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パワプロクンポケット10 - (2013/09/07 (土) 20:06:33) の編集履歴(バックアップ)


パワプロクンポケット10

【ぱわぷろくんぽけっとじゅう/てん】

ジャンル 野球バラエティ
対応機種 ニンテンドーDS
発売元 コナミデジタルエンタテインメント
開発元 コナミデジタルエンタテインメント(パワプロプロダクション)
発売日 2007年12月6日
定価 5,229円
ポイント 野球パートが大幅に進化
彼女を作らずに遊ぶと『DS版パワプロ』
一部の彼女候補の『次回』に持ち越す未完シナリオは賛否両論
現在では人によっては『シリーズ衰退の戦犯』扱いも
難度は比較的高いものの育成しがいはある。
実況パワフルプロ野球シリーズリンク

概要

  • 本家とは似ても似つかないシナリオや彼女、サクセスで人気を集めてきたパワプロクンポケットシリーズの11作目(ダッシュ含む)。
  • キャッチコピーは「おもしろい野球ゲームができました!!」
  • 「売れるものを作る」という至上命令によって野球パートが進化。他にも新要素が盛りだくさん。
  • 「DS版パワプロ」を狙って作られている一方、一部の彼女シナリオのノリは毒のあるパワポケ節だったが後のシリーズ迷走から踏まえてみると批判も多い。

表サクセス「甲子園一直線編」

  • ストーリー
    本作の主人公は野球が得意だったものの、強豪校に入学できなかった高校生。そんな彼が母親の勧めで入った親切高校は、日常から切り離された全寮制の高校だった。野球部に入るものの、閉鎖的な環境の中で行われる監督・先輩のしごきに野球魂を削られていく。
    さらに同地区には他校のスーパーエースでイケメンの投手・天道翔馬が親切高校の前に立ちふさがる。
    そして親しくなった少女達の悲哀。
    果たして彼は甲子園に行けるのだろうか。
  • サクセス本体の難易度は高め。
    • クリア条件は「2年目秋か3年目夏の地区大会で優勝する」ことである。
      • 優勝するには試合に3回勝つ必要がある。最後の相手は必ず主人公のライバル「天道 翔馬」が所属する「星英高校」となる。
    • 甲子園で戦う相手もかなりの強敵である。
      • 特にもう一人のライバルキャラ「岡田 威蔵」が所属する夏の甲子園最後の相手「天下無双学園」は、全体的に能力値が高く超特殊能力持ちの選手も多数所属している。
    • 本作特有のシステムである「 野球魂 」は尽きるとゲームオーバーになってしまう。だが基本的に練習しないと溜まらない。
      • だが最初は「球磨き」などの雑用しかやらせてくれない。質の高い練習を行うには監督評価を上げる必要がある。
      • 後述の「ペラ」を溜めるのに必要なボランティアをすると大幅に減るほか、イベントでの増減が激しい。
      • とある彼女キャラでは野球魂の維持に気を使う必要がある。
    • 本作特有の通貨として「ペラ」があり、ボランティアをすることで溜めることが出来る。練習とうまく両立させていく必要がある。
      • ペラは『6』の裏サクセス「しあわせ島」で使われた架空の通貨であり、裏設定でしあわせ島と本作の親切高校は密接に繋がっている。
      • 監督評価を上げるための贈り物もペラで購入して手に入れることができ、早ければ1年目の前期以内に練習をパワーアップさせられる。
    • DSシリーズの中でも試合の難度が高めになっている。
      • その代わりに『8』の「勉強」に似た「野球センス」の追加で、慣れてしまえば強い選手を作りやすいパワポケになっている。
    • 難易度は高めだが、野球センスシステムもあってか強い選手を作りやすい。
  • 基本的にパワポケの高校編は学校サイドの暗躍や妨害工作などで『3年目の夏にしか甲子園に出れない』のが通例だったが、本作では唯一、春のセンバツに出場出来る。
    • ただし、3年生になるまでは主人公以外がダイジェストで進むため運の要素が強く、難度はかなり高い。仲間評価が高いのに初戦敗退なんてこともざらにある。
    • 後述のカード野球なら試合に参加さえ出来てしまえばいつでも全員操作出来るので比較的安定して勝ちやすい。ただし後述のバグ技は使えない。
  • 5回データが消滅すると「5リセット座談会」なる楽屋オチ・設定解説が見られるようになった。
  • 従来のパワポケシリーズの例に漏れず、キャラが全体的に濃い。
    • 主人公は自他ともに認める「野球バカ」で、天才投手と言われる天道をライバル視する熱血漢である。
      • 勉強を苦手としており、歴代主人公で学力最低と言われている。「セントバレンタイン」を「セットヴァルエンチン?」と呼び間違えたり、因数分数が苦手だったりするシーンは印象深い。
      • 凡人である故に努力して周囲に「認められる」ストーリーである。ライバルルートは正にその流れであり、彼女候補でもさら・五十鈴などは交際の中で信頼されるようになっていくのがストーリー的に重要になる。
      • 2年目に3年生が引退するとき、必ず次期キャプテンに指名される。主人公はこれまでの公式試合に一度も出場しない事や『1』『4』『13』のように崩壊した野球部を立て直した実績があるわけでもないため異例の抜擢である。
    • 新しい仲間についても、恒例のメガネ一族の「荷田」、主人公に負けず劣らずの野球バカである「越後」、周囲に自分が金持ちだとうそぶく「官取」、常に腹を空かせている「岩田」、野球でもピアノでも多大な才能を発揮する「田島」、生意気な後輩だが意外な性癖を持っている「疋田」と皆個性的。
    • 3年目に入部する「真薄(まうす)」は『ダッシュ』のガンバーズ出身のキャラ。彼の様子を見に「羽柴」「夏海」が顔見せに来たりもする。
    • 監督の「車坂」は某軍曹を彷彿とさせるスパルタ監督だが、生徒思いの熱血漢である。
      • 監督評価が低い時は冷遇されるが、評価を上げて気にいられると主人公の強い味方になってくれる。育成を安定させるためには彼を味方につける事が必要になる。
      • 試合に勝ったときは気を緩めないようにと厳しい言葉を投げかけるが、内心喜んでいるなどツンデレな一面も。
    • 保健医の「桧垣」は本筋の展開にはあまり関わらないが、この学園の「裏の顔」に深くかかわっており、一部の彼女候補のシナリオの重要人物である。
    • 大谷記者の意志を受け継ぐ事になるジャーナリスト『武内ミーナ』も本作が初登場。人気のあるサブヒロインとなる。
      • 以降の作品に毎回サブキャラとして顔を出しながらも攻略ヒロインではないため「攻略できないのはバグ」と『9』の夏目准のような扱いを受けている。
    • 特定の彼女キャラのシナリオに深く関わる『浜野朱里』は『11』で攻略彼女キャラとして再登場する。
    • ここで挙げた以外にも多数の個性的なキャラが登場する。
  • 過去作品に登場してきた高校が再登場。また、過去作のキャラが監督として登場する。
    • 「鉄砂高校」の監督は再登場した『1』の「ようこ先生」であり、同じく『1』で登場したとあるキャラの子供がエースとして参加する。
    • 『7』『9』の監督であった「佐和田監督」は車坂監督の恩師である。本作の1年目は『9』と同時期である事を加味するとニヤリと出来る。
    • 春のセンバツ2戦目の相手は『4』のライバル校だった「大安高校」であり、当時エースだった「真賀津」が監督を務めている。
    • 春のセンバツ最終戦の相手は『4』でも最終戦の相手だった「超最強(グレイテスト)学園」であり、当時選手だった「皇」が監督になっている。
    • 車坂監督とようこ先生の会話イベントなど、本作は監督に焦点を置いたイベントが多い。
      • 各監督や『ダッシュ』からの過去作からの継続キャラは多いのだが、あくまで「知ってるとニヤリと出来る」というレベルで収まっている。
  • サクセス中のミニゲームの失敗時のマイナス効果が大きく、慣れないとキツイ。
    • 『おみくじ射的』は、正月恒例のミニゲームで移動する景品を打つというもの。
      • 1年目の正月には必ずプレイすることになる。2年目は彼女攻略の進み具合によっては回避できる。
      • 運ゲーの要素は少ないが、失敗時のペナルティは高い。
    • 『ぴったりあわせてPカード』は麻雀やドンジャラのようなシステムのカードゲーム。これもサクセス中では回避可能。
      • 勝った時に大量にペラを貰うことができ、ペラ稼ぎの手段として有効である。ただし、負けたときのリスクも大きい。
      • 荷田を初めとした仲間キャラや彼女キャラの五十鈴・紫杏の他、椿・小杉・リン・まさこ(ヤギ)など懐かしいキャラでのプレイも出来るようになる。
    • 『ぞぞぞぞうきん』はボタン連打しながら雑巾がけをする。
      • 必須だが、ほかのミニゲームに比べると難易度は低め。初見でも十分クリア可能。
    • 『ちーぐーぱーどーん!』はじゃんけんをして勝ったらハンマーで殴り、負けたらヘルメットをかぶるというもの。
      • ストーリー上で必ず1回はプレイしなければならず、負けるとマイナス特能を取得してしまう。
      • 後輩である疋田のパワーアップイベントでもプレイすることになる。負けると2年目にパワーアップさせることができなくなり、エピローグも登録できなくなる。
      • 3つのボタンをタッチするが仮に押し間違えてもリスクはないため3つを時間差で押していくのが良い攻略法と言われている。
    • 『帰ってきた3Dコンコンノック』は『2』で水木のミニゲームだったものをDSのタッチペンを使って車坂監督が行う。
      • だが難易度は『2』に比べて非常に上がっている。サクセス中で回避できるのが救い。

彼女シナリオ

  • 本作の彼女候補は一人かませ扱いのキャラがいるものの、全体的に人気が高い。
    • 『ニコニコ動画』の市場では「彼女候補が神がかっている」という宣伝がある。
+ 本作の彼女候補
  • 『芳槻(よしづき) さら』は隣のクラスの生徒で、屋上で俯いている内気な普通の女の子。
    • 過去の事情から人間不信に陥ってしまった彼女の心を開かせるのが話の主軸になっている。
    • 攻略難度自体は低めだが、彼女のバッドエンドはパワポケ屈指の鬱展開と言われている。見るときは覚悟を決めること。
    • 人間不信に陥った原因は主に「彼女の姉」にあるのだが、実はその姉も彼女候補の一人である。姉のルートを進めると詳しい事情が解る。
  • 『高科 奈桜(たかしな なお)』は同級生の新聞部。そしてさらと同じく博多氏のヒロインで緑髪伝説。敬語で喋るが頭は主人公並に悪い。
    • 彼女になるまでが必須ランダムイベントが多くて一番大変。「ある人物」のグッドエンドを登録していると発生率を上げられる。
    • 交友関係が広く、他キャラが登場するイベントが豊富。ほかの彼女候補である五十鈴・蘭・妙子とも交流がある。
    • 中盤に恋人関係になり博多氏らしい軽快なテキストでイチャイチャし続けるが、終盤では彼女の「妹」との確執が出てくる。
    • 付き合っても家庭の事情に気づかなければ知らないうちに転校し、別れることになってしまう。彼女を救うには「彼女の妹との和解」を果たさせた上で、甲子園へ出場するという「奇跡」を起こす必要がある。
    • エンディングが3種類あり、ベストエンドを見るためにはセンバツ出場したうえで、夏の甲子園の決勝まで行かないといけない。難易度は高いが、妹との和解は感動できる。
  • 『天月 五十鈴(あまつき いすず)』は、成績優秀の同級生。男口調で話す素直クールキャラだが交際するとデレる。
    • ストーリー的に五十鈴も野球にひたむきな主人公に惹かれていく展開になり、甲子園を一直線に目指すしかない本作の主人公の物語を補強するルートでもある。主人公が「最後は帰ってくる事」を信じるようになっていく。
    • 主人公自身も初対面から「かわいい子」という感想を抱いており、付き合う内に「ほっとけない」という愛情も抱いていくようになる。他ルートの彼女候補に比べても優しい態度で接する事から彼女のルートの主人公は一貫して五十鈴にベタ惚れである。
    • 彼女は自身も知らない「ある能力」を持っており、そのせいで彼女と交際するとマイナスイベントがやたら追加される。ただし、イベントを進めて関係が深まると追加されなくなる。
    • 必須イベントがランダム多め、時限式選択肢がやたら多い、デートしすぎると怒られる、告白のための野球魂がかなり必要、マイナスアイテム「イタチ人形」を確定入手するイベントがある(五十鈴が破棄してくれるイベントもあるがランダム)、甲子園での優勝が必須と本作の「攻略難易度は高いが強い選手が出来上がる枠」である。
    • 幼馴染に「瑠璃ちゃん」という人物が居る事を話すがこれは状況証拠や後の作品から『ダッシュ』の南雲瑠璃花で間違いないと思われる。五十鈴が瑠璃花の「正史」での無事を担保する事となっている。
  • 『神条 紫杏(しんじょうしあん)』は監督生の自治会長。いわゆる優等生の生徒会長キャラ。厳格な判断力と高いカリスマ性を持つ。
    • 出会いは主人公が女子寮に行こうとするのを見つかってしまうところであり、第一印象は最悪。しかし、生徒会を何度も訪れると関係が深まっていく。
    • 同じく生徒会に所属する「大江 和那」、「浜野 朱里」と仲が良く、この二人もイベントに密接にかかわってくる。
    • 他の人には無い「特異な才能」があり、それに対して主人公がどのような返答をするかで彼女の運命が大きく変わる。
  • 『大江 和那(おおえ かずな)』は主人公や友人から「カズ」と呼ばれる身長190cmのある背の高い関西弁娘。
    • 槍術を初めとした古武術に長けているが、過去の出来事が原因で他者と距離を置いている。
    • 奈桜と同じく1年目から交流を続けることが出来る彼女候補だが、関西弁の漫才の話をするなど友人関係の延長線のような雰囲気がある。ただし和那自体は主人公に恋愛感情を抱いていくようになる。
    • ある事件をきっかけに『重力を操る超能力者』となり、裏の世界に大きくかかわることで彼女の運命が狂いだす。
    • 交際しやすい上に投手だと強得能「重い球」をくれたりとローリスクハイリターンなので育成面で美味しい彼女キャラである。
    • 紫杏のイベントでは彼女の立ち位置が大幅に変わり、主人公と紫杏の仲を取り持つ役目を担う。
  • 『春田蘭(はるたらん)』は主人公を応援する顔が正直良くないハズレ彼女。
    • マイナスイベントは意外と多くないが惚れっぽい代わりに嫌いになったら徹底的に罵倒する。彼女とのエンドを一応観るなら交際するかしないか迷った時に、逆に交際しないと勝手に彼女とのエンディングを迎えるハメになる。
    • 早い話が後述する妙子を彼女にする踏み台であり、超特殊能力も取得できない。
  • 『三橋妙子(みはしたえこ)』は蘭の女友達。
    • 蘭との交際を断ると主人公に怒りを見せるが、逆に蘭と交際を始めるとその縁で主人公と仲良くなり、蘭との交換日記で関係が破綻した後に彼女に勉強を教えてもらうイベントを経た上で交際が出来る。
    • イベントは少ないが「普通の女の子」以上に普通の子でパワプロらしい彼女キャラ。普通に可愛く、野球超人伝を持ってるのも有難い。
    • 他の彼女候補と違い、バッドエンドがない。悪い方のエンディングもノーマルエンドとして扱われている。
    • イベントをうまく進めれば神条紫杏と二股をかけることができるが、エンディングで二股がバレた事でボコボコにされステータスが大幅に下がり、大量のマイナス特能を取得してしまう。

裏サクセス「バトルディッガー編」

  • ストーリー
    古代人の残した謎の遺跡に、街を拠点にカスタム戦車で潜る、戦車カスタマイズRPG。
  • 本作はダンジョンはローグライクで進み、敵に接触したらRPGパートになる。
    • メタルマックスシリーズを彷彿させる「戦車」が主力兵器である。そちらに比べると改造要素は甘いが降車中の弱体化などの緊張感は近い。
    • 強い仲間が入る『レッドドラゴン』、軍人の『ホワイトベア』、変人揃いの宗教団体で無所属の仲間キャラ・タケミの過去に関わる『ブラックタイガー』の三つの勢力から荷担する勢力を選んでいく。
      • 味方しない勢力の主要キャラは最終的に悲劇的な死を迎える事になる。
      • 加入する仲間だけでなく、攻略する遺跡の順番や発生するイベントなど多くの面で違いがある。
  • 50日間の中で「遺跡」をもぐって3つの球を手に入れる事が目的。
    • クリア条件は50日生き残って襲撃するカメダ&ガンダーロボを倒す事だが、3つの球を入手している事で真の隠しボス「天使」が現れる。
    • 本作は第二章がある。ここからはリセットペナルティが重くなり、パーティの仲間キャラが一人死んで永久離脱する。
    • また頭・胴体・右手・左手・右足・左足のパーツを集めて「野球人形」を作る。1人登録するとパワポケポイントが溜まるため、ポイントをためやすい。
  • 本作もいつものようにスターシステムと思われたが、『14』のリセット座談会で数万年後の未来である事が判明する。つまり一部のキャラの設定は繋がっている。
    • 本作のカズ互換の『ヤシャ』は本当にカズのクローンであり、遺跡のモンスター『球』は本作のとある彼女キャラのBADエンドに出てくる生物兵器である。
    • 文明を破壊し続けてきた隠しボス『天使』は、『14』の生物兵器ハームレスの成れの果てである事も語られた。『13』で彼女のオリジナルが登場した事もあってか物悲しいものを感じさせる。
  • 設定やストーリーは相変わらず渋いが、全体的な難易度やバランスはまだまだ荒削り。
  • どの勢力でも仲間に出来る修理屋さんで、本作では『天使』と深く関わる「タケミ(『9』の広川武美)」が居るか居ないかで難易度が大幅に変わって来るとも言われている。彼女は最初の遺跡探索前に仲間に出来るのも強み。
    • 「ホワイトベア」では修理要員の「アキラ」が居るのでマシだが……。
    • しかし本作からRPG路線を強めて行く事になり、『11』『12』『13』の裏サクセスは更に完成度を高めていく事になる。

評価点

野球パートの大幅進化

  • アクション野球が完全3Dになった事で今までのパワポケに比べて非常に遊びやすくなった。
    • ポリゴンの作りはPS1・64時代の『パワプロ』並ではあるものの動きが格段に滑らかになっている。
    • タッチスクリーン部分の画面表示に投手と打者の選手名や作動中の特殊能力などが表示されるようになり、利便性が高まった。
    • 守備オートの時の守備シフトを主導で変更できるようになった。
  • 『パワプロ』シリーズお馴染みの実況が遂に追加された。実況アナウンサーは堀江良信氏。
  • カード野球も『ダッシュ』『9』に引き続いて登場。人によってはカード野球の方が育成が安定するという意見もある。
    • コースが重なっていない時に『ダッシュ』『9』では「三振」が出たが本作では「凡打」が追加。

やりがいある育成

  • 本作はオールA野手や球速スタミナコントロール最高の投手を作りやすい。
    • そのせいでWi-Fiが荒れる原因を作った事も事実だが、サクセスに慣れれば慣れるほど強い選手が作りやすい。
  • 彼女シナリオのバランスが良い。(ハズレの蘭以外の)どの彼女シナリオを通っても特徴のある選手が作れる。
    • 13』の桜華や『14』の紗矢香のように、試合の難易度が非常に高い代わりに経験点・特殊能力が豊富にもらえる上に超特殊能力を自由に手に入れられるなどといった贔屓調整もなく、本作では「強い選手を作るならこいつのご機嫌を取るのが一択」という人物が居ない。
    • 本作の「難易度が高い代わりに強い選手を作れる枠」は五十鈴ではあるが、彼女も計画的に攻略しなければいけない上にバッドアイテム・イタチ人形の強制入手イベントがあるなどハイリスクではある。また五十鈴は超特殊能力が固定なので神速・絶倫以外の超特殊能力が欲しいときなどは「五十鈴一択」というわけでもない。
    • 本作の野球超人伝の所有者は妙子で、彼女はやり方さえ把握しておけば攻略しやすいキャラなのだが同時にデートイベントが「バカの主人公に妙子が勉強を教えてあげる」というもので回復効果や経験点がもらえず、特殊能力の取得なども野球超人伝の「センス○」などしかないためバランスが取れている。
    • 和那・紫杏・さら・奈桜でもカンストステータス選手は作れる。特殊能力ももらえるものは変わってくるので特徴ある選手を作れる。

その他の利便性

  • 初心者でも分かりやすい「パワポケ用語辞典」は野球のルール・パワプロの特殊能力や球種の効果・パワポケの用語が観れる。
    • サクセス中でも試合中でも確認出来る仕様はとても好評で後のパワポケシリーズでも標準搭載された。
  • 通信対戦でWi-Fiコネクションでのネット対戦とソフト1本しかなくてもDSが2台あれば遊べるダウンロード対戦が出来るようになった。
  • サクセス中や俺ペナの際に「セーブして続ける」機能が追加。
    • 従来はセーブ後は自動的にタイトル画面に戻って面倒だったが、本作からそういった手間が省けるようになって利便性が増した。
  • サクセスの開始時の名前入力にタッチスクリーンでの手書きが追加された。
  • オプション設定で主人公の打法・投法にモーションタイプが大量に追加された。
  • 変化球・特殊能力などもバランス調整された。
  • 今までの裏サクセスは一定以上の選手登録かパワポケポイントが必要になったが、本作では表サクセスをクリア出来ない人のために最初からポイントを使わず遊べるようになった。
  • 公式サイトで「しつもんコ~ナ~」というコーナーがあったのだが、質問として相応しくない内容やパワポケの正史設定に深く関わる質問が多かった。
    • だがその回答が好評だったため『11』の公式サイトでも引き続き実施された。

問題点

表サクセスの走塁バグ

  • 表サクセスの実力テストで 走塁練習 を選ぶと、終了直後にエラーになり、「電源を切ってください」と表示されることがある。
    • この後、再起動すると 今までに作った選手データが消失してしまう
    • 細かい発生条件はいまだに不明であるが、実力テストで走塁練習を選ばなければ回避できる。
  • 致命的なレベルのバグはこれぐらいだが、後述のカード野球のバグなど細かい部分を上げるときりがない。

賛否両論点

システム面

  • 過去作品の選手のデータをパスワードで送ると弱体化する。
    • これは過去の作品で強い選手を作ってしまうと現在の作品で選手を作る意味が薄れるという意見が多かったとのこと。
  • 『Wi-Fi対戦』は元あるプロチームでの対戦ならまだしも、オールA+威圧感の選手ばかりで創られたアレンジチームでの対戦は無法地帯になっている。

表サクセス

カード野球バグ

  • カード野球で3年目に監督評価を90以上に上げて采配を丸投げされてから試合中にポーズを押して「やめる」を選択すると 直前の試合結果のまま終わる事が出来る
    • こちらが勝ってる状況で「やめる」を押せばそのまま勝利してしまう。甲子園最後の「天下無双学園」もこれで倒せる。
    • メリットが多いバグだが、利用するかどうかはプレイヤーの自由である。主人公が活躍出来なければ経験点もあまり入らない。

非常にウザい先輩キャラ『北乃』

  • ペラの徴収、いびきによる不眠症、理不尽な受け答えによる暴力、マイナス特能の付加は日常茶飯事。
    • 彼が卒業してマイナスイベントが減る2年目まで我慢の時である。
    • 1年目は障害らしい障害がないため、彼のお陰で張り合いが出るとは言えるかもしれない。
  • 他の先輩はペラを借りるが一定確率で返してくれ別れ際に主人公を激励してくれたり、独自の練習方法を思いついて野球魂を底上げしてくれるなどうろつきでのプラスイベントが大きいが、北乃だけはそういった良い所が一切ない。
    • 2年目の夏に主人公がスタメン入りした時にケガをさせて出場をふいにした節があり、その後にようこ先生率いる鉄砂高校に敗北してしまう。ストーリー的にも徹底的にいいところがない。
    • そのウザさは『3』の亀田、『11』の魔人と並んで「パワポケで特にウザい妨害キャラ」として名前に挙げられるほど。
    • 一応パワーアップイベントも用意されているのだが、実際のステータスではパワーアップしていない。
      • ステータスはそれなりに高いのだが、そもそも公式試合に出場する前に引退してしまうため、ほとんど役に立たない。
    • パワーアップしていると引退後に再登場するのだが、明らかに様子がおかしくなっており、監督に「人体実験を受けたのかもしれない」「関わらないほうがいい」などと言われる始末である。
      • 『11』では官取が彼の事を話題にするのだが電話が使われておらず音信不通であった事が判明する。

ライバルキャラの出番の少なさ

  • 主人公と天道のライバル関係が話の主軸にある本作だが、肝心の天道の出番があまり多くない。
    • 直接会うのはイベントで2回、練習試合で1回、公式試合で最大2回だけである。
    • しかも序盤からライバル宣言をしている主人公に対し、天道は主人公のことを気にも留めておらず、ライバル関係が成立するのは終盤である。
      • 同じ高校編のライバルキャラでも『7』のレッド、『13』のユウキなどは中盤まで主人公チームの仲間として頼れる存在だった事もあってか3年間全般を通して主人公に関わり続けており、それ故に袂を分かった後の対決はそれぞれのストーリーにおける最大の山場として熱いモノだった。
      • 天道は「速球型の投手」というイメージが強く、『5』の小杉や『13』のユウキのように主人公に合わせてポジションが変わるわけではないので本作の主人公が投手だと天道との対決があまり対決が燃えない。
      • その代わり夏の甲子園の決勝におけるライバルキャラ・岡田は4番打者であるため「投手主人公との対決」は彼が補完してるとも言えるかもしれない。
    • ゲームオーバー画面の解説によると「天道が主人公のライバル」ではなく「主人公が天道のライバルキャラ」とある。
      • ライバルルートのエンディングで主人公は「俺と天道との戦いはここから始まる」と言っている。
      • つまり、本作の表サクセスは 「天道とそのライバルとの戦いの始まりをライバル視点で見た物語」 なのである。
  • 攻略本でも「凡人の主人公が努力してライバルに認められていくルート」が本筋である事をインタビューで語っている。
    • 本作の天道は真面目であることぐらいしか特徴がなく、若干地味なキャラであるが、『11』で再登場した時には非常に濃いキャラになっている。
      • 本作では主人公がリア充の天道に嫉妬しているが、『11』では「彼女と交際してるにも関わらず子供の作り方がわからず『ナマーズ』の仲間に聞いてCEROに引っかかりそうな事を言い出しそうな天道」と「妻子がいるライバル」という構図として逆転してしまっている。
  • ちなみにインタビューでは2年目の公式試合で天道に敗北しつつも再び頑張って仲間に認められて3年目に新天道を打ち倒すという流れをイメージしてるとのこと。
    • これは後述の「2年目で複数の女性と関わってた」という正史イメージにも通じるものがある。天道に敗北して奮起したのだろう。
    • しかしゲーム中では慣れれば2年目の天道に負けることはあまりないため、イメージ的なブレを起こしてしまう。

話の主軸に主人公が関われない彼女候補

  • 本作で最も賛否両論が分かれる要素である。あるいは「シリーズ衰退の戦犯」と言われる所以である。
    + 賛否両論の某彼女候補シナリオ
  • 彼女候補の一人である『大江 和那(カズ)』である。
  • カズのシナリオの内容は「野球からかなり乖離した展開」になっている。
    • これ自体は過去作品の彼女候補にもよくあることなのだが、カズの場合「野球バカ」である主人公はほとんど関わることができない。
      • 『しあわせ草』を飲んだカズが「重力を操る超能力」に目覚め、殺人兵器として教育されるもののその超能力を使って脱走して終わるというモノ。
      • 親切高校のスポンサーであるジャジメントの裏事情を会長の秘書ルッカが主人公とカズにペラペラ喋る展開があるのだが、その後にカズは敗北してしまい、主人公は数時間分の記憶を消されてしまい、カズに対する「人質」として扱われてしまう。
    • 唯一、カズと朱里との戦闘の際に主人公は敵を倒すための作戦の要となるのだが、指示を受けて行動するだけであり、なぜその行動をする必要があったのかについては知らされていない。
      • ちなみにこの戦闘は時間制限付選択肢が絡む戦闘であり、攻略の一番の山場になっている。
    • グッドエンドのフラグもおもにカズと朱里との関係に終始してしまっており、主人公との関係の進展が本筋に影響をあまり与えていない。
      • イベントの進行上彼女になるイベントは必ず通過するが、既にカズは超能力に目覚めてジャジメントに生体兵器として利用されてしまっている。
      • 主人公と仲が進展するようなイベントがほとんどなく、友達付き合いの延長線上で彼女になり、そのまま別れたかのような展開になってしまっている。
    • 同じく超能力持ちである五十鈴については主人公が出会った当初から一貫してベタ惚れであり、また五十鈴も主人公の野球にひたむきな姿を応援したいと願っており、彼女を不安から救うため積極的に行動している。
      • これは五十鈴ルートの主軸に「甲子園へ優勝するという約束をする」「五十鈴自体は自分の能力で主人公の野球を妨害したくない」という形で野球が関わっているのも大きい。
      • カズルートと五十鈴ルートはゲーム中では両立出来ないが、『14』において正史では五十鈴のグッドエンドとカズのグッドエンド(らしきビターエンド)を両方通った事が判明しており、「とある疑惑」を産んでいる。
      • なお五十鈴のグッドエンドは高校卒業後に出来ちゃった結婚しており、旦那を見送る妻という構図になっている。
    • またカズと五十鈴の両名と接点を持つ人間は数少なく、両者を人体実験しようとした桧垣を除けば本作の主人公と『14』の五十鈴の娘である天月紗矢香と交流を持った時の主人公のみである。
      • 故に「五十鈴の夫」と「カズの好きな人」の両方を把握している人間はパワポケシリーズでも数少なく、人間関係をややこしく見せてしまっている。
    • 一方、カズは他の彼女候補と違ってグッドエンドでも主人公と結ばれることはなく、この点についても賛否両論である。
      • カズのグッドエンドは甲子園出場時に組織を抜け出して主人公に別れを告げ、黒猫(『7』の真央)と手を組んでジャジメントとの戦いが一段落つくまで離れるというもの。そして彼女の物語はのちの作品まで続く事となる。
      • カズが大事な人である主人公を巻き込むまいとする想いゆえに起こった状況ではあるが、それがこの問題を招く原因となった。
      • カズがジャジメントを抜けられないバッドエンドでも本作の主人公と別離する展開は全く変わらない。故に当時の「しつもんコ~ナ~」ではどちらのEDがグッドなのかわからないという質問が届いていた。
    • 同じく野球と関わらないジャジメント絡みの陰謀に巻き込まれる紫杏のイベントでは、紫杏を説得して彼女の悲劇を食い止めて結ばれる展開はある。『11』には繋がらないが紫杏自体は幸せな結末ではあったが、カズにはそういった本作だけでの救済が存在しない。
      • 主人公は彼女の持つ『能力』については知っており、別れ際に彼女が何か大変なことに巻き込まれたことに気づくことになる。そして、「次に会った時にすべてを話す」ことを約束している。

本筋の展開と「親切高校の裏の顔」との乖離

  • 本作の舞台である親切高校は「裏の顔」を持っているのだが、本筋の展開で関わってくることが一切ない。
    • 一部のランダムイベントや彼女イベントで親切高校の実態が見えてくるのだが、そこにおいても 主人公が何も対処できずに終わってしまっている
      • 高校編でも『4』『7』はオカルト・具現化によるファンタジー現象に対して「主人公じゃないとなんとか出来ない理由付け」をしていたし、『1』『13』では主人公が自分の所属する高校の問題点・異常さ・弾圧を理解してその上で野球部を再建していた。だが本作の主人公は完全に置いてけぼりを食らっている。
      • この事から『11』『12』では彼女キャラによっては共闘・援護するようになったりと配慮が見られるようになった。
    • ただし、主人公は高校そのものに対する対処はしてないが「親切高校の野球部」には影響を与えている。
      • 入部当初は先輩が後輩からペラを徴収するなどの理不尽なルールがあったが、3年目にこれを廃止している。
      • また、引退時に後輩に持っているペラを与えるなど新たな伝統を残している。
    • 良くも悪くも「野球バカ」である主人公は、「野球に関する部分」に関しては影響を与えているのである。
  • 攻略本のインタビューでは 「キャプテン」ではあっても「ヒーロー」ではない事を指摘しており、後輩の疋田や監督生の紫杏が環境を変えているように見せているとも語り、作り手としては自覚的にそういう構成にしてると思われる。
    • またライバルに認められていくルートが本筋であるという発言も語っている。
  • この傾向については彼女に関するイベントでも例外ではなく、前述の問題も起こっている。
    • ただし、主人公は確かに一部の彼女キャラには無力ではあったが大きな影響を与えている。
      + 本作の主人公に影響を受けた人物
    • 本作で主人公をライバルとして認めた天道は、『11』で迷走しつつも「10主人公をライバルとして認めないルート」で成績が伸び悩む展開よりはマシなのだろう。
      • また天道の彼女の若菜も『11』では彼を見捨てておらず、救いになっている。
    • 紫杏は10主人公に止められなかったものの『11』の球団であるジャジメントナマーズのオーナーとなる。
      • 片手間ではあるのだろうが、『11』の主人公を初めとしたナマーズ選手に親身に接しており彼女なりに球団運営には真筆ではあったのは本作の主人公との交友関係が大きかったのだろう。
    • 以後の作品でカズが戦い続けて来られたのは本作の主人公への想いが間違いなくあるのは事実であろう。
      • 結末はさておき。
    • 『14』で本作の主人公と五十鈴の娘である紗矢香が孤独を味わっているのは本作の主人公が家を開けてたせいである。そのせいか彼女は最終局面で「お兄ちゃん」に対する最悪の妨害活動を行う事になったが、「お兄ちゃん」はそれを乗り越えて紗矢香を救って結ばれたとも言える。
      • また紗矢香は父親に懐いている様子を多々見せており、本作の主人公が紗矢香に愛情を注いでいたであろう描写はある。
      • 良くも悪くも彼自身がヒロインに与えた影響が大きかった事は事実と言えるだろう。

総評

  • 本作から『パワポケ』の野球パートは完全3Dになったことも含めかなり良くなっている。
    • 据え置き機の本家には劣るが、『パワポケ』の野球パートは本作で完成したといってもいい。
    • この事から売上もかなり伸ばしており、前作『9』が累計15万本だった中で本作は累計28万本売れており、シリーズ最高の売り上げである。
  • しかし、「彼女を作らないとパワプロっぽい王道球児ストーリー」だが「彼女を作る事で裏の世界が見えてくる」という構造は、後のシリーズに与えた影響のせいで賛否両論になってしまっている。
    • 本作の主人公は『6』『8』『9』の主人公と違って裏社会に全く関われない一般人であり、かといって『7』のようにストーリーの根底に関わるわけでも『13』のようにシリーズ通しての黒幕や『天使』に対しても野球に絡めて接するわけでもない。
    • 続く『11』『12』『14』ではある程度バトル展開に参加出来る判断力も兼ね備えるようになったが、ある意味では本末転倒になってしまった所もある。
      • 本作以降の超能力者路線は、後に批判されながらも結局止まらず「野球よりもテキストでのバトル展開」を重視して突っ走る事になる。
      • そのため特に『11』『12』『14』の内輪に硬直化したストーリーを批判する人から『10』が全ての元凶であるという事を言われる事も少なくない。
  • だからこそ今では「ライバルルートの王道ストーリー」が逆に評価されるという事態になっている。
    • 超能力者の少女達の悲哀が、逆説的に「ただの野球バカ」の在り方を考えさせる一作である。
      • しかし攻略本のインタビューではライバルルートが本筋である事も語られている。
    • また蘭・妙子・さら・奈桜・五十鈴は殆ど裏社会にあまり関わらず、彼女達を並行するならライバルルートの邪魔にはならない。
      • むしろ夏の甲子園優勝がグッドエンドのフラグである妙子・奈桜・五十鈴であればモチベーションの補強になるかもしれない。

余談

  • 本作の問題とは言えないのだが、のちの作品に再登場した一部の彼女候補の扱いについて賛否両論となっている。
    • さらに『14』において「ある疑惑」が浮上し、批判が本作の主人公に飛び火する形になってしまっている。
    • 詳細は彼女らが再登場する『11』『12』『14』のページを参照してほしい。
    • ヒントを与えると、対象キャラは『ジャジメント日本支社の社長』・『ダークスピア』・『紗矢香(さやか)の母親』である。