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ジーキル博士の彷魔が刻 - (2017/12/12 (火) 14:47:46) の編集履歴(バックアップ)
ジーキル博士の彷魔が刻
【じーきるはかせのほうまがとき】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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メディア
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1Mbit+64kRAMROMカートリッジ
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発売元
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東宝
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開発元
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アドバンスコミュニケーション
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発売日
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1988年4月8日
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定価
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5,300円(税抜)
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プレイ人数
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1人
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判定
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クソゲー
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ポイント
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何故ゲームにした? 超屈強な市民から執拗に妨害を受けるジーキル博士 攻撃範囲狭すぎ、足遅すぎ わけのわからないゲームオーバー条件 プレイヤーがハイド氏に変貌必至
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概要
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二重人格を題材にした代表的な古典文学として知られる『ジキル博士とハイド氏』をモチーフとした、アクションゲーム…と思われるよく解らないゲーム。
システムそのものを抜き出せば斬新で、面白そうとすら思えるが、説明不足のため投げ出したプレイヤーが多い。
特徴
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主人公・ジーキル博士が、結婚式のために教会へと向かうのが目的の横スクロールアクション。
だが、道中では、市民や虫・動物・爆弾魔の妨害を避けなければならない。
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これといい、FCゲームのロンドン市民は暴徒か何かなのだろうか?
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博士はライフゲージとストレスメーターの2つがあり、妨害を受けるたびにどちらかが少しずつ減っていく。
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妨害によってストレスメーターが一定以上減ると、黄色いパーカーを着たハイドモードに移行する。
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ハイドモードではマップが左右反転し、左方向に進む強制スクロールとなる。つまり、ハイドモードでは原則ジーキル博士が歩む道の裏を進むことになる。
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ハイドモードではグラフィックが荒廃したものになり、現れる敵も何故かロンドン市民ではなくモンスター軍団となる。
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ハイドモードでは敵を倒すとストレスが発散される。ストレスゲージを0に戻すことによってジーキルモードに戻ることが目的。
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なぜかハイドモードから復帰する際にライフが全快する。このため、「ライフが減ったらわざとストレスを溜めてハイド氏になる」というプレイも可能。
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ハイドモードでは武装(?)が増え、Bで目の前にパンチを繰り出し、「上+B」でサイコウェーブという飛び道具を撃つことができる。
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飛び道具がある以上パンチの使い道はなさそうだが、飛び道具の性能が悪いので使わざるをえない。パンチは敵の弾も消せるため防御面でも活躍する。
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サイコウェーブは連射が全く効かず、画面内に1発しか出せないうえ、斜め下に打ち出して、蛇行しながら帰ってくるという妙な軌道のためとても当てづらい。
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弾道上、直線状の敵が一番当てにくいのだが、ほとんどの敵は直線状に現れるため、弾が全く当たらずこちらのストレスがさらにたまる
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ある程度敵を追尾するが、弾速が超高速なうえ追尾精度が悪いため、やっぱり当たらない。ジャンプ中に足元まで敵に迫られてしまった場合以外では狙った敵に当てるのはまず不可能。
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ハイド氏がやりたかったであろう「今まで苦しめてきた敵をぶち殺す快感」はないといっていい。
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なぜかサイコウェーブで落ちているコインが回収できる。
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後述するように、ハイドモードではジーキルモードで進んだ距離以上に移動すると死んでしまうので、それまでにストレスを発散しなければならない。
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しかしハイドモードではやけに弾幕が激しく、初めてプレイした人なら大抵は体力が尽きてすぐにゲームオーバー条件を満たしてしまう。
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またハイドモードでは橋が崩れている箇所があり、当然のように落下すると即死してしまう。
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ジーキルより足が速く、屋根まで届くほど高く飛べるが操作性は劣悪のままなので、結局飛び越しにくい
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おそらくこのゲームを前提知識なしでプレイした人の大半はスタート直後の爆弾魔でハイドモードになり、その後すぐに進んでしまいゲームオーバーになるハメになると思われる。
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また、ハイドモードのゲームオーバーの演出(落雷に打たれる)があまりに唐突に出現するため、プレイヤーには何が起こったか解らず、妨害にキレたジーキル氏が、突然変身して雷に打たれる謎のシーンにしか見えない。
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背景グラフィックも左右反転している上に荒廃したものに変わっているため、ジーキル博士が変身したときと同じ位置ということが分かり辛い。
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原作の「薬の作用によりジキル博士とハイド氏が入れ替わる」「やがて薬抜きでハイド氏が現れるようになる」といった設定はガン無視。
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一応「薬の使いすぎで自分の意思と関係なく変身するようになってしまった」と説明書にはあるようだ。
評価点
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グラフィック、特に背景はそこそこ書き込まれており、見た目にはいい。
問題点
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歩行が非常に遅い。英国紳士は走らないとでもいうのだろうか?
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どんな市民も恐れおののく爆弾を目の前にしても、
チンタラ優雅に歩く。いいのかそれで?
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他の紳士・貴婦人は爆弾を見るとものすごいスピードで走り回ることができるのだが。
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何故か最終面では少し速くなる。と言うよりなぜかゲーム全体のスピードが速くなる。
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どうも原作小説ではなく映画や演劇などの派生作品に題をとっているらしく、市民の妨害(敵の攻撃)はまるで
ジーキル博士=ハイド氏であることが分かっており、町ぐるみで殺人鬼の結婚式を妨害しているとしか思えないほどに凶悪且つ執拗。
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特に最終ステージの猛攻は鬼・被害妄想と言う表現がぴったり。プレイヤー自身がハイドモードに突入してしまうことうけあいである。
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以下に敵の一部を紹介する。まさに「疑心暗鬼を生ず」である。
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市民と紳士と貴婦人:普段は歩いているだけだが、爆弾を見かけるとその場から逃げようと恐ろしいスピードで突っ込んでくる。
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ビリー・ボーンズ(パチンコを持った少年):触ってもダメージは受けないが、突然博士に向かって高速のパチンコを放ってくる。
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マーフィ(犬):博士を目指してまっしぐらに突撃。飛び越えてもわざわざ方向転換して再突撃してくる。
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カラス:ふらふらと左右に飛び、ジーキル博士の頭上にうんこでじゅうたん爆撃。
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蜂:不規則にふらふらと飛び回る。ある特徴を持つ唯一の敵。
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蜘蛛:糸でぶら下がっており、ランダムに上下する。下にいれば通れないし上がったと思ったら突然降りてきたりする。
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謎の爆弾魔:後述するようにすれ違いざまに爆弾を置いて逃げていき、市民を博士にけしかける。今作最凶の敵。
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ルナ(猫):普段はただの背景だが、爆弾が爆発するとその音に驚いて全身の毛を逆立てて飛びかかってくる。
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エレーナ・マッコウェン(音痴なオペラ歌手):錯乱して無数の音符(窓にいる時はなぜかハート)を飛ばしてくる。コインを渡すと歌うのをやめてくれる。
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樽:高速で間断なく転がってくる。爆弾魔と並ぶ本作の最大のストレス要素である。
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アーノルド・エベッツ(狩人):現れると鳥(カラスでないもの)を次々と撃ち墜落させてくる。もちろん当たるとダメージ。
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マンションの住人:お互い物を投げ合って喧嘩をしており、窓から障害物を落としてくる。
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もちろん、これら(やその攻撃)に博士が触れるとダメージを受け、ストレスがたまる。
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一方で、英国紳士であるジーキル博士の攻撃手段はステッキを突き出すのみ。おまけにステッキで倒せるのは蜂のみである。
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腰ぐらいの高さで突き出すだけなので蜂が腰の高さまで降りてきてくれないことには当たらない。しかも出も遅い。
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蜘蛛が倒せればかなり楽になるのだが…蜂が倒せて何故蜘蛛が倒せない?
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最凶の敵「爆弾魔」。赤い服に山高帽をかぶった、見た目だけはジーキル博士と同じ英国紳士のなりなのだが…。
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やけに出現頻度が高く、博士の目の前まで来ると爆弾を放って逃げていく。この爆弾が異常なまでに高威力・広範囲。
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爆風の見た目はショボいのだが、なぜか当たり判定は数倍広く、表示画面全域の1/3ほどにもなる。
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おまけにジーキル博士の数歩手前で爆弾を置くため、回避は非常に困難で強行突破は無謀。
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距離が近いと連続ヒットしてストレス0の状態から一気にハイドモードに突入することも
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威力が高すぎるため、ハイドモードに突入した瞬間に死んでしまうことすらある…
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ステージごとに設置から爆発までの時間が異なるのだが、一面が速く、次第に遅くなっていく。
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このせいで一面では前に歩き続けても回避できないが、二面では出来る。そのため一面より二面以降の方が回避は楽である。
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ただし、遅くなっていくのは途中までで、最終面付近ではまた爆発が速くなる。
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こいつの出現で人々はパニックになるという設定らしく、こいつが現れることで貴婦人や猫などもジーキル博士に牙を向いてくる。
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単体でも十分に厄介なのに…。
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なおこの爆弾、たとえ近くに置かれようが市民はおろかクモさえ殺せない。ええい、イギリスの生き物(ジーキル博士でないものを差す)は化け物か!?
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一応、爆弾の範囲は縦方向に狭いため、タイミングよくジャンプすることで強行突破も可能。
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だがタイミングは恐ろしくシビア。しかも強行突破に失敗した場合はほぼ確実に即死する
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クソゲーと言われる原因のひとつが、ゲームオーバーの条件が解りづらいと言うものである。
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ゲームオーバーの条件は以下の3つである。
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1:ライフが0になる。
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2:水の中へ落ちる、もしくは屋根の上から落ちる。
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3:ハイドモードでジーキルモードよりも進む。
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2つ目までは「アクションゲームなら当然」なので問題ないのだが、問題は3つ目の条件である。上述のようにハイドモードは一種のペナルティを受けた状態であり、面を戻ってストレスを解消しなければならないのだが、その説明がない。
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これらの要素が絡み合い「一面が高難易度で後の方が楽」という理不尽な難易度曲線になっている。
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RPGなどでは「何もない序盤よりレベルも上がりフル装備の終盤が楽」ということもしばしばあるが、一切成長や装備要素の無いアクションゲームでこれは異例。
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扉の前で十字キーの上を押すと扉の中に入ることが出来る。
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たいていの扉はしばらくすると出てくるだけで何も起こらない。
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一見無駄な要素だが、爆弾の回避に使うことが出来る。最終面あたりでは必須のテクニックとなる。
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ミセス・レイチェル(窓から顔を出している婦人)の場合はランダムで以下のどちらかが起こる。正直賭けである。
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1(当たり):HP回復、ストレス減少、コイン取得。
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2(はずれ):ストレス増大、コイン減少。
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HPの回復手段はこの扉かハイドモードからの復帰の2つだけである。
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地面から頭しか出ていない扉がやたらにある(入れない)。
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コインは婦人が顔を出している建物に入るか、ハイドモードで入手できるが、効果は音痴な婦人を黙らせるぐらいである。
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エンディングは2種類あるが、ハイドモードへの移行を極力避けるとバッドエンドになる。
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早い話が、グッドエンディングのほうが簡単に到達できる。
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一応ネタバレ注意
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普通にジーキル博士でクリアしてもエンドマークが出るだけのバッドエンディング扱いだが、ハイドモードで最後まで到達するとグッドエンディングを見ることが出来る。
ただし一度もハイドになっていない場合、例えジーキルが最終面にいてもハイドは1面からとなる。面倒くさい。
グッドエンドではラスボスの魔界王レテュール(道中にもいた緑の仮面のような敵の本体)との戦闘終了後、何者かが教会の十字架の上に絞首され、その後ジーキルに戻って無事結婚式を挙げるというめでたそうなデモが追加されるものの、エンドマークが出てからしばらく待っていると、反転した「END」の文字とともに十字架に貫かれたハイド氏の姿が映し出される。
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曲数が少なく後半になっても変わらない(雰囲気は良い)と、クソゲーの要素を手堅く押さえる。
総評
キャラゲー(?)としては色々と凝った作りであり、バランスはともかく「システムが手抜き」という訳ではない。
凝ったシステムが尽く裏目に出ているという割と珍しいタイプのクソゲーである。
これならひ弱なジーキルが薬でハイドに変身し市民に復讐し回る…といった方がまだゲームとしてやり易かったかもしれない。
もっとも、それでは『ジキル博士とハイド氏』というより『突然! マッチョマン』であるが…
海外版
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Dr. Jekyll and Mr. Hydeのタイトルでバンダイから発売された。
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何故か海外版ではステージ数が減り、その分同じステージを何回かやらされるらしい。
日本語版と一面が違うのはそのため。