィックも、PS版のデータをそのまま流用したために3頭身化した敵も含め全グラフィックが2頭身のままである。
    • 3頭身化されたパーティキャラクターのグラフィックについても一部からは「『なりダン2』や『なりダン3』*2の方が完成度が高い。」と言われることもある。
      • ただし、上記2作品と異なり本作では武器の持替えや盾装備によりグラフィックが変化するため、それを踏まえてのドット製作となると、単純比較は難しい面もある。ちなみにドット製作スタッフは同じである。
    • キャラクター以外のグラフィック面でもPSPの解像度に合わせて最適化と謳っていたものの、全体的にただの引き延ばしか、元々の画面の一部分を切り抜いて無理矢理合わせているため、最適化とは言えないという意見が多い。
  • 「GBA版の要素を完全収録した」と言いつつ、実際に収録されているのは一部の称号関連のイベントと、イベント「ブラムバルドとアーシア」のみ。
    • モーリア坑道奥のドワーフ遺跡やミゲールの町での剣術修行、クリア後要素の「Let's Go Arche」など、大半の要素が収録されていない
      • ミゲールの町の剣術修行が省かれたのは、PS版に存在しない敵がイベントで出現するため、PS版のモンスター図鑑にGBA版モンスターのデータを追加せずに使い回すのに都合が悪かったからではないか、と推測されている。やや穿ちすぎに思えるが、他の要素にもPS版からの使いまわしが多い事がこの見方を強めている。
    • 収録されたイベントにしても、元々GBA版では「行くぞッ!」などのように語尾が「○○ッ!」となるテキストがやたらと使われる傾向があり、本作でもテキストをそのまま流用しているため他のシーンと比べるとテキストが浮いている。

グレードシステム

  • このシステムはゲーム中の戦闘内容をポイント化して評価・蓄積し、その貯めたポイントを利用して2周目以降、様々なデータの引継ぎや特典を得られるというもので、『デスティニー2』から採用されている。
    • 引継ぎや特典の内容は多岐に渡っており、最もポイントが必要な「経験値10倍」を獲得するためには3,000ポイントが必要になる。だが1回の戦闘で平均して100ポイント前後、慣れてくると300ポイント超も稼げる*3など、明らかに供給過多になっている。
    • そのせいで、ただ1周クリアするだけでも引継ぎ・特典の大半が利用出来てしまい、それでもなおポイントがやたらと余ってしまう*4。他作品では引継ぎや特典と交換するだけでなく、獲得したポイントを様々なアイテムと引替えられる要素もあるが、本作にはそれもない。
      • 後に出た『クロスエディション』では1回の戦闘で大体10~20ポイント、多くても30ポイント台まで獲得ポイントが下がったが、やはり普通にプレイしていれば1周クリアで一通りの引継ぎ・特典が利用出来てしまい、ポイントも余ってしまう。

一部PS版からの変更点

  • アルヴァニスタの都に向かう船内のイベントが一部変更され、それを受けてアーチェが取得出来る称号が「うわばみ」から「夢見る乙女」に変更されている。
    • 「17歳のアーチェが飲酒する描写がCERO規定における「飲酒・喫煙」に抵触し、レーティングが上がる恐れがあるから」という見方が一般的。
      • GBA版の段階でも「意外とデリケート」という称号に差し替えられ、獲得方法も若干変更されていた*5
    • だが本作ではこの変更に引きずられてクレスがアーチェの飲酒を窘める内容のフェイスチャットも消滅してしまった*6
      • 差し替えられた称号は何故かGBA版の物とも違う上に「夢見る乙女」に対して説明文が「夜更かししたいお年頃…らしい」といまいち噛み合わない内容になっている。そのため変更に取って付けた感が強い。
  • チェスターの武器「エルヴンボウ」の入手・強化のために、PS版のダンジョン「トレントの森深部」とGBA版のイベント「ブラムバルドとアーシア」の両方を行わなければならなくなっている。
    • PS版では「エルヴンボウ」の入手イベントは容易に行えた一方で強化イベントが困難であった。逆にGBA版では入手が困難な代わりに強化が容易に行えていた。だが本作では、GBA版の入手イベントとPS版の強化イベントを統合させてしまったため、入手・強化が非常に厄介になってしまった。
      • GBA版の項目にもあるが「ブラムバルドとアーシア」には強い拒否反応を示すファンも少なくなく、「トレントの森深部」にしてもその広大さやダンジョンの性質上アイテム消耗が激しい点から非常に難易度が高く、さりとて後方支援としては優秀なチェスターの強化に繋がるので放置する訳にも行かず…とにっちもさっちもいかないため「何の嫌がらせか」と不満が相次いだ。
  • エンディングの楽曲が変更されている。
    • PS版では「星を空に…」(歌:吉田由香里)がエンディングテーマとして使用されていたのだが、今作ではなぜかこれが変更され、SFC版のBGMとも違った、ぽっと出の当たり障りのないBGMになってしまった。
      • 評判が高かったこともあって、この変更に関して不満の声が多い。
      • 本作のBGMは『クロスエディション』のエンディングでも使われているため、権利関係が変更理由にあるのではと言われる事もあるが、詳細は不明。
    • なお、同じくPSPに移植された『エターニア』のエンディングでも、PS版では「eighteen」(歌:New Cinema 蜥蜴)が使用されていたが、PSP版ではオープニングテーマである「flying」(歌:GARNET CROW)のインストゥルメンタルバージョンに差し替えとなっており、同様に不満の声が聞かれる。
  • 戦闘中の敵の思考ルーチンの変更*7
    • PS版に比べると敵が攻撃的になった。恐らくPS版に対して「温すぎる」という意見がかなり多かった為の調整と思われる。
      • 代表例がノーム戦。PS版では彼らはプレイヤーが近づくと一定時間の無敵攻撃を行う習性があるが*8、逆にある程度の距離を保ったまま近づかなければ無害のため、術攻撃で完封するのが定石であった。しかし本作ではSFC版と同様、間合いとは無関係に無敵攻撃を行うようになったため、PS版に慣れたプレイヤーは戦術の構築をし直す必要が出てきた。

ボイス周り

  • グラフィック同様、基本的に使い回せる所は使い回す方針のようで、フェイスチャットは勿論のこと、戦闘中のボイスもごく一部を除いて使い回し、新録と言えるのは実質的にはメインストーリー上の台詞のみと言って差し支えない。
    それ故かボイスの新緑と使い回しの混在に絡んで下記のような問題点を指摘する声も見られる。
  1. 音量差
    • 新録のボイスは音量が大きく、逆に既存のボイスは音量が小さくなってしまっているため、同じ音量だとフェイスチャット(使い回し)は聞き取りづらく、メインシナリオ(新録)は喧しく聞こえてしまう。
  2. 声優陣の声質変化
    • 使い回しの元になるPS版は本作より約10年前の作品なため、使い回しの音声に比べると新緑の音声が声優陣の加齢等の影響により全体的にややかすれて聞こえるようになっている。
  3. 「インディグネイション」の発音
    • オープニングでエドワード・D・モリスンが放つなど、本作で強い印象を残すこの魔術は本来、表記こそ「インデグニション」だが正しくは「インディグネイション」である。
      これは『ファンタジア』には術技名表記に8文字制限がある*9ためで、勿論ボイスでは「インディグネイション」と発音していた。だが本作では、何故かアーチェのみ新録で「インデグニション」発音に差し替えられている。
      • 「そんな些細な事まで槍玉に挙げなくても…」と思うかもしれないが、本作のメインシナリオに深く関わる魔術だからこそ、余計な手を加えて欲しくなかったと考えるプレイヤーは多い*10
        しかも同様にボイス有りで放つエドワードや隠しボス・オーディーンは変わらず「インディグネイション」と発音するので、なおのことこの変更への不満が高まる結果に。また新録である為上記の音量差や声質の問題があり、他の魔術関連のボイスから明らかに浮いている。
      • 当然ながら、PS版まではアーチェも「インディグネイション」と発音しており、本作において彼女のみこの発音にする理由付けなどは存在しない。
      • 『ファンタジア』のドラマCDにおいて、彼女が「インデグニション」と発音していた為、これに合わせたという見方も出来なくはないが…。
  • これらが全てが合わさるとその違和感は非常に強烈であるので、こうなるくらいなら全部新録にした方が良かったのではないだろうか。
  • その他、メインシナリオに絡んでくる汎用キャラクターにもボイスが用意された…のは良いのだが、老人のグラフィックに対し若者のボイスが使われたり、女剣士のグラフィックに対し男性のボイスが使われたりと、一部グラフィックと声が噛み合わない
    • 汎用キャラクターとはいえ適当すぎると批判された。

システム周り

  • メニュー画面を開ける状態であればいつでもロードが出来る「どこでもロード」機能が追加されたが、中断セーブの類は一切出来ない。
    • 携帯機であることを考えれば、どこでも電源が切れる中断セーブこそ実装すべきだったのではないか。
      • それどころか本作はプレイ中にソフトリセットが出来るため「どこでもロード」は完全な死に機能と化している。
      • 中断セーブについては機能こそ無くとも(電池を少量消費するが)PSPのスリープ機能で中断は可能なのでそれで問題ないのではという見方もある。
  • その他、大元となったPS版に比べてボタン数が減少しているため、ターゲット切り替えなど一部操作がやりにくくなってしまった。

悪化はしていないが改善もされていない点

  • 現在のテイルズオブシリーズでは、秘奥義を除く術の発動中であってもキャラクターの操作が可能なシステムが主流となっている。だが『ファンタジア』では本作に至るまで、術の発動中は操作が不能なシステムとなっている*11
    • システムがまだ確立していなかったSFC版・PS版や、スペックが足りないであろうGBA版は仕方ないとしても、本作はそれらの問題もないはずなのに操作不能なため、最近のシリーズ作品を踏まえるとどうしても古臭さや窮屈さが拭えない。その為「いつになったら術の発動の度に止まらなくなるんだ?」という批判意見を呼んだ。
      • 事実、同じくPSPに移植されたPS2PSのテイルズ作品は多いが、場合によって多少の処理落ちこそ伴うものの、どの作品でも上級魔法が発動しても操作が止まる事は無い。
      • 逆に、術を使われた時点で行動が出来なくなる仕様により、「いかに相手に術を使わせないように立ち回るか」という最近のシリーズ作品では薄れている立ち回りを楽しめるという好意的な見方もあるにはある。
    • この点に関しては『クロスエディション』で中途半端に解消される事となった。

評価点

  • 携帯ハードにおいてまともにプレイ出来る『ファンタジア』であること。
    • GBA版は戦闘周りやインターフェースに難を抱えており、後の『クロスエディション』は戦闘バランスに大きな歪みが生じ、中途半端なオリジナルキャラクターを捻じ込んだ為にシナリオ面でも矛盾が生じてしまっているため、その辺の問題を抱えていない点は評価出来る。
      • また、一部の追加・変更要素以外は完成度の高いPS版をベースとしている為ゲームの根幹はしっかりしており、新規に『ファンタジア』に触れるプレイヤーであれば十分楽しめる。調整が雑とはいえ、従来作品のようにグレードを用いた様々な引継ぎも可能になった為、2周目以降も楽しめるようになったのも大きい。
      • いずれにしてもあまりポジティブな見方にならないことは間違いないが。
  • 重要アイテムや称号を獲得した時のジングルを飛ばして文章送りが出来るようになったこと。
    • 重要アイテムを手に入れた時や称号を獲得するとその旨が表示されると同時にそれぞれ対応したジングルが流れるが、GBA版まではこれを飛ばすことが出来ず、ジングルが流れ終わるまで待たなければならなかった*12が、今作以降はジングルが流れていてもボタンを押すことで文章送りが出来るようになったことで、待たされるストレスは軽減された。
      • ただし、曲の切替えの読み込みがあるため短時間ながら無音になってしまう事と、元々のジングルが余程急いていなければ気にならないレベルのものであることは付記しておく。

総評

問題点は多いものの、それらは凶悪なバグのようなゲームそのものの致命的な欠点ではなく、あくまで今迄の『ファンタジア』と比較したからこそ目につく不満点・問題点である。
そのため単体では十分に遊べる内容となっており、新規プレイヤーからはまずまずの評価。

しかし、その見方を支える要因の大半は流用元のPS版の完成度の高さに対してであり、肝心の本作オリジナル要素のほとんどがつっこみ所満載のため、「ガッカリさせられた」・「公式の宣伝に騙された」という声が続々上がる羽目に。
また、GBA版で否定意見が多かったはずの「ブラムバルドとアーシア」だけはしっかりと収録されていた事に対して、「何故一番要らない要素だけピンポイントで収録した?」という批判意見も多く、その他のPS版からの変更点も含め、「中途半端な追加や改変をした事で質が劣化してしまった移植」と見ることも出来る。

話が変わるが、本作で移植・リメイクと銘打って発売された『ファンタジア』は3作目となり、更に数ヶ月後に(当時)発売予定となっていたPS2版『デスティニー』が根幹からフルリメイクされることも明らかにされていたために「いい加減『ファンタジア』もPS版に頼った手抜き移植じゃなく、出すなら出すでせめてPS2版『デスティニー』位の大掛かりなリメイクをやってくれ」という不満が噴出することとなった。
プレイヤーからの評価もいまいち芳しくない本作だが、その理由として「変化に乏しい移植を“また”やったこと」が要因の一部であることはまず間違いないであろう。


余談

予約特典について
本作の 予約特典 である「ドラマチックDVD -アップルグミ篇-」内のドラマにおいて、『アビス』の登場キャラクターであるジェイド・カーティスにクレスおよび『ファンタジア』の戦闘システムそのものを一方的に馬鹿にされている内容が含まれており、一部『ファンタジア』ファンからは「予約までして買ったのに、なんで(好きな作品を)馬鹿にされなきゃいけないんだ」「いくらスタッフが『アビス』(もしくはジェイド)が好きだからって、別作品の予約特典を踏み台に使うな」といった強い不満の声が出ている。

+ 参考動画。ニコニコ動画より

それ以外にもこの段階から本編では考えられないキャラクター崩壊のきらいもあり、後々のシリーズクロスオーバーや予約特典における一部作品を除いたシリーズキャラクターのキャラクター崩壊に関しての大惨事の予兆も既に見受けられた。
これ以降の上記媒体に見られる、やりすぎなキャラクター崩壊もなるべくしてなったとも言えるだろう。

ダオスの声について
GBA版まではダオスは故・塩沢兼人氏が演じていた*13が、本作でのフルボイス化に伴い、OVAでダオスを演じた森川智之氏に変更された。
過去の流用とはいえ長年ゲームでは変えられていなかった声が変更された事もあって、旧来のファンからは残念に思う声も多かった。
念の為に書いておくが、森川氏のダオスも新たなファンが付く等、その演技自体は評価されている。


移植

  • iOS版(2013年9月24日から2014年5月29日まで配信)
    • 基本プレイ無料でアイテム課金という方式を取っており、課金せずとも一応はエンディングまで到達する事も出来る。
    • 操作性に難があったり、課金前提のバランス調整がなされた事もあって評価は低い。
      • 現在は配信終了しており、プレイ不可能となっている。