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スーパープリンセスピーチ - (2018/09/24 (月) 09:39:06) の編集履歴(バックアップ)


スーパープリンセスピーチ

【すーぱーぷりんせすぴーち】

ジャンル アクション
対応機種 ニンテンドーDS
メディア 256MbitDSカード
発売元 任天堂
開発元 トーセ
発売日 2005年10月20日
定価 4,800円(税5%込)
判定 なし
ポイント 低年齢層向け
単調すぎて飽きやすい
ピーチ姫の喜怒哀楽は可愛らしい
マリオシリーズ関連作品リンク


概要

マリオシリーズでは初の、ピーチ姫が公式に単独主演した作品である。
不思議な傘「カッサー」をお供に「喜・怒・哀・楽」の4つの感情を使い分けながら、いつもとは逆にクッパに捕まったマリオとルイージの救出に向かう。


特徴

  • New スーパーマリオブラザーズ』のような横スクロールアクションゲーム。
    • マップからステージを選択して進行する。マップは一方通行で、苦手なステージをクリアせずに進行させることは不可能。
    • ピーチを操作して、ステージのゴールにたどり着けばクリアとなる。ゴール時には報酬としてコインを得られる。
    • 8エリア存在し、各エリアごとにボスを倒すことで次に勧めるようになる。
  • カッサー
    • ピーチの相棒。武器のような役割を果たす。以下は一例。
      • たたく。敵への攻撃やギミックの作動に使用する。
      • たべる。敵を持ち上げてから十字ボタン下を推すことで敵を食べて、後述のゲージを回復する。
      • ふわふわカッサー。Aボタンを押し続けることで滞空時間を延ばす。傘らしい能力である。
  • 喜怒哀楽パワー
    • 本作の大きな特徴。「喜」「怒」「哀」「楽」のマークがDSの下画面に表示されており、タッチすることでピーチが怒ったり泣き出したりする。
    • 発動にはゲージを消費する。カッサーで敵を食べるか、クリスタルを拾うことでゲージは上昇する。
    • 「怒」状態だとピーチが燃え上がり、物を燃やすなどのギミックを発動可能。「哀」状態だと素早い移動が可能になり、崩れる足場などを移動する際に使用する。
      • このように喜怒哀楽を使い分けてギミックを解除したり、ボスへの攻撃に使用する。
  • その他
    • 敵キャラ図鑑・ミニゲーム・パズル・音楽室といったおまけ要素を搭載している。
    • ミニゲームはDSらしくタッチパネルやマイクを活用する。
    • これらを遊ぶには、本編で集めたり、お店で金を出して買う必要がある。しかも高額。

問題点

アクションゲームとしての問題点

  • 難易度が低すぎる。
    • ピーチを主役にし、女児向けを狙ったこともあってか難易度がかなり低めに設定されている。
      • 体力がゲージ制になり余裕ができたので、無茶がきくところも多数ある。さらに、「穴に落下しても即死しない」「残機やゲームオーバーといった概念がない」ため、アクションゲームとしてのスリルや達成感がほとんど無い。
  • 飽きやすい。
    • 全体的に同じようなステージが多い。同じ背景や仕掛け、同じ敵などが延々と配置されている。特に強制スクロールが多い(しかもかなり遅め)ので、時間もかなりかかる。
    • 各ステージに3人のキノピオが配置されており、それを救出することになる。この要素は、最初は全くスルーしても先に進めるのだが、ラストステージがキノピオを全て救出していないと入れないというゲームデザインであり、そのステージまで知らされないという説明不足。ステージを途中で出ても、キノピオの救出がセーブされているのがまだ救いか。
      • キノピオ救出も単調すぎる。大半が『喜怒哀楽を活用して邪魔となるものを排除して救助』というパターン。頭を使わせるもの、テクニックがいるものはほとんどない。中には普通の通り道にわざわざ配置されているものもある。終盤ですら例外ではない。
  • 取ってつけたようなやり込み要素
    • クリアした後は隠しステージが出現する。1エリアは最初から隠しステージが出現しているのだが、2エリア以降はもう1回ボスを倒さなければ出現しないという手間。もうその頃にはやる気などなくなっている。
      • しかも通常ステージにもパズルのピースなどが追加配置され、完全クリアをするには、全てのステージをまたクリアしなければならない。
      • しかも完全クリアした後のお楽しみも、喜怒哀楽ゲージが減らないアイテムのみ。ゲーム自体がヌルい為ありがたみが薄い。
  • お店の商品の値段がかなり高額。
    • ミニゲームはレベルごとに売られている上、レベルが1つ上がるにつれて50コインも値段が上がる(レベル1は100、レベル2は150…)。
    • お店で能力(溜め打ちができる、しばらく空中浮遊できるなど)や体力増加などを買うようになるが、どれも非常に高額。しかも中にはその能力を使わなければキノピオを救助できない箇所もある。
      • そのため、コインを稼ぐだけの作業が多くなる。

キャラクターの扱いの問題点

  • ストーリーが稚拙
    • カッサーの回想の話がマリオやルイージを救出するということと全く絡んでいない。その上、カッサーの話も過去を回想したままで終わっており、本編で活かされることは基本的には無い。
    • しかも、カッサーはエンディングを迎えても傘のままである。傘に姿を変えられたという設定なのに、傘のままでハッピーエンドはさすがにどうか…。
  • ピーチを主人公にする必要性の薄さ。
    • 武器もオリジナルキャラクターのカッサー、特殊能力もカッサー頼みでピーチ自身の能力を使って進むようなシーンが少なく、マリオやルイージとの絡みもそれほどではないため、ピーチ姫を主人公に据える必要性が薄い。
    • 喜怒哀楽という演出はマリオ達よりピーチのほうが似合っているとは言えるが、それでもまだ説得力が少々弱い。
      • 「いつもとは逆にピーチ姫がマリオ達を助ける」というインパクトはあったのだが、その意義がゲーム中からあまり感じられないため、取ってつけた客寄せ要素のようになってしまっている感がある。
        その為か、後に発売される『大乱闘スマッシュブラザーズX』でのピーチに本作の要素は採用されなかった。
  • ルイージの扱いが酷い。
    • ルイージを救出する際に、何故か「緑のおっさんを救出した?よ!」と出る。ルイージはピーチに名前を覚えられていないのか*1、それともスタッフの悪意かは分からないが、見ていて気分のいい文章ではない。
      • ただしこのゲーム、クッパの部下のハンマーブロスがピーチに対して「誰だお前は!?」と言い出したり、クッパもピーチをただの侵入者のように扱うなど、クッパ軍団との面識がないとしか思えないような要素がそこかしこで見られる。
      • そもそもマリオシリーズ自体、一部例外を除いてそれぞれの作品がパラレルワールドではないかと考えられないこともなく、このゲームの世界観上では本当にルイージの事を知らないという可能性も否定はできない。いずれにせよ酷い扱いであることに変わりは無いが。
    • またラストボスを倒してマリオを救出する時、ルイージはマリオの元に走ろうとするが、ピーチに跳ね飛ばされて倒れる始末。
    • もっとも、ルイージの扱いが悪いのはもはやお約束なのだが、本作の場合は扱いが酷いというよりも、悪い意味で足蹴にしているだけという感じが強いため、他シリーズ作品程受け容れられてはいない。

評価点

  • ゲームの土台はしっかりしている。
    • 分かりやすい操作性やモーションに応じた効果音により、アクションゲームとしてキャラを動かす最低限の楽しさは健在。
  • グラフィックや音楽は良好。
    • 平原や雪山など、本家マリオのようにエリアごとの特色がしっかりと出ている。
    • 下画面に現れるピーチ姫の表情はバリエーションが豊富で可愛らしい。
    • BGMも出すぎず引っ込みすぎずという塩梅を保ったものが多く、世界観にマッチしている。

総評

他社開発とはいえ本作も安心のマリオシリーズなだけはあり、本家でのギミックを利用して「それなりに遊べて、部分部分にはやりがいもあるアクションゲーム」として仕上がっている。

しかしプレイ意欲を沸かせるギミックに満ちた本家作品と比べると、本作は難易度に限らずゲームのつくりそのものが単調で然程練り込みもされておらず、作中の大半においてやりがいが薄くヌルいだけのバランスとなってしまっているのは否めない。
それでいて所々の要素が不親切でクリアは面倒…とプレイヤーの意欲を悉く削ぐ仕様になってしまっているのであれば、ゲームの根本それ自体が練り込まれていないと見做され芳しい評価を得られないのも当然の帰結であろう。

また難易度以外の面においても、カッサーの存在意義や未回収の伏線といったストーリー面の粗や、いつにもましてルイージの扱いが酷いなどの気になる点が目立つ。
過去作品での設定を活かしつつ、不足部分を新キャラクターの助けによって補うなど、ピーチ姫をアクションの主役に据える上での工夫はしっかりしているのだが、せめてもう少し他の箇所にも気を配ってほしかったところである。

シリーズの主要キャラ・ピーチ姫の初主役作品ゲームであった本作だが、残念ながら、彼女ならではのキャラクター性を活かした作風を確立できたとは言い難い出来となってしまった。
表情豊かなピーチ姫を愛でる為のファン向けアイテムとしてならばプレイする価値はあるが、その場合でもアクションゲームとしての楽しさにはあまり期待しない方が良いだろう。



余談

  • ピーチ姫主演の公式作品は本作が初であるが、過去には『ミスピーチワールド?』と言う非公式のコンシューマーソフトが存在していた。当然、後者に任天堂は関わっていない。
  • 喜怒哀楽の4つの感情を使い分けるというシステムだが、同様のシステムを持つ先駆的作品として、1987年にコナミから発売されたMSXのアクションゲーム『ウシャス』が存在する。
  • 本作は没データが多いことで知られており、未使用データの中にはコクッパ7人衆全員分のスプライトなどが眠っていたりする。
  • 本作の海外版CMはピーチ姫に扮した女の子たちが謎の訓練に勤しむというゲームとはまた別方向にぶっ飛んだ内容となっており、可愛らしさを強調した日本版CMとは趣きが全く異なっている。
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