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THE HOUSE OF THE DEAD 4
【ざ はうす おぶ ざ でっどふぉー】
ジャンル
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ガンシューティング
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対応機種
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アーケード(LINDBERGH) プレイステーション3
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販売・開発元
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セガ
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稼動開始日
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2005年12月
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判定
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良作
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ポイント
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今度は物量で攻めるゾンビ 遊びやすくなったシステムと難易度 残虐表現はマイルド化 こいつらウザすぎ!
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THE HOUSE OF THE DEADシリーズ
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概要
ホラーガンシューティングゲーム『THE HOUSE OF THE DEAD』シリーズのナンバリングタイトル第4作目。
前作『III』を開発したワウ・エンターテイメントは旧来のAM1研に再統合され、引き続き本作でも開発を行った。
基板はPC(Linux)をベースにした当時の新基板「LINDBERGH」を採用した第一弾タイトルとなった。
筐体も同社の同ジャンルにおいて『バーチャコップ』から改良を加えつつも使用され続けられてきたものから一新され、HD画質・アスペクト比率の62インチワイド液晶を使用したDX筐体のみとなっている。
ストーリー
話はベニスで起きた「ゴールドマン事件」から3年が過ぎた、2003年にまで戻る。
舞台は英国・ロンドン。世界中で不穏な動きが起こる中、ゴールドマン事件の解決者であるAMSエージェント「ジェームズ・テイラー」は、
「3年前の事件がまだ続いている」と考え、現地の女性エージェント「ケイト・グリーン」の協力を得て、AMSヨーロッパ支局へと来ていた。
しかし、地下5階の資料室で再調査をしていた際、この世の終わりとも思える大地震が発生、2人は資料室に閉じ込められてしまう。
数日間救援を待っていた2人だったが、監視カメラに写ったゾンビの大群を見て身の危険を感じ、サブマシンガンを手に独力での脱出を決意する。
無数のゾンビの襲撃を潜り抜けながら、建設中の情報室に辿り着いた2人は、何者かが世界中の核ミサイルを発射しようとしている情報を知る。
ミサイル発射阻止の為、何とか地上に出た2人だが、その目前には崩壊したロンドンの姿があった。絶望しかける2人の元に、あるメールが届く。
それは、今は亡きゴールドマンに酷似した文面で1時間後の核ミサイル発射を予告するものだった。果たして2人はその計画を阻止できるのか?
変更点
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本作の銃は装弾数30発のサブマシンガンを採用。引き金を引くだけで連射が可能になった。
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『III』のショットガンより軽くなり体力消耗の問題は改善されたが、弾数が多い代わりに一発の威力が低く、一方で敵は大量に押し寄せる物量作戦を取って来る為、油断は禁物である。
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本作のガンコントローラー(ガンコン)は、ちょうど中心に加速度センサーが搭載されており、銃を振る「ガチャプレイ」の操作が追加された。
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本作ではゾンビとの取っ組み合いが実装され、ガチャプレイで「振りほどく」or「押し返す」事が求められる。
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振りほどきの場合、失敗するとダメージを受ける。
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押し返しは失敗するとそのまま押し倒され、直後に他の敵も踏み潰し攻撃を行ってくるため危険な状況に陥る。なお踏み潰しに参加するゾンビの数は1~3体のランダム。
攻撃を受ける前に全滅させればダメージを受けずに済むため、後述の「クリティカルショット」の狙いやすさ次第ではあえて押し倒された状態で迎撃するという戦法も可能。
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ガチャプレイはイベントシーンでも用いられる。
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例として、チャプター2とチャプター3のルート分岐のガチャプレイで成功すれば敵が少ないルートに分岐し、失敗すると敵が多いルートに分岐するようになっている。
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本作のリロード操作も「軽く銃を振る」ことで行う。これにより従来作よりも素早くリロード可能となった。リロードの際には前作と同様に短い硬直時間が発生する。
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なお、ゲーム中では説明されないが『2』方式の操作(銃口を画面外に向ける)でもリロード可能。
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シリーズ初のサブウェポン(手榴弾)を採用。
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コントローラーの横かつ銃口付近の白いボタンを押すと構え、離すとコントローラーで狙っている箇所に投げる。デモ画面の操作説明内では紹介されていないが、ボタンを押したままでいると持ったまま待ち、押している時間が長いほど投擲距離が長くなる仕様がある。
爆発範囲はあまり広くはないが、当たりさえすれば雑魚敵は即死・ボスにも大ダメージを与えられる。コンティニュー時やチャプタークリア時には最低3発まで補充される親切設計。
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但し投擲タイミングや狙いが悪いと思ったような効果を上げられない。またこれで倒したら自ずとスコアを得る機会も失う為、スコア狙いのプレイでは一転して諸刃の剣となる。
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手榴弾は、特定地点に存在するボーナスアイテムのある小部屋に入る為にも必要。条件を満たす為のタイミングや投げる場所はなかなかシビア。先程記した長押しによる投擲距離調整が要求される箇所も。
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また、手榴弾とは別にステージ上に置かれている撃つと爆発するドラム缶、とあるゾンビが持つガスボンベ等、複数のゾンビをまとめて一掃できるオブジェクトも登場。
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こちらも上手く利用することで、スコアと引き換えに攻略を有利に進める事ができる。
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雑魚のゾンビに対し、弱点(一体だけ除いて全て頭)ヒットでとどめを刺すと「クリティカルショット」が成立し、スコアボーナスを得られる。
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連続して決めると「GOOD」「AMAZING」「EXCELLENT」「PERFECT」と4段階までボーナスが上昇。弱点以外で倒してしまったり、敵からダメージを受けるとリセットされる。
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重ねて『III』で廃止されたヘッドショットボーナスも復活。敵は倒した後も撃ち込み判定が残っているので、ハイスコアを狙う場合は、『2』と同じく頭部への執拗な追い撃ちが求められる。
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ルート分岐システムはステージの途中で自らルートを選択する方式のほか、プレイヤーの行動によって分岐する方式も復活。
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「南京錠や小部屋へのドア等、特定ポイントを攻撃して破壊する」条件に留まらず、「腕をつかんで引きずり込もうとするゾンビを、振りほどくか否か」といった特殊な条件がある。
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シリーズ恒例の非戦闘員やパートナーを救出するイベントが廃止された。
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それに伴って、同じくシリーズ恒例のラスボス直前のアイテム部屋への突入条件が前作までの「救出イベントを全部クリアする」から「ノーコンティニューでラスボス直前まで進める」に変更された。
評価点
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シリーズ中では最も易しいゲーム難易度。初心者にはわかりづらい要素や遊びづらい要素が改善された。
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銃がサブマシンガンなのでコントローラーが軽い上、狙いがある程度甘くてもなんとかなる事も多い。前作までのトリガー連打の必要も殆ど無く、非力な人や女性にも遊びやすい。
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前作と同じく撃ってはいけないキャラも存在しない為、遠慮なく撃ちまくれることも遊びやすさの向上に貢献している。
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但し従来作と同様、ゾンビに一度銃撃を当てると発狂して急接近してくるので、闇雲に乱射して複数のゾンビに手を出すと、まるでB級映画のやられ役のように窮地に追い込まれる。
基本的には焦らず、耐久度が高い・距離が近いといった危険なゾンビを優先して一体ずつ仕留めていくことで、ダメージを受ける可能性をぐっと抑えられるように配慮されている。
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道中のパターンもこれまでよりは比較的把握・対処は容易。ボンバー的要素として手榴弾も追加された為、たとえ捌ききれなくともどうにかなる場合が多い。
敵の弱点にヒットしても一発程度では倒せないが、原則として攻撃を行う直前は総じて敵の防御が甘くなっている為、クリティカルショットのチャンスも多い。
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前述通りパートナーや非戦闘員の救出シーンは全て廃止されたが、ライフアップアイテム自体は各チャプターに2個ほど用意されており、依然として多め。
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チャプタークリア時の高ランク取得による回復も、ランクSで2つ・ランクAで1つ回復する点は前作同様だが、本作ではランクBでも1つ回復するように変更された。
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スコアを気にしない人なら、ライフを増やす→わざと敵の攻撃を食らって内部難易度を下げる→ライフを回復→敵の攻撃を受ける…とすると、難易度の上昇をかなり抑えられる。
MAXライフ設定はお店側で変えられるため(大抵は初期値の5。最大9まで増やせる)、どうしても気になるなら店員に聞こう。
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「過去作よりも歯応えが低下している」とも批評されるが、それは前作までが高難度であったが故の相対的なもの。あくまでシリーズ全体での比較なので、殆どの人は問題なく楽しめる。
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本作はかつてのガンシューティング黎明期のゲームでは主流だった「マシンガンとボムをメイン武器として大量の敵に立ち向かう」ゲームとなっており、ある種の「原点回帰」を果たしている。
かつてのマシンガンタイプのガンシューはゲームバランスがあまり練られていない傾向があったが、本作は上述の通りバランス面も良好で、結果的に原点回帰としては大成功だったと言えよう。
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『2』ファンには嬉しい小ネタが用意された後半ステージ。
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時系列的に『2』の直後かつ『2』の重要人物が絡むストーリーである為、本作終盤は『2』のそれをなぞるようなルートで進んでいく。
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ゲーム後半の台詞の一部も『2』での台詞をオマージュしていたり、『2』のチャプター5で破壊された橋は本作のチャプター5でもそのままである。
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引き続き良質なBGM。
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今回は主に野宮牧人氏と塚越晋氏が担当。前作の生音系から一転して電子音が多用されているが、曲調は引き続きホラーゲームと思えぬ派手なものである。
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前述のチャプター5、最終チャプターのBGMはそれぞれ『2』で使用された曲のアレンジであり、原曲らしさと激しさが混在する曲調はシリーズファンを喜ばせた。
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また、ネームエントリーのBGMは前作のネームエントリーで使用された曲のアレンジとなっている。
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シリーズ恒例のチャプタークリア、ゲームオーバー曲のアレンジは本作でも健在。なお、アレンジ曲については原曲と同じ作曲者が担当している。
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ゲームオーバー時の演出は他の作品と異なり、プレイヤーキャラがルートマップ上のゲームオーバー地点で倒れ、曲と「望みは絶たれた…」との台詞が流れる。
賛否両論点
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画質はHDにまで進化したが、ゾンビに関する残虐表現・ステージ中のホラー表現は前作から再びマイルド化。
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出血や身体欠損描写は「撃った際に極小の肉片が飛んで被弾部位の皮膚が剥がれ、極小の風穴が開く」程度で、殆ど存在していない。
ゾンビを倒した際の演出も「一瞬もがいた後にドロドロに溶けるor発火して燃え尽きる」から「五体満足のまま焼け焦げる→そのまま消滅」に。
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それに伴って、ダメージを受けた時の演出も「ダメージエフェクトのみ」から「ダメージエフェクトと共にP1 DAMAGEまたはP2 DAMAGEの文字が表示される」に変更された。
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各ステージの背景に血痕が大量にあったり、世界観のダークさ・不気味さも決して希薄になってはいないが、ゾンビものだが残虐表現が殆ど無くなった点を「物足りない」と評する声がある。
もっとも、過去作の発売当時はまだ身体欠損描写などの残虐表現に寛容な時代であり、本作の発売時には残虐表現に対して世界的なレベルでの法規制が進んでいたため、やむを得ない変更でもある。
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また、それ故に残虐表現が苦手だったり忌避させられがちな人や青少年層などにも遊びやすくなった。もちろん、過去作の派手な残虐表現の維持を望んでいたファン層には残念な点となった。
問題点
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ゾンビの造形の問題。
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ステージのみならず、ゾンビの3Dモデルもまた見事な造形ではあるのだが、アップになるシーンでは全く同一の造形のゾンビが10体以上並ぶため、非常にチープに見えてしまう。
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前作まではハードの処理能力の都合上でゾンビの同時出現数が少なかった分、様々なタイプのゾンビが散りばめられていたため、この点が非常に目立つ。
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せっかくのサブウェポン(手榴弾)がかなり扱いにくい。
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シューティングゲームのボムのような位置付けではあるが、当たり判定が小さい為、うっかり画面隅や画面奥へ投擲する等で不発となりやすい。
画面中央のゾンビにすら、ちょうど攻撃時に腕を上げていたりされると脇をあっさりすり抜けて行って当たらないこともしばしば。
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「出し得」のシステムにしなかったのはガンシューティングゲームとしての矜持だろうか。外した場合は敵から反撃を受ける可能性も高くなる。
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それでも初心者救済の新システムのはずが、最低限の緊急回避もままならないというのは手厳しい。
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今回のコントローラーは引き金を引くだけで連射が可能という利点がある一方、連射速度は常に一定であり、プレイヤー側で意図的に連射を速めたり緩めたりなどの融通が利かない。
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前作までなら、雑魚ゾンビが出現するや否や猛連射で蜂の巣にする事も可能だったが、本作では上記の仕様により、1体倒すのに要する時間が一定化し、かつ長めになってしまった。
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その割に序盤から硬い敵が多く、同時出現数も過去最多のため、シリーズ上級者ほど展開が冗長に感じ易い。
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また、前作の銃は重かったが今作の銃は角ばっていて硬い。ガチャプレイやリロードで慣れていない人だとかなり指が痛くなる。
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スコアアタックにおいて2P側だと不利な場面が存在する。
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チャプター5中盤のある場面においてゾンビが2P側を狙っている場合、視点の関係で頭を撃つことが出来なくなり、クリティカルショットのコンボが必ず途切れてしまう。
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そのため、本作でスコアアタックを行う場合は1P側でプレイすることを推奨される。
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チャプター5ボス「THE STAR Type-0001」戦においてやや理不尽なバグがある。
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このボス戦は浮遊しているボスをカメラワークが追従する形で展開していくのだが、HPゲージを素早く減らしてやられモーションを発生させるとボスの動きとカメラワークが噛み合わなくなり、場合によってはボスが画面外へ行ってしまう事がある。
画面外にいる間は当然ボスへの撃ち込みができなくなるので、キャンセルゲージが出た直後に画面外へ行ってしまうと非常に厄介で、十分な撃ち込みができずに回避不能攻撃に化けてしまう事も。
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ボス本体があまり大きく動き回らないこともあり、意識しなければ起こしやすいバグ。下記の後期版では改善されたようだが完全ではないようで起きる時は依然起きる模様。
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処理落ちの問題。
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PCベース基板への移行による敵の物量の多さと美麗なグラフィックがウリの本作だが、その影響からか、これまでのシリーズ作ではあまり見られなかった処理落ちが多発。
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特にこのLINDBERGH基板は、当時としては最新ながら高発熱のCPUとしても悪名高かったPentium4を採用しており、しかも外付け電源となっているせいで外部ノイズの影響も与えやすく、結果的に動作が不安定になりやすいなどのトラブルを抱えていた。
さらに、基板にホコリが溜まっている等のメンテナンスが十分に行われていない筐体では「自身の攻撃判定が満足に出ないことがある」等のプレイに支障が出るほどの悪影響が出る事がある。
これは本作に限らずLINDBERGH基板を採用したタイトル全てにも言えることだが。
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上記の連射速度固定の件も相まって、冗長さを更に加速させてしまっている。
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従来作で登場済みだったゾンビを除き、ゾンビの正式名称が完全に非公開になってしまった。
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前作まではゾンビの正式名称や様々な特徴がムックなどでほぼ全て明らかになっていた分、一部で落胆したファンもいた。
総評
前作までの高難易度やプレイ環境の問題点を解消し、やや陰りが見えていたシリーズの復権を果たした作品。
ガンシューティングゲームでもかなり遊びやすい部類に入ることもあり、稼働から10年以上経った現在でもまだまだ現役である事はその人気の証左であろう。
余談
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本作には前期版と後期版の2つのバージョンが存在する。
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違いは、極端な処理落ちやライフや手榴弾を撃っても稀に入手していない事になる不具合の修正、高ランク時のザコ敵の耐久値の低下、一部グラフィックの変更等。
その後の展開
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本作以降にACで稼働したガンシューティングゲームの多くがマシンガンタイプの物を採用している事から、本作はACのガンシューにおけるターニングポイント的位置付けになっていると言えよう。
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本作の直後を描いたスピンオフ作品として、『THE HOUSE OF THE DEAD 4 SPECIAL』(HOD4SP)が存在する。
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東京ジョイポリス等の極一部の超大型アミューズメントセンターにて稼働。
『4』をベースにしているが、迫力のある180度のモニターになっており、敵からダメージを受けるとエアーが噴射されるなど、アトラクション要素が強まっている。
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ステージは2つしかないが、どれも完全オリジナル仕様。ラスボスとしてシリーズ内で高い人気を誇る「マジシャン」がボスキャラとしては『2』以来の再登場を果たし、ファンを喜ばせた。
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しかし、国内最後の稼働店舗だった東京ジョイポリスの筐体については2020年2月2日を以って稼働終了となったため、日本国内に現存する筐体は存在していない。
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一方で現在は「家庭用移植」の項にも後述するが、ゲームシステム及び画面構成が本編寄りにアレンジされてだが、PS3版『4』に条件付き要素として付属する形で配信・移植されてはいる。
家庭用移植
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本作は長らく家庭用へ移植が行われず、ファンからは移植を望む声があがっていたが、AC版稼動から7年後の2012年4月19日に『3』と同時にPS3(PSN限定)にて待望の移植版が配信開始された。
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移植に当たってHD処理が施されている。
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「その後の展開」の項でも紹介した『HOD4SP』も本編のシステムでアレンジされた上で収録。本編を一度クリアすることによりプレイ可能になる。
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コントローラーはPS Moveに対応。ガンアタッチメントを使えばアーケードのガンコンとほぼ同じ感覚でプレイ可能で、ガチャプレイにおける「振る」動作も再現されている。
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ただし、唯一の改悪点として、コントローラーの構造及び検知方式による事情なのか不明だが、リロード手段の一つだった「画面外に向けて行う方法」が出来なくなってしまっている(「振る」動作のみでしかリロードできない)。前者の方法で主にリロードしていた人は要注意。