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クリムゾンティアーズ - (2013/09/04 (水) 13:21:22) の編集履歴(バックアップ)


クリムゾンティアーズ

【くりむぞんてぃあーず】

ジャンル アクションRPG
対応機種 プレイステーション2
発売元 カプコン
開発元 スパイク、ドリームファクトリー
発売日 2004年4月22日
対象年齢 15歳以上対象
分類 クソゲー
ポイント カメラワーク劣悪
無駄に豊富な状態異常&トラップ
ムービー・グラフィック・声優は好評

概要

カプコンがスパイクと共同でリリースした作品。しかし両社はプロデュースという立場であり、実製作はドリームファクトリーが行なっている。
公称ジャンルは「ファイティングRPG」。3Dグラフィック・フリーラン方式の格闘アクションゲームだが、毎回形の変わるダンジョンに潜入して武器やアイテムを拾い集めながらボスを目指すという、ローグライクRPGのシステムが取り入れられている。
「壮大なアクションストーリー」「ハイクオリティなアニメーションムービーがストーリーを熱くする」「新ジャンルを開拓する」など、宣伝文句だけなら良ゲーに見えなくもないのだが…。

ストーリー

+ 長いので格納

東京に誕生した新たな地、第24区。
この区画は世界でも有数の巨大兵器企業、A.R.M.A社のために生まれた王国であり、研究施設や生産工場が建ち並ぶ、前例の無い特区だった。
A.R.M.A社は社長の甲斐英一郎を絶対的な頂点として、国内外の軍事産業、宇宙開発事業を牛耳り、中でも世界のロケット製造シェアに至っては全体の85パーセントをも手中に収めていた。
2044年、A.R.M.A社は持てる技術の粋を集めて宇宙基地の建造を成功させた。A.R.M.A社はすぐさま、この基地を拠点として本来の目的である火星探索を開始した。
この探索において、人類とは異なる種である未知の生命体を発見し、極秘裏の内にこれを捕獲した。
そしてこの一件から程無くして、A.R.M.A社はバイオテクノロジーの分野に進出し、さらなる発展を遂げる事になるのだった。

そもそも甲斐英一郎がA.R.M.A社を設立した目的は、超兵器としての人造人間開発にあった。
甲斐は潤沢な資金と研究施設の提供、現場責任者の地位を約束することで、遺伝子操作の天才と謳われる小杉博士をA.R.M.Aに迎え入れていた。
理想主義者である小杉は、兵器開発に携わっているとは知らずに、自らの夢である、人類の更なる進化について研究を進めた。
小杉は長年の研究の成果として、全く新しい遺伝子操作技術を完成させた。さらに、その技術が未知の遺伝子と結びつくことで、新たな生命の創造を可能とした。
第24区にそびえるA.R.M.A社ビル研究棟の一室で、小杉は第一号人造人間を誕生させる。その人造人間は小杉が夢見た人類の進化の理想形だっただけではなく、甲斐が求める人型生体兵器(ミューティノイド)でもあった。
トキオと命名した第一号に続き、小杉は全5体の人造人間を完成させた。人造人間はどのような状況下でも生き抜けるだけの力と頭脳を与えられ、個体別に様々な能力が付与された。
小杉は人造人間達に対して我が子同然に接し、人としての教育を施していった。しかしこの時、小杉は自分が最強の兵器群を作り出したことに気付いていなかった。

小杉博士による人造人間開発と並行して、小杉の部下達は甲斐の命に従い、秘密裏に博士の研究を応用し、それぞれが独自の生体兵器開発に着手していた。
生命を弄び、冒涜するかのような過程を経て、人類を超越した能力と、人類からかけ離れた容姿を持った異形のモンスターが次々と生み出された。
開発されたモンスター群はファクトリーでの大量生産体制に入った。生体兵器という商品として大量生産されるモンスター。
しかし、この量産体制が仇となった。A.R.M.A社は自ら生み出した大量のモンスターを制御できず、制御不能のモンスターは次々と暴走した。
暴走は破壊を呼び、破壊は研究施設、ファクトリーの暴走をも引き起こした。暴走の連鎖により、東京第24区はA.R.M.A社の研究施設を中心に歪みの中へと囚われた。
隔絶されたこの地には、不安定な時空に形成された次元迷宮*1とモンスター、生き延びた一握りの人々、そして数体のミューティノイドが残された。

混沌と破壊を終わらせるべく甲斐が下した結論は、第24区の封鎖、さらにはミューティノイドによるモンスター掃討だった。
兵器ではなく人間として、仲間を助けるために暴走の中心へと降り立つアスカ。
しかし己の行動が甲斐に仕組まれたものであり、新たな悲劇の前触れだということを、この時彼女はまだ知らなかった……。
(公式ガイドブックより抜粋)

特徴

  • アスカ(女)、カエデ(女)、トキオ(男)の3人の主人公から一人を使って*2ダンジョンに潜り、ゲームを進めていく。
    • ダンジョンは「無限生成ダンジョン」と称されており、入るたびに自動生成される。
  • キャラクターにはHPの他に「MT値」というもの(要するに空腹値のようなもの)があり、これは時間経過のほか、攻撃、緊急回避、必殺技、絶対フィールド(他ゲーでいうメガクラッシュ)の使用で上昇する。
    • これが最大になると「オーバーヒート」を起こす。しばらくのあいだ移動速度が1.5倍、攻撃力5倍になる代わりに防御力は0に。更にHPも急速減少し、オーバーヒート終了時には最大値の10%にまで減ってしまう。
  • 敵を倒して得られる経験値が一定値に達するとレベルアップ。また武器の強化や合成、技の強化なども行える。これらの手段を通じて強くなっていくことで、初見では勝てなかった強敵にも勝てるようになっていく。
  • ダンジョン内で力尽きた場合、他のキャラで救出に向かうことができる。一定時間内に力尽きたキャラに接触できるとノーペナルティで基地に送還される。救出に失敗・断念した場合は、所持アイテムの大半を失い、稼いだ経験値もゼロになってしまう(レベルは下がらないが)。

問題点

  • ロックオンシステムがあり、基本的に自動でロックオンされるのだが、明らかに近くの敵がいるにもかかわらず、遠くの敵をロックオンすることが多々ある。
    • ちなみにこのロックオン、後述のトラップである地雷にまで反応する。そのため、敵を攻撃していたら地雷に殴りかかって吹っ飛ばされるというギャグのような展開になる事も。
  • 敵の「銃を抜いて撃つ」動作の所要時間と弾速、銃の普及率がウザい。出現する敵の多くがハンドガンかショットガンを装備しており、唯一の稼ぎ要素であるコンボを繋ごうとすると、ほぼ確実に後方や画面外から撃たれる。
    • 銃器は先述した2種類の他、ロケット砲、機銃、火炎放射器、レーザー砲など様々で、基本的に当たるとのけ反る。ゲーム中、誰かがこっちを飛び道具で狙っていない場面は半分も無いため、頻繁に転ばされて展開が止まる。
    • 一応、発射時に警告のボイスなどもあったりするが、どの敵でもどんな武器でも発射してから台詞を言うため、画面外から撃たれた事に気付くのとほぼ同時に着弾する。
      • 中には一切声を出さずにロケット砲やレーザー砲をぶっ放してくる兵士もいる。どう避けろと。
  • そのくせ、自機の射撃動作には2秒近い硬直がある。また、銃のロックオンシステムも糞っぷりに磨きがかかっており、「敵を正面に捉えて銃を構えたのに全然違う方向の敵をロックオン」「2体の敵が接近してきて片方を倒しもう片方を撃とうとするが、ロックオンが解除されず倒した敵の死体がある場所に撃ち続け、もう片方に殴られる」ということも珍しくない。
    • このように戦闘では銃はちっとも使い物にならない。役に立つのは地雷や砲台の破壊ぐらい*3で、遠距離は全面的に敵の天下と言ってよい。
      • ただし男キャラのトキオは例外で、二丁拳銃装備で隙を小さくできる上に、射撃後の硬直を緊急回避動作でキャンセルできるので、銃を実用レベルで使いこなせる。しかし彼を使っても、敵の射撃攻撃がツラいことに変わりはない*4
  • 多彩な状態異常(各個に専用の回復薬を要する)と、多彩というほどでもないがどれも病的に鬱陶しいステージ固有トラップなどを搭載。
    • 状態異常の具体例
      • バーニング:MT値が凄まじい勢いで上がっていく。
      • コンボダウン:単発攻撃しかできなくなる。ちなみにこの状態異常を使うフィアーという敵は、常にHPが回復するという特性を持つ。
      • アタックダウン:攻撃が一切できなくなる。もしアラーム部屋(モンスターハウスに相当するもの。閉じ込められて他の部屋に移動できない)でこの状態異常になってしまったら、30秒間部屋中を逃げ回る事になる。
    • ステージギミックの具体例
      • ステージ2:無作為に落ちて来る落盤。それなりに威力があり、転ばされる。しかも配置されている場所によっては目印が見えないこともある。
      • ステージ4:爪先ほどの小さな地雷。近付くと広範囲に炸裂、転倒。密集して配置されているので、転んだ先に別の地雷があると追撃が確定。
      • ステージ5:一個あたり20発くらい殴らないと(10秒ほど足を止める必要あり)壊せないバリケードでみっしり埋まった通路(ただし、そばに配置されている銃撃を行う敵を上手く誘導して彼らに破壊させれば、少しは楽に進める)。
      • ステージ7:一発当たったら砲撃が止むまで食らうレーザー砲台。なお、ほぼすべての部屋に設置されている。
    • エクストラステージでは大半のトラップが登場。さらに、階層ごとに「エキストラギミック」というものがあり、さまざまな効果が発動されるのだが、「攻撃力2倍(敵の)」「HP減少(主人公の)」など基本的にこちらに不利なものしかない。完全に有利なのは「EXP増大」だけである。
      • 効果の中でも特に鬼畜なのが「クリティカル」。効果は敵味方問わず近距離攻撃が全てクリティカルになるのだが、クリティカルの効果は攻撃力が100倍になるという恐ろしいもの。敵はほぼ一撃で倒せるが、こちらも一撃でも貰ったらまず即死。HP999でも一撃で即死とかザラ
    • なお、基本的にトラップは主人公のみに反応する。
  • 概ねカメラワークが腐っており、敵やトラップの配置が見づらい。繰り返すが、敵は遠距離無双である。
    • 全体的にカメラが主人公に寄り過ぎで、画面外の状況が全く分からない。
    • カメラの邪魔になるオブジェを選択透過する技術がなかったせいか、ステージ4の市街地では超ズームアップ視点なので、ここは特に敵や地雷がどこにあるか分からない。
    • 上記の地雷は非常に小さい上、カメラが極端にアップなせいで、画面に入ってから踏むまで1秒掛からない。ゆっくり歩け?広いのよマップが。すごく。無駄に。
    • 一本道を奥から手前に進むという地形も頻出する。目の前に何があるか全くわからず、目を閉じて地雷原を疾走するようなものである。
  • 先述した通りMT値は攻撃行動と時間経過、メガクラッシュ、緊急回避行動などで疲労が蓄積、一定値でオーバーヒート(ローグライクRPGの飢餓に相当する状態異常)状態になるのだが、これの上昇速度がかなり早い。
    • 特にバスターソードや二刀流などの強力な武器を使おうものならものすごい勢いで上昇していく。
    • 道中が長いため、せっかく多彩な武器があるのに「使うとすぐにオーバーヒートする」という残念な理由で、通常は負担の軽い素手で戦い、ボス戦や強敵のみ武器を装備するというプレイスタイルが推奨される。
  • ボスが強い、というか卑怯。全てのボスがメガクラッシュを搭載し、おまけに逃げ回る奴とか全身無敵の奴とかがやたら多い。真面目に立ち回るとまず返り討ちにされるのがオチで、正解は回復アイテムを突っ込んでオーバーヒート状態になり、強力な武器でゴリ押し。
    • オーバーヒート状態で弱点属性を付けば5秒くらいで沈む。こちらのHPもみるみる減っていくが、回復アイテムを連打すればいい。十分なレベルと装備品さえあれば、真面目に立ちまわるよりも安全で確実。
      • ステージ5のボス「エレバス」は、登場演出で指を鳴らして攻撃的な台詞を吐いた直後、背を向けて逃げ回り始める。高機動で間合いを取って遠距離牽制が彼のスタイルである。何度も言うが、このゲームの敵は遠距離無双である。
      • ステージ7の中ボス「ヘルメス」は「ホールドタイム」なる特技を持つ。これは、対象の動きを約4秒完全に止めるというものである(ただし対処法はあり、上手く行動すれば逆にヘルメスの動きを止めることが可能)。
      • ラスボスに至っては発狂状態になると、無敵になり緊急回避でも回避できない攻撃を行う。避けさせる気ゼロである。
  • ゲーム中、どうしても敵に勝てない、ダンジョンを突破できないという状況になったら、経験値を貯めたり武器を鍛えたりして自己強化を図ることになるのだが、単純な繰り返し作業を数時間にわたって繰り返すことになるため、苦痛が大きい。
    • 今作では敵のレベルが主人公のレベルより少しでも低いと取得できる経験値が半分近くにまで落ち込むため、さらに作業感を増す。
  • またボス戦は所持限界いっぱいの回復薬を携行することが基本となるが、そのためにお金を稼ぐのも大変な作業となる。
  • 一部の銃器がほぼ死に武器。
    • 一部の銃器とは、マグナム・ライアットガン・火炎放射器の3つ。以下に詳細を述べる。
      • マグナムはハンドガンよりも威力が高いのが利点らしいのだが、威力の上昇値はあまり高くない。しかも装弾数が少ない・弾薬補充数が少ないという欠点まで抱えており、結局ハンドガンで事足りるという事態になってしまう。
      • ライアットガンは要するにショットガン。弾速が非常に速く広い範囲に攻撃できるのだが、「威力が低い・装弾数が少ない・リロード動作が非常に長い」の三重苦。全ての銃器の中でもトップクラスの実用性のなさを誇る。
      • 火炎放射器は近距離用の武器なのだが、弾薬(燃料)満タンでも撃ちっぱなしだと7秒で撃ち切るという燃料の少なさが大きな欠点。武器の性質上攻撃範囲も狭い上、威力もお世辞にも高いとは言い難く、どうにも使い勝手がよくない。

評価点

  • 衣装変更やサブクエストなどのやり込み要素は用意されている。
    • ただし大半がお使いイベントで水増し感は否めないところだが…。
  • グラフィック、ムービーの出来はそれなりに良い。BGMも聞けなくはない。
  • OP、EDテーマが収録されている。ちなみに両方とも歌唱を担当しているのは倖田來未。
  • 技のモーションが豊富で、コンボもガリガリと気持よく繋がる。
    • 特定の技を、あらかじめ設定された「ルート」の通りに繰り出した場合に限ってコンボが繋がっていく(『鉄拳』シリーズのコンボシステムに似ている)。用いるボタンは□と×のみで、ルートさえ頭に入っていれば操作自体は簡単。さらに新しい技を修得することでコンボを拡張していく楽しみもある。
  • リアル指向・劇画調の3Dモデルにアニメ風のトゥーンレンダリングを組み合わせたグラフィックは、他にあまり例がなく新鮮に見える。
  • 3人の主人公の声を演じるのは、雪野五月氏、釘宮理恵氏、関智一氏という実力派声優であり、音声に関しては好評。
  • 目立ったバグの類がない。なくて当たり前だが。
  • 問題点こそ多いがゲームとして破綻した部分はなく、普通に遊べる。

総評

様々な要素が積もって駄作となってしまった作品。ただし決して遊べないわけではなく、贔屓目に見れば「駄作に近い凡作」と見れなくもない作品でもある。
在庫がダブついているのか現在では180円~480円程で売られていることも珍しくない。興味があるならプレイしてみるのもいいだろう。痛快アクションを期待するのではなく、多少出来の悪い『Diablo』系ゲームだとでも思って、焦らずじっくりと取り組んで欲しい。
2002年頃、スクウェアの傘下企業から外れた時期を境に、ドリームファクトリーが手がけるゲームはクオリティをどんどん落としていく。本作はその途上の作品であり、ドリフの凋落の過程が見て取れる作品と言える。そして現在は、ドリフはクソゲーメーカーとして嘲笑の対象となってしまっている。

余談

  • プレイヤーキャラは女2・男1で、野郎は用意されてる攻撃モーションの種類が露骨に少ない。女は装備可能な武器が各5~6種あるのに、男は拳・長剣・銃器の三択でコンボパターンも乏しい(当然ながら、拳のモーションは素手の流用である)。
    • ただし先述のように、男は誰よりも銃器の扱いに長けているという長所があるため、キャラバランスはとれていると言える。
  • 敵の残ライフはパーセント式で表されるが、ラスボスは子供のような純粋さで俺のライフは1000%あるとか言い出す。でもやっぱり熱暴走で突っ込めば5秒くらいで死ぬ。
  • 本作に登場する銃器の中に「メガ素粒子砲」なる、ガンダムシリーズに登場する「メガ粒子砲」に非常によく似た名称のものがあったりする。
    • 素直に「ビーム砲」とでもしておけばよかったものを、なんでわざわざ色々とヤバそうな名前にしたのか。
  • 後にソースコードが『APPLESEED EX』(セガ)に流用された。
    • なお、この作品の製作元もドリフ自身である。決してセガ側がコード盗用をしたのではない。
  • ファミ通WaveDVD2004年5月号「新作ゲームプレビュー・Ⅰ」に本作の宣伝ムービーが収録されていた。
    • だが、ゲーム中のムービーのみで構成されており、実際のプレイ画面が一切使われていないという宣伝詐欺に近い内容であった。