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ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争
【ふぁいなるふぁんたじーたくてぃくす ししせんそう】
ジャンル
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シミュレーションRPG
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対応機種
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プレイステーション・ポータブル
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発売元
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スクウェア・エニックス
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開発元
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トーセ
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発売日
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2007年5月10日
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定価
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4,800円
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プレイ人数
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1~2人
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レーティング
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CERO:B(12歳以上対象)
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廉価版
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アルティメットヒッツ:2009年7月30日/2,940円
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判定
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劣化ゲー
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ポイント
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イベント増加、新規ムービーは好評 激しい処理落ち(PSP版限定) 他作キャラの過剰なまでの優遇 改善点も多いが、問題点も多い
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ファイナルファンタジーシリーズ関連作品リンク
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概要
1997年発売の『ファイナルファンタジータクティクス』に追加要素を加え、PSPに移植した作品。
変更点
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新規イベントの追加
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追加されたのはPS版で印象が薄かったキャラの掘り下げや、人気キャラ用のサブイベントの追加など。
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元のストーリーを大きく変えてしまうようなイベントは追加されていない。
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新規ジョブの追加
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「暗黒騎士」「たまねぎ剣士」の2ジョブが追加された。
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暗黒騎士はPS版で一部の固有キャラしか使えなかった剣技と同等の技を習得できる。
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また、女性ユニットも暗黒騎士のアビリティで「Move+3」を取得できるようになった。
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たまねぎ剣士は初期状態では非常に弱いが、ジョブのレベルを最大まで上げると最高クラスのパラメータを持つようになる。
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一部仕様の変更
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ユニット制限人数が、16人から24人に増加。
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「剛剣」の強化
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装備破壊しないとダメージを与えられず、装備品を着けていない敵には全く効かない仕様だったが、装備破壊しなくてもダメージを与えられるようになった。
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加えて該当部位に装備がない場合ダメージがより高くなる仕様も追加。
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ただし、当然ながら装備破壊を防ぐ「メンテナンス」持ちのユニットには通用せず、敵の剛剣使いも同じ仕様になっているため注意が必要。
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「真言」の強化
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指定範囲内をランダムに複数回、複数個所を攻撃するアビリティの攻撃回数が増え、中心に当たりやすくなった。
評価点
新規追加要素
新規に追加された要素は概ね好評
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新規追加されたムービーが秀逸。
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特徴ある本作の絵や雰囲気を、トゥーンシェードで違和感なく表現している上に迫力がある。
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特にPS版に愛着がある人たちに高評価を得た。
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「通信対戦」「共同戦線」の追加
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自己満足だけで終わっていたキャラの育成も、他プレイヤーとの対戦or協力という別の形で生かせるようになった。
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共同戦線については、本編ではありえなかった敵軍団が登場する、戦闘前に会話がある、勝利条件が独特など、本作品が好きな人にとっては非常に楽しいものとなっている。
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新規イベントの追加
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原作のキャラを壊さずにキャラ描写がが順当に強化されている。
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新規ジョブの追加
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このおかげで、CHAPTER 4以降に続々と登場するバランスブレイカー級のユニットの影に埋もれていく主人公ラムザや汎用キャラの使い勝手が広がっている。
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「通信対戦」や「共同戦線」ではレアな装備を入手可能
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PS版では密猟バグか特殊なデータが必須だった源氏装備も入手できるようになった。
不満点の解消
PS版の不満点や不具合が解消されている。
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ユニット制限人数の増加
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PS版では制限人数ギリギリまでユニークキャラが存在したため、そこまで育てて戦ってきた汎用ユニットかユニークキャラのどちらかを除名しなければならなかったが、上限が上がった事でユニークキャラクターを除名せずにキャラを育成できるようになった。
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「剛剣」の強化
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使い勝手が良くなった事で、「剛剣」の使い手メリアドールの価値が上昇。
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PS版ではただでさえ使い勝手が悪い上に、上位互換のオルランドゥの加入、オルランドゥ加入後は主となるボスのルカヴィには一切効かなかったことでベンチキャラの烙印を押されていた。
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元々基礎ステータスが高いこともあり、この仕様変更はかなり上方修正となった。
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「真言」の強化
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このおかげで全然使えない、仲間になっても即除名候補などと長年散々ネタにもされ続けていたマラーク及びラファの価値が上がった。
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ただし、もともと異常な能力と成長力を持っていたレーゼのアビリティも同時に超強化され、バランスブレイカーに拍車がかかって
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クラウドを仲間にできる時期がPS版に比べ早くなっている。
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一部戦闘バランスの調整
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PS版ではゲーム中最大の難所と名高い3章のリオファネス城のウィーグラフ戦にて、ウィーグラフの能力が弱くなった。
賛否両論点
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アグリアスとムスタディオの追加イベント
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本作における人気女性キャラアグリアスと、原作ではラムザに同行はしているが特に接点の無かった青年ムスタディオとの色恋沙汰を匂わせる要素があり、これが両キャラクターのファンから賛否が分かれている。
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このイベント、一見ムスタディオとアグリアスのいい話のようになっているが、内容は「ムスタディオが部隊の軍資金でプレゼントを買った」というもの。イベント内の会話によりラムザは容認していることが伺えるが、プレイヤーに選択の余地はなく、事実上、プレゼント代5万ギルの横領である。もっとも終盤まで来ると一回の戦闘で数万単位の収入があり、装備品も一通り揃っているので他にギルの使い道がなかったりするのだが。
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またFFTファンの間では、アグリアスはラムザに対してかなり印象的なセリフを言うなどの理由から、彼とのカップリングを推す意見が非常に根強い。そんな中で何故別の相手とのイベントにしたのか?という批判意見も多い。
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ただ、補足しておくと、このイベントは発生条件がやや凝ったものであり、強制的に発生するものではない。(「50万ギル所持」「アグリアス、ムスタディオ、アグリアスの部下という設定の汎用ユニット二名の四名が全員自軍にいる」「アグリアスの誕生日に街に立ち寄る」と言う条件を満たす必要がある)このイベント以降の、二人の関係の進展の描写もない。あくまで、CHAPTER4に多く設定されている、本編とは無関係の、お遊び要素を盛り込んだ寄り道の一つである。
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なお、アグリアスとラムザのカップリングはあくまで非公認であり、ゲーム内には色恋沙汰を匂わせるイベント及びセリフは一切存在しない。
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海外版の特殊仕様の削除
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PS版では海外版のみエルムドアから源氏装備装備を盗む・破壊することが出来たが、本作は海外版も含め仕様が統一され、海外版でも不可能になった。
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噂によると海外PS版FFTの特殊なデータは販売されておらず、またアイテム発見移動では源氏装備は見つからず源氏装備を装備しているものはエルムドアしかいないためジョブ特性からメンテナンスが外されていたらしい。
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国内ではおおむね評価されているが、海外では賛否両論になった。
問題点
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戦闘中の処理落ち
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戦闘中に何らかの行動(移動・攻撃・魔法・補助など)を取った際、エフェクトに処理落ち・フレーム落ち・SEずれが発生する。(参考動画)
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回転や拡大縮小など特に複雑な処理をしていないエフェクトでも発生し、演出の長さがPS版の1.5~2.0倍となったことで、結果としてゲームプレイのテンポが落ちた。
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PS版に触れたことのない人ほど「気にならない」傾向が強い模様。ただし雨が降ってる時や算術ホーリーなどは初見の人でもわかるほど処理落ちが酷い。トイレに余裕で行ける程。
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このような劣化が生じたのは、通信対戦の導入が主因ともいわれている(ただし、あくまで噂なので真偽は不明)。
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現在、ネット上にUMD版でも使える解決策が出回っている。悪天候・ザルバッグ戦以外のラグなら解消できる。
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PSP版の追加要素の、他作品からのゲストキャラの1人(『FFXII』よりバルフレア)が非常に強い。
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主なポイントは以下の通り
1、威力半減の必中攻撃を4回連続で行う「乱れ撃ち」
2、最重要ステータスであるSpeedの補正・成長値、Move値が物理系最強ジョブの「忍者」と同等
3、防具はステータス補正や耐性が優秀な「服」+盾、武器は騎士剣から遠距離用の銃・弓まで装備可能
4、武具盗難破壊を防ぐメンテナンスが常時発動
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また、初期装備が超貴重かつ強力な装備であり、初期装備で最後までいけてしまう。
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その他、既存の固有キャラ・ムスタディオの完全上位互換となっている
そのため、ムスタディオのファンはもちろん、キャラファンで無いプレイヤーからも否定的意見が多い。
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ただ、同じく追加されたゲスト枠のルッソと異なり強制加入ではないので、気に入らなければ仲間にせずにスルーすることも出来る。
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上記のように性能の高い装備を多数装備しているので「仲間にしてレア装備を剥いで除名or使用しない」という人も。
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また、成長力、遠距離攻撃の範囲・火力では、PS版でバランスブレイカーとして未だに語り継がれている固有ジョブ「剣聖」シドには劣るため、単純な戦力ではシド程のバランスブレイカーという訳ではない。
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なお、本作では他にFFTA2の主人公・ルッソが販促キャラとしてゲスト出演している。こちらの職業「モブハンター」は、「主人公ラムザの見習い戦士にほんの少しだけ特典をつけた程度」の性能に留まっており、主人公の特権やこれまでの成長を考慮に入れれるとラムザに劣る。また、PS版にもFF7の主人公・クラウドが登場しているが、こちらも「育てれば使えなくはないが手間がかかり、思い入れがなければ即除名」程度の強さ。
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他の販促キャラがこのように自重しているにも関わらず、バルフレアだけがバランス崩壊級の強さである点が、スタッフの暴走を伺わせる。
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同じく追加されたゲスト枠のルッソと異なり強制的に加入イベントが発生する訳では無いので、トリガーである噂話を聞く手順さえ踏まなければ意図的に登場するイベント自体を起こさない事も可能。
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つまりは仲間にするもしないも完全に自由なのだが、既存キャラを上回る性能や豪華な装備が顰蹙を買っている。
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故にバルフレアの存在でムスタディオの価値が無くなった訳では無い。
空賊は機工士の完全上位互換ではあるが"ムスタディオは機工士固定では無い"
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新規追加ジョブの「たまねぎ剣士」は、得られるメリットが育成の労力に見合っていない。
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能力値・成長率が全てにおいて低レベルで、性能が極めて低い。ジョブレベルが8に達すると大幅に改善されて、全ての能力値が最高クラスになるのだが、そのためには「14種類のジョブをマスター」という非常に重い条件が必要。そのジョブの全アビリティを習得しなければマスターとはならないので、14種類マスターはとても苦労が大きい。その中にはマスターするために大量のJPが必要なジョブ(竜騎士、黒魔道士など)や実用性の薄いアビリティの取得が必須であるジョブも含まれており、苦痛でしかない。
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ジョブの特徴としては、全種類の武具を装備可能という特性があるため、男性ユニットに強力な女性専用アイテムを装備させることが可能である。さらに、入手方法が共同戦線限定だが専用の「オニオン装備」で固めれば、「万全の状態異常耐性・各種強化魔法・高いHPと回避性能・最高の攻撃力」が得られるというメリットがある。
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ところが、同時に「アビリティを一切セットできず、通常攻撃しか実行できない」というあまりに重すぎるデメリットを持っている。確かにオニオン装備などで固めればそれなりに頑強だが、アビリティを一切セットできないために移動性能が低い・装備破壊が防げない・回避率が高い敵に対処法が無い、など穴が多い。実際のところ頑張って鍛えてレベル8まで育ててもそこまで強力とは言いがたく、むしろデメリットのほうが目立ってそれほど活躍できない。女性専用アイテムが装備できない男性ユニットの状態異常耐性万全にしたい、という時なら出番はあるが(裏を返すと、女性ユニットの場合はこのジョブで戦う必要がかなり薄い)。
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たまねぎ剣士の真価を発揮させるには大量のアビリティの習得が必要なのに、肝心のたまねぎ剣士そのものはアビリティを一つもセット出来ないというのは残念過ぎる。
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しかも、苦労の末得られる「最高クラスの能力値」というのも絶対の長所ではない。ほぼ裏技だがドーピングを行えば、ユニットの物理ATとHPは比較的簡単に伸ばせるため、他ジョブでも通常攻撃でカンストダメージが出せてしまう。
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挙句の果てには、「Exp獲得によるレベルアップができず、高い成長力を活かせない」という地味に重いデメリットも持っている。レベルアップさえできれば、上述のドーピング専用職として使い道があったのだが、そのレベルアップに膨大な手間がかかるため、実質不可能。
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どうせこのジョブがレベル8になる頃には、通常クリアレベルを大きく超えたステータスに達しているわけである。やりこみ人へのご褒美としてもっと強力かつ便利な性能でも良かったのではないだろうか…?
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他、以下の細かな問題点が散見される。
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ソフトリセット機能の削除。
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「リミット」や弓使いの「チャージ」など、一部の使い勝手の悪いアビリティは改善されなかった。
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開始時ムービーでは物語のキーアイテムでもある12種の「聖石」が登場するのだが、二度ヴァルゴが登場してスコーピオは登場しない。
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ラムザの名前を変えてもムービーでは「ラムザ」のまま表示される。
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追加要素は多いが、「既存の物の使いまわし」が目立つ。
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「暗黒騎士」のアビリティのエフェクトが、他ジョブのアビリティからの使いまわし。PS版はほぼ全ての技が固有エフェクトである事を考えると、手を抜いたと言われても仕方がない。
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もう1人のゲストキャラ(『FFTA2』の主人公「ルッソ」)の能力が主人公とほぼ同一で、固有ジョブ「モブハンター」の習得アビリティはラムザの「見習い戦士」に「密漁」のアビリティを加えただけで工夫がない。
「モブ(使いまわし)のハンター」と揶揄されても仕方ないほどの手抜きである。
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通信対戦・共同戦線関連
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友人らとの通信を行う都合上、途中セーブができないという難点がある。オリジナル版にはそのようなものがなかったので仕方ないと言えば仕方ないのだが、10連続バトルのようなおよそ通信要素には似つかわしくないものまで存在しているのでややきついかもしれない。
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共同戦線のバトル内容自体は面白いのだが、1人でのプレイには対応しておらず通信相手が必要なため、普通にプレイヤー1人だけでも遊べるようにしてほしかったという声もある。
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さらに、暗黒騎士の専用装備である暗黒剣など、本作で追加された新アイテムの多くは通信を使わないと入手できない。一応その入手の面倒さに見合う性能ではあるのだが、逆に強すぎるとの批判もある。
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SEがPS版と比べて
大幅劣化
している。全体的に低音が消されており、PS版にあった攻撃の重みが感じられなくなっている。特に雷属性魔法とルガヴィ降臨のSEはファミコン音源のような電子音に改悪されている。
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オリジナル版にあったエコー効果が無くなっており、BGMでも「Antipyretic」などは原曲より迫力が落ちてしまっている。
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PS版で問題となっていた、終盤のゲームバランス崩壊が改善されていない。強力なユニットやアイテムが多く追加されたため、悪化しているのではとの声もある。
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PS版のバグ・ミス(ミルウーダが本編で戦闘するとき乙女座になっているなど)や誤記(ムスタディオのヘルプメッセージなど実際の仕様と異なる内容が書かれている物など)の一部は、修正されず残っている。
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ゲーム起動時の、メーカーロゴの表示時間がやたらと長い。
総評
一部に賛否の分かれる要素や、調整ミスのような物もあるが、追加要素は概ね好評である。
固有技能が弱い残念キャラの強化や部隊の上限人数の増加など、基本的には遊びやすくなるよう調整もされている。
なのだが、何よりも処理落ちの酷さがゲーム全体に付きまとうために、評価を落としてしまっている。
人によっては処理落ちはそこまで気にならないという声もあるが、調整不足の新規要素等もあり、劣化移植として見る声が強い。
現在ゲームアーカイブスではPS版FFTが配信されているが、本作も一概に悪い作品とは言えない。どちらを購入するかは個人の好み、プレイスタイルの問題であろう。
iOS・Android版
2011年8月4日にiPhone・iPod touch・ipad向けにiOS版が、2013年2月14日にAndroid版が発売。
通信限定だった追加アイテムはクリア後に無限入手可能。グラフィックがPSP版よりも描画が滑らかになっており、処理落ちに関しても改善されている。
ただし、時折強制中断する不具合があり、カーソル操作などに強いクセもある。
挙句の果てにはバージョン2.0により中断セーブ不可能になったため、強制中断した場合は戦闘開始からやり直し。
このため、こちらはクソゲーレベルの出来栄えといってもいい。
余談
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本作でのバルフレアの扱いは本作での性能だけにとどまらず関連グッズなどでも如実に現れているほど贔屓されている。
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攻略本では、暗黒騎士と空賊(バルフレアの固有ジョブ)のみ2ページで紹介されている。
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公式サイトの壁紙(普通にDLするやつとミニゲームをクリアするともらえる物)はいずれも他作品からのゲストキャラの中で唯一バルフレアがある。一方他のゲストキャラは(FFT版の)公式イラストが公開されていないクラウドはおろか公式イラストが公開されているルッソすらない。
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またリメイクで追加されたゲストキャラでありながらフィギュアまで作られた(FFTの服装のバルフレアで、である)。ちなみに同じくゲストのルッソ(公式サイトのキャラ紹介に載ってるキャラの中で唯一作られていない)やクラウドは作られていない。
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そもそもなぜ当時の最新作からのゲスト出演とはいえ、ヴァンやアーシェではなく彼なのか? という疑問ももたれているが、これは家名が同じ=おそらくムスタディオの先祖であるため。前述のように、性能で子孫を完全にスポイルしている訳だが……。