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E.T. The Extra-Terrestrial - (2018/09/27 (木) 20:47:10) の編集履歴(バックアップ)


E.T. The Extra-Terrestrial

【いーてぃー・じ・えくすとら・てれすとりある】

ジャンル アドベンチャー

対応機種 ATARI2800
発売・開発元 ATARI
発売日 1983年
判定 クソゲー
ポイント 作業ゲー
E.T.に見えないE.T.
エリオットがE.T.と何故か融合
起動しない物も混じってる
アタリショックの引き金と言われる作品
しかし「失敗に終わった意欲作」と評価する声も
北米版クソゲーワースト1位 (→参照)


概要

10歳の少年エリオットと地球外生命体(Extra Terrestrial)との種族と星を超えた絆を描いた映画「E.T.」。
1982年にスティーブン・スピルバーグ氏が世に送り出し、映画史にその名を刻んだ名作映画をATARIが版権を取り直々にゲーム化。
しかしその出来はクソゲー史にその名を刻むあまりにお粗末なものとなってしまった。

ゲーム内容(問題点)

  • UFOのパーツを探すという作業ゲー。
    • E.T.とは思えない主人公、雑な背景等の低レベルなグラフィック(まあATARI2800のゲームとすれば許容できる範囲ではある)。
    • 謎の"首を伸ばす"動作(一応「空中浮遊」等の特殊行動に必要なアクション)。
    • 穴に落ちてしまうと、空中浮遊でのろのろと脱出しなければならず、ゲームが酷く単調に。
      • しかも穴がやたらと多い。さらに敵は穴を平気で渡る。
    • E.T.の体力が尽きると何故かエリオットが融合して復活。
  • 実は説明書にワープ・アイテムサーチ等の特殊行動や記号・アイテムはちゃんと書かれており、それを読めば割と普通にプレイできる。その為「とっつきにくく、操作に癖があり、把握も困難だが面白い」という声もある。
    • しかし当時説明書を読まないとプレイが難しいゲームという物は殆ど無かった事、$50と高め(当時の平均は$25~$35位)であった事が災いし、ボロクソに叩かれる結果となってしまった。「ファミコンで例えるなら下知識無しに『ボコスカウォーズ』をプレイする様な物」とも。
      • 実際、日本でも「マイコン★ボックス」(月刊ファンロード別冊・1984年/ラポート発行)のATARI2800レビューでは「移動とアイテム集めでパターンをクリアしていくのはアタリ独特のもので、ストーリー性もあって、おもしろい」と結構好意的な評価をもらっている(もう一人のレビュアーは「途中でうんざりして放り出した」とコメントしているが……)。
      • ただ、中身がE.T.らしいかというと、これにはどうしても否定詞が付いてしまうのを避けられない。
  • 苦労してパーツを集めた後は本来仲間の宇宙船を呼んでクリアとなるのだが、その宇宙船が来ないというバグに陥る事がある。
    • 更に酷いものになると、ゲームデータが破損して2度とプレイできなくなるというバグもあるらしい。
  • この内容の上、中には 起動しない という正に商品未満の代物まで紛れ込んでいた。

評価点

  • 起動画面のETの一枚絵は(ATARI2800という事を考慮すれば)中々の書き込み様。
  • 当時は無許可でキャラクターを使用することも珍しく無かった中、版権をキチンと取得している。
    • しかしやはり、それに時間をかけすぎてしまったのがマズかったと言わざるをえないだろう。

総評

  • 先述してあるとおり、ゲームとしての出来は(バグを除けば)決して擁護不能と言うレベルではない。
    • 「高い上に150万本も売れたが、その割に微妙だった」「出荷しすぎて売れ残った」「アタリショックの引き金を引いた(という説がある)」「売れ残って埋められた」……といった要素が、過剰に悪評価を招いている所がある。出来のみを論じて「最悪のクソゲー」かと言われると、微妙な所。
    • なお、かと言ってクソゲーではないかと言うとそんな事はない。

余談

  • 米国で先行(1982年)発売された後の顛末
    • 大量の在庫を抱え込んでしまい、「売れ残りの処分に困ったAtariが、トラック十数台分に及ぶ大量のカートリッジ等をニューメキシコ州の砂漠にある埋め立て地に埋めて廃棄した」という真偽不明の情報が報じられ都市伝説として語り継がれるほどであった。
    • ところが近年、この話を検証するプロジェクトが立ち上がり、2014年4月に埋め立てたとされる地点を発掘したところ実際にソフトが発見され、都市伝説は真実だったとして日本でもちょっとしたニュースとなった。→参考記事
      • 更に2014年12月15日、この発掘ソフトの1本が「史上最悪のゲーム」として米スミソニアン博物館に収蔵されることになった。
      • 日本でも、ゴミ捨て場から発掘されたE.T.を購入した人がおり、(ごく一部で)話題になった。
    • 他のソフトにリサイクルされたという意見もある。使い切れなかった物は放棄されたかもしれない。
      • 一部は日本国内向けにほぼそのままリサイクルされたらしい。
    • というのもこのゲームはクリスマスのキラータイトルを目論んでいたらしく、なんと500万本(ATARI2600自体は全米で1000万台)も作られていたのである。
    • 一応150万本売れたのだが、その結果は以上の通り。版権や諸々で大赤字だった。
      • なお、アタリ社からすればこれでも学習して抑えた方である。半年前に春休みのキラータイトルとして出したパックマン1200万本作って500万本売れ残っている
    • このゲームを機にアタリ社の信頼は一気に地に落ち、アメリカのゲーム業界は氷河期と化したのであった。
  • アメリカでのこのソフトの評価は、歴代ソフトのワースト候補をきめる際の常連となってしまっているほど。
    • SeanbabyはElectronic Gaming Monthly150号において歴代ゲームワースト20のワースト1位にしている。
    • FHM誌の代理編集人Michael Dolanも歴代ワーストゲームの1位にこのゲームを選んでいる。
    • PC Worldも、筆者Emru Townsendによる「質問した内の3人に1人はこのゲームをすぐに思い出していた。何故かを理解するのは難しくない」というコメントを添えて、歴代ワーストゲームのリストトップに『E.T.』を置いている。
    • X Playで唯一0点をつけられてしまった。
  • 版権などの契約で時間を食った結果、製作時間はわずか6週間(当時の平均の製作時間は5ヶ月~半年)だったようだ。
    • 本作のゲームデザインおよびプログラムを担当したハワード・スコット・ウォーショウは2日間で大まかなアイデアをまとめたが、時間の少なさで殆どを削ってしまったのである。
    • ウォーショウは後に「私は6週間でこのゲームを作ったということに対してはいい仕事をしたと思う。ただし、ユーザーは製作時間なんて気にはしない。クソゲーと呼ばれることに対しては悪く思ってはいない」と述べた。
      • しかしCMは広告詐欺としかいえない出来だった。評価はこれも後押ししているだろう。→参考動画
    • またウォーショウ氏は、逆にアタリ史上最高の売り上げを記録した「Yars' Revenge」の製作も担当している。氏は2015年に行われた講演中、来場者に「『E.T.』は史上最悪のゲームと思うか?」と質問したところほぼ全員が手を挙げたのに対し、「なら実際にプレイしたことがある人はいるか?」と質問すると、今度は誰一人として手を挙げなかった。その結果を踏まえ、「良くも悪くも実際にプレイをせず風評のみでゲームを判断するのは正しいことではない」と発言している。
  • 日本でも噂は伝わっており、上記のカートリッジ発掘の際にインサイドの記事では「最悪のクソゲー」と呼ばれており、Yahoo!JAPANのトップニュースでも「史上最悪ゲーム 地中から発掘」と記載された。

動画

※貼り付けが拒否されている動画なのでリンクのみ。