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ドラゴンクエストV 天空の花嫁 - (2022/02/07 (月) 01:31:08) の編集履歴(バックアップ)


ドラゴンクエストV 天空の花嫁

【どらごんくえすとふぁいぶ てんくうのはなよめ】

ジャンル RPG
高解像度で見る
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対応機種 スーパーファミコン
メディア 12MbitROMカートリッジ
発売元 エニックス
開発元 チュンソフト
発売日 1992年9月27日
定価 9,600円(税抜)
プレイ人数 1人
セーブデータ 3個(バッテリーバックアップ)
判定 良作
ポイント 仲間モンスターシステム初搭載
結婚含めた複数世代にわたるストーリー
勇者でない主人公
大味になったゲームバランス
ドラゴンクエストシリーズ


概要

ドラゴンクエストシリーズの第5作目。『IV』から続く「天空シリーズ」の2作目でもある。
『IV』とストーリーに直接の繋がりはないが世界観は共有されており、時系列上も『IV』より後の時代になっている。


特徴(及び評価点)

ストーリー

  • 前作『IV』から取り入れられたストーリー重視の作風が本作ではより強められている。
    • 主人公が少年から大人へ、そして父親へと成長する様を描く。父に連れられて世界中を旅する少年期から、10年以上の苦節を得て花嫁と結ばれ、出自が判明すると同時に子を授かる青年期前半、更に8年間の離別を経て家族と再会し、父親の時代から続いた悲劇の因縁に決着をつける青年期後半まで、波瀾万丈の人生を経験する。
    • 「少年が父親になるまで」を描いた本作のシナリオは、大河小説を読むようなスケールの大きさと感慨深さを味わうことができる。
    • 特に青年期前半の「結婚」イベントは、2人の候補からどちらかを生涯の伴侶に選ぶというもので、多くのプレイヤーに強い印象を与えた。

仲間モンスター

  • 物語中盤に差し掛かると、主人公は不思議な力を備えた「モンスター使い」として目覚め、戦闘で倒した特定のモンスターを一定の確率で仲間にすることができようになる(SFC版本作では全40種)。
  • 仲間になったモンスターはパーティの一員として歩行グラフィック付きで連れ歩くことができ、武器防具も装備可能。成長させれば様々な「じゅもん」や「とくぎ」を覚えて戦闘をサポートする。
    • 前作『IV』の第1章でNPCとして、ホイミスライムの「ホイミン」を仲間として連れ歩く展開が思いのほか好評だったことが、モンスターを仲間にするシステムの採用へとつながったという*1
    • 威厳と愛嬌をあわせもった鳥山明デザインのモンスターは人気が高く、共に戦える点が好評を得た。次作『VI』にも受け継がれ、『ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド』においてさらなる発展を遂げた。
    • 前作の仲間キャラクターはシナリオで個性的なキャラづけを行っていたが、戦闘面では『III』の「職業」の延長線上にとどまっていた。これに対し、本作の仲間モンスターは人間にはない「とくぎ」を使うことができるなど「職業」の枠に収まらない個性を発揮している。
      • また、モンスターは預かり所に預けることもできるので、コレクション要素として楽しむこともできる。
    • 当時の攻略本などでは「仲間になる可能性のあるモンスターは最後に倒すと仲間になりやすい」と書かれていたが、これは厳密には少し不正確な表現で、正しくは、「仲間になる可能性のあるモンスターが複数いた場合、最後に倒した種類のモンスター だけ が仲間になる可能性がある」。よって、敵パーティに仲間になる可能性のあるモンスターが1匹or1種類だけなら、どんな順番で倒そうと関係ない。

馬車・AIの改善

  • 「馬車」「AIシステム」が続投されたが、前作で批判されていた部分が改善されている。
    • 戦闘中の馬車を使ったメンバー入れ換えは、ターンを消費せずに一度にできるようになった。その一方で、パーティメンバーが4人から3人に減少している。
      • これは「馬車が活きる」という中村光一氏のアイディアと積極的なメンバーの交代のためのバランス調整だった。前作の難易度が比較的低く、4人パーティーが固定されがちだったことも踏まえている。
    • 仲間に指示をする「さくせん」コマンドに、プレイヤーがキャラの行動を指定出来る「めいれいさせろ」が追加された。
    • AIの学習機能も改善され、AIの学習速度が上がった他、補助呪文等もうまく使いこなすようになった。

インターフェイス面の進化

  • 「はなす」「しらべる」などのコマンドを1つのボタンで実行できる「べんりボタン」が登場。ライバルのFFは1作目からこれに似たシステムを搭載していたが、DQでは初搭載となった。また、コマンド1つでHP全快まで回復呪文を使い続ける「まんたん」コマンドが初登場したのも本作である。
  • 戦闘画面では、戦闘ウインドウに背景が描かれ、武器・魔法のエフェクトが表示されるようになり、フィールドマップでの操作感もスムーズになった。
  • テキストは、文字が拡大され漢字交じり文になるなど読みやすくなった。また、容量制限から解放されたことで主人公の名前にカタカナが使えるようになった
    • さらにパーティーキャラの名前の濁点が1文字として処理されなくなったため、「ビアンカ」や「ピエール」など濁点が入った4文字の名前も使えるようになった。

やりこみ要素

  • シナリオ本筋とは関係のない高難度裏ダンジョン・裏ボスが初登場する。
    • 本作はドラクエシリーズ初の、エンディング到達をフラグとする「隠しダンジョン」と「裏ボス」が実装され、以後のナンバリングドラクエで恒例の要素となった。
    • 隠しダンジョンでは非常に強力なモンスターとアイテムが登場し*2、クリア前とは一線を画すゲームバランスになっているため、それまでとは違ったプレイ感覚で遊ぶことができる。
  • 仲間モンスターシステムの中にも手間に見合う実利が多い
    • 後述される非常に仲間になりづらいモンスターの勧誘や、一部のモンスターを極限まで鍛えることで到達する極致*3といった、「他人に自慢できる苦労の成果」として解りやすいものが用意されているのも本作が長く遊ばれやすい一因である。

その他

  • 画面を埋め尽くす敵の群れ
    • 本作の戦闘画面は歴代のものと比べても特殊で、地上のほかに空中にも敵が配置されるスペースがあり、飛行タイプのモンスターは上段に、それ以外のモンスターは下段に表示される。
      (例を挙げると「スライム6匹+真上にドラキー4匹=10匹」といった具合である。)*4
      このため、他のシリーズよりも敵の出現数が多い傾向にあり、狭い画面にモンスターがひしめきあう姿が見られるのは本作だけであろう。
    • しかしなぜかキメラは地上。

賛否両論点

グラフィックの質

  • 過去FCのシリーズ作品からSFCへと移行したことによりグラフィックは大幅に進化した。
    • しかし同時期のSFCのRPG作品と比較すると、ダンジョンマップやモンスターグラフィックの陰影などの質が低いという指摘が根強い。
    • 公式イラストや戦闘画面などと歩行用ドット絵の配色が明らかに異なっているキャラクター・モンスターがいる。
    • 因縁のあるボスキャラ2名がいるが、あろうことかそのボスキャラとグラフィックも色も同じ通常モンスターがいる。

サウンドにおける音源の質

  • 今作もすぎやまこういち氏が曲を担当し、本作においても素晴らしい楽曲群が使用されている。特に疾走感溢れる通常戦闘曲「戦火を交えて」はシリーズの中でも特に評価は高い。
    しかし、それらの楽曲を演奏する肝心の音源の質は、同時期のSFC作品と比べるとかなりチープ。
    • 特にボス戦の楽曲である「不死身の敵に挑む」が顕著で、「せっかくの名曲が台無し」との声があるなど、評価がいまいち。
      • 実際、すぎやまこういち氏も本作のサウンドには大きな不満を持っていたようで、次作『VI』の発売に向けて、崎元仁を筆頭とした専門のサウンドチームを結成するに至った。
    • 一応、『死の塔』に見られるうねるような音使いや、洞窟内の音響全般にエコーがかかるなど、コンピュータ音源ならではの長所も全く無いというわけではない。
    • 余談だが、後にPS2でリメイクされた際、なんとNHK交響楽団のオーケストラ演奏をそのままBGMとして使うという豪華仕様となり、ドラクエプレイヤーにおけるNHK交響楽団の人気もあってか非常に高い評価を得た。裏を返せば当時使用された音源に問題があるだけで、曲そのものの評価は決して悪くなかったということが証明された瞬間でもあった。

シナリオや仲間モンスターに関する問題を指摘する声もあり、特に以下の点が賛否両論となっている。

結婚イベント

  • プレイヤーはストーリーを進めるためには主人公を結婚させなければならない。ストーリー中でも最重要イベントの1つなのだが、そこへ至るまでの流れが唐突かつ強引であり不自然に感じられてしまう。
    • たまたま立ち寄った街で令嬢(フローラ)の争奪戦が行われていること、その途中で偶然幼馴染(ビアンカ)と再会し花嫁候補になること、どちらを選んでも花嫁が勇者の血筋であることが明らかになることなど、よく言えばドラマチック、悪く言えばご都合主義的な展開が随所に見られる。
    • また、後述する「主人公にセリフがない弊害」がここに現れている。
      • フローラの父のルドマンは「2つのリングを集めてきた男にフローラと家宝の天空の盾を与える」と言っているが、この時の主人公は天空の装備を集めている最中であり、特にセリフもなく動いているため、「天空の盾のために仕方なく2つのリングを集めフローラと結婚しようとしている」ようにも受け取れてしまう。
      • ビアンカルートの場合、元々フローラの花婿を選ぶ話だったのに、立候補したうえで一人だけ勝ち残った主人公が急にフローラとの結婚をやめてビアンカと結婚するのはあまり誠実とは言えないと指摘されている。またこれをフローラとルドマンが歓迎する流れになるのはいささかリアリティに欠けている。

候補2人の内、基本的にビアンカはイベント面で、フローラは性能面で優遇されており論争を巻き起こす大きな原因となっている。

  • ビアンカ
    • 幼馴染であるため幼年期の出番が有るのは当然としても、青年期でも結婚相手の選択前に一緒に冒険できたり、結婚前夜に会話イベントがあるなど、あまりにもゲーム中で贔屓され過ぎている
      選ばなかった場合でもフローラは幼馴染のアンディがいる事が結婚の時に示唆されるが、ビアンカにも他に候補がいるという事はエンディングまで分からない。このため、シナリオ上「ビアンカを選んだ方が自然」という形に強引に選択を迫られている作りになってしまっている。
      • これに関して堀井雄二自身も、後のインタビューで「ほとんどの人がビアンカを選ぶと思った」と発言している。多くのメディア媒体でもビアンカと結婚するルートが取られる等、半ば正史的な扱い*5*6を受けている。
  • フローラ
    • ビアンカと習得呪文はほとんど変わりないが、こちらだけ最初から回復呪文のベホイミを覚えている他、強力な全体魔法のイオナズンを習得する。成長率もやや優位。また、道中で義父から強力な武具や資金をもらう事も出来る。
    • 一方、彼女を選んだ場合、ビアンカのような結婚前の固有のイベントはない。またゲーム終盤で再度仲間になるまではこちらからはコマンドを命令できず、レベルもこの時点では10までしか上げられない。この為、彼女が活躍するのは必然的に終盤以降になる。
  • (上記の矛盾もあり)なんだかんだゲーム中の選択肢としてはどちらも一長一短でギリギリバランスが取れてはいる。また何らかの形で差をつけること自体はキャラの差別化の意味でも間違ってはいない。
    しかし、シナリオのこれらの優遇の差が結果的にファン同士の間に根深い議論を巻き起こすことになり、発売以来ファンの間で結婚相手の選択を巡るいわゆる「嫁論争」が頻繁に交わされるようになった。
    その盛り上がり方はすさまじく、掲示板などで話題に挙がると必ずと言っていいほど場が荒れるという事態が常態化してしまった程である。
    なお、前述の通り若干ビアンカ贔屓のイベントが多めだが、結果的にどちらを選んでも正解となるように作られている。

シナリオ

  • 本作はシリーズの中でも特にシナリオに重点が置かれた、いわゆる「JRPG」の典型例とも言える作品であり、ファミ通クロスレビューで「のめり込むシナリオ」と評された一方、「一本道」とも評されており、自由度は低い。
    • 例えば、船を入手しても浅瀬で不自然に区切られている、他の新しい乗り物を取得してもその時点で行ける場所は基本的に1つと、自由な探索がほとんどできない。
      • 一応青年時代後半では行ける場所が増えてある程度自由度が高くなる。ただし、そこまでシナリオが進むと、行った事の無い場所が少ない。
    • あまりに自由すぎて『II』のように「時期に合わない敵に遭遇して瞬く間に全滅」「次に何をすれば良いのか分からない」という事態が無く物語をスムーズに進めることが可能だが、結果として高い自由度を特徴としていたロトシリーズの経験者の間で賛否の声が聞かれた。 /決められたとおりに進めなければならないという印象が強く、「親子3代の物語」という壮大なストーリーでありながら小ぢんまりとした感じになってしまっている。
      • また、物語が主人公の身内の問題に終始してしまっていることや、フィールドマップに町や城が少ないことも世界を狭く感じさせる一因となっている。
      • プレイヤーに感情移入させるための「喋らない主人公」はドラクエの伝統ではあるものの、シナリオ描写が濃厚になった事で、今まで以上に主人公個人の意思や返事が求められる場面が多くなった。にも関わらず、それに対して全くリアクションを返さないため、主人公の心情がプレイヤーに伝わり難くなっている。
        結果的に描写不足気味になり、上記の結婚展開の唐突さや『嫁論争』の一因となっている。
  • DQシリーズには欠かせない「伝説の勇者」であるが、本作はナンバリングタイトルでは初めて「主人公=勇者」ではない。*7
    • シナリオ上では勇者の必要性が強調され、終盤には仲間になるのだが、加入後も物語の中心は主人公である。パーティに入れる必要もなく、一度も同行させないままクリアすることも可能である*8
    • ただし、戦力としては申し分ないので、多くの人はパーティに勇者を加えることとなり、この部分がクローズアップされることはあまりない。
  • ラスボスの影が薄い。
    • 終盤にならなければ名前すら出てくることはなく、途中でも彼の存在を匂わせる場面も殆ど無いため、「母親を助けるついでに倒す程度の存在」的な感じが否めない。戦う前に「私は神をも超えた」「部下たちがやっていたことは、所詮は無駄な努力に過ぎない」などと尊大に語っているが、その強大さを裏付けるような描写が不足しているため表面的にしか伝わってこない。
      • 過去作のラスボスは『II』のベホマや『IV』は多段階変身など、ハード上の制約をカバーする強烈な個性を持っていたり、『III』もある道具で弱体化させるイベント有り&「いてつくはどう」のパイオニアだったりしたが、本作のラスボスはそういった強烈な個性を持っていない。
    • 当時の雑誌インタビューなどでも「『IV』よりもボスの存在感が薄くなった」と言われた。
      • 直接的な敵討ちの対象となるボスを筆頭に、全体的に中ボスの方が目立っていることも影響している。
    • 表面的な描写などはあんまりであるが、地上世界のマスタードラゴンの力すら及ばない程の力を蓄え、一大組織すら作り上げる手下を統率する手腕はある。それ故、上記の台詞も嘘や虚勢ではなく、影こそ薄いが決して小物ではない。

仲間モンスターシステム

  • 仲間になるモンスターのリストはゲーム内で紹介されておらず、ゲーム外部からの情報無しにはマスクデータとなっている。勧誘可能なモンスターであっても、勧誘確率が極端に低いものもいるため、攻略情報無しで勧誘可能なモンスターか否かの判別は困難を要する*9
    • 最も確率が低いもので256分の1。該当するのはキラーマシン、はぐれメタル、ヘルバトラー、メガザルロックの4種。
    • こうした仕様のため、攻略本が出回っていない時期には「〇〇が仲間になる」という情報が口コミで広がる結果となり界隈を大いに賑わせた…が、後述の余談にもあるようなガセネタを掴まされたプレイヤーも多かった。
  • 物語進行に伴う入れ替えを余儀なくされる育成。
    • 本作は仲間になるモンスターの数こそシリーズ随一であるが、その大半が「活躍の機会が短い仲間」や「最終スペックが控え目な仲間」*10であり、そういった仲間は愛があっても連れ歩き続けるのは厳しい。
    • また、モンスター毎にレベル上限が違うことは攻略本にしか記載が無いため、ひさしぶりに教会でおつげを聞いたらずいぶん前に上限だったというケースも多い。
    • とりわけ中盤後半に登場するモンスターに中途半端なもの多く、即戦力として使うには心細い初期ステータスで、ようやく育ったと思ったら終盤の即戦力モンスターに居場所を奪われがちである。
    • このため、最終的には一部の強キャラばかりが重用されやすく、モンスターを仲間にすることによる戦術の広がりやパーティ編成の自由度はそこまで高いとは言えない。
  • そんな玉石混交な仲間の中でも特に以下の4種は勧誘確率が最大(25%)、尚且つハイスペックなことから俗に「初心者救済四天王」と呼ばれる。
    • ベホマとイオラを習得し、炎や呪文耐性に優れ重装備も可能な「スライムナイト」。この中で唯一序盤に仲間になる。
    • 高いHPとイオ耐性に加えマヒとザキに完全耐性を持ち、初期でザオラル、更にベホマラーとザオリクも習得する「オークキング」。
    • 素早さと耐性こそ最低ランクだが、肉弾戦性能がトップクラスで、強力な特技めいそうも習得する「ゴーレム」。
    • 耐性はやや弱いが、能力値が高く重装備が可能で、豊富なMPで攻撃呪文も使える「アンクルホーン」。
    • ただしこの四天王たち、二周目以降だったり攻略サイトを参照して早解きで進めていたりすると、意外にも仲間になってくれないことがある。この側面からも、まさに初心者救済キャラといえる。
      • 本作には、実は主人公のレベルが、エリアごとに設定された特定のレベル以上でないと、モンスターを仲間にできないという制限がある。
        このことについてゲーム内や説明書でもヒントがなく、また初見のプレイヤーが普通にプレイしていれば、おおむねその制限レベルよりは上で進行するような設計ともなっているため気づきにくい。
        しかしこの隠された制限のおかげで、二周目以降は一周目で頼りになったメンバーが仲間へ加わりにくくなり、自然と違った編成による、少し歯ごたえの増した展開が楽しめるようにもなっている。
      • なお、目当ての魔物を仲間にするためひたすら戦い続けていれば、必然的に主人公のレベルも上がる。(わざとレベルを上げないように進める縛りプレイでもしていない限りは)
        このため、目的の魔物が絶対に仲間にならなくなるなどといった心配はない。
  • 仲間モンスターの存在によって、相対的に人間キャラの性能が見劣りがちになっている。
    • 多くの仲間モンスターは特技や呪文のダメージや補助呪文の成功率を軽減・もしくは無効化する耐性を持っており、終盤になると耐性の有無が生死を分けることも多い。対して人間キャラは装備で強化しない限りほとんど耐性を持っていない。
    • 呪文についても、後述するレッドイーター&ブルーイーター等の強敵も消し去ってしまうほど強化された「ニフラム」や、仲間全体のHPを完全回復する「ベホマズン」等の強力な呪文は仲間モンスターしか習得できない。
    • MP消費なしで特殊な行動ができる「とくぎ」は仲間モンスターしか使えない。最強クラスの呪文は高い威力と引き換えに多くのMPを使うのに対し、最強クラスの特技はほぼ同威力でMP消費がないのだから当然差はある。
      • 呪文は「マホトーン」や「マホカンタ」により封殺されるが、特技はこうした天敵もなく万能に使える。*11
    • もともと性能が強くないキャラクター。
      • ストーリーの中核とも言える「嫁」は2人とも魔法使い系キャラなので、物理優遇の本作では不遇*12。しかも、中盤から長期間離脱するために復帰後にレベルの開きが出てしまい、意図的な育成を行わないと戦力外となる。嫁2人は装備品においても最強の盾がなぜか守備力+7の「鱗の盾」止まりなので守備力も他のキャラと比べると劣る*13
        なお、リメイク版でもこの問題は解決されていない。
      • 主人公の娘も、嫁と同じ魔法使い系なので下級呪文しか使えず戦力面での不足も目立つ。一応、加入後に順次*14イベントや宝箱で強力な装備を入手できるが、一品ものは嫁との取りあいになってしまいがち*15
      • シリーズでも珍しい、加入が任意な人間キャラのピピンもいるが、加入が終盤ごろなのにレベル1(ステータスはレベル10相当だが)で、成長しても呪文は使えない。城の一兵士が勇者と共に旅をするという設定のみで、固有イベントもない。
    • 見方を変えると、本作で初導入された仲間モンスターシステムを積極的に活用させる前提のゲームバランスであった、とも捉えられる。青年時代前半は人間キャラが2人しかいない状況になるので、必然的にモンスターとともに行動することとなる。
  • 今作では起き上がって仲間にしたモンスターを直接預かり所へ送ることができず、今いるモンスターを強制的に預かり所へ送る必要がある。スタメンであっても例外ではないため、ダンジョンなど容易に戻ることができない場所でモンスターを仲間にすると苦労する。

AI

  • 優秀すぎるの一言。本作のAIは間違い無く歴代最強と言える。極端な話、「みんながんばれ」「じゅもんせつやく」を使い分ければプレイヤーが介入する必要が低くなる。
    • まず、学習さえしてしまえばHPや状態異常耐性等を把握した上での最適行動を取る。思考タイミングは自分の行動順がきた時なので、プレイヤーの思考がターン開始前なのを考えると効率的になる。
      • これだけなら他の作品でもいくつかあったが、他作品はMP効率を加味しなかったり、道具は使わなかったり、効きにくくても0%で無ければやたら使いたがる特技があったりと、何かしら問題があった。しかし今作には死角は無い。
    • 倒し損ねた敵にとどめを刺したり、敵の先制で味方のHPが大きく減ったところに回復呪文をかけたりと、手動操作ではできない臨機応変性を備えている。そのため、戦闘ゲームとして楽しみたい場合はAIを使わない方がよいとさえ言われることも。
    • 特に「じゅもんせつやく」はきわめて良効率でMPを使用する。この作戦だけを指定しさえすればただでさえ低めの難易度が一段と下がるといわれるほど。
      • 戦闘メンバーが3人までなので仲間の行動も加味しやすい点も加え、AIのルーチンを構築しやすい環境ではある。
  • 本作では「AIが学習型でなくなった」と言われることがあるが、今作のAIは前作と同じ学習型であり、説明書にも示唆されている。
    • ただし実際には学習速度が異常なまでに早く、3段階の学習を、確実にターンごとに、敵グループごとに行う。つまり出会って3ターンすれば学習完了だし、同じ敵が複数グループに分かれていたら更に早くなる。
    • しかも「めいれいさせろ」だろうが主人公一人だろうが学習するので、初期状態の頭の悪い行動を取る機会はほぼ無い。そして学習完了後は「優秀すぎる」と言われるほどなので、学習型AIでなくなったと誤解してしまう。
  • 「めいれいさせろ」の場合はターンの開始時に行動を決定しなければならないため、突発的なトラブルに対処できないし、そもそもそういった状況変化を先読みした上で行動を選択しなければならなかった。しかし、AIの場合は そのキャラに行動順が回ってきたタイミング で行動を決定しているため、常にその瞬間の最適解を取れる。
    • 賢いAIと言えば聞こえはいいが、そもそも行動決定のタイミングが根本的に異なるため、AIが行っているのは ターン制バトルの皮を被った別の何か でしかない。
      • 意図したものかどうかは知る余地もないが、「行動順が回ってきたタイミングでコマンドを選択する」というのは、皮肉なことにライバルシリーズで導入されたATB制とほとんど変わりがない。

隠しダンジョンの位置

  • クリア後の隠しダンジョンの位置がノーヒント。洞窟入口等のグラフィックもない。攻略本を読んでやっとわかるほど。

問題点

ゲームバランス

  • 全体的に大味で、一言で表すなら物理偏重
    • レベルを上げて物理で殴ればいい」とまでは言わないが、攻撃呪文や補助呪文を使わずとも、HPの高い重装備キャラ中心の物理攻撃と回復呪文による力押しで大抵の難所が解決できてしまう。
    • 本作では回復呪文・特技が使えるキャラが多いのもその一因である。「回復技所持の高HP重装備キャラ」も主人公を含め複数存在し、パーティメンバーが3人に減らされたことで「耐久力で劣る補助・攻撃呪文役」の席が削られるケースが多かったようだ。
  • 物理優遇も大きいのだが、それ以上に呪文の冷遇も目立ってしまっている。
    • 本作からブーメラン・ムチなど、呪文に頼らず複数の敵に攻撃できる武器が登場した。しかも呪文と違い敵の耐性の影響が少ない。
    • 前述のように仲間モンスターのみが使える「とくぎ」にはMPを消費せずに強力な攻撃や補助ができるものが多い。
    • 終盤で手に入る「やまびこのぼうし」は1回の呪文で2回分の効果を得られるため、入手すれば呪文が強化されるが、当然ながら装備した一人しか効果はない。「たたかいのドラム」を入手すると、再び立場は覆る。
      • 場所ごとに「にげる」が確実に成功するエリアレベル+5以上になると、元から全く効かないものを除き、敵モンスターの耐性が下がるという 隠し仕様 がある。しかし、そこまでレベルを上げれば苦戦はなくなるため呪文の価値向上には貢献できていない。
  • その他、物理攻撃優遇を示す強力な仕様も登場。
    • 特定の属性への耐性に応じて敵に追加ダメージを与える武器も登場した。その属性に対して無耐性の敵には通常の1.5倍のダメージを与える事が出来るし、完全耐性を持っていてもダメージが減ることはない。*16
      レベルを上げ続けると、ふぶきのつるぎによる打撃が単体最強呪文メラゾーマの威力を超える事ができる。*17
    • 本作のバイキルトは「与ダメージではなく攻撃力自体が2倍になる」「複数攻撃武器や2回攻撃武器の2撃目以降、属性武器の追加ダメージ、会心の一撃にもバイキルトの効果が適用される」とシリーズのバイキルトのいい所どりをした性能。更に消費MPも攻撃呪文より少なく、また攻撃呪文役のキャラはバイキルトも覚える事が多いため、攻撃呪文でMPを使うよりも打撃キャラにバイキルトを使った方が効率的となる。
  • また、呪文を適切なタイミングで覚えない事が多いという問題もある。
    • 例えばベギラマは従来作ではレベル14前後で覚えるのだが、本作でギラ系を得意とする嫁はレベル15でベギラマを覚える。しかし嫁が加入する時点で主人公のレベルは20前後であり威力不足。モンスターではまほうつかいが覚えるが、ベギラマ習得時点で主人公のレベルは18前後とやはり遅い。
      他にもヒャダルコは、本作でヒャド系を得意とする娘の加入時点で主人公のレベルは既に25前後であり役に立たない。運よく(低確率で)イエティを仲間にできない限りは使う機会は無いだろう。
    • 過去作では、仲間が早い内から揃い、基本的に離脱もしなかったため問題無かったのだが、本作から仲間の入れ替わりが激しくなったにもかかわらず、それに合わせた呪文の習得レベルの調整が行われていないために起こった問題である。
  • ほぼ意味のないパラメータ設定
    • 「かしこさ」は「20以上になると仲間モンスターが確実に命令を聞いてくれる」というだけの能力値であり、人間キャラに設定されたものは何の役にも立たない。その仲間モンスターも、序盤で加入するものと一部の例外を除けば、大半が加入時or加入してすぐに20を超える。
  • パーティーアタック廃止
    • 『III』『FC版IV』では味方を攻撃できたが、本作では廃止されたため、眠った味方を攻撃して起こすことができなくなった。
      • 以降のシリーズでもこれが続いている。
  • ルーラが無効化される町などが多い
    • イベントなどの都合で一時的に使えなくなる事は頻繁にあるが、それが終わった後でも終始ルーラの呪文が使えない設定(不思議なちからでかき消される)の町がやたら多い。ポートセルミや、中盤以降の拠点となるグランバニアがその代表。
      • 加えて、グランバニアは主要な施設の多くが夜になると使用できないという面倒な問題点まであり、拠点としての利便性が低い。
    • これほどではないが、リレミトで脱出できないダンジョンも幾つかある。
  • 幼年期から青年期にかけての所持金・アイテム持ち越しについて
    • 幼年期の終わりに二度の負けバトルがあるのだが*18、敗北前提なのにも関わらず普通に全滅したのと同じ扱いで、それぞれ所持金が半減してしまい、青年期へは1/4の金額しか持ち越せない。
      • 最初の一戦は主人公のレベルを大きく上げれば勝利も不可能ではないが、あまりに非現実的である。
      • 幼年期から青年期の間に主人公に起こった出来事を考えれば、シナリオ的には所持金が全て無くなっていてもおかしくはないとは言えるが…。
    • アイテムも後の「ふくろ」システムが無く預かり所もまだ利用できないため、入手したもの全てを持ち越すことができない。幼年期でしか訪れられない場所での種や木の実も含まれる為、結構煩わしい。
  • プレイヤーに対して不利なバグの存在
    • 通常プレイで高頻度で発生するようなものではないが、致命的なものも含まれる。以下の余談を参照。

総評

シリーズのお約束を破りつつもそのアイデンティティを失わないよう新たなチャレンジをした本作は、発売当時は映像面や売上で他のRPGに遅れをとったが、人気シリーズの新ハード第1作としては充分な活躍を示したといえる。
その一方、シナリオ・システム両面において新たな試みが多い反面、これまでよりも自由度の低いシナリオや、システム周りの不備、やや大味で難易度の低いゲームバランスに対する賛否も大きく、結果的に本作の売り上げは『III』以降ではシリーズ最低となる280万本に留まることとなった。*19


その後の展開

  • 本作を題材にした作品として『小説ドラゴンクエストV』(久美沙織著。ノベライズ自体は『I』のころからあり、久美氏は『IV』~『VI』を担当した)のほか、とまとあき脚本のCDシアター、ゲームブック、マンガ『天空物語』(幸宮チノ著。主人公と子どもたちが再会するまでの8年間の物語を描いた)などがある。
    • その他、『DQV』の名を冠してはいないが本作をモチーフにした作品については「メディア展開・余談」にて。

余談

  • SFCへの移行に伴いバッテリーバックアップの耐久性が向上した
    • FC版ソフトと同様にデータが消失する危険性も存在するが、SFCに移行したことでバッテリーの耐久性が高められため、異常とも言える頻度でデータ消失が起きていたFC版『III』『IV』に比べればはるかに消えにくくなっている。(FC時代の定石であった『リセットボタンを押しながら電源OFF』はかえって危険なのでやらないようにと説明されているほど)
    • なお、データ消失の演出はFC版のものをほぼ踏襲している。
    • ただし、向上したとはいえ、 それでも消える時は消えるので過信は禁物。 なお、本当にデータが消えた場合は、消失の演出すら出ない。
  • 死にステータスの有用化
    • 『III』では補助呪文に関係していたが、『IV』で存在価値が疑われることになった「うんのよさ」だが、本作では呪いや一部呪文・特技の命中率に影響するようになった。
  • 本作から「キラーマシーン」の名前が「キラーマシン」に変更され、以後DQ2のリメイクも含め全作品でこの名前で登場するようになった。
  • 厳密には本作出典ではないのだが、本作の仲間モンスターを使った「バトルえんぴつ」というキャラクター文具が同時期に発売され、大ヒット商品となった。
  • 『IX』では配信限定のゲストキャラクターとしてビアンカ・フローラ(デボラ)が登場。装備品として主人公のコスチュームも登場している。ただし、キャラクター描写はリメイク版に準拠しており、フローラの性格が改変の目立つ『いたスト』仕様のため、やや不評。
  • ドラゴンクエストヒーローズ 闇竜と世界樹の城』に、本作からビアンカとフローラが出演。
    • 自分のいた世界からそちらの舞台となる世界へ迷い込んだという設定で、キャラクターの扱いの都合上「結婚イベント真っ最中」という微妙なタイミングで参戦しており、本作のストーリーを踏まえた二人の微妙な関係の会話などを聞くことができる。ビアンカは弓使い、フローラはスティックを装備できる魔法使いになっている。
    • 続編『ドラゴンクエストヒーローズII 双子の王と予言の終わり』では、クリア特典として二人を再び使用することができるが、あくまでオマケでストーリーやキャラとの会話などはない。

バグ・裏技・噂

シリーズのSFC第1作目であったためか、本作は有益・無益を問わずバグや特殊な仕様が多いことでも有名。
当時のゲーム雑誌や『大技林』などでも多数のバグ技・裏技が紹介されている。

+ バグ・裏技色々
  • 「主人公が消失する」「バグった仲間モンスターに変化する」バグ(通称:ボロンゴ技)
    • これは主人公のデータ自体が消滅してしまい以降のフラグ立てができずに詰むなど致命的な状況に陥ることも多い。手順は「主人公以外を先頭にしてモンスターじいさんに仲間モンスターの様子を見せてもらう」だけだが、これをやった時点でほぼ正常なゲーム進行ができなくなる。
    • 棺桶のまま生き返れなかったり、ステータスのバグった仲間が出現したり、フィールド上で突然オープニングが流れ始めたり、5桁ダメージを出すキャラが出たりなど様々な怪現象が発生する。しかしフリーズする場合も多く、バグらせた状況によってはすぐにリセットしたとしても高確率で「ぼうけんのしょ」が消える危険がある。
    • 操作が簡単な割に致命的なバグではあるが、街の中に入ると必ず主人公が先頭になるほか、主人公が死んでる状態で街中に入ると自動的に生き返らせてもらえるので、狙わずに偶然の場合「意図的に並び替えをした直後にうっかりモンスターじいさんに会いに行った」という条件が揃わない限り発動しない。
      • 対策としては「街の中ではむやみに並び替えをしない」ということだけ意識していれば回避可能。
    • 現在は解析が進んでおり、バグありRTAやTASではイベントフラグを強引に立ててショートカットなどに利用されている。ただし通常のプレイへの意図的な運用は難しい。
  • 敵のHPが戦闘中に2047ちょうどになると減らなくなる。事実上、発生するのは終盤のボス5体のみ。
    • 「減らなくなる」だけで回復は可能なので、発生するボスのうちラスボスは「めいそう」でHPを回復するため、幸いにもこの状況を抜け出すことができる。
    • 発売当時「イブールの本を持っていないとイブールが無敵化して倒せなくなる」というデマが一部で広まったが、その原因の一端にこのバグの存在があった可能性は高い。
    • やはり開発中に「絶対に勝てない敵」を設定するために組まれたものがそのまま残ってしまったものと思われる。実際に戦うそのような敵はHP自動回復によって倒せないようになっている。
  • さらに、発売から10年以上を経て「ひとしこのみ」と呼ばれる裏技が発見された。
    • これは「必ず会心の一撃が出すことができ、必ずモンスターを仲間にできる」というもの。ボス戦もメタル狩りも楽勝、1/256という低確率でしか仲間にならない強力な仲間モンスターも1発で仲間になるという、ゲームバランスを崩壊させる技。
    • 発生条件は「主人公に特定のアイテムを特定の順番で持たせる」もの。その際にアイテムの先頭の文字を上から読むと「ひとしこのみ」になるためこう呼ばれている。
      • これに必要なアイテムは軒並み主人公が装備できないため、持たせることすらまずない、幼年期と青年期後半でしか買えないものが2種などの点があり、さらにソートすると順番が崩れるので仲間とのアイテム受け渡しをしないとまずこの順番にはならず、解析で明らかになるまで全くバレなかった。
      • その特殊な発動条件などから、これまたデバッグ用のデータが残ってしまったものとされている。
      • 強力ではあるが仕様を無視することはできない。会心の一撃が出ない武器(ムチなど)では会心の一撃は出せないし、主人公のレベル不足など制限に引っかかった場合はモンスターを勧誘できない。
    • 余談だが、仲間になるスライムベホマズンとミニデーモンの4匹目の名前は「ひとし」と「このみ」。偶然ではないような気もする……
  • モンスターのアイテムドロップのバグについて。
    • 本作では複数の種類のモンスターを倒して勝利し「まもののむれを やっつけた!」と表記された場合、モンスターがアイテムを落とさない。つまり、一種類のみのモンスターを倒し「○○を やっつけた!」表記にならないとアイテムが手に入らない。
    • その為、アイテムドロップを狙うなら同一種類のみのエンカウントを狙う、余計なモンスターをニフラムで倒さず消すなどの余計な手間がかかってしまう。
    • シリーズでも本作のみに起こる現象。特に説明もなく、合理的な理由も考えられないのでバグだと思われる。リメイクでは修正されている。
  • アイテム所持数の仕様上の落とし穴。
    • 青年期でキラーパンサーを仲間にするイベントにおけるキーアイテム「ビアンカのリボン」は、入手するのは幼年期だが、実際にアイテムとして手元に入るのは青年期の奴隷解放時。幼年期終了の段階でアイテムがいっぱいだった場合でも、その後の話の流れで必ずアイテム欄に1つ空きができるので、アイテムがいっぱいだったので手に入れられないという事態は原則的には起らないようになっている。
      • ただし、SFC版では例外として、奴隷時代最初に戦うムチおとこがすばやさのたねを落とした場合、アイテム所持の仕様の都合で戦利品が本来の持ち物に追加されるため、ビアンカのリボンを受け取る時点で持ち物がいっぱいと言う事態があり得る。この場合、ビアンカのリボンは手に入らなくなる。
        ストーリー上必須アイテムではないので詰むことはないものの、キラーパンサーを仲間にすることができなくなり、必然的にパパスの剣も手に入れられなくなってしまう。
    • 尤も、ムチおとこがすばやさのたねを落とす確率は「1/4096」というかなりの低確率。よほど運が悪くない限りは遭遇しにくい現象なのがせめてもの救いだが、そもそもアイテムを落とさない設定にすれば何も問題なかったはずである。
  • ヘンリーに貴重品を持たせると消滅してしまう。
    • NPC扱いであるヘンリーに対して「わたす」コマンド等で貴重品を持たせようとしてもキャンセルされる。しかしカジノの景品である「メタルキングのけん」は貴重品扱いであるにも関わらず任意のキャラが受け取ることができ、ヘンリーが持つとその時点で消滅してしまう。気づかずにセーブしてしまうと莫大な損失となる。
    • 縛りプレイでも無い限り起こり得ないが、「ラーのかがみ」をヘンリーのみのパーティで入手しても消滅してしまう。こちらはストーリーが進行不可能になる。
  • その他、役に立つものから立たないものまでバグの数々。プレイヤーに有利なものはよく活用された。
    • 仲間モンスター2匹以上の時に、モンスターじいさんを利用して1回戦っただけで仲間モンスターが必ずレベルアップするバグ。
    • 1匹のはぐれメタルをどくばりで何度も倒せるバグ。また、同様の手順でバグモンスター「きせきのつるぎ」が出現する場合もある。
    • 船のグラフィックが主人公に変化したり、何もない場所でタルや墓を調べたことになったり、宿屋でパーティの最後の1人が壁からはみ出したりなど、グラフィックに関するバグ。これらはお遊び的なもので、ゲーム進行に支障はない。
  • 裏ボスが仲間になる(ガセネタ)
    • 裏技ではないが、有名な ガセネタ として「裏ボスを一定ターン以内に倒すと仲間になる」という噂が全国レベルで流布されていた。
    • 本作の裏ボスは、倒すと撃破ターン数を教えてくれる。これ自体は特に意味はないやりこみ要素の一つなのだが、本作がモンスターを仲間に出来るゲームだった事や裏ボスが旧作の魔王というファンサービス色の強いキャラだったこともあり、条件を満たせば仲間になるんじゃないかという噂が全国で広まった。
      • 俗に「10ターン以内」と言われていたが、「5ターン以内」という噂も聞かれ、酷い場合は「3ターン以内」なんていうものも。レベルをかなり上げれば「10ターン以内」は現実的なので、恐らく「10ターン以内に倒せたけど仲間にならなかったからもっと短いターンなのだろう」という形で短いターン数が噂になっていったものと思われる。
    • 当時のVジャンプなどでも話題になっており、発売から数年経ったVジャンプでようやく公式的に否定された。
    • この噂を参考にして、リメイク版ではとある仲間モンスターが追加されたり、『VI』『VII』SFC版『III』では裏ボスを少ないターン数で撃破することが発生条件のイベントが追加されたりした。
    • また、外伝の『ジョーカー2』以降のモンスターズシリーズではこのボスを10ラウンド(ターン)以内に倒すと本当に仲間になるイベントが挿入された。
  • Yahoo!ゲーム、DQMVBコンテンツ内での「一番思い入れのある(ナンバリング限定)主人公は?」の2010年8月から9月に行なわれたアンケートでは、全9作中、Vの主人公が2位にランクインしている。更に同日行なわれた「お気に入りの(ナンバリング限定)大魔王は?」のアンケートでは全9作品中、Vのラスボスはビリから2番目であった。

本作特有の要素

  • 前述の呪文冷遇に少々関連するところもあるが、本作では呪文の仕様が少し妙なことになっている。
    • 氷の攻撃呪文「ヒャド系」は特に変化が大きい。
      • 呪文のランクはヒャド→ヒャダルコ→マヒャドに。ヒャダインは抹消された。
      • 最下級のヒャドは味方側は誰一人として覚えられない。味方使用時のエフェクトは作られているようなので、味方の使い手を用意するのを忘れてしまったのだろう…。
      • 本作以降の作品では習得者の減少や習得手段の難化のせいで単純に使いにくい。また、ヒャド系に耐性を持つ相手も増えている。
    • ルカニ系・スカラ系も少しおかしなことに。両呪文の上級系であるルカナン・スクルトを覚えるキャラは多いが、下級のルカニ・スカラを覚えられるキャラはとても少ない。ルカニに至ってはエリミネーター1匹しか覚えられない。
    • また、バギ系でもバギは主人公しか覚えられない。
  • 地味な点であるが、街で仲間モンスターを先頭にできるのはSFC版のみ。キラーパンサーを先頭にして話かけると違う反応がある。
    • ただし上述のように街に入った時点では強制的に先頭が主人公になり、さらに並び替えをしたままモンスターじいさんの所へ向かってしまうとバグのリスクがあるため注意が必要である。
  • キラーパンサー関連で、主人公の青年期後半に入った後にわかる「誰が子供達を守っていたか」がSFC版のみ違う。
    • リメイク版で変わったのはフラグ上の問題だと思われる。
  • ちなみに本作は、設定上では『IV』の数百年後の世界である。『IV』にも出てきた建物が「天空への塔」と「天空城」だけなのはまだ分からなくもないが、大陸の形が大幅に変わった理由は不明。
    • この点については「同じ世界を舞台にしているからと言って、毎作同じマップを歩かされるのではおもしろくないというゲーム上の都合」と堀井氏は回答している。

メディア展開・余談

  • ドラクエ(風)の実写ドラマとして『勇者ヨシヒコシリーズ』が存在する。2019年現在、第3期まで放送されている。
    • スクエニが公式協力しており、主人公ヨシヒコは本作の主人公の衣装そのままの姿で登場している(ただし設定は大幅に異なる)。ちなみに本ドラマでは「予算の少ない冒険活劇」とアピールしている。
    • また主演の山田孝之氏は『DQH2』で声優を務めた際のインタビューで初めてプレイしたのは本作だと語っている。
  • 2019年8月2日から上映の3DCGアニメ映画『ドラゴンクエスト ユアストーリー』は本作がベースとなっている。
    • リュカ(主人公)は佐藤健氏、ビアンカは有村架純氏、フローラは波留氏が演じている。現実的にもどちらを選ぶか論争が起こりそうだ
    • 『ユアストーリー』公開の影響か、本作のDSリメイク版(の廉価版)が売り上げランキングに入るなど、発売から10年以上経ったゲームとしては予想外のセールスを記録した。
    • なお、当の『ユアストーリー』だが…最終的な評判は強い賛否両論にある。
  • 本作は当時の任天堂山内社長がSFCの発売2年前にラインナップにあげる等、随分気の早い話だった。どれだけ気の早かったと言うと、DQ4が発売はおろかまだ発表もしていない、その前のDQ3フィーバー真っ只中の1988年と言えばわかるだろうか。
  • 今作がスロースターターだったのは一つの説だが情報規制の功罪とする声もある。
    • 特にIIIの非公式攻略本問題から展開についての規制が強く改められたのだが、雑誌での紹介が攻略記事がヘンリー王子に会う所までで、どの記事を読んでも「とある父子の冒険談」程度にしか見えない、ある意味情報操作のテイ。サブタイトルの天空の花嫁も「幸せな流れからの結婚」と錯覚してしまう。現在の時点で見れば雑誌から伝わるパパスの記事は完全なる「死亡フラグ」なのだが当時「死亡フラグ」という言葉は無かった事とファミコン雑誌故の子供向けに楽しそうな印象重視はVの良さを微塵にも出していない。たしかにシナリオを情報無しで入ればヘンリー王子の話以降は怒涛の驚きと感動の流れでまっさらな状態で挑んで欲しいのはわかるのだが、「陽」の部分のみでとどまっているだけに興味がわかなかったという声も多い。
      • しばらくたってからシナリオの良さが口コミ等で伝わり出してから流石という声も出てきたが、Ⅵ以降になってからようやく紹介記事に軟化が見られる様になってきている。
    • Ⅵで伏せる所と開示する所の塩梅が少しはマシになったが、Ⅶでまた別の情報開示での一悶着を起こしている。