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RONDE ~輪舞曲~ - (2017/12/05 (火) 13:15:44) の編集履歴(バックアップ)


RONDE ~輪舞曲~

【ろんど】

ジャンル シミュレーションRPG
対応機種 セガサターン
発売元 アトラス
開発元 アクセス
(制作)マルチメディアインテリジェンストランスファー
発売日 1997年10月30日
価格 6,800円(税抜)
判定 クソゲー
ポイント 破滅的なグラフィック
足を引っぱる人間キャラ・NPC
不親切な仕様多数
ニムロデ自重しろ
音楽・育成要素は比較的良好
女神転生シリーズリンク


概要

アトラスの人気シリーズ「女神転生シリーズ」の派生作品『魔神転生』、『魔神転生II』の流れをくむシミュレーションRPG。

  • キャラクターデザインは漫画『真・女神転生カーン』の柳澤一明。悪魔デザインはゲームボーイカラー版『女神転生外伝 ラストバイブル』、同『II』キャラクターイラストの中村久男。

ストーリー

アステカ展を見に行った際、復活した悪魔モレクに攫われた弟・聡を救うため、主人公・弥勒飛鳥とその仲間たちは時を越えた戦いに巻き込まれていく。

特徴

  • 通常のレベルの他に「ランク」という概念があり、ランクがあがると契約できる悪魔の数が増えたり、移動力があがるといったメリットがある。仲間となる悪魔ならマグネタイト*1の所持上限があがったり、アルカナ*2の使用回数が増える。
  • 本作の射程2~3武器は、既存のSRPGと違い、射程2~3武器同士でも反撃が出来ないという特徴がある。一方的に殴れるが一方的に殴られる武器でもある為、癖は強いが使いこなせば強い。
  • MAPに高低差の概念があり、武器によって、自分と相手の位置で命中率が変わるというシステムがある。
    • 得意な段差・苦手な段差は武器によって決まっている。たとえば、槍なら「自分の段差より高い位置にいる相手に当たりやすく、低い位置にいる相手には当たりにくい」剣なら「同じ高さ(段差)にいる相手に当たりやすく、段差があるほど当たりにくくなる」など。
    • 一部MAPでは主人公の意識が過去にタイムスリップし、固定メンバーで戦う事となる場所がある。その中で「ティアワナコ」だけは難易度が段違いに高い。
  • ゲーム開始時に難易度選択が出来る。一度決めたら変更不可。
    • ノーマルは毎ターンセーブできるが、ハードはMAP上のみセーブ可能。また、ハードだと入手するお金とマグネタイトが半分になる。さらに、リミックスステーションで作れる合体悪魔制限が、ノーマルだと飛鳥のレベル+5までだが、ハードだとレベル+3までになる。
    • ハードモードでトゥルーエンドにいくと、5種類のオマケMAPを楽しむ事が可能となる。ここでしか戦えない敵もいる。
      • 因みにこのゲームに中断セーブはないので、ハードモードではMAPをクリアするまでセーブできない。下記の敵の思考時間の長さもあり、まとまった時間がないとゲームを進めるのが厳しくなる。
  • 悪魔を合体させる施設において稀に「ミューテーション」が発生し、パラメータ増減や変異悪魔の誕生が起こることがある。
    • 変異悪魔は総じて能力・耐性に優れたものが多く、特に「ジャランラーダ」はほぼ全部の攻撃のダメージを大幅軽減or吸収してしまうほどのバランスブレイカーである。
    • また、悪魔を合体させる施設において、A~Eの5種類のカプセルのうち2種類を組み合わせることで「新悪魔」という特殊な種族を作ることが可能。こちらもこちらで強力な能力を持つものが多い。

評価点

  • 世界観とマッチした音楽は全体的に評価が高く、OP曲、戦闘曲共に安定の出来。
  • シナリオもそれほど悪くなく「魔神転生」シリーズらしいと好評。ゆえに他の部分の完成度の低さが惜しまれる。
  • 仲魔を消費する形で登録し、登録した仲魔を有料で何度でも呼び出せる、後のシリーズの悪魔全書システムの先駆けともいえる「リミックスステーション」や武器に仲魔を封印して強化できる、ソウルハッカーズの剣合体に近いシステムが搭載されている。
  • 仲魔の育成制限が前作より緩く、どの仲魔も育てれば最後まで使えるようになっている。ただし、後半で作れる仲魔のほうがHPやMPが高く設定されている他、耐性などは仲魔の種類によって固定なので、後半は能力や耐性の高い、即戦力になる仲魔を選ぶ事が多くなる。
    • 本作ではレベルアップ時のHPやMPの上昇率はある程度ランダムなので、へたれると辛くなってしまう。
  • 序盤で手に入る古代の剣(攻+5)を使い切ると、アルファソード(攻+80)になり、そこから最終的にオメガソード(攻+180、力+4)という、バランスブレイカーというか、実質、本作最強の攻撃力を備えた武器にパワーアップする。後述の問題点を考えれば、ある意味では抜け道ともいえる。
    • これがあるとないとでは、難易度が大きく変わってしまう。古代の剣の使用回数45は、序盤から地道に敵を殴るだけで達成できる。そこで手に入るアルファソードの攻撃力は中盤以降のユニクロ武器並みに高く、剣を装備できるキャラは、序盤から中盤に差し掛かるあたりの敵ならほぼ一撃で倒せるほど。

問題点

  • グラフィックが破滅的。
    • ポリゴンキャラがボロボロで元のデザインにちっとも似ていない。特に飛鳥の友人・慶太が酷く『DQVI』のハッサンにしか見えない。
    • キャラクターの手足がまるで大根をつなぎ合わせたようないい加減な造形。
    • リアルタイムではなくプレリンダムービーでそのポリゴンが使われている。戦闘シーンではそのポリゴンを2D絵にしたものが動くのだがもっさり気味でカッコ悪い。
    • 悪魔のデザインも破滅的でやはり元イラストとは似ていない。ネコマタやアメノウズメなどは嫌がらせとしか思えない。
    • グラフィックのあまりの酷さに、体験版を配布したところ予約キャンセルが続出したと言う逸話まである。
  • 3D化した戦闘マップが見辛い。
    • MAP上のキャラ達が何かの塊にしか見えない。
  • ロード時間が長め。
  • また、魔神転生シリーズ共通の問題であった敵の思考時間の長さも改善されていない。
  • 人間キャラは死亡=即ゲームオーバーな上、強制配置されるキャラも多い。しかも、ステージが始まるまで分からない。
    • 選択肢でトゥルーエンドを進んだ場合、最終面で勘太郎というキャラが強制出撃する為、育てておかないとラストで詰む危険大
      • ただ、勘太郎は序盤から仲間になり、使い勝手のいい能力や魔法を使える龍族と契約・召喚を行えるので、使用頻度は高いと思われるキャラではある。
    • 寧ろ問題なのは飛鳥の友人の慶太と桜子だという意見もある。両名は悪魔との契約・召喚が一切できず、決して弱くはないがそれなりの戦闘能力なので、仲間が増えてくると2軍行きになる事も多い。しかし、一部MAPで強制出撃がある他、特定ルートの最終MAPでも強制出撃するので、このルートに行く場合は育てないと辛い。
  • ウィリーとソロモンというキャラは二者択一なのだが、獣系悪魔と契約できるウィリーは価値が薄い。ソロモンの契約できる天使系悪魔の方が覚える魔法や召喚戦闘での性能などから使いやすい為である。
  • NPCの思考ルーチン。
    • ごく一部MAPのみ例外はあるが、基本的にNPCも死亡=即ゲームオーバー。NPCの思考はとにかく敵殲滅なので、残り体力に関わらず敵に挑んで返り討ちにあうこともある。勿論、NPCが倒した敵の経験値やアイテムは手に入らない。故に、敵よりNPCの方が厄介といわれる。
    • とあるサイトでは「NPCと書いて略奪者と読む」とまで言われた。実際、その通りの経験値泥棒である。
    • 殆どはボスに突貫する真似はしないのだが、ニムロデというキャラクターは、なんとボスキャラにまで突貫する。しかもそのMAPはボス撃破でクリアになってしまう。まさに邪魔者以外の何者でもない。
  • イベントで離脱する仲間は装備品を全部持っていってしまう。
    • 再加入するキャラでも、再登場時のパラメータ・所持品・装備品は全て固定。つまり、離脱する仲間に経験値を与えるのは全くの無駄であり、もっていかれた装備品やアイテムは全て消えてしまう。そして、ストーリーを進めないと誰が離脱するのかがわからない。
      • 特に引っかかりやすいのが麗華。彼女は4話から加入し16話で離脱する。女性キャラという事で育ててしまった人も少なくない。後に復帰するが、前述どおりパラメータなどは全て固定である。
      • 尚、最後に離脱するムハマドというキャラは、序盤で数話加入して離脱し、14話あたりで再加入し20話でまた離脱。そして28話あたりで再度復帰し、以後は離脱しない。ムハマドの場合、序盤のアイテム程度ならもってかれても特に問題はないし、中盤の離脱は該当MAP開始直後に行われるので、ロードして装備品を剥ぐのは簡単な為、麗華に比べればだいぶマシである。
  • 仲間キャラ・エスパーベビーが、魔法を一切、使(覚)えなくなるバグがある模様。もっとも、武器装備不可能かつ参戦の遅さから、あまり使うプレイヤーもいない為、被害は少なかったようである。元々、本作では彼に限らず武器装備が不可能な悪魔も多い。
  • マニュアルに記載は無いが、戦闘マップで99ターン経過すると強制敗北扱いになる。
  • MAP上に隠しアイテムがあり特定地点に待機することで入手できる。説明書には隠しアイテムの記載が一切なく、攻略本や攻略サイトなしで見つけるのは至難の業である。
    • おまけに隠しアイテムは総じて強い物が多い為、取り逃してしまうとかなりの大損になり不利になる。
  • 悪魔と自発的に会話ができず、とどめを刺したときのみ発生するので失敗するとやり直しが利かない。さらに会話内容もいくつかのパターンからランダムで変わるという厄介な仕様となっている。
    • MAP上に月齢の概念があり、基本的に満月時は悪魔との会話が発生しない。ただし、ごく一部、隠し武器を入手する為に満月および新月時に倒す必要がある悪魔がいる。攻略本を見ないとほぼわからないレベルであるが…。
    • コンダクターという能力を持つキャラクターなら、契約可能な悪魔には100%会話が発生するため、これを把握しておかないとリセットとロードを繰り返すことになる。なお、飛鳥だけは契約できる悪魔の種類が特殊な扱いになっているが、全ての契約可能な悪魔に対し80%と高めの確率で会話が発生する。
    • 隣接状態で悪魔を倒さないと会話ができないのも特徴の1つ。射程2~3の武器しか使えないキャラは、隣接してから悪魔召喚をして倒させるか攻撃魔法を使ってトドメをささないといけない。
      • この煽りをモロに喰らった仲間キャラがマリア。彼女は射程2~3の銃しか装備できず、悪魔召喚も出来ない為に悪魔と会話ができない為、削り役として使われる事が殆ど。強制出撃が少ないのがせめてもの救い。
      • 上記のウィリーも、装備武器が射程2~3であり同様の手間がかかる。一方、ソロモンは射程1武器装備なので、直接殴れば済むというのもソロモンの評価を上げている。
    • 条件を満たしてユニット化した悪魔は武器や防具を装備できるが、人間と契約して召喚可能にした悪魔は、システムの関係で武器などを持たせることが出来ない為、素のパラメータで戦闘するしかなく、どうしてもダメージが低めになってしまう。
  • 合体しない事を約束に仲魔にした悪魔が悪魔合体の時に不平を洩らして逃げ出してしまう仕様が追加され、合体に制限が課せられてしまい自由度が下がっている。
    • 一応、回避方法は存在する。また、逃げるかどうかは確率次第なので、選択肢をうまく選べば仲魔次第ではいいくるめて合体させる事は可能ではある。
  • キャラ間の装備・アイテムの受け渡しがアイテム袋に一度預けてから行わなくてはならないので煩わしい。
  • 戦闘時にキャラ・悪魔にボイスがあるが、攻撃時・魔法使用時・ダメージ時の3パターンのみで、女性キャラ・悪魔に棒読みボイスが多い。
  • とあるMAPにおいて、龍族のヤマタノオロチとの会話が、妖精族のエルフとの会話になっており、仲間にしてもヤマタノオロチではなくエルフが仲間になっているというバグがある。
  • ゲームの最後には進め方次第で飛鳥・聡・T大教授の沢木の3人の内誰かが、アンラ・マンユに転生してしまう。
    • 飛鳥がアンラ・マンユになった場合はかつての仲間たちを全滅させねばならないという、かなりの鬱展開。なお、下記の沢木(此方では人間のまま)はこのMAPでも敵として出てくるので、ここぞとばかりにタコ殴りにした人もいたとか。
    • 元々ハッピーエンドの少ないシリーズだが、本作もどのエンディングでも必ず犠牲を伴う。
    • アンラ・マンユ化した沢木を倒すルートが正史となっており、このルートのみ、聡を取り返せる。因みに、沢木は経験値泥棒・ゲームオーバー条件的な意味で、NPC時代に散々プレイヤー側を苦しめてくれた為、沢木を倒す事で逆にすっきりするプレイヤーも少なくない。

総評

ヤマタノオロチ関連以外に致命的なバグはなく、ゲームとして破綻している訳でもないのだが、様々な面における出来の悪さ故に魔神転生シリーズの系譜を終わらせた色々な意味で罪深い作品。
グラフィックの酷さやCPUの思考時間、NPCの仕様などが改善されていれば、クソゲーとまでは呼ばれなかっただろう。
ストーリーは悪くはなく、ゲームバランスは一部MAPを除けば安定している。難易度もそれほど高くないので、シリーズ未経験者ならばそれなりに楽しめる。


その後の展開

  • 女神転生シリーズから派生したシミュレーションRPGとしては、2009年にニンテンドーDSで『女神異聞録デビルサバイバー』が発売されている。好評を得てシリーズ続編も展開している。

余談