「R-TYPE III THE THIRD LIGHTNING」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る
R-TYPE III THE THIRD LIGHTNING
【あーるたいぷ すりー ざ さーど らいとにんぐ】
概要
-
横シュー御三家の一角『R-TYPE』初のコンシューマオリジナル作品。
-
過去2度に渡って争いを繰り広げた敵勢力、「バイド」の半ばチートじみた設定等の方向性は本作で決定付けられた。
-
それに関連して「ヲヤスミ、ケダモノ。BYE×2 BYDO」という印象的なキャッチコピーも作られた。
-
ゲームのデキは今でもシリーズ屈指の傑作として評されることが多い。
特徴
-
波動砲重視のゲームバランス
-
今回は新たに追加された2種類の波動砲「メガ波動砲」と「ハイパードライブシステム」がゲームの主軸に置かれており、従来よりもフォースの重要性は低下している。
-
前作『R-TYPE II』で追加された2ループチャージはほとんど役に立たなかったが、今回は逆に1ループチャージが全く役に立たない。
-
チャージに時間のかかる武器を使わせるためにゲーム展開が遅く、超威力の武器に合わせて一部の敵が異常に硬い。
-
いかに溜めていかに撃つかが攻略の主題となり、極めればフォース無しでラスボスまで到達可能である。
-
相変わらず高い難易度
-
前作に及ばないとは言え、難易度は相変わらず厳しい。「覚えゲー」の側面が更に色濃くなっているのも難しさに拍車をかけている。
-
難易度選択は存在しないがプレイ中のランク変動があり、「装備」「残機数」「ノーミス継続時間」等により敵の動きが変わる場合がある。
+
|
各ステージ内容
|
-
1面「次元カタパルト」
-
回転拡大収縮機能を活かし回転、移動する地形や、画面奥、手前にと動き回るボスが特徴的。
-
2面「アシド・クリーチャー」
-
いかにもR-TYPEらしいグロテスクなステージ。無数に降り注ぐ消化液の雫により地形が溶けていく。消化液はビット等で防げる。
-
ボスの「ネクロゾウル」は攻撃を防ぐ手段が存在せず、さらにメガ波動砲以外のほとんどの攻撃が通らない強敵。
-
3面「重金属回廊」
-
狭い地形の間を潜り抜けて行くステージ。序盤は斜め下、中盤は水平、終盤は斜め上とスクロール方向が変化していく。
-
ボスの「コース・グラブ」は常に背後を陣取っており、股下を潜らない限り背後からの攻撃に晒され続けなければならない。
-
4面「ファイアキャスクファクトリー」
-
中盤のシャッター地帯からが難関。
-
天井のパイプから高速で流れ落ちる炎の塊と、絶妙なタイミングで開閉するシャッターをかわしつつ、瞬時にルートを決定しなければならない。
-
その先には中ボス「リクジオネータ」が待ち構えており、撃破後は来た道を逆走するハメになる。
-
ステージボス「幻獣666(トリプルシクス)」は画面端に沿って周回し軸が合うとビームを撃ってくるだけだが、背景のレールを移動する機雷が厄介。
-
ボスへのダメージが蓄積すると背景が回転し、機雷も合わせてレールごと回転するようになる。
-
おかげでパターンを組むこと自体が困難な上に、体力が少なくなるとボス自身も狂ったように素早くなるので否応なしに短期決着を強いられる。
-
5面「バイオニクス・ラボ」
-
障害物や地形に擬態したバイドが待ち受ける。耐久力も高く素早い動きで自機に迫るため対処に困る。
-
ボスの「ファントム・セル」は過去作品に登場したボスに擬態する。
-
6面「電界25次元」
-
最終面。終始ワームホールが漂い続ける虚数空間と異層次元での戦い。
-
地形は虚実と実体化をくりかえし、ワームホールからは高耐久力のクモ型バイドが大量に湧き出てくる。
-
ワームホールに重ならなければ地形を抜けられない場面も存在する。
-
ラスボス「マザーバイド」は前述のクモ型バイドを次々と生み出してくることを除けば、それほど強敵ではない。
-
しかし、撃破後は4本の腕だけが残った第二形態に移行。パターンもクソもないガチ避けを強いられる。
-
2周目は敵の耐久力やスピードが大きく強化されたことで復活パターンが非常に難しくなっており、ちょっとした油断が死に直結する。
-
前述の4面も炎の塊がより複雑なルートを描くようになり、6面ではワームホールから出てくるクモ型バイドがスピードアップする地獄絵図に。
|
自機の性能
本作の自機「R-9Φ ラグナロック」はR-TYPEシリーズ最強の一角に挙げられる程、性能が全体的に強化されている。
9種類のレーザー
-
前作で追加された灰色と緑色のアイテムはなくなり、従来の赤、青、黄の3種に戻った。
-
後述の3種のフォースによりレーザーの性能も異なるため、レーザーは全部で9種類に増えている。前後に同時発射するレーザーや地形にめり込むレーザーなど性能も多彩。
-
今回は波動砲の補助的な意味合いが強く、前作までのように赤レーザー一択に縛られる必要は無くなった。
2種類の波動砲
「メガ波動砲」と「ハイパードライブシステム」の2つのチャージモードをいつでも切り替えられる。
-
メガ波動砲
-
攻撃範囲、威力ともに強大な波動砲を撃ち出す。前作の拡散波動砲と同じ2ループチャージを要する分、破壊力は抜群。
-
弾速は非常に速く、撃った瞬間自機の後ろにいる敵にも当たるほどの巨大な攻撃範囲を持ち、あらゆる地形や敵を貫通し、さらには敵弾まで消滅させる。
-
敵弾消去判定が自機の周囲を覆いつくすほど巨大なため、状況によってはフォースを超える防御能力を発揮する。
-
ハイパードライブシステム
-
HYPERモードに切り替え(BEAMゲージの表記がHYPERに変わる)、2ループチャージ後に解放すると一定時間のあいだ「ハイパードライブモード」が発動。
-
波動砲の威力はメガ波動砲に及ばない代わりに連射可能で、殆どのザコやボスを短時間で粉砕することも容易くなる。
-
貫通力はないが当たると炸裂するため、障害物の内側にいる敵にダメージを与えられる事も。
-
更にビットを1つ以上装備していれば光って自機の周囲を回転するバリアーとなってくれる。
-
ハイパードライブ終了後は機体の冷却のため(ゲージにHEATと表記される)ゲージの赤いバーがなくなるまで波動砲をチャージ出来なくなる。
3種類のフォース
今回はゲーム開始時に3種類のフォースの中から1つ選んでプレイすることができる。実質的に難易度選択を担う面も大きい。
-
ラウンド・フォース
-
従来の形状で、レーザーの内容も無印と変わらない。
-
フォースセレクト時に「For Ace」と書かれている通り、玄人向けの性能。
-
設定上でも旧式のフォースで「現在は一部のエースパイロットが好んで使う程度」と記述されている。
-
ラウンドフォース選択時に限り、ハイパー発動中(オートボタンを使わず)ショットボタンを自力連打する事によりハイパー状態を通常より長く持続させる事が出来る。
-
シャドウ・フォース
-
ビット開発者たちの叡智を結集した完全人工のフォース。
-
フォースの呼び戻し速度が他2つと比較すると圧倒的に速く、スピーディーな合体をこなせる。
-
レーザーはどれも強力な上に、全方位に攻撃可能な2機のユニットをビットとは別に標準装備していることもあって合体中の火力は驚異的。
-
設定上ではバイド体を一切使用していないはずだが、何故かバイド係数はラウンド・フォースより高い。
-
サイクロン・フォース
-
破壊力を重点において開発された新型フォース。フォースによる体当たりを主軸に置いており、波動砲重視のゲームバランスと相性が良い。
-
分離中は独楽のように高速回転し、周囲を回転するサイクロニックビットがイオンリングを形成、攻撃範囲と防御範囲が拡大する。
-
遠隔操作が可能で、フォース呼び戻しの最中に(自機との合体を介せずに)引き離しが可能。
-
合体中のレーザーも決して弱くはなく、特に青レーザーのスプラッシュレーザーは火力、範囲共に強力。
-
他のフォースと比較してバイド係数が高く、高い破壊力はそれによって得られたものであるらしい。
補助兵装の強化
-
ストラグル・ビット
-
敵弾防御能力が強化されたビット。しかし黄色の通常弾は相変わらず防げない。
-
従来通り赤レーザー時に援護射撃する他、サイクロン・フォースの黄レーザー装備時にはサーチレーザーで援護する。
-
ハイパードライブ時には敵弾防御能力がさらに強化され、黄色の通常弾はおろかフォースでも防げない攻撃を防いでくれる事も。
-
エレクトロン・ミサイル
-
従来の追尾ミサイルの誘導性能はそのままに攻撃力を強化。2つ取ると発射間隔も短くなる。
評価点
-
それまで補助的な意味合いが強かった波動砲が大体の敵を一掃できるほど強化され、以前よりも波動砲の必要性や爽快感が大きく増した。
-
前述の新フォースも全体的に火力・使い勝手ともに優れており、STG初心者へのある程度の救済にもなっている。
-
ステージのトリッキーなギミックと、スーパーファミコンの回転拡大縮小機能を使った演出が光る。
-
特に5、6面はバイドの異端性と脅威をひしひしと感じられる演出が多く見られる。
-
BGMも安定して評価が高い。特に4面は色々な意味で多くのプレイヤーの耳に残った事だろうと思われる。
-
1面では初代『R-TYPE』の1面BGMのアレンジ、5面ボス戦では初代『R-TYPE』のボス戦BGMのアレンジが流れるなどファンサービス的な演出も。
-
本作はクレジットの概念が無く、何度ゲームオーバーしても再挑戦可能。
不評点・賛否両論点
-
ゲーム展開の遅さ
-
家庭用オリジナル作品であるためか、全体的にゆっくりとした展開が目立つ。
-
インカムを重視するため素早いゲーム展開が求められていた前作までと比べると、どうしても遅く感じてしまう。
-
それを考慮しても1面の展開の遅さは擁護しようがなく、時折思い出したように襲い掛かる初見殺しを除けば、緊張感も爽快感もないダラダラとした展開が続く。
-
1面のボスに至っては登場からしばらくダメージを与えるチャンスがなく、やる気のない攻撃を一方的に避け続けなければならない。
-
難易度と関係ない部分でプレイヤーのやる気を削いでしまう要素を多く含んだステージを、最も多くの人がプレイする1面に入れてしまったことは失敗だったと言える。
-
消せる弾、消せない弾が不明確
-
前述の通りビットは通常ショットで破壊できない敵弾も防げるようになったが通常弾は防げない。
-
しかしハイパードライブ中のビットはフォースやメガ波動砲でも防げない4面中ボスのレーザーをかき消せる。
-
他にも二周目3面の3WAY砲台が真ん中の弾だけ貫通弾だったりと、攻撃を防ぐ手段が安定せず明快さに欠ける。
-
無意味なスコアとエクステンド
-
簡単に見つかる永久パターンで簡単にカンスト達成できてしまう。
-
残機もいくらでも増やせるが、元々コンティニュー回数が無制限な上にリトライポイントも変化がないため、残機そのものが無意味である。
総評
前2作とは違った家庭用ならではのゲームバランスは賛否が分かれる所ではあるが、パターン構築といったR-TYPEらしい楽しみは健在。
また、無限にコンティニュー可能という点では、ある意味R-TYPEシリーズの中では初心者に対して良心的な作りなのかもしれない。
その後の展開・余談
-
本作は後にGBAに移植(海外のみ)されているが、自機や敵弾の当たり判定がデカい上バグが多い、BGMが原形を留めていない、開発元が非公式エミュを使って移植したなどの多くの問題点により、劣化移植では済まされないクソゲーと評価されている。
-
本作の自機は肉体年齢を14歳で固定された23歳の女性を機体に直結するという設定。古今東西様々なゲームがあるが、ここまで狂っている設定を持つ作品は珍しい。
-
本作の自機である「R-9Φ ラグナロック」は『R-TYPE FINAL』にも出演(こちらでは「R-9/0」という表記)。ハイパードライブシステム(『FINAL』ではハイパー波動砲という名称)を使用してもオーバーヒートしなくなったが、波動砲1発辺りの威力の減少、メガ波動砲のオミット、装着可能なフォースがシャドウ・フォースのみとやや弱体化が目立つ。
-
その後継機「R-9/02 ラグナロックII」は最大7ループチャージ、ほぼ全てのバイドを一撃で葬るギガ波動砲を装備。『FINAL』最強クラスの機体のひとつとして君臨している。
-
そのクソ長いチャージ時間を活かすためにサイクロン・フォースを装備しているのだが、造形がおざなりで分離しても高速回転してるように見えず、おまけに周囲を回転するサイクロニックビットの色を間違えるという致命的なミスまでやらかしており、再現度には疑問が残る。