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スパイvsスパイ - (2023/01/13 (金) 16:27:57) の編集履歴(バックアップ)
スパイvsスパイ
【すぱいあんどすぱい】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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発売・開発元
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ケムコ(コトブキシステム)
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発売日
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1986年4月26日
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定価
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4,900円
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プレイ人数
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1~2人
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判定
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良作
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概要
広大な屋敷を舞台としたスパイ同士の情報争奪戦をテーマにした対戦型アクションゲーム。
アメコミ原作のカートゥーンアニメ「SPY vs SPY」を元にした海外キャラゲーのローカライズ移植作である。
ローカライズは海外製ゲームの移植に定評のあるケムコが担当した。
対戦に特化したゲームであり、お互いに罠を仕掛けつつ相手の罠を回避し、アイテムを回収し時には奪い、すべてのターゲットを集めて脱出できた方が勝者となる。
システム
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2名のスパイ(白いヘッケルと黒いジャッケル)が同じ屋敷内の別々の地点からスタートする。二人に能力差は存在しない。
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画面は上下に分割されており、一方がヘッケル、もう一方がジャッケルの居る部屋を映している。
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お互いが鉢合わせると、後から部屋に入ってきた方が相手側の画面内へ移行して戦闘モードに突入する。
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スパイ同士が鉢合わせすると戦闘モードに移行する。
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パンチで攻撃し相手のライフ(POWER)を減らして0にすれば死亡させられる。
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一定時間後に復活するまで操作が一切できなくなる上に、自分の制限時間(活動可能時間)が30秒減らされ、アイテムを持っていた場合は(ナイフ・警棒を除いた)ほぼすべてが初期配置に戻されてしまう。
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ナイフや警棒を持っていた場合はパンチの替わりに武器攻撃になる。ナイフは警捧より攻撃力が若干高く、警捧はナイフよりリーチが若干長い。
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前もって先にナイフと警棒を両方とも回収しておくと、相手は武器を使用できなくなり、あらかじめ優位に立てる。
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なお戦闘モードといえど、決着がつくまで部屋から逃げられなくなることはない。時には背を向けて逃げ出すことも重要。
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先述の通り、制限時間内に、屋敷に隠されたアイテム「設計図」・「パスポート」・「鍵」・「ドル袋」を全て入手し、出口から脱出する事が最大の目的。何度相手を殺そうと勝利にはならないのである。なおアイテムを全て入手せずに出口から脱出しようとしても蹴っ飛ばされてしまう。
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なお初期状態だとアイテムはいずれか1つしか持てないので、4つのアイテムを同時に持ち運び可能になる「カバン」こそをまず見つけなければならない。
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カバンは部屋にある棚などに一時的に隠す事ができる。
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それ以外にも、攻撃力が上昇する「ナイフ」・「棒」や、『罠』を解除できる「やっとこ」・「傘」等が隠されている。
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「ナイフ」と「棒」は入手すると自動的に装備されるが、「やっとこ」や「傘」はかさばるためか一つしか携帯できず、「カバン」にも入れられない。
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罠解除用のアイテムに限り、同じ場所からまた入手できる。
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屋敷が広大であるため、ゲーム中にマップを見ることもできる(マップを呼び出した側の画面にだけマップが表示される)。
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さらに屋敷内には『罠』を仕掛けられる。その際は親切にも特徴的なSEが鳴り、相手プレイヤーに気付かせてしまうが、同時に「何かやりやがったな」とプレッシャーを与えられる。
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罠の種類は全部で4つ。効果は死亡させるという強力なものになっている。
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【スプリング】
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家具に設置でき、調べた瞬間にそのキャラを壁やドアに当たるまで吹っ飛ばしてしまう。背後がドアで開いていた場合、数部屋に渡って飛ばされる。
白い工具入れからペンチ(やっとこ)を持って来ることで解除可能。
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【ダイナマイト】
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家具に設置でき、調べた瞬間に爆発する。
赤い防火用具入れから白いバケツを持ってくることで解除可能。
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【バケツ】
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ドアに設置でき、調べた瞬間に中身の硫酸を浴びせる。
傘立てから傘を持ってくることで回避可能。
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【時限爆弾】
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室内全体に設置でき、どちらかが侵入すると即座にカウントダウンを開始、2秒程度で爆発。
カウントダウン発動時にキャラの顔が真っ青になるので、素早く部屋を出ることで回避可能。
なお、この罠のみ選んだレベルによっては最初から設置されている部屋がある。
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ゲーム開始前には、メニュー画面で難易度やアイテム・一部の罠について設定ができる。制限時間はステージによって異なる。
評価点
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プレイヤーごとの戦略性が試されるゲーム性
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とにかくがむしゃらにアイテムを集め回ってもいいが、相手の現在位置を注視・把握し、その上での立ち回りを考えると途端にゲームが奥深くなる。
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なにしろ、画面が上下に分割されている都合上、見ようと思えばいつでも相手の行動を確認できるのだ。ここにもまた、さながら隠しカメラで相手の出方を伺うスパイ的な楽しさがある。
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そして本作最大のキモである『罠』を使った攻防が熱い。
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罠はなんと無尽蔵に仕掛ける事ができる。ただし、カバンや罠解除アイテムを所持中は併用できないので、上手くバランスもとられている。
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これらの罠はすべて、どちらが仕掛けたものであろうがお構いなしに起動する。自分が仕掛けた罠であろうと覚えておかなくてはならない。
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相手画面を盗み見て仕掛けた罠を覚えておく事で、効率良く罠を無効化する事が可能。
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『罠』ごとに死亡の演出が異なり、ブラックかつコミカルな描写で凝っている。相手を見事罠にはめた時の快感は本作ならではのもの。
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BGMはタイトル画面とプレイ中の2種類しかないが、どこか哀愁漂うもの悲しい曲調のBGMが印象深い。
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階段の登り・降りで、効果音を分けるなど芸が細かい。
賛否両論点
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相手がどこに罠を仕掛けたのかなど、よく見ていれば全て完璧に分かってしまうので緊張感が削がれてしまう。
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よほどの上級プレイヤーでない限り、相手画面を注視していると自分のほうのプレイが疎かになるであろうから、その点ではバランスがとれている。
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相手が死亡した隙に、相手の復活ポイント周辺の部屋に4重5重に罠を仕掛けるともはや回避できない状況が生まれ、相手にとって圧倒的に不利な状況を作り出せてしまう。
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罠によっては、ハメ技も存在する。
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そもそも死ななければ良いだけの話ではあるが、相手プレイヤーの意地の悪さがよく実感でき、日頃の友情にヒビが入ってしまうかもしれない。
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なお、スタッフも復活ポイント部屋周囲の罠ハメ問題には気が付いており、特にアイテムなしでは回避不可の硫酸バケツ対策で必ず白黒双方とも復活ポイントの部屋には傘立てが置かれている。
問題点
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一人で遊ぶ場合はCPUとプレイするのだが、AIが馬鹿なので張り合いがない。
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どれほど馬鹿かと言うと、自分で罠を仕掛けて隣の部屋に移った直後になぜか元の部屋に戻り自分でしかけた罠に自分で引っかかって自滅してしまう程。
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隠されたアイテムの場所は常に同じであるため、位置を覚えてしまうと毎回同じ展開になりがち。
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さらに、初期配置地点も面によって決まっているため、お互いがこのゲームを知り尽くしていると、武器から遠い位置のプレイヤー側が露骨に不利になる面が多い(先にナイフを回収できる方が殴り合いで圧倒的に有利なため)。
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他の機種と比べ罠が一つ少ない。
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FC版以外では、ドアに設置するワイヤー仕掛けの【ピストル】(ワイヤーカッターで解除可能)というトラップが存在する。
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長くプレイしていると、罠を使い分けるのが面倒になり、全部屋に時限爆弾をしかけがちになる。
総評
ゲーム性は意外と単純ながらもその駆け引きは熱い。広大なステージを使い罠を扱った対戦ゲームという点において、今日でも特異な存在ですらある。
親しい対戦相手がいれば大いに盛り上がるゲームであるが、相手への嫌がらせはほどほどにしお互い楽しくプレイしたい。
余談
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原作であるアメコミは元々社会風刺を扱った作品。
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原作者はキューバ人の「アントニオ・プロフィアス」。カストロ及び共産主義者を批判する風刺漫画を新聞に発表したために、カストロの不興を買い人々からも非難や脅迫を受け、1960年5月にアメリカへ亡命。
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そしてその経験から生まれたのが、カストロ政権とCIAに関するパロディーとブラックユーモアあふれる原作サイレント漫画「SPY VS SPY」なのである。
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Atari 8ビット・コンピュータでオリジナルが発売された後、コモドール64、アップルII、Amiga、Atari STなどの主要なホビーパソコンに移植されている。
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日本国内に限れば、さらにセガ・マークIII以外にPC-88やX1などでも移植さているが、日本でもっともメジャーなのは本作FC版であろう。
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また、本作の移植版は1999年にゲームボーイカラー版も発売されている。
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FC版は白スパイが「ヘッケル」、黒スパイは「ジャッケル」という独自の名前がつけられているが、これは別のカートゥーンアニメ「ヘッケルとジャッケル」から名前だけ引用したものと思われる。
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ほかにも「ヘッケルはケムコの、ジャッケルはトムコの産業スパイで、狙うブツはゲーム界の総元締め『ジンテンドウ』が開発した新型ディスクシステムの設計図」という危ないオリジナルストーリーがつけられている。
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南国を舞台とした続編『SPY vs SPY :Island Caper』が国外でリリースされ、本作と同じくケムコのローカライズにより『南国指令!!スパイvsスパイ』のタイトルでファミコン版が発売された。
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南の島のどこかに埋められた三つのミサイルの破片を集めて脱出するのが目的である。
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その後、1992年にゲームボーイにて『とらっぱーず天国 SPY VS SPY』と改題されて発売された。内容自体はベタ移植ではなく若干のアレンジが加えられている。
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さらに、海外で南極を舞台にした続編『Spy vs. Spy: Arctic Antics』が発売されたが、こちらは日本未発売となっている。
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通信環境の整ったこの時代なら、より冴える対戦ゲームになると思うのだが、残念ながら1999年のGBC版発売以降、移植・リメイクはなされていない。
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一方、海外では2005年にPS2とXboxで新作がリリースされたものの、旧作ファンからすると「コレジャナイ」感じの3D視点バトルになっている。
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このゲームの製作者は後に『POSTAL』の制作に関わっている。