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1943改 ミッドウェイ海戦 - (2022/04/08 (金) 10:38:58) の編集履歴(バックアップ)


このページはアーケード版『1943改 ミッドウェイ海戦』のPCエンジン移植版について紹介しています。
他の家庭用移植に関しては、AC版記事を参照。


1943改

【いちきゅうよんさんかい】

ジャンル 縦シューティング
対応機種 PCエンジン
メディア 4MbitHuカード
発売元 ナグザット
開発元 カプコン
発売日 1991年3月22日
定価 7,200円
プレイ人数 1人~2人
判定 なし
ポイント ゲームバランス上の不満をほぼ完全に改善
ショットガン一本では厳しくなった
本気すぎるオリジナルステージの存在
カプコン19シリーズ
ナグザットSTGシリーズ


概要

アーケード(AC)版『1943改 ミッドウェイ海戦』稼動開始から2年9ヵ月経て、まさかのPCエンジン移植。
ちなみにPCE版では「ミッドウェイ海戦」のサブタイトルはつかず、タイトルは『1943改』のみである。

当時のPCEには様々なアーケードシューティングが移植されていたのは確かなのだが、なぜ高評価な原作『1943 ミッドウェイ海戦』ではなく、不評に終わってしまった『改』の方が移植されたのかについては現在もシリーズの謎として、度々ファンの間で話題となる。

本作は基本的には丁寧なゲームバランス再調整を施されたアレンジ移植であるが、原作であるAC版を知るプレイヤーが見れば驚愕必至のオリジナル要素の数々は最早、伝説的。
単体のゲームとしての完成度は高いが、「移植とは何か」という点から考えさせられる一作となっている。


大きな変更点

元のAC版が1988年のゲームとはいえ、PCE版のスペックで完全移植をする事は厳しいためか大きなアレンジ化がされている。
大きな変更点としては、原作の10ステージのうち3ステージが削除され、その代わりにPCエンジンオリジナルステージがラストの方に4ステージ追加され全11ステージ構成となった。
これにより、結果としてAC版よりも1ステージ増加した事になる。

また、ボスの名称のほとんどがFC版を踏襲して三国志の武将のものに変更されていたり、一部演出に変更が見られるなど、外見上もある程度の相違点がある。

  • 名称は変更されているもののグラフィックはAC版から持ってきた為に、「キョシュウ」という空母なのに「赤城」の着艦識別文字の「ア」が残っている、ミスと思わしき部分もある。
  • BGMもAC版とは異なる配分をされており、亜也虎IIIとガンリョウ(大飛龍)の戦闘BGMが入れ替わっているなどの差がある。
    • 同時に、チョウコウ(AC版の「伊勢」)ステージの艦隊戦にAC版で没となった「艦隊戦B」が使用されているといったアレンジも加わっている。
    • 本作でもステージの削減に伴いゲーム中に使用されないBGMは存在するが、テストモードで聴く事が可能。

オリジナルステージ

PCE版を語る上で欠かせないのは何といってもオリジナルステージの存在だろう。
ステージ7にて待ち構えるAC版のラストに該当するボスを倒すと、本来単発の複葉機であるはずの自機の空きスペースにオーバーテクノロジーなジェットエンジンが2つ搭載されるイベントが発生。
ここでまさかの機体強化がなされる事となる。

そして、第二次世界大戦が舞台だったはずの戦場は、何故か突然SFシューティングと化し、当時の水準では「本当に19シリーズか?」と思える『19XX THE WAR AGAINST DESTINY』を先取りしたような派手な世界観に豹変するのである。
しかも困った事に、AC版ステージよりも、凄く熱くて面白いステージ揃いであり、ここにきてテンションが急上昇してしまうという現象に遭遇してしまう。
メインであるはずのAC版ステージが箸休めで、オリジナルの方がメイン…といわんばかりに。

実際、オリジナルは各ステージの道中、ボス共に専用BGMが用意され、敵も大半がオリジナル。
ACの移植にもかかわらず、明らかにオリジナルの方に力が入っている妙な作りとなっているのだ。


評価点

ゲームバランスの改善点

ゲームシステムは原則としてAC版基準だが、ショットについては高速フルオート連射が標準搭載された(オプションでOFFにもできる。)。
武器の種類ごとの大きな格差も再調整や高速フルオート連射の影響で是正されており、気軽にプレイしやすくなりつつ、総合的な難度がAC版よりかなり下がった。

  • ショットガン
    • AC版の代名詞ともいえた武器だが、性能が僅かに弱体化。
      • 相変わらず強力ではあるが、「適当にショットガンを撃っていれば終わり」という大味な戦法は通用しなくなった。
  • レーザー
    • こちらも相変わらず強力ではあるが、貫通能力が裏目に出る場面が散見されるようになった。
      • 扱いやすいものの、一概に「スーパーシェルの上位互換」とは言い切れなくなっている。
  • 3WAY
    • AC版ではハズレ武器だったが、高速フルオート連射により大幅強化された。
      • 横画面になった影響がプラスに働いた武器でもあり、無印以来の選び甲斐がある武器に返り咲いている。
  • スーパーシェル
    • こちらもAC版ではハズレ武器だったが、やはり高速フルオート連射との相性が抜群。
      • 接射時の瞬間火力の高さがレーザーとの違いで、単純な下位互換とは言い切れない。
  • 初期ショット
    • 高速フルオート連射に助けられる形で、そこそこ以上の性能に強化されている。
      • AC版では「武器の切れ目が命の切れ目」とも言えたが、体勢を立て直すには十分なだけの強化がされた。

その他、「全滅させるとアイテムを出す「赤水編隊」の出現数が増えた(1度に2編隊出現することも)」「敵機に体当たりされた時のダメージ量が減った」「武器アイテムの使用時間カウントが28秒→32秒に延びた」などの細かい難度緩和点も多い。


問題点

AC移植の体を成していない

  • 本作はゲームバランスの改善やオリジナルステージが追加された事で評価を得ているが、純粋にAC版の移植としてみると、オリジナル再現度は微妙になってしまったと言わざるを得ないだろう。
    • 内容を見れば全ステージを移植する事も不可能ではなく、サウンドテストを見る限りオリジナル版のBGMも全て揃っているのだが、AC版のステージが削減されたことによって没になったBGMが出てしまったり、BGMの配分が意図的に変えられているせいで違和感が感じられるようになってしまった。
    • 特にオリジナルステージの存在はあまりにも世界観が変貌していて、忠実を求める原作ファンにとっては蛇足も甚だしいと思われているのも事実である。

総評

オリジナルステージがあまりにも輝いているせいで「1943改の移植である必要性」自体が薄く、
オリジナルステージを延長した完全オリジナル作で作った方が良かったのでは?」という声も多く聞かれる。
そういう意味で、移植としては微妙、オリジナルとしては良好、という複雑な位置付けにある一作ではないだろうか?

もちろんAC版ステージも完成度が高く、丁寧に移植した上で遊びにくい部分が全面的に改善された良調整なのだが…。


余談

本作と同じ19シリーズの『19XX THE WAR AGAINST DESTINY』では、亜也虎改や列車戦といったPCE版オリジナルステージに似たシーンが登場し舞台も未来の戦争なのだが、本作との関連性は一切不明。

19XXの更に次作『1944 THE LOOP MASTER』では、前半戦終了時に本作オリジナルステージ突入イベントを彷彿とさせる「サイドファイターがオーバーテクノロジーな兵器を搭載したものに変更される」というダイレクトな強化イベントが発生する。

いずれにおいても本作後半におけるSFシューティングらしいテイストを自然に継承している為、本作が19シリーズの転機となっていると言って差し支えないと思われる。