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ティアリングサーガシリーズ ベルウィックサーガ - (2023/07/30 (日) 13:56:01) の編集履歴(バックアップ)


ティアリングサーガシリーズ ベルウィックサーガ

【てぃありんぐさーがしりーず べるうぃっくさーが】

ジャンル シミュレーションRPG
対応機種 プレイステーション2
発売元 エンターブレイン
開発元 ティルナノーグ
発売日 2005年5月26日
定価 7,140円
判定 賛否両論
ゲームバランスが不安定
ポイント 地味なグラフィックと打ち切り同然のストーリー
前作などの通常のSRPGに慣れている人ほど手こずる高難易度
ティアリングサーガシリーズ
ユトナ英雄戦記 / ベルウィックサーガ


概要

ティアリングサーガ ユトナ英雄戦記』の続編。前作との関連性は作中で僅かに匂わせる程度で、世界の繋がりは全くといっていいほど無い。

前作はFEシリーズなどの通常のシミュレーションRPGに近いゲームシステムだったが、今作は従来の基本的なシステムに加えて様々な独自のシステムを搭載している。
複雑だがアイデアをただ詰め込んでいるのではなく、同時ターン性、ヘックスで管理されたマップなど、よりシミュレーションRPGとしてのやりごたえを追求したかのような特徴的なシステムが存在する。

変更点

  • 戦術MAPをそれまでのマス製からヘックス製に変更。
  • 従来「射程1」としていた近接攻撃について、射程が更に細分化された。
    • 隣接しての近接攻撃は「0射程」、隣接した状態での投射攻撃を「1射程」として個別に扱うようになった。従来の間接or遠距離攻撃は「2射程(以上)」となる。
      • 隣接はしていても、1射程武器に対しての0射程武器の反撃は通常より条件が厳しい。逆に0射程未対応の武器は0射程の攻撃に対して反撃できない。
    • 地形効果も待機しているヘックスではなくて戦闘場所に変更。
      • 0射程武器で攻め込むと反撃時は相手側の地形効果で計算する。細かいことだが命中率を変動させやすいので戦術の幅が広がっている。
  • 命中率に関わるパラメータ『技』を『技能』という武器ごとの熟練度に変更。兵種ではなくキャラクターによってそれぞれ成長率が設定されており、成長しやすい武器や成長しにくい武器が細かく設定されている。
  • 攻撃を喰らうと反撃射程内でも反撃できない(『反撃』スキル持ちなどは除く)。
  • 経験値を入手できる機会が『戦闘で相手を倒す』『回復魔法を使う』『相手を捕縛』『民家を探索する』になり、前作のように敵を攻撃することでは稼ぐ事ができなくなった。
  • 装備の幅が広がり、種類毎の差別化も図られている。
    流石に全て同程度の使い勝手とは言えないが、他SRPGでありがちな特筆する程の格差や無個性化は無い。
    • 盾が武器と同様の扱いとなり、技能や精度(発動率)も追加。武器と同時に装備可能。
      • 剣士などの軽装ユニットは装備できないため、実質、回避率の稼げない重装備系ユニットの攻撃回避手段として機能している。
    • 弓(石弓・バリスタ含む)と矢は別々のアイテムとなった。
    • 槍の大半は移動した値に応じて最初の一撃だけ攻撃力が増すようになった。
      • 例えば攻撃力が「12+1H(ヘックス)」の槍は1ヘックス毎に攻撃力が1上乗せされる。5ヘックス移動すると12+6(5H分と相手のヘックスに攻め込むので+1)で攻撃力が18になる。ちなみに、槍によって追加攻撃力は違う。文字にするとややこしいが、実際にプレイすればどういうことかすぐ分かるだろう。
      • 細かい事だが、0H射程への反撃は攻撃力が増えないが、1射程攻撃への反撃は切り込むので1H分攻撃力が増す。
    • 敵専用武器は強力だが、同様に自軍専用の武器で強力なものも多い。
  • 敵味方共に「潜む」スキル持ちが建造物や森で待機した場合、対策なしでは視認不可。
    • 「隣接する」「「索敵」スキル持ちが周囲にいる」「対象者が攻撃を行う」のいずれかで視認できるようになる。
    • 敵AIも、潜んでいるプレイヤーユニットを認識できず、目に見えるユニットや増援とは別の形で敵が存在したり動く。自軍も同様に変則的に用兵できる。
    • ちなみに潜んでいるユニットにぶつかると強制的に戦闘になる(ただし潜んでいる側が先行攻撃)。
  • 地上のユニットは空を飛んでいるユニットには0射程攻撃が不可能になり(0射程攻撃への反撃は可能)、前作にあった弓による特攻も削除。地上ユニットでは捕縛も不可。
    • 但し、そのままだと強力すぎるユニットなので弱点をつけたりAIや登場する状況、自軍に加入するユニットは基礎能力が低めと、何かと配慮がされておりバランス破壊にはなっていない。
  • 傭兵システム*1の搭載とクラスチェンジ(以後、CCと呼称)条件の大幅な変更(キャラ毎に条件が異なる上に特殊な条件が必要なキャラもいる。詳細は後述)。バランス調整の結果だと思われるが、一部にCCや入団条件が厳しめのキャラ*2が存在する。

評価点

  • 「ヒットすると盾を破壊する」「ヒットすると馬を殺す」「アーマー系の防御を無視して攻撃」「盾を無効化して攻撃」などのユニークな効果を持つ武器が多い。また、従来のゲームでは索敵マップでは敵側は無条件にこちらを視認可能だったが、今作では敵側も索敵しないとこちらの存在を把握不可と公平になっている。そういった特殊なアイテムやシステムを上手に使えば攻略が楽しくなる点は高評価である。
    • ランスという武器に関しては癖が強い*3ので評価が難しい。
  • キャラの成長でランダム要素を抑えたことにより、育成重視のSRPGと違ってインフレ無双ゲーになることを避けつつもステータスも重要と、良バランスに仕上がっている。総じて成長の度合いが低いため、FEなどでは序盤でお役御免となっていたような低成長率の老騎士キャラ(いわゆるジェイガン枠)であるウォードも、序盤から最終章まで運用することが可能。序盤は削り役や、護衛のスキルでイベントキャラを守るなどして活躍できる。技能レベルやステータスが最初から高めなため、持たせる武器などによっては後半も充分戦える。(さすがに育てたユニットほど強くはないが)
  • 前作では2軍落ちのキャラが多く出てきたりそんなキャラを出しても足手まといになっていたということもあるが、本作の難易度調整から*4あまり使っていないがある程度育成したキャラor初期値が高めのキャラも終盤でも十分活躍できる*5。適材適所で出撃キャラを選ぶと攻略が楽になるが、1軍だけを使うプレイも問題無いので編成の幅が広い。マップに合わせたキャラ、スキルを活用することで様々な攻略が可能。
  • 音楽の評価が高い。場面にあわせた音楽にもなっており全体的に質が非常に高い。使い方もしっかりしている。今作で最も普遍的に評価されている要素の一つと言える。
  • MAP上でのイベントが秀逸。たとえば家が賊に破壊されるときに「一体どうやって家が破壊されるのか」という過程がしっかり書かれている。どれも悲惨な展開で、だからこそ早く助けてあげたいという意欲を与えてくれる。
  • 後述するようにメインストーリーの評価は芳しくないが、サブストーリーにあたる出撃依頼や住民依頼は感動できるものから設定を補完するものなど多種多様で、挑戦する価値がある。
  • 後述するように、難易度は高く、一見すると理不尽の塊に見えるかもしれないが、実際どの状況でもいくつもの解法が用意されており、以下のように高難度を求めるプレイヤーから好評を博している点もある。
    • 地雷:回避系ユニットによる地雷はランダム武器破壊と被命中0%に近づけるのが難しく、防御系ユニットも今作の反撃の仕様(一部スキルを除いて回避or完全に防げないと反撃できない)や軽症でそれぞれ待ち伏せ戦法のリスクが高くなっている上に盾発動率100%や被命中0%等でノーダメージ確定の場合は敵が攻撃してこない*6
    • 肉壁:スキル強健を持たないユニットは軽傷・戦闘不能になる可能性があり、また前述の通り盾を持っているユニットでも盾に発動率とランダム破壊がある。
    • 速攻:今作ではワープ系の道具は無く、同時ターン制・武器のランダム破壊により一騎駆けは敵に囲まれて倒されるリスクが付きまとう。ただし、丁寧な操作が必要なものの同時ターン制で行動順調整や他ユニットでのフォロー、一斉に襲ってくる敵が少ない、「潜む」スキルなどもあるので大胆な用兵もしやすくなっている。
    • 魔道士系ユニット:前述の通り、前作以上の打たれ弱さで回避率も低めなのに前作以上に接近する必要がある。ただ、魔法は威力も命中率も高め(魔法回避率も射程0~1なら地形効果無視)で盾などで硬い敵が多いのでこれまた前作以上に有用であり、打たれ弱いが高火力とむしろバランスが取れている。
    • 壁:ヘックス制なのでマス制と比べて進行を止めづらい上に集中攻撃を受けやすい。今作にも大軍をせき止めてからゆっくり倒していくのが有効な場合はあるが、前作と比べて条件が厳しかったり有効ではない場合が多い。

賛否両論点

  • 全体的な難易度の高さ。本作の最大の特徴と言える同時ターン制が、通常のシミュレーションRPGとはまるで違うシステムで、敵との戦力差で行動順が変わるため、常に先を見越しながら考えてユニットを動かす必要がある。そのため、既存のシミュレーションRPGの攻略法が通用しにくかったり、序盤の低めに感じる命中率などがハードルの高さに繋がっている。本作独自の面白さは確かにあるのだが、それを見出す前に、地味で難易度の高いゲームと判断して諦めてしまうユーザーも少なくない。
    • 一方で、むしろSRPGの初心者には、先入観がないなどの理由から慣れやすいという意見もある。飽くまでシステムの話で、適当に動かすとすぐにキャラが死んでしまうため、難易度的には向いていないが。
  • キャラそれぞれには様々な個人スキルが用意されており、成長に制限をかけたおかげでキャラの個性はより一層出ている。それゆえに、キャラクターそれぞれに見合った用兵が重要となる。
    • キャラクターの個性が唯一無二である為、プレイヤーお気に入りのキャラを育てる楽しみ方ができない反面、近年のゲームにありがちな「カスタマイズによるキャラの無個性化」もおこりえない。デリックというある意味意図的に弱くしていると思われる*7キャラ以外はなんらかの形で特化した使い道があり、きちんと用途に合わせて使えばその実力を発揮してくれる。
  • しかし、仲間にした時点ではそういった傾向もわからないため、攻略情報なしでそれに気づくのは非常に厳しいのも事実。また、後述するように基本的に成長率が非常に低いため、前作やファイアーエムブレムシリーズでよく取りざたされた「〇ピン」のような、成長で一喜一憂する楽しみも薄くなっている。
  • クリアしても、評価が表示されるだけで特典・引継ぎの類は一切なく、評価をMAXにしても特典などは一切なし。
    • 本作での評価MAXはただプレイするのに比べて回りくどい行動も必要になる上に、そのプレイングが攻略に有利に働く要素や場面はほとんどない。つまり評価MAX狙いはただのやりこみプレイであると言える。
  • ターン、育成制限
    • 本作は、特に任務と呼ばれるメインストーリーのマップでターン制限のあるマップが多い。高評価や捕縛を目指さなければ割と余裕はあるが、リスクを恐れる余りゆっくり進軍し過ぎると間に合わない場合もあるほか、技能レベルを上げる際の障害になりがち。
    • サブクエストなど、ターン制限のないマップもあるので、そこで上げれば問題がないと言うプレイヤーもいるが、ターン制限のないマップでも24ターン以降は技能の上がりが悪くなる上に武器防具を無駄に消費する(=資金繰りが大変になる)ので初見プレイヤーだと逆に辛くなりやすい。
    • 本作は本拠地が固定されており、武器屋などのアイテムはストーリーを進めていくことで増えていく。しかしながら、一部以外のアイテムは入荷数が決まっており、強力な武器などは1個しか入荷されない事もある。
    • さらに、前作と異なり無限に稼ぐことのできるマップや何度もプレイ可能なマップはなく、更に前述した通り敵を倒した時しか経験値が入らない仕様なので経験値も有限である。これらの点は、考える余地が生まれるという理由から称賛するプレイヤーも、育成が窮屈に感じると思うプレイヤーもおり、賛否が分かれている。
      • ちなみに武器防具は、敵を捕縛することで通常プレイ以上に入手も可能。ただし狙ってやるには根気の作業になるが。

問題点

複雑かつ難解なシステム

  • 本作は比較的命中率と回避率のどちらも低めに設定されており敵も味方も攻撃の命中率が4~7割程度で不安定ということが往々にしてある。命中率以外にも、何かと確率がからむ場面が多いため、パッと見は運ゲーの印象が強い。
    • 幾重にも事前準備して確率を上げるのが醍醐味*8である。
    • 幸いにして本作は5ターンごとにMAP上でのセーブが可能。しかしながら、このせいでセーブ後に色々と欲張りすぎて吟味しようとしてしまう罠もある。
    • よく非常に難しいと言われているが、実際は幅広く解法があるだけに難しいことは確かだがよほど無茶なことをしなければ大抵の局面でどうにかなる程度(最悪でも前章終了~章開始時のセーブがあれば詰むことは少ない)の難易度である。ただし、前作のように強キャラを突撃させたり連続回避に頼って攻略できるようなゲームではないため、そういうプレイスタイルに慣れたプレイヤーにとっては高難易度と言えるだろう。
  • 以下に運が関わる要素を詳述。通常にプレイする分には概ね問題にならないが、捕縛のやり込みなど、こだわると延々と確率との勝負となる。
  • 軽傷と戦闘不能。攻撃命中時に軽傷(装備外しに加えて被命中率+10%、後述の戦闘不能になる確率が大幅アップ)や戦闘不能(捕縛されるようになり、攻撃と反撃不可で防御値も0で攻撃が100%命中するようになる。移動も1~移動距離までのランダム化、索敵マップの視界も1へクスに変更)になることがある。
  • 軽傷は例え1でもダメージを受けたらなる可能性がある。実際のゲーム中では、前線で戦っているユニットがいきなり敵の前で装備を解除され、敵の攻撃が当たりやすくなり、非常に危険な戦闘不能になりやすい状態に陥る。「強健」スキルを持つ限られたユニット以外は、この判定がダメージを受ける度に行われることになる。
  • つまり、敵味方双方ともにピンチになりやすくなったと取れる。ただし、軽傷はそうでもないが、戦闘不能を回復する手段は少ない。さらに敵はユニットの生存など気にせず使い捨て感覚で突撃できるので、プレイヤーと同列に扱うことはできない*9
    • これとは別に斧や一部の武器が命中すると低確率で装備が外れる場合がある。
  • 武器の破損。今作の武器は回数を使いきると自動で壊れる前作と違い、使っているとランダムで壊れる*10というシステムをとっている。
    • その確率は1%~4%と一見低いのだが、何しろ試行回数が多いので壊れて欲しくない場面で壊れる事はままある*11。一部以外の武器は壊れるとロストする。修理もできなくなるので注意が必要。
  • 命中率。序盤では初期の命中率が60前後しかなく、その信用できない数値を戦術に組み込まなくてはならない(それもターン制限のあるMAPで)。
    • 連携、指揮、狙撃などのスキルを使えば序章でも80~100%の命中率は出せる…が理解が浅いうちは気づかない場合がある*12
    • 序盤で命中100を叩きだせるのは一部のキャラだけ*13。おまけに非戦闘要員はもちろん魔道士系ユニットも攻撃が2回命中すると大抵死ぬ*14。盾を持てる騎兵は固いが歩兵系戦士でも基本的に防御力が低いため、盗賊系ユニット以外から3~4発喰らうと危ないので丁寧な運用が必要。
  • 捕縛。上述の戦闘不能の敵には捕縛が可能になる。軽傷からなら戦闘不能になりやすい。捕縛をすると、そのユニットを倒して得られる経験値と所持品がすべて手に入るうえ、一部のユニットは捕虜交換により身代金が得られるため非常にメリットが大きい。
    • この戦闘不能というのがネックで、軽傷状態から残りHPを1にしても戦闘不能にならない事もしばしば。基本的には確実に戦闘不能にすることはできないので、賞金首を捕まえるためには幾度もリセットとロードを繰り返す必要がある。せめて「軽傷状態である程度までHPを減らしたら100%戦闘不能になるくらいならば…」という意見も見受けられる。有志の検証の結果、 敵側が戦闘不能になる確率は、攻略本に表記されている確率の半分 とのこと。普通は逆なのでは…。
    • また、クリアする『だけ』なら捕縛をする必要もないが、良いアイテムを持っている敵がいたり賞金首の場合はただ倒した場合と比べて報奨金が二倍になるため、捕縛意欲を誘惑してくれる憎い仕様である。仕様自体は面白いが、運任せである点が不評を買っている。
    • 捕縛が必須という場面は(評価MAXプレイを狙わないなら)存在しないため「運がいいと捕縛して良いものorお金が手に入りますよ」くらいに考えておくのが無難*15
    • しかし前述の難易度から余裕のない人には必要な物に見える場合があり、その場合は捕縛自体がリセット前提でなければ難しい上に行動の幅が狭まるためにドツボに嵌ってしまう。
  • レベルアップによる能力の成長。確率による伸びやすさがあるとは言え基本的に運任せだった前作と比べて、本作では能力の伸びにレベルごと・キャラごとに最低保障と最高値がある*16。つまり必ず一定の数値までは成長するようになっている。良成長に制限がかけられているとも取れるが運要素はむしろ低減されている。
    • 本作でレベルアップ時にランダムでステータスが伸びる確率はほとんどが10%~25%前後、最大でも40%と全体的に低めで、ほぼ全キャラがティアリングサーガでいうアーキスやマルジュのような成長率である*17。成長補正の強いキャラは気にはならないが、成長補正が弱いキャラはレベルが上がってもそこまで強くならない可能性がある*18ので、固定成長の方が良かったという意見もある。
    • こういった事情のため、強ユニットを作りづらく、少数精鋭で難所を切り開くパワープレイが難しい*19前作と同じ感覚でプレイすると間違いなく死が見える
    • また、約二名成長に制限がかかっておらず青天井でどこまでも強くなる人達がいるがこちらも何かと調整されており、バランスブレーカーにはなりづらい。具体的にいうと、成長する確率は据え置きで片方の参戦はそれなりに早い上に強力なユニットの代わりに移動に少し難があるのと攻撃力の高さが祟って成長させづらく*20、もう片方にいたっては最終章でようやく参戦する*21
  • 致命。今までの必殺から代わった要素で発動時は通常のダメージに加えて10~20のダメージを上乗せする。致命回避率は設定されてない*22。ダメージ計算が狂うので敵でも味方でも邪魔に感じる時はある。スキルやアイテムによって無効化することは可能。
    • ただし、この要素の批判は少ない。ダメージ計算が狂うだけなら前作の必殺も同様。且つ、無ければ戦闘やバランスが味気ない。必殺と違って非力でも効果があるのも大きい*23
  • 料理屋(一時的な強化)と馬屋のラインナップがランダムで決まる為、目的のものを出すにはリセット必須。
    • こだわるヘビーユーザー以外はその時々のラインナップから選ぶので十分、或いは全く利用しなくてもいいくらいの要素。これらのためにリセットが必須なわけではない。
  • なお、このような運要素はゲームを進めるにつれて軽減されていく。
    • 特に問題となる命中率だが、命中率にはキャラの技能(武器熟練度)と武器の精度(命中率)というパラメータが関わっており、序盤ではこの両方が全体的に低めなのが命中率の低い原因。さらに、命中率の高い武器は基本的に有限である。なお、敵自体は基本的に序盤から終盤まで回避能力は高くない。
      • 技能が極端に低い場合は攻撃を外しても技能が上がる事があるが、ゲーム中では一切説明されない。
      • 中盤になってキャラの技能が上がり、高精度の武器が揃ってくると必中も容易*24
      • 序盤は運ゲーとの批判もよく見かけるが、普通にプレイする分には序盤なだけに高難易度ではないので、運ゲーで難しいというのは的確とは言い難い。*25
      • 物語が進むと命中率やユニットが増えたりして攻略の幅が広がると同時に、一般的なSRPGに比べて強力な敵の武器や配置も増えるので絶妙なバランスになっている。その一方でワンパターンな攻略方法が通用しづらいので初見にとって難しく感じてくる要因にもなっている*26
    • だが、序盤の命中率が低めであることは確かなので、ヘビーユーザーでも「味方の初期技能を今の値から+5~10ぐらい上げた方が良かったかもしれない」という意見もある。
      • 実のところ、序盤は攻撃を外すのもよくあるし、外しても技能上げになるから気にする必要はないのだか、前作や通常のシミュレーションに慣れたプレイヤーがそこに気づくまでマイナスの印象を受けてしまうかもしれない。
  • 全体的に見れば、命中率を始めとした確率だけでなく、マップ自体もよくいえば練られた、悪く言えばいやらしいと言える、難易度の高い配置になっている。
    • 例えば狙撃手なら基本的に高技能でいやらしい場所に潜んでいたり、強力な剣を持った味方が登場する近くに攻撃命中時に剣を破壊することがある武器を持った敵を配置したり、騎馬隊はまとまって動いてきて相手にしづらいなど、いやらしい配置がなされている。
    • そういった配置に対して対抗できるキャラクターも味方側に用意されている。一例として、潜んでいる狙撃手に対しては、「弓回避*27」をもち、防御力も高く強力な盾を持てるエルバートで活路を見出すなどの攻略法がある。
  • クラスチェンジ(以下CC)は基本的には武器や盾の技能を一定まで成長させることで可能なのだが、必要な数値への到達が狙わないと出来ないような者がいる。
    • 厳しいのは兵士系。複数の武器を扱える者はその武器全てを、盾を扱える者は盾の技能も上げなくてならない。とくに敵の攻撃を受けないと上がらない盾が厳しく、武器の数値が全て規定数に達しても盾だけ追い付いてないパターンが多い。武器一本しか扱えないキャラは使い込んでいれば自然にCC出来るため、不平等である。
    • さすがにこれらのキャラは武器一本のキャラと比べて必要数値は低く設定されているが、ノーヒントである上に技能の上昇はランダム。また技能は命中率に大きく影響するため、1つの武器を使い込んでいる方が戦闘効率が良く、条件を知らなければわざわざ使わない武器の数値を上げることもないと判断するだろう。さらにこの条件以外にも裏技のような特殊な条件が必要なキャラもいるため、最後までCCできなかったユニットも少なくなかった。 クラスチェンジ自体がある種のやり込み的な要素と言えるかもしれない。エルバートなどはクラスチェンジをしなくても充分強力なユニットであり、クラスチェンジのために成長率の低い槍技能を必死に上げる必要があるため。
      • ちなみに一章から使えるアデルは敵の攻撃からでも(条件付きだが)先攻出来る「待ち伏せ」のスキルを持っており、盾を使う機会が他のキャラと比べ激減する。しかしCCに必要な盾の技能は他キャラと変わらないため、このスキルを生かした運用をしているとCCが遠のくという罠のような仕様になっている…が、実はアデルの盾の成長率は矢鱈高いので上げようとすればすぐあげられる。むしろ アデルは槍しか使えないのに槍の成長率が異常なまでに低い *28点の方が問題だろう。
      • アデル以外でCCが特に厳しいキャラとして名前が挙がるのは、一章から使えるエルバート*29、三章から加入するアイギナ*30、四章から加入するダウド*31、六章から加入するペルスヴェル*32あたりである。
  • CC後に新しい武器が扱えるようになるキャラが複数いるが、新しい武器の技能レベルは1桁代からスタートになる。技能は命中率に大きく影響するため、せっかく武器が増えたのにまったく使えない状況に。結局は最初から使っていた武器のみを使うことになる。
    • 新しい武器の技能レベルが問題無い程度まであがってくれれば解決することではあるので、せっかくCCでキャラクターの運用の幅が広がるのに、もったいない。
  • 本作ではユニットはHPが0になるとそこでロストとなり、墓地に墓石がたつ。なお、敵に捕縛された場合は身代金と引き換えに帰還が可能。進行になるべく支障が出ないようにと、この墓石の数が一定数ごとに強力なアイテムが入るため、使用しないキャラをわざと殺してアイテムを入手するというテクニックもある。*33
    • 因みに、下記にあるデリックはある事情で墓がたたない。

ゲームテンポの悪さ

  • 同時ターン制なので戦術MAPにおけるプレイヤーの待ち時間自体はほとんどないが、後述するようにMAP戦闘やレベルアップなど要所要所でもっさりしている為ストレスがたまりやすい。
    • 殊更に序盤は、敵味方双方とも空振りを繰り返すので、時間の無駄な気がしてならない印象を受けるのは否定できない。 殴り合いならまだしも、スカり合いの塩試合を見せられてはストレスを感じるのは無理もないと言える。

グラフィック

  • まず真っ先に目に付くのはとてもPS2とは思えない貧相なグラフィック。SFC並と言われてもしょうがない。
    • 最大の問題はソースの解像度が小さいということだろう。濁点と半濁点も違いが分かり辛い。D端子の使用がユーザー間で推奨されているが、オリジナルサイズの表示からして少しボケている。それでもS端子ならD端子と遜色なく見れるが、コンポジット端子出力などではそこらの他ゲームよりボケボケである。
  • その貧相なグラフィック面は特に戦闘アニメで顕著に現れており、人物が小さくなったマップ上のキャラ*34戦闘アニメとの相乗効果もあいまって大変目立つ。
    • しかし、ドット自体はよく動くうえに1射程攻撃に対する反撃のパターンがあったりとパターンも多め。前作でのコマ数不足も改善されているなど、何もかも前作より劣っているというわけでもない。
  • 戦闘直前にアニメのオンオフが選択できるが、オフのマップ戦闘もヌルヌル動く弊害なのかもっさり感が強い(特にラレンティアというキャラにそれが顕著)。
    • アニメーション内容もランス以外の近接攻撃は全て 敵に近づく→立ち止まる→ザシュ! …そして相手の反撃も一瞬間を置いてから動き出すという具合でテンポが悪い。複数の攻撃パターンややられモーションもあるのでかなり凝ってはいるのだが…。
    • ちなみにアニメーションは後に『ペルソナ』『ダンガンロンパ』のアニメに関わったアニメーション製作チーム「チームティルドーン」が製作している*35

ストーリー

  • 今回の主人公はシノン公国という国の公子。しかしエンディング近くまでずっと (無能な) 上司*36の無茶な命令に従わされるという内容の為、プレイする方としてはストレスを禁じ得ない内容になっている。
    • 本作はいうなれば「大戦の裏で活躍した1人の英雄」の話である。全世界をまわって、最後に一国の王になるような大きな話ではないし、前作で高い評価を得た群像劇的な要素もない。
    • 無理難題と言えるような任務をこなしていくにつれて国王やその取り巻き以外の協力者、理解者は少しずつ増えていく。だが、プレイヤーは任務を果たしたにもかかわらず常時その無能な王の主人公に対する罵詈雑言を聞かされる羽目になる。ついでにいうと上司の周りにいる大臣ポジションのキャラも上司にごますりをするようなキャラであるうえ、中央集権体制ゆえに仕方ないとはいえ主人公にも拒否権などないため猶更苛立つ。
      • 馬鹿王のお使いは終盤まで続くうえ、主人公が活躍した結果自軍の所属する同盟が目に見えて優勢になっていくわけでもない。このように展開の変化に乏しいうえ、終わり方も消化不良といわざるを得ない。
+ ネタバレ注意

要約すると、実はストーリー開始前から自国に暗黒教団の四天王の1人が潜入しており、大臣ポジションのキャラの1人を殺して入れ替わっていたのである*37。ラストでそいつに騙されていた自国の馬鹿な国王が殺され、主人公達が暗黒教団の四天王を全て撃破したところで敵国でクーデターが起きて敵国の馬鹿王子*38が死亡し、暗黒教団の大ボスは戦うことなく逃亡。そして互いの国の和平派が停戦協定を結ぶ…という終わり方を迎える*39。主人公の立場からすると、やるべきことはほぼ全て成し遂げているので一応完全な消化不良というわけではない。しかし、世界を変える戦いに主人公が介入できなかったり、黒幕と言える存在と決着を付けられないといった点には批判が多く、そのことから「打ち切りエンド」と揶揄される事もある。

  • 「シリーズ」と銘打たれておきながら続編ではなく世界が一新されているため、TSの続きを期待して買って落胆した人もいる。*40
  • おまけに主人公の相手はなんと義妹のリネット。
    • 彼女の性格や設定自体に問題があるというわけではなく、ゲーム中、遠い異国の地に赴いた主人公に対し、手紙やお金やアイテムなどを送ってくれるありがたい存在である。
    • しかし、実際に本人が登場するのはゲーム終盤。それも最終章で参戦し、EDではいきなり主人公と結婚するという急展開に驚いたプレイヤーも。その性格や終盤の展開の強引さも含めて、プレイヤー側がどう取るかの面が大きく、意見が真っ二つに分かれてしまうキャラである事は否めない。
      • 前作のヒロイン達には、主人公との絆を育む描写や、どうやって好きになったかきちんと書かれている場合もあったが、リネットの場合はその描写が非常に少ない。何よりも ゲーム中での本人の出番があまりにも遅すぎるせいで、プレイヤーがリネットに感情移入をする余裕がほとんどない ことが大きい。その為、EDを見て「なんで今まで女性の事をほとんど気にしなかった主人公が、いきなり結婚することになるんだ?」と面食らったプレイヤーも多かったであろう*41
      • そもそも、義妹という設定自体が、人によって好き嫌いが激しく分かれる要素ではある。リネットが遠く離れた幼馴染とか許嫁だったならば、或いはヒロインが選択可能だったならリネットもここまで叩かれはしなかったとも言われている。実際、明確に主人公のことを好いているキャラが一名存在する。が、肝心の主人公の気持ちが不明で、ある理由から主人公は立場を固持し、結局そのキャラも…という、なんとも救われない展開なのも影響しているだろう。
      • なお、普段はいたって冷静な主人公が義妹の危機に対してのみはなりふり構わない態度をとったり、また、主人公の一人称は常に「私」だが義妹に対してのみ「僕」を使うなど、やはり彼女が主人公にとって他のキャラとは異なる特別な存在であるということは感じられる。肝心のプレイヤーがそれを理解できないor受け入れられないまま突拍子に進んでしまった感はあるが。

その他の問題点

  • 倉庫によるアイテムの管理が面倒。
    • 倉庫に入れるのはアイテムではなく、ユニットがアイテムを持ち運ぶための携帯袋。直接倉庫からアイテムを出し入れするのは不可能な仕様。
    • さらに、この携帯袋は人に持たせることも可能なため、倉庫を使わずに仲間の誰かに保管してもらった方がアイテムの管理は楽になる。なお、携帯袋は入手可能な数に限界があり、序盤はあまり手に入らない。
    • 前作よりも1ユニットにアイテムをたくさん持てるようにする必要があり*42携帯袋自体はいいのだが、アイテムを直接出し入れ可能な倉庫があるほうが当然快適*43
  • 異常にメモリーカードの容量を食う。なんと1.8メガ近く。
    • 1.8メガで1つのシステムファイル、1つのシステムファイル内に8つのセーブファイル。セーブは1つ2つで十分と思っても8つ分の領域を確保しなくてはならない。
    • ただし、本作ではシステム的に他のSRPG以上に複数のセーブを利用した方が格段にクリアしやすくなるので素直に複数ファイルを使わせる為とも取れる。他のゲームも同時に進めたいプレイヤーにとっては有難迷惑だが。
  • 騎馬系のユニットはダメージを受けるとその騎馬自体もダメージを受けて死ぬという前代未聞のシステムが搭載されている。
    • このシステムで問題とされやすいのが馬のHP回復と交換させる手段が少ないこと*44、自然回復はしないので高価な名馬も無茶な運用を続ければ当たり前だが数章で死んでしまう。
      • また、新たな馬を手に入れて乗り換えると、古い馬は消えてしまう。従っていつもは安い馬で済ませ、重要任務では高価な名馬を起用する…といった馬の交換や使い分けが自由に出来ない。
      • ちなみにとあるキャラがイベントで入手出来るCC扱いの一点物の馬も、同様にロストする。こちらは失うと代替も無い。ストーリー上でも「過去に愛馬を失った悲しい思い出を乗り越え、新しい馬に愛馬と同じ名前を付け乗ることを決意する」という感動的なサブイベントが複数回展開された上で乗ることになるが、ダメージを受けすぎると愛馬を再び失うという悲しいことに。このキャラは盗賊で戦闘面では非常に弱いため、敵の攻撃を受けると馬より本人が一撃で死亡するパターンが多いため、さほど問題ではないが。
    • 但し、馬はダメージを受け辛い上に下馬した状態でも戦える。また、名馬は高いが安い馬なら1000Dでポーション2個より安いので惜しまない方が楽。各地で取れる高価な名馬ならHPが高いので前線でも安心して使える上に、特殊な武器攻撃を除けば大抵は馬の前に乗り手が死んでしまうので、実際のところは特殊武器への対策・運用方法・HPが減ったら回復or交換を意識していれば困らない。
      • なお敵ユニットの馬にもHPは設定されている上に戦闘マップでは回復手段がない。正攻法で先に馬を倒すのは難しいが特殊武器を使えば先に馬を倒すことも可能。敵側の馬を倒すのが非常に大きな意味を持つ場面も多く*45、こちらにも有利な要素がある。
  • 入団条件やクラスチェンジ条件、蓄積されている武器の技能ポイント、ゲーム中で送られてくるお守りや料理や家具の効果など、ゲーム中で説明されないデータがとても多い。料理は食べれば効果が表示されるが食べる前に説明がないのが困る。食べさせても次から説明が開示される事もない。
    • 特に料理は章始めにメニューが決まる上に多数の種類とユニット毎に好き、普通、嫌いの三段階に分かれているので効果的な利用は難しい。嫌いな料理だとステータスにマイナス補正がつくことすらある。そのため、後で攻略wikiや攻略本でその効果を知って驚いた人も多い*46
      • しかし、上述の通り普通にプレイする分には料理は全く利用しなくても問題ない。何故なら使わずとも問題無くクリア出来る様に調整されている上に、資金枯渇することもある初見プレイヤーや初心者は武器や傭兵の方が圧倒的に優先順位が高いため。しかもバランス調整の為に一度食べた料理は再出現しなくなり、再出現させるには仕様の把握と更なる資金消費・ストーリーを進める必要がある。その為、資金管理の難しい初見プレイでは活用しづらい。
  • クラスチェンジの条件に関しては上述のように特定の武器の技能がとても上がりづらい一部のキャラクターのクラスチェンジがとにかく厳しい。特に評価MAXを目指す場合は数多くのユニットを育てないといけないので困りやすい。(評価MAXプレイ自体がやり込みレベルの特殊なプレイではある)
    • 入団条件に関しても同様で、基本的には雇用して出撃させまくってイベントを発生させれば良いのだが、特殊な条件が必要なキャラクターも居る。中には期間限定の条件付きイベントを見なければ加入しないキャラクターが複数おり、そういったキャラクターはイベントを見ていなければ最後まで雇用し続けても正式加入できない*47
  • 傭兵として雇える仲間の一人は、入団のためのメインイベントの発生条件が特殊で、いわゆる隠しイベントになっている。*48発生させなくても入団は可能だが、その場合は多額の金を支払う必要があり、展開的にもこれといって何も無い。
  • 敵キャラに魅力がない。
    • 前作では、自分の愛する人たちを守るため、あえて悪行に手を染めるカルラや、彼女の弟であり、自軍にスパイとして潜入し、情が移りかけるも姉のために裏切るジーク、自分たちが間違っていると知りながらも、戦後の世界のためにあえて汚名を被ろうとするジュリアス、一見すると諸悪の根源だが様々な事情が重なってしまい、元々は真っすぐな青年でありながらも歪みきってしまったグエンカオス、卑劣さが際立つがゆえに倒すべき相手として認識されるレンツェンなど、魅力的な敵が多く存在した。
      • 対して今作は、信念のないただの悪党といった敵が大半を占めており、それにまつわるドラマなどもほとんど存在しない。途中で出現するカオスという強敵は、初登場時こそ所持している武器もあって相応の強者感を発揮するが、それ以降は装備している武器を自慢してイキり散し、かと思えばラスボスにいいように利用される、散り際には見苦しく命乞いをするなど一気に小物となる。ラスボスは、前述したバカ王をうまく利用して、黒幕らしさを見せるものの、魅力に結びついているかというとそんなことはなく、単に嫌な奴という印象が強い。ユニットとしての強さも平凡で、前述したカオスの方がまだ強い。
        これらの点から、本作では敵について語られることはほとんどなく、名前すら覚えられていないこともしばしば。ただし、中盤に出現する「ゴーゼワロス」は、当時流行したネット用語である「ワロス」を彷彿とさせることから覚えているプレイヤーも多い。(後述)

総評

本作はティアリングサーガシリーズということで、似たようなシステムのゲームを期待していたファンもいただろう。

しかし、独自性のあるゲームシステムを多数採用し、中身はほぼ別物だった為、ティアリングサーガの正当な続編を期待した人ほどギャップを感じてしまうユーザーが目立った。また、グラフィックやシナリオも前作ほどの評価は得られなかった。

一方で、同時ターン制など、本作独自のシステムにハマれる人にとってはオンリーワンと言える魅力があるのも事実であり、熱狂的なファンも存在するのもまた事実である。

絶えず変化していく戦況に対し、誰を使ってどうやって突破・撃破するか、如何にしてリスクを減らすかという試行錯誤に面白さを見出せるかどうか、高い難易度やストーリーやグラフィックと言った点を許容できるかなどで評価が大きく変わるゲームと言えるだろう。


余談

  • よりにもよってベルサガが発売された2005年にはライバルの立場であるFEシリーズの新作『ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡』が発売されている。しかも非常に発売時期が近いというおまけつき(ベルサガ:5月26日、蒼炎:4月20日)。それどころか、当初の発売予定日は4月28日であった。(後に1ヵ月延期が告げられた)
    • しかもゲーム性の傾向は正反対。そのため、ここに来て大分沈静化を見せていた現行FEのファンVS加賀氏のファンの対立が激化してしまった。
      • 前作のTS裁判も初期の宣伝については問題があったがゲーム内容については問題が無かったという判決で終わり、最近ではベルサガの発売元であるエンターブレインがFE暁の女神の攻略本を出したりと会社同士の仲は以前よりはマシにはなっている模様。また、加賀氏本人であることが確実とされたブログにおいてTSやBSの裏設定やゲーム製作に関する思いが語られている。
    • なお、売上自体は、FEは15万5000前後、こちらは18万程度と勝っている。ただし、ハードの違いもあった*49という事情も考慮しておくべきだろう。
  • なお、加賀氏は小説『銀河英雄伝説』の大ファンであることが知られており、これまでにも氏の作品にはキャラの名称などで銀英伝のオマージュが見られたが、今作は激しく憎みあう二大国が何百年にもわたり戦争を続けているという舞台設定など、これまで以上にその傾向が強く見られる。
    • ちなみに加賀氏曰く、今まで通り史実や神話の方を強く意識していて似ているのはたまたまとのこと。
  • 本作にはまった一部の人々は、クリアすることすら難しいこのゲームにおいて「ノーリセットでクリア後評価MAX(ただしソースはブログや2chの書き込みのみ)」「ターン制限のないMAPで全捕縛」「とあるキャラクターにほぼ全ての敵+α*50を殺させて撃墜数1400オーバー」「とあるキャラクターの技能(すさまじく成長しない)をMAXにする」「最弱キャラのデリックを最終面だけで能力カンストさせる」「ノーレベルアップクリア(本作は未使用キャラですらレベルアップはしないが経験値が溜まっていく)」「操作不可能な最終面だけのNPCキャラをレベルアップさせて能力をカンストさせる」「通常は戦闘を回避する竜騎士団と戦うだけでなく、普通にやるだけでは奪えないアイテムすら奪う(かなりの低確率で成功)」「RTA」などといった、常軌を逸したやりこみをしている。
  • ファミ通文庫の小説版ベルウィックサーガでは(小説の尺の問題もあるだろうが)最後にリネットと結ばれないで終わる。(ちなみに馬鹿国王は「謀殺された」と一文だけで済まされている)作者も、この終盤の展開は納得いかないものだったのだろうか*51
  • 攻略本は間違いだらけの前作とは違い、真っ当な出来に仕上がっている。…はずであったが、とあるキャラの解説、総評の文が丸ごと別キャラのものになっている大誤植がある。
  • 中盤に登場する「ゴーゼワロス」という敵将軍は、たった一回限りの脇役でメインストーリーにも関わらないが、ネット用語の「ワロス」が名前に含まれることと、本作品からは若干ズレた感がある昭和の熱血教官のようなキャラクター性から、当時一部で話題になり、変に人気を獲得をしていた。ワロスw
    • ファンによりゴーゼワロスをメインとした動画やコラ画像もわりと作られ、なんとゴーゼワロスが主役のゲームがあるかのようなパロディサイトまである。