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セプテントリオン - (2018/05/18 (金) 15:09:40) の編集履歴(バックアップ)
セプテントリオン
【せぷてんとりおん】
概要
映画の迫力と臨場感をゲームに持たせることを目的とした、シネマティックライブシリーズの第1弾。他には『クロックタワー』が有名。
かつてヒューマンが経営していた業界初のゲーム開発専門学校「ヒューマンクリエイティヴ」が展開していた、在学生の優秀なアイデアを商品化する『生徒作品商品化プロジェクト』によって生まれた作品である。
プレイヤーは4人の乗客・乗員のうち1人を操作するキャラクターとして選び、海上で転覆し沈みつつある豪華客船から、他の生存者を助けつつ脱出する。
特徴
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タイムリミットは“実際の時間で”60分。
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落下や火に触れるなどして操作キャラが死亡してもゲームオーバーにはならないが、タイムリミットから5分が引かれてしまう。
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あくまで一般人としての登場人物
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操作キャラや生存者たちは一般人にすぎないため、あまり長いこと歩き回れば疲れるし、高いところから落ちたり疲労が限界に達したりすれば死ぬ。
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前述のように操作キャラは時間と引き換えに復活できるが、他の生存者は死んでしまったら復活することは無い。
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各乗客には個別のポイントが設定されており、病気持ちであったり高齢であるほど、エンディング時の評価が高い。
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定期的に船が傾いて地形が変化する。
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傾きの方向はランダム。
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またゲーム開始から30分が経過すると船内で爆発が起こり、傾きの度合いが増し、更に地形が変化しやすくなる。
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例えば地面が突然壁もしくは天井になり、通路を歩いていたはずが垂直落下、なんて事態が起こる。
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救助やその他多くのイベントは全て会話による説得で行われる。
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ベストエンド条件
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プレイヤーごとに決められた重要人物を生きたまま助け、且つ体力のない女性や子供を優先的に救助した上で脱出する事。
評価点
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スーパーファミコンのオブジェ回転機能をゲーム性に取り入れたアイディア。
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曲数こそアレンジ含めて12,3曲ほどだが映画さながらの緊迫したBGM。
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沈没船という極限状況に説得力を持たせたゲームシステムなどの点が評価され、ベストエンドに至った時の達成感は例え難い。
賛否両論点
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ゲームとしてハードルが高い
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パニックの再現の一環ではあるが、以下のような理由から慣れるまではゲーム自体にかなり翻弄される。
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それに加えマップの理解も不可欠であり、そして何より船内の傾きを有利に運ぶ運が重要になる。
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状況説明もそこそこに、開始から少し経ったらすぐに船が転覆し、脱出を迫られる。
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客船の中はかなり広く、一度の探索で全てを把握するのはまず不可能。
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地図をくれる人はいるが、パイプラインなどの構造まではさすがに載っていない。初見ではまず、どこに行けば良いのか分からず迷い死ぬだろう。
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定期的なランダム地形変化のため脱出ルートが特定しづらかったり、傾きに生存者が引っかかって誘導に悪影響が出たりする。
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この点は、タイミング次第でまさに映画でよく見る「運命の悪戯」になり得る。何のことは無い隙間を跳び越えようとしたらちょうど船が傾いて……と言う、ただのアクションゲームの経過でしか無いのに、どんなイベントよりもドラマティックな展開が生まれる。
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逆にマップの傾きによって通常のジャンプでは届かない箇所に行けるなど、進行を手助けする場合も多々ある。
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生存者を連れていくには会話による説得が必要なため、せっかく生存者を見つけてもすぐに連れて行けるわけではなく、更にゴール近くのイベントで起こる別の生存者グループとの対話では、言い負かされると仲間が全員連れて行かれ、救助不可能になってしまう。
問題点
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生存者の行動パターンがあまり賢くない
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慣れない内は思うように誘導できない。ちょっと複雑な地形にすぐに引っかかったり、溝を飛び越えさせようとしたらしくじって転落死したり……なんてザラ。
総評
難しさを持つゲームシステムだが、ベストエンドに至った時の達成感は凄まじさはSFCのゲームでも随一。
プレイヤーの中にはスーファミの最高傑作として本作の名を挙げる者も少なくはない。
余談
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本作は1972年の海洋パニック映画「ポセイドンアドベンチャー」のオマージュであるとされる。
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海上で転覆した豪華客船、民間人が生存者を率いて脱出を図る、などのシチュエーションもさることながら、プレイヤーの一人であるレドウィン牧師が、映画の主人公であるスコット牧師と類似した特徴を持っていることからもそれが分かるようになっている。
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時代設定は、1912年の「タイタニック沈没事件」を意識してか1921年となっている。またエンディングでは実際の映画のスタッフロールを思わせる「架空の出演俳優の紹介」が挿入される。
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本作にはストーリー・設定を一新した同名、サブタイトルつきのPSリメイク版が存在する。
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しかし、ゲーム性を無視したポリゴン化がなされた上にストーリーもグダグダになってしまい、ファンからは黒歴史と見なされている、
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本作の版権は、ヒューマン倒産ののち株式会社ハムスターに引き継がれたが、本作のゲームデザインを手がけた木邨圭太氏が著作権を主張しており、キナ臭い事態になっている。
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「ゲームセンターCX」で本作に挑戦しているが、以前から挑戦候補に挙がってたものの中々許可が下りなかったらしい。またCS放送分ではハムスターと木邨の名が並んで載っていたが、DVD収録分では木邨の名前のみが載っていた。
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こういった事情があるため、原作のバーチャルコンソール配信は絶望的かもしれない。