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F-ZERO - (2019/12/26 (木) 11:22:09) の編集履歴(バックアップ)


F-ZERO

【えふぜろ】

ジャンル レース
高解像度で見る 裏を見る
対応機種 スーパーファミコン
発売・開発元 任天堂
発売日 1990年11月21日
定価 6,800円 (税別)
プレイ人数 1人
セーブデータ 1個(バッテリーバックアップ)
レーティング CERO:A(全年齢対象)
※バーチャルコンソール版より付加
配信 バーチャルコンソール
【Wii】2006年12月2日/800Wiiポイント(税5%込)
【WiiU】2013年4月27日/800円(税5%込)
【New3DS】2016年3月4日/823円(税8%込)
判定 良作
ポイント 圧倒的なスピード感が特徴のレーシングゲーム
F-ZEROシリーズリンク


概要

スーパーマリオワールド』と共にSFCローンチタイトルの一つ。
圧倒的なスピード感が特徴のレーシングゲーム。


ストーリー

人類が宇宙に広がり、さまざまな異星人とのコンタクトをくり返していた西暦2560年代。
最先端の超磁力技術を駆使したマシンを用い、宇宙規模のレースが開催される。
かつて地球上で開催されていた「F-1レース」になぞらえ、人々はこのレースのことを「F-ZERO」と呼んだ……
(VCサイトより転載)


操作方法

Aボタン S-JET使用
Bボタン アクセル
Y(X)ボタン ブレーキ
L(R)ボタン 左右平行移動、ドリフト
十字ボタン左右 左右への移動、カーブ時の旋回
十字ボタン上 ジャンプ時に飛距離を抑える
十字ボタン下 ジャンプ時に飛距離を伸ばし、着地時の衝撃緩和

特徴

  • 主なゲームモード
    • メインとなる「グランプリ」と「プラクティス」のみ
  • グランプリ
    • 3つのリーグと3+1の難易度から選択する。プレイヤーが選択しなかったメインの3機を含む20台以上が走行し、5周で競う。
  • プラクティス
    • グランプリ使用コースのうち7コースが登場。敵車が無い状態でタイムアタックすることができる。
  • 選べるマシンは全部で4種類。なお、取扱説明書で紹介されている搭乗パイロットはそれぞれのマシンに搭乗するが、ゲーム中では一切登場しない。
    • ブルーファルコン
      • 主人公的な位置づけのキャプテン・ファルコンが駆る青い機体。加速度・最高速度など平均した力を持つバランスタイプ。
      • 説明書に「初心者でも少しの練習である程度使いこなせるようになるだろう」とある通り、初心者向けの面もあるが、グリップが若干弱く、意外にも耐久力はさほど高くない。また敵の体当たりにはゴールデンフォックス並みに弱いという上級者向けの一面も併せ持つ。F-ZEROマシン独特のドライビングセンスを身に付ける事がそのままレース結果に繋がりやすい性能はまさに主人公機と言える。
    • ゴールデンフォックス
      • 元医者のパイロットであるドクター・スチュワートが駆る金色の機体。機体が軽いため衝撃に弱く、最高速度も最低。しかし加速度は他機種を突き放すものを持っており、プレイヤーの腕が問われる非常にピーキーな性能である。
      • グランプリでのライバルマシンは、スタート時以外加速度や最高速度がほぼ全機種同じで、尚且つ常に自機の後方は一定距離以上離れない仕様であるため、高難易度になるほど使い勝手が逆行する難点がある。ステージギミックやS-JETとの相性の悪さもあって、まさにドライバーのようにコースや特性を完全に熟知した真の上級者向けのマシンと言える。
    • ワイルドグース
      • 元軍人で好戦的な亜人のピコの駆る緑色の機体。素晴らしい耐久力及び耐衝突性能を持つ反面、車体が滑りやすく、加速度は3位、最高速度も僅差で2位とクセの強い機体で、「硬いだけ」のレッテルを貼られやすい不遇のマシン。
      • 一見すると初心者向けの性能と思われがちだが、いざ初心者が扱うと走行関連の中途半端な性能に心を折られる事になる。実際にはゲームに慣れてきた中級者以上で特性を発揮でき、高難易度ほど異常に増える「周回遅れのお邪魔マシン」をほぼノーリスクで跳ね除けたり、(ゲーム的には意味はないが)レース順位をコントロールしたりといった事が容易になる、職人向けのマシンである。
    • ファイヤースティングレイ
      • ファルコンのライバルであるサムライ・ゴローの駆る赤い(ピンク色)機体。加速度は最低だが素晴らしい最高速度を誇る。重量があるためコーナリングで横滑りしにくく、S-JETなどの加速ギミックが多い本作において最もその恩恵を強く受けられるため、本作での評価は非常に強い。
      • 特に安定性の高さはそのまま初心者でも使いやすい。耐久度もそこそこ持っているため、ある程度までは他マシンの妨害にも耐え得る。
  • 取扱説明書に掲載されたミニコミック
    • ゲーム内では語られることのないパイロットの描写がある。アメリカンコミック風になっていて、世界観の表現の一端となっている。続編等は無い。
  • グランプリとコース
  • グランプリにはナイト、クイーン、キングの3つのリーグがあり、それぞれ特徴的でバラエティに富んだ5つのコースを走る。開始前にビギナー、スタンダード、エキスパートの3つの難易度が選べ、エキスパートをクリアしたリーグでのみ最高難易度のマスターを選択出来る。
+ 各リーグとコース紹介
+ ナイトリーグ
  • MUTE CITY I
    • このゲームシリーズを代表するコース。減速ゾーン、ヘアピン、ジャンププレートと基本的な要素を揃え、初心者にもやさしいコース設定。
  • BIG BLUE
    • 広い海をバックに流れる軽快な曲が人気のコース。全体的にコーナーがゆるやかで難易度もそれほど高くないが、最終コーナーがスリップゾーンになっているのが特徴。
  • SAND OCEAN
    • ヘアピンコーナーやコース幅が狭い所が多い砂漠上のコース。ここまで順当にドライブしてきた初心者の壁になりやすい。
  • DEATH WIND I
    • オーバルコースで簡単そうに見えるが、常に強い横風が吹いていてマシンの制御が難しく、コースの幅も狭いため他車との競り合いに注意する必要がある。
    • 順番上では最初にダッシュプレートが設置されているコースであり、これに乗ってかっ飛ばす快感を覚えたプレイヤーは多いだろう。
    • このコースはピットがバックストレートの出口を埋めており、必ず通ることになる。
  • SILENCE
    • コースの大半が直線と直角コーナーで構成されている特徴的な形状。スタート直後に分岐があり、遠回りの安全なルートと規則的に地雷が設置されている近道がある。CPUはほぼ遠回りするため、慣れてしまえば順位を上げやすい。
+ クイーンリーグ
  • MUTE CITY II
    • 基本はIと同じだがロータリー形状の分岐があり、左右どちらかを選んで進む。合流直後のS字にはジャンププレートが設置されている。
  • PORT TOWN I
    • 初めて地形が連続しない、谷をジャンプするコース。谷を越えた後には壁際にマグネットが初登場する。
  • RED CANYON I
    • スタート直後の急カーブやバックストレートの連続ジャンプなど、緩急の付いた構成。体勢を崩すと致命的なミスにつながる。
  • WHITE LAND I
    • その名の通り白を基調とした美しいコースだが、スタート直後と後半の2か所にあるスリップヘアピンや制御の難しいダート絡みの連続ジャンプなど難易度が高いコース。
  • WHITE LAND II
    • 直前の「I」のアレンジだが、他の「IIコース」と違い大幅に様相が変わっている。BGMもWHITE LAND Iとは異なったアレンジ*1
    • このコースの終盤にはこのゲーム最大の谷があり、大ジャンプを要求される。しかし、谷のすぐ手前にコーナーがあるため、ここで減速しすぎるとジャンプが届かなくなってしまう事もある。2周目以降ならS-JETを使えるが、1周目では特に注意が必要。
+ キングリーグ
  • MUTE CITY III
    • 直角コーナーの後の分岐部分がスラロームに置き換わっており、その後のS字には地雷が設置されている。減速ゾーンを突っ切ろうとしても地雷を確実には避けられない。
  • DEATH WIND II
    • 強風が吹いているのは同じだが、さすがにオーバルコースではなくなりバックストレートの入り口から別コースに入り、ピット直前に元コースに合流する形になっている。
    • こちらのコースにもダッシュプレートはあるが、ダッシュ直後からタイトなコーナーが続くうえにコース幅も狭いため、使いどころは検討が必要。
  • PORT TOWN II
    • 最終コーナーの手前からが変更地帯で、コースの幅が狭く連続ヘアピンが置かれており難易度は高い。最後の直線にも仕掛けがある。
  • RED CANYON II
    • 連続ジャンプまでは同じだが、その後から地雷の設置されたストレートを通ることになる。
    • ただし地雷ストレート直前左側にジャンプ台があり、そこからまっすぐに飛ぶとコース外にさらに矢印ジャンプ台があり、地雷をパスしてショートカットができる。
  • FIRE FIELD
    • 大トリを飾るにふさわしい、高難易度の最長コース。地雷、連続ヘアピン、スリップゾーン、マグネット、分岐とこのゲームの粋を尽くしたコース構成。しかも最後の分岐で遠回りをしなければピットゾーンに入れない(ピットゾーンの出口にはダッシュプレートがあるのだが、それでもロスが大きい)と、容赦ない。
    • このため全速走行がほぼできなくなっており、相当なハンドルテクニックが要求される。
    • 問題点にもあるが、このコースはプラクティス走行が不可能のため、練習もし難い。
  • ステージギミック
    • ジャンプ台
      • マシンが飛び上がり、飛んでいる間だけ若干速度も上がる。これで谷を飛び越えなければならないコースもある。コースによっては大きくショートカットも可能だが、あまり大きくショートカットをするとオフィシャルカーによって規定の地点まで戻されてしまう。ただし、タイムアタックにおいては乗らずに脇を通り抜けた方が速い事も多い。
  • ガードビーム
    • 殆どの場合でコースの両端に設置されているコース壁で、触れるとシールドと速度が減る。しかし故意にぶつかってコーナーをクリアするテクニックもある。一部のコースではぶつかっても弾かれずに走り抜けられて、ショートカットが可能な場所もある。
  • 強制マグネット
    • 線状に設置されたビームで、マグネットがある方向にマシンを引き寄せ、触れるとダメージを受ける上に大きく減速する。ジャンプ台の直後に設置されており、ジャンプしたマシンを下に引きずり落としてしまう下方向強制マグネットもある。
  • 地雷
    • 踏むと爆発してマシンが弾かれ、大ダメージを受ける。踏んだ地雷は復活しない。避けるのが基本だがわざと踏んで、以降の周回で通りやすいルートを確保するやり方もある。
  • 減速ゾーン
    • 通るとマシンが減速してしまう。場所によってはS-JETで突っ切れるところもあるが、S-JETを使っても減速してしまう所もある。
  • ダッシュプレート
    • 踏むとマシン速度が最高速を超えたあるところまで一旦上がり、徐々に減速してくる。この時はデスウインドの強風の影響も受けなくなる。最高速を超えて走行している時間はマシンによって差があり、ファイヤースティングレイが最も長く持続し、ゴールデンフォックスが最も短い。
  • 磁場遮断コーティングゾーン(スリップゾーン)
    • この上のマシンはスリップしやすくなってしまうゾーン。マシンとコースをつなぐ磁力が遮断され、惰性で動いている状態になるという設定。
  • ピットゾーン
    • スタート直後に配置されていることが多く、ここに乗っている間はオフィシャルカーから補給が受けられパワーゲージを回復出来る。
  • この他にもグランプリでは障害物として、非常にスピードの遅いマシンが多数登場する。そのうち赤く点滅しているマシンに触れると爆発し、大きな減速とダメージ、さらにはコースアウトの危険も含んでいる。
  • グランプリにはナイト、クイーン、キングの3つのリーグそれぞれにビギナー、スタンダード、エキスパートの3つの難易度があり、最高難易度のマスターは、エキスパートをクリアしたリーグでのみプレイ出来る。

評価点

  • なんといっても特筆すべきはそのスピード感である。SFCの持つ背景面の回転・拡大縮小機能をフルに使い、時速400kmオーバーのスピード感がリアルに表現されていて、SFCの性能を衝撃的に見せ付けた。
    • これにより、従来の表現方法では表現が困難なヘアピンカーブ、果ては画面写真のような”逆走”も表現できるようになった。*2
  • コーナーのライン取りやロケットスタートなど、タイム短縮のためのテクニックが熱い。レースゲームにおいてタイムアタックが本格的に行われるようになったのがこのゲームからだと言われている。
    • ミュートシティIにおいて1分59秒というタイムが、当時のメディア(雑誌・TV)で目標とされていた
      • アーケードゲーム専門誌「ゲーメスト」に、このミュートシティのスコアを申請した店舗があった程。勿論集計はされていないが「店舗申請スコア」として掲載はされた。
  • ゲームコントローラーに初めて実装されたLRボタンに重心移動が割り振られており、コーナリングや直線での平行移動が可能である。*3ある意味「拡大回転」「LRボタン」と、スーパーマリオワールドよりもSFCを顧客にわかりやすく伝える為の役と、ソフトメーカーへのお手本を担っていたと言える。
  • 多彩なトラップや一時的にスピードを上げる「S-JET」など、世界観を生かした仕掛けが多く、一発逆転も可能。
  • BGMも疾走感を感じさせるものが多く、評価が高い。
    • 特にミュートシティとビッグブルーのBGMは屈指の名曲とされ、後のシリーズやアニメなどでもアレンジされて使用されている。

問題点

  • コースに高低差が無い
    • 背景面拡縮回転によるパース表現の最大の欠点として、旧来のラスタスクロールでは表現できたコース中の坂が表現できないことがある。
  • 選べる車体のバランス調整にやや偏りがある。
    • 加速こそ最低なものの他を寄せ付けない最高速度を誇るファイヤースティングレイが非常に強力。カーブでの安定度が高い上速度も落ち難く、一周毎に手に入るS-JETの仕様との相性が抜群に良い。タイムアタックの仕様上どうしても本機一択の傾向が強くなる。
  • CPUの難易度調整にやや難がある。
    • 上記の通り各リーグには難易度を4つから選べるが、それぞれCPUの最高速による変化のみとなっている。また、CPUの機体の挙動はプレイヤーのものとかなり差異があるため、その辺りの兼ね合いでバランスの悪さを生じてしまっている。
      • 一番顕著なのは、後続のCPUを一定距離突き放すと自機近くまでワープする点。S-JETやショートカットで大きく突き放すと逆にすぐ手前まで近寄られた状態になり、独走だったはずがワンミスであっという間に抜かれるということも。
        逆に、前方のCPU車が減速してくれたりということはなく、自力で追いつけなければ差が詰まることはない。
      • その他、慣性を無視したコース取りや、衝突してもさほど減速することなく走行し続ける、爆発寸前の周回遅れの機体に触れても爆発しない、コース外に落下しても脱落しない、といった優遇点がCPU側にある。
      • これらの優遇により、難易度MASTERでゴールデンフォックスを使用した際のデスウインドIコースは鬼門。最高速度やダッシュプレート持続の短さにより直線で雑魚車に抜かれる上、起伏がないコースゆえにリカバリーが効かず、1位フィニッシュはほぼ不可能、3位以内でクリアすることすら達人の域とすら言える超高難易度である。
  • とはいえ、当時他のレースゲームでも似たような問題点をあげられることが多く、ある程度仕方ない部分もある。
  • 2Pとの対戦モードがない。
    • 本作のレースゲームとしての革新性故に、対戦機能がないことを惜しむファンも多い。
      • ちなみに本作がコロコロコミックの『電脳ボーイ!』で扱われた際は、「参加者全員が別々のテレビとスーファミ本体を用いた30人同時参加のF-ZERO大会」というかなり大掛かりなイベントであった。
  • 「プラクティス」モードのコースが7つしか選べない。
    • コース自体は各リーグから抽出されているが、他にも個性的なコースが多く、タイムアタックが熱いゲームなだけに全コースを好きな時に遊べないのは残念なところ。
  • クラッシュした時の爆発音が大きい。
  • 上記に問題点として列挙されたが、当時の家庭用ゲーム水準としてはかなり高い完成度を誇っていた。

総評

障害物が飛ぶような速さで後方へ過ぎ去ってゆく演出によって表現された今までにないスピード感と、シンプルながら様々なギミックが盛り込まれた魅力的なレーシングスタイルで、多くのユーザーに衝撃を与えた革新的な作品。 SFCの性能を存分に見せ付けた本作はローンチタイトルとしての役割を十分に果たした名作と言えるだろう。


余談とその後の展開

  • ファミ通クロスレビューにて、10・8・9・10の合計37点(満40点)でプラチナ殿堂入りを獲得。なお、歴代レビュアーの中でも屈指の辛口評価を出すことで有名だったTACOX氏が唯一10点をつけたのが、このF-ZEROである。
  • N64やGCなどで続編が出されている。詳細はF-ZEROシリーズリンクを参照。
  • 人気漫画「ジョジョの奇妙な冒険」第3部で、花京院が敵とこのゲームのパロディの「F-MEGA」で勝負したエピソード回がある。それ自体は特筆すべき事ではないが、当時の雑誌では次世代機(プレイステーション、セガサターン等)の情報がチラホラあり、「次世代機でプレイしたいゲーム」企画で本作F-ZEROの続編と、F-MEGAが同時に挙げられていた。それ程、名前が知れ渡ったゲームとも言える。
  • この後、SFCでの任天堂製レースゲームは、多人数プレイの楽しさを追求し大ヒットとなった『スーパーマリオカート』、拡張チップ搭載でポリゴンを駆使した『ワイルドトラックス』と続いていくこととなる。
    • 特に、『スーパーマリオカート』は当初、本作のマルチプレイ版として作られたことが後年のインタビューで明かされている。
  • F-ZEROの制作発表後に『FFIV』の飛空艇のシーン等、拡大縮小でパースをかけたものが一気に増えた。それまではアーケードでもナムコの『アサルト』やコナミの『A-JAX』等真上からの拡大縮小回転がせいぜいで、後世への影響はかなり大きい。
  • 2017年10月発売の「ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン」に収録された。