「SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語3 伝説の騎士団」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語3 伝説の騎士団 - (2014/05/31 (土) 08:12:25) の編集履歴(バックアップ)


SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語3 伝説の騎士団

【えすでぃーがんだむがいでん ないとがんだむものがたりすりー でんせつのきしだん】

ジャンル RPG
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売元 バンダイ
開発元 トーセ
発売日 1992年10月23日
定価 7,800円
分類 ゲームバランスが不安定
ポイント パーティ分割強制セーブ
高エンカウント&恐怖のバックアタック
SDガンダムシリーズリンク

概要

カード自販機「カードダス」をメインに展開していたシリーズ「SDガンダム外伝」のカード第5~8弾(円卓の騎士編)を原作としたソフト。
もちろんイギリス発祥の伝説、「アーサー王物語」がモチーフとなっている。内容は至ってノーマルなRPGであるが登場キャラが多いため、冒険中盤からは二つのパーティを編成して順次進めていくことになる。FCで発売されたナイトガンダムシリーズの最後を飾る作品であり、人気の高い円卓の騎士編を扱っていることからSFC版同様ファンは多い。 しかし、バランス面で調整不足な点がいくつかあるため以下列挙していく。

バランス面の不安定さ(戦闘面)

  • 味方になるキャラの極端な能力格差
    • 本作でのキャラクターは魔法が使えるか否か、に大きく分けられる。従って魔法が使えないキャラにとって攻撃力が最も重要な要素となる。魔法が使えない且つ攻撃力の低いキャラは戦闘では役に立たない。
    • 攻撃力が低くても二回攻撃が出来る麗騎士、素早さが高いプラスと剣士Jr.はまだ救いがある。問題はF90*1と白銀卿で、彼らは 全ての能力値が低い 。どちらも先代円卓の騎士(F90は先々代)にも関わらずパーティ最弱キャラという悲劇的な扱いを受けている。わかりやすく言うと ドラクエIVのトルネコ 。なお、トルネコの場合は博打性の高い強力な特殊行動があるユニークな存在だったが、彼らは特に変わった能力などはなかった。
      • 一応、この二人は「騎士団加入前に氷漬けにされていた(F90)。」、「記憶喪失となっており戦いとは無縁の生活を送っていた(白銀卿)。」と言う設定があるために戦いに関してブランクがあり、先代だったために能力面で衰退が始まっていると考えられなくもないが…
    • 一方で、F91やヘヴィガンダム等は非常に強いので円卓の騎士団内の極端な格差社会が想像される。
  • 高エンカウントと強力なザコ敵
    • 当ゲームでの一番のストレスは何と言ってもエンカウントの高さとザコ敵の強さ。特にダンジョン内ではイラッと来るほどわんさか出てくる。また新しい地方やダンジョンに行く度に強力なザコキャラが登場することが多く、油断するとすぐに殺されてしまうので回復アイテムは常に必須。ゼダンの要塞、ザビロニア地方への大洞窟、ロンデニオン地方には特に強いザコ敵が出る。
    • 本作には素早さの高いキャラは低い相手に対して「れんぞくこうげき」できるというシステムがある。また敵味方ともにクリティカルが非常にでやすいので、素早さの低いキャラはれんぞくこうげき→クリティカルという凶悪なコンボで沈むことも珍しくない。
    • 常に死と隣り合わせのゲームバランスである一方、仲間を生き返らせるアイテムは金貨4000枚と法外に高い。街中では医者に治療してもらうことも可能だが、ルーラ、キメラのつばさ、気球のような長距離の移動を快適にする手段が無いので街に戻るのが非常に面倒。また魔法を使えるキャラがザオリク系の呪文を覚えることが可能だが、それは冒険終盤まで待たねばならない。
  • 恐怖の「バックアタック」システム
    • 本作の戦闘面で最も凶悪なシステム。
    • 戦闘の際に敵に奇襲を仕掛けられると仲間が「こんらん」状態になる上に隊列が逆になってしまう。耐久力の高さ順に隊列を組むのがRPGの基本であるが、このゲームでは 魔法使いキャラを最後尾に安心して置けない
    • 混乱状態に陥ったキャラは当然味方を攻撃する。上述の通りクリティカルも出やすいので、混乱した仲間(特にヘヴィガンダム)は強力なザコ敵以上に危険な存在となる。仲間の少ない冒険序盤では「 敵に奇襲されてから全滅余裕でした 」なんてシャレにならないことも。
    • パーティリーダーが死亡したり混乱したりすると強制オートバトルにチェンジする。
    • あるイベントで入手できるアイテム「めいばのたてがみ」か「チキンホイッスル」を使って、馬やチャッピー(チキンゾック)に乗れば、不意打ちやバックアタックを受けなくなる。ただしその間は森に入れなくなり、またダンジョン内での使用はできないものの、ある程度は回避できるようになる。
    • なお、このバックアタックシステムは頻発する。逆にこちらから敵に奇襲を仕掛けることもよくある。騎士道精神は…?などという甘い考えはザビロニアの猛者どもには通用しないので心して臨もう!
  • MPがゼロになると「きぜつ」
    • HPがゼロになるのはもちろんだが、本作ではMP(メンタルポイント)がゼロになっても戦闘不能となる。ただしこれはぶどう酒などのMP回復アイテムで治療することができる。
    • 従って、戦闘ではHPだけでなくMPにも気を配らなくてはならない。MPにダメージを与える+混乱状態に陥らせるマインド系という呪文が当ゲームには存在するほど。
    • MPを消費してクリティカル攻撃を出す「きあい」という攻撃方法があるが、残りMPが「きあい」によるMP消費量と丁度同じ時にこれを使用すると 残りMP全てを使用して勝手に気絶状態 となる。だったら使わせるな!
    • 物語序盤にはメガマインド(全員にマインドの効果)を多用してくるダーティギャンというボスがいる。マインドで気絶&混乱を誘い、なおかつタフなので凶悪な初見殺しとなっている。彼との戦闘にはぶどう酒を大量に持っていかないとまず勝てない。
  • 以上、本作では油断していると仲間がすぐに死ぬ。終盤は6人での大パーティになるため全滅の危険性は少ないが、序盤と中盤のパーティ分割直後は仲間が少ないため全滅することもしばしば。なお、戦闘不能になった仲間は街にいる医者の 注射一発で治る 。MS族なのに?

問題点(パーティ分割)

  • 冒険中盤からパーティをニ分割して進めていくという独特なシステム
    • パーティ分割及び切り替えの際には 強制セーブされる 。セーブファイルは1つしか無いのでやり直しはきかない。また任意でのパーティチェンジは不可。
    • ボスを倒しダンジョン踏破後にパーティ切り替えで強制セーブ → もう一方のパーティで進める → 元のパーティに戻ると敵城スタートで、町などに戻ってアイテム等の準備をすることもできずハマリ状態  ということもありうる。
    • 一つのパーティで最大6人の仕様のため、13人目の円卓の騎士である闇騎士は仲間に入れることは出来ない。仲間に入れば一番強いだろうが…(SFC版では最後の最後で仲間になる)。
    • やり直しがきかないので、仲間キャラの戦力を考えず安易にパーティ分割をすると泣きを見ることとなる。
  • 難攻不落の要塞「ゼダンの要塞」の存在
    • 原作のカードダス的にも、本作としても中盤の山場となるダンジョン。この時点ではまだ仲間は合計7人しかいないので3-4でわけるしかないのだが、上記の通り最弱キャラであるF90が「 わたしは こうみえても れきせんのゆうし わたしのほうは ふたりつけて いただくだけで けっこうです 」(原文ママ)と宣う。ツッコんだら負けである。
    • ちなみにわけるように助言した軍師はのちに,「主人公のパーティ」に合流する。向こうに合流してあげろよ…この時点で3―5
    • 元々この要塞は敵キャラが強く苦戦は必至なのだが、 原作と同じようなパーティ分割をすると元々厳しいF90側の難易度をさらに激烈に上げる ことになる。ニコニコ動画にその偉業を成し遂げた勇者がいるので興味ある方はご視聴を。
    • もっともここまで進んだプレイヤーならば…常に「ぶどう酒」を大量に持って引き際も大体分かるので時間がかかることをのぞけば何とかなる。
    • 敵の罠を逆に利用すると時間が短縮できると助言しよう。

問題点(その他)

  • 「めいせい」というパラメータがある。説明書には名声値の効果が「仲間が集まってきたり、士気が高まってくる」と書かれているが、実際には名声値が関わるイベントはごく一部で、基本的にほとんど活かされていない。
    • 名声値はザコ戦に勝つと1アップし、ボス戦に勝利すると100単位で上がる。逆に退却・全滅したり、味方が重体状態になったりすると下がる。名声値が変化するアイテムも存在する。 
    • クリアすると名声値が100上がる「ミニイベント」というものも複数存在する(名声が上がる以外のメリットは無い)。
    • 実際に名声値が関係するイベントと言えば、「マークIIと初めて会う時名声が500未満だと、加入が遅くなる」のみ。
    • このマークII加入のための条件はノーヒントのため、高エンカウントに悩まされ戦闘を逃げまくっていると彼を仲間にするのは非常に難しくなる。またマークIIがいない場合上述の強ボス・ダーティギャンは本作最強クラスのボスと化す。
    • 名声が高いと、医者と宿屋と鍛冶屋が代金を割引してくれると言われているが、実際どれだけ安くなっているのかは不明。一方、ゲームシステム上頻繁に利用することになる道具屋はまったく変化しない。
  • 本作では武器防具はキャラごとに固定されており、アイテムとしては存在していない。交換するのではなく、鍛冶屋で鍛えることになっている。レベルは+1~+9までの9段階。ただし仲間になった時点である程度鍛えられているキャラが大半。
    • 鍛冶屋で鍛えてもらうにも「ガンダリウム」というアイテムが必要なのだが、非売品なのでダンジョンなどで一定数しか入手できない(終盤取り放題になるが)のでお金はあるのに武具を鍛えられないというジレンマが発生する。また一部の鍛冶屋を除いて+7までしか鍛えられない。
    • 弱いキャラでも鍛えればそれなりに強くなるのだが、鍛えられる数が決まっている以上どうしても限界がある。またパーティ分割時は各キャラの所持品に気を配らないと、片方だけにガンダリウム所持数が偏りかねない。
    • 余談だが、ドラクエの「力の種」の様な能力アップアイテムや、アクセサリーの類も無い為、キャラの欠点を補うことはできない。魔法やブレス攻撃に対する耐性はキャラごとに決まっており、永遠に不変。特に素早さの数値は固定されていて、レベルアップしても成長しない。キャラ格差を生み出す原因になっている。
  • シリーズ恒例のカードダスは完全に本編と分離されたミニゲームになった。カードを集めたり閲覧したりすることはできない。
  • 本屋では金を払うとヒントを教えてくれる…と言いつつ、大体は「人の話は聞いて、行ける所に行ってみる事」という当たり前のメッセージや応援メッセージしか出ない。
  • 魔法が6種までしか持てなく、勝手が悪い。本作では魔法はLvUPによって「覚える」のではなくお店で「買う」。またドラクエで言うルーラにあたる移動系の呪文がないので不便。ただしリレミトならある。
  • 冒険も後半に入ると仲間の充実や敵の素早さを低下させる魔法、ガンダリウム鉱山の出現によりある程度は楽になる。しかし相変わらずのザコ敵の強さとエンカウント、バックアタック等によりプレイヤーは死の恐怖と闘い続けなければならない(全滅はさすがにしないだろうが)。一方、6対1で戦うこともあってか一部を除きボスはそれほど強くないものが多く、ラスボスに至ってはHPの高さだけがとりえ(SFC版では強烈な全体攻撃を放ってくる)でそれまでのザコ敵を思えば楽勝である。さらにラスボスの全体攻撃を封じる魔法まであったりするので、中盤の苦労は何だったんだ?と拍子抜けしたプレイヤーも多いだろう。

評価点

  • 移動速度や大きいキャラグラフィック等、前作の良かったところをそのまま受け継いでいる。またBGMもちゃんと作られており、前作にあったような短いループ曲は無い。
  • 前作に続き個別に必殺技のグラフィックが描かれている。演出は非常に格好いい。
  • ゲーム再開時やエンディングで、ゲームプレイに応じた内容の歴史年表を表示してくれる。
  • 当時のFCゲームにしてはエンディングは丁寧に作られている。
  • 仲間パーティには加わらないものの、クリスやヘビーガンといったサブキャラ達も登場はしている。沢山のキャラが仲間になるSFC版ですら無視された人間戦士軍団(ハヤト、リュウ、アポリー、ロベルト)もいる。
  • 戦士マラサイやクラウンミラージュ等、SFC版には登場しない敵キャラが数多く登場している。
  • 名声値自体はともかく、ミニイベントはそれ自体楽しめる要素といえる。キャラカーン入手やシロッコの名セリフを言う「パプティ人形」など、ガンダムファンのツボを突いたイベント多数。
  • 前作で存在したキャンプシステムは今回も健在。前作と違い、HPだけでなくMPも全回復するようになり、キャンプ中に敵の襲撃を受ける事は無くなった。ただし今回はアイテム「キャンプようぐ」が無いと実行できない。移動中にHP、MPを全回復させる事ができるのはこのゲームでは特にありがたい。

総評

名声値にあまり意味が無いとは言え、プレイの妨げになるような障害を引き起こすというわけでもない。やはり問題点はゲームバランスの悪さ(バランスが悪いのはSFCの大いなる遺産編や円卓の騎士編にも共通している)とパーティ分割&強制セーブに集約されるだろう。原作を意識し(総勢13名の円卓の騎士のため)独自のシステムを導入しようと試みたものの作り込みが甘かったという印象を受ける。しかしそれ以外の部分はストーリーを中心にキチンとまとまっており、キャラゲーとして十分に合格点。余談だが前二作に続き本作も携帯アプリとしてリメイクされている。魔法が増えるなど微妙に仕様が変更されているが、高エンカウントやバックアタックはそのままなので開発スタッフ陣のドSぶりがよくわかる。FC版からさらに次章の『聖機兵伝説』につながる追加エピソードも入っているので、興味ある方はプレイされたし。

※2010年10月、正式な続編RPG『聖機兵と機甲神』が携帯アプリとして少しずつ配信されはじめた。システム面はFC3の正当な続編とも言うべき内容となっており、エンカウント率が相変わらず高いところにスタッフの変わらぬ愛を感じる。しかし残念ながらアプリソフトなので全ての内容が配信されるのはまだまだ先の話となるだろう。