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スウィートホーム - (2019/10/06 (日) 10:04:56) の編集履歴(バックアップ)


スウィートホーム

【すうぃーとほーむ】

ジャンル ロールプレイングゲーム
対応機種 ファミリーコンピュータ
メディア 2Mbit+64kRAMROMカートリッジ
発売元 カプコン
発売日 1989年12月15日
定価 6,500円(税抜)
判定 良作


概要

1989年1月21日に公開された同名のホラー映画を原作にしたRPG。
悪霊が跋扈する屋敷に閉じ込められた5人のテレビ取材班でパーティを編成し、操作するパーティを切り替えつつ屋敷からの脱出に挑む。

RPGという枠組みの中で原作のホラー映画の世界観を再構築し、独特なシステムによってリアリティある恐怖感を追求した作風が特徴で、『BIOHAZARD?』を始め、後のホラーゲーム全般に影響を与えた。


ストーリー

有名な画家であった故・間宮一郎。
「彼の未公開のフレスコ画が間宮邸内に眠っている」という噂を聞きつけたテレビ局は、
幻のフレスコ画を撮影すべく取材班を編成し、裏寂れた山中にある彼の屋敷に潜入した。
しかし、番組収録を始めた取材班一行の前に、突如、間宮夫人の亡霊が現れ、怒りと共に出口を崩壊させ彼らを閉じ込めてしまう。
取材班一行は間宮邸から脱出するため、悪霊や魑魅魍魎の漂う館の内部へと踏み込んでいく…。

特徴

切り替え式パーティメンバー制
プレイヤーキャラはテレビ局の取材班の5人。
「ディレクター・星野和夫」「プロデューサー・早川秋子」「カメラマン・田口亮」「レポーター・アスカ」「和夫の娘・エミ」となる*1

  • パーティーの定員は3名までとなっており、3人パーティーと2人パーティーを編成して探索するのが基本。
    • 各キャラクターにそれぞれ単独行動を取らせることも可能で、戦闘中を除き「合流・離脱・再編成」が自由に行えるようになっている。
    • 戦闘時に限り「よぶ」コマンドで救援を呼ぶことが可能。一時的に別パーティーに操作が移り、制限時間内に合流できれば、その戦闘に限り5人フルメンバーで戦える。

メンバー固有の特殊能力

  • プレイヤーキャラには明確な特徴が与えられて差別化されている。
    • 具体的には「体力の大小」「後述する『キャラ専用品』」「武器の装備条件」等で、各自の能力や固有アイテムを使い分けながら進んでいく。
  • 1人で持てるアイテムは「キャラ専用品1個」+「通常アイテム2個」+「武器1個」の4枠となっている。
    • キャラ専用品は後述する間宮邸のカラクリを解くのに必要なアイテムの一つで、他のメンバーに渡せない代わりに通常アイテム枠を消費することもない。例えば和夫の「ライター」は通路を封鎖しているロープを焼き切れる。使用回数も無制限。
    • 通常アイテムは間宮邸のカラクリを解くために必要となる品や体力/心の力(後述)を回復する「くすりびん」、メンバーが死んでしまった際に使用する代替品(例…先述の「和夫のライター」には「マッチ」が対応)などが該当する。
      • なお、謎解き用のアイテムは敵への攻撃にも使う事が出来る。全く効かない場合もあるが弱点に刺さると、武器攻撃よりも高いダメージを与える事も出来る。しかもノーコストである。
    • 武器はナイフや剣、槍、斧などで、男性と女性で装備条件が異なる物もある。また、「対生物」と「対霊」2つの攻撃力が設定されているため、敵との相性も多少は考慮して選択する必要がある。
      • ちなみに防具の類は存在しない。防御力は各キャラのステータス値によって固定されており(最高がたぐちで、最低がエミ)、おまけに戦闘中のコマンドに「防御」がないため受けるダメージを軽減することもできない。
    • キャラ専用品以外の通常アイテムは「その場に置いて行く」ことが可能。不要なアイテムを一時的に置いて行ったり、入手したアイテムと入れ替えるなどして、進行に応じて適切にアイテムを取捨選択していかなくてはならない。
  • 一般的なRPGにおける「魔法」は、本作では「心の力」と呼ばれる特殊能力として登場する。*2
    • 心の力にはレベルによって使用量の上限が設定されている。また、映画版では限られた人物しか使えなかったが、ゲーム中ではメンバー全員が普通に使える。

屋敷探索
探索の舞台となる間宮邸だが、中はまさしく「魔窟」と呼ぶにふさわしい状況となっている。
間宮夫人がとある悲劇をきっかけに怨霊と化したため、屋敷内には異形の怪物や悪霊が徘徊するようになり、さらに屋敷の手入れも行き届かなくなったために、至る所が破損している。
そんな間宮邸を脱出するにはプレイヤーキャラの協力が必要不可欠となる。

探索の基本

  • 前述した通り、基本的には3人と2人のパーティーに分かれて進行していくことになる。
    • エリアによっては、単独行動のほうが罠の対処が楽なこともある。というのもボートやトロッコなどの乗り物には人数制限がある他、踏み込むと流されパーティが強制的に解散させられるフロア(流砂・凍結した床など)があるため。
    • 部屋によっては人魂や幽霊が飛び交っていることがあり、捕まると接触したキャラクター1人が別の場所へ連れて行かれてしまう。(ダメージはない)
  • 謎解きの多くは設置されているオブジェクトを調べることで一枚絵に切り替わり、適切なアイテムを使用した上で心の力を使用することでギミックが起動する。
    • 前述の使用量上限のため、レベルが足りないとギミックが起動せず先に進めない。レベル上げがそこまで重要なゲームではないが、ある程度レベルを上げることが必要となる。

有限のリソース

  • このゲームでは武器防具屋・道具屋、宿屋といった施設の類は存在しないため、アイテムの一切を現地調達する必要がある。
    • 1人辺りのアイテム所持数が限られているため、効率よく攻略するためには常に「誰に何を持たせていくか」を考える必要がある。
      • ただし、アイテムは各地に点在しているため、かなり遠くまで取りに行かなくてはならないという状況にはなり難いよう配慮されている。
        また、置かれているアイテムを取る際に手持ちのものを床に置けるので「手持ちがいっぱいで必要なアイテムがあったけど取れない」ということはない。
    • また、本作では体力や心の力は、通常アイテムの「くすりびん」を使わないと回復しないうえに、その個数も有限である。(戦闘中に使うと仲間全員が回復するため、離れた場所の仲間を呼び寄せて戦闘に参加させてから使うことで、節約するというテクニックもある。)
      むやみに使いすぎると底を突き、「詰み」となってしまうのである。
      • 敵を倒しても得られるのは経験値のみで、アイテムやお金を落とすことはない。また、レベルアップ時に体力や心の力が回復することもない。

戦闘

  • 戦闘時、敵は必ず1体で登場する(一部群れで出る敵もいるが群れ全体で1体の扱い)。また、戦闘の行動順は必ず敵がターンの最後に行動となる。
    • 一部のエリアではシンボルエンカウントがある。また、ランダムエンカウントについては「セーブした際に歩数関連のデータ(あと何歩でエンカウントするか)が記録される」ので、リセットによる戦闘回避ができない。
    • こちらからの攻撃としては通常の武器による攻撃・「心の力」による攻撃のほか、敵によっては特定のアイテムを使うことで大ダメージを与えられるケースもある。
    • 戦闘中、メンバーに掴みかかってくる敵もいる。捕まった場合、味方の攻撃ダメージはすべて捕らえられたキャラが負うことになるため危険性が高い。
    • 「心の力」は敵にダメージを与えるのはもちろん、敵に捕まったメンバーを解放するにも使う。
    • 通常攻撃は勿論、色々な状態異常も仕掛けて来る、毒の他にも戦闘から無理矢理遠ざけたり、後から効いて来るもの、など悪質なものが多い。
  • 死亡する、行動不能にするステータス異常や罠にかかる等の要因でキャラ全員が動けなくなるとゲームオーバーとなる。
    • 死亡原因に関わらず、死んだメンバーを蘇生させることは不可能。
    • 「逃げる」コマンドの成功率は高めだが、その入力は個人単位。コマンドが失敗したキャラは取り残されてしまい、やられる危険性が高まる。
    • 状態異常や敵の特殊攻撃も厄介なものが多く、適切に対処しないとさらにやられる危険性が高まる。
  • セーブは何処でも可能(記録数は1つだけ)だが、システム上ゲーム進行が不可能な状態に陥る場合もあり、その対策として「ぎぶあっぷ」というコマンドが用意されている。
    • ギブアップの次の選択で「あきらめない」でセーブした所からやりなおし、「あきらめる」でデータを消去して最初からやりなおしができる。
  • 生存人数によって内容が変わるマルチエンディングを採用。

ポルターガイストイベント

  • 探索中に突然ポルターガイスト現象が発生し主人公たちを襲う。
    • この際は画面が1枚絵に切り替わり、制限時間内に表示される複数の選択肢からいずれかの行動を選んで回避しなくてはならない。
    • 回避に成功した場合は何事もなくやりすごせるが、失敗した場合はプレイヤーキャラがダメージを受ける。

評価点

  • 通常のRPGに留まらないユニークかつシビアな作風で構築されたホラー世界。
    • アイテムやキャラクター毎の能力の違いや、徹底したリソース管理が求められるシビアな作風にホラーテイストを加味することで独特な緊張感や恐怖感を作り出している。
  • RPGにリアルタイム要素が複合
    • 迫りくる敵は勿論、ダメージ地帯ではコンスタントにHPが減っていくなどチンタラしてられない。またチームが危機に瀕したとき別チームが駆けつけるというのも本作独自の仕様と言える。
    • ただのRPGではなく高度なプログラミング技術を持ち合わせていると思われる。
  • 「フレスコ画」「通路を塞ぐ赤黒く光る熱い影」や「青白い稲光で封印された通路」といった、原作映画にあった演出がフィールド上の仕掛けやイベントシ-ンでの演出として上手く取り入れられている。
  • 凝った恐怖演出。
    • ドアの鍵を開けた際に、主観視点でドアが開くアニメーションが挿入される。
    • 「ギー・・・」という独特な音色のSEもあって恐怖を煽られる演出である。
    • さらに部屋によっては「人魂が館の中を飛び回る」「音を立てて歩き回る西洋鎧(シンボルエンカウント)」「雷鳴が轟く」といった凝ったギミックもあり、SEも合わさって緊張感・恐怖感がより一層増している。
    • メンバーが死亡するとその様が克明なドットアニメで描写される。しかも死んだキャラが死体となってその場に残る。
  • ドットグラフィックの書き込みレベルは当時にしてはかなり高い。
    • マップ画面も、真上視点ではあるが上下左右四方の壁が見えるように作られた室内グラフィックや高低差の概念を導入し、立体的な構成のダンジョンを表現している。
    • モンスターグラフィックもリアルに描き込まれており、恐怖感を醸し出している。更にアニメーション処理が施されているモンスターもおり恐怖が倍増する。
    • アイテムにはアイコンまで用意されている。
  • BGMも非常に質が高く、FCの内蔵音源ながら場面場面に合った楽曲で効果的にホラー的な雰囲気を盛り上げている。
    • 序盤の導入は数十秒に及ぶ。まず最初は重厚かつ厳かに始まり次第に激しさを増していき締めはフェードアウト。この流れはまさに映画。
  • 舞台は基本的に広大な屋敷内であるが、雷鳴の轟く屋外、湖など野外ステージも用意されており飽きさせない、屋外から脱出経路を期待したプレーヤーは試行錯誤の末に不可能だと思い知るようになっている。

賛否両論点

  • 死者が出るほどゲーム進行が厳しくなるゲームバランス。
    • 死亡したキャラの専用品はあきこ専用の「くすりばこ」を除いて使用不可能*3になり、代替アイテムによってアイテム欄が圧迫され、戦闘や罠に引っかかった味方を救援するのもキツくなってしまう。
      • 無論、そうならないよう計画的にプレイすることこそが本作のゲーム性の肝ではあるのだが、仕様上難易度は高めであり、計画性が要求されるゲームが不得手なプレイヤーには厳しい。*4
      • 死亡したキャラの所持していた武器や通常アイテムは回収できる。「キーアイテムを持ったキャラが死亡したので詰み」とはならない。
      • 立ち入るだけで操作不能になる罠もあり早く助けないと命を落とすようなものまである、それで死亡したキャラも、遺体は安全地帯に戻される。
  • 原作改変
    • ストーリーに大幅な改変が加わっており、結果、不自然な点・矛盾点が生まれてしまっている。
    • これらの原作改変は、元から原作付きゲームであり、RPGというジャンルの枠組みの中で原作映画をゲームとして再現しようとした結果であることは確かだが、不自然さはやはり目に付く。
+ 相違点について
  • 映画版
    • フレスコ画家である夫・一郎と共に幸せに暮らしていた間宮夫人だったが、生まれて間もない我が子を手違いで焼却炉で死なせたショックで精神を病み、近所の子供をさらっては焼き殺すという凶行を繰り返した末、自殺。間宮一郎の死後、住む者がいなくなった屋敷は閉鎖されて立ち入り禁止となり、鍵は厳重に管理されていた。
      しかし役所の上役は恐ろしい出来事が起きるという噂が流れていることを知りつつ、許可を求めてきた和夫一行に鍵を渡してしまう。
    • そして、取材班の一人である田口が何も知らないままうかつにも供養塔を蹴り倒した結果、間宮夫人が悪霊と化して復活し、本編への惨劇に繋がる。
  • ゲーム版
    • 導入部は原作と同様だが、細かい部分で相違点がある。
    • ストーリー上の目的が違う。
      • ゲームでは館からの脱出だが、原作では幼少時に母親を亡くすという境遇ゆえに子供を亡くした間宮夫人とひきつけあい、さらわれてしまったエミを救うことである。
    • 館からの脱出がメインであり、原作で見られた仲間内での人間模様は特に描かれていない
    • 和夫一行が踏み入れた時点で間宮夫人が既に蘇っている。「何者かが子供の墓を荒した」ことが原因とされており、和夫一行が原因ではない。
    • 和夫一行とは別に、先に屋敷に進入した先行者たちが何人もおり、彼らは後から来た者達にメモを残していたり、霊になった後も助言をしてくれたり、ある者とは共闘するという場面も出て来る。
    • 悪霊や妖怪といった怪物が跋扈しており「間宮夫人が召喚した悪霊」や「犠牲者の成れの果て」という設定になっている
    • 原作には存在しない執事や使用人が存在している。
    • 屋敷が非常に広く、原作内には存在しなかった湖を船で渡っていくダンジョンなども存在する
    • 屋敷の中にも転がる岩、スリップする地形、流砂などのトラップが多い。

「転がってくる岩やトロッコや流砂エリア等、『屋敷内』という設定にはそぐわない仕掛けが点在する」「屋敷内を徘徊する怪物は間宮夫人が召喚した」などの原作離れした設定が多く、ゲームとして成立させるためという事を考慮しても不自然に感じられる点が多い。
「先行者って不法侵入者なんじゃ?」「使用人たちはどうやって今まで生き延びてきたのか?」といったツッコミどころも含め、「原作の雰囲気を壊している」という意見も多い。

  • エンディング関連
    • 実は全員生存EDが一番後味が悪い。また、2人生存と3人生存がほぼ同じED。
+ 以下、エンディング詳細ネタバレ注意

取材班一向は間宮邸の探索を進めていくうちに、間宮一郎の残したフレスコ画に隠されたメッセージ、自分たちより先に屋敷に潜入して閉じ込められた人達の書置き、手助けをしてくれた山村と名乗る老人の話などから、屋敷を覆いつくす惨状の元凶が間宮夫妻の子供の死亡事故を発端とする悲劇であること、間宮夫人の魂を鎮めない限り脱出は不可能だという事を知る。
山村と先行者達の死を乗り越え、ついに一行は間宮夫人の魂を鎮める事に成功。生き残った者は崩れゆく屋敷から脱出する…。

  • 全員(5人)生存
    • 間宮の屋敷内の写真を持ち帰り、元々の目的も成功させた取材班は他のマスコミからもインタビューを受けるほどの注目を受けていた。
      その傍らで写真を眺めている男に視点が切り替わった直後、エンカウント時に流れる不気味なSEと共にこちらを振り返る。その顔は、右半分が白骨化していた……。
    • なんとも後味の悪い締め方だが、恐らく「後味の悪さを余韻にして終わらせる」という、ホラー映画のお約束的な演出だと思われる。
    • ちなみにこのグラフィックは中盤まで登場する雑魚敵の使い回しである。
  • 4人生存
    • 屋敷全体が見えるほど離れた所から、崩れた屋敷より天へ上がっていく魂を目撃する。それを見送りながら、生き残ったメンバーの一人がこう呟いた。「皆一緒に逃げ出せれば良かったのにね…」と。
  • 2~3人生存
    • 悪夢が終わり、生存者たちのその後を示唆するメッセージが流れ、生存者と死者の数が表示された後、死者の数だけ人魂が黒い画面内を横切っていく。
  • 1人生存
    • ただ一人生き残った者が間宮夫人とその子供、犠牲となった全ての人々の冥福を祈り、二度と惨劇が起こらぬことを願って屋敷の跡地に供養塔を建てる。
+ ゲームバランスについて
  • レベル上げ
    • こころの力で発動させる仕掛けが用意されているのだが、レベルが一定に達していないと対処できないので、経験値稼ぎが必要になる。
      • 稼ぐ量も結構要るので数分かかる事はザラ。敵の名前もちゃんと出るので・・・を狩ると楽だという事になると恐怖から作業感になっていってしまう。ホラーゲームという観点からもあえて戦闘に挑むというののも少々不自然。
  • 終盤では序盤の敵は全くもって脅威ではなくなるどころか、呼ぶコマンド、くすりびんを使うなど便利な扱いに。
  • 5人とも能力が差別化されているとあるが、それは固有アイテムと装備可能な武器であり、ウェイトは経験値が殆どを占めるため、大人だから強い、子供だから弱いという実感はない。
    • 遊ばせていたキャラは後れを取ってしまい終盤では戦力として使い物にならない。とはいえ、タイムアタックでは少ない人数で進行した方が色々と効率的という選択肢もある。
  • エンカウント
    • かけつけている際に固定敵に捕まると強制的に時間切れ。今の戦闘には参加できなくなり、次はそのチームが固定敵との戦闘に入る事になる。固定敵からは逃げられない。
    • 序盤の敵と遭遇して呼ぶを実行→呼ばれた仲間はエンカウントしないので終盤の場所にも安全に進める事が出来てしまう。
    • 固定敵はいるがボス戦は基本的にない。本格的な戦闘は終盤の話。
  • セーブ仕様
    • いつでもどこでもセーブ可能、しかも回数制限もなし。
    • 状況が悪くなってもロードすれば良いという逃げ道があるので緊張感に欠ける。
      • ただし、わずかなミスの積み重ねが命取りになるというゲームでもあるので気が付いたら詰んでたという事もある。
  • 5人で移動する事が出来ない
    • どうしても2チーム(3人と2人)に分かれる仕様になる。
      • 移動する際は追従して来るわけでもないので目的地に向かうには2チーム分の操作する手間がかかる。
    • 戦闘面では、呼ぶコマンドでかけつけた際もそのターンは行動出来ないので手数を損する。
      • 時間内に来れなかった際は次のターンに持ち越しだが、呼ぶコマンドを再度選択しなくてはいけない。
      • ただし、敵は必ず1体のみかつ行動も一番最後、という仕様を考慮するとフィフティフィフティと言える。

問題点

  • 一部のアイテム名が文字数制限6文字以内に収められず、中途半端になっている。
    • 「ボロボロのい(た)」「じょうぶない(た)」など。
  • アイテムの位置
    • 一度アイテムを取って空白にした場所に再び置く事は出来ない。例えば、序盤の暖炉近くのテーブルにアイテムをまとめておきたい場合、空白にしないように交換コマンドを効果的に使う必要がある。
      • 本作は最大所持数も少ない上に、アイテムボックスなどもないので辛いところである。
  • プログラムミスにより、魔よけの斧を装備しても状態異常を防いでくれない。
  • メニューを開いても、現在の経験値は非表示で分かり辛い。
  • 敵を倒した後も表示されたまま、アニメーションが止まる事もない。
  • 前述にあるがデータを消す(最初からプレイしたくなった場合)際はコマンド「ギブアップ」→「あきらめる」を実行する必要があるが、そのコマンドを実行出来なくなる状態寸前でセーブしてしまうとゲームプレイ自体が「詰み」になる*5。そうなったら、カセットの引き抜きなどで無理やりにでもデータを破壊するしかなくなる。
    • タイトル画面もニューゲーム、ロードという項目はなく、ただ再開するだけなのでメニューを開く事すら出来ない状態になると八方塞がりである。
  • 一部イベントにおいて、キャラクターの配置次第でプレイ続行が不可能になる。
    • 例えば、湖では重要アイテムを持ってボートに乗ったキャラを丸太で閉じ込める事が出来てしまったりする。意図的にやらない限りはそうならないが面白半分でうっかりセーブをすると取り返しが付かなくなる。余談だが、湖には丸太が何本か必須で当時は普通だったが、最近ではホラー漫画の「みんな丸太は持ったな」というセリフがネタにされるようになった。

総評

RPGという枠組みの中で可能な限り原作再現とホラー要素を追求し、そこに他に類を見ない独自のシステムを加えることで、ホラーゲームとして、RPG作品としても非常に完成度の高い作品となった。
原作映画が権利問題を抱えている*6こともあり、リメイクやVC配信が限りなく不可能に近くプレイするハードルが高いことが悔やまれる。


余談

  • カプコンは本作を開発した後、本作の作風やゲーム性を土台として『BIOHAZARD?』を制作した。
    • 本作同様、シビアなリソースの管理、高い難易度、恐怖演出が大きな特徴となっており、本作の開発チームのメンバーが一部、携わっている。
      • biohazard 0?』では「床にアイテムを置いて手持ちのアイテムと入れ替える」「操作キャラを切り替えて謎解きする」という要素が取り入れられており、本作のゲーム性により近い作風となっている。
  • 山村の正体について。
    • 彼の正体については肝心の原作でも謎のままだが、ゲーム版ではEDにおける執事のセリフに間宮家に非常に近しい存在であるらしいことを示唆する内容が含まれているため、「一郎ではないか」「夫人の血縁者」「惨劇の元凶たる墓を荒らした人物では」など、さまざまな憶測がなされている。
  • 本作は業界のみならずアマチュアの分野にも影響を与えている。
    • 中でもPC向け同人ゲームが初出として知られる『コープスパーティー』は、本作の作風を手本として作られている。
  • 映画版で間宮夫人を演じた女優・渡辺まちこがmixiにおけるゲーム版のコミュニティに降臨している。
    • 自分の演じた間宮夫人の名を冠したコミュニティの管理人を務め、映画版やゲーム版のファンに対して活発にコンタクトを取るなど、ファンとの交流に熱心である。
  • 双葉社よりファミコン冒険ゲームブックとして『スウィートホーム 魔性の棲む館』が発売されていた。こちらは映画版準拠のストーリーにゲーム版の要素を取り入れた形になっている。
  • 本作は最初AVGとして製作される予定だったが、映画版の監督で本作の制作にもかかわった黒沢清監督より『AVGでは謎が解けない限りゲームが進行せずプレイヤーが退屈してしまう』との提案を受けたことでRPGに変更された。