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テイルズ オブ ファンタジア クロスエディション - (2023/08/15 (火) 13:00:45) の編集履歴(バックアップ)


注意:
このページは『テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョンX(クロス)』に同時収録されている『テイルズ オブ ファンタジア クロスエディション』に関しての紹介になります。
メインとなる『なりきりダンジョンX』に関してはこちらのページをご覧下さい。


テイルズ オブ ファンタジア クロスエディション

【ているず おぶ ふぁんたじあ くろすえでぃしょん】

ジャンル ロールプレイングゲーム

※こちらのタイトルに同時収録
対応機種 プレイステーション・ポータブル
メディア UMD 1枚
発売元 バンダイナムコゲームス
開発元 クライマックス
発売日 2010年8月5日
定価 5,219円(税別)
プレイ人数 1人
セーブデータ 384KB以上(1ファイルあたり)
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
コンテンツアイコン セクシャル、犯罪
廉価版 PSP the Best:2013年2月21日/2,667円(税別)
配信 【PSP/PSV】2013年11月28日/2,381円(税別)
判定 劣化ゲー
ポイント 移植される度に劣化する完成度
新キャラクターが追加も存在感が薄く、後付け感が目立つ
戦闘システム・テンポが大きく改善も、難易度が上昇
「過去の不具合は修正済み」と思いきや新たなバグあり
備考 『テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョンX』に同時収録
テイルズ オブ シリーズ関連作品リンク

※本作は『テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョンX』に同時収録されているため、一部を除いて『なりきりダンジョンX』とセットでの情報になっています。



概要

テイルズ オブ ファンタジア』(以下「ファンタジア」)の最新移植作。

『テイルズ オブ ファンタジア』の移植・リメイクはPS版GBA版テイルズ オブ ファンタジア -フルボイスエディション- (PSP版、FVE)、携帯アプリ版と来て5度目となる。

本作は単体での販売ではなく『テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョンX』(以下「なりダンX」)に同時収録されており、タイトル画面から選択することで遊ぶことが出来る。

本編にあたる『なりダンX』の前日譚であり、立場としてはおまけに位置する作品となるためか、過去に発売されたFVEとおおかた内容は同じである。

しかしながら、新キャラクターの追加、イベントの追加、戦闘テンポ/操作性の改善。不具合/バグの修正などが加えられており、実質FVEのマイナーチェンジと言える作品に仕上がっている。


変更個所

本作ならではの要素や変更点は主に戦闘システムと『なりダンX』で追加されたキャラクターである「ロンドリーネ・E・エッフェンベルグ」にまつわる要素に集約される。

シナリオ関連

新規パーティメンバー追加

  • 新キャラクターであるロンドリーネが仲間になる。
    • 同時に彼女に関するイベントも多数追加されている。要所要所で加入および離脱を行うため、イベントには新規会話がボイス付きで収録されている。
    • 恒常的に使える仲間ではなく、過去と未来で一時的に仲間に加わるというゲスト参戦的な立場。
      • すず同様、最終的にはパーティに入れて連れ回せるようになるが、ラスボス戦直前に永久離脱してしまう。(ただしこの最終離脱イベントはゲームクリア目前のタイミングで起きるため、イベントを起こす前にダンジョンを引き返せば固定メンバーとして引き続き運用することが出来る。)

既存ストーリーにおける変更

  • 道筋を外れたエリアに向かおうとすると、今は行く必要のないとメッセージが出るようになった。
    • ワールドマップが広大で、旅の目的地が分かりづらい作風であることを考慮しての措置であると思われる。
  • 冒頭(現在編)において、ストーリー上でクレスが単独行動するようになるまでは、ユークリッドの都方面に行くことが出来なくなった。
    • そもそも行く必要のないエリアであるため、ストーリー進行上問題はないが、これによってPS版およびFVEで見ることの出来た隠しフェイスチャット(後のシリーズ作品における「スキット」)の一部が見られなくなってしまった事を惜しむファンもいる。
      • この隠しスキットはクリア後に見られるスキット一覧にて閲覧可能。
  • ストーリー上のテキストの一部変更。
    • 細かい部分が調整/加筆されている。ストーリー全体の流れは変わらない。
      • システムのチュートリアルにあたる部分は、より丁寧な解説が聞けるようになった。
    • ミッドガルズ空中戦の直前のセーブ箇所にて、準備が不十分の場合はセーブをしないように忠告が入るようになった*1
  • FVEで指摘されていたスキット関連のバグ(口パクが動かないなど)は修正されている。

システムなど

  • FVE(リメイク前)の問題であった、FVEおよび本作新録ボイスとPS版からの流用ボイスの音量差が是正され、音量の調整がしやすくなった。
    • しかし、リメイクが長年繰り返されているゲームなので、FVEの段階で指摘されていた、採録・経年による音声の変化に若干の違和感を感じる人もいる。
  • 戦闘中のパーティキャラクターのドット絵の修正。
    • 前回に引き続き、味方キャラクターと敵キャラクターの3頭身化。
      • 前作FVEでは、ドット絵が打ち直された3頭身キャラクターと、2頭身キャラクターが混在していたが、今回はほとんどのキャラクターが3頭身に打ち直され、違和感が無くなった。
      • リリス*2のドットの修正。
      • 一部、2頭身のまま修正が行われていない敵も数種類いる。(忍者やエルフ系などの雑魚敵キャラ)
      • モンスター図鑑に表示される人型のグラフィックは2頭身のまま。(PS版の図鑑システムを丸ごと流用しているため)
  • カスタムの設定項目の変更。
    • フィールドマップ上の表示方法に関する項目が無くなった。
      • リメイク前(FVE)では地形(山など)にキャラクターが隠れてしまった時、地形を透けさせる設定ができたが、無条件でプレイヤーキャラクターが隠れてしまう仕様になった。
    • 新しく「ジャンプ待ち時間」に関する項目が追加された。
      • マニュアル時に方向キーの上を押した後、実際にジャンプするまでのラグを調整することが出来るようになった。
      • これにより、FVEまでのマニュアル操作時は方向キーの上を入れるとすぐにジャンプしてしまうために対空攻撃や方向キーの上に登録した技が出しづらかった点が修正された。
  • アイテム説明欄などのテキストの一部変更。
    • 主なところでは売ったり捨てたりしてしまうと後々大変なことになってしまう装飾品である「デリスエンブレム*3」の説明文の文末に「売らずに取っておこう」と一言付け加えられた。
      • ただ注意文を加えられただけで、売ることも捨てることも可能な点に変更はないため、いっそ捨てることも売却することも出来なくしてほしいという声も。

戦闘関連

基本的な事項

  • 戦闘がスピーディーになり、敵味方共に様々なアクションの速度が従来に比べておよそ2倍の速さになっている。
  • FVEまでは、"すず"にしか出来なかった通常攻撃3段が術者キャラクター含めて全員出来るようになった。
  • FVE以上に敵が攻撃的になった。
    • 全体的に敵の攻撃が激しくなり、戦闘における難易度が若干上昇した。
      • 素早い通常攻撃を持つ敵キャラクターには、ゴリ押しで打ち勝てない仕様になっている。防御で隙をうかがうなり、ステップでの裏回りするなり、効果的な対応が必要。
    • 敵の編成によっては、度を越えて高難易度になってしまう場合がある。
      • 物理攻撃を得意とする敵に挟まれようものなら間断なく両サイドから攻撃されるため、HPが0になるまで動くことも出来ず、手も足も出せずに力尽きることも起こりうる。
      • 挟み撃ちで戦闘が開始される頻度はもともと高いため、挟撃された場合は最隊列を切り替えるか、後尾のキャラクターの作戦を「じぶんをまもれ」にするなどして対処しないと辛いケースがある。(敵の隊列を入れ替える技は獅子戦吼くらい)
      • 難易度ノーマルであれば、レベルを上げる、装備を最新にすることで問題なく対処可能なレベルではある。
  • FVEまでは、戦闘中に味方への指示を2つまで出しておくことが出来たが、今回はアイテムの使用指示に限り1つのみとなり、アイテムの使用が完了するまで次の指示が出せなくなった。
    • 術技の使用指示に関してはFVEまで同様に最大2つまで指示を出せる。
      • 「術の使用→アイテムの使用」という順番での指示であれば両方出せる*4が、「アイテムの使用→術の使用」という順番で指示を出す場合は最初に指示したアイテムの使用が完了するまでは術技の指示を出す相手やアイテムの使用者としてそもそも選択出来なくなっている。
  • 術の発動・演出で戦闘が止まらなくなり、更に中級以上の術の同時発動も可能となった。
    • これに伴って一部の術のエフェクトが変更されている。
  • 操作モードの「マニュアル」が最初から選べるようになった。
    • これに伴い、FVEまであった「テクニカルリング*5」が「ステップリング」に変更された。
      • ステップリングは通常攻撃からステップに派生できるようになるという効果で、攻撃後の隙をキャンセルできるというもの。近年のテイルズシリーズの戦闘システムを流入させたもの。
      • 技の後隙は消せない。あくまで通常攻撃のみ対応。
  • 「コンボコマンド*6」が消滅し、「ステップフォース」が登場。
    • ステップフォースはステップ時にTPを5消費するが、ダメージを受けなくなるというもの。
    • これに伴い、クレスの称号「コンボマスター*7」が「ステップマスター*8」に変更されている。
  • クレスとクラース、そしてロンドリーネに秘奥義が追加された。
    • クレスには従来の「 冥空斬翔剣 (めいくうざんしょうけん)」の他に「 緋凰絶炎衝 (ひおうぜつえんしょう)」と「エターナルブレイド」が追加された*9
      • クレスの称号「おうぎでんしょう(奥義伝承)」を獲得し、戦闘中にHPが最大から1/4以下まで減少かつTP*10が100以上残っていることが最低条件となり、更に秘奥義毎の条件を満たすと使うことが出来る。
      • 冥空斬翔剣以外は使えるようになったアナウンスがされないため、条件を把握しておくことが必要になる。
    • クラースには「丸くて黄色いすごいヤツ*11」が追加された。
      • 回復魔法だが、ものすごく性能が低く、自社作品とのコラボ及び宣伝以外の何物でもない。
    • ロンドリーネには「デモンズランスレイン」が用意されている。
      • 『テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョンX』よりも豪華な演出であるため、一見の価値あり。
    • それ以外のキャラクターには秘奥義が用意されていないが、『なりダンX』での秘奥義がそもそも『ファンタジア』本編では普通に出せる術技扱いなので致し方ないところもある*12
クレスの秘奥義
技名 個別条件
冥空斬翔剣 上記最低条件を満たして「○+×+□ボタン」同時押し。
緋凰絶炎衝 鳳凰天駆系の奥義を全て修得し、かつ上記最低条件を満たして「右 or 左+○+×+□ボタン」同時押し。
エターナルブレイド 全ての時空剣技をマスター*13し、かつ上記最低条件を満たして「下+○+×+□ボタン」同時押し。
他のキャラクターの秘奥義
技名(使用者) 使用条件
丸くて黄色いすごいヤツ
(クラース)
全ての精霊と契約した時に獲得出来る称号「サモンマスター」を名乗りつつ、
戦闘中にHPが最大から1/4以下まで減少し、かつTPが100以上残っているときに「○+×+□ボタン」同時押し。
デモンズランスレイン
(ロンドリーネ)
彼女に関するサブイベントを全てこなすと入手出来る武器「ドラグノフ」を装備し、
戦闘中にHPが最大から1/4以下まで減少し、かつTPが100以上残っているときに「○+×+□ボタン」同時押し。
  • 戦闘中の敵味方キャラクターの位置が解るレーダーが追加、大まかな状況が掴めるようになった。
    • 敵味方共に術の詠唱中のキャラクターにはエフェクトが発生し、わかりやすくなっている。
      • ただし、あくまで味方と敵がどこにいるかというのが解るという程度で、操作キャラクター以外は味方は青、敵は赤で統一されており、アイコンには敵味方以外の情報がないため、混戦状態になってしまうと常にホウキで飛行しているアーチェ以外は「誰が」どこにいるかが解らないという問題点がある。
  • 攻撃速度の高速化および通常攻撃3段が標準となった絡みか、物理攻撃によるダメージが若干減少した。
    • 発動時に周囲に1ダメージが与えられた剛招来のダメージがなくなった。(「剛招来」は一定時間クレスの攻撃力を上昇させる特技であり、発動時にクレスに発生する赤いオーラに攻撃判定があり、1のダメージを与えることが出来た。))」
      • ただし、それ以外の性質は変わっていないので、一部の技と技を繋ぐコンボパーツとして使うことは可能。
    • 術攻撃のダメージに関しては変更無し。
  • 戦闘終了後のTPの回復量が増加し、FVEまでの全キャラクター一律で最大TPの5%分だったものから変更された。
    • クレス・チェスター・すず・ロンドリーネの4人は、隊列の先頭(1番)に置いてプレイヤー操作であった場合は最大TPの15%分、それ以外の場合は5%分回復。
    • ミントは最大TPの10%分、クラース・アーチェの2人は最大TPの5%分回復する。
    • 戦闘非参加キャラクターは上の個別の設定を無視して一律最大TPの10%分回復するようになった。
      • 非参加キャラクターに最大TPが上昇する装飾品(ムーンクリスタル/ターコイズ等)を装備させて戦闘を終了した場合、TPが逆に減少するバグがある。
  • レベルアップした際にそのキャラクターのHPとTPが完全回復するようになった。
    • ラストダンジョンでランダムで出現する死神から経験値を購入してレベルアップした場合はHPもTPも一切回復しない。あくまで戦闘によるレベルアップ時に限った話となる。

操作系統の変更

※操作系統は主にPS版・FVEからの変更点を挙げている。
※SFC版・GBA版は戦闘システムや操作周りに大きく異なる部分があるため、比較対象としては考慮しない。

  • FVEまではマニュアルか「ダッシュリング*14」を装備した上で左か右に同じ方向に2回入力で行っていたダッシュ移動が本作では基本仕様となった。
    • ダッシュ移動中は敵に引っかからずに移動することが出来るため、スピーディな移動が行えるようになった。
    • 右か左に入力するだけでダッシュ移動をするようになったため、歩きでの移動は出来なくなった。
      • これによってダッシュリングが削除され、ダッシュリングが入っていた宝箱は一律で「ライフボトル*15」の入った宝箱に差替えられた。
  • 突き攻撃が「下+○」から「左 or 右+○」に変更、「下+○」は敵を浮かせる斬り上げ攻撃になった。
  • 通常攻撃が3回攻撃になった。
    • ミントやクラースなど、術師キャラクターも3回攻撃可能。今作のAIはステップで距離調整をしながら近接攻撃してくれるので、背後から来たモンスターを迎撃してくれやすくなっている。
      • 一方で、後衛のキャラクターとプレイヤーで敵1体を挟みこめば、一方的にタコ殴り状態にできてしまう。
  • 「□+左 or 右」でステップ移動が出来るようになった。
    • 一部キャラクターは通常の移動速度がかなり遅いため、ステップ移動を繰り返すことで「ジェットブーツ*16」並みに早く移動出来るようになった。
      • 味方キャラクターもオートでスキップしてくれる。術師キャラクターならステップで距離を取り、近接攻撃キャラクターなら敵の背後に回って攻撃を行う。これにより味方キャラクターの生存率が上昇した。
  • ステップリングを装備していれば、通常攻撃を出した後にステップ操作で出せる「キャンセルステップ」で攻撃の隙を消してステップ移動が可能になる。
    • ステップフォースを装備していればキャンセルステップが出来るだけでなく、ステップ自体がTPを消費する代わりに完全無敵でステップ移動が出来る「パッシングスルー」となる。
    • ステップは前衛・術者キャラクターを問わず使用出来るが、ホウキに乗って飛行しているアーチェだけは前進・後退と同じ動きとなっている。
  • 隊列の向き入替が「R+上」になり、待機(STAY)が「R+下」で行える。
    • 隊列の向きの基準は操作キャラクターが入替指示を出した時に向いている方向になるため、隊列の向きを入れ替える時は操作キャラクターの向きを一旦逆向きにする必要がある。
      • 操作キャラクターの向きを変えないで向き入替を行った場合は単純に散らばっていたパーティメンバーを隊列で設定している形に整列させるといった案配になる。
  • FVEまで任意ジャンプが出来なかったセミオートでも元々ジャンプ自体が出来ない術者キャラクター以外は「□+上」でジャンプが出来るようになった。
  • 技/術ショートカットの登録が4枠となった。
    • プレイヤーキャラクター含めた戦闘参加キャラクター1人につき1技だけ登録可能。
      • パーティの並び順から見て、1人目は「R+○」、2人目は「R+×」、3人目は「R+□」、4人目は「R+△」で発動となる。4枠技の画面で事前に登録することが出来る。
    • プレイヤー操作およびショートカットで味方の回復などの術を行う時は、Lボタンでターゲットを切り替えることが出来るようになった。
      • これにより、プレイヤーによっては全く活用されないショートカット機能が、簡易で分かりやすいものとなった。
      • プレイヤー操作キャラクターのショートカットは夢操作(棒立ち中)にしか発動しないため、コンボ連携技として組み込むことは出来ない。
  • リメイク前(FVE)ではLとRボタン(2枠)に任意のキャラクターの術技を登録し、「同じキャラクターの異なる術技を登録する」「プレイヤーキャラクターの技登録数を疑似的に2つ増やす」ことも出来たが、本作は1人のキャラクターの複数の術技をショートカットに登録することは出来なくなった。

新規追加キャラクター「ロンドリーネ」について

  • 『なりダンX』の登場人物で、2作の橋渡しとして追加されたキャラクター。
    • 『なりダンX』では主人公のディオ達に並んでメイン級の扱いを受けているが、こちらではちょい役程度の扱いとなっている。
  • テイルズ オブ ファンタジアの後日談『なりダンX』において、クレス達と共に旅をしたという経歴を持つ女性キャラクター。
    • 『なりダンX』出身のキャラクターなため、本作だけでなく『なりダンX』もプレイしないとキャラクターの背景が掴めない。
      • 本作における彼女は、ダオスに会うため、未来(なりダンX本編)から過去にやってきたたという設定である。
  • 戦闘パーティーとして連れ回せるものの、基本的には"仲間"というよりも"同行者"という位置づけになっている。
    • 彼女に料理を実行させることも出来ず、フェイスチャットも追加されておらず、名前も変更できない。
      • ストーリー上の彼女に関するシーンや、闘技場などの一部のイベントを除き、フェイスチャットや雑談には全く加わってこない。純粋な出番的な意味では空気と言わざるを得ない。
    • とはいえ、下手に既存イベントに関わらせると、場合によっては原作の雰囲気を損ねる可能性も出てきてしまうため妥当な措置と言えよう。リメイク版テイルズオブディスティニーにおけるリリス枠(隠しキャラ)と言えば分かりやすいだろうか。
  • しかし、戦闘メンバーという面では話が変わる。いそうでいなかった前衛/魔法両刀タイプであり、クレスに負けず劣らずの前衛としての活躍が見込める。今までの『ファンタジア』のキャラクターには無い、強い個性を持っているために総合的な存在感という意味では空気ではない。
    • 隠しダンジョンにいる敵のビッグフットに効果的な対処法を持つ。
    • 戦闘以外でのキャラクター付けという意味でもこれまた他のキャラクターとは一線を画す特色付けをされているところもある。
      • それ故、存在感は薄いのに、鼻にはつくという一見すると矛盾した状態となってしまっている。
  • 改めて言うことではないが、彼女が存在していなくとも『ファンタジア』は1つの物語として完成していることは言うまでもない。
    • そんな物語に新たなキャラクターを加えた時点で、異物感という不評と隣り合わせの状態となってしまう。
      • だからこそ、作品の世界観や趣旨から浮いたり矛盾しないよう、描写の1つ1つにかけてまで作品への充分な知識と細心の注意を払って描いていく必要があったのだが、彼女の場合はストーリー上の絡みやサブイベントへの介入が総じて中途半端であるため、結果としてやりたい事だけやってササっと消えた…という物語から浮いていると言わざるを得ない印象となった。
  • タチの悪いことに、ロンドリーネの存在自体が世界観に対する矛盾を抱えている。
    • 詳しくは『なりダンX』のページを参照してもらうとして、掻い摘んで言うと「普通の人間と変わらない姿だが、れっきとしたエルフの末裔である」という矛盾した設定である。
      • 彼女の事情は『なりダンX』にて語られているが、どれも憶測の域を出ず、はっきりとは明言されないため、より謎を深める結果となった。
      • 結果として、一部のファンから批判を生み、「制作陣が『ファンタジア』の良さ・雰囲気をまるっきり解っていない」「こんな基本的な設定も知らない連中に追加要素付きの移植を作らせていたのか?」といった意見が飛び出すに至った。
  • これらの点から、『テイルズ オブ ファンタジア クロスエディション』は、あくまで彼女が未来から飛んで来たパラレルワールドの世界であると割り切る事を推奨する*17
    • つまりは『なりダンX』で彼女を出すための下地作りで追加したに過ぎない、本来の『ファンタジア』の物語とは別物と割り切った上で本作はプレイした方が良いだろう。

問題点

戦闘以外

  • 前作で指摘のあった音量に関する違和感は解消されている。
  • FVEで指摘された「フルボイスエディションなのに、ボイスが無いイベントがある」という点は補修されていない。
  • グラフィック周りは前作のリメイク版であるFVEとほぼ同様であり、戦闘中のリリス、及び一部の敵モンスターのグラフィックが3頭身化した程度の追加のみである。
    • キュービストより発売されている攻略本のスタッフインタビューにおいて、本作に関しては「バンダイナムコゲームスから提示された納期が非常に短かった」などの制作元であるクライマックスのスタッフの発言から、いかに短期間で仕上げるかが最優先事項であったようだが、それがそもそもおかしいと言わざるを得ない。
      • 本作が『なりダンX』のおまけ扱いであるとしても、『ファンタジア』自体もまた1つの作品である以上、まして今回は戦闘システムの変化や新キャラクターの追加等、従来の『ファンタジア』の抜本的な部分へのテコ入れも行われているという事で、寧ろ今迄以上に余裕のある納期及び制作スケジュールの元しっかり制作するべき筈である。

バグ

  • ラストダンジョンのとある場所にある石版には元々あった「この階に隠し通路あり」の一文とセットで新たに「この部屋に隠し宝箱あり」の一文が追加されているが、そんなものは存在していない
    • 後に発売されたファミ通・キュービストいずれの攻略本でもこれに関する記述がなく、完全にないものとして扱われている。
      • 実際にネット上などではこの追加された一文のせいで延々と存在しない宝箱を探し続けたという人もいるようで、そういう意味ではミスであったとしても悪質であると言わざるを得ない。
  • 戦闘非参加キャラクターにTPの最大値が上がる装飾品を装備させていた場合は元々のTP最大値以上は回復せず、それどころか元々のTP最大値より多くなっている場合は戦闘終了後に元のTP値まで減らされるというバグがある。
  • 火属性の中級魔術「ファイアストーム」の威力がおかしい。
    • この術は、炎の波のエフェクトが表示されて大ダメージを与えた後、確率で7~8発ほどの小さな火炎弾が飛んできて小ダメージが発生するという演出の魔法であるが、本作では小さな火炎弾1つ1つが全てが炎の波と同等のダメージになっている。
      • このプログラムミスとしか思えない設定のせいで(敵のステータスやこちらの耐性にもよるが)、当たり位置によって合計ダメージは通常の2~4倍もある即死級の威力になりかねず、こちらが使えば圧勝、敵に使われるとこの魔術一発で全滅する可能性もある、とてつもない難技と化している。
      • 小さな火球の発生はランダムであるため、味方が使う場合はラッキー程度の認識で済まされるが、敵が使用する場合は全体攻撃なこともあって、逃げ場がないので要注意。
      • この魔法を使ってくるボスが高難易度化している。プリンセスケープを2つ装備すれば炎魔法を100%無効化できるので対処は可能。

ロンドリーネ

  • 詳細は上に書いたが、それとは別に、彼女に関するイベントは『ファンタジア』の世界観や物語的に小さくない違和感を催す内容になっているものが多い。
    • 『エクリプス』『ドラグノフ』など、それまでの『ファンタジア』では示唆される事すら無かった新設定が取ってつけたかのように扱われ、本編とは完全に無関係な独白を長々と続ける場面も点在し(一部場面ではクレス達も返答に困っている事もある)、冗長な割に本編と噛み合っているとは言えない。
      • 彼女もこれらの設定についてよく分かっておらず、曖昧な言動や態度のままクレス達をなんとなく引っ張り回しているともとれ、本編中でこれらの謎が全く解けないままフェードアウトしてしまうのもあって評価は芳しくない。特に過去のダオス城攻略前、未来でのある一幕に関しては露骨な構ってちゃんアピールであるという批判がある。
    • 加えて戦闘以外では料理をさせられない、名前も変更できない、フェイスチャットには参加しない、既存イベントではほとんど姿も見せない等、半ば幽霊部員状態である為、元来の6人の中に混ざっていること自体に違和感を禁じえない。
      • それでいて、彼女絡みのイベントは明らかにサブイベントであるものまで全てボイス付きであるため、本編中での空気具合に釣り合わず上記の「異物感」を促進させる事となった。
      • それ故、プレイヤーによっては彼女の存在感をポジティブに伝える事が出来ず、「妙な所でばかり出しゃばる鬱陶しいキャラクター」・「いない方が纏まりが良いシーンが多数ある」・「スタッフの趣味や思惑が透けて見えるだけで存在自体が鼻につく」といった具合に捉えられてしまう。

FVEのセーブデータをコンバート出来ない

  • 当たり前だが、同PSPのゲームであるFVE(リメイク前)は別のゲームとして扱われるため、セーブデータを流用できない。
  • ロンドリーネが介したことでどのようにシナリオが変化したのかのみを知りたい場合は、また真っ更な状態から遊ぶ必要がある。

戦闘周り

  • 前述したように、戦闘中の魔術発動時に画面が停止せず他のキャラクターが行動出来るようになった。
    • ただし、『ファンタジア』は中級以上の術のエフェクトにしても処理にしても、あくまで戦闘中に発動すると一旦戦闘が止まることを前提にして組んでいた場面もあり、バランスを取っているのである。
      • つまり、その前提となる大元の要素を排除した段階で戦闘システムを根幹から組み直さなければいけないはずだが、ただ止まらなくしただけになってしまったこともあり、大型の敵に対して一方的な畳みかけできるようになってしまった。

術技関連の問題

  • 術のエフェクトの中で多段ヒットするタイプの術は違和感が無いのだが、単発の術は一部エフェクトと同期が取れていない。
    • 例えば、一定範囲に大爆発を起こしてダメージを与える大魔術の場合、爆発した段階ではダメージが発生せず、爆発のエフェクトが消えた段階でその時に術の攻撃範囲内にいた対象がダメージを受けるという処理となっている。
      • FVEまでは魔法発動とともに全キャラクターが一旦停止し、術のエフェクトが終わった瞬間に対象がダメージを受け、行動再開となるため何らおかしくなかったのだが、戦闘中に止まらなくなった本作では、詠唱以外でダメージ待ちの時間を抱えるものになってしまった。
      • これにより、大魔法ほど待ち時間が長くなり、多段HITする初級魔法は敵を拘束するのに向くという差別化がなされたとみることもできる。
  • クレスの技である「襲爪雷斬」は落雷を発生させた後、更に空中から斬りつける技なのだが、元のゲームでは画面が停止して落雷を浴びせていた部分が、雷エフェクトが消えてからダメージが発生する技になってしまっている。
    • これにより、一度当ててしまえば敵が死ぬかTPが尽きるまで延々とハメ続けることが可能なほど優秀な技と化している。

一部の技の隙が大きくなった。

  • クレスの「殺劇舞荒剣」やチェスターの「屠龍」、すずの「五月雨」などの一部の技は、発動時に画面が一瞬止まる演出があったのだが、本作では発動者が停止している間も敵はお構いなしに動く。
    • つまり、コンボ/連携の途中からつなげることが出来なくなった。
      • エフェクトが発生して技を繰り出すまでは無敵だが、チェスターの屠龍はまだしも他の2つはむしろコンボパーツとして使われることが多い技であったため、コンボに組み込みになったことで実用性が下がってしまった。

歩き移動が出来なくなったことで、敵との位置調整も難しくなった

  • 敵との距離が近い時は歩きで、遠い時はダッシュで間合いを調整することも『ファンタジア』の戦闘では重要であったが、一律でダッシュ移動になってしまったため、間合いの微調整が難しくなった。
    • 更に突き攻撃の操作が変更になってしまったことや、ダッシュ移動はFVEまでは一度ダッシュをさせるとニュートラルでもダッシュするようになっていたものが、本作のダッシュ移動はあくまで歩き移動の代替になっているため、方向キーを入力し続けなければ移動しない上に、移動で左右に押していたものを離した直後で○ボタンを押すと方向キーを離しているにもかかわらず突き攻撃が出てしまうといった仕様が絡んで、移動から斬り攻撃への移行が難しくなってしまった。
  • 空中にいる相手に間合いを詰められてしまうと、操作の癖の影響で攻撃を当てるのも一苦労。

敵にハメ殺される可能性が跳ね上がった

  • 敵が攻撃的になったことで難易度が上昇した。
    • 『ファンタジア』自体、他のシリーズ作品よりも攻撃を喰らって気絶しやすく、その効果も強烈*18であるにもかかわらず、その辺に手は加えられず過剰に敵を攻撃的にしてしまった上、敵の攻撃速度も上がっているため、一度気絶状態に陥るとそのまま回復も図れずに気絶したままHPが0になるまで攻撃を受け続けるケースが発生しやすくなった。
    • 安定して前衛を勤めるなら「ピヨハン」が必須となる。
    • 加えて『ファンタジア』自体、挟み撃ちやバックアタック(所謂不意打ち)の状態で戦闘開始することが多いゲームであるが故、一方的に攻撃されるケースが頻発するため、この問題が厄介なものになってしまっている。
    • 一部ボス戦では必ず挟み撃ちの状態で始まる上に、ボスとそのお供として出て来る敵のどちらもが強力な術を連発してくるため、事前の準備を怠るとほぼ詰みになってしまう…といった状況も。
    • その術が前述のファイアストームなのだが、これのダメージを完全に無効化出来うるのが火属性ダメージを50%の確率で無効化する装飾品「プリンセスケープ」を装備できる女性陣のみで、該当ボス戦では女性陣全員をプリンセスケープを2つ装備させた上で戦闘に参加させないと、ファイアストームが頻繁に両方向から飛んでくるため、まともな戦いにならない*19
      • もっとも、そのボスおよびお供の攻撃は全て火属性であるため、これによって何をやられてもダメージを受けることが無くなり、今度は戦闘自体がただの作業になってしまうという新たな問題もあるが。どう転ぼうと、この魔術を使う敵を相手にまともな戦いを挑むのはほぼ不可能である。
    • 男性陣も「フレアマント」を2つ装備する事で最大60%の確率で無効化出来るようになるが、確実性という意味では信頼出来る数字ではなく、術の異常な強化もあってリスクの高すぎる運ゲーになってしまう。火属性のダメージを軽減できる装備も実用的なのが指輪のガーネット(50%軽減&クラース専用)くらいで、かなり少ない。
      • 上のケースのように事前準備でどうにかなるならともかく、雑魚敵でもこういった状況が起こる可能性を孕んでおり、もはやプレイヤーの腕をもってしてもどうにもならないというものも少なくないため、難易度が理不尽に跳ね上がっているところもある。

ショートカットでの術発動待機が出来なくなった

  • FVEまではショートカットのボタンを押し続けておくことで、詠唱完了済の術の発動を任意で調節が出来ていたのだが、これが出来なくなってしまい、詠唱完了即発動となってしまった。
    • これにより、FVEまでの発動待機を利用しての術を絡めたコンボが成立しなくなってしまい、術による援護を抜きにした…というよりは単独でのコンボレシピを組む必要が出てきてしまった。
      • 一部のボスは術発動待機が出来ないと満足にダメージを与えられない*20ため、これまた難易度が跳ね上がる要因になってしまっている。

味方AIが劣化している

  • 敵の攻撃頻度が上がった弊害で、棒立ちになっている味方キャラクターが気になる。
    • 敵との距離を考えずに接近したり、プレイヤーの移動もお構いなしに敵に当たらない位置から延々と矢を放ち続けるチェスターが目立つ。
      • 戦闘中に「R+上」と入力することで隊列のリセットとなり、味方の位置を調整することが可能。攻撃範囲外にいる味方はちゃんと攻撃可能な距離まで移動してくれる。
  • それ以外のキャラクターも、作戦を適宜入れ替えるのは勿論、使って欲しい術以外を使用禁止にするなど、設定を行わないと満足な戦力にならないことも少なくない。
    • 本作の術による回復手段を一手に担うミントも、下手に回復以外の補助をさせようとすると回復して欲しい時に限って補助系の術の詠唱を始めたりなどするので、どうしても回復術のみを使う作戦に固定せざるを得ないことも。

クラースの秘奥義の性能が弱すぎる

  • クラースの秘奥義の効果は「戦闘に参加している味方全員のHPを765回復する」だけという、厳しい発動条件や消費TPに対して余りにも見合わないものとなっている。
  • そもそも、ネタ技であるため封印が推奨される。
    • 発動条件が厳しいにもかかわらずのこの性能では、実用性のない技と言わざるを得ない。せめて回復量が7,650ならば、ネタを保ちつつ強力な秘奥義として重宝したのだが……。
      • ちなみに『なりダンX』においてもクラースは秘奥義の性能上、不遇であると言われることもあったりする。

取得グレードが多すぎる。

  • シリーズ他作品では一度の戦闘で小数点以下~一桁しか得られなかったグレードであるが、リメイク前(FVE)では数百ポイントもの膨大な量を取得できる仕様となり、クリア後に様々な引継ぎや特典要素を購入できるグレードショップで全ての要素を購入してもなお余り、それ以外にグレードの使い道が無いという問題点が発生していた。
    • 本作では取得グレードが1/10に減らされる措置が取られたが、それでも他作品の10倍以上の数値のため、依然として供給過多のままである。
    • それ以外のグレードの使い道も追加されていない為、こちらも取ってつけた修正という感が否めない。

評価点

秘奥義の演出

  • 戦闘の高速化もあってテンポも良く、秘奥義は敵の重量の影響*21も受けずに敵に攻撃が出来るようになったことで使い勝手も良好。
    • 従来より敵からダメージを受けて瀕死になる場面が多いため、HPを減らさなければ発動できない秘奥義自体を使う機会も大幅に増えた。
  • 更に秘奥義のエフェクトや演出も非常に派手になっており、まさしくとっておきの一撃とも言え、加えて、そもそもの威力が大きく跳ね上がっているのもその印象を与えるのに一役買っている。
    • ロンドリーネの秘奥義、「デモンズランスレイン」も『なりダンX』ではただの矢印などと揶揄されていたが、非常に迫力のある見た目にも格好いい技となっており、クラースの秘奥義も実用性はないが一度は見ておいて損はない程度の演出が用意されている。

(戦闘に限って言えば)ロンドリーネが追加された

  • 戦闘スタイルが前衛にも後衛にも対応できる魔法剣士タイプであるため、既存のキャラクターとはまた違った新鮮な感覚でプレイすることが出来る。
    • リメイク前は、壁になる前衛職がクレスしかおらず、魔法職を守るような戦い方を強いられてきたが、今作では前衛を二人組み込むことが出来、大きく戦術が広がった。
    • 前衛2人で左右の挟み撃ちに対処したり、物理アタッカーを4人にして無双するなど、従来の『ファンタジア』とは全く異なる戦術も可能になった。
      • ただし、加入時期が制限されている上にラスボス戦前に永久離脱してしまうため、全員が揃う終盤までパーティ編成の楽しみを待たされるのが痛いところ。
      • 永久離脱のタイミングをあらかじめ把握しておけばやり込みプレイに支障をきたすことはないのが救い。隠しダンジョンにも連れていくことが出来る。

1つのゲームとしてはかなり高い完成度

  • 細かい変更点はあるものの、UIはFVEからほぼそのままなので、基本的にはリメイク前の名作『ファンタジア』と同様に遊ぶことが出来る。
    • グラフィックや音響関連は前作に引き続き高いクオリティを維持しており、かつてストレス要因であった要素や、戦闘テンポも改善されているため、今から「ファミコン版」「プレイステーション版」のファンタジアを遊ぶより、ずっと快適に遊べる。
    • もちろん、本作が初めてプレイする『ファンタジア』であっても一応は楽しめるだろう。リメイク作ということで過去作を知るプレイヤーからは数多くの指摘があるものの、問題点の多くは壊滅的な戦闘バランス面やストーリーの整合性の欠如、システム面におけるユーザーの快適さの考慮が欠落していることに集中しており、ゲーム内容以前の致命的かつ再現が容易なバグも一切ない。
      • ただし、いずれにしてもプレイする上で一番影響が大きくなるであろう戦闘周りの様々な理不尽さを「許容」あるいは「対応」出来ればという前提条件はどうしても付いてきてしまうが……。

より攻撃的になった戦闘

  • 戦闘システムは数ある『ファンタジア』の中では最もテンポよく進展し、やりごたえのある戦闘が味わえる。
    • 味方パーティのAI面で前作より若干譜面を感じるが、きちんと作戦、指示を構成することで解消することが可能。
    • 技・魔法の仕様変更により、こちらの攻撃面が少しだけ弱化したが、致命的なほど弱体化したわけではなく、きちんと育成すれば十分すぎるほど強くなる。上手く立ち回ってやりごたえのある戦闘を楽しむことも、装備を完璧に整えてこちらが一方的に勝つことも可能なバランスである。
      • またステップ移動や通常攻撃回数の増加、ジャンプの仕様変更等、戦闘時における操作の自由度に於いては幾分か向上しており、元がSFC時代のゲームであるにもかかわらず、ある程度は昨今の2Dテイルズシリーズ作品の感覚で戦う事ができる。
  • 戦闘テンポが速くなったことで、従来のテイルズ作品(TOD / TOG)のような立ち回りが楽しめる。
  • 一方で、敵の攻撃頻度が上がったため、戦闘難易度が上昇した。
    • 敵の攻撃に合わせて、ステップ(裏回り)や防御で対処すればいいのだが、アクション慣れしていないプレイヤーには、息つく暇もない負担が強いられることも。
    • 「ぬるすぎる」とまで評された初心者向け難易度のPS版とは打って変わり、敵の編成によっては理不尽にハメ殺されるケースも珍しくなくなった。
      • 特にラスダン、隠しダンジョンは顕著であり、怯まないタイプの雑魚敵に左右から挟まれると、防御すらできないまま戦闘不能まで持っていかれることが起こりうる。
      • 結果的にSFC版が持っていた、殺るか殺られるかの尖ったゲームバランスに回帰したと言える。PS版準拠の仕様で雑魚戦すら気を抜けば全滅する緊張感が味わえる点を好意的に見る向きもあり、独特の爽快感があるのも確かなのである。
    • ただし、高難易度という意味では大元であるSFC版も同様なのだが、本作の場合は調整不足・大雑把な魔法の仕様変更での難易度上昇を内包した産物であるため、戦闘評価の高い作品に見られる細かなバランス調整や緻密な仕様によるものとは別物である事を留意して頂きたい。

総評

スーパーファミコンから続く作品『テイルズオブファンタジア』を、近代テイルズシリーズの要素、戦闘のシームレス化などで、大きくテコ入れがなされた作品。

グラフィック、音響、操作性など、現代のプレイヤー層のスタイルに合わせた調整は最低限なされており、『テイルズオブファンタジア』を初見から始めたい人お勧めするには十分の出来である。

その一方で、非常に作り込みの甘い面や、新たなバグの存在があり、PS版『テイルズオブファンタジア』を知る人が改善してほしかった点が修正できていない点が気になる作品でもある。

新キャラ「ロンドリーネ」に関しては、他のキャラクター達と打ち解けており、特別不快感を煽られるようなキャラクターではない。彼女の戦闘スタイルに関していえば、ファンタジアにおいて足りなかったポジションをカバーする立ち位置に落ち着いたのは評価出来るところ。一方で『なりダンX』をプレイすることが前提で生み出されたキャラクターであるため、本作だけで彼女を知ろうとすると掘り下げが不十分に感じてしまう点は否めない。

そもそも彼女が存在しなくてもストーリーが成り立つ上、彼女に関する設定の後付け感や、そもそも彼女の描写が少なすぎるといった要素も相まってストーリー的には空気であるにもかかわらず、異物感が強烈になってしまっている点は若干のマイナスである。

そもそも、本作で変更した点を考えるならば、それこそSFC版からPS版へのリメイク以上の手直しをする必要があったにもかかわらず、相変わらずPS版の移植がベースになっていることで古臭さが拭えず、惜しいと思われる点がところどころにある。

ただ、なりきりダンジョンXと二作同時収録しなくてはならなかった点、味方側のグラフィックだけ新規で描き起こされている点など見るに、こちらの作品のグラフィックまで一からすべて描き起こすには時間的のも予算的にも不可能だったのではないかと思われる。

本作は『テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョンX』の同時収録であるが故、世間の認知度が低いのも惜しい点である。