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ゼノサーガ エピソードII 善悪の彼岸 - (2013/11/17 (日) 03:04:09) の編集履歴(バックアップ)


ゼノサーガ エピソードII[善悪の彼岸]

【ぜのさーが えぴそーどつー ぜんあくのひがん】

ジャンル RPG


対応機種 プレイステーション2
発売元 ナムコ
開発元 モノリスソフト
発売日 2004年6月24日
定価 通常版:7,329円
プレミアムボックス:18,690円
廉価版 PlayStation2 the Best:2005年11月2日/2,800円
分類 クソゲー
ポイント 2004年クソゲーオブザイヤー大賞
雑魚戦のテンポが劣悪
使い所を間違えて台無しのBGM
シナリオ、台詞回し、イベント演出もクソ
結果的に壮大なシリーズを崩壊させる
邪神モッコス
クソゲーオブザイヤー関連作品一覧
ゼノシリーズリンク


概要

スクウェアから発売されたRPG『ゼノギアス』の設定を、スクウェアを離れたスタッフがナムコに拾い上げられて立ち上げたゲーム会社・モノリスソフトが再構成することで生まれた『ゼノサーガ』シリーズの二作目。

前作はムービーの量が非常に多い「ムービーゲー」であったが、そのムービーの演出の良さ、ゼノギアス譲りの濃厚なシナリオ•テキスト、光田康典の壮大な音楽といった点から、ファンなどはムービーゲーであることもある程度許容していた。
売上自体も新規タイトルとしては良好な部類で、海外でも評判は良かった。そのため続編への期待も高かった。
しかし、前作で総監督・脚本を勤めていた高橋哲哉氏が突然原案・監修という一歩引いたポジションに移り、殆どのスタッフが一新されていた。

前作からの変更点

  • キャラクターデザイン
    • 前作は田中久仁彦氏のイラストに忠実な3Dグラフィックであったが、今作は8頭身に近いリアルなものになっている。
  • バトルシステム
    • 前作にあった「ボタンの組み合わせによる必殺技」といった概念を必殺技ごと削除。全く新しいシステムとなっている。
    • まず攻撃に「上段」「下段」「空中」という3つの属性の概念があり、キャラクターはそれらの通常攻撃の組み合わせで敵を攻撃する。
    • 敵には上記の3つの属性のうち2つの組み合わせが弱点として設定されており、敵に効率よくダメージを与えるにはうまく連続で行動して弱点をついていく必要がある。
    • コンボのためには敵の弱点を突いたり行動をスキップすることで貯まるストックと、敵を攻撃することで貯まるブーストゲージが必要。
    • ストックはキャラクターが連続で行動する為に必要なもので、1つにつき一回の連続行動が可能。ブーストゲージは次の行動順に強制割り込みするというもので、ブーストをかけ、敵の弱点を突いて敵をブレイク状態にすることで敵に与えられるダメージ倍率が上がる。
    • 前作のA.G.W.Sに代わり、E.S.と言う巨大ロボットが登場。ロボットでダンジョンを動き回るなど、ゼノギアスに近いシステムも追加された。

問題点

  • キャラクターデザインに批判続出。海外需要狙いで中途半端にリアルなデザインに変更され、日本のファンにも海外のファンにも受け入れられないという惨状。
    • 攻略本のインタビューで、プロデューサーの蘒原智洋氏はジギーを好きなキャラとして挙げているが、その理由の一つが「ep1のスタイルのままだから」というものだった。
    • 更には後年、キャラデザ担当者が出した同人誌に「メーカー側からの命令だったが、やはり失敗だった」というメッセージが載せられた。
    • 前作のキャラクターデザインは田中久仁彦がゼノギアスより引き続き担当しており、CGグラフィックも田中氏の絵を忠実に再現していた。
      • ただその忠実さゆえ「CGだと少し気持ちが悪い」とする者もおり、そういったファンからは「ほんの少し修正してほしい」と望む者もいた。だがあまりの大幅変更に、こういったファンからも批判されてしまった。
  • 戦闘システム
    • 前作で問題のあった戦闘のテンポは、一人行動するのに10秒近くかかるような長い必殺技がほぼカットされたものの下記の点が目立ち、根本的解決には至らなかった。
    • 戦闘システムの意味を正確に理解しなければ雑魚ともまともに戦えない程戦闘バランスがキツい。
      • 上記の弱点も通常状態では2連続行動しか出来ないため、ブーストを使わないと効果的なダメージが与えられない。
      • さらにダメージの倍率を上げるには敵をうちあげるか地面に這いつくばらせることが必要だが、ブーストしなければその状態を継続できないため一気に畳み掛ける以外の選択肢がとれない。
    • そのため、戦闘開始して先ずやることは、相手の弱点探しとストック溜め、魔法で敵の弱体化の繰り返し作業となるので、雑魚戦でも戦闘開始から畳み掛けるということができない。
    • 敵の攻撃力は全体的に高めで、また敵もブーストゲージで行動割り込みを掛けてくる厳しいバランスのため、確実に敵の頭数を減らしていかないと雑魚相手でも全滅確定。
    • 味方の攻撃力はコンボを前提とした低めの設定になっており、一人で殴りに行くよりは回復かストックしてたほうがマシな場合が多い。
    • このためボス戦では(後述)頭を使う歯ごたえのある戦闘を楽しめるシステムではあるものの、後半にいけばいくほど雑魚との戦闘テンポが悪化していく。
    • また必殺技が消失した事で、戦闘の派手さがほとんど無くなり、エフェクトが全体的にしょぼい事もあいまって非常に地味な戦闘となってしまっている。
  • 音楽
    • 前作の光田康典氏から交代し、.hackシリーズなどを手がける梶浦由記氏がイベント部分の音楽を作曲した。
    • だが前作のクラシック系の音楽からサイバーチックな音楽となってしまったため、世界観にあっていないと批判する声もあり賛否両論。
    • 通常戦闘曲等も、前作と雰囲気が違いすぎて賛否両論。
  • ストーリー面
    • ライターが『フロントミッション3』などでシナリオを担当していた米坂典彦氏に交代した。
    • 前作で高い評価を得ていた台詞回しが全体的に稚拙となり、シナリオ面でも前作と整合性の取れていない点が多数見られる。『FM3』は別物感こそあれ評価は高かったのだが……
    • 脈絡のない場面転換から始まり、ストーリー中盤の重大イベントをナレーションで補完し、次に操作可能になった頃には全く状況が変わっているという『ゼノギアス』のDISC2*1のような展開がある。
    • EP1からの伏線は大方無視。しかも伏線が集中していた惑星は木っ端微塵に。
    • 意思疎通が出来ない設定であるはずの敵が、普通に共通言語をしゃべり始める。
    • 一作目で主人公であった「シオン」はとても社交的な性格をしていたのだが、今作以降自己中心的な性格(独断行動やヒステリックな言動、暴言を吐くなど)に変化していき、それに対する心理描写が足りなすぎる。
      • DS版では今作のような描写はなく、そういった言動をするシーンにもしっかりとした心理描写によるフォローが入っている。
    • また、シオンはメガネをかけたキャラクターなのだが、今作では特に重大な理由モなく破壊される。
      しかし、このメガネは実は重要な意味がある物だったことがDS版にて明かされる。なぜ重要な設定物を破壊したのか謎。*2
      それ以前にEP1のムービーをしっかり見ていれば分かるが、メガネのレンズ部分はホログラムであり、実体化しているのは鼻当ての部分だけでフレームと耳当ては存在しない。つまり本来破壊すること自体が不可能な構造である。
    • 完結編のシナリオも米坂氏が手がけているが、キャラクターの変わり果てた性格や台詞回しには否定的意見が多い。
  • 演出面
    • BGMの選曲がおかしい。
      • 敵対組織の幹部同士のシリアスな会話シーンでヒップホップが流れる等、まったく場面の空気が読めていない。
    • ムービーの出来が完全に終わっている。
      • どこからどう見てもPS2とは思えない、PS初期レベルの悲惨なクオリティのムービーが大量にある。リアルタイムレンダの方はかなり完成度が高いのだが、なぜムービーの方がレベルが低くなるのか。
      • ゼノサーガシリーズにて「ストーリー」「演出」は最重要事項であり、そういった魅力が大量に削がれた衝撃は大きかった。
  • 音量の調整がおかしい部分がある。
    • 一部の戦闘中、味方のセリフの音量は低いのに、敵のセリフだけ大音量になる。
  • G2キャンペーンというサブイベント要素が大量にあるが、ストーリー的な面白みが殆どない純粋なお使いばかり。
    • またG2キャンペーンをクリアしないと効率の良いアビリティが手にはいらないため、結果的にこのサブイベントをクリアしないとストーリーを効率よく進められず、自由度が低下している。
      • もともとep1から自由度が高い作品ではなかっただけに、余計に不満が高まってしまった。
    • G2キャンペーンの中でも「借金返済イベント」は、非常に面倒なものになっている。
      • 100万Gの借金を返さなくてはならないが、本作の換金アイテムは安くて200G、高いレアアイテムでも4000Gと目標金額に対して売値が安すぎる。装備品や消耗品も売れるが、それでも100万Gにはなかなか届かない。
      • 攻略本の解決策は「ラスボス(後述の実質的なラスボス)を18回倒して、手に入れたアイテムを売ろう」というもの。本作は、クリアデータをロードすると実質的なラストダンジョン直前から始まる仕様になっているが、ラスボス後のイベントバトル等を含むと地味に時間がかかる。
      • 18回スタッフロールを見ることになるが、スキップ不可能である。
  • ゲーム的な意味でラスボスと言えるようなキャラクターが存在しないことに不満を持つユーザーもいる。
    • どういう事かと言うと、本作のラストダンジョンはザコ敵が一切存在せず、ラストバトルとなる最後の一騎打ちもイベントのようなものなのである。従って、その前のダンジョンが実質的なラストダンジョン。そこのボスが実質的なラスボスとなる。つまりラストダンジョン一歩手前のダンジョンをクリアした後は、長いエンディングを見るようなものである。
    • そのためかDS版では最後の一騎打ちにパーティ全員が参加するよう変更された。ラスボスも相応の強さになり、PS2版のようなイベントバトルではなくラストバトルに相応しい戦いになっている。。ラストダンジョンもエンカウントしたり中ボスがいたりと、それらしいダンジョンになっている。
    • ちなみに実質的なラスボスはと言うと、見た目は普通の老人が後ろに破壊兵器を従えているもの。実際には戦うのは老人の方で、後ろの兵器は思い出したように強力な攻撃を放つのみ。ビジュアル的にもラスボスらしさは薄いし、名前も個人名ではなく役職名である。
      • DS版では後ろの兵器とのロボットバトルに変更された。
  • 限定版「プレミアムボックス」の特典である、ヒロイン「KOS-MOS」のフィギュアの出来が話題となり、今尚伝説として語り継がれている。気になる方は以下の画像を参照。絶望を味わうことができるだろう。
    • あまりの酷さについたあだ名が「邪神モッコス」。以降、顔の出来が極端に悪いフィギュアに対して「 邪神像 」という呼び名が定着した。邪神崇拝サイトなるものまで存在するほど。
    • 挙句の果てには、googleで「邪神」と検索するとほぼトップにモッコス関連のサイトが出るようになってしまった。
      • ちなみに英語訳でも"Jashin MOK-KOS"あるいは"Evil God MOK-KOS"となっている。
    • このプレミアムボックス、上のデータ欄にもある通り通常版より1万円以上も高い。ビジュアルブックやバイクフィギュアなども特典に含まれるとは言え、どう贔屓目に見てもこの「邪神像」だけで数千円は取っている計算である。
+ 邪神モッコスの御姿

座ったポーズになっているのは同梱のバイクフィギュアに搭乗させるためである。よく勘違いされるが固定フィギュアではない。

+ ゲーム中のキャラデザとの比較

これを見ればわかると思うが、実は出来の割に再現度が高い。デザインの改悪も悪印象の一端を担ったと言える。

  • その他
    • 本作では武器や防具などの装備が存在しない。上記のキツいバトルにおいて頼みの綱は己のパラメーター、スキル配分、戦略のみとなっている。
    • 店や宿屋と言った施設が削除された。今回はセーブポイントで回復できるので宿屋は問題無いが、ショップが無い所為でアイテムは全て宝箱かドロップで入手しなければならず、無駄遣いは許されず常に節約が求められる。

評価点

  • 戦闘面
    • ボス戦では弱点がわかっているならガンガン弱点コンボを稼いで大ダメージを与えられるという爽快感がある。そのためボス戦はそこそこ評判が良い。ただし予め弱点の情報を得ていないとやはり弱点探しの作業から始めないといけないが…。
    • また、属性値といった概念がわかれば、ストックとブースト溜めの作業は挟まるものの、戦略的な戦闘が可能。戦略性ならシリーズの中でも高めの部類である。
      • 光る部分は少なからずあったため、テンポさえ良ければと惜しむ声もあったりする。
  • 音楽面
    • 上記にもあるが、梶浦由記氏の手がけた音楽はしっかりしており評価する声は存在している。
      • 単品で聞く分には特にひどい音楽というわけではない。問題は演出面での使いどころが異常なほど悪かったということである。
      • サウンドトラックの評価でも「今作での唯一の評価点」とも言われている。
  • 背景グラフィック
    • 背景グラフィックはシリーズ通して非常に美麗である。水なども特に美麗。

総評

前作からスタッフを一新したことにより、一気に殆どの面でクオリティが低下。これは有能なスタッフがこのゲームから退き、代わりに入った連中が無能だったからだとされている。(参考)また、親会社であるナムコの中途半端で先見の明がまったく感じられない成果主義も遠因になったと思われる*3

その後

余談

  • 女優、吉高由里子は本作のTVCMでデビューを飾った。