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ファイナルファンタジーXII - (2021/05/12 (水) 17:14:41) の編集履歴(バックアップ)



ファイナルファンタジーXII

【ふぁいなるふぁんたじーとぅえるぶ】

ジャンル RPG
対応機種 プレイステーション2
発売・開発元 スクウェア・エニックス
発売日 2006年3月16日
定価 8,990円
レーティング CERO:全年齢対象
廉価版 アルティメットヒッツ:2008年6月26日/2,940円
判定 スルメゲー
ポイント オフライン版シームレスバトルの先駆け的作品
高い完成度と自由度だが複雑なシステム
世界観重視のシナリオ
脱・JRPGの嚆矢的存在として国内より海外で人気
長年のシステム解析・やり込みによる遊び方の大きな変遷
オイヨイヨ!
ファイナルファンタジーシリーズ

本項目ではオリジナル版の『ファイナルファンタジーXII』の紹介をしています。
インターナショナル版準拠の作品の詳細は『ファイナルファンタジーXII インターナショナル ゾディアック・ジョブ・システム』を参照。


概要

言わずと知れたファイナルファンタジーシリーズの、ナンバリング第12作。 当初の発表より約2年の延期を経て発売された。

ファイナルファンタジータクティクス(FFT)』『ベイグラントストーリー』の制作スタッフが、それらの舞台となった世界「イヴァリース」を巡る同一時間軸上の作品として制作した。 『FFTA』のような他作とパラレルワールドの関係にある設定ではなく、FFTの約1200年前にあたる古代文明時代のイヴァリースを舞台とした正史である。

上記の理由により、同じ『FFT』チームが開発に関わった『FF9』と装備品の名前が共通しているなどの一部例外を除き、ナンバリング他作とはシナリオの方向性や世界観が全く異なっている。 またシステム面でも、ナンバリング他作のみならず、他のイヴァリース作品とも異なる斬新なものとなっている。 総じてプレイ内容、演出ともナンバリング作品とは大きく異なる要素で成り立つ作品と言える。


あらすじ

戦乱渦巻くイヴァリースの一小国ダルマスカは、急速に勢力を広げるアルケイディア帝国と戦争状態に陥っていた。
先日アーシェ王女と祝言を挙げたばかりのラスラ王子は自ら剣を取り前線に立つが、あえなく戦死する。
敗色濃厚のダルマスカはアルケイディアとの和平を結ぼうとするが、和平調印式にダルマスカのバッシュ将軍は、
ダルマスカ国王を売国奴と呼んで暗殺する。
かくしてダルマスカは和平の道も絶たれ、アルケイディアに降伏した。

2年後、ダルマスカの首都ラバナスタに住む、空賊に憧れる孤児の少年ヴァンは、
帝国に征服された祖国とその状態を受け入れつつある民たちに苛立ち、帝国兵からスリをするなどして抑圧された日々を送っていた。
彼の兄は、調印式を襲撃したバッシュ将軍との関係を疑われ、厳しい尋問の末廃人となり世を去っていたのだ。

そんな折、ラバナスタに新しい執政官が赴任することになり、それを記念したパレードが行われた。
新たな執政官ヴェインは「私が憎いか。帝国が憎いか」から始まる巧みな演説によって民衆の反帝国感情を見事に払拭してしまった。
ダルマスカに深い傷を与えたアルケイディアを許してしまっていいのか。憎しみを抑えられないヴァンは、
帝国が抑えているラバナスタ王宮の宝物庫に忍び込んだ。
そこでダルマスカ解放軍として活動するかつての王女アーシェ、そして空賊バルフレアと出会う。


特徴

ゲームシステム

アクティブディメンションバトル(ADB)

  • 敵が徘徊するフィールド上を探索し、その画面のまま戦闘も行われる、本当の意味でのシームレスバトル。
    • 敵と接近すると、抜刀して画面の切り替えなく戦闘に移行する。戦闘の流れは従来の「アクティブタイムバトル(ATB)」に以下のような空間の概念が加えられたもの。戦闘中もフィールド上を自由に動き回ることができ、交戦開始前に敵の能力を調べてから攻撃を仕掛けるのも、交戦しかけた敵から逃走するのも自由。
      • 通常のRPGでは強敵相手だと「素早さが負けていて逃走は100%無理」だったり「逃走成功確率がごくわずか(1%等)」だったりすることもあるが、本作では逃げに徹すればとりあえず町に駆け込んで撒くこともできるなど、取れる行動の幅が広い。
    • すべての行動に、射程や効果範囲などの三次元的要素が存在する。
      • 離れていれば攻撃を受けない、散開していれば攻撃を受ける味方の数が減るなど臨場感につながり、マラソンや散開といった防御戦略を要求するなど、本作のバトルで非常に重要な要素になっている。
    • リアルタイムに移り変わる天候と地形。
      • 天候や地形により属性魔法の威力、遠隔武器の命中率、一部モンスターの出現条件、敵の能力などが変化する。
    • フィールド上には多種多様なトラップが仕掛けられている。
      • 有害なものがほとんどだが、中にはHPやMPが回復するものも。これらは「ライブラ」状態になると目視でき、魔法「レビテト」で回避できる。

ガンビット

  • キャラクターのバトルでの行動を制御するAIを、プレイヤーが自由にカスタマイズできるシステム。「条件文」と「コマンド」を組み合わせたものを優先順に並べることで、各メンバーが自動で自分好みに行動してくれるように設定できる。
    • 従来作では戦闘の都度「たたかう→敵」「まほう→ファイア→敵選択」などと毎回選択、入力していたのを自動化でき、使いこなせばプレイを大幅に快適にできる。
      • 当初は「味方1人に」などごく単純な条件のみが用意されているが、それでも十分実用的なガンビットを組むことは可能。次第に「HP<30%の自分に」のように複雑な条件も設定可能になる。
    • ガンビット起動中でも手動入力で直接コマンドを指示でき、この場合は手動入力のコマンドが優先される。よって、あえてガンビットを使わず従来作と同様に戦闘することも可能。
  • 例えば、下記のような設定が可能(数字が小さいものほど優先順位が上)。
    1. HPが半分以下の見方がいたら - ポーションを使う
    2. 状態異常の味方がいたら - 治療アイテムを使う
    3. 戦闘不能の味方がいたら - 復活させる
    4. 魔法に弱い敵がいたら - 魔法で攻撃
    5. 敵がいたら - 物理攻撃
  • このガンビットの場合、「味方1人が毒状態でHP半分すれすれ」という状態だと、毒(一定時間ごとにダメージを受ける)のキャラのHPだけを延々と回復し根本的な毒が放置されてしまうおそれがある。これに対しては「手動で毒を治療する」「自力で見方のHPを大幅に回復する」「1と2を入れ替え自動化の順番を変える」によって解決できる。
    このような組み立てを非常に洗練させれば、特定の地点で何もしなくても延々とレベル上げができるような極めて有用なAIを組むこともできる。 初めは難しく感じられやすいが、雑魚モンスター相手にいくらでも試して習熟していくことが可能。

ライセンス

  • 本作の成長システム。「ライセンスボード」という習得アビリティの並んだパネルが用意され、敵を倒すと得られるLP(ライセンスポイント)を消費して「ライセンス」を習得する。
    • コマンドの習得、ステータスの底上げ、装備品追加など様々な効果のライセンスがあり、過去作で言う「アビリティ」に相当する。
    • 装備品や魔法、ミストナックや召喚獣など、戦闘に関わるほぼ全ての要素はここでライセンスを習得しなければ使えない。
    • ライセンスボードは、ライセンスのマスがチェスボードのように並んだマス目のマップ。新たに習得可能なのは習得済マスの上下左右いずれかに隣接するマスに限られるが、全キャラクターとも自由に習得を進めることができ育成の自由度は非常に高い(インター版およびTZA版については仕様が全く異なるためそちらの記事を参照)。

ミストカート

  • MP(ミストカートリッジ)を一定量消費することで繰り出せる大技。
    • 「ミストナック」は全MPを消費する必殺技。使用すると演出画面に映り、メンバーごとに連携を繋げると威力が増し、バトルメンバー3人全員での連携も可能。
      • ミストナックを2個/3個習得すると、最大MPが2倍/3倍となる。
    • 「召喚獣」は、バトルに召喚獣を呼び出す技。その召喚獣とのバトルに勝利するとライセンス習得が解放され、習得した1人が召喚可能になる。
      • 呼び出された「召喚獣」はNPCとして行動する。召喚者以外のバトルメンバーは一旦バトルを外れ、一定時間召喚者との2人パーティで戦うことになる。
      • 召喚獣の攻撃には通常技と発動後に召喚終了となる大技がある。大技には各召喚獣で異なる発動条件がある。

フィールド

  • 探索可能な世界は、すべて繋がりのある3Dマップの組み合わせで構成されている。
    • そのため『FF9』までのようなデフォルメされたアイコンが並ぶ巨大な一つの「フィールドマップ」はない。この点は『FF10』と同様だが、実質的なマップの構造が2Dであった同作とは異なり、今作は完全な3Dオブジェクトで表現されている。
  • 序盤から行動可能範囲が広く、敵レベルの高いロケーションに早期に入ることも可能。中盤からは行動可能範囲がほぼ無制限になる。
    • モブ・隠し召喚獣・ハントループなどの強力モンスターも早期から各地に配置されている。強力装備を早期に入手することも可能。
    • 序盤のロケーションに強力なモンスターが配置されていることもある。ゲームを先に進め、レベルが上がった後でもそのロケーションに訪れる価値を持たせる、これも当時のMMORPGでしばしばみられた工夫である。

「おたから」によるギルの入手と「交易品」

  • 敵は基本的にギルを持っておらず、倒した際のドロップや技「盗む」で入手できるアイテム「おたから」の売却が主な収入源になる。
    • 同種族の敵を倒し続けると「チェイン」が繋がる。チェインレベルが上がると様々な恩恵があり、敵がアイテムを落とす確率も上がるなど、金策のためにも重要になっている。
  • 特定の種類のおたからを特定の数以上ショップで売却すると、特定の「交易品」が並ぶようになる。
    • 「交易品」は通常より割安な店売り装備のセットや消耗品のセット、敵からは入手困難なレアアイテムなど。このため、安定した資金繰りとレアアイテム確保のために「盗む」の通常戦闘での活用がシリーズ他作以上に重要。

「レアモンスター」と「ハントループ」、および「ハントカタログ」

  • 本作には、特定の条件を満たすことで出現する「レアモンスター」が豊富に存在する。
    • 出現条件は「該当するフロアの敵を全滅させる/特定の一体だけ残すなどした後、一旦エリアを出て戻ってくる」「同一エリアで敵を一定数以上倒すと出現」「普段は転送装置を使って移動する箇所をあえて徒歩で移動する」「5分間同じ場所にいる」「プレイ時間の数字が特定の条件を満たす」など多彩。
  • 「ハントループ」は、各地のレアモンスターを倒してその印を収拾し、最終的に豪華報酬を得るという腕試し的な要素。メタルマックスメタルサーガシリーズのような賞金首システムにも通じる。
  • また、いわゆるモンスター図鑑の「ハントカタログ」もある。
    • 内容が充実しており、よくある1モンスターあたり2~3行の適当な記述というのではなく、ザコもボスも含めモンスターごとに1ページ割いている。単独でも読み応えがあるほか、イヴァリースの世界観を補完する設定資料としても機能している。

評価点

ライセンスシステムによる育成の幅広さ

  • モンスターを倒すことで得られるライセンスポイントを使って、各キャラクターの装備品や能力、役割を自由に決められる。
    • 多くのRPGのように、「キャラクターAは銃火器しか装備できない」「キャラクターBはローブ類しか装備できない」といった制約を取っ払うことで、「戦士タイプに見えるバッシュでも杖などの魔法使い系統の武器を装備する」などの個性的な育成も可能になっている。
      • 『FF8』のジャンクションシステムや『FF10』のスフィア盤にもそういった面はあるが、前者はドローやジャンクションや魔法精製などの理解が煩雑とされ、後者は本編終盤になるまでは育成ルートがほぼ固定であり、また両者とも装備品のカテゴリは固定であるなど制約があった。本作は、特に難しい過程を経なくても早期から自由な方針転換が可能である。*1

多彩な装備品

  • 武器は計17種類に分けられ、種類によって射程やダメージ計算に適用されるパラメータなどが異なる。
    + 武器種類について
    • 片手用・近接武器
      • 「剣」…片手武器で最もスタンダードな性能だが、攻撃間隔は遅め。
      • 「ダガー」…攻撃力は低いが、剣に比べて攻撃間隔は速い。何かしらの特殊効果がついていることが多い。
      • 「斧/ハンマー」…ダメージのランダム幅が広く、大きなダメージを出すこともあるが不安定。
      • 「メイス」…ダメージ計算式が魔力依存のため、魔装備と相性が良い。
      • 「計算尺」…攻撃した相手にバフ効果を与えるという非常に特殊な武器。
      • 「盾」…片手武器は、合わせて盾を装備できる。回避率を上げる効果がある。
    • 両手用・近接武器
      • 「槍」…一部除き片手武器と大差ない攻撃力だが、攻撃間隔が短い。両手武器のスタンダード。
      • 「刀」…槍よりも攻撃力がやや低いが、連撃の発生率が高い。攻撃力が力と魔力に依存する。
      • 「棒」…連撃発生率に加え回避率も高く、攻撃に巻き込まれても生存率が高くなる。敵防御力が魔法防御で判定される。
      • 「杖」…攻撃力は低いが、魔力を大幅に上げる効果がある。魔法使い向け。
      • 「ロッド」…攻撃力は低いが、最大MPと魔力の両方を上げる効果がある。魔法使い向け。
      • 「忍刀」…中盤頃から登場する。攻撃力は低いが、攻撃間隔が短く、回避率・連撃の発生率ともに高い。また、全ての忍刀が闇属性である。
      • 「両手剣」…終盤頃から入手できる。攻撃力が高く、特殊な性能を持つものが多い。
    • 両手用・遠隔武器
      • 「弓」…敵から離れて攻撃できる遠隔武器のスタンダード。
      • 「銃」…攻撃間隔は遅いが、ダメージは相手の防御力を無視することができる(ただし、これに耐性を持つ敵も存在する)。
      • 「ボウガン」…遠隔武器の中では攻撃間隔が最も短く敵のパリィを無視する効果もあるが、弓以上に強風で命中率が減少するという弱点がある。
      • 「ハンディボム」…斧・ハンマー同様ダメージのばらつきが大きい遠隔武器。天候の影響を受けないが、カウンターを受ける可能性がある。
      • 「矢/弾」…遠隔武器を使用する際には合わせて装備する。攻撃に属性や状態異常の追加効果を付けることができる。
  • それぞれに「最強武器」があり、また歴代のファイナルファンタジーシリーズで登場した名品*2もあるが、そのどれもが入手困難である。
  • 本作は装備品のパラメータ設定も緻密で、特に防具は同じような防御力のものが複数あってもそれぞれ属性耐性、状態異常耐性、ステータス補正効果(力、魔力、HPなど)などが大きく異なっており、装備品にこだわるだけでも多彩なキャラメイクができるようになっている。

戦術性の幅広さ

  • 育成の幅広さと洗練されたガンビットシステムによってもたらされる本作の戦術性の幅広さは、シリーズ随一のプレイの幅広さとされるFFVに並ぶという意見もある。
    • 装備品やライセンスの性能と敵の行動とのバランス感が絶妙であり、高度に理論的なガンビットでの自動対処が可能な内容でありながら、偶発的な運要素によってもたらされる不慮の事態のリスクによる適度な緊張感も加味されている。
      • 自分の考えた戦法が見事に決まり快適な戦線を実現させる爽快感と、一つのほころびから一気に崩れ手動での迅速な対処を余儀なくされるスリルとを併せ持つ。
    • 「複数キャラクターを操作するリアルタイムバトル」は一般に操作の忙しさやAIの問題などからプレイヤーの思い通りの形になりにくく快適になりにくいとされてきたが、ガンビットはこれに対する能動的な解決手段の完成形の一例であるとして高い評価を受けている。

やりこみ要素が豊富

  • モブ、隠し召喚獣、レアアイテム、ハントループ、クランレポートなどのやりこみ要素がふんだんに盛り込まれている。
    • FFシリーズは同じ国民的タイトルであるドラクエやマリオなどとは異なり、ごく一部の例外*3を除き同名モンスターでもデザインや設定が作品ごとに大きく異なり*4、イヴァリースに馴染みのないシリーズファンでも新鮮な気持ちで楽しみやすい。
    • モブについては、報酬は得られるものの要する労力も大きく(特に後半は膨大な労力とアイテムの消費を余儀なくされる相手が多い)、ストーリー重視派のプレーヤーには敬遠されがちな要素である。しかしモブにまつわる様々な人間ドラマも描かれており、本作のものはストーリーを重視するプレーヤーであっても楽しめるように設計されている。

序盤から探索範囲の自由度が高い

  • FF12の魅力として特筆される要素。探索可能範囲は序盤から広めであり、中盤前頃には更に飛躍的に拡大する。
    • 「序盤から」という点がポイントで、ストーリーそっちのけであちこち探検するプレイスタイルが複数存在する(通称、王宮前プレイ、ガリフ前プレイ)。
      • こうした寄り道により、序盤でも最強クラスの武器防具の入手が可能。本編クリア後が適正時期のダンジョンではあり通常プレイではまず踏破困難だが、そこをあえて序盤に挑むようなプレイすら可能となっている。
      • ストーリー上全く戦う必要のない強力なボス・モブ・レアモンスターも多数いて、その多くにもストーリーの途中で挑戦可能。最強クラスの装備を早期に手に入れそうした強敵を倒していくのは本作のやりこみの最終形ともいえる。

練られた世界観と美しいグラフィック

  • 松野泰己氏が手がけた作品の特徴である、世界観の細かい作りこみは本作でも健在。
    • 本筋とはあまり関係ないような設定まで非常に細かく練られており、NPCの話に耳を傾けたり世界設定を読み込んだりすることでイヴァリースの世界に深く浸って楽しめる。
  • また『FF10』でも高く評価されたグラフィックは更に進化し、同作とは異なり真の3Dフィールドとなった。
    • 足元の植物から遠くに見える山岳の背景まで作りこまれた世界をアナログスティックで360度カメラを回して堪能でき、当時のものとしては圧巻のクオリティ。
    • SFチックな飛空艇内部からミストの漂う幻想的な森林、綺麗な砂浜、広大な都市、エキゾチックな雰囲気漂う遺跡まで、冒険できるロケーションのバリエーションは幅広く、どれも美麗。

崎元仁氏による音楽

  • シリーズで初めて植松伸夫氏が外れ、代わり『FFT』『ベイグラントストーリー』で定評を得ていた崎元仁氏が担当。
    • 植松氏との作風の違いが明確な作家のため、発売前こそナンバリング作ファンから不安視されていたが、良質なオーケストラ調楽曲はいずれも世界観に見事に合致しており好評を博した。
      • 中でも「ファイナルファンタジー」(『FF4』の同曲のオーケストラ版)「帝国のテーマ」ラスボス戦「自由への闘い」などは特に人気がある。

イヴァリース資料集としての価値

  • ルカヴィ関連の設定や神々の設定、イヴァリースの地理・気候・宗教・神話など多岐にわたる設定がテキストで読める。
    • 中には伝説の大崩壊やアジョラの時代に関連すると思われるものが含まれており、イヴァリースシリーズのファンにとってはコレを読んでないとイヴァリースを語れないというほどの内容となっている。

賛否両論点

旧態依然としたRPG、シリーズ旧作からの脱却指向

  • 『FF10』以前のナンバリング作品では、シナリオや世界観、バトルシステムなど様々な新要素を盛り込み着実に進化していたが、根本的な点では「ランダムエンカウント」「モンスターを倒して金銭入手」など、よく考えればあまり現実的でない「ゲームの都合」は無言で踏襲され続けてきた。本作は、良く言えば「お約束」、悪く言えば「旧態依然とした伝統」であるそうした要素をほぼ全廃した非常に革新的な内容となり、旧作からの引用はコマンドやアイテム、モンスターの名前など一部の表面的な要素に限られた。
  • また、世界観もナンバリング作で一切描かれなかった『FFT』の世界「イヴァリース」のもので、これも作品ごとに世界が一新されてきた旧ナンバリング作とは機軸が異なっていた。
    • 『FFT』『ベイグラントストーリー』はいずれも根強いファンを獲得した作品ではあるが、売り上げはさすがにFFナンバリング作には遠く及ばず、「イヴァリースのことは一切知らない」というナンバリング作ファンも少なくなかった。
  • そのため、『6』以前や『9』のような「デフォルメされた主人公がその手で諸悪の根源を倒し世界を救う冒険活劇」を期待していた層と、『7』『8』『10』のような「ロマンスありサイバーパンクありの、美男美女が繰り広げる青年活劇」を期待していた層の両者から「これはFFではない」という激しい批判を浴びる事態となった。
  • また、倒しても金銭が得られず戦利品を売って稼ぐという当時としては革新的だった演出も、当初は「手間が増えて面倒くさいだけだ」という批判的な意見が主流だったが、「非常にリアリティがある」とむしろ好意的に受け入れる層も一定数おり、その後は多くのゲームに同様のシステムは当たり前に見られるようになった。
  • 「FFナンバリング作品として見なければ、演出もシステムもゲームとして高い水準でまとまっている」という声も発売当時から聞かれており、その奥深さに魅入られる根強いファンも抱えてはいたが、「期待していたものと違った」「お約束が撤廃されて驚いた」という「FFナンバリング」としての感想が批判に繋がってしまった面が否めず、発売当初の論評は「否寄りの賛否両論」となってしまった。
  • その後、後述のように海外では当初から高く評価されていたことに加え、本作のシステムの全容が時間をかけて判明していくにつれてその奥深さがじわじわと認知されていったことなどから、FFナンバリング作の一つではなく『FF12』という名の新作ゲームとして、味わい深いゲームであると評する論調が増えていくことになった。

ゲームシステム・ゲームバランス(賛否両論点)

当時としては斬新すぎたバトルシステム

  • 本作はリアルタイムバトル、ヘイト、順番待ち…などオンラインMMORPGに特有の、オフラインゲームでは見慣れない概念が多く採用されており、その割にそれに対する説明は必要最小限であった。
    • そのためFFファンのみならず、MMORPG未経験の当時の日本人ゲーマー全般からシステムに対する戸惑いの声は大きかった。
      • アクションRPGと勘違いされ「アクションなのに行動がコマンドで手抜きだ」と評されるなど、今では明らかに的外れと分かるような批評が、当時としては真剣になされることもあった。
    • 前作が当時日本で黎明期にあったMMORPGとしては圧倒的な人気・知名度を誇ったため、それをオフライン仕様に落とし込んで正当な進化を遂げたとも評せる。
      • アクティブ・ノンアクティブ*5や視覚・聴覚・魔法感知*6、こちらのレベルに応じて対応を変える(弱いと見るや襲ってくるもの、逆に雑魚には興味がない…など)など、MMORPGファンには当たり前ともいえるが普通のRPGとして漠然とプレイしている分には気づきにくい要素が非常に丁寧に作り込まれている。

ただ遊んでいるだけでは戦術性を感じにくいゲームバランス

  • 先の評価点の裏返しとなるが、戦術の核となる要素はゲーム内で明示されていない仕様を活かしたものが多く、またそうした要素のゲーム内での説明も少ないため、奥の深さに気づかれにくかった。
+ 本作の戦術的要素について
  • 成長システム(ライセンス)
    • 自由度の高さが特徴だが、その一方でパネルを開放するためのライセンスポイントが溜まりやすく、特別やり込まなくても全てのライセンスを習得することが可能となっている。
    • この事はDQ6に準えて「全キャラ同じ」「全員勇者」とされ批判の的になり、ライセンス全習得後は「全員で物理攻撃・全員で回復魔法を行う」というパーティを組むパターンになりやすい。
      • ある意味、過去のFFの要素の復活である(1,3)。
    • 実際は「ライセンスを習得すること」ではなく「何を装備するか」により性能が大きく変わるシステムになっており、ライセンスを全て習得しても戦闘においてキャラクターが無個性になることはなく、そして研究が進んだ現在では「パーティの役割分担」を行うことで戦術的に、かつ楽に進める。
      • 力が上がる「重装備」、魔力が上がる「魔装備」、最大HPが上がる「軽装備」という3種類の防具がある。これらは「FF2にあった『魔法干渉』システムと同じ考え方を引き算ではなく足し算で作ったもの」などと説明されることがある。
      • さらにライセンスの中には、HP満タン時や瀕死時限定で強力な効果を発揮するものがある。盾役が攻撃を引き付けることで重装備や魔装備でステータス強化したキャラクターの性能を格段にアップできる仕組みになっており、キャラクターの方向性が特化される。
  • 敵対心システム*7
    • 敵がこちらのメンバーをランダムに攻撃するのではなく、「敵対心(ヘイト)を最も多く集めているキャラ」を集中攻撃するシステム。MMORPGなどでは一般的なものだが、当時のコンシューマ機のRPGとしては例がなかった。
    • 本作では武器防具の特性差が大きく、火力重視の装備を行うと防御が脆くなり、逆に防御重視の装備は火力不足となりやすい。
      • しかし上位魔法といった強力な攻撃手段は敵対心を高めてしまうため、ヘイトを集めやすくなる。逆に防御重視の装備を行ったり敵対心を意識して下位魔法を使った場合、敵側の防御力が全体的に防御スキルが多くHPも高く非常に固いために大きな壁となる。
      • この問題は、アビリティ等を駆使して敵対心の制御(いわゆるヘイトコントロール)を行うことにより、防御重視のキャラに攻撃を受けさせ、火力重視のキャラを攻撃に専念させることである程度は解決できる。また、敵が繰り出す範囲攻撃の攻撃範囲は味方の遠隔攻撃の射程よりも短いように調整されており、立ち位置をしっかり管理すればPT全体の被害を少なくできるように調整されている。
    • このように攻略に大いに役立つシステムであるにもかかわらず、ゲーム内では敵対心についての明確な説明はない。ヘイト稼ぎ専用のアビリティも用意されていないため*8、「魔法を使ったキャラに敵が群がる」といった現象に気付いたプレイヤーから敵対心の存在が広まることとなった。
      • なお、この点を補助するためか本作には敵の攻撃を集中させる状態異常「おとり」を付与する魔法「デコイ」が用意されている。ただしこれは敵対心増加とは別の処理をしており、効果が切れた途端に敵の矛先が変わりやすいほか、持続時間が短い、必中ではないといった欠点もあり、少々信頼性に欠ける。
  • 処理落ち対策用の「順番待ち」
    • 各行動には通称「エフェクト量」というエフェクトの重さの概念がある。これが限界値以上になると「順番待ち」が起こり、後の行動はエフェクト空きができるまで発動を待たされる。ただし通常攻撃などは順番待ちの影響を受けずに行動できる。
      • とくに顕著に現れる点として、HPが減っても回復が順番待ちになって回復できない場面が目立つ。
      • 正式なシステムではなく、あくまで裏の処理なので、当初はこうした仕様の存在が分からなかった。そのためストレス要因になり、不評の一因となった。特に全員で攻撃・回復を行う編成で頻出する。
    • 魔法を使うキャラを少なくする・上級魔法を用いずに装備・ライセンス補正で強化する事により改善される。これは先述した「役割特化」「ヘイトコントロール」とも噛み合った仕様となっている。
      • 逆にホーリー、フレアーといった最上級魔法は「ヘイト量が非常に高い」「一発で順番待ちを起こし味方の邪魔をする」「強化してもダメージは9999止まり」と、本作では非常に使い勝手の悪いものとなっている。
      • 敵の行動も順番待ちに影響するため、逆にこちらでわざと順番待ちを起こし、敵の行動を妨害し封じるという戦術も考案されるように。

プレイヤーの思考と知識に大きく左右されるガンビット

  • 「ガンビット」は決して使用を強要されているわけではなく、どれだけ密に設定するかのさじ加減は自由である。例えガチガチに論理的に設定していても、コマンドを手動入力すればそっちが優先されるので、プレイスタイルを選ばない幅の広い仕様である点は純粋に評価に値する。
  • しかし、各キャラのコマンドを自分の戦術に合わせて1から設定する必要があり(デフォルトのお勧め設定などは用意されていない)、真剣に運用しようとすると思考力の差が戦果にダイレクトに反映される。
    • 状況に必要な戦術をコマンド単位で分解して明文化しなければならず、やっていることはプログラミングそのもの。プログラミング的な思考の素養を持っている必要があるうえ、ゲーム内の各行動やパラメータに関する細かい知識も要求される。
    • 条件文の少ない序盤であっても高度な戦術を作成できるほど洗練されたシステムであり、工夫を凝らせば「プレイヤーが寝ている間に最強の敵を自動で倒してくれるガンビット」を組むことすら可能であるが、よく分かっていないと「目の前の敵をタコ殴りにする」程度のAIしか組めず面白みが感じられないという、両極端なシステムになっている。
  • ただ多数用意された「条件文」や行動順の詳細など、仕様に関する説明は明らかに不足しており、プログラミング的思考が可能なプレイヤーであっても真の有効活用に至れない可能性があった。
    • 特にガンビットには「無駄になる行動はしない」という節約機能が最初から備わっているが、そのことがあまり知られていないせいで、取れる戦略の幅が狭いと誤解するケースが多発した。
+ 詳細
  • たとえば「味方一体に毒消しを使う」というガンビットを組むと「味方が誰も毒状態でなければ、毒消しは無駄なので使わない」という節約機能が働き「味方が毒状態のときだけ回復してくれる」という十分有用なガンビットができあがる。
    • しかし一般的なプログラミング的思考だと「味方一体に毒消しを使う」とだけプログラムすれば「味方が毒状態であってもなくても、そのキャラは延々と毒消しを使い続ける」と考えるのが普通で、「毒状態の味方」という条件がなければ意図するガンビットを組めないと誤解するプレイヤーは当時から非常に多かった(そして「毒状態の味方」などの豊富な条件文が実際に用意されていることもそれを助長した)。
    • この誤解は逆にプログラミングをよく理解している人ほど陥りやすいもので、そのことは制作側が一番よくわかるはずだが、そのような便利仕様になっていることの説明がほとんどなかった*9
  • 行動順についても、先述の通りヘイトや順番待ちやなどの仕様に関する説明がなく、これらの要素をガンビットに最も適した形で活かせるレベルで理解するには、後の長年の研究による膨大な知識の蓄積が必要であった。

ギル収入のランダム性

  • 主なギル収入源は、敵から入手するおたから、トレジャー(宝箱)の二つ。しかしこれらは非常にランダム性が強く、収入が安定しない。
    • 「盗む」のアビリティを使えば高確率でおたからが入手できる。
    • 売却用のおたからのドロップ率はだいたい5割前後。
    • トレジャーは出現するか否か、中身がギルかアイテムかもランダム。中身がギルなら金額はランダム(最低額は1ギルで共通)、アイテムでも2種の内からランダムで選択される。
  • 特に稼ぎを行わず、店に新しい品があれば買う、というプレイをしていると、たちまち金欠に陥る。そのためどう稼ぐか、もしくはどう節約するかを考えなければならない。
    • 一方、それらを解消するためにほどよく「稼ぎ」を行うことでスムーズにゲームを進めるようになるため、本作はクリアまでの難易度自体はそこまで高くない。
  • バトルチェインを生かした絶好の狩り場と言えるロケーションも用意されており、それさえ把握しておけば稼ぎ自体も容易に行え人によっては楽しむ余地はあるが、それに気づけなければ苦痛となる。

ストーリー(賛否両論点)

争乱の時代を舞台にしているが、ヴァンたちの行動が直接的に人類の歴史を動かすという物語ではない

  • ヴァン一行は帝国との関係がそれぞれ異なる少人数の集団であり、特定の勢力に仕えているわけでもない。物語の大筋では政治や戦争などの世界情勢を描いているが、ヴァンたちは表舞台にはあまり関わらず、冒険を通じて争乱の裏に潜む存在に迫ってゆくことになる。
    • 歴史の動きは、主に帝国内部の権力闘争や、帝国と解放軍との戦いによって描かれる。こうした動きにはヴァン一行が関わらないため、主人公が歴史を動かすダイナミックな史劇を期待した層からは「物足りない」という評価が付いた。
      • ヴァンたちは、表舞台に関わりたくても関われない事情がある。アーシェとバッシュが世間では死亡したことになっており、それを誤って公表したのが解放軍の長であるオンドール侯爵。もし表舞台に立って解放軍に協力すると、二人の死亡が嘘だと世間に知れわたり、侯爵が信用を失って解放軍の団結に支障をきたしてしまうため出来ないのである。そして侯爵に偽の情報を伝えて公表させたのが、帝国の司令官であるヴェインである。
  • 政治的な利害や思想の衝突など、単純な勧善懲悪ではない内容が中心になっている。
    • ダルマスカを滅ぼした帝国は、新たな領土の民を圧政で苦しめる非道な支配者になるのではなく、それなりの善政を布き安定をもたらす統治者となる。単純な「悪の帝国を倒す」物語にはなり得ないこうした多面的な描写も、ゲームの物語に何を求めるかで評価は分かれた。
    • スタッフ曰く「強大な敵国が悪なのはおかしい。国民が苦しみ自分たちの国に誇りを持てないなら強大にはなれない。敵には敵なりの正義がある」。
      • なお、帝国首都の市民社会は、一夜にして上流階級から転落することもあるが、使い走りの仕事からでも立身出世が叶う、競争こそ激しくも活気のある実力主義社会として描かれている。
  • 発売前にもいくらか言及されていたアーシェの恋愛関連などの描写はかなり少ない。
    • 描写においても言い回しが難しい部分が少なからずあり、「子供に理解できるのか?」という疑問が国内のみならず海外プレイヤーからも投げかけられた。
      一方で、そういう言い回しや地味な演出を渋いと好む人や、恋愛展開が前面に出てこず、バタついた展開がない点が良いと言う人もいる。ここはやはり好みの問題になるだろう。
      • 旧監督の松野氏は「恋愛シナリオは不得意」「主人公とヒロインでは何かの関係がなければおかしいが、単純な愛ではなく他の愛」と答えていた。
      • 実際には同じ境遇にある理解者同士という関係となっている。

群像劇形式のストーリー

  • 制作スタッフは本作のストーリーについて
    「FF10ではティーダの物語が先にあって、それを描くために設定を広げていった。今回はそうではなく、まずイヴァリースという世界があって、そこで生きているキャラを描くという逆の作り方。そういう意味では『主人公』というものの考え方はFF6に近い。」と述べている。
  • ヴァン一行からして、同一の信念のもとに団結しているわけではない。亡国の王女であるアーシェと将軍であるバッシュは祖国再興と帝国打倒を悲願とするが、ヴァンの帝国への感情は、戦争で兄を失った怒りや懐柔された同郷人への苛立ちから来る反感といった色合いが強い。バルフレアはその出自によって帝国に複雑な感情を持ち、明確な反帝国ではない。パンネロはヴァンの身を案じて同行している部分が強く、フランに到ってはそもそも帝国と戦う動機がない。このように、帝国への感情一つを取っても、人物ごとにその濃淡は様々。
  • こうした多様な人物設定に基づき、「似た境遇のキャラについて異なる考えを持たせて対比させ、複数の視点から掘り下げる」という手法が取られている。例えば「過去から逃げるのはやめる」と決意したヴァンに対して「どうせ逃げるなら逃げ切ってみせろ」とシドに諭されたバルフレア、復讐にとらわれなくなったヴァンに対して復讐にとらわれ続けるアーシェやガブラス、「盾」の役目を担うバッシュと「盾」の役目を担いながらも自分を見失うガブラス、等々。
  • 主人公側にも敵側にも様々な価値観を持つキャラクターを配置することで、世界観は厚みを増すが、視点は散漫になる。これらは表裏の関係にあり、前述のような「善悪を割り切れないストーリー」にも繋がるため、賛否の特に分かれる点となった。

ストーリーの結末

+ ネタバレのため格納
  • 結末がやや消化不良であるとする意見が多い。
    • イヴァリースの神に近い種族「オキューリア」が登場するが、いかにも倒すべき黒幕然とした傲慢な態度で、プレイヤーとしては鬱憤が溜まる相手。ところが彼らとの戦闘はないため肩透かしな展開で、多くの不満の声が上がった。
      • 彼らはギルヴェガンという名の人里離れた土地に籠り、自分たちが認めた人間に「破魔石」という強力な力を持つ魔石を与えることで、イヴァリースを管理してきた種族。その一体であるヴェーネスが仲間に背いてヴェイン、シドと共にあったという筋書き。
      • ヴェーネスは、ギルヴェガンにこもるオキューリアには歴史を導く資格などないと語り、帝国のヴェインとシドに破魔石の秘密を教えた。一方ギルヴェガンに籠るオキューリアたちは、離反したヴェーネスと、帝国を滅ぼすために、アーシェに破魔石を授けようとする。
      • シドの初登場シーン、覇王レイスウォールやガリフ族の伝承、ミュリンのそばに現れたヴェーネス等々…、オキューリアの存在自体は序盤から示唆されており、伏線が積みかさねられていた。そしてヴェイン達がアーシェの祖国を滅ぼした理由が、覇王レイスウォールに与えられた破魔石を奪い人造破魔石を作るためだということが明かされ、オキューリアとヴェーネス達との確執が戦乱の原因になっていることも判明する。このように物語の核に関わる存在であることが示されていただけに、結末の肩透かし感が強くなっている。
    • 異論として、そもそも実はアーシェとオキューリアにはお互いに争い合う理由がない、というものがある。
      • アーシェは祖国の再興が目的。オキューリアは離反したヴェーネス達を始末するのが目的。EDの時点で、両者の目的は果たされている。
      • 実のところ、オキューリアの態度があまりにも傲慢でプレイヤーのヘイトを買うキャラクターなので、一発殴りたいのに殴らせてくれないという、鬱憤が晴れない結末によって不満が出ている面もある。
    • 内容を補完するゲーム内テキストが充実しており、オキューリアの足跡や目的などを考察する議論が活発に行われた。
      • 特にイヴァリース作品のファンは、同じイヴァリースを舞台とした作品であるファイナルファンタジータクティクスと絡めた考察を行っている。
      • イヴァリースの歴史は、FF12の後に文明が滅びる謎の天変地異が起こり、中世世界観のタクティクスへと繋がる設定なのだが、FF12のゲーム内テキストはその文明崩壊にオキューリアが関わっていると解釈できるような内容が豊富にある。イヴァリースファンにとっては、消化不良な結末であることが逆に考察意欲を駆り立てられ、プラス面に働いている。
      • 当然ながら、その文明崩壊の時代を描いたイヴァリースシリーズの続編が出ない限り、単なる想像で終わってしまう。今の所その時代を描いた続編が出ていないため、不満が出ている。

大人向けのストーリー

  • 後のリマスター版の発売により、大人になって改めて遊んでみたところ色々と気付いたというプレイヤーが少なからずおり、ストーリー面でも評価の見直しがされている。
  • 政治劇を主体とした戦記物なのでそもそも子供には理解の難しい内容であるが、キャラクターの行動や心情の描写は元々緻密であり、大人になって初めてストーリーの意味と必然性が理解できた、細かな仕草や回りくどい言い回しの真意などに大人になって初めて気づいた、という声は多い。
    • 本作のテーマは「自由」と「義務」であるが、ウォースラ、ガブラス、ヴェインなど「義務」側のキャラクターについても、その思考や感情は子供にはなかなか理解が難しいと思われる。行動の善悪は別にして、大人になり社会に出て、実際に責任が求められる「義務」側の立場になって初めて行動原理について理解できると思われる。

問題点

ゲームシステム・ゲームバランス

ミストナック

  • ミストナックは一気に大ダメージを与えられるため、ボスの発狂前にトドメを刺すのに有効。しかしダメージにランダム性が高いうえに連携が続くと反射神経が要求される(発動可能なミストナックの入れ替えなど)ことに加え、「戦闘メンバー全員のMPを全て消費する」という甚大なコストのため連携を失敗すると一転して全滅の危険にさらされる。
  • 運が絡む仕様ではあるものの、序盤のボスならほとんど何もさせずに倒せてしまう。しかし中盤からボスのHPが急激に増加するためミストナックだけで倒し切るのが困難になる。序盤をミストナックでゴリ押ししようとすれば育成もミストナックの習得に偏るため、中盤で行き詰った後の育成面のリカバリーが大変になる。
  • 高い戦術性が評価される今作においてこの要素は所謂「ゴリ押し」であり戦略の幅を著しく狭めてしまうのため、やりこみプレイヤーはおろか上記の件との兼ね合いから通常のプレイヤーですら使用しないことが多い。

召喚獣の扱いの難しさ

  • 召喚獣を召喚すると単純に戦闘人数が減るためリスクが高い。何も考えずに使うと大抵どちらかのHPがすぐに尽きて召喚終了ということになりがち。
    • 召喚獣の攻撃には、通常技と、発動後は召喚終了になる大技がある。しかしどちらも特徴的な特性のものが多い。上手く活かせば数万ダメージを連発できるような者もいるが、それぞれの召喚獣の行動パターンを把握しないと難しい。
    • 扱いは難しいものの、行動パターンの把握に加え召喚者がしっかりヘイトコントロール等を行ない敵の攻撃を捌いていくことが出来れば召喚獣を思う存分暴れさせることもできるため、ミストナックよりは今作らしいゲーム性を保つことが出来る。

ゲストメンバーの仕様

  • ゲストメンバーは加入時のレベルが高かったり、回復アイテム無限に使用してくれたりなど頼もしい部分もあるが、こちらが指示を出したりガンビットを組むことが出来ないため、戦術によってはそれを妨害するような行動も起こすため非常に扱いづらい。
  • 中でも、終盤の一部メンバーは同行するダンジョンの仕様も相まって「勝手に敵へ向かって走っていき、途中でトラップを踏んづけて断末魔を上げながら戦闘不能に陥る」場面が頻発することから特にネタにされている。
  • 邪魔なため戦闘不能状態にして攻略を進めるプレイヤーも多いが、その場合戦闘不能回復用のガンビットに一工夫必要な他、セーブクリスタルに触れるたびに復活するため煩わしい。
  • インター版では上記の召喚獣やゲストメンバーの問題点は解消されている。

「最強の矛」など一部トレジャーの仕様

  • 貴重なアイテムが確定で手に入る特定の宝箱には「それを空けるより前に、別の場所に置かれた特定のトレジャー4つのうち1つでも空けてしまっていると、出てくるアイテムが消費アイテムに劣化する」という、謎の仕様が与えれている。
    • リンクトレジャーと呼ばれるシステムだが、そのような説明は作中で一切なく、何と言ってもこれによる最大の問題は本作の最強武器「最強の矛」の入った宝箱がこれに該当するという点。
      • 「最強の矛」の入った宝箱にリンクした4つのトレジャーはどれもかなり目立つところにあり、特にうち1つは再序盤に取得してしまう可能性が非常に高いもの。
      • この条件に引っかかって取り逃してしまった場合、「最強の矛」は本編クリア後クラスの難関ダンジョンの奥地にある、10%でランダムに出現するトレジャー(宝箱)から、更に0.1%のレアアイテムを引いて(すなわち出現率1万分の1で)入手するしかなく、苦行を強いられることになる。
  • リンクトレジャーというものを作った理由は、攻略本によると「『欲張り者は損をする』を表現するため(要約)」とのこと。しかしシナリオや世界観からはそうする必然性などどこにも見当たらず、そもそもFF12の成長システムが「トレジャーが豊富に置かれたマップの探索と敵の討伐によるアイテム入手によって、自分の装備を固めて強くなる」というデザインであり、隈なく探索した結果最強武器が入手できなくなるという点はこれと大きく乖離している。
    • さらにその救済措置が更なる苦行を強いるものでほぼ救済措置になっていないということもあり、批判が噴出した(入手方法が最初からランダムトレジャーだけであったら、条件が厳しすぎることへの不満は出ていたとしても「問題点」とはみなされなかったと思われる)。

ストーリー(問題点)

序盤を過ぎると主人公のヴァンが目立たない

  • 中盤以降、物語の展開において最も重要なキャラはアーシェとなり、主人公のヴァンは「自由」というテーマを象徴するいち市民代表という位置づけ。
    • こうした立場ゆえ、表立って活躍するバルフレアや、キーパーソンであるアーシェと比べてシナリオ上の活躍が目立ちにくい。見せ場は序盤に集中しているがどれも渋めであり、終盤へ進むにつれ非常に影が薄くなり、ストーリーの終盤はもはや「アーシェの成長物語」のよう。
    • また本作は「自由」の対比として「義務」が存在するというコンセプトで、「義務の応酬」が時代背景の根底に存在するため、法を司る「ジャッジ」のガブラスや、敵の司令官であるヴェインが「義務」の象徴としてかなり目立ち、「自由」側のヴァンは相対的にも目立ちにくい。
      • アーシェ、バルフレア、バッシュのような確固たる信念や行動理念が見えないため、ユーザーによっては「ヴァンはどういう人間なのかわからない」「ヴァンが何をしたいのか分からない」ということになる。
  • ヴァンより、仲間のアーシェやバッシュの方が敵との因縁や過去が深く描写されている。
    • 本来、ヴァンも敵の重要人物との深い因縁を抱えている。しかしいざ敵の重要人物と対峙すると主人公のヴァンのはあまり発言せず、アーシェやバッシュが盛んに敵と舌戦し、敵もヴァンを因縁の相手と認識しないままシナリオが進んでいってしまう。
      • 主人公なのだから、宿敵と表立って激突する描写が合っても良さそうなのに、それがほとんど無く因縁の設定があまり活きていない点は残念とされる。
    • 過去についても、アーシェはOPから終盤まで続くふんだんな描写で詳細に描かれるが、主人公であるヴァンの過去は軽くテキストで語られるだけ。
      • 過去を匂わせるようなイベントもあるが、単なる白昼夢扱い。ヴァンにどういう過去があったのかは、彼らの会話から想像を膨らませるしか無い。
  • ここまで述べた通り「ヴァンを中心に話が動いている」という流れが微塵もなく、シナリオ面でも最前面で活躍してきた従来のFFナンバリング作品の主人公と比較され「空気主人公」と揶揄されることになってしまった。
    • バルフレアが劇中で自身を指した台詞「この物語の主人公さ」は、意図してか意図せずかはともかく、文字通りの意味でヴァンのポジションを決定づける文言となってしまった。
      • ストーリー後半にはバルフレアが自身の秘められた過去を仲間に打ち明けるシーンがあるが、ここでも打ち明ける相手はヴァンではなくアーシェとなっている。このシーンだけ見ると、本当に主人公バルフレアであるようにしか見えない。
  • ヴァンは「空賊になる(そして自由に飛び回る)」という夢を持つ青年だという紹介が専らだが、前半で「それは単なる現実逃避だった」と思わせぶりの描写をされながら、後半になるとやっぱり現役空賊から技術を教えられ「空賊に向いてる」と評価されるなど、その設定すら活きていない。

エンディングの超展開

+ ネタバレのため格納
  • 人間関係で本作は渋い作風を一貫していたと思いきや、ラスボスを倒した後にとあるキャラの恋愛感情が唐突に描かれる。
    • 超展開に感じられることを回避するために必要な伏線も、このラスボス後のイベントの存在を意識しながら注視しないと分からないレベルで微細。
    • 戦争中の出来事なので、登場人物の立ち位置や交戦する人物の人間関係を考えると将来の雲行きを不穏にする可能性も十分に考えられる。
    • 結局、そのあとどうなったかはプレイヤーのご想像に殆ど丸投げ状態。

その他の問題点

ヴァン役のモーションキャプチャ俳優であり、声優である武田航平氏の「声の演技力」

  • 全体的に滑舌の問題があり、字幕が無ければ何を言っているのか聞き取りづらい場面が複数見られた。
    • 中でも「『飛び降りろ』が『オイヨイヨ』に聞こえる」という序盤のシーンはネット上で非常に有名になった。参考動画
      • こうした滑舌の悪さから、ヴァン自体を「オイヨイヨ」と揶揄する動きも多く、もしくは滑舌ネタ繋がりでオンドゥルなどと呼ばれることもあった。
    • 滑舌のみならず、声のトーンに関しても難色を示す意見が多く、終盤に近付き台詞ごとの重みが増すほどに、場面の緊張感と声の緊張感のなさの乖離による違和感が生じる。
      • ラストシーンで第一人称を間違えて「てへぺろ」的な表現は衝撃的。
    • 「発声がまともなら」という意見が極端に多く、インター版で英語音声の方が違和感がなくなるとまで言われている。
    • 他にもパンネロなど声優未経験の俳優が起用されたキャラはいたが、ヴァンの場合は主人公であり、シナリオ内での影が薄いという意見は多く聞かれるものの台詞自体は必然的に多く、多数のプロ声優とやりとりする中で悪目立ちしてしまったとも言える。
  • そもそも当時20歳の武田氏は本業が俳優(それも芸歴4年程度)であり、声優はそもそも未経験であるなど、スクエニの看板でもある国民的RPGの主人公という大役がかなりの重荷であっただろう面は考慮されてしかるべきである。*10
    • なお主人公に声優でなく芸歴自体も浅めな若手俳優が起用されたのは、『FF10』におけるティーダ役の森田成一氏も同様。このときも演技指導などのフォローがありながら演技が素人くさいという意見は散見されたが、概ね好評であり後に氏自身が声優へ転向したほど。この経験をもとに本作で同様の起用に至った可能性もあるが、武田氏は後に声優よりむしろ本業の俳優として大成しており、向き不向きがあったのは事実だろう。

謎解きヒントの難解さ

  • ダンジョンの石碑などに記されている進行のヒントが分かりづらい。持って回った古文風の表現が多く、滅多に使われないような漢語が混じったものもある。悪い意味で凝りすぎている。
    • 特定の年代の正しい古文の文法に沿っているわけでもなく、あくまで古文「風」。漢字を使った造語も混じり、かなりおかしな文章もある。
    • 人物のセリフにも大仰で大時代な表現が散見されるため、演出として浮いている訳ではないが、謎としてではなく文章自体が読みにくいというのはどうか。

総評

満を持して発売された本作であったが、ほどなくして「これはFFではない」と激しい批判に晒されることとなった。
シナリオを求める人からは、キャラクターや展開の魅力の薄さ、イベント間のテンポを損なう広大なゲーム構成が批判され、システムを求める人からは、ガンビットなどのとっつきにくい独自のシステムが反発を招いた。
システム面においては、まだ日本で馴染みの薄いMMORPGをコンシューマの土壌へと持ち込んでしまった事が仇となってしまったことからして、時代が追いついていなかったという側面もある。
しかしこれらの評価は発売直後になされた節もあり、現在は練り込まれた世界観、自由度とやりこみ要素、完成度の高いシステムを評価する傾向も増えてきている。
長い製作期間を経ただけあって大きな欠陥やゲームとして破綻している箇所もほとんど無く、ゲームそのものの完成度は高い。


海外評価

  • 「ストーリー重視のJRPGでは珍しく、プレイヤーを信頼し、尊重してくれるゲーム」と評価された。
    • 海外では「RPG」というと、文字通り自分で役割を決め好き好きに行動していく「自分でroleを決めるゲーム」という印象が強く、日本のRPGは「JRPG」という古典的な独自のゲームジャンルであるという見かたが強い。更に日本のプレイヤーも保守派が多いと思われていて、先進的なRPGが生まれる土壌すらないとまで考える人も少なくない。
      こうした考え方が根強かったこともあってか、先進的なシステムを取り入れた本作は、海外では驚きをもって歓迎された。
    • 本作の開発チームは元クエスト所属のスタッフが多い言わば外様のチームであり、ナンバリングタイトルを制作した経験がないスタッフが多い。
    • またFFの生みの親である坂口博信氏も「他がやってることをやってもしょうがない。好きなものを作ればいい。」と彼らを後押ししていたという。
  • FF12のやり込みは海外のほうが進んでいると言われている*11。国内評価の低さ、海外評価の高さがこうした所にも表れている。
  • 後年にIGNが歴代FFのランキング付けをしたこともあったが、FF6に次ぎ本作が2位にランクインしている。
  • 本作のメタスコアは92と非常に高い(これもFFシリーズでは2番目の高さ)。国内の評価とは裏腹に海外での評価の高さが改めて窺える。
  • 「海外版はインターナショナル版準拠だから好評なんじゃないの?」という主張も見受けられるが、実際に発売された海外版FF12はほぼ国内版と同一仕様でありこの主張は誤りである

続編・インターナショナル・リマスター

  • 2007年に派生作品『ファイナルファンタジーXII レヴァナント・ウイング』が発売された。
    • 本作最大の問題点とも言えるヴァンの扱いが大幅に改善され、ちゃんと主人公をしているとして評価が高い。
      • 開発経緯が少々特殊であり、本作のスタッフは『FFXIIRW』にはほとんど関わっていない。設定もTやXIIとの矛盾が多く、一部で混乱を招いた。
      • 一応公式には続編ではなく「オリジナルの新作」という見解。ただし、ストーリーは本作の続きとなっている。
  • 正史続編の『ファイナルファンタジータクティクスA2 封穴のグリモア』も2007年に発売。こちらにもXIIの一部キャラクターが登場している。
    • XIIのシナリオ担当の渡辺大祐は、Xの「ティーダの物語を描くためにスピラや『シン』の設定を広げた」という制作秘話を比較に出して、XIIではXとは逆に「まずイヴァリースという世界が存在していて、そのなかで生きているキャラを描く作りかたをした」と話している。
      • XIIまでは世界観中心だったが、後継作品ではキャラクター中心の考え方がスタッフ内に出てきたものと推測される。
  • 『Fortress』というFFXIIの続編が作られていた。
    • プラットフォームはPS3/Xbox360/PC(Windows)と、本格的な続編だった様子。
    • 2010年1月に外注先の開発会社が経営難で閉鎖し、開発中の技術デモ動画や大量のアートワークが流出したため判明。しかし現在は開発中かどうかは一切不明となっている。
  • HD版『FFX/X-2』の発売インタビューにて、北瀬佳範氏によるXIIのHDリマスターに向けて意欲的なコメントがあった。
    • 2017年7月13日にPS4用ソフトとしてインターナショナルをベースに改良を施したHDリマスター版『ファイナルファンタジーXII ザ・ゾディアックエイジ』が発売された。
      2018年2月2日にはSteamにてPC版の配信が開始。おま国されることなく無事に国内ストアで購入できる。ただし、限定パッケージ(コレクターズエディション)は北米スクエニeストア専売となる。
      PC版では60fpsに対応するほか、ウルトラワイドモニタ(21:9)にも対応。更に3画面マルチモニタ(48:9)にまで対応している。
      また、「強くてニューゲーム(Lv90でスタート)」「弱くてニューゲーム(経験値獲得不可)」「ギル・LPブースト機能」も付加され、思い思いの難易度で楽しめる。
      • 2019年4月25日にはNintendo Switch/Xbox One版が発売された。
        「強くてニューゲームの強化」、「ジョブリセット」、「ガンビットのセットを拡張」など、PS4/PC版にはない要素が追加されたが、Xbox One版のみ60fpsに対応している。
    • 東京ゲームショウでの発表の際には武田航平氏が現れ「オイヨイヨでーす!」と自らネタにするという場面もあった。

余談

  • 当時は派生作もまだ少なく、FFといえば「近未来的な世界観を舞台に現代的な風貌の美男美女が繰り広げるメカニックファンタジー」というイメージが近年以上に根強かったこともあり、中性ファンタジー的世界観というだけで否定的な印象をもたれやすくもあった。
    • 世界観やシステムは徐々に再評価されて来たが、シナリオ面では未だに批判も根強い。
  • 2年もの発売延期、開発トップの病気療養による途中降板があったため、この批判はスタッフにまで及んだ。
  • クロスレビューで40点満点を付けたファミ通にも批判が殺到。2chの批判スレはわずか半月間に100スレを突破し、ディスク割り画像も散見された。
  • 本作に登場した「ガンビット」はプロ・アマ問わずゲームプログラマに使われる言葉となった。
  • 漫画版
    • ナンバリング作品としては久々にコミカライズがされていた。当初はガンガンパワードにて連載されていたが、当誌の休刊に伴いガンガンONLINEに移籍し、直後に終了となった。
    • ストーリーは序盤のウォースラ戦までが展開。コミックス1巻はゲームのプロローグ部分を丸々描いている。
  • コラボ商品
    • なんと「ポーション」が商品化してコンビニに陳列された。しかしあまりにも「回復アイテムである」ことを強調しすぎたがゆえに薬臭いマズいものとなってしまった*12。が、それが逆に話題となり、FFVIIAC・DDFFでもポーションが、FFXIIIではエリクサーが発売され、FF・DQコラボ食品の先駆けとなった。味は改良され普通に炭酸飲料らしいものとなっていったが、瓶から缶に代わってしまったことや独特の薬っぽい味が失われたことを嘆く声も一部ではある。
    • ネットではこれをベースにして魔改造を施したハイポーション*13が作られるなど一時期大流行した事も。
  • グランディアIIIへの影響
    • 本作の度重なる延期の穴埋めとして『グランディアIII』が発売される形になった。
      • おそらく、開発中だった『グランディアIII』の発売日を早められ、短期間での開発を迫られたものと思われる。
      • もっとも他にも途中で無茶な納期を迫られたが一応は遊べる形にまとめた例はあり、『グランディアIII』の場合そもそもゲームとしての根本的な問題点が多いため、この評価の原因がFFXIIであるとは言い切れないが…。
  • 自社作品であるドラクエの「ロトの剣」をパロった「トロの剣」が登場する。
    • アイテム説明分にはDQ1で使用可能な復活の呪文が記載されている。このDQ1勇者の名前は「ゔぁん」。
    • DQ11でも使用可能。ちなみにHD版の発売時期が近い。
  • 声優起用の傾向
    • FF12発売以降、スクエニの作品は主役クラスのキャラの声に声優仕事が少ない非声優を起用する作品が極端に減った。
      • それでも脇に起用していた作品はあったが2011年3月発売のDDFFの時のヴァン役変更で権利問題や芸能事務所の移籍問題も絡んだからかDDFF発売以降はこの流れが更に加速し、その後のFFの主要級の起用は声優事務所所属の声優やFF起用前から声優としてのキャリアがあるタレントが主である。このあたりは怪我の功名というべきか*14
      • ただ鹿賀丈史氏や伊藤歩氏はその後も続投しており、DDFF前に決定している声優は非声優でも死去以外では変えない意向のようだ。またオリジナルキャストを重視し芸能界引退したと思われたユウナ役の青木麻由子女史も名義を変更して久々に復帰している。
    • スクエニの別作品だと『ドラッグオンドラグーン3』ではピーターこと池畑慎之介氏が別役とはいえ起用されているし、『ドラゴンクエストヒーローズ~』では松坂桃李氏や桐谷美鈴女史、中川翔子女史に片岡愛之助氏といった比較的メジャーな人々を起用して盛大な宣伝効果を招いている。セガの『龍が如く』シリーズのように芸能人起用が主な作品もあるので作品ごとのスタッフの考え方にもよる。
  • 武田氏のその後
    • 武田氏はその後俳優として着実に経験を積んでおり、特撮『仮面ライダーキバ』『仮面ライダービルド』や朝ドラ『ウェルかめ』などの有名作にもレギュラー出演した。
      • FFシリーズのお祭りゲー、『ディシディア ファイナルファンタジー』に『XII』からはガブラスが登場したが*15、武田氏は公式ブログでDFF発売後に、ヴァンに思い入れがありもう一度演じたいと述べ、ディシディアに出たかった事などを「待ってますよスクエニさん(笑)」と冗談半分で仄めかしている。
      • 続編『ディシディア デュオデシム ファイナルファンタジー』で遂にヴァンが参戦。成長した氏の演技力による新たなヴァンに注目が集まっていたのだが、まさかの前の事務所サーカス側と本人の事情で小野賢章氏へ変更。ファンにとっても残念な結果になってしまった。本人は出演を希望していたのはブログを見れば明白だった。
      • 現在この問題はクリアされたらしく、のちに発売された『仮面ライダー バトライド・ウォーII』では武田氏が声優として出演している。実際に移籍後もちょくちょくヴァンの話題をブログやニコ生で出していて2011年の現在の公式サイト開設当初からFF12の事は書かれている。2015年3月6日の公式ブログではFFの思い入れや変更当時の事などの他にディシディアのアーケード版の事を聞いて再びヴァンとして戻りたいという意思がある事を表明している。
      • しかし、ディシディアアーケードにおいても小野氏がヴァンの声として続投。さらに「ディシディアのヴァン役の小野賢章さんは代役ではなく交代としての起用であり、難しい状況の中受け入れてくれた小野さんと事務所様に対する敬意を含めた意味で今後もヴァンの声優としてはディシディアを含めて小野さんにお願いしたいと考えている」とプロデューサーの間一朗氏から明言までされた。
      • あくまで間氏の考えであり、今後武田氏のヴァン役としての起用がゼロになった訳ではなく、事実スマートフォンアプリゲーム『モンスターストライク』での『FFXII』とのコラボにおいてヴァンの声優は武田氏となっている。繰り返すが、あくまでディシディアシリーズ(及び間Pが携わった作品)でのみヴァンの声は小野氏になるというものだろう。
    • その後、HDリマスターにあたる『ファイナルファンタジーXII ゾディアックエイジ』では武田氏が再びヴァンを演じる事となった。ただし、基本的にはオリジナル版の音声をそのまま使っており、日本語音声が用意されていないインターナショナル版で追加されたシーンのみ再録を行っているとのこと。
      • 公式紹介PVではヴァンとパンネロの掛け合いでゲーム内容を解説していく内容だが、上記のオイヨイヨを意識したのかやたらヴァンの滑舌が良い事をアピールしている