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Remember11 -the age of infinity- - (2015/09/27 (日) 02:05:56) の編集履歴(バックアップ)


Remember11 -the age of infinity-

【りめんばーいれぶん じ・えいじ・おぶ・いんふぃにてぃ】

ジャンル サスペンスアドベンチャー
対応機種 プレイステーション2
発売・開発元 KID
発売日 2004年3月18日
価格 限定版:9,240円、通常版:7,140円(全て税込)
廉価版 SuperLite2000版(サクセス):2005年5月12日/2,100円
恋愛ゲームセレクション版(サイバーフロント):2008年10月23日/2,079円
分類 賛否両論
ポイント シナリオが尻切れトンボ
infinityシリーズリンク


概要

ゲームならではのトリックを駆使した傑作との評価を得た『Ever17 -the out of infinity-』に続く「infinity」シリーズの第3弾。
今作は「サスペンスアドベンチャー」というジャンル名を冠しており、緊張感に満ちたストーリーは勿論「主人公の一人が女性」「攻略対象のヒロインが存在しない」など、一見ギャルゲーチックだった前二作とは一線を画した内容となっている。
前作までの打越鋼太郎に代わり、今作の企画原案は監督の中澤工。打越氏はシナリオライターとして参加している。

評価点

  • 「サスペンスアドベンチャー」というジャンル名どおり、食料も燃料も足りないサバイバルが繰り広げられる雪山編と、閉鎖環境で正体不明の殺人者が内部にいるスフィア編の双方で、開始から結末に至るまで緊張感のある展開が繰り広げられ、更に雪山編とスフィア編の主人公同士で起こる人格交換現象というSF的謎がストーリーを面白くしている。
    • 前作である『Ever17』が、序盤から中盤の緊張感が無いと指摘されたのを改善している。
  • 最初に雪山編をクリアしてからスフィア編が始まるが、双方のストーリーのフラグが密接に関係しており、ハッピーエンドを見るために試行錯誤するのが楽しい。
    • スタッフインタビューによると、企画の原点は「ギャルゲー版の『』(チュンソフト)」だとか。複数の主人公の選択肢が相互に影響しあうシステムは確かによく似ている。
    • ただ、「雪山編をクリアしてから=雪山編でのバッドエンドのフラグは全て降ろされた」状態でスフィア編が始まるため、ハッピーエンドを見るための試行錯誤に「双方のシナリオを行き来する」必要は皆無。そのためゲーム性は若干異なっている。

問題点

  • 全ての謎が解き明かされ、ハッピーエンドになったかと思いきや、エピローグの最後であるキャラクターが主人公に対して発した問いかけによって、物語の根源に関わるとんでもない謎がまだ残っていたことが判明。しかし、その直後に画面は暗転して物語は終わってしまう。見事なまでの投げっぱなしエンドである。
    • その問いの答え自体はルート達成率とともに開示される追加情報である程度の答えは出るが、そこを知ると更に出る疑問の「何故?」に関してはコンプリートするまでプレイしても結局明示されない。
    • その為、「不完全版だ」という批判が多数出た。シリーズ第1作『infinity』が後に完全版として『Never7』を出したように、完全版での明確な回答を期待する声も多かった。
    • 加えて、追加情報を得る為のコンプリート自体もかなり大変。
      • 見当違いの分岐を総当りにするプレイヤーも多かった。
  • バッドエンドルートも含めると、語られていない謎を補完する情報は多数配置されており、それらを元にストーリーの全体像の考察を試みるサイトもいくつか公開された。
    • そこでは「プレイヤーに考察をさせるために、情報だけを提示して本編ではあえて語らなかったのではないか」との説も本作の肯定派からは有力視されていた。
    • しかし、2009年に移植されたPSP限定版付録冊子で原案・監督の中澤工が、「全ての情報を提示していない」「最初はやむを得ず真相を隠していました」と未完成版であることを認めてしまったため、上記の考察サイトの考察はオフィシャルの設定とは食い違っていることが判明した。ただし、PSP版でも明確な謎の回答は語られることはなく、冊子内の年表で新たな手がかりが提示されただけである。
  • 中澤監督は結局本作の全貌を明かす事は無く「あなたにとって最も妥当性のある真相があなたにとっての真相です」と結論付け、年表は真相への手引きにしてほしいと語った。要するに「ご想像にお任せします」と言う事である。
    • そうした理由は、既に多数のプレイヤーによって数々の考察が成されている今、それらの興を削がない為であるというが、全てのプレイヤーがそれで納得できるかと言うと…。
      • 各種考察においても何かしら疑問が残ってしまうので「今更辻褄あわせが出来ないのではないか?」という疑惑まで出てしまった。
    • 尤も、中澤工が後に手掛けた『I/O』のように、氏の作風にはそう言ったスタンスが少なくない。とは言え、あちらはストーリーがきちんと完結している。
    • …だが、ここで述べている監督のコメントは本編との矛盾が散見されるため余計に情報の混乱を招いている。
+ 実は…
  • 本作の物語は「最大の敵はプレイヤーである」と言う解釈も可能な構成となっており、登場人物の一人が敵(プレイヤー)に対して復讐を目論んだ事がそもそもの発端となっていると思しき描写がある。
    • その解釈を前提にすれば、本作自体がその人物がプレイヤーに対して仕掛けた罠であり、プレイヤーが『Remember11』と言う出口の見えない迷宮に閉じ込められる事によってその復讐が成就されると言うメタフィクションとも取れる。
    • その為、このような構図は初めから折り込み済みであったのではないか?という考察も存在する。
  • しかし仮にこれが答えだとしても、大半のプレイヤーから見れば説明不足の尻切れトンボに過ぎず、上記の評価を下す結果となった。
    • そもそも、インタビューでの監督の発言から『始めからそのように意図されたものである』という線は否定されてしまっている。正しいとしても『結果的にそうなった』にすぎない。
  • オチ以外にも結局なんだったのかわからない部分が多く、それらも全体を見渡せばある程度の答えは出る一方、当然のように答えが出ないものも少なくない。
    • 考察者からも「そこはもう考えない方がいい」「忘れろ」で結論付けられている部分もある。

総評

前作『Ever17』が中だるみする事の多いシナリオだった事もあり、本作の結末に至るまでのストーリー自体はおおむね肯定的な評価で一致している。
しかし結末に謎を残すやり方に批判は多く、考察から導き出される色々な考察結果も賛否両論となっている。
前作が「終わりよければ全て良し」と言われているのに対し、本作は完全に物語の閉じ方に失敗しており、その点でもってクソゲー評価を下す人も多い。
本作を人に勧める機会があっても「オチに期待しなければ、それ以外は面白い」と、素直に良作として薦めることが出来なくなっている。


余談

  • 中澤監督自身もこういった評価を受け、本作の構成を大きな反省点として受け止めている模様。
    • その影響か、氏が後に脚本や原案を務めた『I/O』や『ROOT√DOUBLE』などでは露骨な投げっぱなしのオチは見られなくなった。特に『ROOT√DOUBLE』はほぼ全ての謎をしっかりと明かして大団円を迎えると言う、本作とは正反対の構成となっている。
  • なおPS2版発売時、ブラウザ上でプレイ可能なweb体験版が公開されていた。

移植

※価格は全て税込み。

  • Windows版『Infinity plus』(サイバーフロント/2008年4月4日)
    • 2000/XP/Vista対応。『Never7』『Ever17』『12Riven』と本作の4本セットで発売、15,540円。
    • PS2版同様、こちらも「恋愛ゲームセレクション版」が出ている。2008年9月19日発売、本作単品で2,625円。これは2011年9月29日にGame Linerから1,575円でDL販売もされている。
  • プレイステーション・ポータブル版(サイバーフロント/2009年4月16日)
    • 限定版7,140円、通常版5,040円で発売。
    • PSP版『Never7』『Ever17』のセーブデータを読み込むと、そのゲーム内での出来事が本ゲームの年表上に表示される。