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どうぶつの森 - (2016/08/30 (火) 04:54:42) の編集履歴(バックアップ)


この項目では『どうぶつの森』と『同・+』の紹介をしています。



どうぶつの森

【どうぶつのもり】

ジャンル コミュニケーションゲーム

対応機種 ニンテンドウ64
メディア 128MbitROMカートリッジ
発売元 任天堂
開発元 任天堂、エスアールディー
発売日 2001年4月14日
定価 単品:5,800円
コントローラパック同梱版:6,800円
判定 良作
どうぶつの森シリーズリンク

概要

自然豊かな村の中で、住民とコミュニケーションを取ったり自分の家の内装をいじったり村を散策したりしながら、のんびりスローライフを送るゲーム。
ニンテンドウ64末期に発売されたこともあってか、当初はそれほど注目のソフトというわけではなかった。
また、本作は64のスペックの限界や試作段階の部分も多く見られ、完全上位互換の『どうぶつの森+(以下+)』が出ていることから、まさしくベータ版に近い内容になっている。GCもしくはWiiがあるならあえて本作を買う必要はない。
なお、本項では無印を中心に『+』についても解説する。


特徴(シリーズ共通事項についても含む)

  • 本作は現実と同様に四季や朝昼夜といった時間の流れが存在する。
    • 春には桜が咲き乱れ、夏は青々とした葉が生い茂り、秋は見事な紅葉を付け、冬には一面の銀世界へと、四季折々の様々な顔を見られる。ゲームで一年をじっくり満喫できるのは本作最大の特徴であり、評価点の一つである。
    • ゲーム開始前に時間を設定できる。設定し直すことも可能。
      • この仕様を利用して、春から夏に一気に飛ばすといったハイペースな進行もできるが推奨はされない。
  • 本作はシステム面において、ゲーム中は画面にマス目や目的や目標を示すアイコンの類は一切表示されない。あるにしても、アイテム画面等の指カーソルぐらいである。
    また、マス目単位での作業が求められるインテリアに関しても、カーソルを操作し、どのマス目に家具を配置するかというシステムではなく、自キャラを動かして、直接家具を置いていくというシステムである。
    アナログかつやや不便を感じられる面ではあるが、むしろそのおかげで自分の手で時間をかけつつ何かを積み上げているという実感を感じられ、また、何らかのシミュレーションゲームとしてではなく、「村の中で生活している」という没入感を感じさせてくれる。
    • 個々の操作もシンプルで、覚える事も少なく慣れるのも容易。虫採り網や釣竿、スコップなどの道具を買う際にも説明を聞く事はあるが、聞き逃しても操作が簡単ゆえに問題なく扱える。
  • このシリーズでは基本的にセーブせずに終了する事は禁止。つまり「都合の悪いことをリセットする」という考えは御法度である。
    • 実際にセーブせずにリセットしたり電源を切ると、次に遊ぶ際に「リセットさん」というもぐらのキャラクターが登場し、事故で電源が切れようがお構いなしに、リセット行為に対して説教をする。
    • 説教は面白みがあり、「ゲームとはいえ都合の悪い出来事も認める大切さを教えてくれる」と好意的な評価がある反面、口調が荒々しく、リセットすれば必ず現れるので、「何度も説教されるとうんざりしてリセット後はやりたくなくなる」「最初の数回だけでいい」と批判的な意見も根強く、賛否両論なキャラクターである。
  • 初期設定・チュートリアル
    • まずは村に向かう途中の電車で「みしらぬネコ」と会話をしつつ、名前、性別、表情、村の名前を決める。
      • 表情は直接選ぶのではなく、みしらぬネコとの会話の回答によって選ばれる。男女それぞれ8種類。
    • 男の子は半そで短パンで丸い帽子をかぶり、女の子はワンピースのような服にトンガリ帽子をかぶり、両脇に髪がちょっと飛び出している。また、男の子はなぜかツノが2本生えている。
    • ちなみに、一つのカートリッジに1つの村の情報しか記録されないので、2人目からは村の名前を選ぶ部分は飛ばされる。
    • 村に着くと、商店を経営している「たぬきち」が迎えに現れ、自分の住む家を内装と屋根の色が違う4つの家からひとつ選ぶ。内装も屋根の色も後から変えられるチャンスはあるので、そこまで悩む必要はない。
      家を選ぶと、たぬきちに代金19800ベル*1を請求されるがゲーム開始時の手持ちは1000ベルしかなく到底足りない。というわけでたぬきちの店でアルバイト(=チュートリアル)をすることになる。
      • 内容は住民にあいさつ回りをしたり、木や花を植えたり、お店の宣伝と称して手紙を書いたり掲示板を使ったりなど。
        いくつかの仕事をこなすとアルバイト終了。ここからは完全に自由、思うままのスローライフを始められる。
        何をしたらいいか分からない場合はとりあえず家のローン完全返済を目標にするといい。
    • 縦6横5の計30ブロックから成り、縦は「丁目」横は「番地」で表される。
      • 1丁目の上は線路、6丁目の下は海、1番地の左と5番地の右は高い崖に阻まれ、行くことは出来ない。
    • ある程度の法則性はあるが、村の形はほぼランダムと言っていい。
      だいたい3~4丁目に崖(というか高い段差)があり、2段構造になっている。
      必ず海まで続く川が1本流れており、崖の部分は滝になっている。ごく稀に途中で二又に分かれるような形状になっていることも。
      崖の上と下に1本ずつ橋が架かっており、そこ以外で対岸へ行くことは不可能。橋のデザインも、アーチ状の石の橋と平たい木の橋の2種類がある。
      途中に必ず大きな池がある。本作では空を見上げることができないので、花火やお月見などの空にあるもののイベントの時は、ここで水面に映ったものを楽しむことになる。
    • 様々な虫や魚が生息しており、手軽に虫取りや魚釣りを楽しめる。
      • 虫は「チョウ」「セミ」「クワガタ」「ゴキブリ」など、魚は「鯉」「ブルーギル」「バス」「エンゼルフィッシュ」「ピラニア」「シーラカンス」など、捕まえられる種類も豊富。
    • 毎日雑草が生えてくる。直接的なデメリットは無いが、ほっとくと景観が悪くなるので見かけたらこまめに抜いておくといい。
    • 何も生っていない木と、フルーツが生っている木の2種類が生い茂っている。邪魔ならオノで切り倒すのもアリ。栽培する場合は購入した苗木やフルーツをスコップで掘った穴に埋めることで可能。
      • なお、フルーツは5種類の中から村ごとに1つ選ばれ、最初から生えてるものの売値は1個150ベルだが、それ以外のものは1個500ベルで売れる。お出かけした際に持ってくる、あるいはお出かけするときに持ってきてもらうとお金稼ぎが楽になる。
    • 村は地質調査の対象になっており、毎日のように地面から化石が出てくる。そのままでは無価値だが、「ファーウェイ博物館」という所に化石を添付して手紙を送ると化石を鑑定してもらえ、鑑定後の化石の標本を送り返してもらえる。ほかに雨があがった日に「はにわ」を掘り出せる。
  • 主要施設
    • 村には生活に役立ついくつかの施設が設置されている。
      + 主要な施設一覧
      • 1丁目3番地にある、サルの「えきいんさん」が24時間勤務している駅。
      • ここから他人のカートリッジの村におでかけすることができる。ただしコントローラーパック必須。
      • 毎週土曜日の夜にはストリートミュージシャンの「とたけけ」が現れる。彼に歌ってもらう*2とスタッフロールが流れ、その歌のミュージックがもらえる。
    • タヌキ商店
      • 1丁目のどこかにある、家を売ってくれたたぬきちが経営する商店。道具や家具などが置いてあり、買い物や手持ちの品を売ることができる。
      • たくさんお金を使うと「商店→コンビニ→スーパー」と店が大きくなっていき、更に条件を満たすと2階建ての最終段階「タヌキデパート」になる。
    • 郵便局
      • 1丁目のどこかにある、ペリカンの「ぺりみ」「ぺりこ」が働く郵便局。手紙を保存したり、たぬきちから買った家のローンの返済ができる。
      • 郵便局の近くにある掲示板で、村メロ*3を変更することができる。
    • 交番
      • 崖下エリアにある、いぬの「おまわりさん」が勤務している交番。
      • 外に立っている誠実な柴犬のおまわりさんは、特殊なキャラの訪問日時を教えてくれたり、来ている場合はその場所を教えてくれたりする。
      • 中で勤務している弱気なブルドッグのおまわりさんは落し物の管理をしている。しかし誰も取りに来なくて困っており、プレイヤーが自由に持って行っても怒るどころか歓迎してくれる。
    • お社
      • 崖下エリアのどこかにあるお社様。見えない誰かがお告げをしてくれる。
      • 村の状態を教えてくれ、悪いと木や花が少ないブロックを教えてくれる。
      • 周囲が整備されていることから広場としての用途もあり、お花見や運動会などのイベントはお社のあるブロックで行われる。
    • ゴミ捨て場
      • ゴミを捨てるための場所。ここにアイテムを置いておくと週2回のペースで回収してくれる。
      • 村の住人たちも捨てているのか、服やびんせん、家具などが置かれていることがある。着服しても特に咎められないうえ、ゴミとは言うものの一切損傷していないので問題なく使える。要は気持ちの問題。
      • 釣りをしていると本物のゴミが釣れることがある。その辺に捨てるとお社様に怒られるのでしっかりここに捨てるといい。
    • 掲示板
      • 自分の家のある2丁目3番地の中心にある掲示板。
      • 自由に書き込みができるほか、たまに「○丁目○番地に(どちらかを伏せられることもある)すごいものを埋めた!」という書き込みがあることも。
  • キャラクター
    • 村にはプレイヤー以外に獣人のキャラクターが住んでおり、外見などは特に個性的。たぬきちやぺりこ、とたけけといった「固定キャラクター」、交流を深めることでいろいろな要素を楽しめる「住人」の2パターンがある。
    • 住人は初期配置として3人が住んでおり、村の状態により最大15人まで引っ越してくる。
    • キャラクターは「どうぶつ語」という独特のボイスでしゃべる。単に1文字ごとに割り当てたボイスをテキスト通りにそのまま再生しているだけなのだが、数種類の声色があり、独特のかわいらしさがある。よく聴いていると、テキストを見なくても何を言っているのかがなんとなくわかる。
    • 特定イベントにちなんで来る固定キャラクターの数も多く、また非常に個性的。
      • このシリーズの看板ともいえる固定キャラクター「とたけけ」の存在がユニークで印象深い。
        毎週土曜日の20:00に出現するが、このときに彼が聴かせてくれるのは生声フルVer.でスタッフロール兼用。なんとも言えない「」がある。
        曲にはクラシックや民謡、ポップスなど様々なジャンルがあり、ボイスとギターと口笛を巧みに使い、様々な音色を再現し演奏してくれる。演奏を聴くと、アイテムとして音楽データを貰えるのだが音楽自体の出来はかなり良く、自宅内のオーディオアイテムで再生できたりする。曲は本作の時点で隠し曲含め55曲もある。そしてシリーズごとにその数が少しずつ増えている。
    • 会話の内容も膨大であり、独創的な会話や小ネタなどを楽しむ事ができる。
    • 仲が良くなると、自分に対して親切にしてくれるようになったり、「おーい」と呼びかけてくれたりするようになる。仲が良くなることで初めて貰える珍しいアイテムもある。
    • 村にランダムでやってくるどうぶつの住民。
      • 家は村にある看板を中心とした3×3の範囲に建てられる。この範囲内では木が育たず、もし家が建つ前に範囲内にアイテムが置かれていた場合、交番に届けられる。
      • どうぶつの家の広さは6×6マス固定だが、家の内装はどうぶつによって全く違う。
    • 住民の種類も豊富で、単に種族別に見ても、ネコ、イヌ、ウサギ、ライオン、オオカミ、ワニ、にわとり、タコなど、「どうぶつ」として微妙に怪しいものまで幅広い。
    • 世間話のほかに「何か困ってることは無い?」という内容の選択肢を選ぶと、「○○のところにこれを届けて」「○○というアイテムが欲しいから持ってきて」「ボール*4で遊びたいから持ってきて」というような頼み事を言ってくることがある。頼みをこなすとベルとアイテムがもらえる。
    • どうぶつはお手紙が大好き。親密になりたいのなら、積極的にお手紙のやりとりをしよう。アイテムを手紙につけてプレゼントすることも可能。
    • 手紙は大切に保存され、他の人の村に引っ越した場合*5でも捨てられることは無く、場合によっては文面を見せられることも。あまり恥ずかしい手紙は書かないように。
    • 仲良くなると、バレンタインデーやホワイトデー、誕生日などにプレゼントがもらえるかも。
    • どうぶつには性格が設定されており、一人称を見れば一発で分かる*6。それにより話す内容と起きている時間が異なる*7。男女別に3種類の計6種類。
      + 性格一覧
    • 男の子の性格
      • おいら系・・・体育会系。カラダを鍛えることをやたら推してくる。起きている時間は6:00~25:00。
      • オレ系・・・兄貴分みたいな性格。気がけっこう短め。起きている時間は10:00~翌5:00。
      • ボク系・・・のんびりした性格。男の子の中では最も気の長いタイプ。起きている時間は8:00~22:00。
    • 女の子の性格
      • あたし系・・・ややプライドの高い性格。気が短い。起きている時間は9:00~翌3:00。
      • アタイ系・・・高飛車な性格。押しもかなり強い。起きている時間は7:00~24:00。
      • わたし系・・・清楚な性格。口調もかなり丁寧で、とても気が長い。起きている時間は5:00~21:00。
  • 自宅
    • 家は最初4×4の広さ。ローンを返済しきると増築を勧められ、6×6→8×8と広くなっていく。
    • 家には家具を初め、ムシやサカナ、ふく、かせき、その他ゴミなどのだいたいのアイテムを置く事が可能。
      • ギミックのある家具も多く、例えばテレビはつけたり消したりできる。トイレは座った後に降りると水の流れる音が出る。
      • とたけけからもらったミュージックは、ラジカセ・コンポ系の家具に入れるとBGMが流れる。部屋の雰囲気作りにぜひ。
      • 雨の日に掘り出せるはにわは、家に置くと一定周期で音が鳴るギミックになる。音を出さないようにして純粋な置物にすることも可能。
    • 家具は家の中では家具になるが、外に置いた場合は葉っぱのまま。一時的に外に置きたくなっても邪魔にならない。
      • 外では家具として使えないことの裏返しでもあるが。
    • 虫は1×1の虫かごに、魚は大きさによって1×1か1×2の水槽に入った状態で置かれる。デカい水槽を買って泳ぐ姿を見るということはできない。
    • びんせんやフルーツなどは外に置いたときと同じ状態で置かれるために上を通ることが出来るが、服はマネキンのようなものに飾られた形で置かれるので通ることはできない。
    • 「風水」の概念があり、北にオレンジ、西に黄色、東に赤、南に緑色の家具を置くと金運・物運がよくなる。そこまで劇的には変わらないが、意識しておいて損はない。
      • また、招き猫や幸福の木*8のように、どこに置いても運がよくなるラッキー家具もある。
    • 家の外にはポストがあり、手紙はここに届けられる。10枚しか保存されないのでこまめにチェックするといい。
    • 「ハニワくん」という埴輪が一家に一体備え付けられている。彼に話しかけるとセーブや、アイテムの預かりなどが可能。
    • アイテムを預ける際にあらかじめ値段をつけることで、他のプレイヤーに買ってもらうことも可能。
    • しばらく村に来ないで放っておくと、自分の家に「ゴキブリ」が出てくる。長い間放っておくと家具を動かしたときにも出てくる。踏み潰すか、大きめの家具で押し潰すと死滅する。

評価点

  • ゲームとして一番重要な村の雰囲気というものがとても素晴らしい。主要な施設はほぼ抑えておきながら、近代的なものは無闇に出てこない。スローライフを行う上では、最高の環境と言える。
    • 家の外ではBGMも流れるが、主張しすぎずしかし無いと寂しい、そんな絶妙なバランス。
    • 元旦にはお社様へお参り、4月にはお花見、8月には花火大会、9月には十五夜のお月見、大晦日には池のほとりでカウントダウン…と、イベントもなかなかに豊富。
  • 家具や虫・魚・化石の収集によるやり込みゲームとしての側面も持つ。
    • 店で購入したり、道具を使って入手したり、村の住民とコミュニケーションしたり、イベントをこなすなど、様々な入手方法がある。入手が容易ではないものも多数存在し、徐々にコレクションが増えていく充実感が本シリーズの魅力の一つとなっている。
    • 虫は不用意に近づくと逃げられてしまうので、逃げられないようそーっと近づく工夫したり、魚は希少な魚ほど食いつき(釣れる瞬間)の猶予が短いため集中力が必要だったり、なかなか集めがいがある。
    • 虫・魚は収集可能な季節・時間帯が限定されているものが多い。
      • 見方を変えれば、「今月は目当ての虫をゲット出来るかもしれない」「次は大物を釣り上げられるかも」という風に、コンプリートの難しさがプレイヤーにまた遊びたくなるモチベーションを与えているとも言える。
  • ローンが多すぎない。
    • その分最終段階は1階建てで面積も8×8しかないが。
    • 数ヶ月それなりにやりこめば躍起にならずとも余裕で最終段階まで全額返済できる。
      • 後のシリーズが多すぎることもあり、累計額は多くても本作の3~4倍あたりがゲームに飽きるまでに返済しきれるちょうどいい金額といえるのではないか。
  • 家具や服を始め、収集できるアイテムの種類が非常に多く、コンプリートが大変になるレベルの豊富さを誇る。
    • 集めたアイテムを利用して、自宅内を自由にカスタマイズ可能。一部のイベントのアイテム(ナイフとフォーク等)はそのまま無断で拝借して飾ることも可能。
    • 家具はタンスやテーブル、ソファといった一般的なものから、観葉植物、リンゴがモチーフのかわいいテレビ、身長と同じぐらいデカいチェスのコマ、任天堂のゲームらしい「N64のロゴ」や「ファミコン」「床の間」「自動販売機」「手水鉢」「ロケット」「トーテムポール」「」など、よく分からない方向性の家具も手広くカバー。自分の趣向にあったコーディネートが十分に可能。
      • ファミコンは何と挿さってるゲームを実際に遊べる。「ゲームの中でゲームにハマっていた」という事態も珍しくない。
      • 収録されているのは『ドンキーコング』『バルーンファイト』『ピンボール?』『ゴルフ』『テニス?』など。往年の名作をたっぷり遊べる。全体的に入手困難なものが多いため、知らずに入手したプレイヤーにとっては棚から牡丹餅といったところだろう。
    • ミュージックを再生できる家具1つ取っても、ショボい「ラジカセ」から「高級コンポ」「蓄音機」「テープレコーダー」「ジュークボックス」果てはサイコロをモチーフにした風変わりなコンポまで様々な種類がある。
      • これらはミュージックの音質もそれぞれ異なる。いいコンポは当然音質がいいし、逆にレトロな音が欲しかったら蓄音機の出番。
    • 服もチェックやボーダーといった普通の物から、アゲハ蝶の羽根を模したド派手な服、一見血まみれだが実はトマトジュースをこぼしただけという設定の服、赤いお兄さんや緑の弟の服、果てはカビた服まで……。
  • 操作性は非常に良好で、レスポンスも早い。
    • 特に手紙などで文字を入力する画面が非常に素晴らしい出来。例えばひらがなを入れる場合、3Dスティックの上半分でまず「あ~な」行のどれかを選び、その後に選んだ行の文字を同じくスティックの上半分で選び、Aで入力。スティックを下に入れれば「は~わ」行へワンタッチで切り替えられる。
      • 独特な操作故にある程度の慣れは必要だが、慣れればその快適さに感動するだろう。
    • ただし操作性は良いものの、ゲームスピードに関してはあまり良いとは言えない(後述)。

問題点

  • 自宅が狭い。
    • 最大増築しても1階建ての8×8マスしかなく後の作品と比べてもかなりしょぼい。
    • 家具を置かない通路のスペースも要るのでそこまで大量に置けない。
    • テーマ系の家具や虫・魚をそろえても1パターンしか飾れないのも難点。
    • また、ティラノサウルスやトリケラトプスなどの化石を置く場合、それぞれ頭、体、しっぽの3パーツを置いて初めて恐竜の形になるのだが、1パーツが2×2とデカく、完成図を見たかったら2×6のスペースが必要になる。
    • 収納スペースが少ない。
      • タンスやクロゼットには服やびんせんなどがしまえるが、サイズに関係なくスペースは1枠しかないほとんど無意味なものになっている。
      • ミュージックを始め非売品のアイテムが多いのでスペースは欲しいが、とても家の中には詰めきれない。
      • 手紙に添付して郵便局に保存という手はあるが、手紙から外すまで添付したアイテムを確認できないので、上手く整理しておかないと目当ての物を探すのに苦労する。またコントローラパックが無いとこの手法は使えない。
      • この欠点が顕著なのが虫と魚。これらはナマモノなので手紙に添付できない。
  • 3万ベルしか持てない。
    • 3万を超えるとアイテム扱いになりアイテム欄を圧迫される。
    • せめて5桁カンストまで持てるようにして欲しかったところ。
  • 同時プレイができない。
    • 家族や友人とデータを共有しても、一人でやるか、見てるだけしかできないのは残念。
  • 間違えて博物館に未鑑定の化石以外のアイテムを付けて手紙を出しても、そのアイテムは帰って来ない。
  • シリーズで唯一、冬になるとすべての花が芽になってしまう。外見は『おいでよ どうぶつの森』以降雑草と共に生えてくるクローバーのようでもあるが、その間はガーデニングを我慢しなければならない。
    • そのかわり冬の間は雑草が跡形もなく消え、生えてもこない。村の環境管理が極めて楽になる。
  • 海に出る魚が15000ベルで売れるシーラカンスのみ。
    • 釣り上げられるタイミングは非常にシビアではあるが、雨の日に*9適当に往復してれば簡単にお金が貯まってしまう。
  • 現実と同様、6月に雨天の日が多すぎる。梅雨の季節とはいえ、ほぼ一月中・一日中雨が降り続けるのは流石に陰鬱。
    • 雨の日は出現する虫も減ってしまう。滅多に雨が止まないので、雨が降る割にハニワも掘れないと言った問題もある。
    • 5月や7月に比べるとできる事がやや少なく、上記のようにシーラカンスを釣りに海辺へ通うことになる。雨の日はBGMもずっと同じで飽きやすい。
    • 7月1日以降になったら出現する虫や魚も増え、一気にやり応えが出てくる。
  • 村の状態を良くしておくメリットが微妙。状態がいいと住人は最大15人まで増えるが、ただそれだけ。
    • 住人が増えると処理落ちの可能性も上がるので、適度に悪くした方がいい始末。
  • よその村にお出かけをしないと村の住民が減らない。
    • お気に入りの住人と離れたくないプレイヤーにとってはありがたい仕様だが、村に住人が15人いると新しい住人を迎え入れることができない為、プレイ状況のマンネリ化に陥りやすい。
      この点は次回作の『+』以降改善されるが、今度は「住人が前触れなく引っ越す」という別の問題点が生まれてしまった。
  • メッセージスピードをはやいに設定しても遅いなど、全体的にゲームの動作が重い。
    • Bボタンで一文章内の自動メッセージ送りが可能だが、焼け石に水程度の速度。
    • 雨や雪が降っていたり、同エリア内に住人や行商などが合わせて3~4人ほどいたりするとさらに遅くなる。
    • この点も『+』で劇的に改善された。
  • セーブ時間が長い
    • フラッシュメモリを使用しているためかN64ソフトにしてはやたらと長い。
  • リセットさんの説教
    • リセットした際に待ち受ける「お説教」が、停電や原因不明のエラーといった不可抗力によるリセットでも発生してしまう。
    • また、この説教で泣いてしまう子供プレイヤーも居たらしく、後のシリーズ作品では初回だと優しめの言葉で諭してくれるようになったり、「電池切れ」「原因不明、身に覚えが無い」と故意のリセットではない事を主張できるようになったりと少しだけ改善されている。
    • ちなみに、本作は目立った不具合やフリーズするといったこともなく、また、運要素もそこまで強いわけでもないうえ、試行回数も日付変更などで容易に稼げるので、衝動的なリセットが大半を占めることになる。
  • やはりというか、明確な目的が無いというゲームデザインはプレイヤーを選び、すぐに飽きてしまう要因になりやすい。
    • 借金返済を目的にすると、作業感が強まりやすいのも難点。

総評

激しいアクションも、濃密なストーリーも無い。乱暴に言えばただふらふらするだけのゲーム。
魚釣りにしろ虫採りにしろ家具配置にしろ、住民と話す事だって、この部分が素晴らしい要素だと断言するには厳しいだろう。
後の作品と比べ見劣りする部分も少なくなく、今となっては本作の価値は皆無に等しい。 ただし、メガヒットゲームの原点として根幹のスローライフを満喫する部分は本作ですでに確立されており、だからこそその部分が好きなプレイヤーを虜にし、今に続くまで発展できたといえる。
また、直接の評価とは言い難いが往年のファミコンソフトを遊べるので非常にお得となっている。さすがにこれだけを目当てに本作をプレイするのは本末転倒だが、ゲームを進めると自然にファミコンが遊べるようになるのは評価されるべき点である。


余談・その後の展開

  • 本作は任天堂が出したニンテンドウ64最後のソフトであり、同時に任天堂が出した(据置機に限って)最後のROMカセットゲームでもある。次世代機に作り直し、ということもなく出されたことから、開発にそこまで期待されていなかったことが伺える。
    • にもかかわらず、ゲームを余りやらない女性層を中心に大ヒット。その後もインターネットの普及による口コミなど順調に知名度を上げ、何度か重版がかかるほどに売れ続けた。
    • そのためか本作発売からたった8ヶ月で続編…というよりはむしろ完全版に近い『+』が登場。内容については下記のとおりである。
  • 本作はカセットのみと、コントローラパック同梱版が発売され、同梱版のコントローラパックには、宮本茂氏のメッセージ入り手紙データが入っていた。
    GC版『+』においてはメモリーカード59が標準同梱され、その中には前社長である山内溥氏の手紙が入っていた。
  • たぬきちはゲーム評論サイトの『IGN』では「腹黑で不愉快なキャラ」、『UGO.com』では「マフィアのボス」と評された。
    • 理由としてアイテムの下取り価格が、元の価格の4分の1だったり、仕立屋エイブルシスターズの営業時間がAM7:00~AM2:00と不自然なまでに長い(たぬきちの店はAM9:00~PM10:00。ゲーム中の会話から推測するに、たぬきちが設定する服の卸売価格が非常に安いため、長時間労働をせざるをえないためだと思われる)ことなどがあげられる。
  • とたけけのモデルは、主にゲームボーイで活躍した任天堂の音楽スタッフである戸高一生氏である。「とたけけ」とは彼のあだ名から来ている。犬のようなキャラクターは、友人がデザインしたものらしい。
  • 本作がフラッシュメモリを採用している理由として「遠い未来でも起動して村を覗いてくれる人もいるであろう」という、スタッフの想いもある。

どうぶつの森+

【どうぶつのもりぷらす】

ジャンル コミュニケーションゲーム
対応機種 ニンテンドーゲームキューブ
発売元 任天堂
開発元 任天堂、エスアールディー
発売日 2001年12月14日
定価 6,800円(税別)
判定 良作

概要(+)

無印版発売からたった8ヶ月という異例の速さで発売された本作。しかし、無印版で不評・窮屈だった要素は軒並み改善されており、本作は無印版に対する完全版と言って差し支え無いだろう。


特徴・無印版から変更・改善された要素

  • ハードのスペックの向上により処理落ちやゲーム速度が低下することはなくなった。
    • ポリゴンモデルは流用しているが、N64からGCに鞍替えする際には解像度とフレームレートも向上し、なめらかに動くようになった。
    • 持ち物画面で複数の物をまとめて選択できるようになった。これにより、物を売るときの面倒さが改善された。
  • 冬になっても雑草が生えるようになった。
    • 時間を進めすぎた場合のペナルティが少なかったので、妥当な変更といえる。
  • 自宅の改築が2階・地下の3階建てにグレードアップ
    • 当然ながらローンも激増している。
  • タンス・クローゼットの容量が3枠まで増えた。
    • これにより収納家具として最低限役割を果たせるようになった。
    • とはいえ依然として少なすぎる。もうちょっと頑張って欲しかったところ。
  • ファミコンソフトの追加
    • ワリオの森』などが新たに収録されている。マイナーだったこの作品は発売当時何かと不遇な扱いだったが、本作への収録がきっかけに再評価が進んだとも言われている。
      • 『ワリオの森』は『e+』にも収録されている。
  • 家具としての虫・魚がはっきり見えるようになった。
  • 99000ベル+端数まで持てるようになった。
    • まだ不十分と言えるが、本腰を入れて金稼ぎしないかぎりめったにカンストしないので、とりあえずは及第点といったところ。
  • 虫・魚の採集に手が加えられた。
    • 一部の虫の採り方にも工夫が加えられている。
    • 「ハチ」が刺してくるまでの時間が短くなり捕獲が難しくなった。
    • 種類も若干増えた。
      • 海魚もちょっと増えた。「スズキ」「タイ」「イシダイ」など今ではお馴染みの魚も登場。あと「クラゲ」も。
  • ファーウェイ博物館に未鑑定の化石以外のアイテムを送っても返却されるようになった。
  • 村に博物館ができた。
    • 正確にはファーウェイ博物館分室というらしい。
    • 収集した虫・魚・絵画・化石を寄贈・鑑賞することが可能になり収集の楽しみが増えた。
    • 寄贈するのは各種一匹だけでいいので金稼ぎの阻害にはならない。
  • メモリーカードで他の村に行けるようになった。
    • GCに本作のデータが入ったメモリーカードを2本挿すことにより、持ち主の村に行ける。メモリーカードが2つあれば自演も可能。
      • なお、村のデータが入っていないメモリーカードを入れた場合は、前作と同じようにメモリーカードにお出かけデータとして保存する形となる。
    • その村のたぬきちの店で買い物をすると、スーパーからデパートにグレードアップする条件を一つ満たせる。
    • 異なるデータのプレイヤー間の引っ越しも可能に。
      • これにより『e+』への引っ越しも可能。
  • ゲームボーイアドバンスとそれを繋ぐGBAケーブルを用いて、島に行くことが可能になった。
    • たった2エリア分しかない小さな島だが、島にしかいない特殊な住民が住んでいたり、自生しているヤシの木がある。
    • GBAケーブルでGBAに島のデータを送り、島の住民と遊ぶことが可能。お金稼ぎとしても使えたり、ここでしか手に入らないアイテムが手に入ることも。
  • 「マイデザイン」の追加
    • 新しく追加された「仕立て屋」でデザインを作ることができ、服や傘を自由にデザインすることが可能になった。
    • デザインを作る度にお金がかかるが、ゲームボーイアドバンスとGBAケーブルが無料でデザインを作ることが可能。
  • 村のイベントが増えた
    • 新しく登場した村長であるカメ「コトブキ」が行事や特定の日に登場し、アイテムをくれるようになった。
    • 見るだけだったラジオ体操がプレイヤーでも参加できるようになった。

『+』で新たに生じた問題

  • ローンが多すぎる。
    • 最初は19800ベルと良心的だが、1階拡張:148000ベルと激増。地下室:49800ベルといったん良心的になるが、1階再拡張:398000ベル、2階増築:798000ベルとさらに激増。累計141万3600ベル払うことになる。
      • もっとも2階増築後はそれ以上広くなることはないので、踏み倒しても特に問題はないが。
    • 利子や返済期間はないものの増築しないとスペースが全然足りないので、とっととローン返済してしまいたいという人も少なくない。
    • 遊び方をスローライフかローン返済どちらかに本腰を入れないと中途半端になりがちで楽しみづらい。
      • というのも気ままにプレイしつつ地道に借金を返していくという遊び方は継続が難しく、大抵の場合すぐに限界が来てしまう。また、半端にローン返済に力を入れると家の増築が終わってようやく気兼ねなく楽しめる頃、あるいは借金を返す途中であらかたやり尽くしてしまい、いまいち楽しめないまま飽きてしまうこともありうる。
    • 抜け道として前述の方法でデータを2つ作り、「カブ」の価値の差を大きくして、価値が安い村で大量に買い、価値が高い村で売ることであっという間に稼げる。
      他に1月1日に母からお年玉10000ベルの入った年賀状をもらえるので日付変更を繰り返してもらい続けるといった手段もある。
      ただし、自演や日付変更に抵抗があったり、この方法を知らない場合は地道に稼ぐしかない。
  • 99000ベル以上は30000ベルとしてアイテム化される。
    • 99000ベルでアイテム化は無理だったのだろうか。
      • 今作ではカブ価が大幅に上がることがまれにあり、この時に100カブを15個分売ると持ちきれないほどの値段になるため、この問題点が目立ちやすかった。
  • 化石を博物館(本部)で鑑定しないと村の博物館(分室)に寄贈できない。
    • 分室では館長のフータが化石鑑定士の資格を持ってないので鑑定してもらうことができず、ファーウェイ博物館本部に化石を手紙に添付して郵送したのち、返ってくるまで待つことになる。
      • 翌日に帰ってくるのは3個まで、それ以上は翌日以降に後回しにされてしまうという制約もある中、すぐそこに博物館があるのに鑑定しないと寄贈できないのはもどかしい。
    • この問題は『e+』でも継続。『おいでよ』でようやくフータが資格を取り、分室でも鑑定ができるようになった。
  • GBAでデザインを作るときの操作がしづらい

総評(+)

前作で発展途上だった部分の大半が完成形に近づいた本作。本作を持って『どうぶつの森シリーズ』は確立されたといえる。


余談・その後の展開(+)

  • GC発売から3ヶ月、前作の評価やクリスマス商戦に当てられたこともありヒット。その後も順調に売上を伸ばし2年で60万本を超える大ヒット。最終的に100万本近い売上を記録した。
    • その後もハードを変えつつ新作が発売されるようになり、最新作は400万本近く売り上げるまで成長した。
  • 本作の発売から1年半後『e+』が発売。こちらは行事の変更・ファミコンソフトの一部削減など完全上位互換とまでは行かないが、本作からさらに改善・パワーアップされた箇所もあり順当に進化を遂げている。
  • 無印版と本作を買ったプレイヤーを対象に本作への引き継ぎとして「データお引越しサービス」が行われた。
    • このサービスを受けるとファミコンシリーズの家具『アイスクライマー』が限定配信された。
    • なお現在このサービスは終了している。