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ミシシッピー殺人事件 - (2014/09/24 (水) 17:28:21) の編集履歴(バックアップ)


ミシシッピー殺人事件

【みししっぴーさつじんじけん】

ジャンル アドベンチャー
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売元 ジャレコ
開発元 トーセ
発売日 1986年10月31日
定価 5,200円
分類 クソゲー
ポイント タイタニックより危険な船=理不尽な即死トラップ
無能な助手=実はトラップ犯?
捜査ミス=即詰み
≠死亡

概要

アメリカでパソコンソフトとして開発された推理アドベンチャーゲーム。『MURDER ON THE MISSISSIPPIを、ライセンスを得たジャレコが日本語版としてローカライズした上でFCに移植したもの。つまり洋ゲーである。

偶然その場に居合わせた探偵「チャールズ・フォックスワース卿」とその助手「ワトソン」が、ミシシッピ川を下るリバーボートで発生した殺人事件を解決する、という内容。
このあたりは探偵モノとしてはベタな展開であるのだが、そもそも「ゲーム開始時既に事件は起こっている」という設定のため事件の第一発見者にならないと話が始まらない妙な仕様となっている。しかもそんな設定を吹き飛ばすほどに理不尽なゲームシステムからクソゲーと化した。

クソ要素

  • 豪華客船が舞台の海上ミステリー! …と言えば聞こえはいいが、その正体は『スペランカー』と並び語られる「死にゲー」。
  • 死体発見の前に客室で落とし穴に落ちてゲームオーバー。
    • 船の中の落とし穴って、下は一体どうなっているのだろうか? 一応『BIOHAZARD GAIDEN?』にも、そこら中に穴が開いてる船があるわけなのだが…。
      • 強引に解釈するならば「強度不足という欠陥によって穴ができ、それに落ちて川で溺れ死んだからゲームオーバー」といったところか。しかしどう見てもバラエティ番組によくある落とし穴にしか見えない…。
      • かと思いきや、台詞で「誰かの罠だったんだ」と断定している。更に突っ込むと、そのときにワトソンが「この高さから落ちたのでは先生は・・・」とも発言しているので、転落死するほど深い穴が船の中にあるとも取れる。前述の解釈のほうがまだ説得力がある。
      • そもそも冷静に考えると下の階の部屋へ落ちるだけのはずである。落とし穴のある部屋の下の部屋に続けて落とし穴がある…わけでもないので海に落ちるはずがない。1階下の部屋に落ちただけで助からないってどういうことだろうか?
  • 死体発見の前に客室の壁から飛んできたナイフに刺され、やはりゲームオーバー。
    • 事件が解決しても、これらのトラップを用意した人間は謎のまま。
    • そしてワトソンの台詞「あぁ もし さいしょから やりなおす ことが できれば なんとか なるのに・・・」がプレイヤーを脱力させる。
      • この台詞は穴に落ちたときにも言うのだが、そちらだけ「なんんとか なるのに・・・」となっている。
  • 推理もののようではあるが、カンか総当りでしか進められない捜査。
    • 特定の証言をワトソンに「メモ」させないと、他の人への聞き込みで活用できず、そのメモは証人1人につき3つまでしかキープしておけない仕様が曲者となっている。どれが重要な証言かが分からないと先へ進めない。
    • しかも「ああっ、メモし忘れた」と思って同じ人間に同じ事柄を聞いたところで、どんなに重要な証拠をしゃべっていても「もういいました」しか言わなくなる。
    • 証言のメモし忘れへのペナルティがゲームオーバーではなく「手詰まり」というのも洒落にならない。同じADVでも選択ミスがほぼゲームオーバーで同じ場面をすぐやり直せる『シャドウゲイト』はまだ良心的である。
  • そしてセーブもパスワード機能も存在せず、プレイの度に最初からやり直さなければならない。
    • 捜査も中盤に差し掛かった頃あたりに、ついうっかり部屋を間違えて飛びナイフに刺されることも。もう嫌だこの船
  • 回収し切れていない伏線がある。
  • シナリオやトリック、推理内容も極めていい加減。
    + ネタバレ注意
    • 探偵の推理「弾丸は彼の体を貫通し床を転がった。そのうちに床の隙間から下に落ちたのだろう
    • 助手の発言「そうか!だから弾丸が下の部屋にあったんだ!
    • 探偵の推理「だが柵に当たったピストルは銃身とグリップの2つに折れて銃身はに落ちたがグリップは柵に引っかかったままになってしまったのだ」
    • 探偵の推理「毎朝ウィリアムが鳥を撃つのは知っているね?その時間に持っていた2丁のピストルのうち1丁を箱から出してブラウンの部屋に行った。そしてウィリアムの銃声に合わせてブラウンを撃った」
    • 犯人の証言「彼(被害者)は自分の船室に来るように私に言ったの」「私は彼と争ったわ。あぁ恐ろしい。私は引き金を引いてしまった。でも決してそんなつもりじゃ無かったのよ
    • 犯人の証言「私は錯乱状態に陥ってしまった。ピストルを綺麗にしていると・・・
  • 会話に脈絡が無い。
    • 例を挙げると、死体を関係者に見せる→「ああ、ブラウンさんですね」と妙に冷静。しかしそのまま被害者について聞いてみると「な、なんですって!?ブ、ブラウンが!?」といきなり驚く。バカにされているようにしか思えない。
  • 登場人物の人間関係が極めて険悪。
    • 「あの下品な若い女か。洋服の着方などからわかりますよ」「あいつは人間のクズですよ。下品で無教養で信用できない奴ですからね」「彼のような人の事をお聞きになるなんて侮辱ですわ」。もう2、3人死んでもおかしくない環境である。
  • ようやく犯人を追い詰めても、他の乗客が一斉に犯人の弁護をし始める。
    • しかもまるで真相を暴いた主人公が悪いかのように言い出すばかりでなく、捜査上で証言しなかった重要な証拠や、事件の背後要因等を今更になって次々口にした挙句、勝手に犯人を正当防衛の無罪と断定する。
      • 殺人の動機に少なからず同情する余地はあるものの、そういった重要事項を探偵に証言せず、だんまりを決め込んでいたのは他ならぬ犯人以外の乗客達である。後出しじゃんけんもいいところであるし、何よりろくに捜査に協力しなかったくせに何様のつもりだ。
      • 加えて前述の落とし穴や飛びナイフのような凶悪なトラップをあちこちに仕掛けて無関係の探偵まで殺そうとしていたのに、その件については一切追及されない。犯人が仕掛けた者ならば到底無罪とは言えないし、そうでないというのならいったい誰の仕業なのか。
      • その犯人も、とても正当防衛で止む無く人を殺めてしまっただけの人間とは思えない行動を取っており、上記のいい加減なトリックにもあるように、計画性を匂わせる要素も多く、無罪と納得するには無理がある。しかしラストの弁護ではそれらについては一切スルーされる。
  • 序盤では事件を悲観したり、死者を憐れんでいたりしたのだが・・・
    + ネタバレ注意
  • 船長「そんな・・・彼はこの船の共同経営者なのに
  • 被害者の息子「実はあいつは俺の父親なんだ」
  • しかし犯人が確定した途端に・・・
    + ネタバレ注意
  • 船長「彼女は当然のことをしただけです。ブラウンはゴールデンを自殺に追い込んだ奴ですよ
  • 被害者の息子「勝手なことを言うな!ブラウンは彼女を脅していたんだ!(中略)彼女は自分の身を守るためにやったんだぞ!それなのにひどいじゃないか!
    • この他の乗客も捜査段階ではやたら他人を疑ってかかるのに、いざ犯人が確定すると、さも最初から犯人を知っていたかのような言い回しをしていることも手伝って、一部のユーザーからはチャールズとワトソン以外の登場人物が全員グルという説も囁かれている。
    • また、ゲームシステム上の仕様なのだが、ワトソンは一切トラップに引っかからない事から、トラップの仕掛け人はワトソン説まで浮上する始末である。
  • やっとクリアしても表示はゲームオーバー。広義で捉えれば間違っていない表記(同年発売のスターソルジャーもゲームオーバーBGMで終わる。ゲームの終わりと解釈すれば普通)だが、アドベンチャーでやられるとなんとも骨折り損のくたびれもうけである。もちろんスタッフロールなど無い。
  • 証拠品が意味不明なところに隠されている。まるでいいかげんなFLASH脱出ゲーム的ノリ。
    • またいちいち自室に帰らないと証拠品整理や分析が出来ない。
  • 仕方がないので、開始何秒で穴に落ちるかを競ったり、船長室BGM終わりの効果音(アタック25の早押しボタンの音)を何度も聞いたりといった楽しみ方を見出すのもアリである。

余談

  • 原語版におけるワトソンの本名は"Regis Phelps"(リージス・フェルプス)であり、なじみ易い名前に、との判断で有名な推理小説シリーズであるホームズシリーズにおける主役の相方から名前を拝借したようだが、さすがに主人公"Sir Charles Foxworth"をホームズにするのは控えている。
  • 理不尽なトラップについては、FC版は実はこれでも緩和された方だったりする。『MURDER ON THE MISSISSIPPI』にはドアを開けようとすると物が落下してきて首の骨をへし折るという極悪トラップがあり(しかも、ドアを開けようとした瞬間にランダムで発生する)、確認したら即座にドアから離れないと死んでしまう。…コレはどう考えても無差別殺人ではないだろうか。
    • ただし、原語版ではセーブ機能があるので死んでも途中からやり直せた。死亡時の助手のセリフ「やり直すことができれば」は、恐らく「セーブ地点からやり直すこと」を指していたと思われる。
  • 実は双葉社が出版していた「冒険ゲームブックシリーズ」の一作として本作の続編的作品が存在する。本作の事件の犯人が射殺されると言う衝撃的な幕開けとなっているが、本作で放置された伏線が回収される補完的作品…ではなく、物語そのものは本編とは関連が無いオリジナルのものとなっており、主人公も本作の二人ではなく新キャラの少年達となっている。