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FIST - (2020/05/06 (水) 10:10:57) の編集履歴(バックアップ)


FIST

【ふぃすと】

ジャンル 格闘ゲーム

対応機種 プレイステーション、セガサターン
発売元 イマジニア
開発元 元気
発売日 1996年11月22日
定価 【PS】5,800円
【SS】6,800円 (共に税抜)
レーティング 【PS】なし
【SS】セガ審査:全年齢推奨
判定 クソゲー
ポイント 美少女を売りにしてるのにポリゴンが壊滅的
ゲームバランスも良くはない
声優とBGMは無駄に豪華


概要

かつてセガサターンにおけるクソゲー四天王の1角と呼ばれていたゲーム。
『制服伝説プリティ・ファイター』『制服伝説プリティ・ファイターX』に続く美少女格闘ゲームシリーズ第3作だが、前作から続投となったキャラクターは3人のみ。前作までは2D格闘ゲーだったが、今作では当時流行の3D格闘ゲーになった。
前作までもバカゲー認定は受けていたが、少なくともグラフィックは原画に忠実ではあった

SS版・PS版の同時発売。初回限定版にはドラマCDが付属。


問題点

+ まずはこの中の動画を見て欲しい。見なければ始まらない

悪夢である。

  • 各キャラは、イメージイラストやデモなど2Dでは可愛いアニメ絵で描かれているのだが、プレイヤーが使用する3Dポリゴンキャラクターは稚拙なモデリングに子供の落書きのような顔グラテクスチャを貼り合わせた、2D絵とは似ても似付かぬモノとなっている。
    • デベロッパーの元気は、この当時はまだ『首都高バトル』などのレースゲームの開発が中心であり、3Dアクション系は殆ど携わっていなかった。すでにPSで『首都高バトル』シリーズを売り出してはいたが、まだ人間を造形する技術力が足りていなかった可能性がある。とはいえ、せめてビジュアル面だけでも如何にかならなかったのだろうか。美少女キャラクターをウリにしているのならなおさらである。
    • SS版はキャラクター紹介の項目でカメラ視点を切り替えてスカートの中を覗く事もできるのだが、このグラフィックでそれを望む人間はおそらく存在しないであろう。
    • 更にSS版は3D表現が不得手な分、PS版に輪をかけてポリゴンの出来が悪い。1,000円の差があるにもかかわらず
      • この時期のPSのソフトは値引き不可だったため、定価ではSSのソフトの方が高くとも売価は大差なかったことを付記する。
    • クマ(?)の着ぐるみを着た「土月真澄」に至っては『鉄拳』シリーズの木人か、麩菓子のようにしか見えない。アニメ絵のダボダボのきぐるみとは反対に体に張り付いた自由工作のネズミのような姿は「段ボール」などと呼ばれる。
    • ちなみに本作の発売は1996年11月だが、その8ヶ月前にはPSで『鉄拳2』が、さらに約1年前にはSSで『バーチャファイター2』が発売されていたことも、本作の3Dポリゴンの出来の悪さに拍車をかけているといえる。
+ 上の動画を見終わるまでは開かないように!!
かわいいイラストのマリンちゃん こわいいポリゴンのマリンちゃん

何故この出来で世に出してしまったのか?

  • ビジュアル面ばかり悪目立ちしすぎるので、ゲーム性はそれに隠れてしまっている感があるが、これについてもクソゲーおなじみの劣悪ゲームバランスと言わざるをえない。
    • 操作に関しては、キャラクターの反応が妙にズレている。
    • ハメ技があるので、これで簡単に勝ち進んでしまう。
    • PS版は後退が出来なくなり更に悪化。さらに空中コンボも殆ど出来なくなるなどSS版に比べて劣化している部分も多い。
  • 演出面でも首を傾げたくなるような部分がある。
    • ストーリーは「アイドルになりたかったら勝負して勝ち上がりなさい」というもの。なのにマッチョマン2人が参戦。アイドル志望とは一体…。
    • マッチョマン2人のうち、不良系イケメンの「アーツ」はそれなりに女性の需要がありそうだが、モヒカン頭かつタラコ唇で色黒の「アンディ」は誰得と言わざるをえないだろう。
    • さらに着ぐるみ娘の「土月真澄」はマッチョマン2人が普通に見えるほどアレな風貌なので存在意義が不明なキャラクター。これなら前作から中の人が同じキャラクターの「緑川みなみ」を続投させたほうがマシである。

評価点

  • 声優だけは無駄に豪華。
    • ざっと挙げると、女性キャラには氷上恭子氏、大谷育江氏、井上喜久子氏、田中敦子氏、岡村明美氏、國府田マリ子氏が、男性キャラにも石田彰氏と星野充昭氏が…と、明らかに力を入れる場所を間違えてると言わざるをえないほど一流所揃い。
  • BGMも無駄に豪華。
    • ただ、アンディのテーマ*1のように場とマッチしていない代物がある。
  • オープニングムービーやゲームを進めていくと挿入される一枚絵のクオリティも無駄に豪華。オープニングにはアニメーターを6人も使っている。
    • ただしオープニングムービーはPS版にしか用意されていない。
    • 上記の画像のとおり、キャラクターの1枚絵は時代性こそ感じるが非常に可愛い。それ故に3Dポリゴンが壊滅しているのが目に付いてしまうだけなのだが。
    • パソコンゲーム誌の編集者である前田尋之氏の公式サイト「電脳世界のひみつ基地」のライター松田氏も「イラストは良かったのだから2D格闘ゲームにしていれば評価が違っていたのではないか」と評している。

総評

美少女キャラクターを一番のウリにしておきながら出てくるのは、もはやキャラクターとは呼べない崩れた豆腐。これが本作の評価を決定づけた。こんなオープニングを作れるなら本編も2Dで作る方がよかったのでははないかとすら言われてしまっている。
流行に乗って3D化したものの技術力も何もかも追いつかず、(機種による差異はあるものの)酷い外観に目をつぶった所でゲームとしてもまともに遊べない、ネタにするしかできないゲームと化してしまった。


余談

  • この時の縁がきっかけかどうかは不明だが、翌月に元気はイマジニアと再びタッグを組んでN64で『超空間ナイター プロ野球キング』を、翌年にはSSで『首都高バトル'97』を発売している。
    • 『超空間ナイター』については当時の他の野球ゲームと同様2頭身モデリングであるが、選手ごとに顔グラフィックが描かれており、ビジュアル面で好評であった。それだけに、なぜ本作がこのような壊滅的な造形になってしまったのだろうか。
  • 本作の企画担当である黒田愛実氏は、本作への批判が相次いだことについて「自分の名前を公表しない者が、自分(黒田氏)とその作品を名指しで批判するようなことが許されるのか」と語っていた。
    • もっとも、黒田氏はPS版のオープニングムービーで『新世紀エヴァンゲリオン』の庵野秀明監督ばりにクレジットがデカデカと掲載されていたため、全責任を押し付けられてしまった側面もあるといえる。