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THE KING OF FIGHTERS '97 - (2020/10/05 (月) 11:10:47) の編集履歴(バックアップ)



THE KING OF FIGHTERS '97

【ざ きんぐ おぶ ふぁいたーず ないんてぃせぶん】

ジャンル 対戦格闘
対応機種 アーケード(MVS)
販売・開発元 SNK
稼動開始日 1997年
プレイ人数 1~2人(同時プレイ)
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
配信 バーチャルコンソール
【Wii】2011年9月6日/900Wiiポイント
アーケードアーカイブス
【PS4/One】2017年11月2日/823円
【Switch】2018年7月26日/823円(税8%込)
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント 必殺技が暴発し過ぎ
中ボスキャラがそのまま隠しキャラ参戦でバランス崩壊
通常キャラでも一部は壊れた性能
システムは後の基礎に
KOFシリーズ関連作品リンク

ストーリー

決勝戦直後のハプニングをもって幕を閉じた「KOF'96」大会。
ハプニング自体の概要は何者かによるテロ活動と、それに付随して発生した事故と発表され、その何者が「誰」であって「何のために」そのようなことをしたのか、そしてその何者かがどこへ消え去ったのかは、謎のままに処理された。

しかし、こうした事件にもかかわらず、「KOF'96」大会は興業的には大成功を収めた。
しばらく後、折からの格闘ブームを受けてそれらに興味を示した巨大企業数社がスポンサーの名乗りをあげ、「KOF'97」大会の開催を熱望。
世界各地でも同じような動きが起こり、程なく今年も大会は開催の運びとなった。

開催決定と同時に世界の格闘家達も各予選会場に結集し、ある者は「己の力を試すため」に、またある者は「富と名声のため」にと、様々な思いを胸に予選大会に臨んでいった。
様々なメディアを通じて、熾烈を極める予選大会を目にする格闘ファン達。その予選大会と並行して世界各地に次々と設置されていくKOF闘技場。
自然「KOF'97」大会に寄せる期待は並々ならぬものとなり、今大会が前年と同様にすさまじい盛り上がりを見せようとしているのは、誰の目にも明らかなものとなっていた。

全世界が期待するこの大会に優勝し、「KOF」の栄冠を勝ち得るのはどのチームとなるのか?
そして、前大会のような予期せぬアクシデントが今大会にも待ち受けているのか?
世界がこの大会に全神経を集中させようとしていた…。


概要

SNKの対戦格闘ゲーム『KOF』シリーズ第4作目であり、『KOF'95』からメインストーリーとして展開された「オロチ編」の最終章。
スペシャルチームとして、「ファミ通」「ゲーメスト」「ネオジオフリーク」の三誌における人気投票で選ばれたキャラの参戦もある。 オロチ編の終章と、格ゲーブーム真っ最中の中で出されたため非常に人気は高いが……。


モード

キャラクター選択前にADVANCEDモード、EXTRAモードという2種類のシステムから1つを選ぶ。
前者は『'96』をベースに、新方式のパワーゲージを採用したシステム。後者は『'94』『'95』がベースのシステム。

ADVANCED

  • 半永久的にストック可能なパワーゲージが登場。ストック毎の必要量が大きいが、扱いやすさは折り紙つき。
    • 通常技・必殺技をヒットorガードさせる(する)等の行動をとるとゲージが溜まっていき、一定値が溜まるとゲージストックが1つ装填される。最大ストック数は3つ。
    • パワーゲージは超必殺技、「A+B+Cボタン同時押し」でのパワーMAXの発動、ガードキャンセル(ふっ飛ばし攻撃or前転・後転)に使う。それぞれ、1回につきストック1つ消費。
    • このゲージでのパワーMAX発動時は攻撃力が1.25倍。この間は超必殺技が強化版のMAX超必殺技に変化するが、発動中は一時的にゲージが増えなくなりカウンターヒット判定をとられやすくなるというデメリットもある。
  • 「A+B同時押し(+レバー)」で緊急回避。無敵時間付きの前転・後転動作を行う。無敵時間は『'96』よりも伸びている。
  • 通常投げで掴まれた時にA+Bボタン同時押しで投げ技外しが可能。
  • 前ダッシュはRunタイプ。レバー操作は「→→」だが、2回目は長く押し続けた分だけ走り続ける。
  • 通常ジャンプの他に、小・中・大の特殊ジャンプが3種類あり、それぞれレバー上下の入れ方で軌道の高度やスピードが異なる。

EXTRA

  • 前作までのパワーゲージを採用。厳密な共通仕様は『'95』に近いが、挑発でゲージが減らなくなった。
    • 攻撃を受けるか、「A+B+Cボタン同時長押し」でパワーを溜めることが出来る。ゲージが満タンになると自動的にパワーMAX状態に移行。
    • パワーMAX時の攻撃力は1.5倍。被攻撃によって受動的に発動した場合は1.125倍になるが、持続時間が長い。
      この間は通常の超必殺技とガードキャンセル(ふっ飛ばし攻撃or前転・後転)を1回だけ使用できる(使用時にパワーMAXは解除される)。
  • 体力が1/8以下になると体力ゲージが点滅し、超必殺技を使い放題になる。体力点滅かつパワーMAX時にのみ、MAX超必殺技が使える。
    • 本作では体力減少の基準がかなり厳しくなった。
  • 「A+B同時押し」で攻撃避け。その場で全身無敵になるが投げは食らう。『'95』にあった「カウンター攻撃」や投げ技外しは使えない*1
  • 前ダッシュはステップタイプ。空中にいる扱いになるため、空中用の必殺技や特殊攻撃を出せる。
  • 通常ジャンプの他に、飛距離が2倍になる大ジャンプが使える。

キャラクター

  • 9チーム+2キャラ+隠しキャラ6人、35人の使用可能キャラ+ラスボスであるオロチ。
  • 前作からストーリーの都合や、それとは関係なしに藤堂香澄、マチュア、バイス、ボスチームの3人がリストラ。
    • 女性格闘家チームの香澄の抜けた穴には、『'96』で中ボスだった神楽ちづるが入っている。
    • 旧チームメイトの抜けた八神庵は無所属のエディット専用キャラクターとなった。
    • 前述の三誌の人気投票で選ばれた'97スペシャルチームは、ファミ通から山崎竜二、ゲーメストからはブルー・マリー、ネオジオフリークからはビリー・カーンの三名で構成されている。見ての通り、全員『餓狼伝説』シリーズのキャラ。
      • この時に餓狼シリーズのダック・キングの名も挙がっていたがブルー・マリーに敗北。『XI』にてようやく使用キャラに昇格した。
      • ビリーは『'95』で登場→前作でリストラと遷移していたため、シリーズ初の復活キャラとなった。
      • 山崎はKOFに参戦するに当たり「オロチ八傑集の一員だが、オロチ復活には興味がない」というオリジナルの設定が付加されたが、これは両作品のファンの両方で賛否両論であった。
        これは八傑集が一人足りないため、KOFのスタッフが餓狼スタッフに頼み込んで追加されたものだと言われている。そのため、ファミ通の人気投票は出来レースだったのでは?と言われる事も。
  • 完全新キャラはエディット専用の矢吹真吾、ニューフェイスチームの七枷社、シェルミー、クリス。
    • 矢吹真吾は草薙京の押しかけ弟子で、炎こそ出せないが京から(適当に)教えられた草薙流古武術で戦うという、『ストリートファイターZERO』シリーズのさくらとダンを足して2で割ったようなキャラ。
      ゲーム中の性能は設定相応でかなり低めだが、コミカルかつ真っ直ぐで純粋なキャラ、子安武人氏による三枚目でコミカルな演技から人気を博した。
+ キャラ一覧
  • 主人公チーム:草薙京/二階堂紅丸/大門五郎
  • 餓狼伝説チーム:テリー・ボガード/アンディ・ボガード/ジョー・ヒガシ
  • 龍虎の拳チーム:リョウ・サカザキ/ロバート・ガルシア/ユリ・サカザキ
  • 怒チーム:レオナ・ハイデルン/ラルフ・ジョーンズ/クラーク・スティル
  • サイコソルジャーチーム:麻宮アテナ/椎拳崇/鎮元斎
  • 女性格闘家チーム:神楽ちづる/不知火舞/キング
  • キムチーム:キム・カッファン/チャン・コーハン/チョイ・ボンゲ
  • '97スペシャルチーム:ブルー・マリー/ビリー・カーン/山崎竜二
  • ニューフェイスチーム:七枷社/シェルミー/クリス
    • ニューフェイスチームの正体は、『'96』で死亡したゲーニッツを含むオロチ四天王の残りの3人である。
  • エディット専用:八神庵/矢吹真吾
  • 隠しキャラ:'94草薙京*2
  • 中ボス兼隠しキャラ:ツキノヨルオロチノチニクルフイオリ/ヤミノナカオロチノチニメザメルレオナ/乾いた大地の社/荒れ狂う稲光のシェルミー/炎のさだめのクリス
  • ラスボス:オロチ

その他の特徴

  • 本作における必殺技コマンドは、インストカードの表記よりもかなり短い短縮コマンドでの入力が可能となっている。これに伴ってレバー認識も非常に甘く、必殺技が非常に出やすくなっている。
    • 例として、「2141236+P」は「216+P」、「6321463214+P」は「3434+P」で入力できるようになっている。
    • 恐らく内部的に設定された短縮コマンドだけではなく、斜め方向の入力がその両隣の方向の入力として認められる*3仕様が存在すると思われる。
  • チーム内において、ストーリー上の設定やキャラの性格などに基づいた相性が設定されている。
    • 本作ではこの相性の影響する要素が増えており、従来の「つかみ技・気絶時の援護確率」だけでなく、「ADVANCEDモード選択時、あるキャラがK.O.されたときに次に出てくるキャラに引き継がれるゲージの数」が変化するようになった。
    • 相性のいい組み合わせであればゲージの残りストックがひとつ増え、相性が普通の場合はストックがそのまま、相性が最悪の場合なんとゲージがゼロになってしまう。例えば嫌われ者である庵や山崎を一番手にした場合、試合の中でどれだけゲージを稼いでいても、ほとんどのキャラがそれを引き継ぐことができず、二番手はパワーゲージがない状態から始まる。
    • パワーゲージの多寡は戦力に直結する。したがってキャラ相性が非常に重要となり、キャラクターの選択、順番にもこれまで以上の戦略性が生まれた。強キャラだけで固めるのが必ずしもよいとは限らない、という意図であった。
    • 二人目以降のキャラクター選択時にCボタンを押すことで、直前に決定したキャラクターとの相性を確認可能。
  • 挑発の操作がスタートボタンに変更され、相手のパワーゲージを減らす効果がなくなった。
  • 超必殺技発動時に一時停止・画面が暗転する演出が導入された。これにより出したのがすぐバレてしまうため超必殺技を奇襲に使えなくなったというデメリットも。
  • ガードキャンセルで出せる動作は、前作『'96』では前転・後転のみであったが、本作からふっとばし攻撃がガードキャンセルで出せるようになった(但し通常のふっとばし攻撃と違い、ダメージはごく僅か)。
  • 空中ふっとばし攻撃が上段判定に変更され、しゃがみガードが可能になった。
  • カウンターヒット時の吹っ飛びが小さくなり、前作『'96』に比べて追撃が難しくなった。
  • で削除されていたレバー+ボタンの特殊技が復活。更に本作では通常技キャンセルからも出せるようになり、一部の特殊技は必殺技でキャンセル可能となっている。
  • 気絶耐久値とガード耐久値の仕様がやや特殊で、時間経過で少しずつ回復するのではなく、ある条件下で一定時間が経過すると全快するというものになった。
    • 気絶耐久値は攻撃をガードしたり食らったりせずに2秒(120フレーム)経過で、ガード耐久値は攻撃をガードせずに一定フレーム(キャラによって異なる)経過すると全快する。
    • この仕様は『'98』まで採用されている。
  • デフォルトチームの組み合わせだけでなく、特定のメンバーで構成したチームに隠しエンディングが追加される。
    • そのうち1つがエディット専用キャラ「矢吹真吾」の固有エンディング。条件は「真吾・京がおり、かつ庵orレオナの通常版がいない*4エディットチーム」でクリアすることになる。
    • いわゆる「三種の神器チーム(草薙京・八神庵・神楽ちづる)」にも固有展開はあり、オロチ編を締めくくるのに相応しいドラマチックな内容が繰り広げられる。
      • 今まで設定資料でしか見れなかった京の彼女「ユキ」もこのエンドで登場し、台詞が聞ける*5

問題点

暴発する必殺技

  • 前作『'96』では必殺技のコマンド入力が厳しかったが、本作における短縮コマンドの導入は「出しやすい」を通り越して「暴発しやすい」
  • 必殺技の先行入力を受け付ける仕様である上にコマンド受付時間が長めに取られている事も、この傾向に拍車をかけた。
    • 例えば、「41236+P」の簡略コマンドである「16+P」は、「相手の技をしゃがみガードした後、少し前に歩いて通常攻撃で反撃」という入力操作と被る。

暴走、崩壊のキャラバランス

  • 即死連続技・永久コンボを持つキャラたち
    これらは過去のKOFにも数多く(特に『'95』)存在していたので、この作品だけの問題点と言うわけではないのだが。
    • テリー・ボガード
      • 弱パワーチャージ>(しゃがみ弱P空振りキャンセル)>パワーチャージ×∞。
      • 空振りキャンセルで必殺技を出すと、空中の相手に追撃できるフラグが復活してしまうので、このような現象が起きる。
      • パワーチャージは発生がそこそこ早く間合いが近ければ小技からも繋がり隙も小さいという性能の高い技で、かなりローリスクに出せ、かつ一度決まってしまえばその時点で勝ちが決まってしまう。ちなみに実際にこのコンボを決めると、途中で相手が気絶しまた繰り返し、という流れになる。
    • 草薙京
      • 画面端で(空振りキャンセル)強七拾五式改×∞。原理はテリーのものと同じ。
      • こちらは上記のより状況が限定されるうえ難易度が高い。
    • 山崎竜二
      • 砂かけ→蛇使いキャンセル×n、が永久。
      • これは上記二つに比べて難しい。しかしながら、砂かけ前に立ちB(キャンセル)を挟んだりすると難易度はやや下がる。
  • 以下は隠しキャラなのだが、アーケード版でも使用でき、その性能は実に壊れたものになっている。これらの隠れキャラを使っての遊戯を禁止するというゲームセンターも見受けられた。
    • ツキノヨルオロチノチニクルフイオリ(通称暴走庵)
      • スピードがやたら速い上に攻撃力もボス仕様のまま高い。小ジャンプ攻撃(特に強キック)を出しているだけで相手は殆ど何も出来なくなってしまう。
      • 難度は高いが屑風→ダッシュ近強P>キャンセル屑風→ダッシュ近強P……で永久。
      • 暴走版はADVANCEDモードでは特殊技を空振りしてもゲージが溜まるため、バックジャンプ百合折りを繰り返すだけでゲージを溜められる。
      • もともとコマンド投げ持ち、画面端まで届く飛び道具、無敵技、コンボに簡単に組み込める超必殺技などがあり基本性能が高いことに加えての上記の仕様である。
      • ……このようにとにかくぶっ飛んだ性能のために彼一人を指して本作を『暴走ゲー』と揶揄するプレイヤーも現れるほど。
  • ヤミノナカオロチノチニメザメルレオナ(通称覚醒レオナ)
    • やはりスピードが速く、攻撃力が高い。
    • ただし通常のレオナと同様に溜めキャラなのでシステム上やや不遇。コマンド投げも無敵技もないので守りも弱く、庵ほどの脅威はない。
  • 乾いた大地の社
    • オロチ四天王の一人として……つまりボス版の七枷社。特大のリターンを持つ移動投げ「くじくだいち」を筆頭にコマンド投げ締めのコンボによる攻めのループ性や優秀な通常技を持ち、守りに使える技が乏しいという弱点も後述のコマンド投げの強さが補ってくれるので隙が無い。
    • なお、近強Kが(表の社と同様に)グラフィックではローキックの癖に中段という特徴があるが、下段が使いにくいキャラなので知っていればそうそうは決まらない*6
  • それ以外の強キャラ達
    • 八神庵
      • すっかり暴走庵の影に隠れてしまっているが、暴走庵の記述の通り基本性能が高いので、こいつも相当強い。というか暴走キャラ禁止ルールにおいては最強。
      • 前作や暴走版との細かい違いはしゃがみBがキャンセル不可だったり、弱鬼焼きが地上の相手に対してダウンを奪えなかったり、特殊技を空振りしてもゲージが溜まらないことが挙げられるが、唯一にして最大の欠点として「暴走庵と共存できない事」ともいわれる。
    • ジョー東
      • ハリケーンアッパーの隙が小さく、その割に飛び道具の当たり判定が大きいので近距離の制圧能力が非常に高い。その他空中の相手にヒットすれば永久コンボが狙える黄金のカカトなど、一部の技が極端な特化性能を持つ。
      • 特にハリケーンアッパーが庵や暴走庵に対して非常に相性がいいため、使用率もそれなりに高かった。
    • チャン・コーハン
      • 鉄球大回転の汎用性が高い*7。大回転中ABCD同時押しでの緊急停止を使いこなすと途端に化ける。
      • 後述にあるように簡易入力等でコマンド投げが前作より更に便利になっている為、大破壊投げの出番も増えた。また新超必殺技の鉄球大圧殺も技後の隙が特大ではあるが対空や連続技に使用可能。
    • チョイ・ボンゲ
      • めくりジャンプC、および突進技「飛翔空裂斬」を駆使したガン逃げもといヒットアンドアウェイが強い。空中でヒットすれば鳳凰脚での追撃があるため大物食いも可。即死連続技も有り。
    • ブルー・マリー
      • 隙の無い技の数々と豊富な対空、鋭いジャンプを活かした攻めにコマンド投げなど、飛び道具以外の全てを兼ね備えた万能キャラ。
    • 二階堂紅丸
      • 高く鋭いジャンプと全キャラ中最強のジャンプ攻撃JD、そして空中特殊技のフライングドリル(ジャンプ中2+D)を使った立ち回りが凶悪。コンボもお手軽かつ強力。
        画面端でなければ反撃を受けない真空片手駒でゲージ稼ぎもでき、それで使う超必殺技・雷光拳の性能も異常。最大の欠点はコマンド投げが死に技であること。
  • そのほか、ゲージ回収率が高く技の一つ一つが強い神楽ちづる、超必殺技を絡めたコンボの火力が光る炎のさだめのクリス等、少しやりこんだだけであからさまにわかる強さを持つキャラが多かった。
    • 逆に弱いキャラはとことん弱い。矢吹真吾や表のクリス、ビリー・カーン、ユリ・サカザキ等は強キャラと戦うとまともな勝負は望めない。

凶悪過ぎるコマンド投げ

  • ただでさえ前作で強すぎたコマンド投げが全く弱体化しておらず、非常に凶悪な性能を有したまま。また前述の簡易入力の恩恵により存在自体が卑怯とも言える存在になってしまっている。例を挙げると……。
    • 相手ののけぞりモーションをいつでも投げることができ、後のシリーズのように通常技キャンセルでないと連続技に組み込めないということがない。
      • そして本作のほとんどのコマンド投げは入力後1フレームで成立するので、間合い内で自分が有利になる技がヒットすればコマンド投げ確定である。
    • 本作のジャンプはすぐに空中判定にならないため、ジャンプし始めを投げられてしまう。
    • スカりモーションが無く、失敗しても通常技が出るだけなので、リスクはほぼ無い*8
    • 例外もあるが、ダメージが高い傾向にある。
    • 相手に接近して連携や固めを狙いに行っても、中途半端な攻めを行えばコマンド先行入力により、隙が生じた瞬間に問答無用で投げられてしまう。まさに攻防一体の存在である。
    • また本作はゲームシステム上、大門やチャンのような重量級でコマンド投げ持ちのキャラでも相手に近付く事が非常に容易となっている。
      • ただし紅丸は超必殺技を含めコマンド投げを2つ持つが、いずれも投げ間合いが狭くダメージも低いため「投げ外しをされないこと以外に利点が無い」とまで評されている。山崎は超必殺投げのドリルのダメージこそ高いが、投げ間合いが狭く爆弾パチキの方はダメージも通常投げとさほど変わらない。
  • さすがにまずいと思ったのか、『'98』以降では投げスカリモーションが作られる、ジャンプ開始も投げられなくなるなど理不尽な部分が解消された。

バグの多さ

  • 裏クリスで強・たいようをいるほのおが相手にヒットしている時に、強・つきをつむほのおを連続ヒットさせると、キャラや背景の容量の大きさによってたまに「Task Over!」となり、ゲームが止まってしまう。
    • 強・たいようをいるほのおが地上ヒットすることが対戦でまず起こりにくいのが救い。
    • 同様のエラーは草薙京のMAX大蛇薙(待機モーションの多段ヒット+〆モーションのヒット)でも起こる事がある。
    • 同じく草薙京で、画面端で荒咬み空中ヒット×数回から鬼焼きなどの組合せでも起きる可能性がある。かなりイレギュラーなケースなので対戦で発生する事は考え難い。
      • 傾向として、どうやら延焼被弾エフェクトが発生する技を2種以上連続で当てると状況次第では高負荷になりTask Over!が発生すると思われる。
  • 覚醒レオナのアイスラッシャーは攻撃を受けても消滅しない(通常レオナは攻撃されると消える)。
    • これはNCD以降修正されている。
  • 相手側と協力が必要になるが、ビリーで超火炎旋風棍を出した直後に各種投げ技を決めると、ビリーの周りに火炎が付いたまま自由に動けるようになる。
  • 浮遊バグもあるがあまり実用的ではない。

演出面の変化

  • BGMのほとんどが環境音になった。基本的に固有BGMが流れるのはボス戦を含む一部キャラのみであり、前作までのようにチーム単位のBGMが用意されているのはニューフェイスチーム(社、シェルミー、クリス)とその裏となるオロチ四天王チームのみ。
    • 固有BGM(個人曲)が設定されているのは京、テリー、アテナ、山崎、マリー、ビリー、庵、真吾、各ボスキャラ。
    • たとえばアンディ、テリー、ジョーの順で試合をやるとする。するとアンディが戦っている時は環境音、テリー登場と同時にBGMが流れ始め、テリーが倒れてジョーが現れるとBGMが止まる。
      • ちなみに、『餓狼』出身のキャラクターのBGMは直前に稼働した『リアルバウト餓狼伝説スペシャル』からほぼそのまま流用。そのため「どうせ流用するなら他のキャラクターにも固有BGMを付けられたのでは」という不満が出た。
    • これは「TV番組の生中継のような演出」を再現したもの、と制作陣が発言している。
      • この路線はのちの『幕末浪漫 月華の剣士』にもある程度受け継がれているが、作品全体の雰囲気が落ち着いたものであるため、雰囲気づくりの一環として好評だった。
        それに対し色々な意味で「お祭り」であり、BGMの評価も高い本シリーズでは受け入れ難い仕様であった。
      • ケチャ*9が聞こえてくるバリ島ステージなどは環境音がステージ演出として機能していると言えるのだが、ステージによってはほぼ無音だったりと地味な印象が拭えない。
    • 流石にBGMの無さは制作側に意見が行き届いていたのか、後述の『R-1』では完全新曲こそないものの全キャラクターに固有BGMが割り当てられる事になった。
  • また、前作までのようなチームごとの固有ステージという概念もなくなっている。
    • この点については以降の作品にも引き継がれた*10
      ただし、グラフィックのクオリティ自体は充分維持されており、またチーム構成に合わせるとどうしても舞台になる国のバリエーションが限られる中で、インドネシア(バリ島)やモナコなど様々な国をステージとして使えるようになったというメリットもある。
  • 勝利時にキャラのメッセージがない。
    • このため、本作の演出はストーリーデモ以外非常に簡素で物足りない物になっている。
  • 勝利時や中間デモ等のデモ画面のキャラの一枚絵のクオリティが前作と比べて劣化している。
    • 全体的に肩幅がやたら広い。特に神楽ちづるの勝利デモの肩パッド云々では済まない広さの肩幅はよくネタにされる。

評価点

  • 確かに必殺技は暴発しやすいが、それ故に超必殺技は非常に出しやすくなっている。コンボや、見てから反応等でもハードルはかなり低め。
  • オープニングや中間デモ、EDの出来はKOFオロチ編最終章ということで出来が良い。
    • デモ絵は前述の通り劣化している部分もあるが、雰囲気自体はよくできている。
  • CPU戦の難易度が今作は比較的易しめに設定されている。
    • 中ボスは確かに強いがパターンにはめられれば簡単に攻略でき、ラスボスのオロチは設定上も性能も最強なのだが、CPUの反応が鈍いという一点だけで歴代最弱ボス候補に。
      • 開発スタッフも「ストーリーを見てもらいたいため意図的に弱くした」とコメントしている。
    • オロチの性能自体は「回避困難で発生の早い飛び道具」や「画面全体を攻撃する超必殺技」など高性能なものが揃い、人が扱うと飛び道具を出すだけで脱出困難な固めが成立するなどとんでもないことになるのだが、本作のCPUはそれを活かしきることはない。
  • オーソドックスでありながらパワーMAXシステムを上手く継承したADVANCEDシステムの導入により、システムの基礎が完成したと言っても過言ではない。
  • 特定メンバーを使うと見られるED。
    • 以後のシリーズでも特定メンバーでクリアすると特殊な一枚絵が見られる場合があるが、しっかりとストーリーのあるEDが隠されているのは本作のみ。
    • オロチ編最終章らしく、主人公・日本チームで勝ち抜きラスボスを京で倒すと、庵が乱入してくる隠しボス戦ルートが見られる。もちろんボーナスステージとして実際に戦え、勝つか負けるかでまた微妙にEDが変わるという凝りよう。
  • 特定キャラ間のイントロ掛け合いの増量。「らしい」掛け合いが多く、特殊演出の組み合わせを探すのが地味に楽しい。

総評

お祭りゲームから出発して独自の立ち位置を築き上げるまでに至ったKOFシリーズ最初の総決算的な作品。
旧作経験者向けに2種のシステムから好きな方式を選べる配慮があり、また数多い参戦キャラクターそれぞれに対して設定・ストーリー面が補強された。

しかし格闘ゲームとしての本作のバランス調整は「毎度おなじみ」の域を超えて極端、そして杜撰。しかもプレイヤーの意に反して技が暴発しやすいという、文字通り不安定な仕上がりとなってしまった。
シリーズがキャラゲーとして愛されてきた側面からも、BGMや勝利コメントなどの細かい要素が大幅に縮小されている事への物足りなさは否めない。
オロチ編最終章としてのストーリーは大いに盛り上がっただけに、悔やまれる部分もまた多い作品である。


家庭用移植




  • ネオジオ:1997年9月25日/32,000円
    • MVSと同等。PS2の『KOF オロチ編』の他、PSPの『ザ・キングオブファイターズポータブル'94~'98 チャプターオブオロチ』にも収録されている。この他にもバーチャルコンソールでも配信中。
  • ネオジオCD:1997年10月30日/6,800円
    • やはりNEOGEO-CD恒例のラウンド間のロードがネックとなっている。
      • BGMはアレンジ音源になっているが、山崎のテーマがリアルバウト餓狼伝説スペシャル側でアレンジが行われなかった事による影響なのか、CD版RBSP同様『3』の頃のテーマが使用されている。
        後述の他機種への移植版でも同様の仕様にされており、RBSPの山崎のテーマは不遇と言わざるを得ないだろう。
  • セガサターン
    • 前作同様汎用拡張RAM専用。4MBとの同梱版も発売された。良移植だが過去のSS版『'95』や『'96』と比べてロードが長くボイスのトーンが高くなっている。また本作はSS最後のKOF、且つSNK最後のSSソフト(新規発売として)である。
      • ラスボスのオロチはプラクティスモード限定で使用可能。
  • プレイステーション
    • 前々作同様劣化部分が目立つ移植となっているが、ラスボスのオロチがプレイヤー対戦で使用可能で、AC版では設定されていないしゃがみモーションとそこからの通常技も追加された*11
      • しかも'94京以外の隠しキャラ使用コマンドがシンプルになった。
    • ちなみにPS版は現在アーカイブスで配信中だが、上述の『チャプターオブオロチ』やPS 2アーカイブスの『KOFオロチ編』でネオジオROM版がプレーできるので対戦でオロチが使える事とプラクティスモードくらいしか存在意義は無い。
      • また、かつてはネオジオステーションでネオジオ版が配信される可能性があったが、サービスが終了してしまった。
  • PS4/PSV/PC(Steam)
    • 2018年4月4日より『THE KING OF FIGHTERS'97 GLOBAL MATCH』のタイトルでダウンロード専用としてPS4、PSV、PC(Steam)の三機種にて発売。開発はカナダのCode Mysticsが担当。
    • 『'98UM』や『2002UM』のようにタイトルに新たな副題が付けられているが、ゲームバランスや演出面など特に手はつけられていない。
      • 隠しキャラは使用コマンド無しで最初から選択可能となっているが、ラスボスのオロチは使用不可。
    • オンライン対戦機能やギャラリーモード、ゲームメニューでのBGM設定機能が搭載されており、PS4とPSVでは二機種によるクロスプレイに対応している。
    • ネオジオ版ベースの移植ではあるがプラクティスモードがなかったり、タイムカウントの減りが少々早いなど細かい問題点が散見されている。また、CPU戦で特定のチームが出てこないバグも見られたがこちらはアップデートで解消された。
  • またネオジオポケットで本作をベースとした『ザ・キング・オブ・ファイターズR-1』(モノクロ専用)がローンチタイトルとして発売された。
    • 本作は携帯機での発売故にキャラが削減されているものの、デモ画面やBGM等原作再現度の高い移植で、ネオポケ移植に伴い全キャラに固有BGMが搭載されているファンサービスもあるが、反面モノクロ専用故に同キャラ対戦時のプレイヤーキャラの見分けが付きにくくなっている難点がある。
  • この他にも本作のストーリーを基にしたADV『ザ・キング・オブ・ファイターズ京』がプレイステーションで発売されている。
    • 厳密に言うと少年エース誌で連載されていた同名漫画を基にした作品だが、戦闘画面で本作及び『'96』のキャラがそのまま使用されている関係でアレンジ移植に分類されているとも言える。また、こちらでも全キャラに固有BGMが登載されている。

余談

  • いろいろと難のある作品ではあったが、当時は格ゲーブーム真っ盛りだったため、人気は出ていた。ストーリーのない作品を除いては「オロチ編までがKOF」という古参プレイヤーも少なからずいる。
    • ちなみに中国だとこの作品が一番人気であり、100万人以上のゲーマーから親しまれている作品であり、対空用途での超必殺技やバグ利用を自粛(禁止?)する傾向のプレイスタイルが見られる。
      • 小さな子供から老人まで共通して遊べ、山奥の閑散とした村でさえもプレイされており、「女の子と遊ぶ」か「KOF97で遊ぶ」の2択になるほどに、その浸透率は他の格ゲーと比べても圧倒的である。
        インターネット上で配信された本作の大会の視聴者はなんと50万人(参考までに、格ゲー世界大会のEVOでも15万人程度が最高と言われている)に達しているなど、中華人民共和国では国技と呼べるレベルにまで達している。
      • 流行の背景として、日本の格ゲーバブルがはじけて基板が多く出回った事、後続作のKOF98などに比べてゲームバランスが悪い分実力差を埋めやすい事などがあるそうな。
      • それが理由なのかは不明だが2019年になって何故か海外ではPS4とVITAに単独でパッケージ販売される事が決定している。PS2やPSPでは他のKOFシリーズとカップリング移植されているにもかかわらず……である。
  • 翌年の『KOF'98』は本作までの反省からキャラバランスを盤石なものに仕上げ、シリーズ屈指の名作になった。
  • オロチ四天王の通り名は、全てアニメソングが由来になっている(乾いた大地の社→『戦闘メカザブングル』ED、炎のさだめのクリス→『装甲騎兵ボトムズ』OP等)。
  • 講談社から刊行されていたゲーム雑誌『覇王マガジン』で、本作のコミカライズが連載された。しかし同誌休刊後、同じ講談社の雑誌『コミックボンボン』に「漫画内でゲーム設定とは異なる描写がありましたことをお詫びします」という一文が掲載された。
    • 具体的に何がどう違ったのかは触れられていなかった。かの『ボンボン餓狼』や『ゴッセージ龍虎』ですらそのようなお詫びは載った事は無かったのだが。一体何がどうまずかったのだろうか?