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BLACK/MATRIX - (2019/08/31 (土) 06:57:24) の編集履歴(バックアップ)



BLACK/MATRIX

【ぶらっくまとりくす】

ジャンル シミュレーションRPG imageプラグインエラー : 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。高解像度で見る 裏を見る
対応機種 セガサターン
発売元 NECインターチャネル
開発元 フライト・プラン
発売日 1998年8月27日
定価 6,800円(税別)
判定 なし
ポイント 善悪の逆転したダークな世界
シビアなストーリー
システムもシビア
BLACK/MATRIXシリーズ1 - 2 - ZERO - OO

概要

  • 『BLACK/MATRIX』シリーズ第一作目。フライト・プラン制作のSRPGとしても第一作目。
  • 原作者はビトウゴウ、キャラクターデザインは土屋杏子*1
  • 当時、セガサターンではギャルゲーの移植を主にしていたNECインターチャネルとしては異色の作品である。

特徴

  • 聖書をモチーフとしつつも善悪を完全に逆転させたダークファンタジーな世界観。
    • いわゆる「強欲」「怠惰」「嫉妬」「暴食」「憤怒」「色欲」「驕り」の「7つの大罪」がこの世界では「7つの美徳」と呼ばれ、美徳・善行とされる。逆に「愛」「平等」「自由」「正義」「弱者」「人権」「友情」はこの世界では「7つ大罪」と呼ばれる。
      • 同様に「天使」「悪魔」の概念も逆転しており、我々の世界の聖書などで語られる天使は悪魔や邪神と。逆に悪魔や魔王と呼ばれる存在は天使と呼ばれている。
    • この世界の人間は生まれながら背中に羽を持ち、天使的な白鳥の羽を持つ「白い羽の人間」と悪魔的な蝙蝠の羽を持つ「黒い羽の人間」が存在する。
      • 白い羽の人間は奴隷階級であり、支配階級である黒い羽の人間達に使役され、虐げられている。
    • 主人公・アベルは白い羽の人間で、黒い羽のご主人様(ヒロイン)の奴隷である。しかしご主人様はアベルを奴隷として働かせる事は無く対等に接し、一人の人間として愛している。
      • 異端審問官の前でアベルを「愛している」と発言してしまった為に*2連れ去られたご主人様を助け出すべくアベルは旅に出るが、次第に黒い羽の人間と白い羽の人間の全面戦争となっていく。
    • 前述の「7つの大罪」と「7つの美徳」も大きなテーマとなっている。「愛」のご主人様、「平等」のアベルの他、「自由」を得る為に戦っていたレブロブス、「正義」を信じる義賊のガイウスなど、仲間達はそれぞれの「大罪」を象徴し、悪しき世界でそれぞれの理想を追い求めて行く。
      • 逆に敵の幹部達は「美徳」を象徴する者達である。自分より美しい者を認めない「嫉妬」のユダ、金と権力で街を支配する「強欲」のマモンなど、現実の価値観からすればいかにもな悪役キャラだが、この世界では賛美の対象であり、「大罪」を背負う主人公達とは対照的な存在として対峙する事になる。
  • ヒロインとなるご主人様はゲーム開始時に選択し、第一章はご主人様の家でリハビリと言う形でキャラメイクを行う。
    • ご主人様は最初から選択可能な5人と隠しキャラを含めた計6人。
      + クリックで開閉
    • ドミナ
      • 服装こそ過激だが、清純タイプの正統派ヒロイン。通常版やPSベスト版のパッケージを主人公と共に飾っている。
    • プリカ
      • ご主人様候補最年少で、主人公を「お兄ちゃん」と呼ぶ所謂ロリキャラ。
    • クレージュ
      • スポーツ系ご主人様で、ボーイッシュな性格のボクっ娘。
    • ミシェット
      • わがままな性格の小悪魔系女子。
    • プラハ
      • 姉御肌の最年長ご主人様。キツい口調だが根は優しい?
    • ゼロ
      • 男性ご主人様。コマンドを入力すると出現する隠しキャラ。
    • リハビリ内容はマキ割り、掃除、狩りなどのミニゲームや読書など色々あり、行動によってパラメーターが上昇する。
    • 街に出るとストーリーが進行する。選択しなくとも1年が過ぎると強制的に街に出る羽目になる*3
  • システム面では、魔法の使用と武器改造にBP(ブラッディポイント。一般的なRPGのMPに相当)を消費するのが特徴。
    • 戦闘で敵に武器でとどめを刺した時や戦闘終了ボーナス等で入手することになるため、入手方法は一般的なRPGのお金の概念に近い*4
      • 名前通り、敵から抜き取った血液であり、魔法や潜在能力を開放するには人間の血を触媒として使う訳である。この辺りもまた本作のダークな世界観を印象付ける事に一役買っている。
    • 本作ではHPがゼロになったキャラはその場に倒れて「死亡」状態となる。この状態でも魔法やアイテムで蘇生が可能。倒れているキャラに更に攻撃を加えると白骨化する「死滅」状態となる*5。こうなるとシステム上のみならず本当に死亡扱いになり、蘇生も不可能*6
  • 武器改造は入手した武器にBPを入れる「剣血」により行う。
    • 入れたBPの値に応じて引き出される潜在能力(いわゆる追加効果)が決まっており、魔法を発動させる・経過時間毎にHP回復などがある。
  • 戦闘は高低差のある3Dマップでのターン制。
    • ターンとは別に各ユニットが行動する度に時間が1時間ずつ経過し、経過時刻により魔法の威力が増減する。
    • 魔法の威力は各属性ごとに「午前は強めで午後は弱め」「普段は弱めだが特定の時刻のみ威力倍増」などバイオリズムが設定されており、例えば光属性の1時に闇属性の魔法を使うと次は闇属性の2時になる。
    • これにより味方の魔法使用時には威力が高くなるように、敵の魔法使用時には威力が低くなるようにするという戦略性が求められる。
  • ストーリーが進むと魔法とは別に大量のBPと行動力を消費する「鎧召喚」という高威力・広範囲攻撃が登場する。
    • 使用するには「大邪神の鎧」か「悪魔の鎧」を身につける必要があり、鎧に宿る悪魔や大邪神の力を開放する。効果範囲や威力は各キャラ固有。
      • 敵にも「悪魔の鎧」を身につけた「邪道騎士」が登場し、後半では敵も「鎧召喚」を使ってくる。終盤は「大天使の鎧」を纏った敵幹部との戦いもある。
    • 大邪神、悪魔の鎧はストーリー上も重要な役割を持つ。
      • これらの鎧は装備者が羽を毟り取り、その付け根から血を吸われ続ける事を代償に力を与える。文字通り命を削る鎧な上、一度着たら死ぬまで脱げない呪いの鎧と言って良い。しかし選ばれし者が着た場合は、命は削らずより強大な力を与えると言う。主人公や仲間が「大邪神の鎧」を身に付ける際にはそれぞれのドラマが描かれ、また、とある邪道騎士の仲間は終盤で重要な役割を果たす。
      • 悪魔の鎧はサブキャラに装備可能。但し、装備変更が出来ないのは勿論、ユニットのグラフィックも汎用の邪道騎士になってしまう。
  • 難易度はノーマル・アドバンスドの2つがあり、アドバンスドは戦闘が難しい反面、独自要素がある。

評価点

  • 手ごたえのある戦闘
    • 基本はシンプルなターン性だが、武器の潜在能力や魔法バイオリズムを上手く使うといった戦略性がある。
    • レベルアップは戦闘終了時に任意のキャラに経験値を振り分ける方式。レベルアップで得られたポイントは更に任意のステータスに割り振ることができるため、育成の自由度は高い。
    • 自由加入のサブキャラも多い*7ため、お気に入りのキャラに特化して育てるも、サブキャラ一切育てずメインキャラだけで挑むも自由。
    • 素の状態で魔法を使えるキャラが少ない分、武器の潜在能力も使いこなせれば魔法と同様に様々な効果がある。
    • 特に武器交換の潜在能力は、敵の持つ強力な武器を入手することができるので重宝する。
    • アドバンスドモードでは、自由戦闘での入手経験値が10分の1になるかわりに、通常では倒せない強さの敵ユニット撃破*8、レアアイテム集めや裏パラメータ確認可能*9を使った育成など、やりこみ要素は多い。また、最終戦闘はノーマルモードと異なる演出がある。
  • 世界観
    • 上述の通り、善悪が完全に逆転した世界観で、ストーリー展開も暗いのだが、独自性がありプレイヤーを物語に引き込む魅力がある。また、天使や悪魔・宗教関係の元ネタを知っているとより楽しめる。
    • 強者が正しく弱者は淘汰されるのみと言う弱肉強食が摂理とされる。また、最も軽い刑罰がその場で死刑なのもシビア(つまり死よりも重い罰が存在すると言う意味である)。
    • 悪行が良いこととされている世界なのだが、やっている内にそれほど悪い世界でもない気もしてくる。ソドムとゴモラの町も超資本主義と超社会主義となっていて明暗両方描写されていたりなど、単に善が悪を倒してハッピーエンドにはなっていない。
    • 暗いだけではなく仲間と共に強敵に立ち向かう、迷いを振り切ってパワーアップする、と言った燃えるシチュエーションも盛り込まれている。ご主人様を救う力を得る為に主人公が羽を捨てるシーンなどは特に熱い。
    • 何かとツッコミをさせられるガイウス、復讐日記を持ち歩くルピルピなど、思わず笑ってしまうシーンも幾つかあり、暗い世界の冒険の清涼剤となっている。
      • 尤も、そんなキャラ達にも容赦の無い運命が待ち受けているのだが…。特にルピルピはムードメーカーでありながら設定が重い。
    • キャラメイクを兼ねた第一章はご主人様とのほのぼのとした生活が描かれるため、第二章以降の本編との反動が大きい。
    • 土屋杏子によるキャラクターイラストは評価が高い。
  • 混沌とした音楽(と曲名)
    • バッハの曲「BWV542」を大幅にアレンジした「¥54,200」やドラム音の激しい「Chain Smoker」、チェケラッチョなボイスが入った「検問」など、混沌とした音楽(と曲名)は本作の世界観を上手く表現している。
  • ストーリーはフルボイスであり、声優も有名声優を多数起用している。
    • ご主人様には日高のり子、かないみか、伊藤健太郎など。他のキャラにも塩沢兼人、井上喜久子、青野武などベテランが揃っている。

問題点

  • システムの解説不足
    • 剣血は武器にBPを1刻みで255まで入れることができるが、発現する潜在能力の種類や数値は武器毎に異なる。入れたBPによっては発現しない場合やマイナス効果の場合もあり、確認が大変。
      • 剣血については高BPを入れた武器に低BPの潜在能力を発現させたい場合、一度入れたBPと同じBPを消費してリセット(浄化)し、再度必要なBPを入れなおすため手間がかかる(低BP→高BPは追加の剣血だけで済むのだが)。
    • 魔法バイオリズムも属性表示は時計の飾りが光るだけで、バイオリズム自体が表示されず、何時に威力が高い(又は低い)のか、使うまで分かりにくい。
    • そのため、戦闘システムを理解・確認するには攻略本や攻略サイトを見る必要がある。
  • やや厳しいお金とBPの管理
    • 他作品のように入手したアイテム等を売却して資金の足しにすることができない(捨てることしかできない)。
      • すこし資金に余裕が出来て装備を揃えたいと思った頃にたどりつく街が、物価が定価の数倍という「強欲の街」。
      • 中盤ではあるサブキャラを仲間にして出撃させることで入手金額増加という救済措置はある。
    • 剣血による試行錯誤が必要にもかかわらず、BPは戦闘で武器攻撃による死滅と戦闘終了ボーナスによる入手、終盤での高価なアイテムによる補充しか主な入手手段がない。
      • 与えたダメージの半分のBPを吸収する潜在能力を持つ武器もあるが、攻略情報なしでは気づくのが困難*10
    • 一部の強力な特殊能力をもった武器を手に入れるための手順は非常に複雑かつ大変。攻略情報なして取れたプレイヤーはいるのだろうか。
  • 世界観・ストーリー
    • 最初に選ばなかったご主人様は全く本編に登場しない。
    • 徹底してダーク且つハードな世界観なので苦手な人には向かないだろう。
  • 終盤
    • 最終章はメインキャラの1人が死亡による離脱、サブキャラ一切出撃不能、お店や自由戦闘がないため、メインキャラの育成・アイテムの状況によっては詰むこともありうる。
    • ストーリー展開上、キャラメイクと最終章とエンディングしかご主人様が登場しない。
      • ご主人様にそこまで思い入れできるか、というと短い第一章だけでは少々返答に困る。もちろん、その間もその行為がどれだけ問題があるとされていたか、というのを実感し続けるが。
      • その為、他のご主人様候補を仲間に出来るDC版以降ではあえて好きなキャラをご主人様に選ばず、仲間として育てるプレイヤーも多い。
    • そしてハッピーエンドは無い。展開もかなり重く、鬱展開と言う人も少なくない。
      + ネタばれ注意
    • 最後は世界が崩壊する中、今まで共に戦ってきた仲間達を一人ずつ自分の手で殺さなければならない。
    • そして世界は滅び、主人公とご主人様以外全員が死ぬ。二人は新世界のアダムとイブとなり、終了。
      • リメイクではエンディングが追加されたが、いずれもグッドエンドには程遠い。但し、DC版には救いのあるエンディングが用意されている。
  • アドバンスドモードでは、戦闘内容によってクリア後の称号が幾つもあるのだが、どれが最高なのか・各称号取得条件を含めて不明である*11

総評

  • 雑誌の表紙を何度も飾ったことや発売元からキャラゲーと思われがちだが、世界観や戦闘などゲーム本編はきちんと練られている。
    • 後述の移植版があるものの今でもサターン版を愛好しているユーザーがいる位である。
  • ただし、肝心のシステムの解説や表示に不十分な点が多く、世界観以外の点でも人を選ぶ作品となってしまった感は否めない。

その後の展開・余談など

  • 本作は当初、初回限定生産とされていた。
    • 本作が発表された時期が、サターンの後継機であるドリームキャストが発表された時期と重なった。そのため「需給のバランスが読めないので確実にほしい人は予約をするように」と各ゲーム雑誌の紹介記事で呼びかけていた。
    • しばらく経ってから再販された。ゲーム内容は同じだが、パッケージの絵が変更された。
    • なお、攻略本は隠しご主人様(ゼロ)の出現条件が初版では非公開とされていたが、重版では公開されている。
  • 隠しとはいえ、ゼロが男性である点に疑問を持つ人がいると思うのだが、攻略本のインタビューによると、これは原作者が「頭にロールパンのついたご主人様(プリカ)を俺のために描いてほしい」とキャラクターデザイナーに依頼したところ、「男のご主人様を出させてくれれば描く」といった流れでできたものである。
    • 本作の各種アンソロジーでは、作家にもよるが、ゼロをご主人様とした題材は結構多め。反面、クレージュをご主人様とした題材はあまり見られなかった。
  • 移植版として、『BLACK/MATRIX AD』と『BLACK/MATRIX+』がある。いずれも移植の際に変更された要素が多く、リメイクに近い。詳細は下記参照。
  • 開発元のフライト・プランは『BLACK/MATRIX』シリーズの他に『サモンナイト』シリーズ等SRPGを多く手掛けている。

BLACK/MATRIX AD

【ぶらっくまとりくす あどう"ぁんすど】

ジャンル シミュレーションRPG imageプラグインエラー : 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。高解像度で見る 裏を見る
対応機種 ドリームキャスト
メディア GD-ROM 2枚
発売元 NECインターチャネル
開発元 フライト・プラン
発売日 1999年9月30日
定価 6,800円(税別)
廉価版 ドリコレ
2002年10月31日/2,800円(税別)
判定 なし
ポイント シナリオの追加
アニメも追加
ハッピーエンドも追加

概要(DC)

『BLACK/MATRIX』のリメイク版。イラストレーターがつちやきょうこ氏からそえたかずひろ氏に変更された他、ストーリーがSS版とは所々異なっている。

特徴(DC)

  • イベントシーンは背景と立ち絵で進行する。また、セルアニメーションのムービーと言った演出が追加されている。
    • 主人公のアベルが音声の出ない一部のイベントを除いて喋らないのは無印と同じだが、アニメ内では僅かに音声付きのセリフがある。担当は神谷浩史。
      • 余談だが神谷氏は次回作『2』でも主人公役(ナレーション)として参加している。『OO』でも主人公のライバル的キャラ役を務めており、シリーズの常連となっている。
  • 多くのマップはSS版から構造が変わっており、SS版とはまた違った戦術を求められる形となっている。

評価点(DC)

  • ストーリーがSS版から加筆修正されている。
    • 描写が細かくなった事で、SS版では謎のままだったり説明不足だった部分にも補完が為されている。
    • パンデモニウムの街に行く前に一章追加されており、仲間達の掘り下げも行われている。
    • マルチエンド化に伴ってか最終盤の展開はSS版と大分異なり、ラスボス戦も殆ど別物となっている。
  • ご主人様候補がストーリー中に登場するようになった。
    • 選ばなかったご主人様候補は無印では一切登場しなかったが、今回は本編に登場する。敵対したり、仲間になったりなど、ストーリーにも絡んでくる。
      • ルート分岐があったり二者択一だったりで、一度に全員を仲間にすることはできない。また、キャラによっては仲間にする条件がノーヒント。
    • ご主人様候補は仲間になるとメインキャラ相当の扱いになり、要所要所で登場する。キャラも立っており、ご主人様に選んだ時では見られないような一面や、活躍のシーンもしっかり用意されている。
      • 男装の邪道騎士として登場するクレージュ、監獄の獄長としてボスを務めるプラハ、立場上の関係で過激な普段着ではなくナース服で仲間になるドミナなど、いずれも印象的な形で登場している。
      • 中でもプリカは肉屋から動物を逃がしていた罪で投獄されたと言う斜め上の設定となっている。そのくせ本人の好物がハンバーグなのもまた微笑ましい。加入時のイベントも必見。
    • 但し、死亡(死滅)すると他のサブキャラ同様にロストする。しかしクリアまで生存せればエピローグに登場するので、なんとか死なせないようにしたい所。
  • マルチエンドになった。
    • SS版では重苦しいエンディングが一つのみだったが、今回は複数のエンディングが用意された。但し、いずれもハッピーエンドとは言い難い。
    • 崩壊しかけている世界で主人公は最後の選択を迫られる。SS版ではどれを選んでも同じだったが…。
+ ネタバレ
  • 主人公には二種類の支配者のどちらかになる権利が与えられる。一方、死亡したご主人様を生き返らせるには世界を滅ぼすかもしくは自分や仲間達が死ぬかしなければならない。そんな中で「自殺する」「ゴッドになる」「サタンになる」「支配者を倒す」「ご主人様を諦めて平凡に暮らす」から選ぶのだが…。
    • 「自殺する」は支配者になる権利を放棄し、世界とご主人様の両方を救う為に自らの命を差し出すと言うもの。しかし仲間達が主人公の身代わりを申し出た為、敵の化けの皮が剥がれて戦闘となり、結局なし崩し的に世界は崩壊して自分とご主人様以外全員死ぬ。SS版とほぼ同様の展開である。
    • 「ゴッドになる」は主人公自身の意志で世界を滅ぼし、ご主人様と共に新世界を作ると言うもの。主人公自身が世界崩壊を望む為、主要キャラ以外のサブキャラは全員敵に回る。サブとはいえ味方を殺さなければならない。そして主人公に賛同して力を貸してくれた主要キャラも試練の為に結局は殺すことになり、やっぱり最後は世界崩壊。
    • 「サタンになる」は主人公が新たな王となって現在の世界を存続させると言うもの。了解の上で大邪神の鎧を来た仲間達と正々堂々戦い、倒し、世界の未来を託される。そして新たなサタンとなり、ヒロインを花嫁として迎える…だけなら世界崩壊エンドよりハッピーエンド寄りなのだが、最後は主人公の邪悪な笑いで終わる為後味が悪い。
    • 「支配者を倒す」はご主人様は諦めるが、せめて世界の支配者である教皇を倒して、この悪しき世界を変えようと言うもの。一部のメンバーが離脱すると言う違いはあるものの、結局それで敵の化けの皮が剥がれて「自殺する」と同じ展開に。
    • 「平凡に暮らす」は他のご主人様でも見つけて奴隷に戻ると言うもの。世界崩壊は起こらないが、今まで戦ってきた意味を放棄し、ご主人様を殺しておきながら何の気兼ねもしないと言うもので、やはり後味は悪い。
  • ここまでなら評価点に書くべきではないかもしれないが、本作はそれに加えて通常の世界崩壊エンドの後に後味の良い結末が追加されている
    • 世界が滅び去り、主人公とご主人様が新たなアダムとイブか、二人のアダムになる。と言う結末自体は変わらないが…。
      + ネタバレ
    • 「新しい世界の神にも友達は必要だ」という創造主の判断により、死んだはずの仲間達全員と、敵対者の中で主人公達に理解を示していた一部の者達が無事に戻ってきて主人公と再会を果たすというシーンが追加されている。
    • 世界が滅びた事には違いは無いが、主人公とご主人様以外の人間は善人悪人問わず全て死に絶える無印に比べると遥かに救いのある結末である。
    • 後に発売されたPS版にはエピローグが存在せず、後味の良い結末を迎えられるのはDC版の特権となっている。
  • 演出の強化
    • 無印では戦闘時同様のマップとユニットでイベントシーンを作っていたのに対し、今回は同社の『サモンナイト』と同じ形式に。
    • また、イベントスチル、アニメムービーの追加によって演出が強化されており、ストーリーの没入感はより強まった。

賛否両論点(DC)

  • 第一章の仕様変更
    • 第一章のリハビリ生活はミニゲーム選択式のSS版、PS版とは異なり、育成シミュレーション形式になっており、自由に移動することができる。
    • 内容は格段に充実し、結構な長期間でご主人様との甘い生活を楽しむことができる。隠しイベントも多数。
      • SS版は期間も短く、ご主人様の印象が薄くなりがちだったが、今回はこれによってご主人様への思い入れが湧きやすく、救出へのモチベーションを高める事が出来る。
      • ご主人様のキャラの掘り下げにも繋がっており、特に清楚なイメージだったドミナは年相応に砕けた一面も見せてくれる。
    • 条件を満たせればなんと二年目に突入する事も出来てしまう。
    • 一方、SS版等に比べてパラメーター管理が複雑化。思うように主人公の初期ステータスを鍛えるのが難しくなった。
    • 隠しイベントの条件も厳しいものが多く、情報無しで二年目に入るのは至難の業である。
    • また、主人公のアイテムの食べ方がシュール。どんな料理や食物(虫も)でも一口で頬張る為、不気味、面白いと意見が分かれそう。皿に乗っている料理なら皿ごとである。

問題点(DC)

  • ビジュアル面
    • アニメムービーの採用の為か、アニメーターでもあるそえた氏がイラストレーターに起用されているが、これが少々不評である。
    • メインキャラは元に近いデザインだが、ザブキャラ達が揃いも揃って、原作とは似ても似つかないデザインになっている。それでいてユニットのグラフィックはそのままなので違和感が激しい。
      • 特に酷いのはパリティと言うキャラ。元が金髪で緑の服なのに、新デザインは青髪でピンクの服と、似せる気がまるで感じられない。
    • ザコ敵の顔もユニットとの乖離が珍しくなく、しかも整った顔立ちや美形が多かったつちや版に比べると異様に濃い顔ばかり。
    • アニメもクオリティはそこまで高くはなく、作画、構図、演出も所々変な個所がある。

総評(DC)

キャラデザインやアニメのクオリティに難色を示す意見は多々あるものの、シナリオの加筆に演出の強化、ハッピーエンドの追加と総合的な充実度ではSS版、PS版とは比べものにならないBLACK/MATRIXの「完全版」と言って良い。


BLACK/MATRIX+

【ぶらっくまとりくすくろす】

ジャンル シミュレーションRPG imageプラグインエラー : 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。高解像度で見る 裏を見る
対応機種 プレイステーション
メディア CD-ROM 2枚
発売元 NECインターチャネル
開発元 フライト・プラン
発売日 2000年12月14日
定価 6,800円(税別)
廉価版 ベスト版:2002年3月7日/2,800円(税別)
配信 ゲームアーカイブス:2009年12月24日/600円
判定 なし
ポイント DC版準拠でSS版に近い
ハッピーエンドは没収

概要(PS)

『BLACK/MATRIX』の二度目のリメイク。その名の通り、SS版とDC版を「クロス」させたような作品となっている。

特徴(PS)

  • キャラクターデザインがSS版のつちやきょうこ氏に戻り、イベント画面もSS版と同じ形式に回帰した。
  • その一方でストーリーやマップはDC版に準じており、SS版とDC版をミックスさせたようなリメイクとなっている。
  • 但し、戦闘BGMが一部入れ替わっていたりと、細かい変更点も多々ある。
  • DC版のようなセルアニメは無いが、新規のムービーが追加されている。OPも完全にオリジナルである。
  • 第一章の形式もSS版同様のミニゲーム選択方式に戻った。

評価点(PS)

  • DC版のそえた氏のデザインが不評だったので、つちや氏の再起用はファンを喜ばせた。
    • イラストもSS版の使い回しではなく、PS版用に新たに描き起こされている。
  • DC版の加筆修正されたシナリオをSS版のビジュアル、演出で楽しめるのは、SS版が好きだった人には大きな評価点と言える。
    • イベントシーンの豪華さは薄れたが、ユニットキャラがチョコチョコと歩き回るイベントシーンはそれはそれで好評である。

問題点(PS)

  • シナリオ、演出の削除。
    • ストーリーはDC版に準じているが、アニメムービーやイベントスチル、一部のイベントなど削られた箇所も多く、それを補う新要素も殆ど無い為、ストーリーが所々説明不足になってしまった。
    • 特にアベルの兄・カインやファウストについては完全に謎の存在で終わってしまっている。
    • キャラの顔グラフィックから表情の変化が無くなっている。声優の熱演もあるので感情移入しにくい訳ではないが、他機種版をプレイした人には物足りなさが否めない。
  • エピローグまで削除されている。
    • エンディングはDC版同様のマルチエンドだが、ハッピーエンド的なエピローグが無くなっている。
    • その為、例えトゥルーエンドでも後味良く終われなくなってしまった。描かれていないだけで、エピローグの展開はその後でちゃんとあったと解釈出来ない事も無いが、描写が無い以上PS版のシナリオはそこで終了である。
  • 細かい点だが、ジャケット裏のスクリーンショットの中に本編に無いシーンがいくつかある。

総評(PS)

SS版をベースにDC版の要素を加えた、「クロス」したブラックマトリクスである。しかしエピローグを始め削除された要素も多く、両者の良いとこ取りとは言い難い出来である。
とは言え、当時主流ハードであったPSのソフトと言う事で、ブラックマトリクスの認知度を高める事に大きく貢献したのも間違い無いだろう。

余談(PS)

本作と『BLACK/MATRIX OO』はゲームアーカイブスで配信されていたが、2010年12月24日で配信終了となっている。今からプレイしたければ現物を手に入れるしか無い。

その後の展開(PS)

本作発売から2年後、PS2用ゲームソフト『BLACK/MATRIX 2』が発売された。2とはあるが本作とは繋がりは無く、「シナリオ工房 月光」がシナリオを担当した事もあり、作風が大きく変わっている。戦闘画面の3D化、ヒロイン毎のシナリオ分岐、全てが丸く収まるハッピーエンドといえるルートがあるなど独自要素を持つ一方、ボイスやムービーが一切無い簡素さや、ストーリーの短さと言った問題点も多い。