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ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル - (2020/12/05 (土) 12:41:49) の編集履歴(バックアップ)


注意:このページでは『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル』と、移植版『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リマスター』を併せて紹介する(判定はどちらもなし)。



ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル

【ふぁいなるふぁんたじー・くりすたるくろにくる】

ジャンル アクションRPG
対応機種 ニンテンドーゲームキューブ
メディア 8cm光ディスク 1枚
発売元 任天堂
開発元 ゲームデザイナーズ・スタジオ、スクウェア・エニックス
発売日 2003年8月8日
定価 7,140円
プレイ人数 1~4人
セーブデータ 22ブロック使用
周辺機器 2人以上で遊ぶ場合、人数分のゲームボーイアドバンスとGBAケーブルが必須
(ソフトにはGBAケーブル1本が同梱)
判定 なし
ポイント 任天堂ハードへの復帰作
シングルプレイが若干味気ない
マルチプレイと世界観などは好評
ファイナルファンタジーシリーズ関連作品リンク
クリスタルクロニクルシリーズ  FFCC / RoF / CLK / EoT / CLD / TCB

概要

  • 1996年を最後に長らく絶縁状態にあった任天堂とスクウェアの復縁のための作品であるFFCCシリーズの第1作。
  • プレイヤーは村のキャラバンとして、村を瘴気から守るクリスタルを維持するため「ミルラのしずく」を求めて旅をする。
  • なお、システムについては「マルチプレイ」を前提として記述する。

システム

  • プレイヤーは4つの種族の中から一つを選ぶ。それぞれ長所や短所があるため、自分に合った種類を選ぶ必要がある。
    • なお、性別によって若干ではあるが能力が変わる。見た目も4つの中から選べるが、こちらは性能差はない。
+ 簡単な種族説明
  • クラヴァット
    • 防御力が高く、ガードの性能が高い・固有装備の防御力が全体的に高いと言う点もあり、防御重視で壁役を務めることが多い種族・・・と見せかけ、実際は生粋の戦闘民族。 物理・魔法ともに全種族で最高クラスの性能を誇っている為、苦手な事が一切無い。特に男性は攻撃モーションにも優れ、必殺技も優れており、凄まじい万能キャラ。 しかし、これは同時に問題点でもある。
  • リルティ
    • 攻撃力と防御力が高い。攻撃モーションや必殺技なども優れており、攻撃特化の種族。ただし魔法に関しては完全に無能。基本的な魔法一つ唱えるにも時間がかかるため、攻撃手段としては使えない。
    • また、力持ち故に後述のクリスタルケージを持ち運ぶ際に移動速度が下がらないというメリットもある。
  • ユーク
    • 魔法のステータスが最も高く、射程・詠唱・効果時間にも優れる。しかし攻撃力と防御力は非常に低く、直接戦闘も苦手、必殺技もあまり役に立たないという、分かりやすい魔法特化型の種族。
  • セルキー
    • 攻撃力が高めで、必殺技の発生が最も早い攻撃重視の種族。射撃系の必殺技が多い為それを生かした一撃離脱戦法が有効で、ガードの挙動も他種族と違って回避行動である。ただ防御力は少し低めで、魔法もリルティよりはマシだがあまり得意ではない。
  • 攻撃や魔法といった「コマンド」はコマンドリストにアイテムや魔石をセットすることで使用できる。コマンドはL・Rボタンで切り替え、Aボタンで使用する。同社の『キングダム ハーツ』に近い。
    • 武器攻撃を行う「たたかう」、種族ごとに異なる防御行動をとる「ぼうぎょ」は固定で、残りにアイテム、魔石をセットする。
      • ハート(HP)を回復する食べ物といった使い捨ての消費アイテムもリストにセットできるが、これらは使用するとスロットからなくなる。
      • アイテムはメニューから使用することもできるが、マルチプレイだとその間もゲームは進行するためあまり実用的ではない。ただし、シングルプレイではメニュー画面を開いている間はポーズ状態となるため、落ち着いて回復可能。
  • 装備品は基本的に直接購入するのではなく、レシピを入手し、必要な素材とギルを用意して鍛冶屋で作ってもらうことで手に入れる。
    • また、場所によって作れるものと作れないものが大きく分かれており、その村に出向く必要がある。
  • ダンジョン攻略時に重要となるのが瘴気から身を守るための道具「クリスタルケージ」(以下「ケージ」と記述する)。
    • ケージを中心とした一定範囲を越えるとHPが減っていく*1うえ、カメラは基本的にケージを中心に動く。このため移動の際には誰かがケージを持ち運ぶ必要がある。
    • ケージには火・水・風・土の四種類の属性が存在し、属性に応じて特定の状態異常に一段階強くなる。ダンジョン内の仕掛け「ホットスポット」を使う事で、ケージの属性をそのホットスポットが有している属性に変更可能。
      • キャラバンの行く手を阻む瘴気ストリーム*2を通過する際は、ストリームの属性とケージの属性を合わせる必要がある。瘴気ストリームの属性は年毎に一定の法則で変化し、ホットスポットの属性がダンジョン毎に決まっているのもあって、状況次第では移動可能なエリアが大分限られてくる*3
  • 登場するダンジョンは全部で12種類。プレイヤーの目的である雫はダンジョンの最深部にあるため、ダンジョンの探索が必須となる。
    • ダンジョンは基本的に一本道。道中にある仕掛けを解きつつ進んでいくことになる。
    • 最後にはボスが待ち構えており、これを倒すことでクリアとなり、雫が手に入る。3か所のダンジョンをクリアするとケージに雫がいっぱいになり、一年が終了する。
      • なお、雫は一度取るとそのダンジョンからは2年間取れない。ただし攻略自体は可能なので、アーティファクト集めに励むのも良い。
    • そして2年後に雫が得られる頃には難易度が上がる。最大3周分まであり、新たな敵が出現・敵の能力が上がる・出現数が増える・ボスの攻撃パターンが増えるなど、ダンジョンの難易度が上がると同時に手に入るアイテムやアーティファクトも豪華になる。
  • 魔法を使うにはダンジョン内で「魔石」を拾う必要がある。
    • 魔石はそのダンジョン内でのみ有効。最初から魔法を使うためにはあるアーティファクト(後述)を入手する必要がある。
      • また、マルチプレイ時はマジックパイル(魔法のターゲットリングを合わせてタイミングよく発動する)によって強力な合体魔法が使用できる。特定のモンスターは合体魔法を使わなければ有効打を与えられないため、マジックパイルはマスターしたほうがよい。
    • なお、魔法の使用は詠唱に時間がかかることを除けばノーコスト。魔石さえ拾えばそのダンジョン内では使い放題。
  • 成長は経験値ではなく、ダンジョン攻略後に「アーティファクト」を入手することで行われる。
    • アーティファクトは道中で拾った物と、クリア時に手に入る物から一つ選ぶ。
      • クリア時に手に入るものは、課題の評価が高いほどいいものが出やすくなる。
    • アーティファクトには「こうげき」・「ぼうぎょ」・「まほう」といった基本能力を増やすもの、ハート(HP)やコマンドリストなど装備では賄えない要素を増やすもの、常時魔法が使えるようになるものといったバリエーションがある。
      • ただし、一度取得したアーティファクトは再入手できない。そのため、粗方集めきるとクリア時に入手できるアーティファクトが一つも無いという事態も頻繁に発生する。
    • マルチプレイ時はプレイヤーごとに与えられた課題(ダメージを受けない、物をたくさん拾うetc)をこなすことで溜まるポイント(数値は最後のリザルトでのみ発表)が最も高いプレイヤーから順にアーティファクトを選べる。
    • 独特な成長システムであったが、続編には引き継がれなかった。

シングルモードについて

  • 本作はマルチプレイを推奨しているが、一人でもプレイは可能である。マルチプレイとは異なる点が多いが、一応シングルプレイにもある程度までは配慮されている。このシングルプレイについての問題点は後述する。
  • マルチプレイでは誰かがケージを運ぶ必要があるのだが、シングルプレイだとケージを運ぶ専用のNPCとしてモグが付いてきてくれる。
    • また、モグは一定条件を満たすと魔法で援護してくれる。魔法剣や合体魔法に活用できる。
  • マルチプレイでの合体魔法は複数人でマジックパイルする必要があるが、シングルプレイでは必要な魔石さえ揃っていれば詠唱時間こそかかるものの一人で発動できる。
    • タイミングを合わせる必要がないので、合体魔法の詠唱に関してはマルチプレイよりも楽。発動にコツがいるヘイストやストップでも簡単に使える。ただしその分詠唱時間は長くなる。
    • ただし、アレイズやスロウガなど一部の合体魔法は使えない。
  • 上述したように、マルチプレイではメニュー画面を開いている間もゲームは進行するが、シングルプレイだとメニュー画面を開いている間、ゲームはポーズ中と同様の状態となる。
  • プレイヤー一人であることに配慮してか、敵の能力や出現数がマルチプレイに比べ少し易しくなっている。
    • 特に敵の能力の上昇幅は2.5倍までに抑えられており、ちゃんとプレイヤーを強化していれば理不尽な難易度にはならない。
    • ちなみに、マルチプレイでは人数にもよるが敵の能力は最大で約4.5倍にまで跳ね上がる。

評価点

  • 美しいグラフィック。
    • FFメインシリーズと違ってプリレンダリングムービーは無いが、光の屈折やクリスタルケージの範囲を瘴気が避けていく様など当時の極限まで表現されたグラフィックは今見ても美しい。オープニングムービーは演出も含めて出色の完成度と評してもいいだろう。
    • モグのフワフワした毛は非常に細かく描かれているだけでなく、特定の場所でカラーリングやカットが可能。プレイしている内に段々と色は落ち、毛は伸びて元に戻っていくなどかなり芸が細かい。
  • 世界観、設定、キャラクターも高評価。
    • 本作の目的は、人体に悪影響がある瘴気を僅かながら払えるクリスタルを一年に一度清める為、ミルラの樹から採取できる雫を一年に三滴集める事。この設定ゆえに、基本的には何十年でも旅が可能。
      • 最後のダンジョンでは「ミルラの樹の雫は忘れられた思い出によって生まれる」といった世界の構造の真実を知る事ができ、そのダンジョンのボスを倒す事でエンディングを迎える事となる。
    • 作風は絵本や児童文学的であり、街や住む人々は素朴で優しい空気を持っている。
    • ダンジョンも、開始時に語られる掌編の語りが本作の雰囲気を魅力的な物にしている。テンポを重視するユーザー向けに語りのスキップも可能。
    • アートワークの方向性や霧のように世界を覆う瘴気など、漂う雰囲気は全体的にFFIXの影響が強くスタッフの重複も多い。とあるキャラのゲスト出演もある。
      • ただし世界背景はIXとは違って退廃的であり、後味の悪いシナリオも多い。*4
    • イベントやダンジョンクリア後は「日記」に出来事や主人公の心情などが記載されていく。暗いイベントの後には切ない余韻を、愉快なイベントの後には思い出して笑えるような内容が書かれてある。
  • メインの要素であるアクションも好評。
    • 本作の肝ともいえるマジックパイルは、シンプルながらも本作にマッチした物である。
    • 操作性やゲームバランスもこれと言った不備もない。
    • ラスボス戦では日記に記載された内容の数だけ救済措置を得られるなど、非アクションのシステムも本作の設定に合わせて意外な形で役立ったりも。
  • 音楽
    • 谷岡久美が手掛け、楽団ロバハウスが奏でるケルト調楽曲の数々は本作の世界観と相まって高い評価を得ている。
    • Yaeの唄う「カゼノネ」や「星月夜」も本作とマッチしている。ダンジョン開始時の語りも担当している。

賛否両論点

  • 元々オンライン仕様の予定だった為か、ストーリーは淡白で操作キャラも無個性。そうしたストーリー要素を求めるFFファンには勧められない。
    • ただ、イベントの内容自体は悪い出来ではない。日記やサブイベントなどテキスト自体も多く用意されている。
    • 前述した通りシステムの出来は良いため、明確なストーリー性を重視しないユーザーにはさほど気にならない要素ではある。
  • ケージと瘴気の仕様による移動の制約。
    • 瘴気から守ってくれるケージの範囲がやや狭いため、~ガ系の魔法などの広範囲の攻撃を避ける際、ケージの範囲から出ざるを得ない事もある。
    • リルティ以外がケージを運ぶ場合は移動速度が遅くなる為、そのキャラに合わせて移動を合わせなければならない。また、運ぶキャラは攻撃や防御のアクションが行なえず、アイテムも拾えないため色々と損な役回りである。
    • 特に瘴気ストリームを通過する時は全員が歩行速度を合わせ、少しでもケージの範囲から出れば押し戻される為、結構神経を使う場となる。
      • この制約によって団体行動や立ち回りなど考えながら戦闘する必要がある為、そこを面白味と受け取るか窮屈と受け取るかで賛否が分かれる。
    • シングルプレイ時にケージを運び役として同行してくれるモグは、こちらの操作に合わせて付いてきてくれる。
      • そう聞くと瘴気を気にしなくて楽そうに思えそうだが、「疲れたクポ」といって移動速度が低下する場面がある。当然進めばモグは遅れてくるため操作キャラは範囲から出て瘴気の中に入ってしまうため、Xボタンでケージを降ろしたり、その場に留まるなど休憩させる必要がある。
      • なかには「キランダ火山」というダンジョンでは暑い場所ゆえかすぐに疲れるなど妙な作り込みこみも。単なるケージ運びのNPCではなく共に旅する相棒としての個性付けなのだろうが、人によっては煩わしさもあるかもしれない。
      • 立ち回りに慣れている事が前提ではあるが、戦闘中はケージを降ろして魔法で援護してもらうなどすれば比較的スムーズに進められるだろう。
  • 一部のアーティファクトがやたら出にくい。
    • 全てのダンジョンに3周目で与えられた課題について高得点を出した場合、4分の1の確率で出現するアーティファクト(以下『レアアーティファクト』と記述)がある。この説明で大体察していただけるとは思うが、レアアーティファクトの入手は困難を極める。
      • 与えられる課題については「ダメージを与える」「魔法で敵を倒す」といったオーソドックスなものから、「魔法攻撃に耐える」「たたかうで敵を倒さない」といったプレイングに工夫が必要で達成が難しいものもある。ダンジョンに出入りすれば課題が変わるので、最も簡単であろう「ダメージを与える」が出るまで出入りを繰り返すのもひとつの手。
      • 課題が達成されたかどうかはそのダンジョンのボスを倒すまでわからない。苦労してクリアしても得点が足らずにレアアーティファクトが出なかったということも多い。更に課題を見事達成できた場合でも、4分の1という確率の抽選を引き当てなければレアアーティファクトは出て来ない。
    • 特に「レイズリング」は「コナル・クルハ湿原」という本作でも最難関*5とも評されるダンジョンで出現するレアアーティファクトの為、入手を狙う多くのやり込み派プレイヤーに絶望を味わわせたという…。
      • いわば「やり込み要素」ではあるが、「理不尽な要素」とも見えてしまうところでもある。

問題点

  • 最低限の配慮はされているものの、シングルで遊ぶには少し厳しいものがある。
    • 中盤以降、複数のモンスターと同時に戦うことが多くなるのだが、一度ダメージを受けると他のモンスターからの攻撃を立て続けに受けてしまいがち。
    • 必殺技や魔法で大き目の攻撃を与えようとしても発動までの間は無防備なので、シングルだと隙を見つけるまで回避一辺倒のプレイを強いられるケースが非常に多い。
      • HP自動回復のアクセサリー「いやしのはちまき」又は「ひすいのうでわ」さえ入手できれば、人によっては温いと感じられるレベルまで楽にはなるが、果たして救済措置と呼んでいいものかどうか。
    • 「プレイヤーが一人の為、出現する全ての敵から集中砲火を浴びる」という点は確かに厳しいが、別にゲームバランスが崩壊しているという訳ではない。
      • 敵の攻撃待機時間なども細かく設計されており、立ち回りさえ守れば「敵に攻撃してる時、別の敵からの攻撃で中断される」という事も無い。
    • RPGとしてのバランスはしっかりしているので、装備を整えてアーティファクトをしっかり集めれば、複数の敵が出てきても対処は可能ではある。
  • マルチプレイに人数分のGBAとGBAケーブルが必須
    • これによりプレイ環境の敷居が非常に高いものとなってしまっており、本作一番の難点として挙げられる事も多い。マルチプレイでその楽しさを最大限味わえる筈のゲームなのに、そのマルチプレイを遊ぶのが物理的な意味で難しいというのはある意味本末転倒であろう。
    • 本作のダンジョンは全体的にマップが広いのだが、地図はGBA無しだと表示されない。シングルプレイではGCのコントローラーで遊べるのだが、地図を見れないという仕様が原因で結局GBAを頼ってしまう事が多い。
      • 特に「ライナリー砂漠」というダンジョンは起伏も景観も変化の無い砂の平地が続く上、途中にラストダンジョンへ向かう為に必須の謎解きが存在している*6。地図無しだと不必要にだだっ広いマップを徘徊する破目になる。
    • 2人プレイだとケージを抱える移動速度の問題に加えて、マルチプレイの仕様に合わせ難易度が上昇する。一人がメニューを開く必要に迫られれば、もう一人がケージに立ち回りにと気を配らなければならないため場合によってはシングルプレイより苦戦を強いられてしまう。
  • 種族によっては隠しミニゲームが出現しない。そこまで重要なものが手に入るわけではなく、あくまでお遊び要素ではあるが。
  • ダンジョンの難度の上がり方がキャラクターの強さに関わらず一定
    • 最初に育てたキャラクターでクリアした後、それ程育てていない別のキャラクターで同じダンジョンに行くと、そのキャラクターで最初のキャラクターがクリアした難易度のダンジョンに挑む破目になる。
      • この仕様により別キャラクターによるプレイは困難を極める為、大抵のプレイヤーはキャラ育成を一人に絞りがち。一方でキャラを作らないと使える施設が増えないというジレンマが発生する。
      • ミルラのしずくの溜まっていないダンジョンを利用すれば、時間を進めることなく強化できる。しかしかなりの手間が掛かり、正直面倒くさい。
  • マルチプレイ前提故か、アイテムストックがドラクエのような個別式。しかも売るに売れない装備用の素材や属性耐性用の装備(耐性に段階があり、中盤以降は一定値以上耐性がないと状態異常を防げないことも多い)などで枠が埋まるのですぐに一杯になる事が多い。
    • これに加え、装備品は一度作成すると売却不可能。その上、他のキャラに渡す事もできない
      • このため装備品はレシピの段階で受け渡しをしなければならず、不要になったら壊す(=捨てる)しかない。
    • イベントでのみ貰えるアイテムもある。性能面において役立つ訳ではないのだが、捨ててしまえば二度と手に入らないというコレクター泣かせの仕様。  

総評

幻想的で優しく懐かしさのある中に秘められた暗くやるせない気持ちにさせる話など、本作の世界観に魅せられた者も多い。
肝であるマルチプレイの楽しさは十分評価されるものであり、不自由はあるもののシングルモードも決して遊べなくはない出来栄えである。
ケージや課題、マジックパイルなど制限のあるシステムは好みが分かれるが、プレイヤー同士の協力によってこうしたギミックを乗り越える達成感は他では得がたいものがあるだろう。

それらの利点や反省点を踏まえ、以降の続編作品では本作の問題点の多くが解消され、良作シリーズとして成長した。


ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リマスター

【ふぁいなるふぁんたじー・くりすたるくろにくる りますたー】

ジャンル アクションRPG
対応機種 Nintendo Switch
PlayStation4
Android
iOS
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 ゲームデザイナーズ・スタジオ、スクウェア・エニックス
発売日 2020年8月27日
定価 【Switch】【PS4】4,800円
【Android】【iOS】2,820円(税込)
プレイ人数 1人(マルチプレイ時最大4人)
判定 なし
ポイント クロスプラットフォーム対応
新規ダンジョン等の追加要素あり
オフラインマルチは廃止

概要(リマスター)

  • 2003年に発売された『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル』(以下原作と表記する)の第1弾のHDリマスター版。
    • 2018年にリマスターが発表され、2年後の2020年8月27日に発売された。
  • 基本的には原作をベースとしつつ、新規ダンジョン等の追加要素やUIの見直しなどの変更が施されている。
    • マルチプレイが本シリーズのポイントの一つだが、本作ではプラットフォームを跨いだクロスプラットフォームによるオンラインマルチに対応している。
      • ただし、原作にあったオフラインマルチは廃止されてしまっている。

変更点(リマスター)

  • 新規ダンジョンの追加
    • 新規ダンジョンとしてクリア後に挑める高難易度ダンジョンが追加されている。
    • 高難易度ダンジョンは最終ダンジョンを除く13ダンジョンの高難易度版としてクリア後に挑むことが出来る。
      • 基本的な構造は通常のダンジョンとほぼ同じだが、雰囲気やモンスターの配置等は一新されている。クリア後前提であるため当然難易度はかなり高く、ダンジョンによってはクリア後すぐに挑むとなすすべもなくやられることもある。
      • この高難易度ダンジョンでは原作を超える性能を持つ装備も追加されている。
  • ボイス等の追加
    • PCのパターンは原作より各種族各性別ごとに1パターン(計8パターン増えている)
    • また、PCのキャラクターボイスを3種類(こちらも各種族各性別ごとにあるので全部で24種類)から選択できるようになっている。
    • その他主要キャラクターにもボイスが収録されている。
  • ものまねシステム
    • PCの見た目やボイスを主要キャラクターのものに変更して遊ぶことが出来るシステム。
    • モグスタンプの景品としてもらえるものもあれば新規ダンジョンの報酬としてもらえるものもある。
    • 種族と性別が一致してないとものまねが出来ないので注意。
    • 一部DLCとして販売されているものまねもある。
  • クロスプラットフォームによるオンラインマルチに対応
    • 原作ではGBAを繋いだローカルマルチしかできなかったが、本作ではオンラインマルチに対応している。
      • クロスプラットフォームであるため、ハードを跨ぐマルチプレイも可能となっている。
    • 逆に、オフラインによるローカルマルチは廃止された。本リマスターにおいて唯一といってもいいデグレードともいえる。
  • その他の変更点
    • ミニマップが常に表示されるようになった。
    • アイテムの所持数上限が大幅に増えた。
    • ティパの村に倉庫が追加されアイテムの受け渡しが出来るようになった。
    • マジックパイルの際にタイミングを示すリングが表示されるようになった。
    • 日記からイベントを回想出来るようになった。
    • ボーナス条件からいわゆる減算方式のボーナス条件が削除された。
    • オートセーブが実装された。マップ移動時等に自動的にセーブがされる。

評価点(リマスター)

  • オンラインマルチに対応した
    • 原作ではローカル限定かつ、人数分のGBA本体とケーブルがなければマルチプレイをすることが出来なかったが、本作ではオンラインでマルチプレイできるようになったため、ハードルが大幅に低くなった。
      • クロスプラットフォームなので、友人と同じハードを持っていなくとも問題ない。また、セーブデータの移行も可能なので、ハードを乗り換えた際にも安心して続きからプレイ出来る。
    • マルチプレイでは定型文として、メッセージ送信も可能である。定型文であるため、メッセージによる煽りなどは生じにくい。
    • 細かい点であるがオンラインによる募集の際にはダンジョンに到達可能であれば、そのダンジョンに実際に行かなくとも募集がかけられるのもメリットといえるかもしれない。
      • 具体的には、現在のクリスタルケージの属性で通過可能な瘴気ストリームや、船による移動などで到達可能なダンジョンについては全てその場で募集をかけることができるため、属性次第ではティパの村にいながらにしてライナリー砂漠やレベナ・テ・ラなどの遠方のダンジョンの募集をかけることが出来る。船による移動が必要な場合も費用は不要なので少額ではあるが費用の節約にもなる。
    • ただ、オンラインマルチに対応した、という事実そのものは評価点であるが、これに絡む問題点もある。こちらは後述する。
  • 新規ダンジョンが追加された
    • クリア後に挑める新規ダンジョンが追加され、やりこみ要素が出来た。
      • 新規ダンジョンでは敵のステータスがかなり高いだけでなく、原作ではそこまで重視されなかった耐性が重要になる場面が多く様々な装備品を駆使することが求められる。
      • 原作では最終的にはやりこみの範疇といってよかったアーティファクト集めもしっかりしておかないと太刀打ち出来ない難易度であるため、アーティファクトをしっかり集める意義にも繋がっている。
    • 新規ダンジョンもマルチプレイ可能であるが、何故か曜日によってマルチプレイの募集が出来るダンジョンが限られているという仕様がある。もっとも、募集できる曜日は比較的多い傾向であり、土日などは全てのダンジョンの募集がかけられるが。
  • 遊びやすくなった変更点
    • アイテムの所持数上限が大幅に増えたのは純粋にメリットである。
      • 耐性値なども意識すると装備品だけでもかなりの数になる上、レシピや素材などを持つとすぐにバッグがいっぱいになったため純粋にありがたい点といえる。
    • 倉庫を介して装備品の受け渡しが可能となった。
      • メインキャラからサブキャラに装備品を含むアイテムを受け渡すことが出来るようになった。これにより、不要となった装備品をサブキャラにあげたり、育成時のみ武器などを渡すといったことが可能となった。
      • 前作でもアイテムの受け渡しは(ローカルマルチが出来れば)可能だったが、装備品についてはどうしても渡せなかった。
    • 減算方式のボーナス条件は出現したら変更推奨とまで言われていたので削除されたのは至極当然とはいえ良い変更点といえる。
    • キャラクターボイスの追加は雰囲気作りに一役買っているといえよう。なお、ボイスはいらない、という人はボイスをオフにすることも可能である。

賛否両論点(リマスター)

  • オートセーブの実装
    • オートセーブが実装され、マップ移動などの際に自動でセーブされるようになった。
      • これにより、不測の事態が起きた場合でも被害が最小限になるようになっている。
      • ややズルい使い方としてはボスを倒した際の報酬に望みのものがなかった際にリセットするのにも使える。原作で入手が難しかったレイズリング等のアーティファクトの入手にかかる手間の軽減には繋がるが使用は自己責任で。
    • ただし、オートセーブは良くも悪くもマップ移動の際には必ず行われるため、「ボスマップに移動」→「ボスに為す術もなくやられる」→「コンティニューするとボスから再開」という状況に陥ることもある。
      • もちろん、原作と同じく手動でセーブを行っていれば問題ないのだが、オートセーブされているからと安心して手動セーブをしていないと対策していないと撃破が困難なボスの場合、この状況に陥って本当に詰む可能性がある。
      • せめて、ダンジョンから離脱出来るような機能があればいいのだが、残念ながらシングルプレイではダンジョンから離脱する機能はない。

問題点(リマスター)

  • 変更点にない原作の問題点は概ねそのまま
    • 一部アイテムの入手にサブキャラが必要なのはそのままであるが、原作同様ダンジョンの難易度はキャラの強さと無関係であるためサブキャラの成長が難しいのは変わらず。
  • マルチプレイに関する問題点
    • オンラインマルチにおいては、ゲームの進行はホストのみという仕様がある。
      • 具体的に言うと、ミルラの雫を獲得した場合において雫が溜まるのはホスト側のみであり、その際に手紙が届くのもホスト側のみとなる。ゲスト側は報酬を含めたアイテムこそ獲得出来るもののゲームは一切進行しないためフレンドと同時進行でプレイしようとした場合、同じダンジョンを2回以上クリアしなければならない。
      • ホストにしか手紙がこないのでゲストはホストが手紙に対する処理を行うまでただただ待たされるという不毛な時間が発生する。
    • オンラインマルチという性質上、お互いのセーブデータのキャラを使うことになる。そのため、原作以上にサブキャラの育成が難しくなっている。
    • 本作におけるマルチプレイはダンジョンプレイ時にオンラインで参加者を募り、ダンジョンが終わると解散するという形式をとっており、道中のキャラバンで一緒に旅をしたり、街中を一緒に探索したり……といったことは一切出来なくなっている。
      • オンラインマルチについては、上述の問題こそあるが、システムそのものは原作における街中などのマルチプレイにおける要素を体感できないという程度の問題である。ただ、世界観を重視するならばこのオンラインマルチそのものも大きな問題となる。詳細は次項。
  • 世界観、設定と乖離したマルチプレイシステム
    • そもそも、原作におけるマルチプレイの意味合いとは、ミルラの雫を集めるため、キャラバンを組んで旅をする、つまり、マルチプレイとは同じキャラバンの仲間同士として旅を行い、一緒に戦闘を行う、というのがその趣旨であった。
      • しかしながら、本作では一緒にキャラバンで旅をすることが出来る仲間はおらず、並行世界(他のプレイヤーの世界)のキャラクターと一緒にマルチプレイが出来るというものに変わってしまっており、原作におけるマルチプレイの趣旨とは完全に乖離したものとなってしまった。
    • 特に原作において、一緒のキャラバンの仲間としてマルチプレイをしていた、というプレイヤーにとってはこの変更されたオンラインマルチのシステムそのものが受け容れられなかったという者も少なくなく、この一点のみで本作に低評価を下されることも。
    • 総じて、前項も内容を加味して考えるならば、元々オンラインマルチと本作の世界観、設定はマッチしていなかったといえ、そもそも本作でオンラインマルチを実装するがために必要だった犠牲といえなくもないかもしれない。
  • ロード時間が長い
    • 各所で発生するロード時間が長い。現在のゲーム水準で考えてももちろんだが、下手すると原作の時より長くなっている。
      • 一番ロード時間が長いのがSwitch版といわれており、まだマシなのがAndroid/iOS版である。
    • 特にマップ移動が多くなりがちなジャック・モキートの館ではこのロード時間が無視できない問題になっている。
      • ロード時間の長さをメーカーが気づいていたかは不明だが、ジャック・モキートの館の高難易度ダンジョンであるモキート夫妻の晩餐会では、入る必要があるマップが1つだけになっているなど大幅に簡略化がされている。もしロード時間の長さ故にこのような仕様にしたのならロード時間を改善出来なかったものかと思わずにはいられない。

改善点(リマスター)

  • マルチプレイにおいてボス戦の導入やミルラの雫を取得する際のムービーがスキップできない
    • マルチプレイ限定で、ボス戦の導入などのムービーのスキップが出来ない。地味ではあるが、タイムロスになってしまう。
    • 9月のアップデートにおいてスキップ可能になった。
  • ?属性のホットスポットを出現済みのプレイヤーとマルチを行うとゲストの?属性のホットスポットも解放済みとなる
    • 本来、?属性のホットスポットはとあるダンジョンの謎解きを行わなければ解放されないが、?属性のホットスポットを出現済みのプレイヤーとマルチをすると当該ダンジョンであるか否かに関わらず?属性のホットスポットが解放済みとなってしまう。
    • 結果として意気揚々と謎解きをしようとしたら最初から解放されててあっけにとられたというプレイヤーが続出した。
    • こちらも9月のアップデートにおいて修正された。

総評(リマスター)

15年以上の時を経てHDリマスターされた本作は、新規ダンジョンの追加など順当な進化は見て取れる。
リマスターにおける変更点はやや惜しい点もなくはないが、概ね劣化したといえる点はない。
ただ、オンラインマルチを実装するがために原作のマルチプレイの良さが失われてしまったというのは非常に残念な点である。
特に思い出として原作のようなマルチプレイをイメージしているプレイヤーにとっては失望が大きいものとなってしまっている感は否めない。
結果として駄作というほどではないが、良作という評価も下しがたい一作となっている。

余談(リマスター)

  • ソニー系ハードで発売された唯一のクリスタルクロニクルシリーズである。
  • 本作の発売を機に、当時の原作の攻略本の電子書籍版が販売された。
    • 当然、本作の攻略情報等の新録はないが、元々、原作の攻略本自体高騰していたこともあってこちらは概ね好評である。
  • 本作のリマスター版における楽曲のCDも販売されている。こちらも音楽そのもの評価は高いことから好評。