「ゾイドオルタナティブ」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る
ゾイドオルタナティブ - (2020/12/12 (土) 20:25:25) の編集履歴(バックアップ)
ゾイドオルタナティブ
【ぞいどおるたなてぃぶ】
ジャンル
|
シミュレーション
|
|
対応機種
|
Xbox360
|
発売元
|
タカラトミー
|
開発元
|
翔泳社
|
発売日
|
2007年10月18日
|
定価
|
6,800円(税別)
|
判定
|
クソゲー
|
ポイント
|
2007年クソゲーオブザイヤー据え置き機部門次点
ゾイドゲーなのにコンセプトはゾイド否定 FCやGBにさえ負ける内容の薄さ 参戦機数たったの5(+1) 設定改変してまでリアルを追求した割にプラモに劣るミリタリー要素
|
クソゲーオブザイヤー関連作品一覧
|
ゾイドシリーズリンク
|
概要
タカラトミー(旧トミー)から販売されている動物型兵器の玩具シリーズを元にしたシミュレーションゲーム。
「オルタナティブ」(代替品)の名に相応しく、圧倒的な内容の薄さと原作の設定改変が特徴。
発売当時のゾイドに関する某掲示板では「暗闇の中に一条の光が見えたかと思ったら、荷電粒子砲だった」と評された。
問題点
-
登場するゾイドは敵味方あわせてたったの5種類、ステージ数もわずか14という薄いボリューム。
-
登場機体種類5は歴代ゾイドゲー最下位。
-
一機ごとの製作に手間がかかるためで登場数が限られる格闘ゲーム版や、容量が段違いに低いファミコン版、果てはゲームボーイ版にさえ劣っている数である。
-
ゾイドの魅力の一つは多種多様な機体がでてくることだが、これではまるで足りない。
-
原作では帝国/共和国(主要勢力)あわせて数十種類のゾイドが登場し、役割に応じて細分化されていたが、この登場機体数ではそれを再現できるわけもない。
長距離野砲的なゾイドや、戦闘力は低いが索敵能力に長ける電子戦闘ゾイド、地上ゾイドに猛威を振るう対戦車ヘリ的な飛行ゾイドなど、色々といるはずなのだが。
-
人気ゾイドのデスザウラーに至っては、「デスザウラー砲」という名義でストーンヘンジのような巨大砲台にされており、もはやゾイドですらなくなっている。
-
実感がない人のためにガンダムシリーズで例えるなら、「ガンダム、ジム、ガンタンク、ザク、ゲルググ、ビグ・ザムという名前のついた砲台…しか出ないガンダムゲー」レベルと言うとピンと来るだろうか。
-
この総数故に、武器集めなどのやり込み要素は2周でほぼ揃ってしまう。
-
雰囲気も単なるミリタリー調で、ゲーム中は全編英語表示であるなど、ゾイドらしさがない。
-
自軍部隊の面々にはそれぞれの背景設定はあるのだが、顔グラは全員ヘルメット姿で素顔が見えないために感情移入しづらい。
-
また敵軍パイロットの描写がなく、ロボット物のお約束である敵軍のエースやライバルといった存在もいないので、戦闘面での盛り上がりにも欠けている。
-
たしかに原作も戦争を行っているという設定があり、本作も「ミリタリーっぽく」はなっているが、実際は「おもちゃなゾイド」にミリタリーらしさで負けている。
-
プラモデル版の箱にはちゃんと機体の周りに随伴歩兵が写っているものがあり、補給や輸送に関してもストーリー上で言及されているのだが、本作には出てこない。他のゾイド作品でも再現されていないものが多いが、それらはミリタリー調を前面に押し出しているわけではないため問題はない。
-
「ゾイドが実際の兵器であったら」をコンセプトとしているのだが、それによってゾイドが動物の形をしている意味が失われている。
-
上記コンセプトを推し進めた結果、搭載火器は基本的に実弾兵器のみ、格闘戦は近接用武器(パイルバンカー)を利用したもののみとなり、更に生き物らしさを無くす為に目や口の無いデザインに変更、これによってゾイドをただの四足歩行戦車として扱っている。
-
また本作の「ゾイド」とは「Zoological Organization Interface Driving System(動物学的操縦システム)」の頭字語とされており、根本的に設定が変更されている。各機体名も、元のカタカナ表記を英語の「頭文字+生物名」という形に省略して表記している。
-
しかし本来の設定ではゾイドはロボットではなく、異星(惑星Zi)の金属生命体を改造したサイボーグ兵器である。そして動物の本能も残っており、野生で人に束縛されず野を駆けている個体さえいる。例えるなら『金属の体を持った軍馬や軍象』であり、戦車や装甲車みたいな純粋な戦闘機械ではない。
-
しかもよりによって、5種類の登場機体のうち2機はS-LIGER(シールドライガー:ライオン型)とS-TIGER(セイバータイガー:タイガー型)である。
この2機はネコ科らしい生き生きとした(つまりリアルな兵器的な動きとは対照的な)動きをする様が各種ゾイド作品で幾度となく描写されてきた機体であり、その戦法も高い機動力を活かして一気に接近し鋭い爪と牙での格闘戦を得意とするものである。確かに双方ともに人気の高い機体ではあるのだが、このゲームの目指すものとまったく真逆のベクトルに特化したゾイドであり、登場機体のチョイスとしては最悪と言わざるを得ない。
-
残り3種も、格闘機のC-WOLF(コマンドウルフ:狼型)、角による体当たりが得意なD-BISON(ディバイソン:バッファロー型)とR-HORN(レッドホーン:スティラコサウルス型)だったりする。一応、ディバイソンとレッドホーンは砲撃機と呼べるほどの重武装も有してはいるが…。
-
また、デザインや設定を改変しながら機体名は元の表記を少し省略しただけなため、角がないR-HORNという外見と名前が矛盾している機体すらある。S-LIGERの頭に付いているSも、「E-シールド」が存在しない本作では意味不明である。
-
砲台にされたデスザウラー(ティラノサウルス型)も、荷電粒子砲の印象が非常に強い機体とはいえ、格闘戦が出来ない訳ではない。
-
ムービーが全然ゾイドっぽくない。
-
ムービーというより紙芝居であり、数枚の一枚絵をズームしたり動かして演出しているに過ぎない。
-
正直ここまでされると、製作者はゾイドの事を馬鹿にしているんじゃないだろうかと疑いたくなるレベルの改変である。
評価点
-
グラフィックや演出の質に関しては良好な部類。
-
OPムービーの出来も良いため、ゲーム部分との落差からOP詐欺と言われることも。
-
戦闘中のグラフィックや演出も悪くなく、コンセプトの是非はともかくとしてクオリティは高いと言える。必殺技エフェクトがノイズのみという地味さはあるが。
-
かつて存在した公式サイトでは、本作用に製作されたアレンジデザインのプロップモデルが掲載されており、こちらのビジュアルそのものは良好であった。
これを特典キットなどの形で普及させていれば、また違った評価を得られたかもしれない。
-
戦略性は好評
-
「援護システム」として、攻撃の際に近くに友軍がいれば援護射撃を行ってくれる。しかし敵もまた然りで、うっかり囲まれてしまうと集中砲火をくらってしまうため、これを考慮した立ち回りが求められる。
-
攻撃ヒット時に偶にショック状態にでき、この状態では一切の抵抗ができなくなる。さらにこの状態で敵の援護射撃を受け続けると成す術なくやられてしまう。
-
これに関しては、DLCでショック状態に絶対ならないスキンを購入することで対応できるようになっている。
総評
ゾイドとしては斬新なコンセプトを掲げた一作ではあるのだが、その結果ゾイドの魅力である「おもちゃらしさとミリタリーらしさ」から「おもちゃらしさ」と「ミリタリーらしさ」双方を抜き取ったゲー無となってしまった。
ゾイドゲーにはおなじみであった限定特典キットも本作には無く、当時のホビーコンテンツとしてのゾイドの斜陽振りを象徴したかのようなゲームと言える。
余談
-
当時の「ゾイド」展開について
-
当時は子供をターゲットにした展開は既に終了しており、2007年はタカラトミーからの新作キットがほとんど発売されておらず、コトブキヤのプラモデルも始まったばかりであり、ファンは寂しさと不安を抱えていた状況にあった。その中で発売されたのが本作である…。
-
その後、タカラトミーも大人のファン向けに新シリーズを始めるが、本格的な展開をしていた頃と比べて遥かに短命に終わり、以降は突発的に新キットが発売されるのみとなった。前述のコトブキヤの展開は軌道に乗っており、そちらの人気でゾイド自体を支える状態が長く続いた。
-
子供向けシリーズの人気低迷については、原作(バトルストーリー)でのパワーインフレにより、旧作後半は「空を飛べて格闘も砲撃も強いゾイド」、新作は「空を飛ぶ最強機」こそ無いもののヒーロー性重視なのか「ライオン型とT-REX(ティラノサウルス)型ばかり」と言う状態になって飽きられた部分がある。
-
いわば「スーパーロボット」的な機体が増えていたことで、このゲームのコンセプトはそれに対するアンチテーゼとも取れるのだが、どうにも方向性が極端すぎた。
-
大人向けシリーズについては、新キットの発売と長らく再販されていなかった過去のキットの復刻の両方を行っていた。しかし、急激な価格上昇と復刻キットのラインナップのイマイチさが原因で長続きしなかった。
-
そして、シリーズは2018年のアニメ『ゾイドワイルド』まで長い停滞期間が続く事となった。
『ワイルド』は久々に子供をメインターゲットにしたシリーズであり、二年目の展開が決定して新コンセプトのキットが発売されるなど、順調に展開を続けている。
-
同様に、ゾイドのコンシューマーゲームはSwitchで発売された『キング オブ ブラスト』まで途絶える事となる。
ちなみにこちらも好調で、タカラトミーが公式ツイッターで「好調な滑り出しをきることができました」と呟いている。
-
『ワイルド』では「ゾイドとゾイド乗りの絆」をさらに推し進める路線からか、ゾイドと人間が絡みやすいようにサイズが半分ほどに小型化され、「コックピットに搭乗」ではなく「背中に騎乗」となっている。
-
ただし、その後に展開された『ゾイドワイルドZERO』では、再び「コックピットに搭乗」する形に戻っている。