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【さいきっくふぉーす とぅうぇんてぃとぅうぇるぶ】
ジャンル | 対戦格闘 |
対応機種 | アーケード(WOLFシステム、NESiCA×Live) |
販売・開発元 | タイトー |
稼働開始日 |
1998年6月(WOLFシステム) 2012年12月20日(NESiCA×Live) |
判定 | 良作 |
超能力者・サイキッカー。国家レベルでその存在が隠蔽された彼らは、ある者は人知れず政府や軍に囚われて実験材料とされ、またある者は異能の力ゆえの迫害に苦しんでいた。
彼らにとってまさしく暗黒の時代の2010年。研究施設を脱走したサイキッカーのキース・エヴァンスはサイキッカーの理想郷を作り出すべく、組織「ノア」を結成する。だが、キースは次第に「サイキッカーによる世界征服」の野望に取り憑かれ、ノアの拡大と共にその活動は苛烈さを増していった。
そんなノアとキースに反感を抱いたサイキッカーのバーン・グリフィスは、キースを止めるべく彼の元へ向かう。かつて親友同士であった氷と炎の超能力者はノア本部で激突するが、戦いが決着を迎えようとしたその瞬間、2人は前触れなく起こった本部施設の爆発に巻き込まれてしまう。
全てはノアの副総帥だったリチャード・ウォンの計略だった。指導者を失ったノアは瓦解し、生き残りの構成員もそのほとんどが、ウォンが内通していた人類軍に捕えられていった。
再び寄る辺を無くしたサイキッカー。彼らは再び、時代の迷い子となったのである。
ノア崩壊から2年。最早公然の存在となったサイキッカー達は民間レベルでもその存在が密告されるようになり、彼らの居場所は以前にも増す速さで無くなっていった。
そんな中、かつてノアに所属していたサイキッカーのカルロ・ベルフロンドは姿をくらましていたキースを発見し、再び彼を宗主とする「新生ノア」の結成を宣言する。一方、私欲のためにノアから人類側に寝返り暗躍するウォンは、今や彼のアイデアで発足した「軍サイキッカー部隊」を私物化するほどの地位に就いていた。
新生ノアと軍サイキッカー部隊……。かつては共に戦ったであろうサイキッカー達は、今や互いに同胞を殺し合う血塗られた時代の中にいた。
時に、西暦2012年。物語は「サイキッカーを殺せ」という使命以外を忘れたサイキッカーの少年マイトと、行方の知れない母を探すサイキッカーの少女、パトリシア・マイヤースが出会ったところから動き始める。
1996年に稼働開始し、そのキャラクター性で多くのファンを取り込み、また確かな品質のゲーム性でゲーマー達からも一定の支持を集めたタイトーの対戦格闘ゲーム『サイキックフォース』(以下PF)。本作はそれから2年後に、新たなキャラクターや改良されたシステムを引っ提げて稼働開始した直接の続編となる。
しかし、前作から問題となっていた「ゲームのストーリーやキャラのファンではあるが、実際のゲームはプレイしないファンの増加」が頂点に達している中で発表された本作はその完成度の高さに反して、格闘ゲームの第2作に求められる「シリーズの定着」という役割を果たすことが出来なかった。格闘ゲームとしての完成度を更に高めることになった調整は、同時に何よりも取り込んでおきたかった「非格ゲー層」の新規参入への壁を大きくすることにもつながっていたのだ。
結果、本作を最後として『PF』は永遠にも思える長い沈黙期を迎えることになる。
「360度の範囲を移動できる結界の中で体力ゲージを削り合う」基本システムに関しては一切変化がないため、前作の記事を参照していただきたい。本項では前作からの変更点についてのみ言及する。
『2012』は全体としては良好なゲームバランスを持った作品である。しかし、真に「バランスの良い」格闘ゲームと言うものは存在しえない。
本作でも(長期にわたる研究の結果という形ではあるが)幾つか大きく差をつける要素が発見されている。
他の格ゲーではあまり重視されなかったストーリー・キャラクター性を前面に押し出し、今で言う「腐女(男)子」や普段ゲームセンターを訪れない人からの高い人気を集めた『サイキックフォース』。
しかし時が経つにつれ、そうした「キャラに興味はあるが、格ゲー自体には手を出さない」ファンの比率が増加し、その盛り上がりに反して実際のインカムはそこまで高くならない……という問題が生まれる。
タイトーも公式でファンイベントを主催したが、それがかえって客層のミスマッチを煽ることになった。
当時はまだ敬遠されがちだったアニメテイストを、それまでのゲーセンに馴染んでいたゲーマー達が敬遠したことも足を引っ張った。
そのような状況の中で本作『2012』がリリースされることになるのだが、ロケテストでインカム高がそこまで上がらずに導入を見送ったり導入後も早々に撤去してしまう店舗が多く発生し、結果として商業的には完全に失敗してしまうことになった。
まさに「解る人だけに解る」作品となってしまった感が強い作品。リリースがもう少し遅ければ、本作、ひいてはシリーズを待ち受ける運命も少しは変わったものになったかもしれない。
しかしその出来は間違いなく本物で、対戦が盛んな一部の店舗では(続編が出ないこともあっただろうが)約3年の長きにわたって研究が続けられたタイトルでもある。
さらに脆弱なWOLFシステム(基板が非常に故障しやすい。そのためか、使用されたのは後にも先にも本作だけ。)を使用していたことが仇となり、ただでさえ少ない稼働店舗はさらに減りつつある。
PS3での続編制作も考えられたそうだが、タイトーのスクウェア・エニックス合併の際に流れてしまったようだ。現実の西暦2012年という時が過ぎゆく中、いまだに沈黙を続けるシリーズの復活を求めるファンも多い。
貴重な高レベルプレイヤーによる高画質対戦動画。駆け引きの内容について、コメントも参考になる。
一部のバグ技が使用不可となった以外、ほぼ完全な移植を実現している。対戦派のプレイヤーならばこちらかWindows版で決まり。
ストーリーモードのテキストがフルボイス化。この点はPS版『2』にも引き継がれた。
ただし『2』と比べると、本作ならではのオリジナル要素が存在しない、CPUが強すぎるといった短所がある。
アーケードからの移植と言うよりは、前作のPS版の続編扱いと言ったほうがいい作品。PS作品としては高水準であるものの、DC版よりもグラフィックがやや劣化し、fpsも30に引き下げられた。
しかし出力はまだしも、入力までもが30fpsになったため、アーケード版と同じ感覚でコマンドを入力するとなかなか受け付けないという大きな問題が出てしまった(*4)。
説明書にも各キャラのコマンドが記載されておらず(テストモードで見なければならない)、テストモードでも細かい調整が効かないなど、ユーザーに不親切な部分も目立つ。対戦・練習ツールとしてはお世辞にも褒められたものではない。
代わりに『2』独自のオリジナル追加要素が充実している。
対戦ツールとしての出来は悪いが、単体の品質はそこまで悪くない。現在ではゲームアーカイブスでも配信されているので、『サイキックフォース』という作品の雰囲気を味わうために購入するのも一考。
Glide対応版(国内PCゲームでは実質唯一の採用例でもある)とDirectX対応版のプログラムが同梱されていて、環境に合わせていずれかをインストールする方式が取られている。
業務用のベタ移植としてリリースされ、DC版と共に移植版の双璧として挙げられる。一方、コンフィグが貧弱でグラフィック関係の設定が全く出来ず、要求スペックも(当時としては)かなり高いと言う欠点もあった。
2001年にはXP以降のOSに対応し(設定にもよるがVista及び7 32ビット版でも動作が確認されている)価格を下げた「復刻版」が発売された。
設定資料集が同梱され、グラフィック関係の設定が出来る様になったが、その代わりGlide非対応となった。
なお、一部不具合があり修正アップデートプログラムが配布されている(リンク)。
対応機種 | プレイステーション2 | |
発売日 | 2005年12月29日 | |
定価 | 7,140円 | |
判定 | 劣化ゲー |
合併直前のタイトーが送り出し、多くのPFファンを失望させた黒歴史。
PS版前作とDC版2012の移植に加え、PS版同様に玄真・ソニア・ブラドが使用可能な本作独自の調整版『2012EX』が収録されている…… という触れ込みだが。
前作の致命的バグのほか、2012でも不具合が多数見つかっている。主に激しい処理落ちや一部演出が再現されていないなどで、ゲーム性に関わる部分の不具合が少ないのはまだしも幸いであった。
+ | もう少し詳細な内容 |